電力供給システム及び電力供給方法
【課題】負荷が設置される場所の選定の自由度を向上させる。
【解決手段】直流電力が供給される複数の負荷に、直流電力を供給する電力供給システムであって、供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置と、接続対象に接続され、接続された複数の接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部と、接続部と接続対象との間の導通状態と非導通状態とを切換える複数のスイッチ部とを有し、接続部と、スイッチ部とを介して、電源装置から供給される直流電力を負荷に配電する配電部と、スイッチ部を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部と、検出部が検出した電流値に基づいて、スイッチ部を切換える制御部と、を備え、接続対象には、電源装置と、負荷と、複数の接続部のうちの自接続部以外の他の接続部とが含まれ、各接続部は、少なくとも1つの他の接続部を含む、少なくとも3つの接続対象に、それぞれスイッチ部を介して接続されている。
【解決手段】直流電力が供給される複数の負荷に、直流電力を供給する電力供給システムであって、供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置と、接続対象に接続され、接続された複数の接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部と、接続部と接続対象との間の導通状態と非導通状態とを切換える複数のスイッチ部とを有し、接続部と、スイッチ部とを介して、電源装置から供給される直流電力を負荷に配電する配電部と、スイッチ部を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部と、検出部が検出した電流値に基づいて、スイッチ部を切換える制御部と、を備え、接続対象には、電源装置と、負荷と、複数の接続部のうちの自接続部以外の他の接続部とが含まれ、各接続部は、少なくとも1つの他の接続部を含む、少なくとも3つの接続対象に、それぞれスイッチ部を介して接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置などの負荷の電源として直流電力の供給を行う電力供給システムが利用されている。このような電力供給システムは、例えば電力会社から交流電力の供給を受けているオフィスビルなどに備えられており、交流電力を直流電力に変換する電源装置と、変換された直流電力を情報処理装置に供給する配電設備とを有している。
【0003】
このような電力供給システムは、供給可能な電力よりも消費電力が大きい場合に、電圧低下などの影響が負荷全体に波及することを防止するため、一部の負荷に対する電力の供給を停止して、負荷全体の消費電力を低減させることがある。例えば特許文献1では、電力供給システムは、複数の供給経路のうち、供給経路毎に設定された上限値を超えて電流が流れている供給経路への電力供給を遮断して消費電力を低減させ、影響が負荷全体に波及することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−142012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような電力供給システムは、例えば、負荷の増設や移設などにより、各供給経路の消費電力が変化することがある。この場合、供給可能な電力の上限値を消費電力が超えないように、複数の供給経路のうちから、負荷が接続される供給経路を選定することになる。
しかしながら、上述した従来技術では、供給経路毎に設定された消費電流の上限値に対して負荷を増設する余裕がない供給経路は、負荷の接続先として選定できないため、負荷を増設できる場所が限定されることがある。つまり、上述した従来技術では、負荷が設置される場所を自由に選定することができないという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、負荷が設置される場所の選定の自由度を向上させることができる電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明は、直流電力が供給される複数の負荷に、直流電力を供給する電力供給システムであって、供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置と、接続対象に接続され、接続された複数の前記接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部と、前記接続部と前記接続対象との間を導通状態又は非導通状態に切換える複数のスイッチ部と、前記スイッチ部を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部とを有し、前記接続部と前記スイッチ部とを介して、前記電源装置から供給される直流電力を前記負荷に配電する配電部と、前記検出部が検出した電流値に基づいて、前記スイッチ部を切換える制御部と、を備え、前記接続対象には、前記電源装置と、前記負荷と、複数の前記接続部のうちの自接続部以外の他の接続部とが含まれ、各前記接続部は、少なくとも1つの前記他の接続部を含む、少なくとも3つの前記接続対象に、それぞれ前記スイッチ部を介して接続されていることを特徴とする電力供給システムである。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、i個(iは2以上の整数)の階層に階層化された複数の前記配電部を有し、第1階層には1つの前記配電部が含まれ、第1階層の前記配電部は、前記電源装置に接続され、第j(jは2≦j≦iを満たす整数)階層には、複数の前記配電部が含まれ、第j階層の前記配電部は、第(j−1)階層の前記配電部にそれぞれ接続されるとともに、第j階層の前記配電部のうちの自配電部以外の前記配電部にそれぞれ接続され、第i階層の前記配電部は、前記負荷にそれぞれ接続され、前記電源装置から供給される直流電力を、第1階層から第i階層の順に各配電部を介して前記負荷に供給することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記検出部によって検出された電流値と、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値と、前記スイッチ部の現在の前記配電部の電源供給経路を示す経路情報とに基づいて、前記スイッチ部を流れる電流値が前記上限値を超えないような経路情報を生成して、生成した前記経路情報に応じて前記スイッチ部を切換えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値のいずれかが、当該電流値に対応する上限値であって、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値を超える場合には、当該電流値に対応する前記スイッチ部を非導通状態にさせることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値が、予め記憶されている上限値記憶部と、前記スイッチ部の現在の前記経路情報と、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流されている電流範囲と、に関連付けられて、前記スイッチ部の切換え後の前記経路情報が、予め記憶されている経路情報記憶部とを有し、前記検出部によって検出された電流値と、前記上限値記憶部から読み出した前記上限値とを前記スイッチ部ごとに比較し、いずれかの前記スイッチ部について、前記検出部によって検出された電流値が、前記上限値記憶部から読み出した前記上限値を超えている場合、前記スイッチ部の現在の前記配電部の電源供給経路を示す経路情報と一致する前記スイッチ部の現在の前記経路情報と関連付けられており、かつ、前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値を含む前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流されている電流範囲と関連付けられている、前記予め記憶されている経路情報を前記経路情報記憶部から読み出し、読み出した前記経路情報に応じて前記スイッチ部を切換えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記上限値記憶部に予め記憶されている前記上限値は、前記負荷の消費電力に基づいて定められていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記経路を選択する際に、前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値に基づいて、当該スイッチ部に流すことができる電流の上限値を、記憶されている前記上限値から変更することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記電源装置に供給される交流電力が、少なくとも2つの異なる電源供給系統から供給されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、 前記電源装置から前記負荷に供給される電力が不足する場合に、蓄積した電荷を前記負荷に供給するバッテリーを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記接続部は、直列に接続された少なくとも2つの前記スイッチ部を介して互いに接続されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、直流電力が供給される複数の負荷に、直流電力を供給する電力供給方法であって、供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置に、電力を変換させる変換ステップと、接続対象に接続され、接続された複数の前記接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部と、前記接続部と前記接続対象との間の導通状態と非導通状態とを切換える複数のスイッチ部とを有し、前記接続対象には、前記電源装置と、前記負荷と、複数の前記接続部のうちの自接続部以外の他の接続部とが含まれ、少なくとも1つの前記他の接続部を含む、少なくとも3つの前記接続対象に、それぞれ前記スイッチ部を介して接続され、前記接続部と、前記スイッチ部とを介して、前記電源装置から供給される直流電力を前記負荷に配電する配電部に、電力を配電させる配電ステップと、前記スイッチ部を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部に、電流値を検出させる検出ステップと、前記検出部が検出した電流値に基づいて、前記スイッチ部を切換える制御部に前記スイッチ部を切換えさせる切換えステップと、を有する電力供給方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電力供給システムは、負荷に電力を供給する複数の電力供給経路を備え、負荷の消費電力に応じて、いずれかの電力供給経路を選択することにより、負荷が設置される場所の選定の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態による電源供給システムの構成の一例を示す構成図である。
【図2】電力供給経路の一例を示すブロック図である。
【図3】スイッチユニットの構成の一例を示す構成図である。
【図4】制御部の構成の一例を示す構成図である。
【図5】記憶部の構成の一例を示す構成図である。
【図6】経路を変更する前の電力供給経路の一例を示すブロック図である。
【図7】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】経路を選択できなかった場合の電力供給経路の一例を示すブロック図である。
【図9】経路を変更した後の電力供給経路の一例を示すブロック図である。
【図10】バッテリーを備えている電源供給システムの構成の一例を示す構成図である。
【図11】電力供給系統が異なる交流電力源から供給を受ける電源供給システムの構成の一例を示す構成図である。
【図12】スイッチユニットを電力供給線の両端に備えている構成の一例を示す構成図である。
【図13】本発明の第2の実施形態による電源供給システムの構成の一例を示す構成図である。
【図14】スイッチ部の切換え状態の一例を示すブロック図である。
【図15】本発明の第3の実施形態による制御部の構成の一例を示す構成図である。
【図16】最大値を記憶させる記憶部の構成の一例を示す構成図である。
【図17】上限値を変更する動作の一例を示すフローチャートである。
【図18】ネットワーク状にスイッチユニットを接続した構成の一例を示す構成図である。
【図19】樹枝状にスイッチユニットを接続した構成の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明による電力供給システム1の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における電力供給システム1の構成を示した構成図である。
【0021】
本実施形態の電力供給システム1は、複数の電源装置10(図1の例においては、電源装置10aと電源装置10b)と、配電部20と、制御部50とを備えている。電力供給システム1は、複数の交流電力源40(図1の例においては、交流電力源40aと交流電力源40b)と、複数の負荷30(図1の例においては、負荷30aと負荷30b)とに接続されている。電源装置10aは、交流電力源40aに接続されており、電源装置10bは、交流電力源40bに接続されている。ここで、電源装置10aと電源装置10b、交流電力源40aと交流電力源40b、及び、負荷30aと負荷30bは、それぞれが同様の構成を有しているため、以下の説明において区別する必要がない場合には、それぞれ、電源装置10、交流電力源40、及び負荷30と記載する。
【0022】
本実施形態の電力供給システム1は、例えばオフィスビルに設置されており、交流電力源40として例えば商用電源に接続されている。また、電力供給システム1は、負荷30として例えばサーバ装置などの直流電力によって動作する情報処理装置に接続されている。ここで、本実施形態において、負荷30aは例えばオフィスビルの10階に、負荷30bは例えばオフィスビルの20階に設置されている。つまり、負荷30aと負荷30bとは、互いに異なる場所に設置されている。
【0023】
電源装置10は、供給される交流電力を直流電力に変換して、変換した直流電力を配電部20を介して負荷30に供給する。電源装置10は、それぞれ、電力変換器として例えば整流器101と、スイッチング部102と、電圧検出部103と、電源制御部104とを有している。
整流器101は、供給される交流電力を直流電力に変換する。
スイッチング部102は、例えばスイッチング素子を備えるスイッチングレギュレータであり、整流器101によって変換された直流電力の電圧を変更して(例えば、電圧を降下させて)、電圧を変更した直流電力を出力する。
電圧検出部103は、スイッチング部102から出力される直流電力の電圧を検出する。
電源制御部104は、スイッチング部102と電圧検出部103とに接続されており、スイッチング部102から出力される直流電力の電圧を制御する。例えば、電源制御部104は、電圧検出部103によって検出された電圧と、予め定められた出力電圧の目標値とを比較して、その差を算出する。さらに、電源制御部104は、算出した差に基づいて、スイッチング部102によるスイッチング動作の動作周波数を変更することによって、スイッチング部102から出力される直流電力の電圧を制御する。
【0024】
このようにして、電源装置10は、供給される交流電力を直流電力に変換して、変換した直流電力を配電部20を介して負荷30に供給する。本実施形態の電源装置10は、交流電力源40に接続されており、交流電力源40から供給される例えば電圧が200[V]である交流電力を、整流器101によって例えば電圧が48[V]である直流電力に変換する。
【0025】
配電部20は、複数の電力供給線L(図1の例においては、電力供給線La−1、2、3、4、電力供給線Lb−1、2、3、4と電力供給線Lc−1、2)と、複数のスイッチユニット60(図1の例においては、スイッチユニット60a−1、2と、スイッチユニット60b−1、2と、スイッチユニット60c)と、複数の接続部13(図1の例においては、接続部13aと接続部13b)とを備えている。ここで、電力供給線La−1、2、3、4、電力供給線Lb−1、2、3、4、電力供給線Lc−1、2は、それぞれ同様の構成を有しているため、以下の説明において区別する必要がない場合には、電力供給線Lと記載する。同様に、スイッチユニット60a−1、2、スイッチユニット60b−1、2、スイッチユニット60cを区別する必要がない場合には、スイッチユニット60と記載する。同様に、接続部13aと接続部13bを区別する必要がない場合には、接続部13と記載する。
配電部20は、電源装置10から供給される直流電力を、電力供給線Lとスイッチユニット60と接続部13とによって各負荷30に配電する。
【0026】
電力供給線Lは、電源装置10によって供給される直流電力を、接続される各部に供給する。電力供給線Lは、例えば電流を流す電源ケーブルである。電力供給線Lは、電源ケーブルの太さなどに基づいて、電力供給線Lに流すことができる最大の電流値が予め定められている。
【0027】
接続部13は、それぞれが電力供給線Lに接続される、接続端子130(図1の例においては、接続端子130a−1,2,3と、接続端子130b−1,2,3)を少なくとも3つ有している。
接続部13は、例えばオフィスビルの床下や壁面に設置されている配電盤などに備えられている。接続部13は、接続端子130に接続される複数の電力供給線Lの間において直流電力を相互に供給できるように、接続端子130に接続される各電力供給線Lの間を電気的に接続させている。
【0028】
スイッチユニット60は、スイッチ部12を有しており、制御部50が出力する切換え指令に基づいて入出力端子間を導通状態又は非導通状態に切換える。スイッチユニット60の詳細な構成は、図3を参照して後述する。
【0029】
ここで、本実施形態において、スイッチユニット60a−1は、スイッチ部12a−1を有している。同様に、スイッチユニット60a−2は、スイッチ部12a−2を有している。同様に、スイッチユニット60b−1は、スイッチ部12b−1を、スイッチユニット60b−2は、スイッチ部12b−2を、スイッチユニット60cは、スイッチ部12cを、それぞれ有している。
スイッチユニット60a−1のスイッチ部12a−1は、電力供給線La−1によって電源装置10aに接続され、電力供給線La−2によって接続部13aに接続されている。
スイッチユニット60a−2のスイッチ部12a−2は、電力供給線La−3によって接続部13aに接続され、電力供給線La−4によって負荷30aに接続されている。
スイッチユニット60b−1のスイッチ部12b−1は、電力供給線Lb−1によって電源装置10bに接続され、電力供給線Lb−2によって接続部13bに接続されている。
スイッチユニット60b−2のスイッチ部12b−2は、電力供給線Lb−3によって接続部13bに接続され、電力供給線Lb−4によって負荷30bに接続されている。
スイッチユニット60cのスイッチ部12cは、電力供給線Lc−1によって接続部13aに接続され、電力供給線Lc−2によって接続部13bに接続されている。
【0030】
制御部50は、ネットワーク70を介して各スイッチユニット60に接続されており、スイッチユニット60の切換え動作を制御する。
【0031】
ここで、本実施形態において電力供給システム1は、電源装置10から、負荷30に電力を供給する経路である電力供給経路Pとして、図2(a)〜(d)に示すように、スイッチユニット60の切換えの状態に対応した4パターンの電力供給経路Pを有する。
図2は、本実施形態の電力供給経路Pの一例を示している。
【0032】
電力供給経路Pの第1パターン(電力供給経路Pa)として、電力供給システム1は、電源装置10aが、スイッチユニット60a−1と、接続部13aと、スイッチユニット60a−2とを介して、負荷30aに接続されている電力供給経路Pa−1を有している。それとともに、電力供給システム1は、電源装置10bが、スイッチユニット60b−1と、接続部13bと、スイッチユニット60b−2とを介して、負荷30bに接続されている電力供給経路Pa−2を有している(図2(a)を参照)。
このとき、スイッチユニット60a−1と、スイッチユニット60a−2と、スイッチユニット60b−1と、スイッチユニット60b−2とは、導通状態(つまりON状態)に切換えられている。また、スイッチユニット60cは、非導通状態(つまりOFF状態)に切換えられている。
【0033】
電力供給経路Pの第2パターン(電力供給経路Pb)として、電力供給システム1は、電源装置10aが、スイッチユニット60a−1と、接続部13aと、スイッチユニット60a−2とを介して、負荷30aに接続されている電力供給経路Pb−1を有している。それとともに、電力供給システム1は、電源装置10aが、スイッチユニット60a−1と、接続部13aと、スイッチユニット60cと、接続部13bと、スイッチユニット60b−2とを介して、負荷30bに接続されている電力供給経路Pb−2を有している(図2(b)を参照)。
