説明

電力制御装置および電力制御方法

【課題】異なる電圧の電力が同一経路に流れ込むことを、より確実に防止する。
【解決手段】太陽光パネル用PCS21は、太陽光の照射に応じて発電を行う太陽光パネルにより発電された直流電圧の電力を交流電圧の電力に変換し、充電用AC/DC変換部23は、太陽光パネル用PCS21から出力される交流電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する。また、系統から太充電用AC/DC変換部23に電力を供給する配線には、リレー31および32が直列に接続されている。そして、制御部28は、系統からの電力の供給が停止したことを検知すると、リレー31および32をオフする。本発明は、例えば、太陽光発電パネルおよび蓄電池を備えた太陽光発電システムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置および電力制御方法に関し、特に、異なる電圧の電力が同一経路に流れ込むことを、より確実に防止することができるようにした電力制御装置および電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電パネルおよび蓄電池を備えた太陽光発電システムが普及している。このような太陽光発電システムでは、太陽光発電パネルで発電された直流電圧の電力が、パワーコンディショナにより交流電圧の電力に変換された後、負荷に供給されて消費されたり、商用電力系統へ戻されて売電されたりする。また、太陽光発電パネルで発電された電力を蓄電池に充電することにより、天候に左右されない安定的な電力の供給が行われる。
【0003】
一般的に、商用電力系統では、交流電圧200Vの電力が送電される一方、家電製品などの負荷では、交流電圧100Vの電力が消費される。そのため、パワーコンディショナは、太陽光発電パネルで発電された直流電圧の電力を、交流電圧100Vまたは200Vの電力にそれぞれ変換して出力を切り替えることができるように構成されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、電力系統の系統電圧を検知して、出力する電力を交流電圧100Vまたは200Vで切り替えることができる電力変換装置が開示されている。
【0005】
また、太陽光発電システムでは、停電が発生して商用電力系統からの電力の供給が停止した場合には、商用電力系統から独立して自立運転を行う自立運転モードとなる。自立運転モードでは、太陽光発電パネルで発電された電力、または蓄電池に充電されている電力が、パワーコンディショナにより交流電圧100Vの電力に変換されて負荷に供給される。
【0006】
例えば、特許文献2には、商用電力系統と連系した系統連系運転モードと、商用電力系統から独立され自立運転を行う自立運転モードとを有するインバータ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−112461号公報
【特許文献2】特開2005−278297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、停電が発生してパワーコンディショナが自立運転モードで交流電圧100Vの電力を出力しているときに、停電が復旧して商用電力系統から交流電圧200V電力が供給されると、電圧の異なる電力経路が電気的に接触して、異なる電圧の電力が同一経路に流れ込む事態が発生する。このような事態が発生すると、パワーコンディショナがダメージを受けて故障する恐れがあった。
【0009】
なお、特許文献1に記載の電力変換装置では、熱暴走などによって制御部に異常が発生したとき、交流電圧100Vの経路と200Vの経路とが接触する可能性がある。また、特許文献2に記載のインバータ装置では、制御部に何らかの不具合が発生してリレーの開閉状態が制御できない状態となったとき、自立運転モードで出力されている電力の経路と商用電力系統の電力の経路とが接触する可能性がある。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、異なる電圧の電力が同一経路に流れ込むことを、より確実に防止することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面の電力制御装置は、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換する第1の変換手段と、第1の変換手段から出力される交流電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する第2の変換手段と、系統から第2の変換手段に電力を供給する配線を開閉する第1の開閉手段と、系統からの電力の供給が停止したことを検知すると、第1の開閉手段を開放する開閉制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の一側面の電力制御方法は、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換する第1の変換手段と、第1の変換手段から出力される交流電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する第2の変換手段と、系統から第2の変換手段に電力を