説明

電力供給装置、電力管理システム、電力管理方法および電力管理プログラム

【課題】電気機器の電力消費情報をユーザに提示するために電気機器への供給電力を計測する機器において、当該機器自身の消費電力を低減することが可能な電力供給装置、電力管理システム、電力管理方法および電力管理プログラムを提供する。
【解決手段】電力供給装置101は、電気機器121を接続可能な接続部12と、外部から受けた電力を接続部12経由で電気機器121に供給するための電力伝達部11と、電力伝達部11によって電気機器121に供給される電流を少なくとも測定するための測定部13と、測定部13の測定結果を示す電力消費情報を管理装置へ送信するための送信部14と、測定部13および送信部14の少なくとも一方の動作を停止可能な制御部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置、電力管理システム、電力管理方法および電力管理プログラムに関し、特に、電気機器の電力消費を計測する機能を有する電力供給装置、電力管理システム、電力管理方法および電力管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭および職場における電力消費量をユーザが把握するために、電力センサおよび通信モジュール等を内蔵した電源タップが開発されている。この電源タップに電気機器を接続し、収集した電力消費情報をたとえば家庭内のホームゲートウェイへ送信する。これにより、複数の電源タップの電力消費情報を集約し、ユーザに家庭内の電力消費情報を提示する。
【0003】
このような電源タップの一例として、たとえば、特開2008−197755号公報(特許文献1)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、造営物側コンセント口に接続可能なACプラグと、機器のACプラグの差込接続が可能なコンセント口とを備えた電源タップにおいて、当該電源タップのACプラグに接続された電力線通信モデムと、当該電源タップのACプラグとコンセント口との間に介在するプログラマブルコントローラとを内蔵する。電力線通信モデムでは電力線搬送通信上でプログラマブルコントローラの制御条件を付加したプログラムデータを受け取るとともにその受け取ったプログラムデータをプログラマブルコントローラに送る。一方、プログラマブルコントローラでは上記送られたプログラムデータに応答して上記コンセント口に接続した機器の電源をオンオフ制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような電源タップを用いれば、ユーザは家庭内の電力消費情報を把握し易くなり、節電効果を期待することができる。しかしながら、電源タップ自身は造営物側コンセントに常時接続されており、電源タップも電力を消費する。
【0006】
より節電効果を得るため、家庭内に多くの電源タップを導入するには、電力消費情報を得るための電源タップの節電がより重要であることに本願発明者らは着目した。
【0007】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、電気機器の電力消費情報をユーザに提示するために電気機器への供給電力を計測する機器において、当該機器自身の消費電力を低減することが可能な電力供給装置、電力管理システム、電力管理方法および電力管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電力供給装置は、電気機器を接続可能な接続部と、外部から受けた電力を上記接続部経由で上記電気機器に供給するための電力伝達部と、上記電力伝達部によって上記電気機器に供給される電流を少なくとも測定するための測定部と、上記測定部の測定結果を示す電力消費情報を管理装置へ送信するための送信部と、上記測定部および上記送信部の少なくとも一方の動作を停止可能な制御部とを備える。
【0009】
このような構成により、電力供給装置自身の消費電力を低減することができるため、電力供給装置を用いてユーザに家庭内の電力消費情報を提示することでユーザの省電力意識を高める、といった電力供給装置を使用する趣旨が損なわれることを防ぐことができる。したがって、電気機器の電力消費情報をユーザに提示するために電気機器への供給電力を計測する機器において、当該機器自身の消費電力を低減することができる。
【0010】
好ましくは、上記制御部は、上記測定部の測定結果に基づいて上記送信部の動作を停止するか否かを判断する。
【0011】
このような構成により、電力供給装置に接続された電気機器の消費電力に基づく適切なタイミングで省電力動作を行なうことができる。たとえば、電力供給装置に接続された電気機器が待機状態にあるために消費電力が小さく、当該消費電力をユーザに通知する必要性の低い場合に送信部の動作を停止する等、適切な状況において省電力動作を行なうことができる。
【0012】
より好ましくは、上記制御部は、上記測定部の測定結果に基づいて上記送信部の動作を停止した後、上記測定部の新たな測定結果に基づいて、上記送信部の動作を再開するか否かを判断する。
【0013】
