雲台装置
【課題】高強度の光がカメラレンズに入射しても撮影方向や画角を変化させずに撮像素子の劣化低減をおこなえる雲台装置を提供すること。
【解決手段】カメラレンズ装置を搭載し端末機で遠隔操作する雲台装置において、光学的に画像の画角を変化させる光学ズーム部と、電子的に画像の画角を変化させるデジタルズーム部と、光量を検出する光量検出手段と、雲台装置を制御する演算部と、前記光量検出手段の検出値が閾値以上であった場合に前記光学ズーム部のズーム倍率を低下させると共に前記デジタルズーム部のズーム倍率を増す制御手段とを有したことを特徴とする構成とした。
【解決手段】カメラレンズ装置を搭載し端末機で遠隔操作する雲台装置において、光学的に画像の画角を変化させる光学ズーム部と、電子的に画像の画角を変化させるデジタルズーム部と、光量を検出する光量検出手段と、雲台装置を制御する演算部と、前記光量検出手段の検出値が閾値以上であった場合に前記光学ズーム部のズーム倍率を低下させると共に前記デジタルズーム部のズーム倍率を増す制御手段とを有したことを特徴とする構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラレンズを有する雲台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雲台装置はビルの屋上等に設置し、遠隔地からの端末機によってパンチルト動作やカメラレンズのズーム・フォーカス調整を行うものである。雲台装置の撮影は常時オペレータが監視しているわけではなく、所定の撮影アングルにて無監視状態で運用されることが多い。もし所定の撮影アングルが太陽の軌道を含む場合、高強度の太陽光がレンズに入射する。その時、カメラレンズが長焦点距離側(テレ側)だと前玉一面に入射される平行光が撮像素子に集光し、温度上昇することで撮像素子が劣化する。
【0003】
特許文献1では高強度の光が雲台装置に入射された時にカメラレンズを覆うカバーを設けている。特許文献2では高強度の光が雲台装置に入射された時に雲台装置をパンチルト動作している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−142924号公報
【特許文献2】特開平11−95315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では高強度の光が雲台装置に入射した時、カメラレンズをレンズカバーで保護するために撮影を中断してしまう。特許文献2では撮影を継続しているがオペレータの意図に反してパンチルト動作するために撮影対象が変化してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、高強度の光がカメラレンズに入射しても撮影方向や画角を変化させずに撮像素子の劣化低減をおこなえる雲台装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の雲台装置は、カメラレンズ装置を搭載し端末機で遠隔操作する雲台装置において、光学的に画像の画角を変化させる光学ズーム部と、電子的に画像の画角を変化させるデジタルズーム部と、光量を検出する光量検出手段と、雲台装置を制御する演算部と、前記光量検出手段の検出値が閾値以上であった場合に前記光学ズーム部のズーム倍率を低下させると共に前記デジタルズーム部のズーム倍率を増す制御手段とを有したことを特徴とする。
【0008】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施例等によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、雲台装置内部に入射される光の光量検出部と光学ズーム倍率を低下させてデジタルズーム倍率を増す制御手段とによって、高強度の光がカメラレンズ内部に入射しても常時撮影対象を撮影し続けながら撮像素子の劣化を低減する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1における雲台装置のシステム構成図。
【図2】本発明の実施例1における端末機15に内蔵された設定部16を示す図。
【図3】本発明の実施例1におけるデジタルズーム部12における画像切出しのイメージ図。
【図4】本発明の実施例1における輝度値演算手段7aと閾値判定手段7bとの制御動作を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施例1における輝度レベルと画素数の関係を示す図。
【図6】本発明の実施例1における平滑なデジタルズーム制御と光学ズーム制御のイメージ図。
【図7】本発明の実施例2における雲台装置のシステム構成図。
【図8】本発明の実施例2における光波長と光強度分布の関係を示す図。
【図9】本発明の実施例2における太陽光と屋内照明光を撮影した時の輝度ヒストグラムを示す図。
【図10】本発明の実施例2における制御動作を示す図。
【図11】本発明の実施例3における作動情報と映像との合成映像イメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
以下、図1から図6を参照して本発明の第1の実施例について説明する。実施例1の概要は、高強度の光がカメラレンズ装置1に入射して閾値以上の時に、画角を保持するよう光学ズーム倍率を低下させてデジタルズーム倍率を増す制御方法を示す。
【0013】
図1は本発明の実施例1における雲台装置のシステム構成図。
【0014】
図2は本発明の実施例1における端末機15に内蔵された設定部16を示す図。
【0015】
図3は本発明の実施例1におけるデジタルズーム部12における画像切出しのイメージ図。
【0016】
図4は本発明の実施例1における輝度値演算手段7aと閾値判定手段7bとの制御動作を示すフローチャート。
【0017】