このとき、スイッチユニット60a−1と、スイッチユニット60a−2と、スイッチユニット60b−2と、スイッチユニット60cとは、導通状態に切換えられている。また、スイッチユニット60b−1は、非導通状態に切換えられている。
【0034】
電力供給経路Pの第3パターン(電力供給経路Pc)として、電力供給システム1は、電源装置10bが、スイッチユニット60b−1と、接続部13bと、スイッチユニット60b−2とを介して、負荷30bに接続されている電力供給経路Pc−1を有している。それとともに、電力供給システム1は、電源装置10bが、スイッチユニット60b−1と、接続部13bと、スイッチユニット60cと、接続部13aと、スイッチユニット60a−2とを介して、負荷30aに接続されている電力供給経路Pc−2を有している。(図2(c)を参照)。
このとき、スイッチユニット60a−1と、スイッチユニット60a−2と、スイッチユニット60b−2と、スイッチユニット60cとは、導通状態に切換えられている。また、スイッチユニット60b−1は、非導通状態に切換えられている。
【0035】
電力供給経路Pの第4パターン(電力供給経路Pd)として、電力供給システム1は、上述した図2(a)の電力供給経路Pa−1の接続部13aと、電力供給経路Pa−2の接続部13bとが、スイッチユニット60cを介して接続される電力供給経路を有している。すなわち、電源装置10aが負荷30aと接続されている電力供給経路Pd−1と、電源装置10aが負荷30bに接続されている電力供給経路Pd−2と、電源装置10bが負荷30aと接続されている電力供給経路Pd−3と、電源装置10bが負荷30bに接続されている電力供給経路Pd−4とを有している(図2(d)を参照)。
このとき、すべてのスイッチユニット60は、導通状態に切換えられている。
【0036】
次に、図3を用いて、スイッチユニット60の構成について説明する。
図3は、スイッチユニット60の構成を示す図である。
スイッチユニット60は、それぞれ、上述したスイッチ部12のほかに、検出部14と、スイッチ制御部124とを有している。本実施形態において、スイッチユニット60a−1は、上述したスイッチ部12a−1のほかに、検出部14a−1と、スイッチ制御部124a−1とを有している。同様に、スイッチユニット60a−2は、上述したスイッチ部12a−2のほかに、検出部14a−2と、スイッチ制御部124a−2とを備えている。同様に、スイッチユニット60b−1は、上述したスイッチ部12b−1のほかに、検出部14b−1と、スイッチ制御部124b−1とを、スイッチユニット60b−2は、上述したスイッチ部12b−2のほかに、検出部14b−2と、スイッチ制御部124b−2とを、スイッチユニット60cは、上述したスイッチ部12cのほかに、検出部14cと、スイッチ制御部124cとを有している。
【0037】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、ネットワーク70を介して制御部50に接続され、制御部50との通信を行う。本実施形態のネットワーク70は、例えば無線LANやイーサネット(登録商標)などである。スイッチ制御部124は、各スイッチユニット60を識別するために各スイッチユニット60に割り当てられた固有の識別番号として、例えば固有のスイッチ識別番号を有している。なお、固有のスイッチ識別番号は、例えばイーサネット(登録商標)のIP番号などでもよい。
【0038】
制御部50からネットワーク70を介して各スイッチユニット60に送信される通信パケットには、検出部14に対する検出指令と、スイッチ部12に対する切換え指令と、通信対象であるスイッチユニット60のスイッチ識別番号とが含まれている。
スイッチ制御部124は、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致する場合は、その通信パケットを受信する。一方、スイッチ制御部124は、自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致しない場合は、その通信パケットを破棄する。
【0039】
スイッチユニット60のスイッチ部12は、入出力端子121aと、入出力端子121bと、スイッチ123とを有している。
スイッチ123は、例えば半導体スイッチを含み、スイッチ制御部124が出力する駆動電圧によって、入出力端子120aと入出力端子120bとの間を導通状態又は非導通状態に切換える。スイッチ123には、スイッチ123を流すことができる電流の上限値が予め定められている。
【0040】
スイッチユニット60の検出部14は、スイッチ部12の入出力端子121a及び入出力端子121bの間に流れる電流の電流値を検出する。検出部14は、例えばスイッチ123を流れる電流によってスイッチ123の周囲に誘起される磁界に応じた電流値を検出する。
【0041】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、受信した通信パケットに含まれる、自スイッチユニット60に対する切換え指令に基づいてスイッチ123を制御する。スイッチ制御部124は、受信した通信パケットに非導通状態への切換え指令が含まれる場合には、所定の駆動電圧を出力することによって、半導体スイッチ123を導通状態に切換えて、入出力端子120aと入出力端子120bとの間を導通状態にさせる。また、スイッチ制御部124は、受信した通信パケットに導通状態への切換え指令が含まれる場合には、所定の駆動電圧を出力することによって、半導体スイッチ123を非導通状態に切換えて、入出力端子120aと入出力端子120bとの間を非導通状態にする。
【0042】
また、スイッチ制御部124は、受信した通信パケットに含まれる検出指令に基づいて、検出された電流値を検出部14から取得する。スイッチ制御部124は、取得した電流値と、自スイッチユニット60のスイッチ部12を識別する番号としてのスイッチ識別番号とを含む通信パケットを生成して、生成した通信パケットをネットワーク70を介して制御部50に送信する。
【0043】
次に、図4及び図5を用いて制御部50の構成について説明する。
図4は、制御部50の構成を示す図である。
制御部50は、通信部501と、取得部502と、記憶部503と、読み出し部504と、比較部505と、判定部506と、指令部507を有している。
【0044】
記憶部503は、図5(a)に示すように、上限値記憶部511と、経路情報記憶部512とを有している。
図5は、記憶部503の上限値記憶部511と、経路情報記憶部512とに記憶される情報の構成を示す図である。
上限値記憶部511には、図5(b)に示すように、各スイッチ部12に流すことができる電流の上限値が、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号に関連付けられて、上限値情報として予め記憶されている。本実施形態においては、最大電流値は、電源装置10が供給できる直流電力の最大値に、例えば1.2倍の係数を乗じた値にして予め設定されている。
【0045】
本実施形態における一例として、上限値記憶部511には、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号として、スイッチユニット60a−1にはID1が割り当てられて記憶されている。同様に、上限値記憶部511には、スイッチユニット60a−2にはID2が、スイッチユニット60b−1にはID3が、スイッチユニット60b−2にはID4が、スイッチユニット60cにはID5が、それぞれ割り当てられて記憶されている。また、各スイッチユニット60のスイッチ部12に流すことができる電流の上限値として、スイッチ部12a−1と、スイッチ部12cとには240[A]が、スイッチ部12b−1と、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2とには480[A]が、スイッチ識別番号ごとに予め記憶されている(図5(b)を参照)。
【0046】
経路情報記憶部512には、配電部20の電源供給経路Pを示す経路情報として、スイッチユニット60の切換え前(つまり現在)の経路情報と、スイッチユニット60(スイッチ部12)ごとに定められる、スイッチユニット60を流れる電流値の範囲の情報とに関連付けられて、スイッチユニット60の切換え後の経路情報が、予め記憶されている。本実施形態では、経路情報記憶部512には、経路情報として、それぞれのスイッチユニット60についての導通状態(つまりON状態)又は非導通状態(つまりOFF状態)を示す情報が記憶されている。例えば、経路情報記憶部512には、電力供給経路Paの経路情報として、スイッチユニット60a−1、2及びスイッチユニット60b−1、2が導通状態であり、スイッチユニット60cが非導通状態であることを示す情報が記憶されている。また、例えば、経路情報記憶部512には、図2(a)〜(d)に示す電力供給経路Paと、電力供給経路Pbと、電力供給経路Pcと、電力供給経路Pdとの、それぞれの経路情報がスイッチユニット60の切換え後の電力供給経路Pとして記憶されている。この、スイッチユニット60の切換え後の電力供給経路Pは、スイッチユニット60の現在の電力供給経路Pを示す情報と、スイッチユニット60ごとに定められる、スイッチユニット60を流れる電流値の範囲(つまり電流範囲)の情報とに基づいて、切換え後の電力供給経路Pが選択されるように、予め経路情報記憶部512に記憶されている(図5(c)を参照)。ここで、図5(c)の場合、経路情報記憶部512には、例えば、切換え後の電力供給経路Pとして電力供給経路Pdを示す経路情報が予め記憶されている。電力供給経路Pdを示す経路情報は、例えば、スイッチユニット60の現在の電力供給経路Paと、スイッチユニット60a−1(スイッチ識別番号ID1)に流れる電流値Iの範囲が240<I≦360であることを示す情報とに関連付けられている。同様に、電力供給経路Pdを示す経路情報は、スイッチユニット60a−2(スイッチ識別番号ID2)及びスイッチユニット60b−1(スイッチ識別番号ID3)に流れる電流値Iの範囲がI≦360であることを示す情報とに関連付けられている。同様に、電力供給経路Pdを示す経路情報は、スイッチユニット60b−2(スイッチ識別番号ID4)に流れる電流値Iの範囲がI≦480であり、スイッチユニット60c(スイッチ識別番号ID5)に流れる電流値Iの範囲がI=0であることを示す情報とに関連付けられている。
【0047】
再び図4を参照して制御部50の構成を説明する。
通信部501は、ネットワーク70を介して各スイッチユニット60(のスイッチ制御部124)との通信を行う。
指令部507は、通信部501と接続されており、通信部501及びネットワーク70を介してスイッチユニット60に対して、検出指令と、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号とを含む通信パケットを送信することにより、スイッチユニット60のスイッチ制御部124に対して電流値の検出を指令する。
【0048】
取得部502は、検出指令に応じてスイッチユニット60から送信され、通信部501によって受信された電流値とスイッチ識別番号とを取得する。
比較部505は、読み出し部504によって読み出された複数の上限値情報のうちから、取得部502によって取得されたスイッチ識別番号に関連付けられた上限値情報を、比較対象の上限値情報として選択し、選択した上限値情報と、取得部502によって取得された電流値とを比較する。
読み出し部504は、比較部505からの読み出し指令に応じて上限値記憶部511から上限値情報と、経路情報記憶部512から経路情報とをそれぞれ読み出す。
【0049】
判定部506は、比較部505によって上限値情報と電流値とが比較された結果に基づいて、各スイッチ部12を切換えるか否かを判定する。判定部506は、いずれかのスイッチ部12を切換えると判定した場合には、スイッチ部12の現在の経路情報と、スイッチ部12ごとに定められるスイッチ部12に流されている電流範囲を示す情報とに基づいて、読み出し部504によって読み出された複数の経路情報のうちから、いずれかの電力供給経路Pを選択する。次に、判定部506は、選択した電力供給経路Pに応じた各スイッチ部12の切換えの状態を経路情報記憶部512から取得する。次に、判定部506は、経路情報から取得したスイッチ部12の切換えの状態に基づいて、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号と、切換え指令とを含む通信パケットを生成し、生成した通信パケットを通信部501に出力する。
このようにして制御部50は各検出部14によって検出された電流値に基づいて、各スイッチ部12を切換えさせることにより、電源装置10から負荷30に直流電力を供給する電力供給経路Pを選択する。
【0050】
次に、図6〜図9を用いて本実施形態の電力供給システム1の動作について説明する。
図6(a)は、本実施形態の電力供給経路Pの一例を示す図である。
図6(b)は、各スイッチユニット60のスイッチ部12を示すスイッチ識別番号と、上限値記憶部511に記憶されている各スイッチ部12の上限値と、制御部50がスイッチユニット60の検出部14から取得した電流値との関係を示す表である。
本実施形態における前提条件の一例として、図6(a)に示すように、電源装置10aは電圧が48[V]である10[kW]の直流電力を負荷30aに供給することができるものとする。また、電源装置10bは電圧が48[V]である20[kW]の直流電力を負荷30bに供給することができるものとする。つまり、図6(a)は、図2(a)で示した電力供給経路Paを示している。
【0051】
また、図6(b)に示すように、制御部50の上限値記憶部511には、スイッチ部12a−1の上限値及びスイッチ部12cの上限値として、240[A]がそれぞれ記憶されているものとする。同様に、上限値記憶部511には、スイッチ部12a−2、スイッチ部12b−1、及びスイッチ部12b−2の上限値として、240[A]がそれぞれ記憶されているものとする。また、一例として、負荷30aは5[kW]の、負荷30bは10[kW]の直流電力を消費しているものとする。このときスイッチ部12a−1及びスイッチ部12a−2を流れる電流は、約104.2[A]であり、スイッチ部12b−1及びスイッチ部12b−2を流れる電流は、約208.3[A]である。また、スイッチ部12cを流れる電流は0[A]である。これらの電流値は、検出部14によって検出され、ネットワーク70を介して制御部50が取得している。
【0052】
また、経路情報記憶部512には、上述した図5(c)に示したように、経路情報記憶部512には、スイッチ部12の現在の経路情報と、スイッチ部12ごとに定められるスイッチ部12に流されている電流値の範囲(つまり電流範囲)と示す情報とに関連付けられて、スイッチ部12の切換え後の経路情報が、予め記憶されている。
【0053】
ここで、例えば情報処理装置などの新たな負荷30cが、負荷30aと並列に、スイッチ部12a−2(スイッチ識別番号ID2)に接続されるとする。負荷30cは、例えば電圧が48[V]、消費電力が10[kW]である。このとき、本実施形態においては、図6(b)に示す取得された電流値のうち、スイッチ部12a−1及びスイッチ部12a−2の電流値は、104.2[A]から312.5[A]に増加する。つまり、スイッチ部12a−1を流れる電流の電流値は、スイッチ部12a−1の上限値240[A]を超える。
このとき、制御部50と各スイッチユニット60とは次のように動作する。
【0054】
図7は、制御部50の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部50の指令部507は、例えば一定時間ごとに、各スイッチユニット60が備える検出部14に対して電流の検出を指令する(ステップS100)。本実施形態では、指令部507は、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号ID1と検出指令とを含む通信パケットを、通信部501及びネットワーク70を介して、スイッチユニット60a−1に対して送信する。同様に、指令部507は、スイッチユニット60a−2に対してスイッチ識別番号ID2と検出指令とを含む通信パケットを送信する。同様に、指令部507は、スイッチユニット60b−1に対してスイッチ識別番号ID3と検出指令とを含む通信パケットを、スイッチユニット60b−2に対してスイッチ識別番号ID4と検出指令とを含む通信パケットを、スイッチユニット60cに対してスイッチ識別番号ID5と検出指令とを含む通信パケットを、それぞれ送信する。
【0055】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致する場合には、その通信パケットを受信する。一方、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致しない場合には、その通信パケットを破棄する(ステップS150)。本実施形態では、例えば、スイッチユニット60a−1のスイッチ制御部124は、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号ID1が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号ID1と一致する場合に、その通信パケットを受信する。同様に、各スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致するスイッチ識別番号を含む制御部50から送信される通信パケットを受信する。
【0056】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、受信した通信パケットに、検出指令が含まれているか否かを判定する(ステップS160)。スイッチ制御部124は、検出指令が含まれていると判定した場合には、ステップS170に処理を進める(ステップS160−YES)。スイッチ制御部124は、検出指令が含まれていないと判定した場合には、処理を終了する(ステップS160−NO)。
【0057】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、検出部14によって検出された電流値を、検出部14から取得する(ステップS170)。本実施形態においては、スイッチユニット60a−1のスイッチ制御部124は、電流値として例えば312.5[A]を取得する。この電流値は48[V]において、5[kW]を消費する負荷30aと、10[kW]を消費する負荷30cとに供給されている電流の値に相当する。同様に、スイッチユニット60a−2のスイッチ制御部124は、電流値として312.5[A]を取得する。同様に、スイッチユニット60b−1及びスイッチユニット60b−2のスイッチ制御部124は、電流値として208[A]を算出する。また、同様に、スイッチユニット60cのスイッチ制御部124は、電流値として0[A]を取得する。
【0058】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、算出した電流値と、自スイッチユニット60のスイッチ部12を識別する番号としてのスイッチ識別番号とを含む通信パケットを生成して、生成した通信パケットを制御部50に送信する(ステップS180)。本実施形態では、スイッチユニット60a−1のスイッチ制御部124は、電流値として312.5[A]と、自スイッチユニット60のスイッチ識別番号ID1とを含む通信パケットを生成して、生成した通信パケットを制御部50に送信する。同様に、スイッチユニット60a−2のスイッチ制御部124は、電流値として312.5[A]と、自スイッチユニット60のスイッチ識別番号ID2とを含む通信パケットを生成して、生成した通信パケットを制御部50に送信する。スイッチユニット60b−1、スイッチユニット60b−2、スイッチユニット60cについても同様である。
【0059】
制御部50の通信部501は、各スイッチユニット60のスイッチ制御部124から送信された通信パケットを受信する(ステップS190)。
制御部50の取得部502は、通信部501によって受信された通信パケットに含まれる電流値とスイッチ識別番号とを取得する(ステップS200)。
【0060】
制御部50の読み出し部504は、上限値記憶部511から、受信されたスイッチ識別番号に対応する上限値情報をそれぞれ読み出す(ステップS210)。本実施形態では、読み出し部504は、スイッチユニット60a−1の上限値情報として、スイッチ識別番号ID1に対応する上限値情報240[A]を読み出す。他のスイッチユニット60についても同様に上限値情報を読み出す。
【0061】
制御部50の比較部505は、読み出し部504によって読み出された各スイッチユニット60の上限値情報のうちの、取得部502によって取得されたスイッチ識別番号に対応した上限値情報と、取得部502によって取得された電流値とを比較する(ステップS220)。本実施形態では、比較部505は、スイッチ識別番号ID1に関連付けられているスイッチユニット60a−1の上限値情報240[A]を選択し、上限値情報240[A]と、取得部502によって取得された電流値312.5[A]とを比較して、値の大小関係を得る。この場合、比較部505は、取得された電流値が上限値より大きいことを比較の結果として判定部506に出力する。ステップ比較部505は、S220を繰り返して、他のスイッチユニット60についても同様に上限値情報と、取得された電流値とを比較する。
【0062】
