説明

電力供給システム、電力供給装置及び電力供給方法

【課題】 車両等の移動装置や設備等の電力装置における属性や状況、及び移動装置の利用者の意向等から生ずる、さまざまな条件に基づき、移動装置の電力を電力装置に供給する。
【解決手段】 本発明は、移動装置100の電力蓄積供給管理装置130は、給電許可判定手段131と、充電場所検出手段133と、充電場所情報140と給電許可条件150とを記憶する記憶手段134と、電力供給制御手段132とを備え、電力装置200と電気的に接続された場合に、給電許可判定手段131は、充電場所検出手段133が取得する、電力装置200を特定するための情報を含む取得情報が、記憶手段134に予め記憶された給電許可条件150を満たした場合に、電力の供給を許可し、移動装置100から電力装置200へ電力を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動装置に蓄積した移動用電力を、その移動装置以外の電力装置に供給する電力供給システム、電力供給装置及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の商用電源からプラグインハイブリッド自動車(PHEV)や電気自動車(EV)の蓄電池に電力を供給する。一方で、非常時などにおいて、逆にPHEVやEVから住宅等の施設側に電力を供給する電力供給システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、複数の電気自動車を駐車する駐車スペースに、公民館等の外部系統設備と接続された電力供給設備を設置する。商用電源からの電力供給が停止すると、車両用蓄電池を放電させて外部系統設備に電力を供給し、車両用蓄電池の残容量が所定の値に達すると車両用蓄電池からの放電を停止する電力供給システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、施設側が最適運用計画を実行し、車両が施設へ入庫する予測入庫時刻での車両側蓄電池の蓄電池残量を導出すると共に、その情報を車両へ送信し、受信した車両の乗員は、車両側から電力を提供しない旨を施設側へ応答すると最適運用計画をやり直す電力需給システムが開示されている。
【0005】
しかし、上記の先行技術における、車両側の蓄電池から施設側への放電を許可又は不許可にする判断の基準は、車両側蓄電池の蓄電残容量のみである。さらに、予め設定した残容量以下となった場合、設備・施設側でさらに電力が必要であっても電力を供給することができない。逆に、予め設定した残容量以上であっても、車両の利用者の都合により、設備・施設側に電力を供給せず、電力を保持しておきたい場合もある。さらに、このような個別的事情や車両の利用者の意向を、施設等の属性により変化させて適用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−252117号公報
【特許文献2】特開2010−88147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、充電場所応じて、移動装置から電力装置に電力を供給することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、移動装置とこの移動装置以外の電力装置を電気的に接続することにより、移動装置と電力装置の間で相互に電力を供給する電力供給システムであって、移動装置は、移動装置が移動するために使用される電力を蓄積する蓄電手段と、移動装置の電力を制御する電力蓄積供給管理装置と、電力装置と電気的に接続する移動装置側電力供給手段と、を備え、電力装置は、移動装置から電力の供給を受ける受電手段と、移動装置に放電を要求する放電要求手段、受電手段の受電を制御する電力需要管理手段と、移動装置と電気的に接続する電力装置側電力供給手段と、を備え、電力蓄積供給管理装置は、蓄電手段から受電手段への電力の供給許可を判定する給電許可判定手段と、電力装置の場所に関する情報を取得する充電場所検出手段と、移動装置の利用者により電力装置の場所に関する情報が設定される充電場所情報設定手段と、充電場所検出手段が取得する又は充電場所情報設定手段により設定される電力装置に関する情報である充電場所情報と、給電許可判定手段が判定に用いる給電許可条件とを記憶する記憶手段と、蓄電手段の充放電を制御する電力供給制御手段と、を備え、移動装置側電力供給手段と電力装置側電力供給手段とを電気的に接続し、移動装置が電力装置から放電の要求を受けた場合に、給電許可判定手段は、充電場所検出手段により取得された、または、充電場所情報設定手段により設定された電力装置の場所に関する情報が、記憶手段に予め記憶された給電許可条件を満たした場合に、電力の供給を許可し、電力供給制御手段は、蓄電手段から受電手段への電力の充放電の開始と終了を、電力需要管理手段と共に制御し、移動装置から電力装置へ電力を供給する電力供給システムが提供される。
これによれば、移動装置やその移動装置以外の電力装置における属性や状況、及び移動装置の利用者の意向等から生ずる、さまざまな条件に基づき、移動装置に蓄積した移動用電力を電力装置に供給する電力供給システムを提供できる。
【0009】
さらに、電力装置は、さらに移動装置との間で通信を行う通信手段を備え、移動装置の充電場所検出手段は、通信手段を介して取得情報を取得し、給電許可判定手段は、通信手段を介して取得した取得情報に基づき判定することを特徴としてもよい。
これによれば、電力の提供相手となる電力装置に関するより詳細な情報を取得することにより、よりきめの細かい条件で、移動装置に蓄積した移動用電力を電力装置に供給する電力供給システムを提供できる。
【0010】
別の観点によれば、上記課題を解決するために、蓄電手段を備える移動装置と、この移動装置以外の装置であって受電手段を備える電力装置とを電気的に接続した場合に、移動装置に積載され、移動装置の蓄電手段から電力装置の受電手段への電力の供給を制御する電力供給装置であって、電力供給装置は、蓄電手段から受電手段への電力の供給許可を判定する給電許可判定手段と、電力装置に関する情報を取得する充電場所検出手段と、充電場所検出手段が取得する又は移動装置の利用者により設定される電力装置に関する情報である充電場所情報と、移動装置の利用者により設定される給電許可判定手段が判定に用いる給電許可条件とを記憶する記憶手段と、蓄電手段の充放電を制御する電力供給制御手段と、を備え、移動装置と電力装置とを電気的に接続し、移動装置が電力装置から電力供給の要求を受けた場合に、給電許可判定手段は、充電場所検出手段が取得する、電力装置を特定するための情報を含む取得情報が、記憶手段に予め記憶された給電許可条件を満たした場合に、電力の供給を許可し、電力供給制御手段は、蓄電手段から受電手段への電力の放電を開始し、移動装置から電力装置への電力の供給を制御する電力供給装置が提供される。
移動装置やその移動装置以外の電力装置における属性や状況、及び移動装置の利用者の意向等から生ずる、さまざまな条件に基づき、移動装置に蓄積した移動用電力を電力装置に供給する電力供給装置を提供できる。
【0011】
別の観点によれば、上記課題を解決するために、蓄電手段と、電力蓄積供給管理装置と、電力供給手段とを備え、外部電力装置と電気的に接続した場合に、蓄電手段から外部電力装置へ電力の供給を行う移動装置であって、電力蓄積供給管理装置は、蓄電手段から外部電力装置への電力の供給許可を判定する給電許可判定手段と、外部電力装置に関する情報を取得する充電場所検出手段と、充電場所検出手段が取得する又は移動装置の利用者により設定される外部電力装置に関する情報である充電場所情報と、移動装置の利用者により設定される給電許可判定手段が判定に用いる給電許可条件とを記憶する記憶手段と、蓄電手段の充放電を制御する電力供給制御手段と、を備え、電力供給手段により外部電力装置と電気的に接続し、外部電力装置から電力供給の要求を受けた場合に、給電許可判定手段は、充電場所検出手段が取得する、外部電力装置を特定するための情報を含む取得情報が、記憶手段に予め記憶された給電許可条件を満たした場合に、電力の供給を許可し、電力供給制御手段は、蓄電手段から受電手段への電力の放電を開始し、外部電力装置への電力の供給を行う移動装置が提供される。
外部の電力装置における属性や状況、及び移動装置の利用者の意向等から生ずる、さまざまな条件に基づき、蓄積した移動用電力を電力装置に供給する移動装置を提供できる。
【0012】
別の観点によれば、上記課題を解決するために、蓄電手段を備える移動装置と、受電手段を備える移動装置以外の電力装置とを電気的に接続した場合に、移動装置の蓄電手段から電力装置の受電手段への電力の供給を制御する電力供給方法であって、電力供給方法は、移動装置と電力装置とを電気的に接続し、移動装置が電力装置から電力供給の要求を受けた場合に、電力装置を特定するための情報を含む電力装置に関する情報を取得する充電場所検出ステップと、移動装置内に予め記憶された給電許可条件と電力装置に関する情報である充電場所情報とを取得する情報取得ステップと、充電場所検出ステップが取得した取得情報が、給電許可条件を満たした場合に、蓄電手段から受電手段への電力の供給を許可する給電許可判定ステップと、蓄電手段から受電手段への電力の放電を開始すると共に制御する電力供給制御ステップと、を含む電力供給方法が提供される。
移動装置やその移動装置以外の電力装置における属性や状況、及び移動装置の利用者の意向等から生ずる、さまざまな条件に基づき、移動装置に蓄積した移動用電力を電力装置に供給する電力供給方法を提供できる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、車両等の移動装置や設備等のその移動装置以外の電力装置における属性や状況、及び移動装置の利用者の意向等から生ずる、さまざまな条件に基づき、移動装置に蓄積した移動用電力を、その移動装置以外の電力装置に供給する電力供給システム、電力供給装置及び電力供給方法、並びに、かかる電力供給装置を備えた移動装置、かかる移動装置に備えられた情報入出力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第一実施例のブロック図。
【図2】本発明に係る第一実施例における変形例のブロック図。
【図3】本発明に係る第二実施例のブロック図。
【図4】本発明に係る第二実施例の詳細説明図(電気自動車(EV)の場合)。
【図5】本発明に係る第二実施例の詳細説明図(プラグインハイブリッド車(PHEV)の場合)。
【図6】本発明に係る第二実施例における電力蓄積供給管理装置のハードウェア構成図。
【図7】本発明に係る第二実施例における電力蓄積供給管理装置のソフトウェア構成図。
【図8】本発明に係る第二実施例における記憶手段の構成図。
【図9】本発明に係る第二実施例における充電場所条件の例を示す図。
【図10】本発明に係る第二実施例における状態情報の例を示す図。
【図11】本発明に係る第二実施例における状態情報条件の例を示す図。
【図12】本発明に係る第二実施例における充電付帯条件の例を示す図。
【図13】本発明に係る第二実施例における利用者条件の例を示す図。
【図14】本発明に係る第二実施例における放電許可条件の例を示す図。
【図15】本発明に係る第二実施例における給電許可判定手段を示す図。
【図16】本発明に係る第二実施例における条件設定画面の例を示す図(その1)。
【図17】本発明に係る第二実施例における条件設定画面の例を示す図(その2)。
【図18】本発明に係る第二実施例における条件設定画面の例を示す図(その3)。
【図19】本発明に係る第二実施例における全体の動作を示すフローチャート。
【図20】本発明に係る第二実施例における情報入力手段の条件設定処理を示すフローチャート。
【図21】本発明に係る第二実施例における充放電処理を示すフローチャート。
【図22】本発明に係る第二実施例における充電場所の検出処理を示すフローチャート。
【図23】本発明に係る第二実施例における放電許可判定処理を示すフローチャート。
