説明

電力ケーブル接続部

【課題】 電力ケーブルを被覆するスペーサの外周面から立ち上がる外部半導電層の立ち上がり部分に電気的ストレスが係ることなく電力ケーブルを安定して機器に接続すること。
【解決手段】コネクタ本体140は、ケーブル絶縁体24の外周をスペーサ160で被覆した電力ケーブル20の端部をケーブル挿入口130から挿入してケーブル導体22を電気機器に電気的に接続する。スペーサ160は、ベルマウス状の先端161aを有する半導電ゴム部161と絶縁ゴム部162とを有する。コネクタ本体140は、内部半導電部142と、絶縁部144と、絶縁部144の外周面を被覆する外部半導電部146とを有する。外部半導電部146がスペーサ160の半導電ゴム部161の外周面から立ち上がる立ち上がり部146aは、半導電ゴム部161の先端161aより後端側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器や開閉器等の電気機器に電力ケーブルを直接接続するための電力ケーブル接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス絶縁開閉装置(GIS)等のような開閉機器と電力ケーブルとの接続には、機器に直接取り付けられる機器直結型のケーブル接続部が使用されている(例えば、特許文献1の図4参照)。
【0003】
この特許文献1に示す従来の電力ケーブル接続部は、下端の開口部から電力ケーブルの端部が挿入される本体筒部と、この本体筒部の上部で水平に二つに分岐して先端部で開口する絶縁性を有する分岐筒部とでT型に形成されたコネクタ本体を有する。
【0004】
このコネクタ本体における一方の分岐筒部には、機器側のブッシングが内嵌されている。他方の分岐筒部には、絶縁栓が取り付けられている。
【0005】
コネクタ本体内では、一方の分岐筒部内に配設されたブッシングから突出する内部導体が、本体筒部の下端側から挿入された電力ケーブルにおけるケーブル導体に接続された圧縮端子に固定されている。
【0006】
図1は、上述した従来の電力ケーブル接続部の下端部近傍を示す図である。なお、図1に示すaは電力ケーブルへの課電時における等電位線を示す。この等電位線aは、上端、下端とも一定の範囲のみの表示としている。
【0007】
電力ケーブル接続部1において、コネクタ本体の本体筒部3は、ケーブル導体と圧縮端子との接続部分を覆う内部半導電層3aと、内部半導電層3aを覆う絶縁層3bと、絶縁層3bを覆う外部半導電層3cとを有する。これらは、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)やシリコーンゴム等のゴム材料によって形成され、金型成形により一体的に形成されている。
【0008】
本体筒部3の下端部3dには開口部1aが形成されている。この開口部1aを介して本体筒部3内には、電力ケーブル20が、ケーブル絶縁体24の外周面をアダプター(スペーサ)で被覆した状態で挿入されている。
【0009】
なお、下端部3dは、筒状の外部半導電層3cによって形成されている。この下端部3dの外径は、本体筒部3の上部の外径よりも小さくなっている。言い換えれば、外部半導電層3cは、アダプター5の外周面に外嵌する下端部3dから内部半導電層3aの下端近傍に対応する外周まで上端に向かって外径が大きくなるように傾斜する形状、すなわち、下端部3dから立ち上がる形状を有している。
【0010】
アダプター5により被覆された電力ケーブル20の端部は、電力ケーブルの先端側からケーブル導体(図示省略)、ケーブル絶縁体24、ケーブル外部半導電層が露出するように段剥ぎされている。
【0011】
アダプター5は、電力ケーブル20をコネクタ本体の本体筒部3に挿入した状態において、ケーブル絶縁体24の外周に、ケーブル外部半導電層の外周に跨って配設されている。アダプター5は、外部半導電層3cからなる下端部3d内側に配置され、上端側をベルマウス状に形成してなる半導電層5aと、この半導電層5aに連設して半導電層5aの上端側に形成される絶縁層5bとから構成されている。この半導電層5aはケーブル外部半導電層に接触するように、ケーブル外部半導電層の外周およびケーブル絶縁体24の外周に跨って配設され、ケーブル絶縁体24の外周面から立ち上がり、半導電層5aの内径が先端側に向かって拡径するように形成されている。この構成によって、電力ケーブル接続部1では、ケーブル外部半導電層の先端における電界の集中を緩和して、電力ケーブル接続部1における絶縁耐力が維持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実開平2−49320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、図1に示すように従来の電力ケーブル接続部1では、ケーブル絶縁体24の外周面から立ち上がるアダプター(スペーサ)5の半導電層5aの先端部5cは、アダプター5の外周面から立ち上がる電力ケーブル接続部1の外部半導電層3cの立ち上がり基端部(立ち上がり部)4よりも下方に位置している。また、立ち上がり基端部4はコネクタ本体の本体筒部の内周面に位置する。