制御部50の判定部506は、比較部505による比較の結果に基づいて、取得された電流値が上限値を超えていると判定する場合には、ステップS240に処理を進める(ステップS230−YES)。一方、判定部506は、比較部505による比較の結果に基づいて、取得された電流値が上限値を超えていないと判定する場合には、処理を終了する(ステップS230−NO)。
【0063】
制御部50の読み出し部504は、予め記憶されている経路情報を経路情報記憶部512から読み出して、経路情報を取得する(ステップS240)。この経路情報は、スイッチユニット60(スイッチ部12)の現在の配電部20の電源供給経路Pを示す経路情報と一致するスイッチユニット60の現在の経路情報と関連付けられている。さらに、この経路情報は、ステップS200において検出部14によって検出されたスイッチユニット60を流れる電流の電流値を含むスイッチユニット60ごとに定められるスイッチユニット60に流されている電流範囲とも関連付けられている。
【0064】
本実施形態では、例えば、読み出し部504は、図5(c)に示す経路情報記憶部512から、スイッチユニット60の現在の配電部20の電源供給経路Paを示す経路情報と一致するスイッチユニット60の現在の経路情報(つまり電源供給経路Pa)を検索する。さらに、読み出し部504は、図5(c)に示す経路情報記憶部512から、スイッチユニット60ごとに定められるスイッチユニット60に流されている電流範囲の情報を、ステップS200において検出部14によって検出された電流値によって検索する。例えば、スイッチユニット60a−1を流れる電流値として検出された電流値は、ステップS220において説明したとおり312.5[A]である。したがって、経路情報記憶部512から、スイッチユニット60a−1に定められるスイッチユニット60a−1に流されている電流範囲の情報として、240[A]を超え、360[A]以下である電流範囲の情報が、読み出し部504によって検索される。他のスイッチユニット60の電流範囲についても同様の検索を行う。このようにして、読み出し部504は、切換え後の電力供給経路Pとして、図5(c)に示す電力供給経路Pdを読み出す。
【0065】
制御部50の判定部506は、経路情報記憶部512に記憶されている複数の経路情報に、すべてのスイッチユニット60について電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pが存在する場合、つまり、ステップS240において経路情報を取得できた場合は、電力供給経路Pを選択可能と判定する。一方、判定部506は、すべてのスイッチユニット60について電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pが存在しない場合、つまり、ステップS240において経路情報を取得できなかった場合は、電力供給経路Pを選択不可能と判定する(ステップS250)。
【0066】
本実施形態では、配電部20は、電力供給経路Pとして上述した図2に示す4つの経路を有している。このうち、電力供給経路Pとして、図2(d)に示す経路、つまり電力供給経路Pdを選択すると、図9に示すような状態の電力供給経路Pを選択する。この結果、スイッチユニット60a−1は、電流値が上限値を超えない状態になる。したがって、判定部506は、電力供給経路Pdを選択可能と判定する。
図9は、本実施形態の変更後の電力供給経路Pの一例を示す図である。
図9に示すように、電力供給経路Pdを選択する場合には、取得部502によって取得された電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pとなる。
【0067】
再び図7を参照して動作を説明する。
制御部50の判定部506は、電力供給経路Pdを変更後の電力供給経路Pとして選択して、ステップS260に処理を進める(ステップS250−YES)。一方、判定部506は、電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pを選択できなかった場合には、ステップS270に処理を進める(ステップS250−NO)。
【0068】
電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pを選択できた場合、判定部506は、経路情報記憶部512から読み出された、選択された電力供給経路Pに基づいて、スイッチユニット60の切換え指令を生成する(ステップS260)。本実施形態では、判定部506は、選択した電力供給経路Pとして、例えば、上述した図2(d)に示す電力供給経路Pdを選択する。さらに判定部506は、各スイッチ部12の切換え状態が、電力供給経路Pd、つまり図9に示す各スイッチ部12の切換えの状態となるように、スイッチユニット60の切換え指令を生成する。具体的には、判定部506は、スイッチユニット60a−1、2と、スイッチユニット60b−1、2とスイッチユニット60cとを導通状態(つまりON状態)にする切換え指令をそれぞれ生成する。判定部506は、ステップS280に処理を進める。
【0069】
一方、電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pを選択できなかった場合、判定部506は、電流値が上限値を超えるスイッチ部12を非導通状態(つまりOFF状態)にさせる切換え指令を生成する(ステップS270)。具体的には、判定部506は、スイッチユニット60a−1と、スイッチユニット60cとを非導通状態にし、スイッチユニット60a−2と、スイッチユニット60b−1、2とを導通状態にする切換え指令を生成する。
図8は、電流値が上限値を超えるスイッチ部12として、スイッチ部12a−1を非導通状態にさせた状態を示す。
次に、判定部506は、ステップS280に処理を進める。
【0070】
さらに判定部506は、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号と、前ステップ(ステップS260又はS270)によって生成された切換え指令とを含むスイッチユニット60ごとの通信パケットを生成する(ステップS280)。
【0071】
通信部501は、ステップS280において生成された通信パケットをネットワーク70に出力して処理を終了する(ステップS290)。
【0072】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致する場合には、その通信パケットを受信する。一方、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致しない場合には、その通信パケットを破棄する(ステップS300)。本実施形態では、スイッチユニット60a−1のスイッチ制御部124は、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号ID1が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号ID1と一致するため、その通信パケットを受信する。同様に、各スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致するスイッチ識別番号を含む制御部50から送信される通信パケットを受信する。
次に、スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、受信した通信パケットに、スイッチ部12の切換え指令が含まれているか否かを判定する(ステップS310)。
そして、スイッチ制御部124は、スイッチ部12の切換え指令が含まれていると判定した場合(ステップS310−YES)は、スイッチ部12の切換え指令に基づいて、スイッチ部12を導通状態又は非導通状態にして処理を終了する(ステップS320)。
一方、スイッチ制御部124は、スイッチ部12の切換え指令が含まれていると判定した場合(ステップS310−NO)は、処理を終了する。
【0073】
このようにして制御部50は各検出部14によって検出された電流値と予め記憶されている上限値とに基づいて、各スイッチ部12を切換えることにより、電源装置10から負荷30に直流電力を供給する電力供給経路Pを選択する。つまり、本実施形態の電力供給システム1は、電力供給経路Pを動的に選択することができる。
【0074】
ここで、電力供給経路Pの動的な選択及び切換えができない電力供給システムにおいては、負荷30を増設する場合に、電力の供給に余裕がある供給経路を予め選択する必要がある。つまり、負荷を増設する場所は、電力の供給に余裕がある供給経路が設置されている場所に制約される。
一方、本実施形態の電力供給システム1によれば、負荷30の設置場所として、負荷30aが設置されている場所と、負荷30bが設置されている場所とのいずれであっても選定することができる。
【0075】
上述したように、本実施形態の電力供給システム1は、供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置10と、配電部20とを有している。この配電部20は、接続対象に接続され、接続された複数の接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部13と、接続部13と接続対象との間の導通状態と非導通状態とを切換える複数のスイッチ部12とを有している。また、配電部20は、接続部13と、スイッチ部12とを介して、電源装置10から供給される直流電力を負荷30に配電する。また、電力供給システム1は、スイッチ部12を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部14と、検出部14が検出した電流値に基づいて、スイッチ部12を切換える制御部50と、を備えている。また、上述の接続対象には、電源装置10と、負荷30と、複数の接続部13のうちの自接続部13以外の他の接続部13とが含まれ、各接続部13は、少なくとも1つの他の接続部13を含む、少なくとも3つの接続対象に、それぞれスイッチ部12を介して接続されている
【0076】
これにより、本実施形態の電力供給システム1は、負荷30の消費電力に基づいて、電力供給経路Pを切換えることにより、複数の電源装置10に接続されている電力供給経路Pの間において電力を相互に供給させることができる。このため、負荷30は、電源装置10aと電源装置10bとのいずれからも、電力の供給を受けることができる。したがって、電源装置10aの供給可能電力を超える消費電力の負荷30cを、負荷30aが設置されている場所に設置することができる。このように、本実施形態の電力供給システム1は、負荷30が設置される場所の選定の自由度を向上させることができる。
【0077】
上述したように、本実施形態の電力供給システム1は、配電部20においてスイッチユニット60を複数組み合わせた複数の電力供給経路Pを有している。言い換えれば、この電力供給経路Pは、電源装置10から負荷30に電力を供給する物理ネットワークである。また、本実施形態の電力供給システム1は、制御部50と、配電部20が有する複数のスイッチユニット60とをネットワーク70を介して接続して、制御部50がそれぞれのスイッチユニット60の導通状態又は非導通状態を切換え可能にしている。そして、制御部50には、これらスイッチユニット60の導通状態又は非導通状態を切換えることによって形成される電力供給経路Pの経路情報が記憶されている。言い換えれば、このネットワーク70及び経路情報は、各スイッチユニット60の接続状態を切換える論理ネットワークである。このようにして、本実施形態の電力供給システム1は、電力供給経路Pの切換えを担当する論理ネットワークと、実際に電力供給経路Pを形成する物理ネットワークとが対になって電力供給システム1を目的に応じて制御するパワールーティングを実現させる。
【0078】
また、本実施形態において、制御部50は、上限値記憶部511と経路情報記憶部512とを有している。この上限値記憶部511には、スイッチ部12ごとに定められるスイッチ部12に流すことができる電流の上限値が、予め記憶されている。また、経路情報記憶部512には、電力供給線Lと、導通状態に切換えられたスイッチ部12とを介して電源装置10と負荷30とが接続される電源供給の経路を示す情報が、経路に含まれるスイッチ部12の上限値と関連付けられて、経路情報として予め記憶されている。そして、制御部50は、検出部14によって検出された電流値と記憶されている経路情報とに基づいて、スイッチ部12を流れる電流値が上限値を超えないような電力供給の経路を経路情報から選択して、選択した電源供給の経路に応じてスイッチ部12を切換える。
これにより、本実施形態の電力供給システム1は、複数の電力供給経路Pの間において電力を相互に供給させる際に、検出された電流値と、予め定められている経路とに基づいて電力供給経路Pを切換えることができる。このため、電力供給システム1は、自動的かつ瞬時に電力供給経路Pを切換えることができる。
【0079】
また、本実施形態において制御部50は、検出部14によって検出されたスイッチ部12を流れる電流の電流値が、上限値記憶部511に記憶されている上限値を超える場合には、当該スイッチ部12を非導通状態にさせる。
これにより、本実施形態の電力供給システム1は、供給電流が設計値を上回って増加した場合には、自動的に電力供給経路Pを非導通状態にするため、過電流による電源装置10や電力供給線Lの過熱を防止することができ、安全に電力を供給することができる。
【0080】
また、本実施形態において上限値記憶部511に予め記憶されている上限値は、負荷30の消費電力に基づいて定められている。
これにより、本実施形態の電力供給システム1は、負荷30の消費電力に基づいて電流の上限値を定めることができるため、負荷30の動作に必要となる最小限の上限値を定めることができる。このため、電力供給システム1は、より多くのスイッチユニット60に直流電力を配分することができ、スイッチユニット60と接続部13とをさらに増やすことができる。この場合には、さらに負荷30が設置される場所の自由度を向上させることができる。
【0081】
なお、配電部20は、図10に示すように直流電力を蓄えるバッテリー90を備えていてもよい。
図10は、バッテリー90を備えている電力供給システム1の構成を示す図である。例えば、バッテリー90は、配電部20のいずれかの接続部13に電力供給線Lを介して接続されていてもよい。例えば、図10に示すように、バッテリー90は、配電部20の接続部13bに電力供給線Ldを介して接続されていてもよい。この場合、電力供給システム1は、負荷30の消費電力が増加してから、制御部50によって電力供給経路Pが選択され、スイッチユニット60のスイッチ部12に切換え動作をさせるまでの間に、バッテリー90から電力を供給することができる。これにより、電力供給システム1は、スイッチ部12の切換え動作の際や停電時など、供給される電力が不足する場合においても信頼性の高い電力供給源として、電力を負荷30に供給することができる。
【0082】
なお、本実施形態において、電力供給システム1は、図11に示すように、電源装置10に供給される交流電力が、少なくとも2つの異なる電源供給系統から供給されていてもよい。例えば、電力供給システム1は、複数の交流電力源40として、電力供給系統が異なる交流電力源40aおよび交流電力源40bから交流電力の供給を受けてもよい。
図11は電力供給系統が異なる交流電力源40から供給を受ける場合の構成図である。
例えば、交流電力源40aと交流電力源40bとは、異なる変電所SSから供給される交流電力源40であってもよい。例えば交流電力源40aは変電所SS1から、交流電力源40bは変電所SS2から供給される交流電力源40であってもよい。これにより、一方の電力供給系統に故障が発生して電力の供給が受けられなくなっても、他方の電力供給系統から供給される交流電力によって直流電力を供給し続けることができる。つまり、電力供給システム1は、2つ以上の電力供給系統を有する信頼性の高い電力供給源として、負荷30に電力を供給することができる。
【0083】
なお、本実施形態の電力供給システム1において、配電部20は、スイッチユニット60を5つ備えている構成を説明したが、これに限られない。例えば、スイッチユニット60の数と接続部13の数とは、電源装置10や電力供給線Lや負荷30の数に応じて変更されてもよく、この場合には、さらに負荷30が設置される場所の自由度を向上させることができる。
【0084】
なお、本実施形態の電力供給システム1において、配電部20は、図12に示すように、電力供給線Lに直列に接続された少なくとも2つの前記スイッチ部12を備えていてもよい。例えば、配電部20は、スイッチユニット60を電力供給線Lの両端に備えていてもよい。
図12は、スイッチユニット60を電力供給線Lc−2の両端に備えている電力供給システム1の構成を示す図である。
図12において、配電部20は、スイッチユニット60c−1と、スイッチユニット60c−2とを備えている。
スイッチユニット60c−1は、電力供給線Lc−1を介して接続部13aと接続されている。スイッチユニット60c−2は、電力供給線Lc−3を介して接続部13bと接続されている。また、これらのスイッチユニット60c−1とスイッチユニット60c−2とは、電力供給線Lc−3を介して互いに接続されている。
【0085】
ここで、例えば電力供給線Lc−2を交換する場合に、制御部50は、スイッチユニット60c−1が備えるスイッチ部12c−1と、スイッチユニット60c−2が備えるスイッチ部12c−2とをいずれも非導通状態にする。これにより、負荷30a及び負荷30bへの電力供給を停止することなく、電力供給線Lc−2を交換することができる。また、例えば電力供給線Lc−2に新たな負荷30dを接続する場合に、スイッチ部12c−1と、スイッチ部12c−2とをいずれも非導通状態にすることにより、電力供給線Lc−2に電流が流れない状態にして負荷30dを接続することができる。これにより、負荷30a及び負荷30bへの電力供給を停止することなく、負荷30dの増設作業を安全に行うことができる。
【0086】
[第2の実施形態]
以下、図面に基づき、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成及び動作については説明を省略する。
図13は、樹状に接続される電力供給システム1の構成を示す図である。
本実施形態の電力供給システム1は、図13に示すように、複数の配電部20として、配電部20−1と、配電部20−2aと、配電部20−2bとを有している。
配電部20−1は、電源装置10aと、配電部20−2aと、配電部20−2bとに接続されている。配電部20−2aは、配電部20−1と、配電部20−2bと、負荷30a1と、負荷30b1とに接続されている。配電部20−2bは、配電部20−1と、配電部20−2aと、負荷30a−2と、負荷30b−2とに接続されている。
つまり、電力供給システム1は、系統K1と系統K2とがそれぞれ階層化されて、同一の階層LYの系統K1の配電部20と系統K2の配電部20とが互いに接続されている配電部20を有している。本実施形態の電力供給システム1は、例えば図13に示すように、系統K1と系統K2との配電部20の階層LYとして、第1階層LY1と、第2階層LY2とを有している。
【0087】
本実施形態の制御部50は、同一の階層LYの系統K1の配電部20と系統K2の配電部20とを接続するスイッチ部12を予め非導通状態にしている。例えば、制御部50は、系統K1の配電部20−2aと系統K2の配電部20−2bとを接続するスイッチユニット60c−22のスイッチ部12c−22を予め非導通状態にしている。
制御部50は、第1の実施形態と同様に、電力供給システム1に接続される負荷30の増設などにより、スイッチ部12を流れる電流の電流値が、予め記憶されている上限値を超える場合には、スイッチ部12に切換え指令を出力して、系統K1及び系統K2内において電力供給経路Pを変更する。
【0088】
そして、電力供給システム1に接続される負荷30がさらに増設され、例えば一方の系統K1の消費電力が大きくなり、制御部50は、系統K1内において電流値が上限値以下であるという条件を満たす電力供給経路Pを選定できなかったとする。この場合、制御部50は、検出部14によって検知された電流値に基づいて、系統K1と系統K2とを接続するスイッチ部12c−22を導通状態に切換えて、系統K1及び系統K2間において電力を相互に供給させるように電力供給経路Pを選択する。
【0089】
このように、本実施形態の電力供給システム1は、i個(iは2以上の整数)の階層LYに階層化された複数の配電部20を有し、第1階層LY1には1つの配電部20が含まれ、第1階層LY1の配電部20は、電源装置10に接続され、第j(jは2≦j≦iを満たす整数)階層LYjには、複数の配電部20が含まれている。また、第j階層LYjの配電部20は、第(j−1)階層LY(j−1)の配電部20にそれぞれ接続されるとともに、第j階層LYjの配電部20のうちの自配電部20以外の配電部20にそれぞれ接続され、第i階層LYiの配電部20は、負荷30にそれぞれ接続されている。そして、電力供給システム1は、電源装置10から供給される直流電力を、第1階層LY1から第i階層LYiの順に各配電部20を介して負荷30に供給する。
このため、複数の系統Kとして例えば、同一の階層LYに備えられている系統K1と系統K2との配電部20間において、供給する電力を相互に供給させることができるため、例えば系統K2に比べ、系統K1の消費電力が大きくなった場合に、系統K2から系統K1に電力を供給することができる。これにより、新たな電源装置10や電力供給線Lを接続することなく、電力の供給ができるため、負荷30が設置される場所の自由度を向上させることができる。
【0090】