【図24】本発明に係る第二実施例における電力供給制御手段の処理を示すフローチャート。
【図25】本発明に係る第二実施例における電力需要管理手段の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、移動装置の電力蓄積供給管理装置は、給電許可判定手段と、充電場所検出手段と、充電場所情報と給電許可条件とを記憶する記憶手段と、電力供給制御手段とを備え、電力装置と電気的に接続された場合に、給電許可判定手段は、充電場所検出手段が取得する、電力装置を特定するための情報を含む取得情報が、記憶手段に予め記憶された給電許可条件を満たした場合に、電力の供給を許可し、移動装置から電力装置へ電力を供給する電力供給システム、電力供給装置及び電力供給方法、並びに、かかる電力供給装置を備えた移動装置、かかる移動装置に備えられた情報入出力装置に係る。
【0016】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
(第一実施例)
図1は、本発明に係る第一実施例における電力供給システム1のブロック図を示す。電力供給システム1は、動力源を備え自ら移動する移動装置100と、その移動装置100以外の装置であって、電力を給電、受電、蓄電、送電、配電等を行う電力装置200を備える。例えば、移動装置100は、モータや内燃機関及びバッテリ等を有する車両、船舶、航空機である。また、電力装置200は、例えば、電力系統へ接続された又は接続されていない、受電装置、充電装置、配送電装置等を有する装置である。典型的には施設や設備に備えられるが、上記移動装置100以外の移動装置であってもよい。
【0017】
なお、図1は、電力供給システム1には、一つの移動装置100と一つの電力装置200を備えることを示すが、これに限定されず、複数の移動装置、複数の電力装置を備えてもよい。また、図1は、一の移動装置100が、一の電力装置200に対応しているように示しているが、これに限定されず、一の移動装置100が一つ以上の電力装置に対応し、逆に、一の電力装置200が一つ以上の移動装置100に対応してもよい。
【0018】
電力供給システム1は、移動装置100と電力装置200とを、電気的に接続することにより、移動装置100と電力装置200の間で相互に電力を供給するシステムである。ここで、電気的に接続するとは、典型的には金属が互いに接することにより通電することを言うが、これに限定されず、電力が伝送される状態であれば非接触であってもよい。
【0019】
移動装置100は、移動装置100が移動するために使用される電力を蓄積する蓄電手段110と、電力装置200と電気的に接続する移動装置側電力供給手段120と、移動装置100の電力を制御する電力蓄積供給管理装置130とを備える。その他、移動装置の種類や属性に応じて、適宜、装置や機器を備える。例えば、車両の場合、モータ、車輪、ハンドルなどをさらに備え、船舶の場合、スクリューや舵などを備え、航空機の場合、プロペラや操縦桿などを備える。
【0020】
蓄電手段110は、自身が移動するために動力源を動作させるために使用される電力を蓄積する手段であり、典型的には、移動用モータを回転させる蓄電池であるが、これに限定されず、例えば、移動用ではないが移動を補助するために使用される機器に電力を供給するための蓄電池であってもよい。また、移動装置100が内燃機関を備える場合は自身が発電することが可能なので、蓄電手段110は、発電機能を有していてもよく、言いかえれば、蓄発電手段であってもよい。
【0021】
移動装置側電力供給手段120は、移動装置100を電力装置200と電気的に接続するための手段であり、典型的には充放電ケーブルやソケットであるが、これに限定されない。電力蓄積供給管理装置130は、移動装置100の電力を制御する装置であり、詳細は後述する。
【0022】
電力装置200は、移動装置100から電力の供給を受ける受電手段210と、移動装置100と電気的に接続する電力装置側電力供給手段220と、受電手段210の受電を制御する電力需要管理手段230と、移動装置100に放電を要求する放電要求手段250を備える。
【0023】
受電手段210は、移動装置100から電力の供給を受ける手段であり、電力装置200の属性に応じて、適宜、蓄電装置、インバータ、送電装置などを含む手段である。電力装置側電力供給手段220は、電力装置200を移動装置100と電気的に接続するための手段であり、典型的には充放電ケーブルやプラグであるが、移動装置側電力供給手段と同様これに限定されない。電力需要管理手段230は、移動装置100と電気的に接続された場合に、移動装置100の電力蓄積供給管理装置130と協働し、受電手段210の充放電を制御する手段である。
【0024】
電力供給システム1は、移動装置100の移動装置側電力供給手段120と電力装置200の電力装置側電力供給手段220が電気的に接続された場合、移動装置100は電力蓄積供給管理装置130の制御管理の下、電力装置200は電力需要管理手段230の制御管理の下、電力蓄積供給管理装置130と電力需要管理手段230とが協働することにより、蓄電手段110から受電手段210への電力の充放電の開始と終了を制御する。なお、放電要求手段250は、移動装置側電力供給手段120と電力装置側電力供給手段220が電気的に接続された場合、電力装置側電力供給手段220と移動装置側電力供給手段120を介して、移動装置100(具体的には、放電要求受信手段)に放電の要求を行う。
【0025】
電力蓄積供給管理装置130を説明する。電力蓄積供給管理装置130は、蓄電手段110から受電手段210への電力の供給許可又は不許可を判定する給電許可判定手段131と、電力装置200に関する情報を取得する充電場所検出手段133と、電力装置200に関する情報の充電場所情報140と給電許可判定手段131が判定に用いる給電許可条件150とを記憶する記憶手段134と、蓄電手段110の充放電を制御する電力供給制御手段132とを備える。充電場所情報140は、充電場所検出手段133により取得され、又は、移動装置100の利用者により設定される。給電許可条件150は、移動装置100の利用者により設定される。
【0026】
充電場所検出手段133は、具体的には、無線LAN、WAN、携帯電話等の外部通信手段、CAN(Controller Area Network)通信手段、GPS受信手段、タグ読取手段、近距離通信手段等であって、電力装置200の充電場所情報140を始めとして、電力装置200に関する情報を取得するための手段である。充電場所検出手段133は、上記具体的手段を二つ以上備えていてもよく、例えば、GPS受信手段により電力装置200の位置情報のみ取得し、その後、外部通信手段によりより詳細な情報を取得してもよい。
【0027】
充電場所情報140は、上述のように充電場所検出手段133が取得し、記憶手段134に記憶されてもよいし、移動装置100の利用者により予め設定し、記憶されてもよい。充電場所情報140は、より具体的には、充電場所の呼び名、充電場所の住所、充電場所ID等である。
【0028】
記憶手段134は、充電場所情報140と共に、移動装置100の利用者により設定される給電許可条件150を記憶する。記憶手段134は、より具体的には、不揮発性メモリ、ハードディスク等のデータを記憶、格納することができる手段である。
【0029】
給電許可条件150は、給電許可判定手段131が判定に用いる、電力装置の属性に関する条件、付帯する条件、移動装置100の状態についての条件などを有する。電力装置の属性とは、充電場所の情報を含み、急速充電か普通充電かを示す充電種別や、放電の依頼元、緊急度などをいう。付帯する条件とは、給電を判定するに当たり、移動装置100の利用者の意向等の条件、給電の時間の条件、通知の条件などをいう。移動装置100の状態とは、蓄電手段110の残量や移動装置100の地理的位置等をいう。
【0030】
給電許可判定手段131は、充電場所検出手段133が取得した充電場所情報140と、給電許可条件150とを基に、移動装置100の蓄電手段110から電力装置200の受電手段210への電力の供給許可を判定する手段である。即ち、給電許可判定手段131は、移動装置側電力供給手段120と電力装置側電力供給手段220とを電気的に接続し、移動装置100が電力装置200から電力供給の要求を受けた場合であって、取得した電力装置200を特定するための情報を含む情報が、記憶手段134に予め記憶された給電許可条件150を満たした場合に、電力の供給を許可する。逆に、取得した電力装置200を特定するための情報が、予め記憶された給電許可条件150を満たさない場合は、電力の供給を許可しない。
【0031】
なお、上記では、給電許可判定手段131は、移動装置側電力供給手段120と電力装置側電力供給手段220とを電気的に接続し、移動装置100が電力装置200から電力供給の要求を受けた場合に許可の判定を行うが、これに限定されず、移動装置側電力供給手段120と電力装置側電力供給手段220とを電気的に接続した時に、移動装置100がまず電力装置200へ電力供給を行うことを提示し、その後電力装置200から電力供給の返答を受けた場合に許可又は不許可の判定を行ってもよい。
【0032】
電力供給制御手段132は、移動装置100に備えられた蓄電手段に電力装置200から供給される電力を蓄積する場合に、蓄電手段110と移動装置側電力供給手段120を電気的に接続する。電力供給制御手段132は、給電許可判定手段131が電力の供給を許可した場合に、蓄電手段110と移動装置側電力供給手段120を電気的に接続し、電力供給を開始する。また、電力供給制御手段132は、電力装置から電力の供給を受けて移動装置100に備えられた蓄電手段に電力を蓄積していないときに、給電許可判定手段131が電力の供給を許可しない場合には、両者を電気的に接続しない。このようにして、電力供給制御手段132は、蓄電手段110から電力装置200への充放電を制御する。
【0033】
上述した構成により、移動装置100やその移動装置以外の電力装置200における属性や状況、及び移動装置の利用者の意向等から生ずる、さまざまな条件に基づき、移動装置100の移動用電力を電力装置200に供給する電力供給システムを提供できる。
【0034】
(第一実施例の変形例)
図2は、本発明に係る第一実施例の変形例における電力供給システム1のブロック図を示す。図1と重複する説明は省略し、異なる点のみを説明する。
【0035】
本変形例においては、電力装置200は、さらに、移動装置100との間で通信を行う通信手段240を備える。移動装置100の充電場所検出手段133は、通信手段240を介して電力装置200から情報を取得し、給電許可判定手段131は、その取得した情報に基づき判定してもよい。充電場所検出手段133が電力装置200に関するより詳細な情報を取得することができるため、給電許可判定手段131は、その詳細な情報を基に判定することができる。これにより、よりきめの細かい条件で、移動装置100から電力装置200に電力の供給を判定する電力供給システムを提供できる。通信手段240は、具体的には、無線LAN、WAN、タグ(RFID)、近接通信手段等であって、電力装置200の充電場所情報140を始めとして、電力装置200に関する情報等を送信する。また、移動装置100からの情報を取得してもよい。
【0036】
また、給電許可条件150は、充電場所検出手段133が取得した情報内の電力装置200を特定するための情報が、記憶手段134に予め記憶された充電場所情報140と適合する場合に満たされるという充電場所条件151を含んでもよい。これにより、充電場所の条件を利用して、電力の供給許可又は不許可を判定することができる。移動装置100との間で通信を行う通信手段240を備える電力装置200である場合は、給電許可判定手段131は、電力装置200から取得したより詳細な充電場所情報140と充電場所条件151に基づき、判定することができる。
【0037】
また、移動装置100は、さらに、移動装置100から電力装置200への電力供給を要求するために、電力装置200が移動装置100の利用者に提示する提示情報を取得する提示情報取得手段136を備える。
