説明

電力供給システム

【課題】太陽電池の発電量が少ない場合でも太陽電池が生成したエネルギーを有効活用することができる電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力供給システムは、太陽電池1と、少なくとも一つの蓄電池2を含む蓄電部と、太陽電池1から出力される電力及び前記蓄電部から出力される電力を電力変換する電力変換部(例えばインバータ3)と、太陽電池1、前記蓄電部、及び前記電力変換部の間の接続状態を切り換える切換部(例えばスイッチSW1及びSW2)と、太陽電池1の発電量が少ないと判断した場合に、太陽電池1から出力される電力を前記電力変換部を経由せずに蓄電池2に充電すること、及び、蓄電池2を放電して蓄電池2から前記電力変換部へ電力を供給すること、の少なくとも一方を実行するように前記切換部を制御する制御部(例えばコントローラ5)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流系統やDC負荷(DC電源入力端子を有する負荷)等に電力を供給する電力供給システムに関し、特に太陽電池と蓄電池とを備える電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
交流系統やDC負荷等に電力を供給する電力供給システムの中には、太陽電池と蓄電池とを備えるタイプのものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
太陽電池と蓄電池とを備える電力供給システムでは、電力供給先である交流系統やDC負荷等に所定の電圧値の電力を供給するために、太陽電池から出力される電力が電力変換部によって所定の電圧値の電力に変換される。なお、電力変換部は、電力供給システムが電力供給先にAC電力を供給するシステムである場合にはインバータとし、電力供給システムが電力供給先にDC電力を供給するシステムである場合にはDC/DCコンバータとする。
【0004】
インバータは図8に示すような変換効率特性を有しており、インバータに入力される電力が小さければ、インバータの変換効率は低くなる。また、DC/DCコンバータは図9に示すような変換効率特性を有しており、DC/DCコンバータに入力される電流が小さければ、DC/DCコンバータの変換効率は低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−346445号公報(段落0011及び0017)
【特許文献1】特開平11−155242号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽電池の発電量は、太陽電池の設置場所、日照条件、季節などにより大きく変動する。太陽電池の発電量が少ない場合、太陽電池から電力変換部に入力される電力や電流が小さくなるので、電力変換部の変換効率が低くなり、太陽電池が生成したエネルギーの大半が無駄になるという問題があった。
【0007】
なお、特許文献1で開示されているシステムは、太陽電池の出力電圧が蓄電池の出力電圧より低くなった場合には太陽光発電を活用しないので、太陽電池が生成したエネルギーを有効活用しきれていない。
【0008】
また、特許文献2で開示されているシステムは、日出から太陽電池の出力電圧が所定値に達するまでの期間(日出から第1のモードが開始されるまでの期間)は、太陽光発電を活用しないので、太陽電池が生成したエネルギーを有効活用しきれていない。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑み、太陽電池の発電量が少ない場合でも太陽電池が生成したエネルギーを有効活用することができる電力供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る電力供給システムは、太陽電池と、少なくとも一つの蓄電池を含む蓄電部と、前記太陽電池から出力される電力及び前記蓄電部から出力される電力を電力変換する電力変換部と、前記太陽電池、前記蓄電部、及び前記電力変換部の間の接続状態を切り換える切換部と、前記太陽電池の発電量が少ないと判断した場合に、前記太陽電池から出力される電力を前記電力変換部を経由せずに前記蓄電池に充電すること、及び、前記蓄電池を放電して前記蓄電池から前記電力変換部へ電力を供給すること、の少なくとも一方を実行するように前記切換部を制御する制御部とを備える構成(第1の構成)とする。
【0011】
上記第1の構成の電力供給システムにおいて、前記制御部は、閾値と前記太陽電池の発電量に依存する物理量との比較結果により前記太陽電池の発電量が少ないか否かを判断する第1の判断手法、前記太陽電池の発電量が少ないことが予測される時間帯を予め定め、前記時間帯に応じて前記太陽電池の発電量が少ないか否かを判断する第2の判断手法、及び前記太陽電池の過去の発電量を履歴データとして記憶して前記履歴データを用いて前記太陽電池の発電量が少ないか否かを判断する第3の判断手法、の少なくとも一つを用いて、前記太陽電池の発電量が少ないか否かを判断する構成(第2の構成)にしてもよい。
【0012】