なお、配電部20は、第1の実施形態と同様に、直流電力を蓄えるバッテリー90を備えていてもよい。つまり、バッテリー90は、配電部20のいずれかの接続部13に電力供給線Lを介して接続されていてもよい。この場合、複数の系統Kのうち、いずれかの系統Kにバッテリー90を備えれば、スイッチ部12を介して他の系統Kに対してもバッテリー90から電力を供給することができる。つまり、本実施形態の電力供給システム1は、すべての系統Kにバッテリー90を備えている必要がないため、バッテリー90の設置面積や設置費用を少なくすることができる。
【0091】
[第3の実施形態]
以下、図面に基づき、本発明の第3の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同じ構成及び動作については説明を省略する。
【0092】
図14は、本実施形態の制御部350がスイッチ部12を制御した結果を示す図である。
ここで、本実施形態の前提条件として例えば、電源装置10aは電圧が48[V]である10[kW]の、電源装置10bは電圧が48[V]である20[kW]の直流電力を負荷30に供給することができるものとする。また、負荷30aの消費電力は5[kW]とし、負荷30bの消費電力は10[kW]とする(図14(a))。
【0093】
図15は、本実施形態の制御部350の構成を示す図である。
本実施形態の制御部350は、上述した実施形態の制御部50が有する記憶部50に代えて、記憶部303を有する。また、本実施形態の制御部350は、上述した実施形態の制御部50が有する各部に加えて、書き込み部308を有する。
記憶部303は、上述した実施形態の記憶部503が有する上限値記憶部511に代えて、上限値記憶部311を有する。
書き込み部308は、判定部506の指令に応じて、入力された情報を記憶部303に書き込む。
図16は、本実施形態の記憶部303の構成を示す図である。
本実施形態の上限値記憶部311には、各スイッチ部12に流すことができる電流の最大値と、各スイッチ部12に流すことができる電流の上限値とが、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号に関連付けられて、予め記憶されている。
本実施形態の制御部50は、検出部14によって検出された、各スイッチ部12を流れる電流の電流値に基づいて、上限値記憶部311に記憶されている電流の上限値を変更して、上限値記憶部311に記憶させる。この電流の上限値は、上限値記憶部311に記憶されている電流の最大値を超えない範囲において制御部50によって設定される。
【0094】
この上限値記憶部311に記憶されている電流の最大値は、電源装置10が供給できる直流電力の最大値に基づいて予め設定されている。本実施形態においては、電流の最大値は、電源装置10が供給できる直流電力の最大値に、係数として例えば1.2を乗じた値にして予め設定されている。例えば、図16(b)に示すように、スイッチ部12a−1には電流の最大値として240[A]が設定され、スイッチ部12b−1と、スイッチ部12cとには電流の最大値として360[A]が設定される。これは、例えば、電源装置10aが電圧48[V]、電力10[kW]の直流電力を負荷30に供給するため、電力供給経路Pをどのように選択しても、スイッチ部12a−1には、約200[A]しか電流が流れないことに基づいている。他の設定値も同様である。
また、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2との電流の最大値はスイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2とを合わせて720[A]が設定されて上限値記憶部311に記憶されている。これは、例えば、電源装置10aが電圧48[V]、電力10[kW]の直流電力を負荷30に供給し、電源装置10bが電圧48[V]、電力20[kW]の直流電力を負荷30に供給するため、電力供給経路Pをどのように選択しても、スイッチ部12a−2およびスイッチ部12b−2には、合わせて最大約600[A]しか電流が流れないことに基づいている。
【0095】
制御部350は、検出部14によって検出された電流値と、記憶されている電流の最大値とに基づいて、各スイッチ部12を流れる電流の上限値を設定する。このとき、制御部350は、スイッチ部12a−2の電流の上限値と、スイッチ部12b−2の電流の上限値との合計値が、記憶されている最大電流値720[A]を超えない値にして、各スイッチ部12の上限値を設定する。上述の前提条件の場合、制御部350は、各スイッチ部12の上限値として、例えばスイッチ部12a−1を240[A]に、スイッチ部12b−1を360[A]にそれぞれ設定する。同様に、制御部350は、各スイッチ部12の上限値として、スイッチ部12a−2を120[A]に、スイッチ部12b−2を240[A]にそれぞれ設定する。また、制御部350は、スイッチ部12cの上限値として、スイッチ部12b−1と、スイッチ部12b−2との上限値の差に基づいて、120[A]に設定する。
【0096】
ここで、例えば情報処理装置などの新たな負荷30eが、負荷30aと並列に、スイッチ部12a−2(スイッチ識別番号ID2)に接続されるとする。負荷30cは、例えば電圧が48[V]、消費電力が10[kW]である。ここで、第1の実施形態におけるステップS100〜ステップS200の各ステップによって、制御部350は、スイッチ部12a−2を流れる電流を取得している。つまり、制御部350は、スイッチ部12a−2を流れる電流値として312.5[A]を取得している。また、スイッチ部12a−2に流すことができる電流の最大値480[A]は、読み出し部504によって、上限値記憶部311から読み出されているものとする。
このとき、制御部350は、スイッチ部12a−2の上限値を360[A]に変更できるか否かを判定する。
【0097】
図17は、本実施形態の制御部350の動作を示すフローチャートである。
比較部505は、第1の実施形態におけるステップS220の処理をおこなう(ステップS500)。本実施形態では、比較部505は、スイッチ識別番号ID1に関連付けられているスイッチユニット60a−1の上限値情報240[A]を選択し、上限値情報240[A]と、取得部502によって取得された電流値312.5[A]とを比較する。比較部505、取得された電流値が上限値を超えていることを比較の結果として判定部506に出力する。
【0098】
判定部506は、比較部505による比較の結果に基づいて、取得された電流値が上限値を超えているか否かを判定する(ステップS510)。判定部506は、比較部505による比較の結果に基づいて、取得された電流値が上限値を超えていると判定する場合には、ステップS520に処理を進める(ステップS510−YES)。一方、判定部506は、比較部505による比較の結果に基づいて、取得された電流値が上限値を超えていないと判定する場合には、処理を終了する(ステップS510−NO)。
【0099】
判定部506は、取得部502によって取得された電流値と、読み出し部504によって読み出されたスイッチ部12a−2に流すことができる電流の最大値とを比較する(S520)。ここで、判定部506は、取得された電流値に係数として例えば1.2を乗じて得られた値が、読み出された最大値以下であれば、処理をステップS520に進める(S520−YES)。一方、判定部506は、取得された電流値に係数として例えば1.2を乗じて得られた値が、読み出された最大値を超えている場合には、処理を終了する(ステップS520−NO)。ここで、スイッチ部12b−2の上限値は240[A]であり、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2とを合わせた最大電流値は720[A]である。つまり、スイッチ部12a−2の上限値を360[A]にすると、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2との上限値を合わせた値は、最大電流値720[A]以下の600[A]になる。したがって、制御部350は、スイッチ部12a−2の上限値を360[A]に変更できると判定し、スイッチ部12a−2の上限値を360[A]に変更する。
【0100】
判定部506は、取得された電流値に係数として例えば1.2を乗じて得られた値を、スイッチ部12a−2に流すことができる電流の上限値として書き込み部308を介して上限値記憶部311に記憶させる(ステップS530)。例えば、判定部506は、上限値375[A]を、スイッチユニット60a−2のスイッチ識別番号ID2と関連付けて、書き込み部308を介して上限値記憶部311に記憶させる。
【0101】
次に、制御部350は、処理を第1の実施形態におけるステップS210に相当するステップに処理を戻して、ステップS210以降の処理に相当する処理を進める。つまり、制御部350は、図14(b)に示すように、スイッチ部12cを導通状態に切換えて、電源装置10bから負荷30a及び負荷30eに直流電力を供給させる。
【0102】
ここで、負荷30eに代えて負荷30fが接続されて、負荷30aと負荷30fとを合わせた消費電力が15[kW]から25[kW]に増加したとする。
このとき制御部350は、上述したステップS500〜ステップS530によって処理をする。具体的には、制御部350は、スイッチ部12a−2を流れる電流が約520[A]になったことを検出部14を介して検出する。このとき、制御部350は、スイッチ部12a−2の上限値を620[A]に変更できるか否かを判定する。ここで、制御部350の上限値記憶部311に記憶されている、スイッチ部12b−2の上限値は240[A]であり、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2とを合わせた最大電流値は720[A]である。このため、スイッチ部12a−2の上限値を設定可能な最大値は、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2とを合わせた最大電流値720[A]と、スイッチ部12b−2の上限値は240[A]の差であり、480[A]となる。このようにして、判定部506は、スイッチ部12a−2の上限値を620[A]に変更できないと判定する。
【0103】
次に、制御部350は、上述したように第1の実施形態のステップS210以降の処理を行う。この結果、判定部506は、電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pを選択できなかったと判定して、スイッチ部12a−2を非導通状態にする(図14(c)を参照)。
【0104】
上述したように、本実施形態の電力供給システム1によれば、電力供給経路Pを選択する際に、スイッチ部12を流れる電流に基づいて上限値を変更するため、電源供給経路Pにおいて最も負荷30aに近いにスイッチ部12a−2を非導通状態にすることができる。つまり、本実施形態の電力供給システム1によれば、電源装置10に近い他のスイッチ部12に影響が及ぶことを防止できる。
【0105】
このように、本実施形態の電力供給システム1が備える制御部350は、検出部14によって検出されたスイッチ部12を流れる電流の電流値に基づいて、当該スイッチ部12に流すことができる電流の上限値を、記憶されている上限値から変更する。
これにより、本実施形態の電力供給システム1は、負荷30の消費電力に基づいて電流の上限値を定めることができるため、負荷30の動作に必要となる最小限の上限値を定めることができる。このため、電力供給システム1は、より多くのスイッチユニット60に直流電力を配分することができ、スイッチユニット60と接続部13とをさらに増やすことができる。この場合には、さらに負荷30が設置される場所の自由度を向上させることができる。
【0106】
さらに、電力供給システム1は、負荷30の増設などにより消費電力が変化しても、負荷30の動作に必要となる最大電流値の範囲内において最小限の上限値を定めることができる。また、電力供給システム1は、負荷30の消費電力がさらに大きくなり、電源供給経路Pが選択できなくなった場合には、スイッチ部12の非導通状態にすることができる。これにより、負荷30の消費電力が供給可能な電力を上回った場合に、電源供給を停止する範囲を小さくすることができる。
【0107】
なお、本実施形態の電力供給システム1において、配電部20は、スイッチユニット60を5つ備えている構成を説明したが、これに限られない。例えば、スイッチユニット60と接続部13とは、電源装置10や負荷30の数に応じて備えられてもよく、この場合には、さらに負荷30が設置される場所の自由度を向上させることができる。
【0108】
例えば、図18に示すように、配電部20は、スイッチユニット60を7つ備え、スイッチユニット60を相互に接続し、直流電源として、例えば、太陽電池PVを接続する構成であってもよい。これにより、例えば太陽電池PVによって供給される直流電力を各負荷30に配電する電力供給経路を選択することができる。したがって、太陽電池PVが直流電力を供給することができる場合には、交流電力源40aに代えて、太陽電池PVから直流電力を供給することができ、交流電力源40からの供給電力を低減させることができる。
【0109】
また、図18に示すように、直流電源として、例えばバッテリー90を有する電源装置10cを接続する構成であってもよい。これにより、例えば交流電力源40a〜40cからの電力供給が一時的に停止した場合であっても、バッテリー90からの直流電力を各負荷30a〜30cに供給する電力供給経路を選択すれば、各負荷30a〜30cに直流電力を供給し続けることができる。したがって、例えば、いずれかの交流電力源40が停電した場合や、いずれかの電源装置10の交換などの場合においても、各負荷30a〜30cを動作させ続けることができる。
【0110】
なお、図18において、スイッチユニット60をネットワーク状に相互に接続した構成を説明したが、図19に示すように、スイッチユニット60を樹枝状に相互に接続した構成としてもよい。この場合、図18に示した場合と同様、直流電源として太陽電池PVやバッテリー90を接続する構成であってもよい。これによって、図18に示した場合と同様に、いずれかの交流電力源40が停電した場合や、いずれかの電源装置10の交換などの場合においても、各負荷30を動作させ続けることができる。
【0111】
なお、上述の実施形態において、負荷30aは例えばオフィスビルの10階に、負荷30bは例えばオフィスビルの20階に設置されていると説明したがこれに限られない。例えば、負荷30a及び負荷30bは、ビルの同じ階の異なる場所などに設置されていてもよい。
【0112】
なお、上述の実施形態における電力供給システム1に含まれる制御部50(又は制御部350)又は、この制御部50(又は制御部350)が備える各部、スイッチ制御部124、又は、このスイッチ制御部124が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この各部はメモリ及びCPU(中央演算装置)により構成され、各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0113】
また、上述の実施形態における各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0114】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0115】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0116】
1…電力供給システム、10…電源装置、12…スイッチ部、13…接続部、14…検出部、20…配電部、30…負荷、50、350…制御部、60…スイッチユニット(スイッチ部)、90…バッテリー、311、511…上限値記憶部、512…経路情報記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置などの負荷の電源として直流電力の供給を行う電力供給システムが利用されている。このような電力供給システムは、例えば電力会社から交流電力の供給を受けているオフィスビルなどに備えられており、交流電力を直流電力に変換する電源装置と、変換された直流電力を情報処理装置に供給する配電設備とを有している。
【0003】
このような電力供給システムは、供給可能な電力よりも消費電力が大きい場合に、電圧低下などの影響が負荷全体に波及することを防止するため、一部の負荷に対する電力の供給を停止して、負荷全体の消費電力を低減させることがある。例えば特許文献1では、電力供給システムは、複数の供給経路のうち、供給経路毎に設定された上限値を超えて電流が流れている供給経路への電力供給を遮断して消費電力を低減させ、影響が負荷全体に波及することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−142012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような電力供給システムは、例えば、負荷の増設や移設などにより、各供給経路の消費電力が変化することがある。この場合、供給可能な電力の上限値を消費電力が超えないように、複数の供給経路のうちから、負荷が接続される供給経路を選定することになる。
しかしながら、上述した従来技術では、供給経路毎に設定された消費電流の上限値に対して負荷を増設する余裕がない供給経路は、負荷の接続先として選定できないため、負荷を増設できる場所が限定されることがある。つまり、上述した従来技術では、負荷が設置される場所を自由に選定することができないという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、負荷が設置される場所の選定の自由度を向上させることができる電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明は、直流電力が供給される複数の負荷に、直流電力を供給する電力供給システムであって、供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置と、接続対象に接続され、接続された複数の前記接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部と、前記接続部と前記接続対象との間を導通状態又は非導通状態に切換える複数のスイッチ部と、前記スイッチ部を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部とを有し、前記接続部と前記スイッチ部とを介して、前記電源装置から供給される直流電力を前記負荷に配電する配電部と、前記検出部が検出した電流値に基づいて、前記スイッチ部を切換える制御部と、を備え、前記接続対象には、前記電源装置と、前記負荷と、複数の前記接続部のうちの自接続部以外の他の接続部とが含まれ、各前記接続部は、少なくとも1つの前記他の接続部を含む、少なくとも3つの前記接続対象に、それぞれ前記スイッチ部を介して接続されていることを特徴とする電力供給システムである。