【0014】
このため、電力ケーブル接続部1におけるコネクタ本体の外部半導電層3cは、アダプター5において半導電層5aの上方に位置する絶縁層5bの外面から立ち上がる構成となる。電力ケーブル接続部1を組み立てる際、電力ケーブル20に被覆したアダプター(スペーサ)5をコネクタ本体の本体筒部3内に挿入する作業が必要となる。アダプター(スペーサ)5、コネクタ本体いずれもゴム製のため、この作業は、ゴム同士を嵌合する作業、すなわち柔らかいもの同士を嵌合する作業となる。このため、硬いものと柔らかいものとの嵌合(例えば、ケーブル絶縁体24とアダプター(スペーサ)5との嵌合)に比べ、組み立て後にアダプター5とコネクタ本体との界面、すなわち、アダプター5の外周とコネクタ本体の本体筒部3の内周との界面に微小な空気層が残るおそれがある。この空気層が立ち上がり基端部4の位置に残った場合、コネクタ本体の本体筒部3の外部半導電層3c(ここでは半導電ゴム)、絶縁層3b(ここでは絶縁ゴム)、及び空気層が接するトリプルジャンクション(三重接合点)Tが形成される。
【0015】
このようなトリプルジャンクションTが形成された状態で、電力ケーブル接続部1の課電を行うと、当該トリプルジャンクションTに電界が集中し、部分放電が発生するおそれがある。また、作業者のスキル等、組み立て作業のばらつきに起因して、当該空気層が残り、部分放電が発生するおそれがある。
【0016】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、電力ケーブルを被覆するスペーサの外周面から立ち上がるコネクタ本体の外部半導電層の立ち上がり部分に電気的ストレスが集中することなく電力ケーブルを安定して機器に接続できる電力ケーブル接続部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の電力ケーブル接続部の一つの態様は、段剥ぎされて先端側からケーブル導体とケーブル絶縁体とケーブル外部半導電層とを露出させた電力ケーブルの端部と、前記ケーブル絶縁体の外周に前記ケーブル外部半導電層に跨って配設される筒状のスペーサと、前記スペーサとともに前記電力ケーブルの端部を挿入するためのケーブル挿入口を有するゴム製のコネクタ本体とを備える電力ケーブル接続部であって、前記スペーサは、前記ケーブル外部半導電層に接触するように前記ケーブル外部半導電層の外周面及び前記ケーブル絶縁体の外周面に跨って配設され、且つ、ベルマウス状の先端部を有する半導電ゴム部と、前記半導電ゴム部の先端側に連設される絶縁ゴム部とを有し、前記コネクタ本体は、内部半導電部と、前記内部半導電部を被覆する絶縁部と、前記絶縁部の外周面を被覆する外部半導電部とを有し、前記外部半導電部は、前記電力ケーブルの先端側に向かって内径が拡径するように立ち上がる立ち上がり部を有し、前記立ち上がり部は、前記半導電ゴム部の先端より後端側に位置する構成を採る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電力ケーブルを被覆するスペーサの外周面から立ち上がるコネクタ本体の外部半導電層の立ち上がり部分に電気的ストレスが集中することなく電力ケーブルを安定して機器に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の電力ケーブル接続部の課電時において電力ケーブル接続部における下端部近傍を示す図
【図2】本発明の一実施の形態に係る電力ケーブル接続部の構成を示す断面図
【図3】同電力ケーブル接続部の課電時における下端部近傍の等電位線の分布を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図2に、本発明の一実施の形態に係る電力ケーブル接続部100の要部構成を示す。なお、図2に示す電力ケーブル接続部100は、変圧器や開閉器等の電気機器、ここではIEEE等の規格によって性能、他機器との取り合い形状が規定された電気機器(図示省略)と電力ケーブル20とを接続するT型コネクタの例として説明する。
【0022】
電力ケーブル接続部100は、電力ケーブル20と、開口部110、120とともに電力ケーブル20を挿入するケーブル挿入口130を有するT字状のコネクタ本体140とを備える。
【0023】
電力ケーブル20の端部は、所定の長さに段剥ぎされることよって、電力ケーブル20の先端側からケーブル導体22、ケーブル絶縁体24、ケーブル外部半導電層26、ケーブルシース(図示省略)の順で露出されている。
