説明

電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システム

【課題】需要家の電力需要を平準化することができる電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力測定部15は、商用電源1から需要家に供給される入力電力を測定する。パワー制御部14は、指令部16からの制御命令に応じて蓄電池13の充放電、及び、負荷機器12への電力供給を制御する。パワー制御部14では、商用電源1から供給される交流電力を直流に変換して蓄電池13を充電するとともに、蓄電池13から放電させた直流電力を交流に変換して負荷機器12に供給させる。指令部16は、電力測定部15によって測定された入力電力の測定結果が所定の閾値を超えると、蓄電池13から放電させて需要家内の負荷機器12に給電させる制御命令を出力するとともに、入力電力の測定結果が閾値未満であれば、商用電源1により蓄電池13を充電させる制御命令を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電力供給事業者から各需要家に供給される商用電源系統の系統電圧や周波数が不安定にならないように、電力供給事業者は、電力需要の変化に合わせて発電所を運用しており、電力需要に対して過不足が生じないように発電所の発電出力を制御していた。例えば一般家庭の消費電力は時間帯によって大きく変動し、朝や夕方の食事時は消費電力が増加し、就寝中の夜間には消費電力が減少する傾向がある。このように、各需要家の電力需要が時間帯によって大きく変動すると、電力需要の変化に発電量を追従させるように、発電所の発電出力を頻繁に調整する必要がある。
【0003】
例えば特許文献1に記載された配電システムでは、交流機器が接続される交流給電路と、直流機器が接続される直流給電路が設けられている。交流給電路には商用電源から交流電力が供給され、直流給電路には太陽光発電装置や燃料電池のような直流発電設備で発電された直流電力が供給される。また、この配電システムでは、商用電源から交流給電路に供給される電力量が所定のしきい値を超えると、直流発電設備で発電された直流電力を交流に変換して交流給電路に供給しており、商用電源から交流給電路に供給される電力量をしきい値以下に抑制している。このように、交流機器の電力需要が増加した場合、直流発電設備で発電された直流電力を交流に変換して交流給電路に供給することで、商用電源からの供給量がしきい値以下に抑制され、それによって電力供給事業者から見た電力需要の変動を低減していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−41782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の配電システムでは、個々の需要家において電力需要の変動は抑制されるものの、電力需要の変動自体は無くならないため、やはり電力供給事業者は、電力需要の変動に応じて、発電所の発電出力を頻繁に制御する必要があった。現在、電力供給事業者は原子力発電、火力発電、水力発電などの発電所を運用しており、原子力発電所は出力電力を頻繁に変化させるような運用は行えないため、電力需要の変動に対しては火力発電で対応しているが、化石燃料を燃焼させて発電する火力発電所は煤煙や炭酸ガスが発生するため、環境負荷が大きいという問題があった。また、発電所の出力電力を頻繁に変化させると、発電設備に負荷がかかり、発電設備の寿命が短くなるという問題もあった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、需要家の電力需要を平準化することができる電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電力供給制御装置は、電力取得部と、閾値設定部と、指令部と、制御部を備えたことを特徴とする。電力取得部は、商用電源から需要家側に供給された入力電力の測定結果を取得する。閾値設定部は入力電力の閾値を設定する。指令部は、入力電力の測定結果が閾値を超えると、商用電源から供給される電力で充電される蓄電池から放電させて需要家内の負荷機器に給電させる制御命令を出力するとともに、入力電力の測定結果が閾値未満であれば、商用電源により蓄電池を充電させる制御命令を出力する。制御部は、指令部からの制御命令に応じて蓄電池の充放電、及び、負荷機器への電力供給を制御する。
【0008】