図5は本発明の実施例1における輝度レベルと画素数の関係を示す図。
【0018】
図6は本発明の実施例1における平滑なデジタルズーム制御と光学ズーム制御のイメージ図。
【0019】
まず図1における雲台装置のシステム構成図を説明する。図1における構成は、カメラレンズ装置1を収納するハウジング2、ヘッド筐体3、ハウジング2とヘッド筐体3を備えた雲台本体部4、ハウジング2を旋回するチルト駆動部5、ヘッド筐体3を旋回するパン駆動部6、演算部7、輝度値演算手段7a、閾値判定手段7b、記憶部8通信部9a、通信部9b,光学的ズーム手段を備えた遠隔操作可能な光学ズーム部10、カラーフィルターを有する撮像素子11、撮像素子11からの信号を変換する画像処理部12、画像を拡大処理し映像を切り出すデジタルズーム部13、撮像素子11の輝度値を読込む光量検出手段14、端末機15、設定部16、表示部17a、表示部17bとを備える。
【0020】
ハウジング2はカメラレンズ装置1を収納して外部の雨や埃や害虫等から保護する。カメラレンズ装置1は光学ズーム部10と撮像素子11と画像処理部12とを構成している。光学ズーム部10は焦点距離を連続的に変化させて画角を変えるズーム機構とピントズレを補正するフォーカス機構と光量調整する絞り機構とフィルター切替機構とを設けている。 カラーフィルターを有する撮像素子11は、光学ズーム部10の結像位置に配置されている。撮像素子11の受光面に結像された画像は各フォトセンサによっての入射光量に応じた量の信号電荷に変換されて、画像処理部12に送信する。画像処理部12は撮像素子11から入力された輝度値を映像信号に変換し、通信部9aを通して表示部17aと表示部17bとに送信する。同時に画像処理部12は信号電荷を光量検出部14に送信する。
【0021】
ヘッド筐体3はパン駆動部6とチルト駆動部5と演算部7と記憶部8と通信部9とを収納してハウジング2と同様に外部の雨等から保護する。ハウジング2はチルト駆動部5によりチルト方向に回転駆動され、ヘッド筐体3はパン駆動部6によりパン方向に回転駆動される。演算部7はデータやプログラム等を保存しまたは書き換えるようにした書換え可能な記憶部8と接続されており記憶部8に記憶されているプログラムに基づいて光学ズーム部10と画像処理部12とパン駆動部6とチルト駆動部5とを制御する。演算部7と接続されている通信部9aと端末機15に内蔵されている通信部9bとは入出力情報を送受信する。
【0022】
ハウジング2とヘッド筐体3を組み合わせた構成を雲台本体部4とする。
【0023】
端末機15はオペレータが雲台本体部4を遠隔操作する時に使用される。端末機15は通信部9bと表示部17bが備えられており、表示部17bはオペレータが雲台装置の情報を認識できるようタッチパネルモニタ又は液晶モニタである。表示部17bは設定部16を内蔵しており、図2に示すよう各種設定値の出力部より雲台装置の情報をオペレータが認識することができる。またオペレータは各種設定値の入力部より雲台装置への指令を与えることができ、遠隔地から撮影方向や焦点距離等を変更させて、意図する対象物を撮影することが可能となる。
【0024】
画像処理部12にはデジタルズーム部13と光量検出手段14とが内蔵されている。図3に示すようデジタルズーム部13は演算部7からの指令により撮像素子11上の映像を切り抜いた(図3a破線)画像を表示部17a(図3b)と表示部17b(図3b)とに伝送する。同時にデジタルズーム部13の映像を切り抜いた制御が実行されたことを知らせる情報を表示部17bに出力する。
【0025】
実施例1の輝度値演算手段7aと閾値判定手段7bとの制御動作の流れを図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0026】
光量検出手段14は撮像素子11から送信された各画素における信号電荷を輝度値に変換して演算部7に送信する。演算部7には輝度値演算手段7aが設けられている。輝度値演算手段7aは光量検出手段14から送信された値が演算部7に入力される(S001)と、撮像素子11の画素に対して輝度のヒストグラムを作成する(S002)。
【0027】
図5(a−1)は光学ズーム部10がワイド端にあり、デジタルズーム部13の制御が無いときのイメージ図。図5(b−1)は光学ズーム部10がテレ端にあり、デジタルズーム部13の制御が無いときのイメージ図。図5(a−2)は、図5(a−1)の画像に対する輝度のヒストグラムを示し、図5(b−2)は、図5(b−1)の画像に対する輝度のヒストグラムを示す。横軸は輝度レベル、縦軸は各輝度レベルの画素数を示している。この時、光学ズーム部10は焦点距離全域にわたりFナンバー値が略一定となっており、平行光が入射した場合、撮像素子11の結像面上単位面積あたりの輝度値は略一定となっている。
【0028】
図5(a−2)と図5(b−2)とでは横軸は0から輝度最高レベルである255からなる。例えば図5(a−1)のように画像上に太陽光が占める割合が小さいと、図5(a−2)のように輝度レベルのピークは低いところに集中する。次に図5(b−1)のように画像上に太陽光が占める割合が大きいと、図5(b−2)のように輝度レベルのピークは高いところに集中する。
【0029】
図5(b−2)に示すようヒストグラムの横軸上で輝度レベルαが雲台装置のデフォルト値として記憶部8に設定されている。輝度値演算手段7aはα〜255までの輝度レベルを積分(S003)し、積分値をβとする。
【0030】
演算部7には光量検出手段14の検出値の閾値判定手段7bが設けられており、閾値γがデフォルトで記憶部8に設定されている。
【0031】
閾値判定手段7bは、閾値γを記憶部8から読み出(S004)してからヒストグラム上で設定した積分値βとの比較(S005)をする。