【0024】
電力ケーブル20の端部において、露出したケーブル導体22の基端部、ケーブル絶縁体24及びケーブル外部半導電層26の先端部の各外周面は、スペーサ160により被覆されている。電力ケーブル20の端部は、スペーサ160とともにコネクタ本体140の後端(図2では下端)で開口するケーブル挿入口130内に挿入されている。
【0025】
また、ケーブル導体22には、銅等の金属を切削加工して形成された導体接続端子150が接続されている。
【0026】
導体接続端子150では、ケーブル導体22が圧縮接続された部位から上方に突出して平坦部151が形成されている。この平坦部151は、コネクタ本体140内において、電力ケーブルの軸方向と直交する方向で開口する開口部110、120との間に、開口部110、120の開口方向と直交して配置される。具体的には、平坦部151は、分岐筒部140b、140b間の内部に配置されている。
【0027】
この平坦部151は、分岐筒部140bの軸方向に貫通する貫通孔(図示省略)を有し、分岐筒部140b、140bの開口部110、120の一方の内部に機器側のブッシング(図示省略)が挿入された際に、ブッシングにおいてブッシングの軸方向に突出する内部導体(図示省略)を平坦部151の貫通孔に通して電力ケーブルが引き抜けないように接合される。これにより、ケーブル導体22は、コネクタ本体140内において電気機器の高圧導体に接続される。
【0028】
なお、図示しないが開口部110、120のうち他方の開口部には、絶縁栓が着脱自在に取り付けられる。
【0029】
スペーサ160は、ゴム製の円筒状体であり、半導電ゴム部161と、この半導電ゴム部161の先端側(「電力ケーブル20の先端側」に相当)に連設して一体に形成された絶縁ゴム部162とからなる。スペーサ160は、ケーブル絶縁体24の外周に、ケーブル外部半導電層26の外周に跨って配設される。半導電ゴム部161は、スペーサ160の基端部側(「電力ケーブル20の後端側」に相当))を構成し、ケーブル外部半導電層26に接触するように、ケーブル外部半導電層26の外周面およびケーブル絶縁体24の外周面に跨って配設される。
【0030】
半導電ゴム部161の先端部は、ベルマウス状に形成され、ケーブル絶縁体24の外周面から立ち上がり、先端側に向かって半導電ゴム部161の内径が拡径するように形成されている。
【0031】
スペーサ160において、絶縁ゴム部162は、電力ケーブル20の外周面において、ケーブル絶縁体24と、ケーブル絶縁体24の先端から露出するケーブル導体22の一部とを覆うように配設される。
【0032】
絶縁ゴム部162は、半導電ゴム部161におけるベルマウス状の先端部161aに連設しており、絶縁ゴム部162の基端面は、半導電ゴム部161の先端側の開口形状に沿った形状である。半導電ゴム部161と絶縁ゴム部162とは、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)やシリコーンゴム等のゴム材料によって形成され、金型成形により一体的に形成されている。
【0033】
コネクタ本体140は、後端に形成されたケーブル挿入口130から電力ケーブル20の端部が挿入される直線筒状の本体筒部140aと、この直線部の上部で水平に二つに分岐して先端部で開口する絶縁性を有する分岐筒部140b、140bとでT型に形成されている。コネクタ本体140は、内部半導電部142と、内部半導電部142を覆う絶縁部144と、絶縁部144を覆う外部半導電部146とを有する。コネクタ本体140はエチレンプロピレンゴム(EPゴム)やシリコーンゴム等のゴム材料によって形成されるゴム製であり、内部半導電部142、絶縁部144、外部半導電部146は金型成形により一体的に形成されている。なお、内部半導電部142および外部半導電部146は、図2では、半導電ゴムで形成されているが、半導電の導電率は、電力ケーブル接続部として所定の機能を備えていれば足り、特に規定するものではない。スペーサ160の半導電ゴム部161についても同様である。
【0034】
このコネクタ本体140は、後端で開口するケーブル挿入口130の奥側部分を画成し、電力ケーブル20と導体接続端子150と接続部分を被覆する筒状の内部半導電部142と、内部半導電部142を被覆する断面T字状であって筒状の絶縁部144と、絶縁部144の外周面を被覆する外部半導電部146とを有する。
【0035】
内部半導電部142は、コネクタ本体140の本体筒部140aにおいて絶縁部144の直線状の絶縁本体部144a内に設けられ、上面から平坦部151を突出させた状態で、導体接続端子150とケーブル導体22との接続部分を被覆している。
【0036】
また、内部半導電部142は、絶縁本体部144aの後端から挿入された電力ケーブル20を覆うスペーサ160における絶縁ゴム部162の先端部分の外周面に密着している。