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、i個(iは2以上の整数)の階層に階層化された複数の前記配電部を有し、第1階層には1つの前記配電部が含まれ、第1階層の前記配電部は、前記電源装置に接続され、第j(jは2≦j≦iを満たす整数)階層には、複数の前記配電部が含まれ、第j階層の前記配電部は、第(j−1)階層の前記配電部にそれぞれ接続されるとともに、第j階層の前記配電部のうちの自配電部以外の前記配電部にそれぞれ接続され、第i階層の前記配電部は、前記負荷にそれぞれ接続され、前記電源装置から供給される直流電力を、第1階層から第i階層の順に各配電部を介して前記負荷に供給することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記検出部によって検出された電流値と、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値と、前記スイッチ部の現在の前記配電部の電源供給経路を示す経路情報とに基づいて、前記スイッチ部を流れる電流値が前記上限値を超えないような経路情報を生成して、生成した前記経路情報に応じて前記スイッチ部を切換えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値のいずれかが、当該電流値に対応する上限値であって、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値を超える場合には、当該電流値に対応する前記スイッチ部を非導通状態にさせることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値が、予め記憶されている上限値記憶部と、前記スイッチ部の現在の前記経路情報と、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流されている電流範囲と、に関連付けられて、前記スイッチ部の切換え後の前記経路情報が、予め記憶されている経路情報記憶部とを有し、前記検出部によって検出された電流値と、前記上限値記憶部から読み出した前記上限値とを前記スイッチ部ごとに比較し、いずれかの前記スイッチ部について、前記検出部によって検出された電流値が、前記上限値記憶部から読み出した前記上限値を超えている場合、前記スイッチ部の現在の前記配電部の電源供給経路を示す経路情報と一致する前記スイッチ部の現在の前記経路情報と関連付けられており、かつ、前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値を含む前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流されている電流範囲と関連付けられている、前記予め記憶されている経路情報を前記経路情報記憶部から読み出し、読み出した前記経路情報に応じて前記スイッチ部を切換えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記上限値記憶部に予め記憶されている前記上限値は、前記負荷の消費電力に基づいて定められていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記経路を選択する際に、前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値に基づいて、当該スイッチ部に流すことができる電流の上限値を、記憶されている前記上限値から変更することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記電源装置に供給される交流電力が、少なくとも2つの異なる電源供給系統から供給されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、 前記電源装置から前記負荷に供給される電力が不足する場合に、蓄積した電荷を前記負荷に供給するバッテリーを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記接続部は、直列に接続された少なくとも2つの前記スイッチ部を介して互いに接続されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、直流電力が供給される複数の負荷に、直流電力を供給する電力供給方法であって、供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置に、電力を変換させる変換ステップと、接続対象に接続され、接続された複数の前記接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部と、前記接続部と前記接続対象との間の導通状態と非導通状態とを切換える複数のスイッチ部とを有し、前記接続対象には、前記電源装置と、前記負荷と、複数の前記接続部のうちの自接続部以外の他の接続部とが含まれ、少なくとも1つの前記他の接続部を含む、少なくとも3つの前記接続対象に、それぞれ前記スイッチ部を介して接続され、前記接続部と、前記スイッチ部とを介して、前記電源装置から供給される直流電力を前記負荷に配電する配電部に、電力を配電させる配電ステップと、前記スイッチ部を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部に、電流値を検出させる検出ステップと、前記検出部が検出した電流値に基づいて、前記スイッチ部を切換える制御部に前記スイッチ部を切換えさせる切換えステップと、を有する電力供給方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電力供給システムは、負荷に電力を供給する複数の電力供給経路を備え、負荷の消費電力に応じて、いずれかの電力供給経路を選択することにより、負荷が設置される場所の選定の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態による電源供給システムの構成の一例を示す構成図である。
【図2】電力供給経路の一例を示すブロック図である。
【図3】スイッチユニットの構成の一例を示す構成図である。
【図4】制御部の構成の一例を示す構成図である。
【図5】記憶部の構成の一例を示す構成図である。
【図6】経路を変更する前の電力供給経路の一例を示すブロック図である。
【図7】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】経路を選択できなかった場合の電力供給経路の一例を示すブロック図である。
【図9】経路を変更した後の電力供給経路の一例を示すブロック図である。
【図10】バッテリーを備えている電源供給システムの構成の一例を示す構成図である。
【図11】電力供給系統が異なる交流電力源から供給を受ける電源供給システムの構成の一例を示す構成図である。
【図12】スイッチユニットを電力供給線の両端に備えている構成の一例を示す構成図である。
【図13】本発明の第2の実施形態による電源供給システムの構成の一例を示す構成図である。
【図14】スイッチ部の切換え状態の一例を示すブロック図である。
【図15】本発明の第3の実施形態による制御部の構成の一例を示す構成図である。
【図16】最大値を記憶させる記憶部の構成の一例を示す構成図である。
【図17】上限値を変更する動作の一例を示すフローチャートである。
【図18】ネットワーク状にスイッチユニットを接続した構成の一例を示す構成図である。
【図19】樹枝状にスイッチユニットを接続した構成の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明による電力供給システム1の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における電力供給システム1の構成を示した構成図である。
【0021】
本実施形態の電力供給システム1は、複数の電源装置10(図1の例においては、電源装置10aと電源装置10b)と、配電部20と、制御部50とを備えている。電力供給システム1は、複数の交流電力源40(図1の例においては、交流電力源40aと交流電力源40b)と、複数の負荷30(図1の例においては、負荷30aと負荷30b)とに接続されている。電源装置10aは、交流電力源40aに接続されており、電源装置10bは、交流電力源40bに接続されている。ここで、電源装置10aと電源装置10b、交流電力源40aと交流電力源40b、及び、負荷30aと負荷30bは、それぞれが同様の構成を有しているため、以下の説明において区別する必要がない場合には、それぞれ、電源装置10、交流電力源40、及び負荷30と記載する。
【0022】
本実施形態の電力供給システム1は、例えばオフィスビルに設置されており、交流電力源40として例えば商用電源に接続されている。また、電力供給システム1は、負荷30として例えばサーバ装置などの直流電力によって動作する情報処理装置に接続されている。ここで、本実施形態において、負荷30aは例えばオフィスビルの10階に、負荷30bは例えばオフィスビルの20階に設置されている。つまり、負荷30aと負荷30bとは、互いに異なる場所に設置されている。
【0023】
電源装置10は、供給される交流電力を直流電力に変換して、変換した直流電力を配電部20を介して負荷30に供給する。電源装置10は、それぞれ、電力変換器として例えば整流器101と、スイッチング部102と、電圧検出部103と、電源制御部104とを有している。
整流器101は、供給される交流電力を直流電力に変換する。
スイッチング部102は、例えばスイッチング素子を備えるスイッチングレギュレータであり、整流器101によって変換された直流電力の電圧を変更して(例えば、電圧を降下させて)、電圧を変更した直流電力を出力する。
電圧検出部103は、スイッチング部102から出力される直流電力の電圧を検出する。
電源制御部104は、スイッチング部102と電圧検出部103とに接続されており、スイッチング部102から出力される直流電力の電圧を制御する。例えば、電源制御部104は、電圧検出部103によって検出された電圧と、予め定められた出力電圧の目標値とを比較して、その差を算出する。さらに、電源制御部104は、算出した差に基づいて、スイッチング部102によるスイッチング動作の動作周波数を変更することによって、スイッチング部102から出力される直流電力の電圧を制御する。
【0024】
このようにして、電源装置10は、供給される交流電力を直流電力に変換して、変換した直流電力を配電部20を介して負荷30に供給する。本実施形態の電源装置10は、交流電力源40に接続されており、交流電力源40から供給される例えば電圧が200[V]である交流電力を、整流器101によって例えば電圧が48[V]である直流電力に変換する。
【0025】
配電部20は、複数の電力供給線L(図1の例においては、電力供給線La−1、2、3、4、電力供給線Lb−1、2、3、4と電力供給線Lc−1、2)と、複数のスイッチユニット60(図1の例においては、スイッチユニット60a−1、2と、スイッチユニット60b−1、2と、スイッチユニット60c)と、複数の接続部13(図1の例においては、接続部13aと接続部13b)とを備えている。ここで、電力供給線La−1、2、3、4、電力供給線Lb−1、2、3、4、電力供給線Lc−1、2は、それぞれ同様の構成を有しているため、以下の説明において区別する必要がない場合には、電力供給線Lと記載する。同様に、スイッチユニット60a−1、2、スイッチユニット60b−1、2、スイッチユニット60cを区別する必要がない場合には、スイッチユニット60と記載する。同様に、接続部13aと接続部13bを区別する必要がない場合には、接続部13と記載する。
配電部20は、電源装置10から供給される直流電力を、電力供給線Lとスイッチユニット60と接続部13とによって各負荷30に配電する。
【0026】
電力供給線Lは、電源装置10によって供給される直流電力を、接続される各部に供給する。電力供給線Lは、例えば電流を流す電源ケーブルである。電力供給線Lは、電源ケーブルの太さなどに基づいて、電力供給線Lに流すことができる最大の電流値が予め定められている。
【0027】
接続部13は、それぞれが電力供給線Lに接続される、接続端子130(図1の例においては、接続端子130a−1,2,3と、接続端子130b−1,2,3)を少なくとも3つ有している。
接続部13は、例えばオフィスビルの床下や壁面に設置されている配電盤などに備えられている。接続部13は、接続端子130に接続される複数の電力供給線Lの間において直流電力を相互に供給できるように、接続端子130に接続される各電力供給線Lの間を電気的に接続させている。
【0028】
スイッチユニット60は、スイッチ部12を有しており、制御部50が出力する切換え指令に基づいて入出力端子間を導通状態又は非導通状態に切換える。スイッチユニット60の詳細な構成は、図3を参照して後述する。
【0029】
ここで、本実施形態において、スイッチユニット60a−1は、スイッチ部12a−1を有している。同様に、スイッチユニット60a−2は、スイッチ部12a−2を有している。同様に、スイッチユニット60b−1は、スイッチ部12b−1を、スイッチユニット60b−2は、スイッチ部12b−2を、スイッチユニット60cは、スイッチ部12cを、それぞれ有している。
スイッチユニット60a−1のスイッチ部12a−1は、電力供給線La−1によって電源装置10aに接続され、電力供給線La−2によって接続部13aに接続されている。
スイッチユニット60a−2のスイッチ部12a−2は、電力供給線La−3によって接続部13aに接続され、電力供給線La−4によって負荷30aに接続されている。
スイッチユニット60b−1のスイッチ部12b−1は、電力供給線Lb−1によって電源装置10bに接続され、電力供給線Lb−2によって接続部13bに接続されている。
スイッチユニット60b−2のスイッチ部12b−2は、電力供給線Lb−3によって接続部13bに接続され、電力供給線Lb−4によって負荷30bに接続されている。
スイッチユニット60cのスイッチ部12cは、電力供給線Lc−1によって接続部13aに接続され、電力供給線Lc−2によって接続部13bに接続されている。
【0030】
制御部50は、ネットワーク70を介して各スイッチユニット60に接続されており、スイッチユニット60の切換え動作を制御する。
【0031】
ここで、本実施形態において電力供給システム1は、電源装置10から、負荷30に電力を供給する経路である電力供給経路Pとして、図2(a)〜(d)に示すように、スイッチユニット60の切換えの状態に対応した4パターンの電力供給経路Pを有する。
図2は、本実施形態の電力供給経路Pの一例を示している。
【0032】
電力供給経路Pの第1パターン(電力供給経路Pa)として、電力供給システム1は、電源装置10aが、スイッチユニット60a−1と、接続部13aと、スイッチユニット60a−2とを介して、負荷30aに接続されている電力供給経路Pa−1を有している。それとともに、電力供給システム1は、電源装置10bが、スイッチユニット60b−1と、接続部13bと、スイッチユニット60b−2とを介して、負荷30bに接続されている電力供給経路Pa−2を有している(図2(a)を参照)。
このとき、スイッチユニット60a−1と、スイッチユニット60a−2と、スイッチユニット60b−1と、スイッチユニット60b−2とは、導通状態(つまりON状態)に切換えられている。また、スイッチユニット60cは、非導通状態(つまりOFF状態)に切換えられている。
【0033】
電力供給経路Pの第2パターン(電力供給経路Pb)として、電力供給システム1は、電源装置10aが、スイッチユニット60a−1と、接続部13aと、スイッチユニット60a−2とを介して、負荷30aに接続されている電力供給経路Pb−1を有している。それとともに、電力供給システム1は、電源装置10aが、スイッチユニット60a−1と、接続部13aと、スイッチユニット60cと、接続部13bと、スイッチユニット60b−2とを介して、負荷30bに接続されている電力供給経路Pb−2を有している(図2(b)を参照)。
このとき、スイッチユニット60a−1と、スイッチユニット60a−2と、スイッチユニット60b−2と、スイッチユニット60cとは、導通状態に切換えられている。また、スイッチユニット60b−1は、非導通状態に切換えられている。
【0034】
電力供給経路Pの第3パターン(電力供給経路Pc)として、電力供給システム1は、電源装置10bが、スイッチユニット60b−1と、接続部13bと、スイッチユニット60b−2とを介して、負荷30bに接続されている電力供給経路Pc−1を有している。それとともに、電力供給システム1は、電源装置10bが、スイッチユニット60b−1と、接続部13bと、スイッチユニット60cと、接続部13aと、スイッチユニット60a−2とを介して、負荷30aに接続されている電力供給経路Pc−2を有している。(図2(c)を参照)。
このとき、スイッチユニット60a−1と、スイッチユニット60a−2と、スイッチユニット60b−2と、スイッチユニット60cとは、導通状態に切換えられている。また、スイッチユニット60b−1は、非導通状態に切換えられている。
【0035】
電力供給経路Pの第4パターン(電力供給経路Pd)として、電力供給システム1は、上述した図2(a)の電力供給経路Pa−1の接続部13aと、電力供給経路Pa−2の接続部13bとが、スイッチユニット60cを介して接続される電力供給経路を有している。すなわち、電源装置10aが負荷30aと接続されている電力供給経路Pd−1と、電源装置10aが負荷30bに接続されている電力供給経路Pd−2と、電源装置10bが負荷30aと接続されている電力供給経路Pd−3と、電源装置10bが負荷30bに接続されている電力供給経路Pd−4とを有している(図2(d)を参照)。
このとき、すべてのスイッチユニット60は、導通状態に切換えられている。
【0036】
次に、図3を用いて、スイッチユニット60の構成について説明する。
図3は、スイッチユニット60の構成を示す図である。
スイッチユニット60は、それぞれ、上述したスイッチ部12のほかに、検出部14と、スイッチ制御部124とを有している。本実施形態において、スイッチユニット60a−1は、上述したスイッチ部12a−1のほかに、検出部14a−1と、スイッチ制御部124a−1とを有している。同様に、スイッチユニット60a−2は、上述したスイッチ部12a−2のほかに、検出部14a−2と、スイッチ制御部124a−2とを備えている。同様に、スイッチユニット60b−1は、上述したスイッチ部12b−1のほかに、検出部14b−1と、スイッチ制御部124b−1とを、スイッチユニット60b−2は、上述したスイッチ部12b−2のほかに、検出部14b−2と、スイッチ制御部124b−2とを、スイッチユニット60cは、上述したスイッチ部12cのほかに、検出部14cと、スイッチ制御部124cとを有している。
【0037】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、ネットワーク70を介して制御部50に接続され、制御部50との通信を行う。本実施形態のネットワーク70は、例えば無線LANやイーサネット(登録商標)などである。スイッチ制御部124は、各スイッチユニット60を識別するために各スイッチユニット60に割り当てられた固有の識別番号として、例えば固有のスイッチ識別番号を有している。なお、固有のスイッチ識別番号は、例えばイーサネット(登録商標)のIP番号などでもよい。
【0038】
制御部50からネットワーク70を介して各スイッチユニット60に送信される通信パケットには、検出部14に対する検出指令と、スイッチ部12に対する切換え指令と、通信対象であるスイッチユニット60のスイッチ識別番号とが含まれている。
スイッチ制御部124は、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致する場合は、その通信パケットを受信する。一方、スイッチ制御部124は、自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致しない場合は、その通信パケットを破棄する。
【0039】
スイッチユニット60のスイッチ部12は、入出力端子121aと、入出力端子121bと、スイッチ123とを有している。
スイッチ123は、例えば半導体スイッチを含み、スイッチ制御部124が出力する駆動電圧によって、入出力端子120aと入出力端子120bとの間を導通状態又は非導通状態に切換える。スイッチ123には、スイッチ123を流すことができる電流の上限値が予め定められている。
【0040】
スイッチユニット60の検出部14は、スイッチ部12の入出力端子121a及び入出力端子121bの間に流れる電流の電流値を検出する。検出部14は、例えばスイッチ123を流れる電流によってスイッチ123の周囲に誘起される磁界に応じた電流値を検出する。
【0041】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、受信した通信パケットに含まれる、自スイッチユニット60に対する切換え指令に基づいてスイッチ123を制御する。スイッチ制御部124は、受信した通信パケットに非導通状態への切換え指令が含まれる場合には、所定の駆動電圧を出力することによって、半導体スイッチ123を導通状態に切換えて、入出力端子120aと入出力端子120bとの間を導通状態にさせる。また、スイッチ制御部124は、受信した通信パケットに導通状態への切換え指令が含まれる場合には、所定の駆動電圧を出力することによって、半導体スイッチ123を非導通状態に切換えて、入出力端子120aと入出力端子120bとの間を非導通状態にする。
【0042】
また、スイッチ制御部124は、受信した通信パケットに含まれる検出指令に基づいて、検出された電流値を検出部14から取得する。スイッチ制御部124は、取得した電流値と、自スイッチユニット60のスイッチ部12を識別する番号としてのスイッチ識別番号とを含む通信パケットを生成して、生成した通信パケットをネットワーク70を介して制御部50に送信する。
【0043】
次に、図4及び図5を用いて制御部50の構成について説明する。
図4は、制御部50の構成を示す図である。
制御部50は、通信部501と、取得部502と、記憶部503と、読み出し部504と、比較部505と、判定部506と、指令部507を有している。
【0044】
記憶部503は、図5(a)に示すように、上限値記憶部511と、経路情報記憶部512とを有している。
図5は、記憶部503の上限値記憶部511と、経路情報記憶部512とに記憶される情報の構成を示す図である。
上限値記憶部511には、図5(b)に示すように、各スイッチ部12に流すことができる電流の上限値が、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号に関連付けられて、上限値情報として予め記憶されている。本実施形態においては、最大電流値は、電源装置10が供給できる直流電力の最大値に、例えば1.2倍の係数を乗じた値にして予め設定されている。
【0045】
本実施形態における一例として、上限値記憶部511には、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号として、スイッチユニット60a−1にはID1が割り当てられて記憶されている。同様に、上限値記憶部511には、スイッチユニット60a−2にはID2が、スイッチユニット60b−1にはID3が、スイッチユニット60b−2にはID4が、スイッチユニット60cにはID5が、それぞれ割り当てられて記憶されている。また、各スイッチユニット60のスイッチ部12に流すことができる電流の上限値として、スイッチ部12a−1と、スイッチ部12cとには240[A]が、スイッチ部12b−1と、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2とには480[A]が、スイッチ識別番号ごとに予め記憶されている(図5(b)を参照)。
【0046】