また、給電許可条件150は、さらに、充電付帯条件153を含む。充電付帯条件153は、提示情報に関する条件である提示条件、供給を許可する又は許可しない時間を示す時間条件、その利用者の都合を示す利用者条件、その利用者に対して通知できない場合は許可しないことを示す通知条件、のいずれかを含んでいてもよい。また、充電付帯条件153は、これら提示条件、時間条件、利用者条件、通知条件の組み合わせを含んでいてもよい。これにより、充電場所条件151に加え、充電付帯条件153をも含めて電力の供給許可を判定することができる。なお、提示条件は、提示情報取得手段136が取得し、時間条件は、移動装置100の利用者により設定され、利用者条件は、移動装置100の利用者により設定され、通知条件は、移動装置100の利用者により設定される。
【0038】
また、充電付帯条件153は、充電付帯条件153として設定されたすべての条件が満たされる場合に満たされ、給電許可条件150は、充電場所条件151と充電付帯条件153とが満たされた場合に満たされることを特徴としてもよい。即ち、給電許可条件150は、充電場所の条件に加え、提示条件、時間条件、利用者条件、通知条件のすべてが許可する条件を満たした場合にのみ、給電を許可することが可能となる。但し、これに限定されず、例えば、給電許可条件150は、利用者の意向を最優先し、他の条件が許可条件を満たさない場合でも、利用者条件が満たされれば、全体として許可条件を満たすと判定してもよい。
【0039】
提示条件とは、電力装置200から提示される提示情報に関する条件である。提示情報は、放電を求める要求元、即ち電力装置200が利用者に放電を求めるために提示する情報である。給電許可判定手段131は、電力装置200から提示条件を示されることにより、電力装置200に関して提示された情報に応じて、放電を許可するか許可しないかを判定できる。
【0040】
時間条件とは、移動装置100からの放電を許可する(あるいは許可しない)時間に関する条件である。給電許可判定手段131は、利用者が予め設定した時間条件により、電力装置200対して放電を許可する(あるいは許可しない)時間を判定することができる。
【0041】
利用者条件とは、利用者の意向を反映させるために用いることができ、例えば、「今日は不許可」、「通信で確認する」のような条件である。
通知条件とは、利用者に対して通知できないときには許可しないという運用を行なうことができ、例えば、「通知は不要」、「放電を通知する」などである。
【0042】
また、電力蓄積供給管理装置130は、さらに、移動装置100の状態を取得する状態情報取得手段135を備える。また、給電許可条件150は、さらに、状態情報取得手段135が取得する移動装置100の状態に関する状態情報条件152を含む。これによれば、給電許可判定手段131は、充電場所条件151と充電付帯条件153に加え、状態情報条件152をも含めて電力の供給許可を判定することができる。
【0043】
また、給電許可条件150は、充電場所条件151と充電付帯条件153と状態情報条件152とが満たされた場合に満たされることを特徴としてもよい。即ち、給電許可条件150は、充電場所の条件と充電付帯条件に加え、移動装置の状態情報の条件のすべてが許可する条件を満たした場合にのみ、給電を許可することが可能となる。但し、これに限定されず、例えば、給電許可条件150は、充電場所条件を最優先し、他の条件が許可条件を満たさない場合でも、充電場所条件が満たされれば、全体として許可条件を満たすと判定してもよい。
【0044】
電力蓄積供給管理装置130は、さらに、利用者の操作により所定の情報の入力を受けつけ、記憶手段134に記憶させる情報入力手段137を備える。情報入力手段137は、所定情報として充電場所情報140の入力を受けつけ、設定する充電場所情報設定手段160と、所定情報として給電許可条件150の入力を受けつけ、設定する利用者条件設定手段161と、充電場所情報設定手段160又は利用者条件設定手段161により設定された情報を表示する表示手段162とを含む。これによれば、移動装置100の利用者は、自ら直接移動装置に、充電する場所の情報と給電を許可する条件を入力することができる。但し、かかる情報入力手段137がない場合であっても、利用者が外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ)を利用して、所定の情報の入力し、その情報を、直接又はネットワークを介して記憶手段134に記憶、格納させることができる。
【0045】
(第二実施例)
図3は、本発明に係る第二実施例における電力供給システム1Aのブロック図を示す。適宜、図4〜図15を参照し、第二実施例を以下に説明する。
電力供給システム1Aは、走行用モータ等を備え自ら移動する車両100Aと、その車両100A以外の装置であって、電力を給電、受電、蓄電、送電、配電等を行う電力装置200Aを備える。車両100Aは、典型的には、EVやPHEVであるが、これに限定されず、電動機を備えた客車、貨車、路面電車などでもよい。電力装置200Aは、工作物又は建築物に備えられた設備に備えられ、電力系統2Aへ接続された受電装置、充電装置、配送電装置等を有する装置である。
【0046】
なお、図3は、電力供給システム1Aには、一つの車両100Aと一つの電力装置200Aを備えることを示すが、これに限定されないことは、第一実施例を示す図1及び図2と同様である。
【0047】
車両100Aは、車両100Aが移動するための、走行用モータを動作させるために使用される電力を蓄積する蓄電手段110Aと、電力装置200Aと電気的に接続する移動装置側電力供給手段120Aと、車両100Aの電力を制御する電力蓄積供給管理装置130Aとを備える。蓄電手段110Aは、図4に示すEVでは、走行用の電力を蓄積する高圧バッテリ、電力蓄積供給管理装置130Aを含む電源制御ECUの制御の下で高圧バッテリの充放電を行うリレー、走行用モータを制御する走行電力管理装置を含む。また、蓄電手段110Aは、図5に示すPHEVでは、上記に加え、エンジンと発電装置を含む。移動装置側電力供給手段120Aは、車両側ソケットやACプラグである。
【0048】
電力装置200Aは、車両100Aから電力の供給を受ける受電手段210Aと、車両100Aと電気的に接続する電力装置側電力供給手段220Aと、受電手段210Aの受電を制御する電力需要管理手段230Aと、移動装置100Aに放電を要求する放電要求手段250Aを備える。受電手段210Aは、車両100Aから電力の供給を受ける手段であり、電力装置200Aの属性に応じて、蓄電装置、インバータ、直流−直流変換装置、スイッチ、リレーなどを含む。受電手段210Aは、車両100Aの蓄電手段110Aを充電するときには、車両100Aに電力を供給する手段として用いられる。
【0049】
電力装置側電力供給手段220Aは、電力装置200Aを車両100Aと電気的に接続するための放充電ケーブル及びプラグや充放電用コンセントである(図4及び図5に示す)。電力需要管理手段230Aは、車両100Aと電気的に接続された場合に、車両100Aの電力蓄積供給管理装置130Aと協働し、受電手段210の充放電を制御する。また、電力装置200Aに、バッテリなどの蓄電手段、太陽光発電装置や風力発電装置などの電力供給手段を備えて、車両100Aに電力を供給するようにしてもよい。また、電力装置200Aに、ヒータ、エアコンなどの電力消費手段を備えて、車両100Aから供給された電力を、電力装置自身が消費するようにしてもよい。なお、放電要求手段250Aは、移動装置側電力供給手段120Aと電力装置側電力供給手段220Aが電気的に接続された場合、電力装置側電力供給手段220Aと移動装置側電力供給手段120Aを介して、移動装置100A(具体的には、放電要求受信手段)に放電の要求を行う。
【0050】
電力供給システム1Aは、車両100Aと電力装置200Aとを、電気的に接続することにより、車両100Aと電力装置200Aの間で相互に電力を供給するシステムである。即ち、電力供給システム1Aは、例えば車両100Aの車両側ソケットに電力装置200Aの充放電ケーブルのプラグを差し込んだ場合、車両100Aは電力蓄積供給管理装置130Aの制御管理の下、電力装置200Aは電力需要管理手段230Aの制御管理の下、電力蓄積供給管理装置130Aと電力需要管理手段230Aとが協働し、車両の走行用バッテリから受電手段210Aへの電力の供給を行う。
【0051】
ここで、電気的に接続するとは、図4及び図5に示されるように、電力装置200Aに備えられた電力装置側電力供給手段220Aとしての充放電ケーブルのプラグを、移動装置側電力供給手段120Aとしての車両側ソケットに差し込むこと、又は、車両100Aに備えられた移動装置側電力供給手段120AとしてのACプラグを、電力装置200Aに備えられた電力装置側電力供給手段220Aとしてのコンセントに差し込むことをいう。
【0052】
図4及び図5では、普通充電用と急速充電用の2種類の電力装置を示す。普通充電用の電力装置200A'の場合、車両側のACプラグを電力装置側の充放電用コンセントに差し込むと、後述する許可判定がされた場合、車両側から電力系統2A’に電力を供給する。車両100A側では、電力蓄積供給管理装置130A、具体的には、電源制御ECUが、リレーRY1とリレーRY2の動作を制御し、充電装置を経由して、車両の高圧バッテリから電力装置200A'側へ電力が提供される。
【0053】
より具体的には、電源制御ECUは、リレーRY1とリレーRY2をクローズする。これにより、高圧バッテリ→RY1→走行電力管理装置→RY2→高圧バッテリという通電経路ができ、充電装置(普通充電器)はその経路に並列接続され、そこから電力系統に放電する。また、この時リレーRY3とリレーRY4は、好ましくは、オープンにする。なお、電力装置200A’側では、受電手段210A’の充放電を制御する。
【0054】
急速充電用の電力装置200Aの場合、車両側の急速充電ソケットに電力装置側のプラグに差し込むと、後述する許可判定がされた場合、車両側から電力系統2Aに電力を供給する。車両100A側では、電源制御ECUが、リレーRY3、リレーRY4の動作を制御し、車両の高圧バッテリから電力装置200A側へ電力が提供される。
【0055】
より具体的には、電源制御ECUは、リレーRY3とリレーRY4をクローズする。これにより、高圧バッテリ→RY3→急速充電ソケット→電力系統→RY4→高圧バッテリという通電経路ができる。また、この時、リレーRY1とリレーRY2は、オープン又はクローズいずれでもなり得る。急速充電中にも車内で電気を使いたい場合にはクローズして直流−直流コンバータを動作させてもよいし、急速充電を優先する場合にはオープンしてもよい。
【0056】
電力装置200Aは、車両100Aとの間で通信を行う通信手段240Aを備える。通信手段240Aは、具体的には、図4及び図5に示すように、緊急充電用の電力装置200Aでは、電力装置側電力供給手段220Aの充放電ケーブルと通信手段220Aの一部である通信線は物理的に分かれている。また、普通充電用の電力装置200A’では、電力装置側電力供給手段220A’の充放電ケーブルと通信手段220A’の一部である通信線は物理的に同じであり、電力線通信を行う。車両側の対応する物理的な通信手段も同様である。
【0057】
図4はEV100A、図5はPHEV100’を示し、この両者の違いは、EV100Aは蓄電手段110Aを備え、PHEV100A’は蓄発電手段110A’を備えることである。蓄発電手段110A’は、エンジンと発電装置を備え、自ら発電することができる。従って、図3は、車両100Aが蓄電手段110Aを備えることを示すが、蓄電手段110Aは蓄発電手段110A’であってもよい。
【0058】
<<電力蓄積供給管理装置>>
電源制御ECUが備える電力蓄積供給管理装置130Aをより詳しく説明する。