このような構成により、電力供給装置に接続された電気機器の消費電力に基づく適切なタイミングで省電力動作を停止することができる。たとえば、電力供給装置に接続された電気機器が待機状態から通常動作に復帰して消費電力が大きくなり、当該消費電力をユーザに通知する必要性が高くなった場合に送信部の動作を再開させる等、適切な状況において省電力動作を停止することができる。
【0014】
より好ましくは、上記制御部は、動作を再開した上記送信部が上記電力消費情報を上記管理装置へ送信した後、上記測定部の新たな測定結果に基づいて、上記送信部の動作を停止するか否かを再び判断する。
【0015】
このような構成により、電力供給装置に接続された電気機器の消費電力が増減を繰り返す場合に、省電力動作の開始および停止を適切に切り替え、省電力効果を高めることができる。
【0016】
より好ましくは、上記送信部は、他の装置からの通信信号をさらに他の装置へ中継可能であり、上記制御部は、上記送信部が上記中継を行なう場合には、上記測定部の測定結果に関わらず上記送信部の動作を継続させる。
【0017】
このような構成により、たとえば管理装置と直接接続ができない電力供給装置が存在する場合において、当該電力供給装置からの電力消費情報の中継動作を優先させることができる。
【0018】
好ましくは、上記制御部は、上記測定部の動作を停止している状態において、所定の条件が満たされると上記測定部の動作を再開し、上記測定部が上記測定を行った後、再び上記測定部の動作を停止する。
【0019】
このような構成により、電力消費情報を送信する必要があるときだけ測定部を起動させることができるため、電力供給装置の省電力効果を高めることができる。また、送信部の動作を停止し、測定部の動作を継続させる省電力モードを採用する構成と比べて、中継モードに対応しながら常に省電力動作を行なうことができる。
【0020】
より好ましくは、上記制御部は、所定時間が経過するたびに上記測定部の動作を再開する。
【0021】
このような構成により、電力供給装置においてタイマを設ける等、簡易な構成で測定部の動作停止および動作再開を制御することができる。
【0022】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電力管理システムは、1または複数の電力供給装置と、管理装置とを備える電力管理システムであって、上記電力供給装置は、電気機器を接続可能な接続部と、外部から受けた電力を上記接続部経由で上記電気機器に供給するための電力伝達部と、上記電力伝達部によって上記電気機器に供給される電流を少なくとも測定するための測定部と、上記測定部の測定結果を示す電力消費情報を上記管理装置へ送信するための送信部と、上記測定部および上記送信部の少なくとも一方の動作を停止可能な制御部とを含む。
【0023】
このような構成により、電力供給装置自身の消費電力を低減することができるため、電力供給装置を用いてユーザに家庭内の電力消費情報を提示することでユーザの省電力意識を高める、といった電力供給装置を使用する趣旨が損なわれることを防ぐことができる。したがって、電気機器の電力消費情報をユーザに提示するために電気機器への供給電力を計測する機器において、当該機器自身の消費電力を低減することができる。
【0024】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電力管理方法は、電気機器を接続可能な接続部を備えた電力供給装置における電力管理方法であって、外部から受けた電力を上記接続部経由で上記電気機器に供給するステップと、上記接続部経由で上記電気機器に供給される電流を少なくとも測定するステップと、上記測定部の測定結果を示す電力消費情報を管理装置へ送信するステップと、上記測定部および上記送信部の少なくとも一方の動作を停止するステップと、停止した上記測定部または上記送信部の動作を再開するステップとを含む。
【0025】
このような構成により、電力供給装置自身の消費電力を低減することができるため、電力供給装置を用いてユーザに家庭内の電力消費情報を提示することでユーザの省電力意識を高める、といった電力供給装置を使用する趣旨が損なわれることを防ぐことができる。したがって、電気機器の電力消費情報をユーザに提示するために電気機器への供給電力を計測する機器において、当該機器自身の消費電力を低減することができる。
【0026】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電力管理プログラムは、電気機器を接続可能な接続部を備えた電力供給装置において用いられる電力管理プログラムであって、コンピュータに、外部から受けた電力を上記接続部経由で上記電気機器に供給するステップと、上記接続部経由で上記電気機器に供給される電流を少なくとも測定するステップと、上記測定部の測定結果を示す電力消費情報を管理装置へ送信するステップと、上記測定部および上記送信部の少なくとも一方の動作を停止するステップと、停止した上記測定部または上記送信部の動作を再開するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0027】