この電力供給制御装置において、閾値設定部が期間毎に閾値を設定し、指令部は、各期間の閾値と入力電力の測定結果を比較した結果に基づいて制御信号を出力することも好ましい。
【0009】
この電力供給制御装置において、閾値設定部が1日のうちの各時間帯で閾値を設定し、指令部は、各時間帯の閾値と入力電力の測定結果を比較した結果に基づいて制御信号を出力することも好ましい。
【0010】
この電力供給制御装置において、所定期間における入力電力の測定結果を記憶する記憶部を備え、閾値設定部が、記憶部に記憶された測定結果をもとに所定期間における入力電力の平均値を求め、この平均値を閾値として設定することも好ましい。
【0011】
なお閾値設定部は、記憶部に記憶された測定結果をもとに、所定期間内で入力電力のピーク値が最大となる日の入力電力平均値を求め、この入力電力平均値を閾値として設定することも好ましい。
【0012】
この電力供給制御装置において、閾値設定部によって設定された閾値をもとに電気料金の契約容量を決定する契約容量決定部と、契約容量決定部によって決定された契約容量を需要家に対して提示する提示部とを備えることも好ましい。
【0013】
また本発明の電力供給システムは、商用電源から需要家側に供給される入力電力を測定する電力測定部と、需要家側に設置されて、商用電源から供給される電力で充電される蓄電池と、需要家側に設けられた上記の電力供給制御装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、商用電源からの入力電力が閾値に制御されるので、需要家の電力需要を平準化した電力供給制御装置を提供することができる。
【0015】
また、商用電源からの入力電力が閾値に制御されるので、需要家の電力需要を平準化した電力供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1の概略的なシステム構成図である。
【図2】同上の動作を説明するフローチャートである。
【図3】実施形態2の概略的なシステム構成図である。
【図4】実施形態5の概略的なシステム構成図である。
【図5】実施形態6の概略的なシステム構成図である。
【図6】実施形態7の概略的なシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(実施形態1)
実施形態1の電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システムについて図1及び図2を参照して説明する。
【0019】
図1は電力供給システムの概略的なシステム構成図である。この電力供給システムは、需要家10内に設けたAC分電盤11に商用電源1から商用電源(例えばAC100V)が供給され、AC分電盤11を介して宅内に設けた負荷機器12へ電力が供給されるようになっている。尚、需要家宅に設置される負荷機器12としては、例えばエアコンディショナなどの空調機器、テレビ、照明器具、音響機器、パーソナルコンピュータなどがある。
【0020】
また需要家10には、蓄電池13と、パワー制御部14と、電力測定部15と、指令部16と、閾値設定部17とが設けられている。
【0021】
蓄電池13は、需要家10側に設けられて、商用電源1から供給される電力を蓄電する。蓄電池13は、充電状態に関わる蓄電池情報(例えば過放電の有無や過充電の有無などの異常情報)を検出する機能を有しており、定期的に蓄電池情報をパワー制御部14へ送信する。この蓄電池13は需要家10の建物内外の少なくとも一方に設置されればよい。
【0022】
パワー制御部14(制御部)は、指令部16から制御命令が入力されると、蓄電池13からの蓄電池情報を参照し蓄電池13に異常がなければ、制御命令の内容にしたがって蓄電池13の充放電制御及び負荷機器12への電力供給制御を行う。パワー制御部14は、AC分電盤11を介して供給される交流電力を、AC/DCコンバータ(図示せず)によって直流に変換して、蓄電池13を充電する。またパワー制御部14は、蓄電池13から放電された直流電力をDC/ACコンバータ(図示せず)によって交流に変換し、AC分電盤11を介して負荷機器12に供給する。
【0023】
電力測定部15は、商用電源1からAC分電盤11に入力する入力電流を電流センサ15aで検出し、入力電流の測定結果をもとに商用電源1からの入力電力を測定する。また電力測定部15は、入力電力の測定結果を定期的に指令部16へ出力する。
【0024】