上記第1または第2の構成の電力供給システムにおいて、前記蓄電部は、前記蓄電池を一つのみ有し、前記制御部は、前記太陽電池の発電量が少ないと判断した場合に、前記蓄電池の充電容量が所定値以下であれば、前記太陽電池から出力される電力を前記電力変換部を経由せずに前記蓄電池に充電し、前記蓄電池の充電容量が前記所定値より多ければ、前記蓄電池を放電して前記蓄電池から前記電力変換部へ電力を供給するように前記切換部を制御する構成(第3の構成)にしてもよい。
【0013】
上記第1または第2の構成の電力供給システムにおいて、前記蓄電部は、前記蓄電池を複数有し、前記制御部は、前記太陽電池の発電量が少ないと判断した場合に、複数の前記蓄電池の少なくとも一つに前記太陽電池から出力される電力を前記電力変換部を経由せずに充電すると同時に、複数の前記蓄電池の他の少なくとも一つを放電してその放電した前記蓄電池から前記電力変換部へ電力を供給するように前記切換部を制御し得る構成(第4の構成)にしてもよい。
【0014】
上記第1〜4のいずれかの構成の電力供給システムにおいて、前記電力変換部は、直流電力を交流電力に変換するインバータであり、前記蓄電部から出力される電力を、前記電力変換部を経由することなく直接直流電力に変換するDC/DCコンバータを備える構成にしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電力供給システムによると、制御部によって太陽電池の発電量が少ないと判断された場合に、電力変換部に太陽電池の出力電力のみが入力されることがなくなるので、電力変換部が低い変換効率で電力変換を行うことを防止することができる。また、本発明に係る電力供給システムによると、制御部によって太陽電池の発電量が少ないと判断された場合に、太陽電池の出力電力を蓄電部に蓄え、蓄電部に蓄えたまとまった量の電力を電力変換部に出力することで電力変換部が高い変換効率で電力変換を行うことができる。これにより、太陽電池の発電量が少ない場合でも太陽電池が生成したエネルギーを有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電力供給システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る電力供給システムの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第1及び第2実施形態におけるコントローラの制御動作例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第3実施形態に係る電力供給システムの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る電力供給システムの概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第3及び第4実施形態におけるコントローラの制御動作例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態に係る電力供給システムの変形例の概略構成を示す図である。
【図8】インバータの変換効率特性を示す図である。
【図9】DC/DCコンバータの変換効率特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0018】
<本発明の第1実施形態に係る電力供給システムの構成>
本発明の第1実施形態に係る電力供給システムの概略構成を図1に示す。本発明の第1実施形態に係る電力供給システムは、交流系統100に電力を供給するシステムであって、太陽電池1と、蓄電池2と、太陽電池1から出力される電力及び蓄電電池2から出力される電力をDC/AC変換するインバータ3と、太陽電池1とインバータ3との接続/遮断を切り換えるスイッチSW1と、太陽電池1と蓄電池2との接続/遮断を切り換えるスイッチSW2と、太陽電池1の出力電力を検出する電力検出器4と、蓄電池2から送信される電池情報及び電力検出器4から送られる電力情報に基づいてスイッチSW1及びSW2を制御するコントローラ5とを備え、インバータ3の出力端から交流系統100に電力を供給している。
【0019】
太陽電池1の形態は特に限定されないが、例えば、複数直列接続した太陽電池モジュールを複数並列接続した太陽電池モジュール集合体を用いることができる。
【0020】
蓄電池2の形態も特に限定されないが、例えば、電池パックを複数直列接続した電池パックストリングを複数並列接続した電池パック集合体を用いることができる。電池パックの構成例としては、電池セルを複数並列接続した電池ブロックを複数直列接続した構成を挙げることができる。なお、蓄電池2は、蓄電池2の+−電極間の電流値および電圧値並びに蓄電池2の充電容量を検出する検出部と、当該検出部によって検出されたデータを電池情報としてコントローラ5に送信する通信部とを備えている。
【0021】
インバータ3は、太陽電池1を最大電力点で動作させるMPPT(Maximum Power Point Tracking)機能を有していることが望ましい。
【0022】
<本発明の第2実施形態に係る電力供給システムの構成>