このような構成により、電力供給装置自身の消費電力を低減することができるため、電力供給装置を用いてユーザに家庭内の電力消費情報を提示することでユーザの省電力意識を高める、といった電力供給装置を使用する趣旨が損なわれることを防ぐことができる。したがって、電気機器の電力消費情報をユーザに提示するために電気機器への供給電力を計測する機器において、当該機器自身の消費電力を低減することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、電気機器の電力消費情報をユーザに提示するために電気機器への供給電力を計測する機器において、当該機器自身の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る電力管理システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電源タップの外観を概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電源タップの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電源タップが省電力動作を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電源タップが省電力動作を行なうか否かを判断する際の動作手順を定めたシーケンス図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る電源タップが省電力動作を行なう際の動作手順の他の例を定めたシーケンス図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電力管理システムにおいて、タップネットワークの構築を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0031】
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る電力管理システムの構成を示す図である。
【0032】
図1を参照して、電力管理システム201は、たとえば家庭内に構築され、複数の電源タップ(電力供給装置)101と、分電盤102に取り付けられたCT(Current Transformer)クランプ(電力供給装置)と、無線アダプタ103と、ホームゲートウェイ(管理装置)104と、DPF(Digital Photo Frame)105とを備える。
【0033】
電源タップ101および無線アダプタ103は、たとえばZigBee規格に従う無線信号を送受信する。CTクランプおよび無線アダプタ103も、たとえばZigBee規格に従う無線信号を送受信する。ホームゲートウェイ104およびDPF105は、たとえばIEEE802.11規格の無線LAN(Local Area Network)方式に従って無線信号を送受信する。なお、電力管理システム201におけるこれらの通信規格は一例であり、たとえば無線LANの通信のみが行われてもよい。
【0034】
CTクランプは、たとえば、分電盤102の主幹部に取り付けられ、系統側電力線から分電盤102を介して家庭内の各部に供給される電力を測定し、測定結果を示す電力消費情報を無線アダプタ103へ無線信号によって送信する。
【0035】
電源タップ101は、電気機器を接続可能であり、自己に接続された電気機器121に分電盤102から受けた電力を供給する。
【0036】
具体的には、電源タップ101は、系統側電力線からの電力を分電盤102経由で受けて、自己に接続されたエアコン、テレビおよび冷蔵庫等の電気機器121に電力を供給する。また、電源タップ101は、たとえば、自己に接続された電気機器121に供給される電力を測定し、測定結果を示す電力消費情報を無線アダプタ103へ無線信号によって送信する。
【0037】
無線アダプタ103は、通信プロトコルの変換処理を行い、電源タップ101およびCTクランプから受信した電力消費情報をホームゲートウェイ104へ送信する。なお、無線アダプタ103に相当する機能をホームゲートウェイ104に組み込むことも可能である。
【0038】
ホームゲートウェイ104は、無線アダプタ103から受信した電力消費情報をDPF105、およびインターネット301経由でサーバ群151へ送信する。
【0039】
DPF105は、ホームゲートウェイ104から受信した電力消費情報を示す音声および映像を出力する。
【0040】
サーバ群151は、各家庭からの電力消費情報を収集する。収集された情報は、たとえば、ユーザがDPF105等によって閲覧可能にするために、各家庭の電力消費に関する統計資料の作成に用いられる。
【0041】
図2は、本発明の実施の形態に係る電源タップの外観を概略的に示す図である。図3は、本発明の実施の形態に係る電源タップの構成を示す図である。
【0042】
図2および図3を参照して、電源タップ101は、電力伝達部11と、接続部12と、測定部13と、送受信部14と、制御部15とを備える。
【0043】
接続部12は、たとえばコンセント(アウトレット)を含み、電気機器121を接続可能である。このコンセントは、一つでもよく、複数あってもよい。
【0044】
電力伝達部11は、外部から受けた電力すなわち分電盤102から受けた電力を接続部12経由で電気機器121に供給する。電力伝達部11は、インレットと、該インレットとアウトレットとを切断可能に接続するリレーとを含む。リレーは、アウトレットへの給電およびその停止を切り替えるために用いられる。電力伝達部11は、命令を受けて該リレーを動作させる。