指令部16は、閾値設定部17から入力される閾値を記憶部16aに記憶させる。この指令部16は、電力測定部15から取得した現在の入力電力と記憶部16aに予め記憶させた閾値との大小を比較した結果に基づいて、制御命令(蓄電池13の充放電制御及び負荷機器12への電力供給制御を行わせる命令)をパワー制御部14へ出力する。ここで、入力電力の測定結果が閾値を超えると、指令部16は、蓄電池13から放電させて負荷機器12に給電させる制御命令(以下、この制御命令を放電命令という)をパワー制御部14へ出力する。一方、入力電力の測定結果が閾値未満であれば、指令部16は、商用電源1により蓄電池13を充電させる制御命令(以下、この制御命令を充電命令という)をパワー制御部14へ出力する。尚、指令部16は、例えばコンピュータに予め組み込まれたプログラムを実行させることによって、コンピュータの演算機能により実現される。
【0025】
閾値設定部17は、予め設定された閾値を指令部16に出力する。ここで、入力電力の平均値を予め求めておき、この平均値が閾値のデフォルト値として閾値設定部17に設定されていても良い。また閾値設定部17としてディップスイッチ、キーボード、タッチパネルなどの既存の入力装置を使用し、このような入力装置を用いて閾値を入力するものでもよいし、作業者がマイクから入力した音声を音声認識して閾値を入力するものでもよい。
【0026】
ここにおいて、上述した指令部16によって、電力測定部15から入力電力の測定結果を取得する電力取得部が構成されており、電力取得部としての機能も備えた指令部16と、閾値設定部17と、パワー制御部14(制御部)とで電力供給制御装置が構成される。
【0027】
次に本システムの動作を図2のフローチャートに基づいて説明する。指令部16は、定期的に制御動作を開始しており、制御動作を開始すると、先ず電力測定部15からの入力の有無を判断する(S1)。電力測定部15から入力電力の測定結果が入力されると(S1のYes)、指令部16は、入力電力の測定値と記憶部16aに記憶された閾値との高低を比較する(S2,S5)。
【0028】
ここで、入力電力の測定値が閾値を超えていれば(S2のYes)、指令部16は放電命令をパワー制御部14へ送信する。例えば閾値が3kWの場合に、入力電力の測定結果が4kWで閾値を超えていれば、指令部16は超過分の1kWを蓄電池13から放電させる放電命令をパワー制御部14へ出力する。パワー制御部14は、指令部16から放電命令を受信すると、蓄電池13からの蓄電池情報を参照し、放電の可否を判断する。蓄電池13が過放電でなけば(S3のNo)、パワー制御部14は、1kWの超過分をアシストするように、蓄電池13から放電させた直流電力を交流に変換してAC分電盤11に出力する(S4)。尚、蓄電池13が過放電になっていれば(S3のYes)、パワー制御部14は、蓄電池13から放電させず、処理を終了する。
【0029】
一方、入力電力の測定結果が閾値と同じであれば(S5のYes)、指令部16は、パワー制御部14へ制御命令を出力せずに、処理を終了する。
【0030】
また、入力電力の測定結果が閾値未満であれば(S5のNo)、指令部16は、充電命令をパワー制御部14へ送信する。例えば閾値が3kWの場合に、入力電力の測定結果が2kWで閾値未満であれば、指令部16は不足分の1kWを蓄電池13に充電させる充電命令をパワー制御部14へ出力する。パワー制御部14は、指令部16から充電命令を受信すると、蓄電池13からの蓄電池情報を参照し、充電の可否を判断する。蓄電池13が満充電でなけば(S6のNo)、パワー制御部14は、不足分の1kWを蓄電池13に充電させるように、AC/DCコンバータによってAC分電盤11からの交流電力を直流に変換させて、蓄電池13を充電させる(S7)。尚、蓄電池13が満充電であれば(S6のYes)、パワー制御部14は、蓄電池13を充電せずに、処理を終了する。
【0031】
以上のように本実施形態では、指令部16は、入力電力の測定結果が所定の閾値を超えると、蓄電池13から放電させて需要家内の負荷機器12に給電させる制御命令を出力する。また指令部16は、入力電力の測定結果が閾値未満であれば、商用電源1により蓄電池13を充電させる制御命令を出力している。
【0032】
これにより、商用電源1からの入力電力が閾値と等しくなるので、需要家10の電力需要を平準化することができる。
【0033】
尚、蓄電池13の蓄電容量は、入力電力が閾値を超えた場合に超過分を充電でき、且つ、入力電力が閾値未満となった場合に不足分を放電できるように、需要家の電力需要と閾値とに基づいて適切な容量値に設定されている。
【0034】
また、電力測定部15が入力電力を測定する周期、蓄電池13が蓄電池情報をパワー制御部14へ出力する周期、指令部16が制御動作を実行する周期は任意の期間でよく、需要家側で変更してもよい。