閾値γ≦積分値βの時、演算部7より光学ズーム部10とデジタルズーム部13との値を読出し(S006)てから、光学ズーム部とデジタルズーム部との倍率変化の目標値を算出する(S007)。
【0032】
次に「光学ズーム部10の光学ズーム倍率を低下させると共にデジタルズーム部13のデジタルズーム倍率を増す制御手段を実行(S008)」(以下、デジタルズーム制御と記載)する。図6に示すよう、光学ズーム倍率とデジタルズーム倍率を掛け合わせた絶対倍率が変動しないようにする。この時、閾値γと積分値βとの差分により、光学ズーム倍率とデジタルズーム倍率とを決定する。
閾値γ>積分値βの時、デジタルズーム制御は実行しない。
【実施例2】
【0033】
図2と図7と図8と図9と図10とを参照して本発明の第2の実施例について説明する。
【0034】
実施例2の概要は、閾値γの変更方法を示す。閾値変更する目的は、デジタルズーム制御はデジタルズームを高倍率化することで画質が劣化する。それを軽減するためにデジタルズーム制御を必要最低限の頻度にし、通常の光学ズームを主とした撮影を優先する為である。
【0035】
図7は本発明の実施例2における雲台装置のシステム構成図。
【0036】
図8は本発明の実施例2における光波長と光強度分布の関係を示す図。
【0037】
図9は本発明の実施例2における太陽光と屋内照明光を撮影した時の輝度ヒストグラムを示す図。
【0038】
図10は本発明の実施例2における制御動作を示す図。
【0039】
実施例2における構成は、温度検出手段21、設定部16に内蔵された屋内屋外モード入力部16t、閾値γを変更する閾値変更手段7cヘッド筐体3に備えられた電源スイッチ部31aとを備える。
【0040】
まず温度検出手段21による閾値変更方法について述べる。
【0041】
温度検出手段21は雲台装置の近傍又は内部に少なくとも1つ設けられており、ハウジング2内部の雰囲気温度や撮像素子11の温度を測定する。温度検出手段21は温度検出値を測定し演算部7に入力する。
【0042】
演算部7には閾値変更手段が設けられており、温度検出手段21の値によって閾値γを変更する。例えば、温度検出値をTcとすると、閾値γは以下のように変更される。
閾値γ(=γ×Tc×温度係数)
これはハウジング2内部の雰囲気温度が低い時は、撮像素子11の温度が低いことより光が撮像素子11に集光しても撮像素子11が劣化しないためにデジタルズーム制御の頻度を低くするように閾値γを変更する。一方ハウジング2内部の雰囲気温度が高い時は撮像素子11が劣化しやすいためにデジタルズーム制御の頻度を高くするように閾値γを変更する。
【0043】
次に屋内屋外モード入力部16tによっての閾値変更方法について述べる。
【0044】
オペレータが雲台の設置場所を「屋内設置or屋外設置」と指示することで閾値変更する。
【0045】
図2に示すよう端末機15の設定部16内に屋内屋外モード入力部16tが設けられている。オペレータが屋内屋外モード入力部16tを選択すると、画面上で「屋内設置?or屋外設置?」といずれかを選択できるようになっている。「屋内設置」を選択した場合は、その選択情報が演算部7を通して記憶部8に記憶されると同時に、記憶部8に記憶された閾値γを変更する。オペレータが屋内屋外モード入力部16tの入力をしなかった場合は、デフォルトで「屋外設置」とする。
【0046】
例えばオペレータが、
「屋外設置」を選択した時、閾値γはデフォルトのままである。
「屋内設置」を選択した時、閾値γ(=γ×屋内係数)として閾値変更する。屋内係数は1.0未満である。
【0047】
これは屋内環境化において、放送局スタジオ内の照明光を撮影した時には撮像素子11の劣化には至らないためである。照明光が撮像素子11の劣化に至らないのは以下の理由がある。図8に示すように太陽光の光強度は、短波長側の紫外域から長波長側に向かうに従い急速に増加して、ほぼ380nm〜660nmに光強度のピークを有しており光量は高エネルギーに分布している。そして撮像素子11の感度分布はピークを約660nmに持っている。太陽光の光量分布と撮像素子11の感度分布を比較すると、撮像素子11は0〜500nmの高エネルギーで光強度が高い波長を感知できない。(図8の破線A部)一方、屋内照明光の光量分布は、撮像素子11の感度分布と重なっている。
【0048】
これより図9(a)と図9(b)とに示すよう、太陽光を撮影した時の積分値βmと屋内照明光を撮影した時の積分値βnとはほぼ同等であるが、撮像素子11の感度範囲による影響で、
「太陽光の撮影時のエネルギー量>屋内照明光の撮影時のエネルギー量」となる。
【0049】
よって屋内照明光を撮影しても撮像素子11の劣化は小さいことより、オペレータが「屋内設置」を選択した時には、屋内係数を1未満にしてデジタルズーム制御の頻度を低くする。
【0050】
実施例2の動作の流れを図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0051】
まずヘッド筐体3内部に設けられた電源スイッチ部31aの電源がONであった時に制御(S101)を開始する。温度検出手段21の値を読出しする(S102)。閾値γと温度検出手段21の値TCと温度係数とを乗算する(S103)。閾値γを記憶部8に記憶する(S104)。記憶部8に記憶された屋内屋外モード入力部16tの設定値を読み出す(S105)。演算部7にて「屋内設置」であるか「屋外設置」であるかを判断する(S106)。閾値γを記憶部から読出しする(S107)。屋内設定であった場合は閾値γに屋内係数を乗算し(S108)、その値を記憶部8に記憶する(S109)。閾値γを読出しする(S110)。
【0052】
演算部7にて輝度のヒストグラムを作成し、輝度積分値βを算出する(S111)。閾値γと積分値βの値の大きさを比較(S112)し、積分値βの方が大きい場合は、光学ズーム部10とデジタルズーム部13の倍率値を読出し(S113)てから、光学ズーム部10とデジタルズーム部13との倍率変化の目標値を算出する(S114)。