【0037】
絶縁部144の絶縁本体部144aは、内部半導電部142の外周を覆うとともにスペーサ160において内部半導電部142に挿入された部分以外の絶縁ゴム部162の外周面及び半導電ゴム部161の外周の先端部分を被覆している。なお、この絶縁本体部144aの外周は、外部半導電部146の形状に対応して下方に向かって狭窄した形状をなしている。
【0038】
コネクタ本体140の本体筒部140aにおいて、絶縁部144を被覆する外部半導電部146は、その後端部でコネクタ本体140の後端部140cを構成している。コネクタ140の本体筒部140aの内周面においては、外部半導電部146の後端部の内周面、絶縁本体部144aの後端部の内周面及び内部半導電層の内周面が面一に形成されている。コネクタ本体140の後端部140c、すなわち外部半導電部146の後端部の内周面が、ケーブル挿入口130から本体筒部140a内に挿入されるスペーサ160の半導電ゴム部161の外周面に密着している。
【0039】
図2に示すように、コネクタ本体140の本体筒部140aにおける外部半導電部146は、スペーサ160の半導電ゴム部161の先端(図2では上端)161aより後端側の位置で、接触する半導電ゴム部161の外周面161bに対して外側へ離間する方向に立ち上がるように形成されている。
【0040】
すなわち、コネクタ本体140の外面を構成する外部半導電部146は、コネクタ本体140の後端部140cにおいて、スペーサ160における半導電ゴム部161の外周面161bの立ち上がり部146aから、外部半導電部146の内径が拡径するように、立ち上がり部146aから電力ケーブル20の先端側(図2では上側)に向かって立ち上がっている。
【0041】
これにより、立ち上がり部146aは、半導電ゴム部161の先端161aより後端側(図2では下側)に位置する。
【0042】
また、この立ち上がり部146aは、図2においては、絶縁部144の後端でもあるため、立ち上がり部146aは、コネクタ本体140の絶縁部144の下端と、外部半導電部146との接合点となる。すなわち、外部半導電部146の立ち上がり部146aは、コネクタ本体140の内周面に位置する。よって、ケーブル接続部100において、立ち上がり部146aは、スペーサ160の半導電ゴム部161の外周に位置する。
【0043】
電力ケーブル接続部100を組み立てる際、電力ケーブル20に被覆したスペーサ160をコネクタ本体140の本体筒部140a内に挿入する作業が必要となる。スペーサ160、コネクタ本体160いずれもゴム製のため、柔らかいもの同士を嵌合する作業となる。組み立て後にスペーサ160とコネクタ本体160の界面に微小な空気層が残るおそれがある。この空気層が、立ち上がり部146aに残った場合、コネクタ本体140の本体筒部140aの外部半導電部146(ここでは半導電ゴム)、絶縁部144(ここでは絶縁ゴム)、及び空気層が接するトリプルジャンクションが形成される。
【0044】
このようにトリプルジャンクションとなるおそれがある立ち上がり部146aが、半導電ゴム部161の先端161aよりも後端側(図3では下側)に位置しているため、図3に示すように、電力ケーブル接続部100の課電時において電界集中を防ぐことができる。
【0045】
図3は、本発明の一実施の形態に係る電力ケーブル接続部の課電時における下端部近傍の等電位線の分布を示す図である。図3におけるaは、電力ケーブル接続部100を課電したときの等電位線を示す。
【0046】
図3に示すように、立ち上がり部146aが、半導電ゴム部161の先端161aよりも後端側(図3では下側)に位置しているため、立ち上がり部146aに等電位線が回り込むことがなく、立ち上がり部146aにおける電界の集中を防止し、部分放電の発生を防止することができる。
【0047】
また、図2、図3の実施例では、コネクタ本体140の外部半導電部146は、スペーサ160の半導電ゴム部161の外周面に当接している。これにより、電力ケーブル接続部100の遮蔽層としての外部半導電部146と、スペーサ160の半導電ゴム部161と、ケーブル外部半導電層26とが電気的に接触し、接地電位を形成する。
【0048】
また、図2、図3の実施例では、コネクタ本体140の外部半導電部146の立ち上がり部146aは、コネクタ本体140の内周面(図2、図3では本体筒部140aの内周面)に位置する。
【0049】