【0035】
ところで、本実施形態では閾値設定部17により閾値が一定の値として設定されているが、閾値設定部17によって期間毎に閾値が設定されるようにしてもよい。表1は期間毎に設定された閾値の一例であり、夏期や冬期など電力需要が増大する季節(6/1〜9/30、12/1〜3/31)では閾値が高めに設定され、その他の季節(4/1〜6/30、10/1〜11/30)では閾値が低めに設定されている。
【0036】
【表1】

このように、閾値設定部17は期間毎に閾値を設定しているので、期間に応じて電力需要が変化する場合には、期間毎に閾値を変更することで、電力需要の変化に応じて最適な閾値を設定することができる。
【0037】
また閾値設定部17が、1日のうちの各時間帯で閾値を設定することも好ましい。表2は時間帯毎に設定された閾値の一例であり、電力需要が低下する深夜から早朝にかけての時間帯(例えば23:00から6:59まで)は、それ以外の時間帯に比べて閾値が低く設定されている。
【0038】
【表2】

このように、閾値設定部17は1日のうちの各時間帯で閾値を設定しているので、時間帯毎に電力需要が変化する場合には、時間帯毎に閾値を変更することで、電力需要の変化に応じて最適な閾値を設定することができる。
【0039】
尚、閾値設定部17では、各々の期間毎に、1日のうちの各時間帯で閾値を設定してもよく、期間や時間帯によって電力需要が変化する場合でも、電力需要の変化に応じて最適な閾値を設定することができる。
【0040】
また閾値設定部17では閾値にヒステリシスを設けてもよく、入力電力が閾値付近で充放電が頻繁に切り替わるのを抑制できる。また閾値設定部17が2つの閾値(上限値、下限値)を設定してもよく、指令部16では、入力電力が上限値を越えると放電命令を出力し、入力電力が下限値未満になると充電命令を出力し、入力電力が上限値と下限値の間では放電も充電も行わない。なお、この上限値及び下限値にそれぞれヒステリシスが設けられてもよい。
【0041】
(実施形態2)
実施形態2について図3を参照して説明する。本実施形態では、実施形態1で説明した電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システムにおいて、太陽電池22と、発電電力測定部23とを追加して備えている。尚、太陽電池22及び発電電力測定部23以外の構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0042】
発電電力測定部23は、太陽電池22による発電電力を測定し、測定結果を発電電力情報として閾値設定部17へ定期的に送信する。また閾値設定部17には、負荷機器12による消費電力を電力センサ18で測定した結果が入力されている。
【0043】
閾値設定部17は、発電電力測定部23から入力される発電電力の測定結果と、電力センサ18から入力される消費電力の測定結果をもとに、例えば1日の総消費電力と総発電電力の差分を1日内で平準化した値を閾値として設定する。尚、時間帯によっては発電電力が電力需要を上回り、余剰電力が発生する場合もあるが、この余剰電力は蓄電池13に充電され、商用電源1からの入力電力が発電電力を上回り、且つ、商用電源1からの入力電力が閾値を下回った場合に、蓄電池13から放電される。この電力供給システムでは、蓄電池13は、商用電源1からの電力によって充電されるとともに、太陽電池22の発電電力によっても充電される。
【0044】
上述のように閾値設定部17では、1日の総消費電力から総発電電力を差し引いた差分を1日内で平準化した値を閾値として設定しているので、分散電源である太陽電池22の発電量を考慮して、閾値を最適な値に設定できる。例えば1日の総消費電力が7kWhで、太陽電池22の総発電電力が3kWhであった場合、差分の4kWhを1日で平準化した値が閾値として設定され、商用電源1からの入力電力が閾値に制御される。
【0045】
そして、商用電源1からの入力電力は上記閾値に等しくなるので、商用電源1からの入力電力を平準化することができる。尚、閾値設定部17が閾値を設定する場合、天候不良によって太陽電池22の発電電力が低下する場合も考慮し、余裕を持って閾値を設定するのが好ましい。
【0046】
なお、太陽電池22は分散電源の一例であり、風力発電装置、小型水力発電装置などの再生可能エネルギーを利用する発電装置のほか、燃料電池、コージェネレーション装置などを分散電源に用いてもよい。
【0047】
(実施形態3)