【0053】
次に「光学ズーム部10の光学ズーム倍率を低下させると共にデジタルズーム部1313のデジタルズーム倍率を増す制御手段を実行(S115)する。図6に示すよう、光学ズーム倍率とデジタルズーム倍率を掛け合わせた絶対倍率が変動しないようにする。この時、閾値γと積分値βとの差分により、光学ズーム倍率とデジタルズーム倍率とを決定する。(S116)
【実施例3】
【0054】
図2と図7と図11とを参照して本発明の第3の実施例について説明する。実施例3の概要は、デジタルズーム制御を実行した時の作動情報を表示部17aに表示することである。
【0055】
図11は本発明の実施例3における作動情報と映像との合成映像イメージ図。
【0056】
実施例3における構成は、録画装置40を備える。
【0057】
表示部17aは画像処理部12からの映像信号を表示し、オペレータが雲台装置からの映像を見ることができ録画装置40と接続されている。録画装置40は表示部17aに映し出された映像を録画する。図2に示すよう録画装置40は設定部16の録画装置設定16sより操作可能である。また表示部17bに稼動状態と録画容量と設定情報とを出力することができる。
【0058】
演算部7でデジタルズーム制御を実行されたと同時に、演算部7より画像処理部12にデジタルズーム制御の作動情報と映像情報とを合成して映像信号を出力(図11)するように指令を与える。
【実施例4】
【0059】
図7を参照して本発明の第4の実施例について説明する。実施例4の概要は、閾値γが目標値以下になった時にデジタルズーム制御を解除する方法を記載。
【0060】
デジタルズーム制御を実行した時に、実行する直前の光学ズームの倍率値とデジタルズームの倍率値とを記憶部8に記憶する。次にデジタルズーム制御を実行中において、輝度値演算手段7aが「閾値γ>輝度値の積分値β」と判断した時は、記憶部8に入力された値に戻すための以下の処理をおこなう。
【0061】
具体的には、
演算部7より光学ズーム部10のズーム倍率を増すと共にデジタルズーム部13のズーム倍率を低下する制御手段を実行する。
閾値γをデフォルト値にリセットする。
表示部17aに合成された作動情報を消去する。
【実施例5】
【0062】
図7を参照して本発明の第5の実施例について説明する。実施例5の概要は、雲台装置の電源OFF時でもデジタルズーム制御と同等の効果を狙うことを記載。
【0063】
実施例5における構成は、端末機15に設けられた電源スイッチ部31bと備える。
【0064】
オペレータが電源スイッチ部31a又は電源スイッチ部31bをONからOFFに切替えた直後は、まだ電源供給をし続けて光学ズームの倍率値とデジタルズームの倍率値とを記憶部8に記憶する。次に光学ズーム部10をワイド端に駆動させてから電源をOFFにする。
【0065】
反対にオペレータが電源スイッチ部31a又は電源スイッチ部31bをOFFからONに切替えた直後は、まず光学ズームの倍率値とデジタルズームの倍率値とを記憶部8より読出して、その読出しした値と現在値に差分がある場合は、読出しした値を優先して光学ズーム部10とデジタルズームを駆動する。
【0066】
これによってオペレータが電源をOFFにして雲台装置を停止状態にしても高強度の光による撮像素子11の劣化を軽減することができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 カメラレンズ装置
7 演算部
15 端末機
10 光学ズーム部
13 デジタルズーム部
14 光量検出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラレンズを有する雲台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雲台装置はビルの屋上等に設置し、遠隔地からの端末機によってパンチルト動作やカメラレンズのズーム・フォーカス調整を行うものである。雲台装置の撮影は常時オペレータが監視しているわけではなく、所定の撮影アングルにて無監視状態で運用されることが多い。もし所定の撮影アングルが太陽の軌道を含む場合、高強度の太陽光がレンズに入射する。その時、カメラレンズが長焦点距離側(テレ側)だと前玉一面に入射される平行光が撮像素子に集光し、温度上昇することで撮像素子が劣化する。
【0003】
特許文献1では高強度の光が雲台装置に入射された時にカメラレンズを覆うカバーを設けている。特許文献2では高強度の光が雲台装置に入射された時に雲台装置をパンチルト動作している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−142924号公報
【特許文献2】特開平11−95315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では高強度の光が雲台装置に入射した時、カメラレンズをレンズカバーで保護するために撮影を中断してしまう。特許文献2では撮影を継続しているがオペレータの意図に反してパンチルト動作するために撮影対象が変化してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、高強度の光がカメラレンズに入射しても撮影方向や画角を変化させずに撮像素子の劣化低減をおこなえる雲台装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の雲台装置は、カメラレンズ装置を搭載し端末機で遠隔操作する雲台装置において、光学的に画像の画角を変化させる光学ズーム部と、電子的に画像の画角を変化させるデジタルズーム部と、光量を検出する光量検出手段と、雲台装置を制御する演算部と、前記光量検出手段の検出値が閾値以上であった場合に前記光学ズーム部のズーム倍率を低下させると共に前記デジタルズーム部のズーム倍率を増す制御手段とを有したことを特徴とする。