電力蓄積供給管理装置130Aは、充電場所の電力装置200Aに関する情報を取得する充電場所検出手段133A/提示情報所得手段136Aと、車両の状態に関する情報を取得する状態情報取得手段135Aと、電力装置200Aに関する情報の充電場所情報140Aと給電許可判定手段131Aが判定に用いる給電許可条件150Aとを記憶する記憶手段134Aと、蓄電手段110A(具体的には、走行用の高圧バッテリ)から受電手段210Aへの電力の供給許可を判定する給電許可判定手段131Aと、走行用高圧バッテリの充放電を制御する電力供給制御手段132Aと、を備える。また、さらに、利用者とのインターフェースとなる情報入力手段137Aを備える。
【0059】
<充電場所検出手段、提示情報所得手段>
充電場所検出手段133A及び提示情報所得手段136Aは、通信手段240Aを介して電力装置200Aから充電場所情報などの情報を取得する。充電場所検出手段133Aが電力装置200Aに関するより詳細な情報を取得することができるため、その取得した情報に基づき判定する給電許可判定手段131Aは、その詳細な情報を基に判定することができる。これにより、よりきめの細かい条件で、車両100Aから電力装置200Aに電力を供給する電力供給システム1Aを提供できる。
【0060】
充電場所検出手段133Aは、図6に示すように、無線LAN等の外部通信手段308、CAN(Controller Area Network)通信手段307、GPS受信手段306、無線IDタグ読取手段305をさらに備えてもよい。
提示情報所得手段136Aは、特に、後述する充電場所の電力装置からの提示条件について取得する手段であり、充電場所検出手段133Aと同様に、無線LAN等の外部通信手段308、CAN(Controller Area Network)通信手段307、GPS受信手段306、無線IDタグ読取手段305をさらに備えてもよい。
【0061】
<状態情報取得手段>
状態情報取得手段135Aは、車両に備えられた各種センサなどから車両の状態に関する情報を取得する。車両の状態情報とは、例えば図10に示すように、バッテリ残量、自宅からの距離、帰宅に必要な残量比、走行予定距離、目的地までの距離、バッテリ温度、位置、充電単価、自宅充電単価、平均走行距離などである。
【0062】
「バッテリ残量」は満充電の状態との比で充電残量の条件を設定する。「バッテリ残量」の条件を用いることで、バッテリ残量が少なくなったときに放電を禁止して、所定の距離を走行できる電力を残すことができる。
【0063】
「自宅からの距離」は、自宅から充電場所の間の距離で条件を設定する。自宅から充電場所の間の距離は、記憶手段に記憶している充電場所の位置情報と、自宅充電場所の位置情報に基づいて計算できる。ナビゲーション装置の求めた経路に基づいて、より正確な距離を用いることで、正確な距離に基づいて判定することができる。「自宅からの距離」の条件を用いることで、自宅から離れた場所で放電を行なって、帰宅に必要な電力が不足することを防ぐことができる。
【0064】
「帰宅に必用な残量比」は帰宅に必要な残量との比を%で設定する。帰宅に必要な残量は単位電力量あたりの平均走行距離と自宅から充電場所の間の距離に基づいて計算できる。「帰宅に必用な残量比」を用いることで、帰宅に必用な電力を確実に残すことができる。
【0065】
「走行予定距離」は、走行予定距離を走行可能なバッテリ残量を残す範囲で放電を許可する。放電可能な電力は走行予定距離と単位電力量あたりの平均走行距離から計算することができる。バッテリ残量は、例えば走行予定距離を走行した後に、計算上で20%の残量を残すなど、余裕をもって残すことが望ましい。 「走行予定距離」を用いることで、充電後に自宅以外の場所に向かう場合にでも、必用な電力を残すことが可能となる。走行予定距離をナビゲーション装置に設定された経路をもとに、目的地に行った後に、自宅まで戻る距離を設定するようにしてもよい。
【0066】
「目的地までの距離」は目的地までの距離を設定することで、目的地まで走行する電力を残す範囲で放電が許可される。電力は余裕をもって残すことが望ましい。
「目的地までの距離」は、目的地あるいは目的付近に充電場所があるときに利用することで、走行用のバッテリに充電された電力のより多くを外部で有効に活用することが可能となる。
【0067】
「バッテリ温度」は、放電を許可するバッテリ温度範囲を設定できる。バッテリが真夏に高温になっている場合や、真冬に低温になっている場合に、放電を許可しないために利用できる。「バッテリ温度」の条件を用いることで、バッテリに対する負担を軽減することや、エネルギーの利用効率が低下するのを防ぐことが可能となる。
【0068】
「位置」は、車両の位置に関する条件を設定できる。車両の位置は例えば経度と緯度で指定できる。「位置」を用いることで、所定の位置に車両があるときにのみ放電を許可するのに用いることができる。例えば自宅付近でのみ、あるいは勤務先付近でのみ許可するというような使い方ができる。
【0069】
充電単価や自宅充電単価は、過去の充電した電力料金などから算出されてもよいし、電力会社の情報提供装置や、太陽光発電装置や風力発電装置から提供される単価が用いられてもよい。また、利用者が手作業で入力するようにしてもよい。
【0070】
<記憶手段>
記憶手段134Aは、充電場所情報140Aと給電許可条件150Aを記憶する。記憶手段134Aは、より具体的には、図6に示される不揮発性メモリ302であり、その他のデータを記憶、格納することができる。例えば、外部通信手段308等の充電場所検出手段133Aが取得した充電場所情報140Aは、システムバスを介して、不揮発性メモリ302に記憶される。また、CPU301は、不揮発性メモリ302に記憶された充電場所情報140Aを用いて、揮発性メモリ(図示せず)にロードされ、後述するフローチャート(制御方法)を実行する。
【0071】
図8は、不揮発性メモリ302に記憶されたデータとしての充電場所情報440と給電許可条件450を示す。充電場所情報440は、後に詳述する情報を含む。給電許可条件450は、充電場所条件451、状態情報条件452、充電付帯条件453、放電許可条件454を含む。充電場所条件451は、充電場所などの様々な外部情報についての条件を1以上有し、充電場所条件451内のそれぞれの条件の論理積や論理和などで判定するための情報を有する。状態情報条件452及び充電付帯条件453は、同様に、様々な状態情報や付帯情報についての条件を1以上有し、それぞれの条件内のそれぞれの条件の論理積や論理和などで判定するための情報を有する。放電許可条件454も1以上の条件を有する。
【0072】
なお、上記充電場所情報440と給電許可条件450は、充電場所あるいは充電装置毎に記憶する。また、すべての情報は必要ではなく、電力の供給を許可する充電場所を特定できる情報を有すればよい。
【0073】
・<充電場所情報>
充電場所情報140Aは、充電場所検出手段133Aが取得し、記憶手段134Aに記憶されてもよいし、車両100Aの利用者により予め設定し、記憶手段134Aに記憶されてもよい。充電場所情報140Aは、充電場所に関する情報を含み、この充電場所に関する情報は、車両から電力を提供する充電場所を特定するための情報を含む。充電場所を特定するための情報を含むようにすることで、車両の利用者がそれぞれの充電場所に対して個別に放電を許可/不許可とする設定を行なうことができる。
【0074】
図9に示すように、充電場所情報140Aは、より具体的には、充電場所の名称、利用者が覚えやすいように設定する充電場所の呼び名、充電場所の住所、充電場所を識別するために設定される充電場所ID、充電スタンド(ガソリンスタンドに相当)を識別するために設定される充電スタンドID、個々の車両に充電するために必要となる同じ充電場所に複数設置されている充電装置を識別するための充電装置ID、駐車位置を識別するための駐車位置ID、充電場所の管理者、放電依頼元、電力提供業者、充電種別、放電容量、最大充電電流、利用目的、緊急度、要因、放電電力単価、差額利益などの情報を含んでもよい。かかる詳細な情報を含むことにより、よりきめの細かい許可設定を行うことができる。
【0075】
また、上記した、名称、呼び名、住所などの集合に対して設定できるグループ名称を含んでもよい。例えば、公共機関というグループ名を決めて、公共機関の充電場所ではグループ名が公共機関とする。グループ名として例えば「病院」「有料駐車場」「充電スタンド」などが考えられる。あるいは、充電場所を経営する企業の名称などをグループ名として用いてもよい。グループ名称を設定することで、複数の充電場所に一括して条件設定を行なうことが可能となり、利便性が高まる。
【0076】
充電場所情報140Aは、名称などの識別情報ではなく、充電場所の位置情報を含んでもよい。また、車両に搭載された電力蓄積供給管理装置130Aあるいはナビゲーション装置など車載装置のいずれかに備えられたGPS受信手段306(図6に示す)が取得した位置情報をもとに、充電場所を特定できる。この場合、通信手段を用いて識別情報を取得しなくても充電場所を特定することが可能となる。
【0077】
GPSの位置情報に代えて、充電場所付近にのみ到達する無線通信手段で識別情報を通知する近距離無線タグを用いるようにしてもよい。無線通信手段は、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、非接触ICカード、キーレスエントリなどの技術である。例えば、充電場所に停車した車両にのみ電波が到達するように近距離通信を用いて近距離無線タグの情報を取得して、充電場所情報として記録するようにしてもよい。
【0078】
充電場所情報140Aは充電スタンドIDを含んでもよい。駐車場や充電スタンドにおける駐車位置に対して駐車位置IDを設定するようにできる。同じ充電場所に複数の充電装置が備えられているときに、個々の充電装置に充電装置IDを設定するようにできる。
充電の許可を充電場所ID、充電スタンドID、充電装置ID、駐車位置IDのいずれかに対して設定することで、許可する相手の範囲を変えることができる。
【0079】
充電場所情報140Aは、例えば下記のように取得される。
(1)充電装置から充電場所ID、充電スタンドID、充電装置ID、駐車位置IDのいずれか、あるいは組み合わせを取得する。あるいは、無線通信でタグIDを取得する。GPS受信手段で位置情報を取得する。
(2)充電場所の正式名称が登録されていれば、取得する。
(3)呼び名を情報入出力手段137A(310)から入力して、記録する。
【0080】
充電場所情報140Aを、充電場所に設置された電力蓄積供給管理装置130Aに接続された充電装置から通信で取得する代わりに、以下のような方法で取得してもよい。呼び名が登録されていない充電場所で充電ケーブルが接続されたことを検出したときに、情報入出力手段310(137A)の表示装置313や音声入出力手段309で利用者に、その充電場所に対する呼び名を問いかけて、利用者が入力した呼び名を登録するようにしてもよい。
【0081】
自宅の駐車場の場合、情報入出力手段310(137A)から位置情報、無線IDタグ、充電装置IDのいずれかと自宅の駐車場との対応づけを行なう。
GPS受信手段から取得した位置情報あるいは無線IDタグをもとに、インターネット上で位置情報やIDタグに対応付けて公開されている充電場所情報を取得する。過去に利用して、呼び名が登録されていれば、位置情報をもとに呼び名を画面に表示することができる。
上記のように、位置情報、無線IDタグや呼び名など充電場所を特定する情報を取得するようにすれば、充電装置から充電場所に関する情報を取得しなくても、充電場所がどこであるかを判定できる。
【0082】
・<給電許可条件>
図3は、給電許可条件150Aは、給電許可判定手段131Aが判定に用いる、充電場所条件151A、充電付帯条件153A、状態情報条件152A、放電許可条件154Aを有することを示す。これらの条件は、車両100Aの利用者により設定され、図6が示す不揮発性メモリ302に記憶される。図8は、不揮発性メモリ302に記憶されるデータとしての給電許可条件450を示す。給電許可条件450は、充電場所条件451、状態情報条件452、充電付帯条件453、放電許可条件454を含むので、以下に各々を説明する。