実施形態3の電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システムについて以下に説明する。尚、電力供給システムの構成は実施形態1又は2と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0048】
指令部16は、電力測定部15から入力される入力電力の測定結果を記憶部16aに記憶させる。
【0049】
閾値設定部17は、記憶部16aに記憶された所定期間における入力電力の測定結果をもとに、所定期間における入力電力の平均値を求め、この平均値を閾値として指令部16に設定する。表3は記憶部16aに記憶された入力電力の一例であり、各日の入力電力の平均値(平均入力電力)が例えば7日分記憶されている。閾値設定部17は、記憶部16aに記憶された7日分の測定結果(平均入力電力)をもとに、上記期間(直前の7日間)における平均入力電力を求めており、この場合は4kWと算出され、この値(4kW)が当日(8/2)の閾値として設定される。
【0050】
【表3】

このように本実施形態では、所定期間における入力電力(すなわち消費電力)の測定結果が記憶部16aに記憶されている。そして、閾値設定部17は、記憶部16aに記憶された測定結果をもとに所定期間における入力電力の平均値(すなわち消費電力の平均値)を求め、この平均値を閾値として設定している。
【0051】
これにより、所定期間における入力電力の平均値が閾値として設定されるので、需要家10での負荷機器12の使用状況に合わせて閾値が設定できるから、蓄電池13の充放電を効率良く行うことができる。
【0052】
尚、閾値設定部17が上述のようにして閾値を決定するタイミングは所定期間内であれば任意のタイミングで決定すればよい。例えば上述のように7日間の平均値から閾値を決定する場合、閾値を更新するタイミングは、1日おきから7日おきまでの間で任意のタイミングで決定すればよい。
【0053】
また、実施形態1で説明したように期間毎に閾値が設定される場合、閾値設定部17では、過去の所定期間(例えば複数年)において、期間毎に入力電力の平均値を予め求めておき、その平均値を翌年の各期間における閾値として設定すればよい。
【0054】
また実施形態1で説明したように時間帯毎に閾値が設定される場合、閾値設定部17では、過去の所定期間(例えば複数日)において、時間帯毎に入力電力の平均値を予め求めておき、その平均値を翌日の各時間帯における閾値として設定すればよい。
【0055】
(実施形態4)
実施形態4の電力供給制御装置及びそれを用いた電力電力供給システムについて以下に説明する。尚、電力供給システムの構成は実施形態1又は2と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0056】
指令部16は、電力測定部15から入力される入力電力の測定結果を記憶部16aに記憶させる。
【0057】
閾値設定部17は、記憶部16aに記憶された所定期間における入力電力の測定結果をもとに、所定期間内で入力電力のピーク値が最大となる日の入力電力平均値を求め、この入力電力平均値を閾値として指令部16に設定する。表4は記憶部16aに記憶された入力電力の一例であり、各日の入力電力の平均値およびピーク値が例えば7日分記憶されている。この例では所定期間内で7月30日にピーク値が最大となっており、閾値設定部17では、この日の入力電力平均値(4.5kW)を求め、この入力電力平均値を閾値として指令部16に設定している。
【0058】
【表4】

このように本実施形態では、所定期間における入力電力の測定結果が記憶部16aに記憶されている。閾値設定部17は、記憶部16aに記憶された測定結果をもとに、所定期間内で入力電力のピーク値が最大となる日の入力電力平均値を求め、この入力電力平均値を閾値として設定している。
【0059】
これにより、所定期間においてピーク値が最大となる日の入力電力平均値が閾値として設定されるので、需要家10での負荷機器12の使用状況に合わせて閾値が設定できるから、蓄電池13の充放電を効率良く行うことができる。
【0060】
尚、閾値設定部17が上述のようにして閾値を決定するタイミングは期間内であれば任意のタイミングで決定すればよい。例えば上述のように所定期間が7日間であれば、閾値を更新するタイミングは、1日おきから7日おきまでの間で任意のタイミングで決定すればよい。
【0061】
(実施形態5)