【0045】
測定部13は、電力伝達部11によって電気機器121に供給される電流を少なくとも測定し、測定結果を示す電力消費情報を作成する。たとえば、測定部13は、電気機器121に供給される電流および電圧を測定することにより、電気機器121に供給される電力を測定する。ここで、電力消費情報は、測定値そのものであってもよいし、測定値に対して丸め処理等が行われた値であってもよいし、測定した電流値および電圧値から算出された電力値であってもよい。
【0046】
送受信部14は、測定部13によって作成された電力消費情報を無線アダプタ103経由でホームゲートウェイ104へ送信する。また、送受信部14は、他の電源タップ101から送信された電力消費情報を中継して無線アダプタ103へ送信することも可能である。
【0047】
制御部15は、測定部13および送受信部14の少なくとも一方の動作を停止可能である。たとえば、制御部15は、測定部13の測定結果に基づいて送受信部14の動作を停止するか否かを判断する。
【0048】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る電力供給装置が省電力動作を行なう際の動作について図面を用いて詳細に説明する。
【0049】
電源タップ101は、以下に示すフローチャートおよびシーケンスにおける各ステップを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
【0050】
[送受信部14に対する省電力制御]
図4は、本発明の実施の形態に係る電源タップが省電力動作を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。
【0051】
図4を参照して、まず、送受信部14が動作している状態において、測定部13は、電力伝達部11によって電気機器121に供給される電力を測定する(ステップS1)。
【0052】
次に、制御部15は、測定部13によって測定された電力に基づいて送受信部14の動作を停止させるか否かを判断する(ステップS2)。制御部15は、測定部13によって測定された電力が閾値PA以上である場合には(ステップS2でYES)、送受信部14の動作を継続させる。
【0053】
次に、送受信部14は、測定部13の測定結果を示す電力消費情報を無線アダプタ103経由でホームゲートウェイ104へ送信する(ステップS3)。
【0054】
制御部15が送受信部14の動作を継続させている間(ステップS2でYES)、測定部13による電力測定および送受信部14による電力消費情報の送信がたとえば定期的に行われる(ステップS1およびS3)。
【0055】
一方、制御部15は、測定部13によって測定された電力が閾値PA未満である場合には(ステップS2でNO)、送受信部14の動作を停止させる(ステップS4)。
【0056】
次に、測定部13は、電力伝達部11によって電気機器121に供給される電力を測定する(ステップS5)。
【0057】
次に、制御部15は、測定部13によって測定された電力に基づいて送受信部14の動作を再開させるか否かを判断する(ステップS6)。制御部15は、測定部13によって測定された電力が閾値PB未満である場合には、送受信部14の動作の停止を維持する(ステップS6でNO)。なお、閾値PBは、閾値PAと同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。閾値PAおよびPBは、たとえば数ワットである。
【0058】
一方、制御部15は、測定部13によって測定された電力が閾値PB以上である場合には(ステップS6でYES)、送受信部14を起動して動作を再開させる(ステップS7)。
【0059】
次に、送受信部14は、測定部13の測定結果を示す電力消費情報を無線アダプタ103経由でホームゲートウェイ104へ送信する(ステップS8)。そして、制御部15が送受信部14の動作を継続させている間(ステップS2でYES)、測定部13による電力測定および送受信部14による電力消費情報の送信がたとえば定期的に行われる(ステップS1およびS3)。
【0060】
このように、制御部15は、測定部13の測定結果に基づいて送受信部14の動作を停止した(ステップS4)後、測定部13の新たな測定結果に基づいて、送受信部14の動作を再開するか否かを判断する(ステップS6)。
【0061】
また、制御部15は、動作を再開した送受信部14が電力消費情報をホームゲートウェイ104へ送信した(ステップS8)後、測定部13の新たな測定結果に基づいて、送受信部14の動作を停止するか否かを再び判断する(ステップS2)。
【0062】
図5は、本発明の実施の形態に係る電源タップが省電力動作を行なうか否かを判断する際の動作手順を定めたシーケンス図である。
【0063】
図5を参照して、まず、制御部15は、電源タップ101の起動時または定期的に、電源タップ101において保持されているルーティングテーブルを参照する。このルーティングテーブルには、たとえば自己を含む電力管理システム201における複数の電源タップのID(Identifier)、および無線アダプタ103のID等が含まれる(ステップS11)。