供給する配線を開閉する第1の開閉手段とを備える電力制御装置の電力制御方法であって、系統からの電力の供給が停止したことを検知すると、第1の開閉手段を開放するステップを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の一側面においては、系統からの電力の供給が停止したことが検知されると、系統から第2の変換手段に電力を供給する配線を開閉する第1の開閉手段が開放される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、異なる電圧の電力が同一経路に流れ込むことを、より確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用したエネルギーコントローラの第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】排他的回路の構成例を示す図である。
【図3】停電時における電力経路を示す説明する。
【図4】通常時における電力経路を示す説明する。
【図5】本発明を適用したエネルギーコントローラの第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明を適用したエネルギーコントローラの第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明を適用したエネルギーコントローラの第4の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用したエネルギーコントローラの第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0018】
図1において、エネルギーコントローラ11は、図示しない太陽光パネルに接続されるとともに、分電盤12を介して、交流電圧200Vの電力を供給する商用電力系統に接続されている。
【0019】
エネルギーコントローラ11は、太陽光パネルで発電された電力および商用電力系統から供給される電力をバッテリ13に充電したり、太陽光パネルで発電された電力およびバッテリ13に充電されている電力を負荷に供給したりする電力制御を行う。また、エネルギーコントローラ11は、商用電力系統から電力が供給される通常時における運転モードである通常運転モードと、商用電力系統から電力の供給が停止した停電時における運転モードである自立運転モードとを備えている。そして、エネルギーコントローラ11は、通常運転モードでは、分電盤12を介して負荷に電力を供給し、自立運転モードでは、自立出力用コンセント14に接続された負荷に対して電力を供給する。
【0020】
エネルギーコントローラ11は、太陽光パネル用PCS(Power Conditioning System:パワーコンディショニングシステム)21、バッテリ用PCS22、充電用AC/DC(Alternating Current / Direct Current)変換部23、電力モニタ25および26、入出力部27、並びに制御部28を備えて構成されている。
【0021】
また、エネルギーコントローラ11では、充電用AC/DC変換部23および分電盤12の配線用ブレーカ44を接続する配線に、リレー31および32が直列に接続されている。さらに、リレー32および充電用AC/DC変換部23を接続する配線と太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子とを接続する配線に、リレー33が接続されている。また、分電盤12の配線用ブレーカ44およびリレー31を接続する配線とバッテリ用PCS22とを接続する配線に、リレー34が接続されている。
【0022】
分電盤12では、端子41が商用電力系統の電力線に接続されている。また、端子41に接続された配線が漏電ブレーカ42、ブレーカ部43、および配線用ブレーカ44を介して、バッテリ用PCS22および充電用AC/DC変換部23に接続されている。また、端子41および漏電ブレーカ42を接続する配線には、漏電ブレーカ45を介して太陽光パネル用PCS21が接続されている。ブレーカ部43は、複数のブレーカを有しており、それらのブレーカを介して、例えば、家屋内にある電気機器などの負荷が接続される。
【0023】
太陽光パネル用PCS21は、図示しない太陽光パネルにより発電される電力を調整し、太陽光パネルにより発電された直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換して出力する。例えば、エネルギーコントローラ11が通常運転モードであるとき、太陽光パネル用PCS21は、太陽光パネルから供給される電力を、交流電圧200Vの電力に変換して分電盤12に供給する。この電力は、漏電ブレーカ45および漏電ブレーカ42を介してブレーカ部43の各ブレーカに接続された負荷に供給されたり、漏電ブレーカ45および端子41を介して商用電力系統に戻されて売電されたりする。
【0024】
また、太陽光パネル用PCS21は、自立運転出力端子を備えている。自立運転モードへの移行を指示する信号(以下、適宜、自立運転信号と称する)が制御部28から供給されると、太陽光パネル用PCS21は、自立運転出力端子から交流電圧100Vの電力を出力する。太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から出力される電力は、リレー33を介して充電用AC/DC変換部23に供給される。