【0008】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施例等によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、雲台装置内部に入射される光の光量検出部と光学ズーム倍率を低下させてデジタルズーム倍率を増す制御手段とによって、高強度の光がカメラレンズ内部に入射しても常時撮影対象を撮影し続けながら撮像素子の劣化を低減する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1における雲台装置のシステム構成図。
【図2】本発明の実施例1における端末機15に内蔵された設定部16を示す図。
【図3】本発明の実施例1におけるデジタルズーム部12における画像切出しのイメージ図。
【図4】本発明の実施例1における輝度値演算手段7aと閾値判定手段7bとの制御動作を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施例1における輝度レベルと画素数の関係を示す図。
【図6】本発明の実施例1における平滑なデジタルズーム制御と光学ズーム制御のイメージ図。
【図7】本発明の実施例2における雲台装置のシステム構成図。
【図8】本発明の実施例2における光波長と光強度分布の関係を示す図。
【図9】本発明の実施例2における太陽光と屋内照明光を撮影した時の輝度ヒストグラムを示す図。
【図10】本発明の実施例2における制御動作を示す図。
【図11】本発明の実施例3における作動情報と映像との合成映像イメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
以下、図1から図6を参照して本発明の第1の実施例について説明する。実施例1の概要は、高強度の光がカメラレンズ装置1に入射して閾値以上の時に、画角を保持するよう光学ズーム倍率を低下させてデジタルズーム倍率を増す制御方法を示す。
【0013】
図1は本発明の実施例1における雲台装置のシステム構成図。
【0014】
図2は本発明の実施例1における端末機15に内蔵された設定部16を示す図。
【0015】
図3は本発明の実施例1におけるデジタルズーム部12における画像切出しのイメージ図。
【0016】
図4は本発明の実施例1における輝度値演算手段7aと閾値判定手段7bとの制御動作を示すフローチャート。
【0017】
図5は本発明の実施例1における輝度レベルと画素数の関係を示す図。
【0018】
図6は本発明の実施例1における平滑なデジタルズーム制御と光学ズーム制御のイメージ図。
【0019】
まず図1における雲台装置のシステム構成図を説明する。図1における構成は、カメラレンズ装置1を収納するハウジング2、ヘッド筐体3、ハウジング2とヘッド筐体3を備えた雲台本体部4、ハウジング2を旋回するチルト駆動部5、ヘッド筐体3を旋回するパン駆動部6、演算部7、輝度値演算手段7a、閾値判定手段7b、記憶部8通信部9a、通信部9b,光学的ズーム手段を備えた遠隔操作可能な光学ズーム部10、カラーフィルターを有する撮像素子11、撮像素子11からの信号を変換する画像処理部12、画像を拡大処理し映像を切り出すデジタルズーム部13、撮像素子11の輝度値を読込む光量検出手段14、端末機15、設定部16、表示部17a、表示部17bとを備える。
【0020】
ハウジング2はカメラレンズ装置1を収納して外部の雨や埃や害虫等から保護する。カメラレンズ装置1は光学ズーム部10と撮像素子11と画像処理部12とを構成している。光学ズーム部10は焦点距離を連続的に変化させて画角を変えるズーム機構とピントズレを補正するフォーカス機構と光量調整する絞り機構とフィルター切替機構とを設けている。 カラーフィルターを有する撮像素子11は、光学ズーム部10の結像位置に配置されている。撮像素子11の受光面に結像された画像は各フォトセンサによっての入射光量に応じた量の信号電荷に変換されて、画像処理部12に送信する。画像処理部12は撮像素子11から入力された輝度値を映像信号に変換し、通信部9aを通して表示部17aと表示部17bとに送信する。同時に画像処理部12は信号電荷を光量検出部14に送信する。
【0021】
ヘッド筐体3はパン駆動部6とチルト駆動部5と演算部7と記憶部8と通信部9とを収納してハウジング2と同様に外部の雨等から保護する。ハウジング2はチルト駆動部5によりチルト方向に回転駆動され、ヘッド筐体3はパン駆動部6によりパン方向に回転駆動される。演算部7はデータやプログラム等を保存しまたは書き換えるようにした書換え可能な記憶部8と接続されており記憶部8に記憶されているプログラムに基づいて光学ズーム部10と画像処理部12とパン駆動部6とチルト駆動部5とを制御する。演算部7と接続されている通信部9aと端末機15に内蔵されている通信部9bとは入出力情報を送受信する。
【0022】
ハウジング2とヘッド筐体3を組み合わせた構成を雲台本体部4とする。
【0023】
端末機15はオペレータが雲台本体部4を遠隔操作する時に使用される。端末機15は通信部9bと表示部17bが備えられており、表示部17bはオペレータが雲台装置の情報を認識できるようタッチパネルモニタ又は液晶モニタである。表示部17bは設定部16を内蔵しており、図2に示すよう各種設定値の出力部より雲台装置の情報をオペレータが認識することができる。またオペレータは各種設定値の入力部より雲台装置への指令を与えることができ、遠隔地から撮影方向や焦点距離等を変更させて、意図する対象物を撮影することが可能となる。
【0024】