【0083】
・・<充電場所条件>
充電場所条件151Aは、充電場所検出手段133Aが取得した情報内の電力装置200Aや電力装置200A’を特定するための情報が、充電場所情報140Aと適合する場合に満たされる。
【0084】
充電場所条件151Aは、充電場所条件451として記憶手段に記憶され、上述した充電場所情報440を用い、電力の供給許可/不許可の判定を行う。例えば、図8に示した「外部情報1の条件」とは、図9における、「名称」が「小牧市営大草中央駐車場」に「一致する」であり、「外部情報2の条件」とは、「呼び名」が「自宅」に「一致する」である。
【0085】
充電場所条件151Aは、充電場所検出手段133Aが取得した充電場所に関する情報を、図9に示すような外部情報(情報種別名)に割り当て、条件式を実行できる場合に実行し、予め設定された論理和や論理積などの条件に従い判定を行う。例えば、充電場所から得られた情報から、「差額利益」が「30円」「以上」であると結果が得られた場合であって、他の条件と論理和が設定されていた場合には、充電場所条件151Aでは、電力の供給を行うことを判定する。
【0086】
・・<状態情報条件>
状態情報条件152Aは、状態情報取得手段135Aが取得する移動装置100Aの状態情報(図10に示す)に基づき、電力の供給の許可/不許可を判定する。
図11に示すように、例えば、状態情報取得手段135Aが取得したバッテリ残量に関する情報から、「バッテリ残量」が「50%」「以上」の場合であって、他の条件と論理和が設定されていた場合には、状態情報条件152Aでは、電力の供給を行うことを判定する。
【0087】
・・<充電付帯条件>
図12に示すように、充電付帯条件153Aは、提示情報に関する条件である提示条件、供給を許可する又は許可しない時間を示す時間条件、その利用者の都合を示す利用者条件、その利用者に対して通知できない場合は許可しないことを示す通知条件を含む。なお、提示条件は、提示情報取得手段136Aが取得し、時間条件、利用者条件、通知条件は、車両100Aの利用者により設定される。
【0088】
・・・<提示条件>
提示条件は、充電場所から提示される提示情報に関する条件である。提示情報は、放電を求める電力装置側が車両の利用者に放電を求めるために提示する条件である。提示条件を設定することで、利用者は車両から電力を提供する提供先の充電場所に関して提示された情報に応じて、放電を許可するか許可しないかを指定できる。
【0089】
図12に示すように、提示条件は、例えば、放電単価、放電時間、放電電力である。提示条件に、充電場所の管理者、放電依頼元、電力供給業者を特定するための情報を含めるようにできる。利用者は、相手に応じて放電を許可するか許可しないかを判断できる。提示条件に、充電種別を含むようにできる。充電種別が急速充電か普通充電かに応じて、許可/不許可を設定することで、放電後に短時間で充電できる急速充電の場合にのみ許可する設定が可能となる。あるいは、比較的放電容量の少ない普通充電の場合にのみ許可する設定が可能となる。
【0090】
提示条件に要求する放電量を含むようにできる。利用者が要求された放電量に応じて許可するかを判定できる。提示条件に最大充電電流を含むようにできる。最大充電電流を特定して、それよりも大きい電流で短時間に充電できる場合にのみ、許可する設定が可能となる。提示条件に最大放電電流を含むようにできる。最大放電電流を特定して、バッテリのへの負担を軽減する設定を行うことが可能となる。
【0091】
提示条件に、要因を含むようにできる。要因は例えば「停電」「電力不足」などがある。提示条件に、利用目的を含むようにできる。具体的な利用目的を提示することで、利用者が提示条件に応じて許可するか判定することが可能となる。利用目的は例えば「電力バックアップ」「電力不足の解消」「他の車両の充電」などがある。利用目的として、さらに自宅で「録画機器への給電」、病院で「医療設備への給電」のように、さらに詳細に情報を提示してもよい。詳細に情報を提示することで、特定の目的のみに対して許可することが可能となる。
【0092】
提示条件に、緊急度を含むようにできる。緊急度が高い場合にのみ許可する設定が可能となる。
さらに、利用者に利益や利便性を与えるような提示を行なうようにしてもよい。放電を許可して放電を行なった場合に、放電に対して支払う対価を提示することで、利用者は対価に応じて放電を許可するかを判断できる。利便性としては、たとえば放電を行なった結果得られる、最大充電時間の延長、駐車場の優先利用権、ショッピングセンターなど商業施設での割引チケットなどを提示するようにできる。利用者は提示された内容をもとに、放電を許可するかを判断できる。
【0093】
提示条件に、放電電力に対する対価を含むようにできる。利用者は対価に応じて許可するかを判断できる。提示条件に、充電にかかった費用との差額利益を含むようにできる。利用者は差額利益に応じて許可するかを判断できる。差額で設定することによって、同じ提示対価であっても差額利益が出ない場合に許可しないという判断が可能となる。
【0094】
・・・<時間条件>
時間条件は、放電を許可する(あるいは許可しない)時間を指定するために用いることができる。利用者は時間条件を設定することで、放電場所ごとに放電を許可する時間を決めることができる。
【0095】
図12に示すように、開始時刻や終了時刻など、1日の間においてどの時間帯に放電を許可するのかを設定することができる。日付と時間帯を指定することで、日に応じて異なる設定を行なうことができる。時間条件を曜日に応じて異なる設定ができるようにしてもよい。時間条件をカレンダーに対応させて設定できるようにしてもよい。
【0096】
・・・<利用者条件>
利用者条件は、利用者の都合を反映させるために用いることができる。利用者条件を他の条件に優先して判定するようにすれば、利用者の意向を簡便に反映することができる。
図12と図13に示すように、利用者条件は、例えば「今日は車を使うので不許可」、「10Km程度の走行予定」、「50Km程度の走行予定」、「100Km以上の走行予定」、「車内で確認する」、「通信で確認する」のような設定にできる。
【0097】
「今日は車を使うので不許可」を設定した状態では、他の設定内容を変更しなくても、その日は不許可にできる。翌日は自動的に設定を解除するようにすれば、その日だけ不許可にする設定を簡単に行なうことができる。今日ではなく、明日に対して設定できるようにしてもよいし、カレンダーで車を使う日を指定できるようにしてもよい。
【0098】
「10Km程度の走行予定」のように距離を設定された場合に、指定された距離よりも長く走行できる残量を残すようにできる。
「車内で確認する」と設定された場合には、車内の表示装置などで利用者に許可するかを問いかけて、許可する操作が行なわれたときにのみ許可するようにできる。車内にいないときには確認する必要がないので、煩わしさがない。
【0099】
「通信で確認する」と設定された場合には、電子メールや電話などで利用者に許可するかどうかの判断を求めて、返信メールや音声コマンドで許可することが確認された場合に放電を許可するようにできる。このようにすることで、充電を開始して車を離れる時点では許可するかどうかを決められない場合でも、要求があった時点で許可するかしないかを判断できるようになる。
【0100】
・・・<通知条件>
通知条件を設定することで、例えば利用者に対して通知できないときには許可しないという運用を行なうことができる。
図12に示すように、通知条件は、例えば、「通知は不要」、「放電を通知する」、「自宅以外では通知する」などから選択できるようにする。「通知は不要」の場合には、放電を開始するときに利用者への通知を行なわない。利用者が通知を必要としないときに、通知が行なわれる煩わしさがなくなる。
【0101】
「放電を通知する」設定とすると、放電を開始したときに通知が行なわれる。利用者が予定を変更して予定時刻よりも早く車に戻ったときに放電が行なわれていて、期待する容量の充電が行なわれていないというような事態を回避することができる。「自宅以外では通知する」を設定すると、自宅では通知が行なわれない。自宅に車がある場合には、通知が必要でないケースが多いので煩わしさがなくなる。
【0102】
・・<放電許可条件>
放電許可条件154Aは、充電場所条件、状態情報条件、充電付帯条件の設定条件が満たされた場合に、電力の供給を許可するか許可しないかの判定に使用される。図14に示されるように、基本形は、「許可する」と「許可しない」のチェックは排他的に設定され、いずれかがチェックされた状態となる。拡張形では、「自宅なら常に許可」、帰宅できる範囲で許可」、「常に禁止」などの条件を選択できる。また、後述するように、利用者自ら設定する条件式により設定することもでき、柔軟な許可条件を設定できる。
【0103】
<給電許可判定手段>
給電許可判定手段131Aは、上記条件に従い、充電場所検出手段133Aが取得した情報に基づき、電力供給の許可/不許可を判定する。給電許可判定手段131Aの判定のしかたを、図15を参照して説明する。なお、図15は、判定のしかたの例示である。
【0104】
記憶手段134Aには、充電場所条件451と状態情報条件452を含む複数の(M個の)組の給電許可条件450が記憶されている。それぞれの組は、一つの充電場所や充電装置に対応する。充電場所条件451は、外部情報1〜Jの条件を含み、状態情報条件452は、状態情報1〜Kの条件を含む。
【0105】
車両100Aが、充電場所からその充電場所の充電場所情報(外部情報1〜J)を取得し、また、車両自体の状態情報(状態情報1〜K)を取得する。まず、取得した充電場所情報と記憶されている充電場所条件451を、M個の組について順次比較する。適合する組があった場合、その組の中の状態情報条件452と取得した状態情報を比較する。状態情報条件も適合した場合、それに対応する放電許可条件に適合すれば、その充電場所の電力装置へ電力の供給を許可する判定をする。
【0106】
<電力供給制御手段>
電力供給制御手段132Aは、蓄電手段110Aから電力装置200Aの受電手段210Aへの電力の充放電の開始と終了を制御する。具体的には、図6に示すリレー制御手段303が、リレーRY1〜4 304を制御し、電力の充放電を制御する。より具体的には、普通充電の場合は、電源制御ECUは、リレーRY1とリレーRY2をクローズする。これにより、高圧バッテリ→RY1→走行電力管理装置→RY2→高圧バッテリという通電経路ができ、充電装置(普通充電器)はその経路に並列接続され、そこから電力系統に放電する。
【0107】
また、この時リレーRY3とリレーRY4は、好ましくは、オープンにする。急速充電の場合は、電源制御ECUは、リレーRY3とリレーRY4をクローズする。これにより、高圧バッテリ→RY3→急速充電ソケット→電力系統→RY4→高圧バッテリという通電経路ができる。また、この時、リレーRY1とリレーRY2は、オープン又はクローズいずれでもなり得る。なお、これらのリレー制御は、充放電を制御するためのものではなく、通電方向に関係なく通電経路を作るためのものである。
【0108】
<情報入力手段>
電力蓄積供給管理装置130Aは、さらに、利用者の操作により所定の情報の入力を受けつけ、記憶手段134Aに記憶させる情報入力手段137Aを備える。情報入力手段137Aは、所定情報として充電場所情報140Aの入力を受けつけ、設定する充電場所情報設定手段160Aと、所定情報として給電許可条件150Aの入力を受けつけ、設定する利用者条件設定手段161Aと、充電場所情報設定手段160A又は利用者条件設定手段161Aにより設定された情報を表示する表示手段162Aとを含む。これによれば、車両100Aの利用者は、自ら直接車両に、充電する場所の情報と給電を許可する条件を入力することができる。
【0109】