経路情報記憶部512には、配電部20の電源供給経路Pを示す経路情報として、スイッチユニット60の切換え前(つまり現在)の経路情報と、スイッチユニット60(スイッチ部12)ごとに定められる、スイッチユニット60を流れる電流値の範囲の情報とに関連付けられて、スイッチユニット60の切換え後の経路情報が、予め記憶されている。本実施形態では、経路情報記憶部512には、経路情報として、それぞれのスイッチユニット60についての導通状態(つまりON状態)又は非導通状態(つまりOFF状態)を示す情報が記憶されている。例えば、経路情報記憶部512には、電力供給経路Paの経路情報として、スイッチユニット60a−1、2及びスイッチユニット60b−1、2が導通状態であり、スイッチユニット60cが非導通状態であることを示す情報が記憶されている。また、例えば、経路情報記憶部512には、図2(a)〜(d)に示す電力供給経路Paと、電力供給経路Pbと、電力供給経路Pcと、電力供給経路Pdとの、それぞれの経路情報がスイッチユニット60の切換え後の電力供給経路Pとして記憶されている。この、スイッチユニット60の切換え後の電力供給経路Pは、スイッチユニット60の現在の電力供給経路Pを示す情報と、スイッチユニット60ごとに定められる、スイッチユニット60を流れる電流値の範囲(つまり電流範囲)の情報とに基づいて、切換え後の電力供給経路Pが選択されるように、予め経路情報記憶部512に記憶されている(図5(c)を参照)。ここで、図5(c)の場合、経路情報記憶部512には、例えば、切換え後の電力供給経路Pとして電力供給経路Pdを示す経路情報が予め記憶されている。電力供給経路Pdを示す経路情報は、例えば、スイッチユニット60の現在の電力供給経路Paと、スイッチユニット60a−1(スイッチ識別番号ID1)に流れる電流値Iの範囲が240<I≦360であることを示す情報とに関連付けられている。同様に、電力供給経路Pdを示す経路情報は、スイッチユニット60a−2(スイッチ識別番号ID2)及びスイッチユニット60b−1(スイッチ識別番号ID3)に流れる電流値Iの範囲がI≦360であることを示す情報とに関連付けられている。同様に、電力供給経路Pdを示す経路情報は、スイッチユニット60b−2(スイッチ識別番号ID4)に流れる電流値Iの範囲がI≦480であり、スイッチユニット60c(スイッチ識別番号ID5)に流れる電流値Iの範囲がI=0であることを示す情報とに関連付けられている。
【0047】
再び図4を参照して制御部50の構成を説明する。
通信部501は、ネットワーク70を介して各スイッチユニット60(のスイッチ制御部124)との通信を行う。
指令部507は、通信部501と接続されており、通信部501及びネットワーク70を介してスイッチユニット60に対して、検出指令と、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号とを含む通信パケットを送信することにより、スイッチユニット60のスイッチ制御部124に対して電流値の検出を指令する。
【0048】
取得部502は、検出指令に応じてスイッチユニット60から送信され、通信部501によって受信された電流値とスイッチ識別番号とを取得する。
比較部505は、読み出し部504によって読み出された複数の上限値情報のうちから、取得部502によって取得されたスイッチ識別番号に関連付けられた上限値情報を、比較対象の上限値情報として選択し、選択した上限値情報と、取得部502によって取得された電流値とを比較する。
読み出し部504は、比較部505からの読み出し指令に応じて上限値記憶部511から上限値情報と、経路情報記憶部512から経路情報とをそれぞれ読み出す。
【0049】
判定部506は、比較部505によって上限値情報と電流値とが比較された結果に基づいて、各スイッチ部12を切換えるか否かを判定する。判定部506は、いずれかのスイッチ部12を切換えると判定した場合には、スイッチ部12の現在の経路情報と、スイッチ部12ごとに定められるスイッチ部12に流されている電流範囲を示す情報とに基づいて、読み出し部504によって読み出された複数の経路情報のうちから、いずれかの電力供給経路Pを選択する。次に、判定部506は、選択した電力供給経路Pに応じた各スイッチ部12の切換えの状態を経路情報記憶部512から取得する。次に、判定部506は、経路情報から取得したスイッチ部12の切換えの状態に基づいて、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号と、切換え指令とを含む通信パケットを生成し、生成した通信パケットを通信部501に出力する。
このようにして制御部50は各検出部14によって検出された電流値に基づいて、各スイッチ部12を切換えさせることにより、電源装置10から負荷30に直流電力を供給する電力供給経路Pを選択する。
【0050】
次に、図6〜図9を用いて本実施形態の電力供給システム1の動作について説明する。
図6(a)は、本実施形態の電力供給経路Pの一例を示す図である。
図6(b)は、各スイッチユニット60のスイッチ部12を示すスイッチ識別番号と、上限値記憶部511に記憶されている各スイッチ部12の上限値と、制御部50がスイッチユニット60の検出部14から取得した電流値との関係を示す表である。
本実施形態における前提条件の一例として、図6(a)に示すように、電源装置10aは電圧が48[V]である10[kW]の直流電力を負荷30aに供給することができるものとする。また、電源装置10bは電圧が48[V]である20[kW]の直流電力を負荷30bに供給することができるものとする。つまり、図6(a)は、図2(a)で示した電力供給経路Paを示している。
【0051】
また、図6(b)に示すように、制御部50の上限値記憶部511には、スイッチ部12a−1の上限値及びスイッチ部12cの上限値として、240[A]がそれぞれ記憶されているものとする。同様に、上限値記憶部511には、スイッチ部12a−2、スイッチ部12b−1、及びスイッチ部12b−2の上限値として、240[A]がそれぞれ記憶されているものとする。また、一例として、負荷30aは5[kW]の、負荷30bは10[kW]の直流電力を消費しているものとする。このときスイッチ部12a−1及びスイッチ部12a−2を流れる電流は、約104.2[A]であり、スイッチ部12b−1及びスイッチ部12b−2を流れる電流は、約208.3[A]である。また、スイッチ部12cを流れる電流は0[A]である。これらの電流値は、検出部14によって検出され、ネットワーク70を介して制御部50が取得している。
【0052】
また、経路情報記憶部512には、上述した図5(c)に示したように、経路情報記憶部512には、スイッチ部12の現在の経路情報と、スイッチ部12ごとに定められるスイッチ部12に流されている電流値の範囲(つまり電流範囲)と示す情報とに関連付けられて、スイッチ部12の切換え後の経路情報が、予め記憶されている。
【0053】
ここで、例えば情報処理装置などの新たな負荷30cが、負荷30aと並列に、スイッチ部12a−2(スイッチ識別番号ID2)に接続されるとする。負荷30cは、例えば電圧が48[V]、消費電力が10[kW]である。このとき、本実施形態においては、図6(b)に示す取得された電流値のうち、スイッチ部12a−1及びスイッチ部12a−2の電流値は、104.2[A]から312.5[A]に増加する。つまり、スイッチ部12a−1を流れる電流の電流値は、スイッチ部12a−1の上限値240[A]を超える。
このとき、制御部50と各スイッチユニット60とは次のように動作する。
【0054】
図7は、制御部50の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部50の指令部507は、例えば一定時間ごとに、各スイッチユニット60が備える検出部14に対して電流の検出を指令する(ステップS100)。本実施形態では、指令部507は、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号ID1と検出指令とを含む通信パケットを、通信部501及びネットワーク70を介して、スイッチユニット60a−1に対して送信する。同様に、指令部507は、スイッチユニット60a−2に対してスイッチ識別番号ID2と検出指令とを含む通信パケットを送信する。同様に、指令部507は、スイッチユニット60b−1に対してスイッチ識別番号ID3と検出指令とを含む通信パケットを、スイッチユニット60b−2に対してスイッチ識別番号ID4と検出指令とを含む通信パケットを、スイッチユニット60cに対してスイッチ識別番号ID5と検出指令とを含む通信パケットを、それぞれ送信する。
【0055】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致する場合には、その通信パケットを受信する。一方、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致しない場合には、その通信パケットを破棄する(ステップS150)。本実施形態では、例えば、スイッチユニット60a−1のスイッチ制御部124は、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号ID1が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号ID1と一致する場合に、その通信パケットを受信する。同様に、各スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致するスイッチ識別番号を含む制御部50から送信される通信パケットを受信する。
【0056】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、受信した通信パケットに、検出指令が含まれているか否かを判定する(ステップS160)。スイッチ制御部124は、検出指令が含まれていると判定した場合には、ステップS170に処理を進める(ステップS160−YES)。スイッチ制御部124は、検出指令が含まれていないと判定した場合には、処理を終了する(ステップS160−NO)。
【0057】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、検出部14によって検出された電流値を、検出部14から取得する(ステップS170)。本実施形態においては、スイッチユニット60a−1のスイッチ制御部124は、電流値として例えば312.5[A]を取得する。この電流値は48[V]において、5[kW]を消費する負荷30aと、10[kW]を消費する負荷30cとに供給されている電流の値に相当する。同様に、スイッチユニット60a−2のスイッチ制御部124は、電流値として312.5[A]を取得する。同様に、スイッチユニット60b−1及びスイッチユニット60b−2のスイッチ制御部124は、電流値として208[A]を算出する。また、同様に、スイッチユニット60cのスイッチ制御部124は、電流値として0[A]を取得する。
【0058】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、算出した電流値と、自スイッチユニット60のスイッチ部12を識別する番号としてのスイッチ識別番号とを含む通信パケットを生成して、生成した通信パケットを制御部50に送信する(ステップS180)。本実施形態では、スイッチユニット60a−1のスイッチ制御部124は、電流値として312.5[A]と、自スイッチユニット60のスイッチ識別番号ID1とを含む通信パケットを生成して、生成した通信パケットを制御部50に送信する。同様に、スイッチユニット60a−2のスイッチ制御部124は、電流値として312.5[A]と、自スイッチユニット60のスイッチ識別番号ID2とを含む通信パケットを生成して、生成した通信パケットを制御部50に送信する。スイッチユニット60b−1、スイッチユニット60b−2、スイッチユニット60cについても同様である。
【0059】
制御部50の通信部501は、各スイッチユニット60のスイッチ制御部124から送信された通信パケットを受信する(ステップS190)。
制御部50の取得部502は、通信部501によって受信された通信パケットに含まれる電流値とスイッチ識別番号とを取得する(ステップS200)。
【0060】
制御部50の読み出し部504は、上限値記憶部511から、受信されたスイッチ識別番号に対応する上限値情報をそれぞれ読み出す(ステップS210)。本実施形態では、読み出し部504は、スイッチユニット60a−1の上限値情報として、スイッチ識別番号ID1に対応する上限値情報240[A]を読み出す。他のスイッチユニット60についても同様に上限値情報を読み出す。
【0061】
制御部50の比較部505は、読み出し部504によって読み出された各スイッチユニット60の上限値情報のうちの、取得部502によって取得されたスイッチ識別番号に対応した上限値情報と、取得部502によって取得された電流値とを比較する(ステップS220)。本実施形態では、比較部505は、スイッチ識別番号ID1に関連付けられているスイッチユニット60a−1の上限値情報240[A]を選択し、上限値情報240[A]と、取得部502によって取得された電流値312.5[A]とを比較して、値の大小関係を得る。この場合、比較部505は、取得された電流値が上限値より大きいことを比較の結果として判定部506に出力する。ステップ比較部505は、S220を繰り返して、他のスイッチユニット60についても同様に上限値情報と、取得された電流値とを比較する。
【0062】
制御部50の判定部506は、比較部505による比較の結果に基づいて、取得された電流値が上限値を超えていると判定する場合には、ステップS240に処理を進める(ステップS230−YES)。一方、判定部506は、比較部505による比較の結果に基づいて、取得された電流値が上限値を超えていないと判定する場合には、処理を終了する(ステップS230−NO)。
【0063】
制御部50の読み出し部504は、予め記憶されている経路情報を経路情報記憶部512から読み出して、経路情報を取得する(ステップS240)。この経路情報は、スイッチユニット60(スイッチ部12)の現在の配電部20の電源供給経路Pを示す経路情報と一致するスイッチユニット60の現在の経路情報と関連付けられている。さらに、この経路情報は、ステップS200において検出部14によって検出されたスイッチユニット60を流れる電流の電流値を含むスイッチユニット60ごとに定められるスイッチユニット60に流されている電流範囲とも関連付けられている。
【0064】
本実施形態では、例えば、読み出し部504は、図5(c)に示す経路情報記憶部512から、スイッチユニット60の現在の配電部20の電源供給経路Paを示す経路情報と一致するスイッチユニット60の現在の経路情報(つまり電源供給経路Pa)を検索する。さらに、読み出し部504は、図5(c)に示す経路情報記憶部512から、スイッチユニット60ごとに定められるスイッチユニット60に流されている電流範囲の情報を、ステップS200において検出部14によって検出された電流値によって検索する。例えば、スイッチユニット60a−1を流れる電流値として検出された電流値は、ステップS220において説明したとおり312.5[A]である。したがって、経路情報記憶部512から、スイッチユニット60a−1に定められるスイッチユニット60a−1に流されている電流範囲の情報として、240[A]を超え、360[A]以下である電流範囲の情報が、読み出し部504によって検索される。他のスイッチユニット60の電流範囲についても同様の検索を行う。このようにして、読み出し部504は、切換え後の電力供給経路Pとして、図5(c)に示す電力供給経路Pdを読み出す。
【0065】
制御部50の判定部506は、経路情報記憶部512に記憶されている複数の経路情報に、すべてのスイッチユニット60について電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pが存在する場合、つまり、ステップS240において経路情報を取得できた場合は、電力供給経路Pを選択可能と判定する。一方、判定部506は、すべてのスイッチユニット60について電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pが存在しない場合、つまり、ステップS240において経路情報を取得できなかった場合は、電力供給経路Pを選択不可能と判定する(ステップS250)。
【0066】
本実施形態では、配電部20は、電力供給経路Pとして上述した図2に示す4つの経路を有している。このうち、電力供給経路Pとして、図2(d)に示す経路、つまり電力供給経路Pdを選択すると、図9に示すような状態の電力供給経路Pを選択する。この結果、スイッチユニット60a−1は、電流値が上限値を超えない状態になる。したがって、判定部506は、電力供給経路Pdを選択可能と判定する。
図9は、本実施形態の変更後の電力供給経路Pの一例を示す図である。
図9に示すように、電力供給経路Pdを選択する場合には、取得部502によって取得された電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pとなる。
【0067】
再び図7を参照して動作を説明する。
制御部50の判定部506は、電力供給経路Pdを変更後の電力供給経路Pとして選択して、ステップS260に処理を進める(ステップS250−YES)。一方、判定部506は、電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pを選択できなかった場合には、ステップS270に処理を進める(ステップS250−NO)。
【0068】
電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pを選択できた場合、判定部506は、経路情報記憶部512から読み出された、選択された電力供給経路Pに基づいて、スイッチユニット60の切換え指令を生成する(ステップS260)。本実施形態では、判定部506は、選択した電力供給経路Pとして、例えば、上述した図2(d)に示す電力供給経路Pdを選択する。さらに判定部506は、各スイッチ部12の切換え状態が、電力供給経路Pd、つまり図9に示す各スイッチ部12の切換えの状態となるように、スイッチユニット60の切換え指令を生成する。具体的には、判定部506は、スイッチユニット60a−1、2と、スイッチユニット60b−1、2とスイッチユニット60cとを導通状態(つまりON状態)にする切換え指令をそれぞれ生成する。判定部506は、ステップS280に処理を進める。
【0069】
一方、電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pを選択できなかった場合、判定部506は、電流値が上限値を超えるスイッチ部12を非導通状態(つまりOFF状態)にさせる切換え指令を生成する(ステップS270)。具体的には、判定部506は、スイッチユニット60a−1と、スイッチユニット60cとを非導通状態にし、スイッチユニット60a−2と、スイッチユニット60b−1、2とを導通状態にする切換え指令を生成する。
図8は、電流値が上限値を超えるスイッチ部12として、スイッチ部12a−1を非導通状態にさせた状態を示す。
次に、判定部506は、ステップS280に処理を進める。
【0070】
さらに判定部506は、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号と、前ステップ(ステップS260又はS270)によって生成された切換え指令とを含むスイッチユニット60ごとの通信パケットを生成する(ステップS280)。
【0071】
通信部501は、ステップS280において生成された通信パケットをネットワーク70に出力して処理を終了する(ステップS290)。
【0072】
スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致する場合には、その通信パケットを受信する。一方、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致しない場合には、その通信パケットを破棄する(ステップS300)。本実施形態では、スイッチユニット60a−1のスイッチ制御部124は、制御部50から送信される通信パケットに含まれているスイッチ識別番号ID1が自スイッチユニット60のスイッチ識別番号ID1と一致するため、その通信パケットを受信する。同様に、各スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、自スイッチユニット60のスイッチ識別番号と一致するスイッチ識別番号を含む制御部50から送信される通信パケットを受信する。
次に、スイッチユニット60のスイッチ制御部124は、受信した通信パケットに、スイッチ部12の切換え指令が含まれているか否かを判定する(ステップS310)。
そして、スイッチ制御部124は、スイッチ部12の切換え指令が含まれていると判定した場合(ステップS310−YES)は、スイッチ部12の切換え指令に基づいて、スイッチ部12を導通状態又は非導通状態にして処理を終了する(ステップS320)。
一方、スイッチ制御部124は、スイッチ部12の切換え指令が含まれていると判定した場合(ステップS310−NO)は、処理を終了する。
【0073】
このようにして制御部50は各検出部14によって検出された電流値と予め記憶されている上限値とに基づいて、各スイッチ部12を切換えることにより、電源装置10から負荷30に直流電力を供給する電力供給経路Pを選択する。つまり、本実施形態の電力供給システム1は、電力供給経路Pを動的に選択することができる。