実施形態5の電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システムについて図4を参照して説明する。本実施形態では、実施形態1の電力供給システムにおいて、契約容量決定部19と、提示部20とを追加して備えている。尚、契約容量決定部19及び提示部20以外の構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0062】
契約容量決定部19は、指令部16から閾値が入力され、この閾値に対応した電流値に所定量(例えば5A程度)を上乗せした値を電気料金契約時の契約容量として決定し、提示部20に出力する。
【0063】
提示部20は、例えば壁に備え付けられたビューワ、可搬型のビューワ、携帯電話、パソコン、テレビなどの表示モニタを有する機器からなり、契約容量決定部19から入力された契約容量を表示して、需要家に提示する。
【0064】
このように、契約容量決定部19では、閾値設定部17によって設定された閾値をもとに電気料金の契約容量を決定しているので、需要家宅での入力電力に合わせて契約容量を下げることで、電気料金を抑制できる。また、閾値に対応した電流値に所定量を上乗せした値を契約容量として決定しているので、契約容量を下げつつも、誤って契約容量以上の電力を使用してしまう可能性を低減できる。尚、閾値に対応した電流値に上乗せする電流値は、例えば指令部16に設けられた入力手段(図示せず)を用いて入力することができる。この入力手段としてはディップスイッチ、キーボード、タッチパネルなどの既存の入力装置が使用でき、また作業者がマイクから入力した音声を音声認識して電流値を入力するものでもよい。
【0065】
尚、本実施形態で説明した契約容量決定部19及び提示部20を、他の実施形態で説明した電力供給システムに追加して備えてもよく、上述と同様の効果がある。
【0066】
(実施形態6)
実施形態6の電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システムについて図5を参照して説明する。本実施形態では、実施形態1の電力供給システムにおいて、提示部20と、蓄電池情報収集部21とを追加して備えている。尚、提示部20及び蓄電池情報収集部21以外の構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0067】
蓄電池情報収集部21は、蓄電池13の充電時は瞬時充電電力を、蓄電池13の放電時は瞬時放電電力を収集し、収集した情報を定期的に指令部16へ送信する。
【0068】
指令部16は、蓄電池情報収集部21から入力された蓄電池13の充放電情報(瞬時充電電力、瞬時放電電力)を記憶部16aに記憶させるとともに、充電電力および放電電力を積算して、充電積算電力及び放電積算電力を算出する。そして、指令部16では、充電積算電力及び放電積算電力の算出結果を提示部20へ出力する。
【0069】
下記の表5は充電積算電力及び放電積算電力を算出した結果の一例を示している。指令部16は、蓄電池情報収集部21から1分毎に充放電情報を取り込み、1分毎に取り込んだ充電瞬時電力又は放電瞬時電力から充電積算電力又は放電積算電力を積算している。尚、指令部16が、充電積算電力及び放電積算電力を積算する期間は任意であり、指令部16が備える入力手段を用いて積算期間を任意の期間に変更することができる。
【0070】
【表5】

提示部20は、例えば壁に備え付けられたビューワ、可搬型のビューワ、携帯電話、パソコン、テレビなどの表示モニタを有する機器からなり、指令部16から入力された充電積算電力及び放電積算電力を表示する。したがって、需要家は、提示部20に表示された充電積算電力及び放電積算電力から、蓄電池3による充放電の状況を把握することができる。
【0071】
尚、本実施形態で説明した契約容量決定部19及び提示部20を、実施形態1以外の実施形態で説明した電力供給システムに追加して備えてもよいことは言うまでもない。
【0072】
(実施形態7)
実施形態7の電力供給制御装置及びそれを用いた電力供給システムについて図6を参照して説明する。本実施形態では、実施形態1の電力供給システムにおいて、需要家の外部に設けられたサーバ30から指令部16に閾値情報が入力されると、この閾値情報をもとに閾値が変更されるようになっている。尚、電力供給システムの基本的な構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0073】