本発明の第2実施形態に係る電力供給システムの概略構成を図2に示す。なお、図2において図1とハードウェアの構成が同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。本発明の第2実施形態に係る電力供給システムは、DC負荷200に電力を供給するシステムであって、太陽電池1と、蓄電池2と、太陽電池1から出力される電力及び蓄電電池2から出力される電力をDC/DC変換するDC/DCコンバータ6と、太陽電池1とDC/DCコンバータ6との接続/遮断を切り換えるスイッチSW1と、太陽電池1と蓄電池2との接続/遮断を切り換えるスイッチSW2と、太陽電池1の出力電流を検出する電流検出器7と、蓄電池2から送信される電池情報及び電流検出器7から送られる電流情報に基づいてスイッチSW1及びSW2を制御するコントローラ5とを備え、DC/DCコンバータ6の出力端からDC負荷200に電力を供給している。
【0023】
DC/DCコンバータ6は、太陽電池1を最大電力点で動作させるMPPT(Maximum Power Point Tracking)機能を有していることが望ましい。
【0024】
<本発明の第1及び第2実施形態におけるコントローラの制御動作例>
図3は、本発明の第1及び第2実施形態におけるコントローラ5の制御動作例を示すフローチャートである。
【0025】
コントローラ5は、制御動作を開始すると、まず太陽電池1の発電量が少ないか否かを判断する(ステップS10)。
【0026】
本発明の第1実施形態では、コントローラ5は、電力検出器4から送られる電力情報によって検知した太陽電池1の出力電力が閾値未満である場合、太陽電池1の発電量が少ないと判断し、電力検出器4から送られる電力情報によって検知した太陽電池1の出力電力が閾値以上である場合、太陽電池1の発電量が少なくないと判断する。また、本発明の第2実施形態では、コントローラ5は、電流検出器7から送られる電流情報によって検知した太陽電池1の出力電流が閾値未満である場合、太陽電池1の発電量が少ないと判断し、電流検出器7から送られる電流情報によって検知した太陽電池1の出力電流が閾値以上である場合、太陽電池1の発電量が少なくないと判断する。なお、閾値は、コントローラ5の内部メモリに不揮発的に記憶しておくとよい。また、コントローラ5の内部メモリに不揮発的に記憶される閾値は書き換え可能であることが望ましい。
【0027】
本発明の第1実施形態では、インバータ3の変換効率がインバータ3の入力電力に応じて変化するため、閾値と太陽電池1の出力電力とを比較し、本発明の第2実施形態では、DC/DCコンバータ6の変換効率がDC/DCコンバータ6の入力電流に応じて変化するため、閾値と太陽電池1の出力電流とを比較したが、閾値と太陽電池1の発電量に依存する他の物理量とを比較するようにしてもよい。太陽電池1の出力電力、太陽電池1の出力電流以外の太陽電池1の発電量に依存する物理量としては、例えば、太陽電池1の出力電圧、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)の効率等を挙げることができる。
【0028】
また、太陽電池1の発電量が少ないか否かを判断する他の判断手法として、太陽電池1の発電量が少ないことが予測される時間帯(例えば、夕方17時以降朝方8時迄の時間帯)を予め定め、その時間帯であれば太陽電池1の発電量が少ないと判断し、その時間帯でなければ太陽電池1の発電量が少なくないと判断する手法や太陽電池1の過去の発電量を年間通して履歴データとして記憶し、その履歴データを用いて太陽電池1の発電量が少ないか否かを判断する手法(例えば、過去の同月同日同時刻の発電量データと閾値とを比較する手法)を挙げることができ、これらの判断手法を採用してもよい。上記の時間帯に応じて太陽電池1の発電量が少ないか否かを判断する手法を採用した場合、電力検出器4や電流検出器7が不要になる代わりにコントローラ5が時計機能を有する必要がある。また、上記の履歴データを用いて太陽電池1の発電量が少ないか否かを判断する手法を採用した場合、コントローラ5が履歴データを不揮発的に記憶し、尚かつ、コントローラ5がカレンダー機能及び時計機能を有する必要があり、さらに本発明の第2実施形態のシステム構成である場合には電流検出器7を電力検出器に置き換える必要がある。
【0029】
ステップS10において太陽電池1の発電量が少なくないと判断した場合(ステップS10のNO)、コントローラ5は、太陽電池1の出力電力を電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)へ出力するように、スイッチSW1及びSW2を制御する(ステップS20)。すなわち、コントローラ5は、スイッチSW1をオン状態にし、スイッチSW2をオフ状態にする。ステップS20の処理が終了すると、後述するステップS60に移行する。
【0030】
一方、ステップS10において太陽電池1の発電量が少ないと判断した場合(ステップS10のYES)、コントローラ5は、蓄電池2から送られる電池情報によって検知した蓄電池2の充電容量が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS30)。
【0031】