【0074】
ここで、電力供給経路Pの動的な選択及び切換えができない電力供給システムにおいては、負荷30を増設する場合に、電力の供給に余裕がある供給経路を予め選択する必要がある。つまり、負荷を増設する場所は、電力の供給に余裕がある供給経路が設置されている場所に制約される。
一方、本実施形態の電力供給システム1によれば、負荷30の設置場所として、負荷30aが設置されている場所と、負荷30bが設置されている場所とのいずれであっても選定することができる。
【0075】
上述したように、本実施形態の電力供給システム1は、供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置10と、配電部20とを有している。この配電部20は、接続対象に接続され、接続された複数の接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部13と、接続部13と接続対象との間の導通状態と非導通状態とを切換える複数のスイッチ部12とを有している。また、配電部20は、接続部13と、スイッチ部12とを介して、電源装置10から供給される直流電力を負荷30に配電する。また、電力供給システム1は、スイッチ部12を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部14と、検出部14が検出した電流値に基づいて、スイッチ部12を切換える制御部50と、を備えている。また、上述の接続対象には、電源装置10と、負荷30と、複数の接続部13のうちの自接続部13以外の他の接続部13とが含まれ、各接続部13は、少なくとも1つの他の接続部13を含む、少なくとも3つの接続対象に、それぞれスイッチ部12を介して接続されている
【0076】
これにより、本実施形態の電力供給システム1は、負荷30の消費電力に基づいて、電力供給経路Pを切換えることにより、複数の電源装置10に接続されている電力供給経路Pの間において電力を相互に供給させることができる。このため、負荷30は、電源装置10aと電源装置10bとのいずれからも、電力の供給を受けることができる。したがって、電源装置10aの供給可能電力を超える消費電力の負荷30cを、負荷30aが設置されている場所に設置することができる。このように、本実施形態の電力供給システム1は、負荷30が設置される場所の選定の自由度を向上させることができる。
【0077】
上述したように、本実施形態の電力供給システム1は、配電部20においてスイッチユニット60を複数組み合わせた複数の電力供給経路Pを有している。言い換えれば、この電力供給経路Pは、電源装置10から負荷30に電力を供給する物理ネットワークである。また、本実施形態の電力供給システム1は、制御部50と、配電部20が有する複数のスイッチユニット60とをネットワーク70を介して接続して、制御部50がそれぞれのスイッチユニット60の導通状態又は非導通状態を切換え可能にしている。そして、制御部50には、これらスイッチユニット60の導通状態又は非導通状態を切換えることによって形成される電力供給経路Pの経路情報が記憶されている。言い換えれば、このネットワーク70及び経路情報は、各スイッチユニット60の接続状態を切換える論理ネットワークである。このようにして、本実施形態の電力供給システム1は、電力供給経路Pの切換えを担当する論理ネットワークと、実際に電力供給経路Pを形成する物理ネットワークとが対になって電力供給システム1を目的に応じて制御するパワールーティングを実現させる。
【0078】
また、本実施形態において、制御部50は、上限値記憶部511と経路情報記憶部512とを有している。この上限値記憶部511には、スイッチ部12ごとに定められるスイッチ部12に流すことができる電流の上限値が、予め記憶されている。また、経路情報記憶部512には、電力供給線Lと、導通状態に切換えられたスイッチ部12とを介して電源装置10と負荷30とが接続される電源供給の経路を示す情報が、経路に含まれるスイッチ部12の上限値と関連付けられて、経路情報として予め記憶されている。そして、制御部50は、検出部14によって検出された電流値と記憶されている経路情報とに基づいて、スイッチ部12を流れる電流値が上限値を超えないような電力供給の経路を経路情報から選択して、選択した電源供給の経路に応じてスイッチ部12を切換える。
これにより、本実施形態の電力供給システム1は、複数の電力供給経路Pの間において電力を相互に供給させる際に、検出された電流値と、予め定められている経路とに基づいて電力供給経路Pを切換えることができる。このため、電力供給システム1は、自動的かつ瞬時に電力供給経路Pを切換えることができる。
【0079】
また、本実施形態において制御部50は、検出部14によって検出されたスイッチ部12を流れる電流の電流値が、上限値記憶部511に記憶されている上限値を超える場合には、当該スイッチ部12を非導通状態にさせる。
これにより、本実施形態の電力供給システム1は、供給電流が設計値を上回って増加した場合には、自動的に電力供給経路Pを非導通状態にするため、過電流による電源装置10や電力供給線Lの過熱を防止することができ、安全に電力を供給することができる。
【0080】
また、本実施形態において上限値記憶部511に予め記憶されている上限値は、負荷30の消費電力に基づいて定められている。
これにより、本実施形態の電力供給システム1は、負荷30の消費電力に基づいて電流の上限値を定めることができるため、負荷30の動作に必要となる最小限の上限値を定めることができる。このため、電力供給システム1は、より多くのスイッチユニット60に直流電力を配分することができ、スイッチユニット60と接続部13とをさらに増やすことができる。この場合には、さらに負荷30が設置される場所の自由度を向上させることができる。
【0081】
なお、配電部20は、図10に示すように直流電力を蓄えるバッテリー90を備えていてもよい。
図10は、バッテリー90を備えている電力供給システム1の構成を示す図である。例えば、バッテリー90は、配電部20のいずれかの接続部13に電力供給線Lを介して接続されていてもよい。例えば、図10に示すように、バッテリー90は、配電部20の接続部13bに電力供給線Ldを介して接続されていてもよい。この場合、電力供給システム1は、負荷30の消費電力が増加してから、制御部50によって電力供給経路Pが選択され、スイッチユニット60のスイッチ部12に切換え動作をさせるまでの間に、バッテリー90から電力を供給することができる。これにより、電力供給システム1は、スイッチ部12の切換え動作の際や停電時など、供給される電力が不足する場合においても信頼性の高い電力供給源として、電力を負荷30に供給することができる。
【0082】
なお、本実施形態において、電力供給システム1は、図11に示すように、電源装置10に供給される交流電力が、少なくとも2つの異なる電源供給系統から供給されていてもよい。例えば、電力供給システム1は、複数の交流電力源40として、電力供給系統が異なる交流電力源40aおよび交流電力源40bから交流電力の供給を受けてもよい。
図11は電力供給系統が異なる交流電力源40から供給を受ける場合の構成図である。
例えば、交流電力源40aと交流電力源40bとは、異なる変電所SSから供給される交流電力源40であってもよい。例えば交流電力源40aは変電所SS1から、交流電力源40bは変電所SS2から供給される交流電力源40であってもよい。これにより、一方の電力供給系統に故障が発生して電力の供給が受けられなくなっても、他方の電力供給系統から供給される交流電力によって直流電力を供給し続けることができる。つまり、電力供給システム1は、2つ以上の電力供給系統を有する信頼性の高い電力供給源として、負荷30に電力を供給することができる。
【0083】
なお、本実施形態の電力供給システム1において、配電部20は、スイッチユニット60を5つ備えている構成を説明したが、これに限られない。例えば、スイッチユニット60の数と接続部13の数とは、電源装置10や電力供給線Lや負荷30の数に応じて変更されてもよく、この場合には、さらに負荷30が設置される場所の自由度を向上させることができる。
【0084】
なお、本実施形態の電力供給システム1において、配電部20は、図12に示すように、電力供給線Lに直列に接続された少なくとも2つの前記スイッチ部12を備えていてもよい。例えば、配電部20は、スイッチユニット60を電力供給線Lの両端に備えていてもよい。
図12は、スイッチユニット60を電力供給線Lc−2の両端に備えている電力供給システム1の構成を示す図である。
図12において、配電部20は、スイッチユニット60c−1と、スイッチユニット60c−2とを備えている。
スイッチユニット60c−1は、電力供給線Lc−1を介して接続部13aと接続されている。スイッチユニット60c−2は、電力供給線Lc−3を介して接続部13bと接続されている。また、これらのスイッチユニット60c−1とスイッチユニット60c−2とは、電力供給線Lc−3を介して互いに接続されている。
【0085】
ここで、例えば電力供給線Lc−2を交換する場合に、制御部50は、スイッチユニット60c−1が備えるスイッチ部12c−1と、スイッチユニット60c−2が備えるスイッチ部12c−2とをいずれも非導通状態にする。これにより、負荷30a及び負荷30bへの電力供給を停止することなく、電力供給線Lc−2を交換することができる。また、例えば電力供給線Lc−2に新たな負荷30dを接続する場合に、スイッチ部12c−1と、スイッチ部12c−2とをいずれも非導通状態にすることにより、電力供給線Lc−2に電流が流れない状態にして負荷30dを接続することができる。これにより、負荷30a及び負荷30bへの電力供給を停止することなく、負荷30dの増設作業を安全に行うことができる。
【0086】
[第2の実施形態]
以下、図面に基づき、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成及び動作については説明を省略する。
図13は、樹状に接続される電力供給システム1の構成を示す図である。
本実施形態の電力供給システム1は、図13に示すように、複数の配電部20として、配電部20−1と、配電部20−2aと、配電部20−2bとを有している。
配電部20−1は、電源装置10aと、配電部20−2aと、配電部20−2bとに接続されている。配電部20−2aは、配電部20−1と、配電部20−2bと、負荷30a1と、負荷30b1とに接続されている。配電部20−2bは、配電部20−1と、配電部20−2aと、負荷30a−2と、負荷30b−2とに接続されている。
つまり、電力供給システム1は、系統K1と系統K2とがそれぞれ階層化されて、同一の階層LYの系統K1の配電部20と系統K2の配電部20とが互いに接続されている配電部20を有している。本実施形態の電力供給システム1は、例えば図13に示すように、系統K1と系統K2との配電部20の階層LYとして、第1階層LY1と、第2階層LY2とを有している。
【0087】
本実施形態の制御部50は、同一の階層LYの系統K1の配電部20と系統K2の配電部20とを接続するスイッチ部12を予め非導通状態にしている。例えば、制御部50は、系統K1の配電部20−2aと系統K2の配電部20−2bとを接続するスイッチユニット60c−22のスイッチ部12c−22を予め非導通状態にしている。
制御部50は、第1の実施形態と同様に、電力供給システム1に接続される負荷30の増設などにより、スイッチ部12を流れる電流の電流値が、予め記憶されている上限値を超える場合には、スイッチ部12に切換え指令を出力して、系統K1及び系統K2内において電力供給経路Pを変更する。
【0088】
そして、電力供給システム1に接続される負荷30がさらに増設され、例えば一方の系統K1の消費電力が大きくなり、制御部50は、系統K1内において電流値が上限値以下であるという条件を満たす電力供給経路Pを選定できなかったとする。この場合、制御部50は、検出部14によって検知された電流値に基づいて、系統K1と系統K2とを接続するスイッチ部12c−22を導通状態に切換えて、系統K1及び系統K2間において電力を相互に供給させるように電力供給経路Pを選択する。
【0089】
このように、本実施形態の電力供給システム1は、i個(iは2以上の整数)の階層LYに階層化された複数の配電部20を有し、第1階層LY1には1つの配電部20が含まれ、第1階層LY1の配電部20は、電源装置10に接続され、第j(jは2≦j≦iを満たす整数)階層LYjには、複数の配電部20が含まれている。また、第j階層LYjの配電部20は、第(j−1)階層LY(j−1)の配電部20にそれぞれ接続されるとともに、第j階層LYjの配電部20のうちの自配電部20以外の配電部20にそれぞれ接続され、第i階層LYiの配電部20は、負荷30にそれぞれ接続されている。そして、電力供給システム1は、電源装置10から供給される直流電力を、第1階層LY1から第i階層LYiの順に各配電部20を介して負荷30に供給する。
このため、複数の系統Kとして例えば、同一の階層LYに備えられている系統K1と系統K2との配電部20間において、供給する電力を相互に供給させることができるため、例えば系統K2に比べ、系統K1の消費電力が大きくなった場合に、系統K2から系統K1に電力を供給することができる。これにより、新たな電源装置10や電力供給線Lを接続することなく、電力の供給ができるため、負荷30が設置される場所の自由度を向上させることができる。
【0090】
なお、配電部20は、第1の実施形態と同様に、直流電力を蓄えるバッテリー90を備えていてもよい。つまり、バッテリー90は、配電部20のいずれかの接続部13に電力供給線Lを介して接続されていてもよい。この場合、複数の系統Kのうち、いずれかの系統Kにバッテリー90を備えれば、スイッチ部12を介して他の系統Kに対してもバッテリー90から電力を供給することができる。つまり、本実施形態の電力供給システム1は、すべての系統Kにバッテリー90を備えている必要がないため、バッテリー90の設置面積や設置費用を少なくすることができる。
【0091】
[第3の実施形態]
以下、図面に基づき、本発明の第3の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同じ構成及び動作については説明を省略する。
【0092】
図14は、本実施形態の制御部350がスイッチ部12を制御した結果を示す図である。
ここで、本実施形態の前提条件として例えば、電源装置10aは電圧が48[V]である10[kW]の、電源装置10bは電圧が48[V]である20[kW]の直流電力を負荷30に供給することができるものとする。また、負荷30aの消費電力は5[kW]とし、負荷30bの消費電力は10[kW]とする(図14(a))。
【0093】
図15は、本実施形態の制御部350の構成を示す図である。
本実施形態の制御部350は、上述した実施形態の制御部50が有する記憶部50に代えて、記憶部303を有する。また、本実施形態の制御部350は、上述した実施形態の制御部50が有する各部に加えて、書き込み部308を有する。
記憶部303は、上述した実施形態の記憶部503が有する上限値記憶部511に代えて、上限値記憶部311を有する。
書き込み部308は、判定部506の指令に応じて、入力された情報を記憶部303に書き込む。
図16は、本実施形態の記憶部303の構成を示す図である。
本実施形態の上限値記憶部311には、各スイッチ部12に流すことができる電流の最大値と、各スイッチ部12に流すことができる電流の上限値とが、スイッチユニット60に割り当てられているスイッチ識別番号に関連付けられて、予め記憶されている。
本実施形態の制御部50は、検出部14によって検出された、各スイッチ部12を流れる電流の電流値に基づいて、上限値記憶部311に記憶されている電流の上限値を変更して、上限値記憶部311に記憶させる。この電流の上限値は、上限値記憶部311に記憶されている電流の最大値を超えない範囲において制御部50によって設定される。
【0094】
この上限値記憶部311に記憶されている電流の最大値は、電源装置10が供給できる直流電力の最大値に基づいて予め設定されている。本実施形態においては、電流の最大値は、電源装置10が供給できる直流電力の最大値に、係数として例えば1.2を乗じた値にして予め設定されている。例えば、図16(b)に示すように、スイッチ部12a−1には電流の最大値として240[A]が設定され、スイッチ部12b−1と、スイッチ部12cとには電流の最大値として360[A]が設定される。これは、例えば、電源装置10aが電圧48[V]、電力10[kW]の直流電力を負荷30に供給するため、電力供給経路Pをどのように選択しても、スイッチ部12a−1には、約200[A]しか電流が流れないことに基づいている。他の設定値も同様である。
また、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2との電流の最大値はスイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2とを合わせて720[A]が設定されて上限値記憶部311に記憶されている。これは、例えば、電源装置10aが電圧48[V]、電力10[kW]の直流電力を負荷30に供給し、電源装置10bが電圧48[V]、電力20[kW]の直流電力を負荷30に供給するため、電力供給経路Pをどのように選択しても、スイッチ部12a−2およびスイッチ部12b−2には、合わせて最大約600[A]しか電流が流れないことに基づいている。
【0095】
制御部350は、検出部14によって検出された電流値と、記憶されている電流の最大値とに基づいて、各スイッチ部12を流れる電流の上限値を設定する。このとき、制御部350は、スイッチ部12a−2の電流の上限値と、スイッチ部12b−2の電流の上限値との合計値が、記憶されている最大電流値720[A]を超えない値にして、各スイッチ部12の上限値を設定する。上述の前提条件の場合、制御部350は、各スイッチ部12の上限値として、例えばスイッチ部12a−1を240[A]に、スイッチ部12b−1を360[A]にそれぞれ設定する。同様に、制御部350は、各スイッチ部12の上限値として、スイッチ部12a−2を120[A]に、スイッチ部12b−2を240[A]にそれぞれ設定する。また、制御部350は、スイッチ部12cの上限値として、スイッチ部12b−1と、スイッチ部12b−2との上限値の差に基づいて、120[A]に設定する。
【0096】
ここで、例えば情報処理装置などの新たな負荷30eが、負荷30aと並列に、スイッチ部12a−2(スイッチ識別番号ID2)に接続されるとする。負荷30cは、例えば電圧が48[V]、消費電力が10[kW]である。ここで、第1の実施形態におけるステップS100〜ステップS200の各ステップによって、制御部350は、スイッチ部12a−2を流れる電流を取得している。つまり、制御部350は、スイッチ部12a−2を流れる電流値として312.5[A]を取得している。また、スイッチ部12a−2に流すことができる電流の最大値480[A]は、読み出し部504によって、上限値記憶部311から読み出されているものとする。
このとき、制御部350は、スイッチ部12a−2の上限値を360[A]に変更できるか否かを判定する。
【0097】
図17は、本実施形態の制御部350の動作を示すフローチャートである。
比較部505は、第1の実施形態におけるステップS220の処理をおこなう(ステップS500)。本実施形態では、比較部505は、スイッチ識別番号ID1に関連付けられているスイッチユニット60a−1の上限値情報240[A]を選択し、上限値情報240[A]と、取得部502によって取得された電流値312.5[A]とを比較する。比較部505、取得された電流値が上限値を超えていることを比較の結果として判定部506に出力する。
【0098】
判定部506は、比較部505による比較の結果に基づいて、取得された電流値が上限値を超えているか否かを判定する(ステップS510)。判定部506は、比較部505による比較の結果に基づいて、取得された電流値が上限値を超えていると判定する場合には、ステップS520に処理を進める(ステップS510−YES)。一方、判定部506は、比較部505による比較の結果に基づいて、取得された電流値が上限値を超えていないと判定する場合には、処理を終了する(ステップS510−NO)。
【0099】
判定部506は、取得部502によって取得された電流値と、読み出し部504によって読み出されたスイッチ部12a−2に流すことができる電流の最大値とを比較する(S520)。ここで、判定部506は、取得された電流値に係数として例えば1.2を乗じて得られた値が、読み出された最大値以下であれば、処理をステップS520に進める(S520−YES)。一方、判定部506は、取得された電流値に係数として例えば1.2を乗じて得られた値が、読み出された最大値を超えている場合には、処理を終了する(ステップS520−NO)。ここで、スイッチ部12b−2の上限値は240[A]であり、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2とを合わせた最大電流値は720[A]である。つまり、スイッチ部12a−2の上限値を360[A]にすると、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2との上限値を合わせた値は、最大電流値720[A]以下の600[A]になる。したがって、制御部350は、スイッチ部12a−2の上限値を360[A]に変更できると判定し、スイッチ部12a−2の上限値を360[A]に変更する。
【0100】