画像処理部12にはデジタルズーム部13と光量検出手段14とが内蔵されている。図3に示すようデジタルズーム部13は演算部7からの指令により撮像素子11上の映像を切り抜いた(図3a破線)画像を表示部17a(図3b)と表示部17b(図3b)とに伝送する。同時にデジタルズーム部13の映像を切り抜いた制御が実行されたことを知らせる情報を表示部17bに出力する。
【0025】
実施例1の輝度値演算手段7aと閾値判定手段7bとの制御動作の流れを図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0026】
光量検出手段14は撮像素子11から送信された各画素における信号電荷を輝度値に変換して演算部7に送信する。演算部7には輝度値演算手段7aが設けられている。輝度値演算手段7aは光量検出手段14から送信された値が演算部7に入力される(S001)と、撮像素子11の画素に対して輝度のヒストグラムを作成する(S002)。
【0027】
図5(a−1)は光学ズーム部10がワイド端にあり、デジタルズーム部13の制御が無いときのイメージ図。図5(b−1)は光学ズーム部10がテレ端にあり、デジタルズーム部13の制御が無いときのイメージ図。図5(a−2)は、図5(a−1)の画像に対する輝度のヒストグラムを示し、図5(b−2)は、図5(b−1)の画像に対する輝度のヒストグラムを示す。横軸は輝度レベル、縦軸は各輝度レベルの画素数を示している。この時、光学ズーム部10は焦点距離全域にわたりFナンバー値が略一定となっており、平行光が入射した場合、撮像素子11の結像面上単位面積あたりの輝度値は略一定となっている。
【0028】
図5(a−2)と図5(b−2)とでは横軸は0から輝度最高レベルである255からなる。例えば図5(a−1)のように画像上に太陽光が占める割合が小さいと、図5(a−2)のように輝度レベルのピークは低いところに集中する。次に図5(b−1)のように画像上に太陽光が占める割合が大きいと、図5(b−2)のように輝度レベルのピークは高いところに集中する。
【0029】
図5(b−2)に示すようヒストグラムの横軸上で輝度レベルαが雲台装置のデフォルト値として記憶部8に設定されている。輝度値演算手段7aはα〜255までの輝度レベルを積分(S003)し、積分値をβとする。
【0030】
演算部7には光量検出手段14の検出値の閾値判定手段7bが設けられており、閾値γがデフォルトで記憶部8に設定されている。
【0031】
閾値判定手段7bは、閾値γを記憶部8から読み出(S004)してからヒストグラム上で設定した積分値βとの比較(S005)をする。
閾値γ≦積分値βの時、演算部7より光学ズーム部10とデジタルズーム部13との値を読出し(S006)てから、光学ズーム部とデジタルズーム部との倍率変化の目標値を算出する(S007)。
【0032】
次に「光学ズーム部10の光学ズーム倍率を低下させると共にデジタルズーム部13のデジタルズーム倍率を増す制御手段を実行(S008)」(以下、デジタルズーム制御と記載)する。図6に示すよう、光学ズーム倍率とデジタルズーム倍率を掛け合わせた絶対倍率が変動しないようにする。この時、閾値γと積分値βとの差分により、光学ズーム倍率とデジタルズーム倍率とを決定する。
閾値γ>積分値βの時、デジタルズーム制御は実行しない。
【実施例2】
【0033】
図2と図7と図8と図9と図10とを参照して本発明の第2の実施例について説明する。
【0034】
実施例2の概要は、閾値γの変更方法を示す。閾値変更する目的は、デジタルズーム制御はデジタルズームを高倍率化することで画質が劣化する。それを軽減するためにデジタルズーム制御を必要最低限の頻度にし、通常の光学ズームを主とした撮影を優先する為である。
【0035】
図7は本発明の実施例2における雲台装置のシステム構成図。
【0036】
図8は本発明の実施例2における光波長と光強度分布の関係を示す図。
【0037】
図9は本発明の実施例2における太陽光と屋内照明光を撮影した時の輝度ヒストグラムを示す図。
【0038】
図10は本発明の実施例2における制御動作を示す図。
【0039】
実施例2における構成は、温度検出手段21、設定部16に内蔵された屋内屋外モード入力部16t、閾値γを変更する閾値変更手段7cヘッド筐体3に備えられた電源スイッチ部31aとを備える。
【0040】
まず温度検出手段21による閾値変更方法について述べる。
【0041】
温度検出手段21は雲台装置の近傍又は内部に少なくとも1つ設けられており、ハウジング2内部の雰囲気温度や撮像素子11の温度を測定する。温度検出手段21は温度検出値を測定し演算部7に入力する。
【0042】
演算部7には閾値変更手段が設けられており、温度検出手段21の値によって閾値γを変更する。例えば、温度検出値をTcとすると、閾値γは以下のように変更される。
閾値γ(=γ×Tc×温度係数)
これはハウジング2内部の雰囲気温度が低い時は、撮像素子11の温度が低いことより光が撮像素子11に集光しても撮像素子11が劣化しないためにデジタルズーム制御の頻度を低くするように閾値γを変更する。一方ハウジング2内部の雰囲気温度が高い時は撮像素子11が劣化しやすいためにデジタルズーム制御の頻度を高くするように閾値γを変更する。
【0043】
次に屋内屋外モード入力部16tによっての閾値変更方法について述べる。
【0044】
オペレータが雲台の設置場所を「屋内設置or屋外設置」と指示することで閾値変更する。
【0045】
図2に示すよう端末機15の設定部16内に屋内屋外モード入力部16tが設けられている。オペレータが屋内屋外モード入力部16tを選択すると、画面上で「屋内設置?or屋外設置?」といずれかを選択できるようになっている。「屋内設置」を選択した場合は、その選択情報が演算部7を通して記憶部8に記憶されると同時に、記憶部8に記憶された閾値γを変更する。オペレータが屋内屋外モード入力部16tの入力をしなかった場合は、デフォルトで「屋外設置」とする。
【0046】
例えばオペレータが、