ステップS30において蓄電池2の充電容量が所定値以下であると判断した場合(ステップS30のYES)、コントローラ5は、太陽電池1の出力電力を蓄電池2に充電するように、スイッチSW1及びSW2を制御する(ステップS40)。すなわち、コントローラ5は、スイッチSW1をオフ状態にし、スイッチSW2をオン状態にする。このとき、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)に電力が入力されないので、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)が低い変換効率で電力変換を行うことを防止することができる。ステップS40の処理が終了すると、後述するステップS60に移行する。
【0032】
ステップS30において蓄電池2の充電容量が所定値以下でないと判断した場合(ステップS30のNO)、コントローラ5は、蓄電池2が放電するように、スイッチSW1及びSW2を制御する(ステップS50)。すなわち、コントローラ5は、スイッチSW1及びSW2をオン状態にする。このとき、太陽電池1の出力電力に加えて、充電容量が所定値より大きい(高出力が可能な)蓄電池2の出力電力も電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)に入力されるので、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)が高い変換効率で電力変換を行うことができる。ステップS50の処理が終了すると、後述するステップS60に移行する。
【0033】
ステップS60において、コントローラ5は、ユーザ操作等によって運転終了が指示されているか否かを判断する。
【0034】
運転終了が指示されなければ(ステップS60のNO)、ステップS10に戻る。これにより、上述した処理が繰り返されることになる。したがって、ステップS40において蓄電池2に蓄えられた太陽電池1の出力電力は、その後ステップS60において蓄電池2が放電することによって、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)が高い変換効率で電力変換を行う状態のときに、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)に入力され、有効活用される。
【0035】
一方、運転終了が指示されれば(ステップS60のYES)、コントローラ5は制御動作を終了する。
【0036】
<本発明の第3実施形態に係る電力供給システムの構成>
次に、本発明の第3実施形態に係る電力供給システムの概略構成を図4に示す。なお、図4において図1とハードウェアの構成が同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。本発明の第3実施形態に係る電力供給システムは、交流系統100に電力を供給するシステムであって、太陽電池1と、蓄電池2A及び2Bを含む蓄電部と、太陽電池1から出力される電力及び蓄電部から出力される電力をDC/AC変換するインバータ3と、太陽電池1とインバータ3との接続/遮断を切り換えるスイッチSW1と、太陽電池1と蓄電池2A及び2Bとの接続状態を切り換えるスイッチSW3と、蓄電池2A及び2Bとインバータ3との接続状態を切り換えるスイッチSW4と、太陽電池1の出力電力を検出する電力検出器4と、蓄電池2A及び2Bからそれぞれ送信される各電池情報及び電力検出器4から送られる電力情報に基づいてスイッチSW1、SW3、及びSW4を制御するコントローラ5とを備え、インバータ3の出力端から交流系統100に電力を供給している。
【0037】
スイッチSW3は、太陽電池1が蓄電池2Aに接続される第1の状態、太陽電池1が蓄電池2Bに接続される第2の状態、太陽電池1が蓄電池2A及び2Bのいずれにも接続されない第3の状態の中からいずれか一つの状態を選択する。スイッチSW4は、インバータ3の入力端が蓄電池2Aに接続される第1の状態、インバータ3の入力端が蓄電池2Bに接続される第2の状態、インバータ3の入力端が蓄電池2A及び2Bのいずれにも接続されない第3の状態の中からいずれか一つの状態を選択する。
【0038】
上述した構成により、本発明の第3実施形態に係る電力供給システムは、蓄電部において充電と放電とを同時に行うことができる。
【0039】
<本発明の第4実施形態に係る電力供給システムの構成>
本発明の第4実施形態に係る電力供給システムの概略構成を図5に示す。なお、図5において図4とハードウェアの構成が同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。本発明の第4実施形態に係る電力供給システムは、DC負荷200に電力を供給するシステムであって、太陽電池1と、蓄電池2A及び2Bを含む蓄電部と、太陽電池1から出力される電力及び蓄電部から出力される電力をDC/DC変換するDC/DCコンバータ6と、太陽電池1とDC/DCコンバータ6との接続/遮断を切り換えるスイッチSW1と、太陽電池1と蓄電池2A及び2Bとの接続状態を切り換えるスイッチSW3と、蓄電池2A及び2BとDC/DCコンバータ6との接続状態を切り換えるスイッチSW4と、太陽電池1の出力電流を検出する電流検出器7と、蓄電池2A及び2Bからそれぞれ送信される各電池情報及び電流検出器7から送られる電流情報に基づいてスイッチSW1、SW3、及びSW4を制御するコントローラ5とを備え、DC/DCコンバータ6の出力端からDC負荷200に電力を供給している。