図6は、電力蓄積供給管理装置130Aが、情報入力手段137Aに相当する、ハードウェアとしての情報入力手段310を、さらに備えることを示す。情報入力手段310は、充電場所情報設定手段160Aと利用者条件設定手段161Aを制御するタッチパネル制御部312と、充電場所情報140Aや給電許可条件150Aを表示する表示回路311と、これら情報や条件を実際に表示するためのタッチパネル付表示部313を有する。また、さらに、視覚的な情報の入出力だけでなく、音声による情報の入出力を可能とする音声入出力手段309も有する。
【0110】
図16〜図18を参照し、利用者条件設定手段161Aについて、充電場所情報等の様々な情報の入力と出力(表示)に関して説明する。図16〜図18は、様々な条件設定画面を示す。条件設定画面の上部に設定番号1から設定番号M(Mは例えば10)までの設定を指定するタブがあり、タッチパネルで設定番号のタブをタッチすることで、当該設定番号の設定内容が表示される。例えば、図16は、設定番号1の条件設定画面を示す。
【0111】
条件設定画面の右上に「設定変更」、「設定確定」、「登録」のボタンが表示されている。「設定変更」ボタンをタッチすることで、条件を変更できる状態となる。条件を設定した後、「設定確定」をタッチすることで、変更された条件が記憶手段に記憶される。「登録」ボタンは後に説明するユーザパターンを登録するときに用いる。設定画面には、チェックボックスがあり、タッチすることでチェックボックスが黒く表示されてチェックされた状態と、白く表示されてチェックされていない状態のいずれかの状態となる。チェックボックスをタッチするごとに、チェックされた状態と、チェックされていない状態が交互に変化する。
【0112】
充電場所条件と状態情報条件については、「AND」、「OR」、「常に」が選択でき、いずれかがチェックされた状態となる。図16のように、利用者が「AND」をタッチしてチェックされた状態とすれば、下の枠内に表示された条件のうち設定された条件が全て充たされたときに条件を充たすと判定される。「OR」をタッチしてチェックされた状態とすれば、下の枠内に表示された条件のうち設定された条件のいずれかが充たされたときに条件を充たすと判定される。「常に」をタッチしてチェックされた状態とすれば、下の枠内に表示された条件は無視されて、常に条件を充たすと判定される。
【0113】
充電場所条件と状態情報条件の枠内の右端にはスクロールバーが表示されていて、グレーのスライダー部分を移動させることによって、表示範囲外で隠れている他の条件の設定内容を表示して、設定することができる。左右の三角形のボタンをタッチすることで、他の設定内容を表示して設定することができる。
【0114】
条件設定画面では、充電場所の条件として「自宅」、「勤務先」、「充電スタンド」、「駐車場」、「公共施設」、「緊急施設」が表示されている。図16では、「自宅」が選択されていることを示す。提示条件のうち、利用者の利益に関連する充放電の差額利益が表示されている。依頼元の条件として、「契約先」と「自治体」が表示されていて条件として指定できる。三角形のボタンで他の依頼先を表示して指定できる。要因の条件として、「停電」と「電力不足」が表示されていて条件として指定できる。図16では、「停電」が選択されていることを示す。緊急度の条件として、「高い」と「低い」が表示されていて条件として指定できる。充電場所条件の枠内の最下部に「名称」に関する条件が表示されている。「名称」に代えて「呼び名」や充電場所IDなど他の条件を表示して設定できる。
【0115】
状態情報条件として、「バッテリ残量」、「自宅からの距離」、「帰宅に必用な残量比」、「走行予定距離」、「目的地までの距離」、「バッテリ温度」、「位置」が表示されている。それぞれの条件は、四角の枠内に数値や文字で入力する。四角の枠内をクリックすると、画面上に仮想的なキーボード画面が表示されて文字を入力可能な状態となる。仮想的なキーボード画面で確定ボタンをタッチすると入力内容が確定して、仮想的なキーボード画面が非表示の状態となる。右側の三角形のボタンの間に設定されている演算子が表示される。三角形のボタンをタッチすることで他の演算子を表示できる。図16では、「バッテリ残量」が「50%」「以上」ということが状態情報条件として表示されている。なお、「目的地までの距離」のところで四角の枠内をクリックしたときに、ナビゲーション装置の目的地を自動的に入力するようにすると、利便性が高まる。
【0116】
画面設定条件として、さらに利用者条件、時間条件、通知条件のいずれかまたは組み合わせを設定することができる。利用者条件は利用者の都合に応じて、目的地や位置などの状態情報とは独立して、「今日は車を使うので不許可」、「10Km程度走行可能」、「50Km程度走行可能」、「100Km以上走行可能」、「車内で確認する」、「通信で確認する」から選択できる。状態情報条件は、車両の状態やナビゲーション装置のルート情報に基づいて設定できるのに対して、利用者条件は利用者にしか判断できない条件を設定することができる。例えば、最終目的地が自宅位置から10Kmの距離であっても、途中に寄る箇所が多くナビゲーション装置の示す最短経路を通らない場合に、どの程度の距離を走行できる必要があるかは、利用者にしかわからない。あるいは、車を自宅に駐車していて車を使わない日には無条件で許可してもよいが、車を使う日にはあらかじめ走行距離が定まらないので許可しない、というような事情は車載装置から得られる情報では把握できない。
【0117】
時間条件は「カレンダーで設定」ボタンをタッチすることで、入力画面が表示されて入力できる。通知条件は「通知は不要」、「放電を通知する」、「自宅以外では通知する」から、いずれかを選択できる。図16では、「通知は不要」が選択されている。
【0118】
放電許可条件として、上に表示された充電場所条件、状態情報条件、利用者条件、通知条件の設定条件が満たされた場合に、放電を許可するか許可しないかを設定する。「許可する」をタッチしてチェックされた状態とすれば、放電を許可する設定となり。「許可しない」をタッチしてチェックされた状態とすれば、放電を許可しない設定となる。「許可する」と「許可しない」のチェックは排他的に設定され、いずれかがチェックされた状態となる。充電場所条件、状態情報条件、利用者条件、通知条件の設定条件のうち、いずれの項目も設定されていない条件については、常に条件を満たす。図16では、「許可する」が選択されていることを示す。
【0119】
利用者の利便性を高めるため、上記の設定とは独立して、画面下部の枠内に表示される「自宅なら常に許可」、「帰宅できる範囲で許可」、「常に禁止」、「常に許可」、「パターン1」、「パターン2」、「ユーザパターン」を用いて設定することができる。この枠内の設定は設定番号1から設定番号Mの設定とは独立している。
【0120】
「自宅なら常に許可」は充電場所が自宅であると判定されたら、常に許可する設定となる。「帰宅できる範囲で許可」は自宅までの距離をもとに帰宅できる範囲のバッテリ残量が残る範囲で放電が許可される設定となる。「常に禁止」のチェックボックスをチェックすれば常に放電が許可される。「常に許可」のチェックボックスをチェックすれば常に放電が禁止される。
【0121】
「パターン1」、「パターン2」、「ユーザパターン」は利用者がよく使う設定を登録して用いる。「パターン1」または「パターン2」のチェックボックスをタッチしてチェックされた状態のときに、画面右上の登録ボタンをタッチすると、そのときに表示されている設定番号1から設定番号Mのうちのいずれかのタブに設定されている設定内容が「パターン1」または「パターン2」のパターンとして記憶される。
【0122】
「ユーザパターン」のチェックボックスがチェックされた状態で、ユーザIDの枠内にユーザIDを入力し、パターン名の枠内にパターン名を入力して、登録ボタンをタッチすると、ユーザIDおよびパターン名を対応づけて記憶手段に記憶される。後にユーザパターンを用いるときには、ユーザIDの枠内にユーザIDを入力し、パターン名の枠内にパターン名を入力して、「ユーザパターン」のチェックボックスをチェックされた状態とすればよい。より複雑な設定を行なうために、式で記述して放電を許可する条件を設定することができる。式は、画面最下端の枠内に入力する。
【0123】
式を用いることで、画面上で入力可能な設定条件の制約を受けることなく、放電を許可する条件を設定することができる。式は、設定番号ごとにそれぞれ複数設定することができる。式は以下のような記法で入力する。

If 条件式1 = True Then アクション

論理演算子のAnd、Or、Notで複数の式を組み合わせることが可能で、アクションは条件を満たす場合と満たさない場合にそれぞれ指定することができる。括弧の ( と ) を用いて、演算の順序を指定できる。

If ((条件式1) or (条件式2)) = True Then
アクション1
Else
アクション2
End If
【0124】
条件式として、充電場所に関する条件または、状態情報に関する条件を入力できる。アクションは「放電許可」、「放電不許可」、「通知する」、「通知しない」、「利用者に確認する」、「利用者に確認しない」のいずれかを指定できる。図16のように、アクションとして「放電許可」を指定すると、条件が満たされたときに放電が許可される。アクションとして「放電不許可」を指定すると、条件が満たされたときに放電が許可されない。アクションとして「通知する」を指定すると、条件が満たされたときに放電が利用者に通知される。アクションとして「通知しない」を指定すると、条件が満たされたときに放電が通知されない。アクションとして「利用者に確認する」を指定すると、条件が満たされたときに利用者に放電を許可するかどうか確認される。アクションとして「利用者に確認しない」を指定すると、条件が満たされたときに利用者に放電を許可するかどうか確認されない。
【0125】
図16のように設定した場合、場所が自宅で、停電の時、バッテリ残量が50%以上あれば、通知は要せず、電力の供給が許可されることとなる。
また、図17は、設定番号2の条件の内容を示す。設定番号2では、充電場所条件で「緊急施設」が、緊急度で「高い」が、バッテリ残量で「50%」「以上」が、帰宅に必用な残量比で「110%」「以上」が、選択されている。従って、場所が緊急施設で、バッテリ残量が50%以上若しくは帰宅に必用な残量比が110%以上ならば、電力の供給が許可されることとなる。
【0126】
また、図18は、設定番号3の条件の内容を示す。設定番号3では、充電場所条件で「充電スタンド」が、充放電の差額利益で「7円以上」が、要因で「停電」が、バッテリ残量で「50%」「以上」が、選択されている。従って、場所が充電スタンドで、停電の時、差額利益が7円以上であって、バッテリ残量が50%以上ならば、通知は要せず、電力の供給が許可されることとなる。
以上の条件設定画面は例であり、条件の一部を省略したり、別の条件を追加してもよい。
【0127】
図19〜図25を参照し、本実施例における電力蓄積供給管理装置130Aが実行する制御構造を説明する。なお、ステップをSと略して記載する。
まず、図7を参照し、電力蓄積供給管理装置130Aにおけるソフトウェアの構成を説明する。電力蓄積供給管理装置130Aは、充電場所の電力装置200Aの通信手段240Aと通信を行う外部情報受信手段470と、充電場所の電力装置200Aに関する情報を取得する充電場所検出手段433/提示情報所得手段436と、車両の状態に関する情報を取得する状態情報取得手段435と、電力装置200Aに関する情報の充電場所情報440と給電許可判定手段431が判定に用いる充電場所条件451/状態情報条件452/充電付帯条件453/放電許可条件454とを記憶する記憶手段434と、電力の供給許可/不許可を判定する給電許可判定手段431と、充放電を制御する電力供給制御手段432と、を備える。
【0128】
また、電力蓄積供給管理装置130Aは、さらに、利用者とのインターフェースであり、充電場所情報を設定する充電場所情報設定手段460と、充電場所条件等の条件を設定する利用者条件設定手段461と、これらの情報を利用者に表示する表示手段とを有する、情報入力手段137Aを備える。