【0025】
バッテリ用PCS22は、バッテリ13に蓄積されている電力を、交流電圧の電力に変換して出力する。例えば、エネルギーコントローラ11が通常運転モードであるとき、バッテリ用PCS22は、バッテリ13から供給される電力を交流電圧200Vの電力に変換し、リレー34を介して分電盤12に供給する。この電力は、負荷での消費電力に応じて調整され、配線用ブレーカ44を介して、ブレーカ部43に接続された負荷にのみ供給され、商用電力系統に流れ出ることは防止されている。
【0026】
また、バッテリ用PCS22は、自立運転出力端子を備えており、自立運転信号が制御部28から供給されると、自立運転出力端子から交流電圧100Vの電力を出力する。バッテリ用PCS22の自立運転出力端子から出力される電力は、端子37を介して、自立出力用コンセント14に接続されている負荷に供給される。
【0027】
充電用AC/DC変換部23は、交流電圧(100Vまたは200V)の電力を、バッテリ13の充電に適した直流電圧の電力に変換してバッテリ13に供給し、バッテリ13を充電する。例えば、充電用AC/DC変換部23は、バッテリ13の充電量を確認し、その充電量に応じて制御される電圧でバッテリ13を充電する。また、バッテリ13の充電量などによっては、充電用AC/DC変換部23から出力される電力は、バッテリ用PCS22に供給される。
【0028】
電力モニタ25は、充電用AC/DC変換部23に入力される電力を監視し、その電力量(電流値A1および電圧値V1)を制御部28に通知する。電力モニタ26は、商用電力系統から分電盤12に供給される電力を監視し、その電力量(電流値A2および電圧値V2)を制御部28に通知する。なお、充電用AC/DC変換部23から出力される電力の電力量(電流値A3および電圧値V3)が、充電用AC/DC変換部23により制御部28に通知される。
【0029】
入出力部27は、エネルギーコントローラ11内の各部と制御部28とが通信を行うためのインタフェース(例えば、System I/O board)である。
【0030】
制御部28は、入出力部27を介してエネルギーコントローラ11内の各部と通信を行って、各種の制御を行う。
【0031】
例えば、制御部28は、電力モニタ26から通知される電力量に基づいて、商用電力系統から電力の供給が停止したことを検知したとき、即ち、停電を検知したとき、太陽光パネル用PCS21およびバッテリ用PCS22に対して自立運転信号を供給する。また、このとき、制御部28は、リレー31および32の接続をオフ(開放状態)にするとともに、リレー33の接続をオン(接続状態)にする制御を行う。
【0032】
また、例えば、制御部28は、停電が復旧して、商用電力系統から電力の供給が開始されたことを検知したとき、太陽光パネル用PCS21およびバッテリ用PCS22に対して、自立運転を解除する信号を供給する。また、このとき、制御部28は、リレー31および32の接続をオンにするとともに、リレー33の接続をオフにする制御を行う。
【0033】
このように、エネルギーコントローラ11では、自立運転モード時には、リレー31および32の接続がオフされ、リレー33の接続がオンされる一方、通常運転モード時には、リレー31および32の接続がオンされ、リレー33の接続がオフされる。このように、リレー31および32と、リレー33とでオンおよびオフが排他的に機能するように、リレー31乃至33は排他的回路を構成している。
【0034】
図2には、リレー31乃至33により構成される排他的回路の構成例を示す図である。
【0035】
リレー31は、コイル31a、主スイッチ31bおよび31c、並びに、補助スイッチ31dを備えて構成され、主スイッチ31bおよび31cは常開型とされ、補助スイッチ31dは常閉型とされる。即ち、リレー31では、コイル31aに電流が流れている状態で、主スイッチ31bおよび31cが閉鎖される一方、補助スイッチ31dが開放され、コイル31aに電流が流れていない状態で、主スイッチ31bおよび31cが開放される一方、補助スイッチ31dが閉鎖される。
【0036】
リレー32は、コイル32a、主スイッチ32bおよび32c、並びに、補助スイッチ32dを備えて構成され、リレー31と同様の動作を行う。
【0037】
リレー33は、コイル33a、主スイッチ33bおよび33c、並びに、補助スイッチ33dおよび33eを備えて構成される。主スイッチ33bおよび33cは常開型とされ、補助スイッチ33dおよび33eは常閉型とされる。即ち、リレー33では、コイル33aに電流が流れている状態で、主スイッチ33bおよび33cが閉鎖される一方、補助スイッチ33dおよび33eが開放され、コイル33aに電流が流れていない状態で、主スイッチ33bおよび33cが開放される一方、補助スイッチ33dおよび33eが閉鎖される。
【0038】
リレー31の主スイッチ31bおよび31cの一方の端子は、図1の分電盤12を介して、交流電圧200Vの電力を供給する商用電力系統の電力線にそれぞれ接続されている。リレー31の主スイッチ31bおよび31cの他方の端子は、リレー32の主スイッチ32bおよび32cの一方の端子に接続されており、リレー32の主スイッチ32bおよび32cの他方の端子は、充電用AC/DC変換部23に接続されている。