【0040】
スイッチSW4は、DC/DCコンバータ6の入力端が蓄電池2Aに接続される第1の状態、DC/DCコンバータ6の入力端が蓄電池2Bに接続される第2の状態、DC/DCコンバータ6の入力端が蓄電池2A及び2Bのいずれにも接続されない第3の状態の中からいずれか一つの状態を選択する。
【0041】
上述した構成により、本発明の第4実施形態に係る電力供給システムは、蓄電部において充電と放電とを同時に行うことができる。
【0042】
<本発明の第3及び第4実施形態におけるコントローラの制御動作例>
図6は、本発明の第3及び第4実施形態におけるコントローラ5の制御動作例を示すフローチャートである。なお、図6において図3と同一のステップには同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0043】
コントローラ5は、制御動作を開始すると、まず太陽電池1の発電量が少ないか否かを判断する(ステップS10)。
【0044】
ステップS10において太陽電池1の発電量が少なくないと判断した場合(ステップS10のNO)、コントローラ5は、太陽電池1の出力電力を電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)へ出力するように、スイッチSW1、SW3、及びSW4を制御する(ステップS20)。すなわち、コントローラ5は、スイッチSW1をオン状態にし、スイッチSW3及びSW4をそれぞれ上述した第3の状態にする。ステップS20の処理が終了すると、後述するステップS60に移行する。
【0045】
一方、ステップS10において太陽電池1の発電量が少ないと判断した場合(ステップS10のYES)、コントローラ5は、蓄電池2A及び2Bからそれぞれ送られる各電池情報によって蓄電池2A及び2Bの各充電容量を検知し、充電容量が少ない方の蓄電池に太陽電池1の出力電力を充電するように、スイッチSW1、SW3、及びSW4を制御する(ステップS35)。すなわち、コントローラ5は、スイッチSW1をオフ状態にし、スイッチSW3を上述した第1の状態または上述した第2の状態にする。これにより、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)に太陽電池1の出力電力が入力されないので、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)が低い変換効率で電力変換を行うことを防止することができる。
【0046】
ステップS35の処理が終了すると、コントローラ5は、充電容量が多い方の蓄電池の充電容量が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS45)。
【0047】
ステップS45において充電容量が多い方の蓄電池の充電容量が所定値以下であると判断した場合(ステップS45のYES)、コントローラ5は、充電容量が多い方の蓄電池が放電しないようにスイッチSW4を制御してから後述するステップS60に移行する。すなわち、コントローラ5は、スイッチSW4を上述した第3の状態にしてから後述するステップS60に移行する。
【0048】
一方、ステップS45において充電容量が多い方の蓄電池の充電容量が所定値以下でないと判断した場合(ステップS45のNO)、コントローラ5は、充電容量が多い方の蓄電池が放電するようにスイッチSW4を制御する(ステップS55)。すなわち、コントローラ5は、スイッチSW4を上述した第1の状態または上述した第2の状態にする。このとき、充電容量が所定値より大きい(高出力が可能な)蓄電池の出力電力が電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)に入力されるので、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)が高い変換効率で電力変換を行うことができる。ステップS55の処理が終了すると、後述するステップS60に移行する。
【0049】
ステップS60において、コントローラ5は、ユーザ操作等によって運転終了が指示されているか否かを判断する。
【0050】
運転終了が指示されなければ(ステップS60のNO)、ステップS10に戻る。これにより、上述した処理が繰り返されることになる。したがって、ステップS35において蓄電池に蓄えられた太陽電池1の出力電力は、その後ステップS55において蓄電池が放電することによって、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)が高い変換効率で電力変換を行う状態のときに、電力変換部(インバータ3またはDC/DDCコンバータ6)に入力され、有効活用される。
【0051】
一方、運転終了が指示されれば(ステップS60のYES)、コントローラ5は制御動作を終了する。
【0052】
<変形例>