記憶手段434は、充電場所情報440、充電場所条件451、状態情報条件452、充電付帯条件453、放電許可条件454を、不揮発性メモリ302(図6に示す)に記憶する。
【0129】
図19は、本実施例における全体の動作を示すフローチャートである。S10にて、電力蓄積供給管理装置130Aは、アクセサリーポジション(ACC)がオンであるかチェックする。ACCがオンでない限り、以下の実行はなされない。ACCがオンである場合、S20にて、電力蓄積供給管理装置130Aは、条件設定がなされているかチェックする。条件設定がなされている場合、設定処理S100がなされる。条件設定がなされていない場合及び設定処理の実行がされた後、S30にて、電力蓄積供給管理装置130Aは、車両が走行中であるかチェックする。走行中である場合、以下の実行はなされない。走行中でない場合、S40にて、電力蓄積供給管理装置130Aは、ACCがオフかチェックする。
【0130】
ACCがオンの場合、S20に戻る。ACCがオフの場合、S50にて、電力蓄積供給管理装置130Aは、充放電ケーブルが接続されているか、即ち、車両100Aと電力装置200Aが電気的に接続されているかチェックする。接続されていない場合、以下の実行はなされない。接続されている場合、S60にて、電力蓄積供給管理装置130Aは、充電開始操作があったかチェックする。充電開始操作があった場合、充放電処理S200が行われる。接続されていない場合及び充放電処理S200が実行された後、S70にて、電力蓄積供給管理装置130Aは、充放電ケーブルが取り外されたかチェックする。取り外されていない場合、S70に戻り、充放電ケーブルが取り外されたかチェックする。取り外されている場合、S80にて、電力蓄積供給管理装置130Aは、充放電の終了を指令する。
【0131】
図20は、本実施例における情報入力手段137Aの条件設定処理を示すフローチャートである。条件設定処理S100は、S20にて条件設定がなされている場合に行われる。S102にて、利用者条件設定手段161A(461)はユーザ(車両の利用者)の入力を待ち受ける。ユーザの入力があった場合、S104にて、利用者条件設定手段161A(461)は設定条件番号の変更が入力されたかチェックする。変更の入力があった場合は、S106にて、利用者条件設定手段161A(461)は設定条件番号を変更する。変更の入力がなかった場合又は設定条件番号を変更後、S108にて、利用者条件設定手段161A(461)は充電場所条件の入力の有無をチェックする。充電場所条件の入力があった場合、S110にて、利用者条件設定手段161A(461)は外部情報1〜Jの条件の入力を検出し、S112にて、利用者条件設定手段161A(461)は入力された外部情報条件を記憶する。記憶完了後、利用者条件設定手段161A(461)は再度ユーザの入力を待ち受ける。
【0132】
充電場所条件の入力がなかった場合、S120にて、利用者条件設定手段161A(461)は状態情報条件の入力の有無をチェックする。状態情報条件の入力があった場合、S122にて、利用者条件設定手段161A(461)は状態情報1〜Kの条件の入力を検出し、S124にて、入力された状態情報条件を記憶する。記憶完了後、利用者条件設定手段161A(461)は再度ユーザの入力を待ち受ける。
【0133】
状態情報条件の入力がなかった場合、S130にて、利用者条件設定手段161A(461)は放電許可条件の入力の有無をチェックする。放電許可条件の入力があった場合、S132にて、利用者条件設定手段161A(461)は、放電許可1〜Lの条件の入力を検出し、S134にて、入力された放電許可条件を記憶する。記憶完了後、利用者条件設定手段161A(461)は再度ユーザの入力を待ち受ける。
【0134】
放電許可条件の入力がなかった場合、S140にて、利用者条件設定手段161A(461)は許可する条件設定が完了したかをチェックする。完了していなければ、利用者条件設定手段161A(461)は再度ユーザの入力を待ち受ける。完了した場合は、S142にて、利用者条件設定手段161A(461)は入力中の充電場所条件を設定したかチェックする。設定していない場合は、S150にて、利用者条件設定手段161A(461)は標準の提示情報等の充電場所条件を設定する。設定した場合又は標準の充電場所条件を設定後、S144にて、利用者条件設定手段161A(461)は入力中の状態情報条件を設定したかチェックする。設定していない場合は、S152にて、利用者条件設定手段161A(461)は標準の状態情報条件を設定する。設定した場合又は標準の状態情報条件を設定後、S146にて、利用者条件設定手段161A(461)は入力中の放電許可条件を設定したかチェックする。設定していない場合は、S154にて、利用者条件設定手段161A(461)は標準の放電許可条件を設定する。
【0135】
図21は、本実施例における充放電処理を示すフローチャートである。充放電処理S200は、S60にて充電開始操作があった場合に行われる。S202にて、充電場所検出手段133A(433)は通信可能かチェックする。通信不能の場合は以下の処理は行わない。通信可能な場合、S204にて、充電場所検出手段133A(433)は充電場所情報の受信を開始する。開始したら、S300にて、提示情報取得手段136A(436)は充電場所の検出処理を行う。充電場所の検出処理後、S206にて、電力蓄積供給管理装置130Aは充電開始操作の有無をチェックする。
【0136】
充電開始操作が無かった場合、S208にて、電力蓄積供給管理装置130Aは電力装置200Aからの放電要求の有無をチェックする。放電要求が無かった場合、S220にて、電力蓄積供給管理装置130Aは充放電の終了指令を確認し、あれば終了し、なければS206へ戻る。放電要求があった場合、S400にて、給電許可判定手段131A(431)は放電許可判定処理を行う。放電許可判定処理後、S210にて、電力蓄積供給管理装置130Aは放電許可された否かをチェックする。許可されなかった場合、S220にて、電力蓄積供給管理装置130Aは充放電の終了指令を確認し、あれば終了し、なければS206へ戻る。許可された場合、S212にて、電力蓄積供給管理装置130Aは、放電の開始を電力供給制御手段132A(432)に指令し、S214にて、放電の終了を待つ。放電が終了した場合、S216にて、電力蓄積供給管理装置130Aは放電の終了を電力供給制御手段132A(432)に指令し、S218にて、充電が完了した否かチェックする。充電が完了した場合、S220にて、電力蓄積供給管理装置130Aは充放電の終了指令を確認し、あれば終了し、なければS206へ戻る。
【0137】
充電が未完了の場合又はS206で充電開始操作があった場合、S240にて、電力蓄積供給管理装置130Aは充電の開始を電力供給制御手段132A(432)に指令し、S242にて、電力蓄積供給管理装置130Aは電力装置200Aからの放電要求の有無をチェックする。放電要求が無かった場合、S244にて、電力蓄積供給管理装置130Aは充電停止操作の有無をチェックする。充電停止操作があった場合、S220にて、電力蓄積供給管理装置130Aは充放電の終了指令を確認し、あれば終了し、なければS206へ戻る。充電停止操作が無かった場合、S246にて、電力蓄積供給管理装置130Aは電力装置200Aから充電の完了通知を受信した後、S248にて、充電完了をチェックする。充電完了していなければS242へ戻り、充電完了していればS208へ戻る。
【0138】
S242で放電要求があった場合、S400にて、給電許可判定手段131A(431)は放電許可判定処理を行う。放電許可判定処理後、S230にて、電力蓄積供給管理装置130Aは放電許可された否かをチェックする。許可されなかった場合S244へ戻り、許可された場合電力蓄積供給管理装置130Aは充電の停止を電力供給制御手段132A(432)に指令し、その後S212へ戻る。
【0139】
図22は、本実施例における充電場所の検出処理を示すフローチャートである。充電場所の検出処理S300は、S204の次に行われる。S302にて、充電場所検出手段133A(433)は電力装置200Aと通信を開始し、S304にて、電力装置200Aと通信可能か否かチェックする。通信が不可能な場合、再度通信の開始を試みる。通信が可能な場合、S306にて、充電場所検出手段133A(433)は電力装置200Aの情報を受信する。また、S310にて、充電場所検出手段133A(433)はGPS受信の有無をチェックする。受信があった場合は、S320にて、充電場所検出手段133A(433)は位置情報を受信する。受信がなかった場合又は位置情報を受信後、S312にて、充電場所検出手段133A(433)は充電場所情報の記憶がある否かチェックする。記憶が無い場合は、S322にて、充電場所検出手段133A(433)は利用者に充電場所に問い合わせ、S324にて、利用者から充電場所情報の回答をチェックし、回答があれば、S326にて、充電場所情報を記憶する。記憶がある場合又は回答が無い場合は、充電場所の検出処理S300を終了する。
【0140】
図23は、本実施例における放電許可判定処理を示すフローチャートである。放電許可判定処理S400は、充放電処理から呼び出され実行される。S402にて、給電許可判定手段131A(431)は条件設定の番号を1に設定する。S404にて、放電要求の有無をチェックし、なければ待ち続ける。放電要求があった場合、S406にて、給電許可判定手段131A(431)は提示情報を取得し、S408にて、状態情報を取得し、S410にて、条件番号が最大値であるMより大きいかチェックする。条件番号が最大値Mより大きい場合、S430にて、放電を許可しないと判定し、処理を終了する。
【0141】
条件番号が最大値Mより大きくない場合、S412にて、給電許可判定手段131A(431)は充電場所条件を取得する。S414にて、給電許可判定手段131A(431)は充電場所情報は充電場所条件を満たすかチェックする。満たさない場合は、S432にて、給電許可判定手段131A(431)は条件番号を1増やし、S410に戻る。満たす場合は、S416にて、給電許可判定手段131A(431)は状態情報条件を取得する。S418にて、給電許可判定手段131A(431)は状態情報は状態情報条件を満たすかチェックする。満たさない場合は、S432にて、給電許可判定手段131A(431)は条件番号を1増やし、S410に戻る。満たす場合は、S420にて、給電許可判定手段131A(431)は対応する条件番号の放電許可条件を取得する。S422にて、放電許可条件を満たすかチェックする。満たさない場合は、S432にて、給電許可判定手段131A(431)は条件番号を1増やし、S410に戻る。満たす場合は、S424にて、放電を許可すると判定し、放電許可判定処理S400を終了する。
【0142】
図24は、本実施例における電力供給制御手段の処理を示すフローチャートである。電力供給制御手段の処理S500は、充放電処理S200から呼び出され実行される。S502にて、電力供給制御手段132A(432)は充電開始の指令の有無をチェックする。充電開始の指令がなかった場合、S504にて、電力供給制御手段132A(432)は放電開始の指令の有無をチェックする。放電開始の指令がなかった場合、S502に戻る。放電開始の指示があった場合、S506にて、電力供給制御手段132A(432)はリレーを制御して電力装置200Aへの給電を行う状態にする。S508にて、電力供給制御手段132A(432)は放電終了の指示の有無をチェックする。放電終了の指示が無い場合、S502へ戻る。放電終了の指示があった場合、S510にて、電力供給制御手段132A(432)は電力装置200Aの電力需要管理手段230Aに放電終了の通知を行う。S512にて、電力供給制御手段132A(432)は充放電終了の指示の有無かチェックする。充放電終了の指示があった場合は、電力供給制御手段の処理S500を終了し、なかった場合は、S502に戻る。
【0143】