【0039】
また、リレー33の主スイッチ33bおよび33cの一方の端子は、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子に接続されており、リレー33の主スイッチ33bおよび33cの他方の端子は、リレー32および充電用AC/DC変換部23を接続する配線に接続されている。
【0040】
ここで、入出力部27は、+24Vの電圧を印加する端子A、端子B、および端子Cを有しており、制御部28の制御に従い、端子A、端子B、および端子Cに電圧が印加されて、リレー31乃至33の開閉が制御される。
【0041】
入出力部27の端子AからGNDまでの間には、リレー31の補助スイッチ31d、リレー32の補助スイッチ32d、およびリレー33のコイル33aが直列に接続されている。入出力部27の端子BからGNDまでの間には、リレー31のコイル31a、およびリレー33の補助スイッチ33eが直列に接続されている。入出力部27の端子CからGNDまでの間には、リレー32のコイル32a、およびリレー33の補助スイッチ33dが直列に接続されている。
【0042】
このような接続構成により、商用電力系統と太陽光パネル用PCS21とで、充電用AC/DC変換部23に対する接続は排他的となっている。即ち、充電用AC/DC変換部23と商用電力系統とが接続されているときには、充電用AC/DC変換部23と太陽光パネル用PCS21との接続は解除される。一方、充電用AC/DC変換部23と太陽光パネル用PCS21とが接続されているときには、充電用AC/DC変換部23と商用電力系統との接続は解除される。
【0043】
具体的には、通常運転モードにおいて、制御部28は、入出力部27の端子Bおよび端子Cに+24Vの電圧を印加し、入出力部27の端子Aに対する電圧の印加を停止する(0Vとする)制御を行う。
【0044】
これにより、リレー31では、コイル31aに電流が流れて、主スイッチ31bおよび31cが閉鎖されて通電状態となり、補助スイッチ31dが開放される。また、リレー32では、コイル32aに電流が流れて、主スイッチ32bおよび32cが閉鎖されて通電状態となり、補助スイッチ32dが開放される。また、リレー33では、主スイッチ33bおよび33cが開放されて遮断状態となり、補助スイッチ33dおよび33eは閉鎖される。従って、通常運転モードでは、充電用AC/DC変換部23と商用電力系統とが接続される一方、充電用AC/DC変換部23と太陽光パネル用PCS21との接続は解除された状態となる。
【0045】
なお、この状態で、仮に不具合が発生して、入出力部27の端子Aに+24Vの電圧が印加されたとする。この場合、リレー31の補助スイッチ31dおよびリレー32の補助スイッチ32dが開放されているため、リレー33のコイル33aに電流が流れることはなく、リレー33の主スイッチ33bおよび33cが閉鎖されることはない。即ち、この場合でも、充電用AC/DC変換部23と太陽光パネル用PCS21との接続は解除された状態が維持され、リレー33の主スイッチ33bおよび33cが通電状態となることは回避される。
【0046】
また、自立運転モードにおいて、制御部28は、入出力部27の端子Aに+24Vの電圧を印加させるとともに、入出力部27の端子Bおよび端子Cに対する電圧の印加を停止する(0Vとする)制御を行う。
【0047】
これにより、リレー31では、主スイッチ31bおよび31cが開放されて遮断状態となり、補助スイッチ31dが閉鎖される。また、リレー32では、主スイッチ32bおよび32cが開放されて遮断状態となり、補助スイッチ32dが閉鎖される。また、リレー33では、コイル33aに電流が流れて、主スイッチ33bおよび33cが閉鎖されて通電状態となり、補助スイッチ33dおよび33eは開放される。従って、自立運転モードでは、充電用AC/DC変換部23と太陽光パネル用PCS21とが接続される一方、充電用AC/DC変換部23と商用電力系統との接続は解除された状態となる。
【0048】
なお、この状態で、仮に不具合が発生して、入出力部27の端子Bおよび端子Cに+24Vの電圧が印加されたとする。この場合、リレー33の補助スイッチ33dおよび33eが開放されているため、リレー31のコイル31aおよびリレー32のコイル32aに電流が流れることはなく、リレー31の主スイッチ31bおよび31c並びにリレー32の主スイッチ32bおよび32cが閉鎖されることはない。即ち、この場合でも、充電用AC/DC変換部23と商用電力系統との接続は解除された状態が維持され、リレー31の主スイッチ31bおよび31c並びにリレー32の主スイッチ32bおよび32cが通電状態となることは回避される。
【0049】
次に、図3および図4を参照して、停電時および通常時におけるエネルギーコントローラ11の電力経路について説明する。図3および図4において、それぞれの電力経路が太線により表されている。
【0050】
図3には、停電時における電力経路が示されている。
【0051】
上述したように、制御部28は、電力モニタ26から通知される電力量に基づいて、商用電力系統からの電力の供給が停止したことを検知すると、太陽光パネル用PCS21およびバッテリ用PCS22に対して自立運転信号を供給する。同時に、制御部28は、リレー31および32の接続をオフにする(図2の端子Bおよび端子Cに対する電圧の印加を停止する)とともに、リレー33の接続をオンにする(図2の端子Aに+24Vの電圧を印加する)。