「屋外設置」を選択した時、閾値γはデフォルトのままである。
「屋内設置」を選択した時、閾値γ(=γ×屋内係数)として閾値変更する。屋内係数は1.0未満である。
【0047】
これは屋内環境化において、放送局スタジオ内の照明光を撮影した時には撮像素子11の劣化には至らないためである。照明光が撮像素子11の劣化に至らないのは以下の理由がある。図8に示すように太陽光の光強度は、短波長側の紫外域から長波長側に向かうに従い急速に増加して、ほぼ380nm〜660nmに光強度のピークを有しており光量は高エネルギーに分布している。そして撮像素子11の感度分布はピークを約660nmに持っている。太陽光の光量分布と撮像素子11の感度分布を比較すると、撮像素子11は0〜500nmの高エネルギーで光強度が高い波長を感知できない。(図8の破線A部)一方、屋内照明光の光量分布は、撮像素子11の感度分布と重なっている。
【0048】
これより図9(a)と図9(b)とに示すよう、太陽光を撮影した時の積分値βmと屋内照明光を撮影した時の積分値βnとはほぼ同等であるが、撮像素子11の感度範囲による影響で、
「太陽光の撮影時のエネルギー量>屋内照明光の撮影時のエネルギー量」となる。
【0049】
よって屋内照明光を撮影しても撮像素子11の劣化は小さいことより、オペレータが「屋内設置」を選択した時には、屋内係数を1未満にしてデジタルズーム制御の頻度を低くする。
【0050】
実施例2の動作の流れを図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0051】
まずヘッド筐体3内部に設けられた電源スイッチ部31aの電源がONであった時に制御(S101)を開始する。温度検出手段21の値を読出しする(S102)。閾値γと温度検出手段21の値TCと温度係数とを乗算する(S103)。閾値γを記憶部8に記憶する(S104)。記憶部8に記憶された屋内屋外モード入力部16tの設定値を読み出す(S105)。演算部7にて「屋内設置」であるか「屋外設置」であるかを判断する(S106)。閾値γを記憶部から読出しする(S107)。屋内設定であった場合は閾値γに屋内係数を乗算し(S108)、その値を記憶部8に記憶する(S109)。閾値γを読出しする(S110)。
【0052】
演算部7にて輝度のヒストグラムを作成し、輝度積分値βを算出する(S111)。閾値γと積分値βの値の大きさを比較(S112)し、積分値βの方が大きい場合は、光学ズーム部10とデジタルズーム部13の倍率値を読出し(S113)てから、光学ズーム部10とデジタルズーム部13との倍率変化の目標値を算出する(S114)。
【0053】
次に「光学ズーム部10の光学ズーム倍率を低下させると共にデジタルズーム部1313のデジタルズーム倍率を増す制御手段を実行(S115)する。図6に示すよう、光学ズーム倍率とデジタルズーム倍率を掛け合わせた絶対倍率が変動しないようにする。この時、閾値γと積分値βとの差分により、光学ズーム倍率とデジタルズーム倍率とを決定する。(S116)
【実施例3】
【0054】
図2と図7と図11とを参照して本発明の第3の実施例について説明する。実施例3の概要は、デジタルズーム制御を実行した時の作動情報を表示部17aに表示することである。
【0055】
図11は本発明の実施例3における作動情報と映像との合成映像イメージ図。
【0056】
実施例3における構成は、録画装置40を備える。
【0057】
表示部17aは画像処理部12からの映像信号を表示し、オペレータが雲台装置からの映像を見ることができ録画装置40と接続されている。録画装置40は表示部17aに映し出された映像を録画する。図2に示すよう録画装置40は設定部16の録画装置設定16sより操作可能である。また表示部17bに稼動状態と録画容量と設定情報とを出力することができる。
【0058】
演算部7でデジタルズーム制御を実行されたと同時に、演算部7より画像処理部12にデジタルズーム制御の作動情報と映像情報とを合成して映像信号を出力(図11)するように指令を与える。
【実施例4】
【0059】
図7を参照して本発明の第4の実施例について説明する。実施例4の概要は、閾値γが目標値以下になった時にデジタルズーム制御を解除する方法を記載。
【0060】
デジタルズーム制御を実行した時に、実行する直前の光学ズームの倍率値とデジタルズームの倍率値とを記憶部8に記憶する。次にデジタルズーム制御を実行中において、輝度値演算手段7aが「閾値γ>輝度値の積分値β」と判断した時は、記憶部8に入力された値に戻すための以下の処理をおこなう。
【0061】
具体的には、
演算部7より光学ズーム部10のズーム倍率を増すと共にデジタルズーム部13のズーム倍率を低下する制御手段を実行する。
閾値γをデフォルト値にリセットする。
表示部17aに合成された作動情報を消去する。
【実施例5】
【0062】
図7を参照して本発明の第5の実施例について説明する。実施例5の概要は、雲台装置の電源OFF時でもデジタルズーム制御と同等の効果を狙うことを記載。
【0063】
実施例5における構成は、端末機15に設けられた電源スイッチ部31bと備える。
【0064】
オペレータが電源スイッチ部31a又は電源スイッチ部31bをONからOFFに切替えた直後は、まだ電源供給をし続けて光学ズームの倍率値とデジタルズームの倍率値とを記憶部8に記憶する。次に光学ズーム部10をワイド端に駆動させてから電源をOFFにする。
【0065】
反対にオペレータが電源スイッチ部31a又は電源スイッチ部31bをOFFからONに切替えた直後は、まず光学ズームの倍率値とデジタルズームの倍率値とを記憶部8より読出して、その読出しした値と現在値に差分がある場合は、読出しした値を優先して光学ズーム部10とデジタルズームを駆動する。
【0066】