判定部506は、取得された電流値に係数として例えば1.2を乗じて得られた値を、スイッチ部12a−2に流すことができる電流の上限値として書き込み部308を介して上限値記憶部311に記憶させる(ステップS530)。例えば、判定部506は、上限値375[A]を、スイッチユニット60a−2のスイッチ識別番号ID2と関連付けて、書き込み部308を介して上限値記憶部311に記憶させる。
【0101】
次に、制御部350は、処理を第1の実施形態におけるステップS210に相当するステップに処理を戻して、ステップS210以降の処理に相当する処理を進める。つまり、制御部350は、図14(b)に示すように、スイッチ部12cを導通状態に切換えて、電源装置10bから負荷30a及び負荷30eに直流電力を供給させる。
【0102】
ここで、負荷30eに代えて負荷30fが接続されて、負荷30aと負荷30fとを合わせた消費電力が15[kW]から25[kW]に増加したとする。
このとき制御部350は、上述したステップS500〜ステップS530によって処理をする。具体的には、制御部350は、スイッチ部12a−2を流れる電流が約520[A]になったことを検出部14を介して検出する。このとき、制御部350は、スイッチ部12a−2の上限値を620[A]に変更できるか否かを判定する。ここで、制御部350の上限値記憶部311に記憶されている、スイッチ部12b−2の上限値は240[A]であり、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2とを合わせた最大電流値は720[A]である。このため、スイッチ部12a−2の上限値を設定可能な最大値は、スイッチ部12a−2と、スイッチ部12b−2とを合わせた最大電流値720[A]と、スイッチ部12b−2の上限値は240[A]の差であり、480[A]となる。このようにして、判定部506は、スイッチ部12a−2の上限値を620[A]に変更できないと判定する。
【0103】
次に、制御部350は、上述したように第1の実施形態のステップS210以降の処理を行う。この結果、判定部506は、電流値が上限値を超えないような電力供給経路Pを選択できなかったと判定して、スイッチ部12a−2を非導通状態にする(図14(c)を参照)。
【0104】
上述したように、本実施形態の電力供給システム1によれば、電力供給経路Pを選択する際に、スイッチ部12を流れる電流に基づいて上限値を変更するため、電源供給経路Pにおいて最も負荷30aに近いにスイッチ部12a−2を非導通状態にすることができる。つまり、本実施形態の電力供給システム1によれば、電源装置10に近い他のスイッチ部12に影響が及ぶことを防止できる。
【0105】
このように、本実施形態の電力供給システム1が備える制御部350は、検出部14によって検出されたスイッチ部12を流れる電流の電流値に基づいて、当該スイッチ部12に流すことができる電流の上限値を、記憶されている上限値から変更する。
これにより、本実施形態の電力供給システム1は、負荷30の消費電力に基づいて電流の上限値を定めることができるため、負荷30の動作に必要となる最小限の上限値を定めることができる。このため、電力供給システム1は、より多くのスイッチユニット60に直流電力を配分することができ、スイッチユニット60と接続部13とをさらに増やすことができる。この場合には、さらに負荷30が設置される場所の自由度を向上させることができる。
【0106】
さらに、電力供給システム1は、負荷30の増設などにより消費電力が変化しても、負荷30の動作に必要となる最大電流値の範囲内において最小限の上限値を定めることができる。また、電力供給システム1は、負荷30の消費電力がさらに大きくなり、電源供給経路Pが選択できなくなった場合には、スイッチ部12の非導通状態にすることができる。これにより、負荷30の消費電力が供給可能な電力を上回った場合に、電源供給を停止する範囲を小さくすることができる。
【0107】
なお、本実施形態の電力供給システム1において、配電部20は、スイッチユニット60を5つ備えている構成を説明したが、これに限られない。例えば、スイッチユニット60と接続部13とは、電源装置10や負荷30の数に応じて備えられてもよく、この場合には、さらに負荷30が設置される場所の自由度を向上させることができる。
【0108】
例えば、図18に示すように、配電部20は、スイッチユニット60を7つ備え、スイッチユニット60を相互に接続し、直流電源として、例えば、太陽電池PVを接続する構成であってもよい。これにより、例えば太陽電池PVによって供給される直流電力を各負荷30に配電する電力供給経路を選択することができる。したがって、太陽電池PVが直流電力を供給することができる場合には、交流電力源40aに代えて、太陽電池PVから直流電力を供給することができ、交流電力源40からの供給電力を低減させることができる。
【0109】
また、図18に示すように、直流電源として、例えばバッテリー90を有する電源装置10cを接続する構成であってもよい。これにより、例えば交流電力源40a〜40cからの電力供給が一時的に停止した場合であっても、バッテリー90からの直流電力を各負荷30a〜30cに供給する電力供給経路を選択すれば、各負荷30a〜30cに直流電力を供給し続けることができる。したがって、例えば、いずれかの交流電力源40が停電した場合や、いずれかの電源装置10の交換などの場合においても、各負荷30a〜30cを動作させ続けることができる。
【0110】
なお、図18において、スイッチユニット60をネットワーク状に相互に接続した構成を説明したが、図19に示すように、スイッチユニット60を樹枝状に相互に接続した構成としてもよい。この場合、図18に示した場合と同様、直流電源として太陽電池PVやバッテリー90を接続する構成であってもよい。これによって、図18に示した場合と同様に、いずれかの交流電力源40が停電した場合や、いずれかの電源装置10の交換などの場合においても、各負荷30を動作させ続けることができる。
【0111】
なお、上述の実施形態において、負荷30aは例えばオフィスビルの10階に、負荷30bは例えばオフィスビルの20階に設置されていると説明したがこれに限られない。例えば、負荷30a及び負荷30bは、ビルの同じ階の異なる場所などに設置されていてもよい。
【0112】
なお、上述の実施形態における電力供給システム1に含まれる制御部50(又は制御部350)又は、この制御部50(又は制御部350)が備える各部、スイッチ制御部124、又は、このスイッチ制御部124が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この各部はメモリ及びCPU(中央演算装置)により構成され、各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0113】
また、上述の実施形態における各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0114】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0115】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0116】
1…電力供給システム、10…電源装置、12…スイッチ部、13…接続部、14…検出部、20…配電部、30…負荷、50、350…制御部、60…スイッチユニット(スイッチ部)、90…バッテリー、311、511…上限値記憶部、512…経路情報記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力が供給される複数の負荷に、直流電力を供給する電力供給システムであって、
供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置と、
接続対象に接続され、接続された複数の前記接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部と、前記接続部と前記接続対象との間を導通状態又は非導通状態に切換える複数のスイッチ部と、前記スイッチ部を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部とを有し、前記接続部と前記スイッチ部とを介して、前記電源装置から供給される直流電力を前記負荷に配電する配電部と、
前記検出部が検出した電流値に基づいて、前記スイッチ部を切換える制御部と、
を備え、
前記接続対象には、前記電源装置と、前記負荷と、複数の前記接続部のうちの自接続部以外の他の接続部とが含まれ、
各前記接続部は、少なくとも1つの前記他の接続部を含む、少なくとも3つの前記接続対象に、それぞれ前記スイッチ部を介して接続されている
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
i個(iは2以上の整数)の階層に階層化された複数の前記配電部を有し、
第1階層には1つの前記配電部が含まれ、第1階層の前記配電部は、前記電源装置に接続され、
第j(jは2≦j≦iを満たす整数)階層には、複数の前記配電部が含まれ、第j階層の前記配電部は、第(j−1)階層の前記配電部にそれぞれ接続されるとともに、第j階層の前記配電部のうちの自配電部以外の前記配電部にそれぞれ接続され、
第i階層の前記配電部は、前記負荷にそれぞれ接続され、
前記電源装置から供給される直流電力を、第1階層から第i階層の順に各配電部を介して前記負荷に供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記検出部によって検出された電流値と、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値と、前記スイッチ部の現在の前記配電部の電源供給経路を示す経路情報とに基づいて、前記スイッチ部を流れる電流値が前記上限値を超えないような経路情報を生成して、生成した前記経路情報に応じて前記スイッチ部を切換える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値のいずれかが、当該電流値に対応する上限値であって、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値を超える場合には、当該電流値に対応する前記スイッチ部を非導通状態にさせる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値が、予め記憶されている上限値記憶部と、
前記スイッチ部の現在の前記経路情報と、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流されている電流範囲と、に関連付けられて、前記スイッチ部の切換え後の前記経路情報が、予め記憶されている経路情報記憶部とを有し、
前記検出部によって検出された電流値と、前記上限値記憶部から読み出した前記上限値とを前記スイッチ部ごとに比較し、
いずれかの前記スイッチ部について、前記検出部によって検出された電流値が、前記上限値記憶部から読み出した前記上限値を超えている場合、
前記スイッチ部の現在の前記配電部の電源供給経路を示す経路情報と一致する前記スイッチ部の現在の前記経路情報と関連付けられており、かつ、前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値を含む前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流されている電流範囲を示す情報と関連付けられている、前記予め記憶されている経路情報を前記経路情報記憶部から読み出し、
読み出した前記経路情報に応じて前記スイッチ部を切換える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記上限値記憶部に予め記憶されている前記上限値は、前記負荷の消費電力に基づいて定められている
ことを特徴とする請求項5に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記経路を選択する際に、前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値に基づいて、当該スイッチ部に流すことができる電流の上限値を、記憶されている前記上限値から変更する
ことを特徴とする請求項5から請求項6のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記電源装置に供給される交流電力が、少なくとも2つの異なる電源供給系統から供給される
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項9】
前記電源装置から前記負荷に供給される電力が不足する場合に、蓄積した電荷を前記負荷に供給するバッテリーを備える
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項10】
前記接続部は、直列に接続された少なくとも2つの前記スイッチ部を介して互いに接続されている
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項11】
直流電力が供給される複数の負荷に、直流電力を供給する電力供給方法であって、
供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置に、電力を変換させる変換ステップと、
接続対象に接続され、接続された複数の前記接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部と、前記接続部と前記接続対象との間の導通状態と非導通状態とを切換える複数のスイッチ部とを有し、前記接続対象には、前記電源装置と、前記負荷と、複数の前記接続部のうちの自接続部以外の他の接続部とが含まれ、少なくとも1つの前記他の接続部を含む、少なくとも3つの前記接続対象に、それぞれ前記スイッチ部を介して接続され、前記接続部と、前記スイッチ部とを介して、前記電源装置から供給される直流電力を前記負荷に配電する配電部に、電力を配電させる配電ステップと、
前記スイッチ部を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部に、電流値を検出させる検出ステップと、
前記検出部が検出した電流値に基づいて、前記スイッチ部を切換える制御部に前記スイッチ部を切換えさせる切換えステップと、
を有する電力供給方法。
【請求項1】
直流電力が供給される複数の負荷に、直流電力を供給する電力供給システムであって、
供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置と、
接続対象に接続され、接続された複数の前記接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部と、前記接続部と前記接続対象との間を導通状態又は非導通状態に切換える複数のスイッチ部と、前記スイッチ部を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部とを有し、前記接続部と前記スイッチ部とを介して、前記電源装置から供給される直流電力を前記負荷に配電する配電部と、
前記検出部が検出した電流値に基づいて、前記スイッチ部を切換える制御部と、
を備え、
前記接続対象には、前記電源装置と、前記負荷と、複数の前記接続部のうちの自接続部以外の他の接続部とが含まれ、
各前記接続部は、少なくとも1つの前記他の接続部を含む、少なくとも3つの前記接続対象に、それぞれ前記スイッチ部を介して接続されている
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
i個(iは2以上の整数)の階層に階層化された複数の前記配電部を有し、
第1階層には1つの前記配電部が含まれ、第1階層の前記配電部は、前記電源装置に接続され、
第j(jは2≦j≦iを満たす整数)階層には、複数の前記配電部が含まれ、第j階層の前記配電部は、第(j−1)階層の前記配電部にそれぞれ接続されるとともに、第j階層の前記配電部のうちの自配電部以外の前記配電部にそれぞれ接続され、
第i階層の前記配電部は、前記負荷にそれぞれ接続され、
前記電源装置から供給される直流電力を、第1階層から第i階層の順に各配電部を介して前記負荷に供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記検出部によって検出された電流値と、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値と、前記スイッチ部の現在の前記配電部の電源供給経路を示す経路情報とに基づいて、前記スイッチ部を流れる電流値が前記上限値を超えないような経路情報を生成して、生成した前記経路情報に応じて前記スイッチ部を切換える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値のいずれかが、当該電流値に対応する上限値であって、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値を超える場合には、当該電流値に対応する前記スイッチ部を非導通状態にさせる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流すことができる電流の上限値が、予め記憶されている上限値記憶部と、
前記スイッチ部の現在の前記経路情報と、前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流されている電流範囲と、に関連付けられて、前記スイッチ部の切換え後の前記経路情報が、予め記憶されている経路情報記憶部とを有し、
前記検出部によって検出された電流値と、前記上限値記憶部から読み出した前記上限値とを前記スイッチ部ごとに比較し、
いずれかの前記スイッチ部について、前記検出部によって検出された電流値が、前記上限値記憶部から読み出した前記上限値を超えている場合、
前記スイッチ部の現在の前記配電部の電源供給経路を示す経路情報と一致する前記スイッチ部の現在の前記経路情報と関連付けられており、かつ、前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値を含む前記スイッチ部ごとに定められる前記スイッチ部に流されている電流範囲を示す情報と関連付けられている、前記予め記憶されている経路情報を前記経路情報記憶部から読み出し、
読み出した前記経路情報に応じて前記スイッチ部を切換える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記上限値記憶部に予め記憶されている前記上限値は、前記負荷の消費電力に基づいて定められている
ことを特徴とする請求項5に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記経路を選択する際に、前記検出部によって検出された前記スイッチ部を流れる電流の電流値に基づいて、当該スイッチ部に流すことができる電流の上限値を、記憶されている前記上限値から変更する
ことを特徴とする請求項5から請求項6のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記電源装置に供給される交流電力が、少なくとも2つの異なる電源供給系統から供給される
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項9】
前記電源装置から前記負荷に供給される電力が不足する場合に、蓄積した電荷を前記負荷に供給するバッテリーを備える
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項10】
前記接続部は、直列に接続された少なくとも2つの前記スイッチ部を介して互いに接続されている
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項11】
直流電力が供給される複数の負荷に、直流電力を供給する電力供給方法であって、
供給される交流電力を直流電力に変換する複数の電源装置に、電力を変換させる変換ステップと、
接続対象に接続され、接続された複数の前記接続対象間において直流電力を入出力させる複数の接続部と、前記接続部と前記接続対象との間の導通状態と非導通状態とを切換える複数のスイッチ部とを有し、前記接続対象には、前記電源装置と、前記負荷と、複数の前記接続部のうちの自接続部以外の他の接続部とが含まれ、少なくとも1つの前記他の接続部を含む、少なくとも3つの前記接続対象に、それぞれ前記スイッチ部を介して接続され、前記接続部と、前記スイッチ部とを介して、前記電源装置から供給される直流電力を前記負荷に配電する配電部に、電力を配電させる配電ステップと、
前記スイッチ部を流れる電流の電流値を検出する複数の検出部に、電流値を検出させる検出ステップと、
前記検出部が検出した電流値に基づいて、前記スイッチ部を切換える制御部に前記スイッチ部を切換えさせる切換えステップと、
を有する電力供給方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−55829(P2013−55829A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193363(P2011−193363)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】
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