サーバ30は、需要家10内に設けられた指令部16に、インターネットのような広域通信網を介して接続されている。サーバ30は、例えば季節情報、時間情報、ユーザの行動情報などに基づいて各需要家10に設定する閾値を決定しており、閾値の設定内容を示す閾値情報を指令部16へ任意のタイミングで送信する。
【0074】
指令部16は、宅外のサーバ30から送信された閾値情報を受信すると、閾値設定部17によって設定されている現在の閾値を、サーバ30からの閾値情報に基づいて変更する。
【0075】
上述のように本実施形態では、指令部16に、需要家の外部から送信された閾値情報が入力されると、この閾値情報をもとに閾値を変更するようになっている。
【0076】
これにより、各需要家10の指令部16に設定される閾値を外部から変更できるので、需要家に意識させることなく、使用状況に合った閾値に自動的に変更することができる。
【0077】
尚、実施形態1以外の実施形態で説明した電力供給システムにおいても、指令部16が外部から入力される閾値情報にしたがって閾値を変更しても良く、需要家に意識させることなく、使用状況に合った閾値に自動的に変更することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 商用電源
10 需要家
11 AC分電盤
12 負荷機器
13 蓄電池
14 パワー制御部(制御部)
15 電力測定部
15a 電流センサ
16 指令部
16a 記憶部
17 閾値設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から需要家側に供給された入力電力の測定結果を取得する電力取得部と、
前記入力電力の閾値を設定する閾値設定部と、
前記入力電力の測定結果が前記閾値を超えると、商用電源から供給される電力で充電される蓄電池から放電させて前記需要家内の負荷機器に給電させる制御命令を出力するとともに、前記入力電力の測定結果が前記閾値未満であれば、商用電源により前記蓄電池を充電させる制御命令を出力する指令部と、
前記指令部からの制御命令に応じて前記蓄電池の充放電、及び、前記負荷機器への電力供給を制御する制御部とを備えたことを特徴とする電力供給制御装置。
【請求項2】
前記閾値設定部は期間毎に前記閾値を設定し、前記指令部は、各期間の閾値と前記入力電力の測定結果を比較した結果に基づいて前記制御信号を出力することを特徴とする請求項1記載の電力供給制御装置。
【請求項3】
前記閾値設定部は1日のうちの各時間帯で前記閾値を設定し、前記指令部は、各時間帯の閾値と前記入力電力の測定結果を比較した結果に基づいて前記制御信号を出力することを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の電力供給制御装置。
【請求項4】
所定期間における前記入力電力の測定結果を記憶する記憶部を備え、前記閾値設定部が、前記記憶部に記憶された測定結果をもとに前記所定期間における入力電力の平均値を求め、この平均値を前記閾値として設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の電力供給制御装置。
【請求項5】
所定期間における前記入力電力の測定結果を記憶する記憶部を備え、前記閾値設定部が、前記記憶部に記憶された測定結果をもとに、前記所定期間内で入力電力のピーク値が最大となる日の入力電力平均値を求め、この入力電力平均値を前記閾値として設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の電力供給制御装置。
【請求項6】
前記閾値設定部によって設定された前記閾値をもとに電気料金の契約容量を決定する契約容量決定部と、前記契約容量決定部によって決定された契約容量を需要家に対して提示する提示部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載の電力供給制御装置。
【請求項7】
商用電源から需要家側に供給される入力電力を測定する電力測定部と、
需要家側に設置されて、商用電源から供給される電力で充電される蓄電池と、
需要家側に設けられた請求項1乃至6の何れか1つに記載の電力供給制御装置とを備えたことを特徴とする電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−130126(P2012−130126A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278243(P2010−278243)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】