これによってオペレータが電源をOFFにして雲台装置を停止状態にしても高強度の光による撮像素子11の劣化を軽減することができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 カメラレンズ装置
7 演算部
15 端末機
10 光学ズーム部
13 デジタルズーム部
14 光量検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラレンズ装置を搭載し端末機で遠隔操作する雲台装置において、光学的に画像の画角を変化させる光学ズーム部と、電子的に画像の画角を変化させるデジタルズーム部と、光量を検出する光量検出手段と、雲台装置を制御する演算部と、前記光量検出手段の検出値が閾値以上であった場合に前記光学ズーム部のズーム倍率を低下させると共に前記デジタルズーム部のズーム倍率を増す制御手段とを有したことを特徴とする雲台装置。
【請求項2】
前記光量検出手段は、撮像素子の各画素の輝度値を読み込んで積分することを特徴とする請求項1に記載の雲台装置。
【請求項3】
前記雲台装置の近傍又は内部に少なくとも1つの温度検出部を設け、前記温度検出部の検出値によって前記光量検出手段の検出値の閾値を変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の雲台装置。
【請求項4】
前記光量検出手段の検出値の閾値を変更する閾値変更手段を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の雲台装置。
【請求項5】
前記光量検出値が閾値以上になった場合、表示装置に前記光学ズーム部のズーム倍率を低下させると共に前記デジタルズーム部のズーム倍率を増す制御手段の作動情報を表示する表示手段を有したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の雲台装置。
【請求項6】
前記光量検出手段の検出値が閾値未満に変化した時、前記光学ズーム部のズーム倍率を増すと共に前記デジタルズーム部のズーム倍率を低下させることを特徴とした請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の雲台装置。
【請求項7】
前記雲台装置の電源部をOFFにした時、記憶部に前記光学ズーム部と前記デジタルズーム部の倍率値を記憶した後に、前記光学ズーム部をワイド端にシフトすることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の雲台装置。
【請求項8】
前記雲台装置の電源部をONにした直後に、電源OFF時に記憶された前記光学ズーム部と前記デジタルズーム部の状態を前記記憶部より読み込み、前の設定値に戻すことを特徴とする請求項7に記載の雲台装置。
【請求項1】
カメラレンズ装置を搭載し端末機で遠隔操作する雲台装置において、光学的に画像の画角を変化させる光学ズーム部と、電子的に画像の画角を変化させるデジタルズーム部と、光量を検出する光量検出手段と、雲台装置を制御する演算部と、前記光量検出手段の検出値が閾値以上であった場合に前記光学ズーム部のズーム倍率を低下させると共に前記デジタルズーム部のズーム倍率を増す制御手段とを有したことを特徴とする雲台装置。
【請求項2】
前記光量検出手段は、撮像素子の各画素の輝度値を読み込んで積分することを特徴とする請求項1に記載の雲台装置。
【請求項3】
前記雲台装置の近傍又は内部に少なくとも1つの温度検出部を設け、前記温度検出部の検出値によって前記光量検出手段の検出値の閾値を変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の雲台装置。
【請求項4】
前記光量検出手段の検出値の閾値を変更する閾値変更手段を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の雲台装置。
【請求項5】
前記光量検出値が閾値以上になった場合、表示装置に前記光学ズーム部のズーム倍率を低下させると共に前記デジタルズーム部のズーム倍率を増す制御手段の作動情報を表示する表示手段を有したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の雲台装置。
【請求項6】
前記光量検出手段の検出値が閾値未満に変化した時、前記光学ズーム部のズーム倍率を増すと共に前記デジタルズーム部のズーム倍率を低下させることを特徴とした請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の雲台装置。
【請求項7】
前記雲台装置の電源部をOFFにした時、記憶部に前記光学ズーム部と前記デジタルズーム部の倍率値を記憶した後に、前記光学ズーム部をワイド端にシフトすることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の雲台装置。
【請求項8】
前記雲台装置の電源部をONにした直後に、電源OFF時に記憶された前記光学ズーム部と前記デジタルズーム部の状態を前記記憶部より読み込み、前の設定値に戻すことを特徴とする請求項7に記載の雲台装置。
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図6】
【図8】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【公開番号】特開2012−95082(P2012−95082A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240499(P2010−240499)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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