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【0053】
例えば、本発明の第1実施形態に係る電力供給システムに、DC/DCコンバータ6と、蓄電池2とDC/DCコンバータ6との接続/遮断を切り換えるスイッチSW5とを追加し、図7に示す構成にしてもよい。このような構成の場合、例えば、図3に示すフローチャートのステップS20において、スイッチSW5をオン状態にして蓄電池2とDC/DCコンバータ6とを接続するようにすればよい。
【0054】
交流系統100には、ACアダプタ(交流系統100のAC電力をDC電力に変換する電力変換用アダプタ)を介してDC負荷が接続されることがある。このDC負荷にインバータ3経由で蓄電池2からの電力を供給する場合、インバータ3、ACアダプタ双方において電力損失が生じる。なお、一般的にACアダプタは変圧比が大きいため電力損失が大きい。これに対して、このDC負荷にDC/DCコンバータ6経由で蓄電池2からの電力を供給する場合、ACアダプタが不要になるので、ACアダプタでの電力損失をなくすことができる。したがって、太陽電池1が生成し蓄電池2が蓄えたエネルギーをより一層有効活用することができる。
【0055】
なお、本発明の第3実施形態に係る電力供給システムに対しても同様の変形を行うことができる。
【0056】
また、本発明の第3及び第4実施形態に係る電力供給システムは、蓄電部が2つの蓄電池を備える構成であるが、蓄電部が3つ以上の蓄電池を備える構成であってもよい。蓄電部が3つ以上の蓄電池を備える構成の場合、例えば、図6に示すフローチャートのステップS35において、充電容量が少ない方からN個(Nは任意の自然数)の蓄電池に太陽電池1の出力電力を充電し、図6に示すフローチャートのステップS55において、充電容量が所定値より多い蓄電池全てが放電するようにすればよい。
【符号の説明】
【0057】
1 太陽電池
2、2A、2B 蓄電池
3 インバータ
4 電力検出器
5 コントローラ
6 DC/DCコンバータ
7 電流検出器
100 交流系統
200 DC負荷
SW1〜SW5 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、
少なくとも一つの蓄電池を含む蓄電部と、
前記太陽電池から出力される電力及び前記蓄電部から出力される電力を電力変換する電力変換部と、
前記太陽電池、前記蓄電部、及び前記電力変換部の間の接続状態を切り換える切換部と、
前記太陽電池の発電量が少ないと判断した場合に、前記太陽電池から出力される電力を前記電力変換部を経由せずに前記蓄電池に充電すること、及び、前記蓄電池を放電して前記蓄電池から前記電力変換部へ電力を供給すること、の少なくとも一方を実行するように前記切換部を制御する制御部とを備えることを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記制御部は、
閾値と前記太陽電池の発電量に依存する物理量との比較結果により前記太陽電池の発電量が少ないか否かを判断する第1の判断手法、
前記太陽電池の発電量が少ないことが予測される時間帯を予め定め、前記時間帯に応じて前記太陽電池の発電量が少ないか否かを判断する第2の判断手法、及び
前記太陽電池の過去の発電量を履歴データとして記憶して前記履歴データを用いて前記太陽電池の発電量が少ないか否かを判断する第3の判断手法、の少なくとも一つを用いて、前記太陽電池の発電量が少ないか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記蓄電部は、前記蓄電池を一つのみ有し、
前記制御部は、前記太陽電池の発電量が少ないと判断した場合に、前記蓄電池の充電容量が所定値以下であれば、前記太陽電池から出力される電力を前記電力変換部を経由せずに前記蓄電池に充電し、前記蓄電池の充電容量が前記所定値より多ければ、前記蓄電池を放電して前記蓄電池から前記電力変換部へ電力を供給するように前記切換部を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記蓄電部は、前記蓄電池を複数有し、
前記制御部は、前記太陽電池の発電量が少ないと判断した場合に、複数の前記蓄電池の少なくとも一つに前記太陽電池から出力される電力を前記電力変換部を経由せずに充電すると同時に、複数の前記蓄電池の他の少なくとも一つを放電してその放電した前記蓄電池から前記電力変換部へ電力を供給するように前記切換部を制御し得ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記電力変換部は、直流電力を交流電力に変換するインバータであり、
前記蓄電部から出力される電力を、前記電力変換部を経由することなく直接直流電力に変換するDC/DCコンバータを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−78194(P2013−78194A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216153(P2011−216153)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】