S502で充電開始の指令があった場合、S520にて、電力供給制御手段132A(432)はリレーを制御してバッテリへの充電を行う状態にする。S522にて、電力供給制御手段132A(432)は放電開始の指示の有無をチェックする。放電開始の指示があった場合は、S506に戻る。放電開始の指示がなかった場合、S524にて、電力供給制御手段132A(432)は充電が完了したか否かをチェックする。充電完了していない場合、S526にて、電力供給制御手段132A(432)は充電完了の指示の有無をチェックする。充電終了の指示が無い場合、S522に戻る。充電終了の指示がある場合又は充電完了した場合、S528にて、電力供給制御手段132A(432)は電力需要管理手段230Aに充電の終了を通知し、その後S502に戻る。
【0144】
図25は、本実施例における電力需要管理手段の処理を示すフローチャートである。電力需要管理手段の処理S600は、車両100Aの電力蓄積供給管理装置130Aと協働して実行される、電力装置200Aの電力需要管理手段220Aが行う処理である。S602にて、電力需要管理手段220Aは充電開始の依頼の有無をチェックする。充電開始の依頼が無い場合、S604にて、電力需要管理手段220Aは車両100Aからの給電が必要か否かチェックする。給電の必要がない場合、S602に戻る。給電の必要がある場合、S606にて、電力需要管理手段220Aは車両100Aの電力蓄積供給管理装置130Aに対して放電要求を送信し、S608にて、車両100Aに通知する提示情報を送信する。S610にて、放電の継続が必要か否かをチェックする。放電の継続が必要である場合、電力需要管理手段220Aは必要がなくなるまで待つ。放電の継続が必要ない場合、S612にて、車両100Aの電力蓄積供給管理装置130Aに対して放電の停止要求を送信する。S614にて、電力需要管理手段220Aは制御を終了するか否かチェックし、制御を終了する場合は、電力需要管理手段2001Aの処理を止め、制御を終了しない場合には、S602にもどる。
【0145】
充電開始の依頼がある場合、S620にて、電力需要管理手段220Aは、車両100Aの電力蓄積供給管理装置130Aに対してバッテリを充電するための電力を供給する。S622にて、電力需要管理手段220Aは充電終了の通知の有無をチェックする。通知なければ、その通知を待ち続ける。通知があった場合、S624にて、電力需要管理手段220Aは、車両100Aの電力蓄積供給管理装置130Aに対する電力の供給を停止し、その後S602にもどる。
【0146】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 電力供給システム
2A 電力系統
100 移動装置
110 蓄電手段
120 移動装置側電力供給手段
130 電力蓄積供給管理装置
131 給電許可判定手段
132 電力供給制御手段
133 充電場所検出手段
134 記憶手段
135 状態情報取得手段
136 提示情報取得手段
137 情報入力手段
140 充電場所情報
150 給電許可条件
151 充電場所条件
152 状態情報条件
153 充電付帯条件
154 放電許可条件
160 充電場所情報設定手段
161 利用者条件設定手段
162 表示手段
200 電力装置
210 受電手段
220 電力装置側電力供給手段
230 電力需要管理手段
240 通信手段
250 放電要求手段
301 CPU
302 不揮発性メモリ
303 リレー制御手段
304 リレー
305 無線IDタグ読取手段
306 GPS受信手段
307 CAN通信手段
308 外部通信手段
309 音声入出力手段
310 情報入力手段
311 表示回路
312 タッチパネル制御部
313 タッチパネル付表示部
431 給電許可判定手段
432 電力供給制御手段
433 充電場所検出手段
434 記憶手段
435 状態情報取得手段
436 提示情報取得手段
437 情報入力手段
440 充電場所情報
451 充電場所条件
452 状態情報条件
453 充電付帯条件
454 放電許可条件
460 充電場所情報設定手段
461 利用者条件設定手段
462 表示手段
470 外部情報受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動装置と該移動装置以外の電力装置を電気的に接続することにより、前記移動装置と前記電力装置の間で相互に電力を供給する電力供給システムであって、
前記移動装置は、
前記移動装置が移動するために使用される電力を蓄積する蓄電手段と、
前記移動装置の電力を制御する電力蓄積供給管理装置と、
前記電力装置と電気的に接続する移動装置側電力供給手段と、
を備え、
前記電力装置は、
前記移動装置から電力の供給を受ける受電手段と、
前記移動装置に放電を要求する放電要求手段、
前記受電手段の受電を制御する電力需要管理手段と、
前記移動装置と電気的に接続する電力装置側電力供給手段と、
を備え、
前記電力蓄積供給管理装置は、
前記蓄電手段から前記受電手段への電力の供給許可を判定する給電許可判定手段と、
前記電力装置の場所に関する情報を取得する充電場所検出手段と、
前記移動装置の利用者により前記電力装置の場所に関する情報が設定される充電場所情報設定手段と、
前記充電場所検出手段が取得する又は前記充電場所情報設定手段により設定される前記電力装置に関する情報である充電場所情報と、前記給電許可判定手段が判定に用いる給電許可条件とを記憶する記憶手段と、
前記蓄電手段の充放電を制御する電力供給制御手段と、
を備え、
前記移動装置側電力供給手段と前記電力装置側電力供給手段とを電気的に接続し、前記移動装置が前記電力装置から放電の要求を受けた場合に、前記給電許可判定手段は、前記充電場所検出手段により取得された、または、前記充電場所情報設定手段により設定された前記電力装置の場所に関する情報が、前記記憶手段に予め記憶された前記給電許可条件を満たした場合に、電力の供給を許可し、
前記電力供給制御手段は、前記蓄電手段から前記受電手段への電力の充放電の開始と終了を、前記電力需要管理手段と共に制御し、
前記移動装置から前記電力装置へ電力を供給する電力供給システム。
【請求項2】
前記電力装置は、さらに前記移動装置との間で通信を行う通信手段を備え、
前記移動装置の前記充電場所検出手段は、前記通信手段を介して前記取得情報を取得し、
前記給電許可判定手段は、前記通信手段を介して取得した前記取得情報に基づき判定することを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項3】
蓄電手段を備える移動装置と、該移動装置以外の装置であって受電手段を備える電力装置とを電気的に接続した場合に、前記移動装置に積載され、前記移動装置の前記蓄電手段から前記電力装置の前記受電手段への電力の供給を制御する電力供給装置であって、
前記電力供給装置は、
前記蓄電手段から前記受電手段への電力の供給許可を判定する給電許可判定手段と、
前記電力装置に関する情報を取得する充電場所検出手段と、
前記充電場所検出手段が取得する又は前記移動装置の利用者により設定される前記電力装置に関する情報である充電場所情報と、前記移動装置の利用者により設定される前記給電許可判定手段が判定に用いる給電許可条件とを記憶する記憶手段と、
前記蓄電手段の充放電を制御する電力供給制御手段と、
を備え、
前記移動装置と前記電力装置とを電気的に接続し、前記移動装置が前記電力装置から電力供給の要求を受けた場合に、前記給電許可判定手段は、前記充電場所検出手段が取得する、前記電力装置を特定するための情報を含む取得情報が、前記記憶手段に予め記憶された前記給電許可条件を満たした場合に、電力の供給を許可し、
前記電力供給制御手段は、前記蓄電手段から前記受電手段への電力の放電を開始し、
前記移動装置から前記電力装置への電力の供給を制御する電力供給装置。
【請求項4】
蓄電手段と、電力蓄積供給管理装置と、電力供給手段とを備え、外部電力装置と電気的に接続した場合に、前記蓄電手段から前記外部電力装置へ電力の供給を行う移動装置であって、
前記電力蓄積供給管理装置は、
前記蓄電手段から前記外部電力装置への電力の供給許可を判定する給電許可判定手段と、
前記外部電力装置に関する情報を取得する充電場所検出手段と、
前記充電場所検出手段が取得する又は前記移動装置の利用者により設定される前記外部電力装置に関する情報である充電場所情報と、前記移動装置の利用者により設定される前記給電許可判定手段が判定に用いる給電許可条件とを記憶する記憶手段と、
前記蓄電手段の充放電を制御する電力供給制御手段と、
を備え、
前記電力供給手段により前記外部電力装置と電気的に接続し、前記外部電力装置から電力供給の要求を受けた場合に、前記給電許可判定手段は、前記充電場所検出手段が取得する、前記外部電力装置を特定するための情報を含む取得情報が、前記記憶手段に予め記憶された前記給電許可条件を満たした場合に、電力の供給を許可し、
前記電力供給制御手段は、前記蓄電手段から前記受電手段への電力の放電を開始し、
前記外部電力装置への電力の供給を行う移動装置。
【請求項5】
蓄電手段を備える移動装置と、受電手段を備える前記移動装置以外の電力装置とを電気的に接続した場合に、前記移動装置の前記蓄電手段から前記電力装置の前記受電手段への電力の供給を制御する電力供給方法であって、
前記電力供給方法は、
前記移動装置と前記電力装置とを電気的に接続し、前記移動装置が前記電力装置から電力供給の要求を受けた場合に、前記電力装置を特定するための情報を含む前記電力装置に関する情報を取得する充電場所検出ステップと、
前記移動装置内に予め記憶された給電許可条件と前記電力装置に関する情報である充電場所情報とを取得する情報取得ステップと、
前記充電場所検出ステップが取得した取得情報が、前記給電許可条件を満たした場合に、前記蓄電手段から前記受電手段への電力の供給を許可する給電許可判定ステップと、
前記蓄電手段から前記受電手段への電力の放電を開始すると共に制御する電力供給制御ステップと、
を含む電力供給方法。
【請求項6】
蓄電手段と、記憶手段を有する電力蓄積供給管理装置と、電力供給手段とを備え、外部電力装置と電気的に接続した場合に、前記蓄電手段から前記外部電力装置へ電力の供給を行う移動装置であって、
前記電力蓄積供給管理装置は、前記移動装置の利用者の操作により所定の情報の入力を受けつけ、前記記憶手段に記憶させる情報入力手段を備え、
前記情報入力手段は、
前記所定情報として前記外部電力装置の情報の入力を受けつけ、設定する充電場所情報設定手段と、
前記所定情報として前記給電許可条件の入力を受けつけ、設定する利用者条件設定手段と、
前記充電場所情報設定手段又は前記利用者条件設定手段により設定された情報を表示する表示手段と、
を含むことを特徴とする移動装置。
【請求項7】
蓄電手段を備える移動装置と、該移動装置以外の装置であって受電手段を備える電力装置とを電気的に接続した場合に、前記移動装置に積載され、前記移動装置の前記蓄電手段から前記電力装置の前記受電手段への電力の供給を制御する電力供給装置であって、
前記電力供給装置は、
前記蓄電手段から前記受電手段への電力の供給許可を判定する給電許可判定手段と、
前記電力装置に関する充電場所情報を取得する充電場所検出手段と、
充電場所に関する給電許可条件を記憶する記憶手段と、
前記蓄電手段の充放電を制御する電力供給制御手段と、
を備え、
前記移動装置と前記電力装置とを電気的に接続し、前記移動装置が前記電力装置から電力供給の要求を受けた場合に、前記給電許可判定手段は、前記充電場所検出手段が取得する充電場所情報が、前記記憶手段に予め記憶された前記給電許可条件を満たした場合に、電力の供給を許可し、
前記電力供給制御手段は、前記蓄電手段から前記受電手段への電力の放電を開始する電力供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−178909(P2012−178909A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39682(P2011−39682)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】