【0064】
次に、制御部15は、このルーティングテーブルの内容に基づき、自己の電源タップ101が他の電源タップ101の中継器として動作すべきか否かを判断する(ステップS12)。
【0065】
制御部15は、自己の電源タップ101が中継器として動作すべきであると判断した場合には(ステップS12でYES)、中継モードで動作する。この中継モードにおいて、制御部15は、測定部13の測定結果に関わらず送受信部14の動作を継続させる。すなわち、制御部15は、図4に示すステップS1およびS3の動作を繰り返す(ステップS13)。
【0066】
一方、制御部15は、自己の電源タップ101が中継器として動作する必要が無いと判断した場合には(ステップS12でNO)、省電力モードで動作する。この省電力モードにおいて、制御部15は、図4に示す各ステップの動作を行なう(ステップS14)。
【0067】
[測定部13に対する省電力制御]
図6は、本発明の実施の形態に係る電源タップが省電力動作を行なう際の動作手順の他の例を定めたシーケンス図である。
【0068】
図6を参照して、制御部15は、送受信部14の動作を継続させ、測定部13の動作を停止させる省電力動作を行なう。制御部15は、測定部13の動作を停止している状態において、所定の条件が満たされると測定部13の動作を再開し、測定部13が測定を行った後、再び測定部13の動作を停止する。たとえば、制御部15は、所定時間が経過するたびに測定部13の動作を再開する。
【0069】
より詳細には、図6を参照して、まず、測定部13の動作が停止している状態において、制御部15は、セットしたタイマが満了すると(ステップS21でYES)、測定部13を起動させる(ステップS22)。
【0070】
次に、測定部13は、電力伝達部11によって電気機器121に供給される電力を測定する(ステップS23)。
【0071】
次に、送受信部14は、測定部13の測定結果を示す電力消費情報を無線アダプタ103経由でホームゲートウェイ104へ送信する(ステップS24)。
【0072】
次に、制御部15は、測定部13の動作を停止させる。なお、測定部13の動作を停止させるタイミングは、送受信部14による電力消費情報の送信タイミングの前または同時であってもよい(ステップS25)。
【0073】
次に、制御部15は、タイマをセットし、タイマの満了まで待機する(ステップS26)。
【0074】
なお、制御部15は、タイマの満了を条件として測定部13の起動を行なう構成に限らず、たとえばホームゲートウェイ104からの測定命令を受けた場合に測定部13を起動する構成であってもよい。
【0075】
[ネットワークの構築]
電力管理システム201において、ユーザが電源タップ101を新たに設置しても、無線アダプタ103およびホームゲートウェイ104と通信接続できない場合がある。以下では、このような場合に対処するための電力管理システム201の動作について説明する。
【0076】
図7は、本発明の実施の形態に係る電力管理システムにおいて、タップネットワークの構築を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。図7では、電源タップ101として、無線アダプタ103と直接通信が可能な場所に配置されている電源タップ1、および無線アダプタ103と直接通信ができない場所に新たに設置される電源タップ2、ならびにホームゲートウェイ104の動作について説明する。
【0077】
図7を参照して、電源タップ1は、動作中、すなわち電気機器121への供給電力の測定および電力消費情報の無線アダプタ103への送信を定期的に行い、かつ電気機器121への供給電力に基づいてたとえば送受信部14に対する省電力制御を行っている状態である(ステップS31)。
【0078】
また、電源タップ2は、ユーザの操作によって起動され(ステップS32)、無線アダプタ103との通信ができない状態である(ステップS33)。
【0079】
ここで、ホームゲートウェイ104は、たとえばネットワーク解決のボタンを有する。ユーザは、電源タップ2を設置したが、無線アダプタ103と通信接続できないため、上記ボタンを押下する。この操作により、ホームゲートウェイ104は、ネットワーク構築処理を開始する(ステップS34)。
【0080】
次に、ホームゲートウェイ104は、電源タップ1に対して起床指示を送信する(ステップS35)。
【0081】
次に、電源タップ1は、ホームゲートウェイ104から起床指示を受信して、所定時間起床する、すなわち、所定時間省電力制御を行なわず、他の電源タップからの中継処理の要求を受け付ける(ステップS36)。
【0082】
次に、電源タップ2は、無線アダプタ103との通信ができないことから、中継器となる電源タップを探すために、中継要求を送信する(ステップS37)。
【0083】
次に、電源タップ1は、電源タップ2から中継要求を受信して、中継応答を電源タップ2へ送信し(ステップS38)、たとえば前述のルーティングテーブルを書き換え、中継モードで動作する(ステップS39)。
【0084】
また、電源タップ2は、電源タップ1から中継応答を受信して、省電力モードで動作を開始し(ステップS40)、電力消費情報を電源タップ1へ送信する(ステップS41)。