例えば、スペーサ160の半導電ゴム部161の外周と、コネクタ本体140の外部半導電部146の内周との間に、コネクタ本体140の絶縁部144が配設されて、外部半導電部146が半導電ゴム部161の外周面に当接しない構造の場合、すなわち外部半導電部146と半導電ゴム部161が絶縁されている構造の場合、課電時に等電位線が外部半導電部146と半導電ゴム部161の間に入り込むおそれがある。このため、図2、図3の実施例のように、外部半導電部146は半導電ゴム部161の外周面に当接する構造が望ましい。このような構造の場合、図3に示すように、スペーサ160の半導電ゴム部161と、コネクタ本体140の外部半導電部146によって、完全に遮蔽され、かつ、コネクタ本体140の外部半導電部146の立ち上がり部146aがスペーサ160の半導電ゴム部161の先端161aより後端側に位置するため、立ち上がり部146aに電界が集中することがない。
【0050】
このように本実施の形態によれば、電力ケーブル20を被覆するスペーサ160の外周面から立ち上がるコネクタ本体140の外部半導電部146の立ち上がり部146aに、電気的ストレスをかけることなく電力ケーブル20を安定して電気機器に接続することができる。
【0051】
更に、本実施の形態によれば、電力ケーブル接続部100組み立て時に、スペーサ160とコネクタ本体160との界面で、外部半導電部146の立ち上がり部146aに微小な空気層が残った場合でも、トリプルジャンクション(立ち上がり部146a)に電気的ストレスが集中することがなく、ひいては、組み立て作業のばらつきに起因する部分放電の発生を無くすことができる。よって、電力ケーブルを安定して機器に接続できる。
【0052】
なお、本実施の形態の電力ケーブル接続部100は、T型コネクタとして説明したが、形状はT型に限らず、L型や直型のコネクタであってもよい。すなわちコネクタ本体の形状は限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る電力ケーブル接続部は、電力ケーブルを被覆するスペーサの外周面から立ち上がる外部半導電層の立ち上がり部分に電気的ストレスが集中することなく電力ケーブルを安定して機器に接続できる効果を有し、電気機器と電力ケーブルとの接続に用いられるものとして有用である。
【符号の説明】
【0054】
20 電力ケーブル
22 ケーブル導体
24 ケーブル絶縁体
26 ケーブル外部半導電層
100 電力ケーブル接続部
130 ケーブル挿入口
140 コネクタ本体
140c コネクタ本体の後端部
142 内部半導電部
144 絶縁部
144a 絶縁本体部
146 外部半導電部
146a 立ち上がり部
160 スペーサ
161 半導電ゴム部
161a 半導電ゴム部の先端
162 絶縁ゴム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段剥ぎされて先端側からケーブル導体とケーブル絶縁体とケーブル外部半導電層とを露出させた電力ケーブルの端部と、前記ケーブル絶縁体の外周に前記ケーブル外部半導電層に跨って配設される筒状のスペーサと、前記スペーサとともに前記電力ケーブルの端部を挿入するためのケーブル挿入口を有するゴム製のコネクタ本体とを備える電力ケーブル接続部であって、
前記スペーサは、前記ケーブル外部半導電層に接触するように前記ケーブル外部半導電層の外周面及び前記ケーブル絶縁体の外周面に跨って配設され、且つ、ベルマウス状の先端部を有する半導電ゴム部と、前記半導電ゴム部の先端側に連設される絶縁ゴム部とを有し、
前記コネクタ本体は、内部半導電部と、前記内部半導電部を被覆する絶縁部と、前記絶縁部の外周面を被覆する外部半導電部とを有し、
前記外部半導電部は、前記電力ケーブルの先端側に向かって内径が拡径するように立ち上がる立ち上がり部を有し、
前記立ち上がり部は、前記半導電ゴム部の先端より後端側に位置する、
電力ケーブル接続部。
【請求項2】
前記外部半導電部は前記半導電ゴム部の外周面に当接する請求項1記載の電力ケーブル接続部。
【請求項3】
前記立ち上がり部は、前記コネクタ本体の内周面に位置する請求項2記載の電力ケーブル接続部。
【請求項4】
前記半導電ゴム部の外周面は、前記外部半導電部の内周面と前記絶縁部の内周面に跨って配設される請求項2又は3に記載の電力ケーブル接続部。
【請求項5】
前記コネクタ本体の形状はT型である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電力ケーブル接続部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−50203(P2012−50203A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188526(P2010−188526)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(306013120)昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Fターム(参考)】