【0085】
次に、電源タップ1は、電源タップ2から受信した電力消費情報を中継して無線アダプタ103経由でホームゲートウェイ104へ送信するとともに(ステップS42)、自己の電力消費情報を無線アダプタ103経由でホームゲートウェイ104へ送信する(ステップS43)。
【0086】
電力管理システム201では、以上のような動作により、新たに設置された電源タップ101からの電力消費情報の収集をより確実に行なうことができる。
【0087】
ところで、電源タップ自身の消費電力が大きくなると、たとえば、電源タップを用いてユーザに家庭内の電力消費情報を提示することでユーザの省電力意識を高める、といった電源タップを使用する趣旨が損なわれる場合もある。
【0088】
これに対して、本発明の実施の形態に係る電力供給装置では、測定部13は、電力伝達部11によって電気機器121に供給される電流を少なくとも測定する。送受信部14は、測定部13の測定結果を示す電力消費情報をホームゲートウェイ104へ送信する。そして、制御部15は、測定部13および送受信部14の少なくとも一方の動作を停止可能である。
【0089】
このような構成により、電源タップ自身の消費電力を低減することができるため、電源タップを用いてユーザに家庭内の電力消費情報を提示することでユーザの省電力意識を高める、といった電源タップを使用する趣旨が損なわれることを防ぐことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る電力供給装置では、電気機器の電力消費情報をユーザに提示するために電気機器への供給電力を計測する機器において、当該機器自身の消費電力を低減することができる。
【0090】
また、本発明の実施の形態に係る電力供給装置では、制御部15は、測定部13の測定結果に基づいて送受信部14の動作を停止するか否かを判断する。
【0091】
このような構成により、電源タップ101に接続された電気機器121の消費電力に基づく適切なタイミングで省電力動作を行なうことができる。たとえば、電源タップ101に接続された電気機器121が待機状態にあるために消費電力が小さく、当該消費電力をユーザに通知する必要性の低い場合に送受信部14の動作を停止する等、適切な状況において省電力動作を行なうことができる。
【0092】
また、本発明の実施の形態に係る電力供給装置では、制御部15は、測定部13の測定結果に基づいて送受信部14の動作を停止した後、測定部13の新たな測定結果に基づいて、送受信部14の動作を再開するか否かを判断する。
【0093】
このような構成により、電源タップ101に接続された電気機器121の消費電力に基づく適切なタイミングで省電力動作を停止することができる。たとえば、電源タップ101に接続された電気機器121が待機状態から通常動作に復帰して消費電力が大きくなり、当該消費電力をユーザに通知する必要性が高くなった場合に送受信部14の動作を再開させる等、適切な状況において省電力動作を停止することができる。
【0094】
また、本発明の実施の形態に係る電力供給装置では、制御部15は、動作を再開した送受信部14が電力消費情報をホームゲートウェイ104へ送信した後、測定部13の新たな測定結果に基づいて、送受信部14の動作を停止するか否かを再び判断する。
【0095】
このような構成により、電源タップ101に接続された電気機器121の消費電力が増減を繰り返す場合に、省電力動作の開始および停止を適切に切り替え、省電力効果を高めることができる。
【0096】
また、本発明の実施の形態に係る電力供給装置では、送受信部14は、他の装置からの通信信号をさらに他の装置へ中継可能である。そして、制御部15は、送受信部14が中継を行なう場合には、測定部13の測定結果に関わらず送受信部14の動作を継続させる。
【0097】
このような構成により、電力管理システム201において、無線アダプタ103およびホームゲートウェイ104と直接接続ができない電源タップ101が存在する場合において、当該電源タップ101からの電力消費情報の中継動作を優先させることができる。
【0098】
また、本発明の実施の形態に係る電力供給装置では、制御部15は、測定部13の動作を停止している状態において、所定の条件が満たされると測定部13の動作を再開し、測定部13が測定を行った後、再び測定部13の動作を停止する。
【0099】
このような構成により、電力消費情報を送信する必要があるときだけ測定部13を起動させることができるため、電源タップ101の省電力効果を高めることができる。また、送受信部14の動作を停止し、測定部13の動作を継続させる省電力モードを採用する構成と比べて、中継モードに対応しながら常に省電力動作を行なうことができる。
【0100】
また、本発明の実施の形態に係る電力供給装置では、制御部15は、所定時間が経過するたびに測定部13の動作を再開する。
【0101】
このような構成により、電源タップ101においてタイマを設ける等、簡易な構成で測定部13の動作停止および動作再開を制御することができる。
【0102】
なお、本発明の実施の形態に係る電力管理システムにおいて、電源タップ101と同様の動作を、CTクランプが行なう構成であってもよい。
【0103】
また、本発明の実施の形態に係る電力供給装置では、制御部15は、測定部13および送受信部14の一方の動作を停止させ、他方の動作を継続させる構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御部15は、測定部13および送受信部14の両方の動作を停止する構成であってもよい。この場合、制御部15の動作は継続させるために、測定部13および送受信部14に電力を供給しない場合でも、制御部15(または電力制御用の一部の回路)には電力を継続的に供給する。
【0104】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
11 電力伝達部
12 接続部
13 測定部
14 送受信部
15 制御部
101 電源タップ(電力供給装置)
102 分電盤
103 無線アダプタ
104 ホームゲートウェイ(管理装置)
105 DPF
121 電気機器
201 電力管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を接続可能な接続部と、
外部から受けた電力を前記接続部経由で前記電気機器に供給するための電力伝達部と、
前記電力伝達部によって前記電気機器に供給される電流を少なくとも測定するための測定部と、
前記測定部の測定結果を示す電力消費情報を管理装置へ送信するための送信部と、
前記測定部および前記送信部の少なくとも一方の動作を停止可能な制御部とを備える、電力供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記測定部の測定結果に基づいて前記送信部の動作を停止するか否かを判断する、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記測定部の測定結果に基づいて前記送信部の動作を停止した後、前記測定部の新たな測定結果に基づいて、前記送信部の動作を再開するか否かを判断する、請求項2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、動作を再開した前記送信部が前記電力消費情報を前記管理装置へ送信した後、前記測定部の新たな測定結果に基づいて、前記送信部の動作を停止するか否かを再び判断する、請求項3に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記送信部は、他の装置からの通信信号をさらに他の装置へ中継可能であり、
前記制御部は、前記送信部が前記中継を行なう場合には、前記測定部の測定結果に関わらず前記送信部の動作を継続させる、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記測定部の動作を停止している状態において、所定の条件が満たされると前記測定部の動作を再開し、前記測定部が前記測定を行った後、再び前記測定部の動作を停止する、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項7】
前記制御部は、所定時間が経過するたびに前記測定部の動作を再開する、請求項6に記載の電力供給装置。
【請求項8】
1または複数の電力供給装置と、
管理装置とを備える電力管理システムであって、
前記電力供給装置は、
電気機器を接続可能な接続部と、
外部から受けた電力を前記接続部経由で前記電気機器に供給するための電力伝達部と、
前記電力伝達部によって前記電気機器に供給される電流を少なくとも測定するための測定部と、
前記測定部の測定結果を示す電力消費情報を前記管理装置へ送信するための送信部と、
前記測定部および前記送信部の少なくとも一方の動作を停止可能な制御部とを含む、電力管理システム。
【請求項9】
電気機器を接続可能な接続部を備えた電力供給装置における電力管理方法であって、
外部から受けた電力を前記接続部経由で前記電気機器に供給するステップと、
前記接続部経由で前記電気機器に供給される電流を少なくとも測定するステップと、
前記測定部の測定結果を示す電力消費情報を管理装置へ送信するステップと、
前記測定部および前記送信部の少なくとも一方の動作を停止するステップと、
停止した前記測定部または前記送信部の動作を再開するステップとを含む、電力管理方法。
【請求項10】
電気機器を接続可能な接続部を備えた電力供給装置において用いられる電力管理プログラムであって、
コンピュータに、
外部から受けた電力を前記接続部経由で前記電気機器に供給するステップと、
前記接続部経由で前記電気機器に供給される電流を少なくとも測定するステップと、
前記測定部の測定結果を示す電力消費情報を管理装置へ送信するステップと、
前記測定部および前記送信部の少なくとも一方の動作を停止するステップと、
停止した前記測定部または前記送信部の動作を再開するステップとを実行させるための、電力管理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−17264(P2013−17264A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146821(P2011−146821)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】