【0052】
太陽光パネル用PCS21は、自立運転信号に従って、太陽光パネルから供給される直流電圧の電力を交流電圧100Vの電力に変換して、自立運転出力端子から出力する。このとき、リレー33の接続がオンとなっているので、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から出力された電力は、リレー33を介して充電用AC/DC変換部23に供給される。
【0053】
このとき、リレー31および32の接続がオフとなっているので、太陽光パネル用PCS21から出力される電力は、分電盤12側へ流れ出ることはない。さらに、エネルギーコントローラ11では、リレー31および32が直列に接続されているので、リレー31および32の一方が故障して、接続をオフすることができない状態になっても、故障していない方により接続をオフすることができる。このように、リレー31および32を直列に接続することで、分電盤12に電力が出力されないようにする制御を、より確実に行うことができる。
【0054】
充電用AC/DC変換部23は、太陽光パネル用PCS21から供給される交流電圧の電力を直流電圧の電力に変換して、バッテリ13またはバッテリ用PCS22に供給する。なお、充電用AC/DC変換部23から出力される電力がバッテリ13およびバッテリ用PCS22のどちらに供給されるのかは、バッテリ13の充電量や、自立出力用コンセント14に接続された負荷での電力消費量(つまり、バッテリ用PCS22から出力される電力量)などによって決まる。
【0055】
バッテリ用PCS22は、自立運転信号に従って、充電用AC/DC変換部23から供給される直流電圧の電力、または、バッテリ13に充電されている直流電圧の電力を、交流電圧100Vの電力に変換して、自立運転出力端子から出力する。これにより、自立出力用コンセント14に接続されている負荷に、バッテリ用PCS22の自立運転出力端子から出力された電力が供給される。
【0056】
また、このとき、停電を察知したユーザにより漏電ブレーカ45がオフにされ、太陽光パネル用PCS21と商用電力系統との電気的な接続が切断される。なお、漏電ブレーカ45がオフにされなくても、自立運転モードにおいて、太陽光パネル用PCS21は商用電力系統に接続される端子への電力の出力は行わず、太陽光パネル用PCS21から分電盤12へ電力が流れ出ることはない。
【0057】
また、太陽光パネル用PCS21と漏電ブレーカ45との間に、制御部28により開閉制御が可能なリレーを接続し、制御部28が停電を検知したときに、そのリレーをオフにするようにしてもよい。なお、制御部28は、リレー34の接続もオフにして、バッテリ用PCS22と商用電力系統との電気的な接続も切断する。
【0058】
図4は、通常時における電力経路が示されている。
【0059】
例えば、制御部28は、電力モニタ26から通知される電力量に基づいて、商用電力系統から電力の供給が再開したこと(停電の復旧)を検知すると、太陽光パネル用PCS21およびバッテリ用PCS22に対して自立運転を解除する信号を供給する。同時に、制御部28は、リレー31および32の接続をオンにする(図2の端子Bおよび端子Cに+24Vの電圧を印加する)とともに、リレー33の接続をオフにする(図2の端子Aに対する電圧の印加を停止する)。また、制御部28は、リレー34の接続もオンにする。
【0060】
太陽光パネル用PCS21は、自立運転を解除する信号に従って、自立運転出力端子からの電力の出力を停止し、太陽光パネルから供給される直流電圧の電力を交流電圧200Vの電力に変換して、分電盤12に供給する。これにより、分電盤12のブレーカ部43に接続された負荷に、太陽光パネルで発電された電力が供給される。なお、このとき、停電の復旧を察知したユーザにより漏電ブレーカ45がオンにされている。
【0061】
なお、リレー33の接続がオフとなっているので、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から交流電圧100Vの電力が出力される状態であったとしても、その交流電圧100Vの電力と、商用電力系統から供給される交流電圧200Vの電力とが同一経路に流れ込むことは回避される。
【0062】
充電用AC/DC変換部23は、商用電力系統から供給される交流電圧200Vの電力を直流電圧の電力に変換して、バッテリ13に供給する。
【0063】
バッテリ用PCS22は、自立運転を解除する信号に従って、バッテリ13から供給される直流電圧の電力を、交流電圧200Vの電力に変換して、リレー34を介して分電盤12に供給する。これにより、分電盤12のブレーカ部43に接続された負荷に、バッテリ13に充電されていた電力が供給される。
【0064】
以上のように、エネルギーコントローラ11では、停電時および通常時で電力経路が切り替えられる。
【0065】
例えば、停電時において、リレー33の接続がオンされるとともにリレー31および32の接続がオフされるので、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から出力される電力が分電盤12側へ流れ出ることを防止することができる。これにより、商用電力系統側で停電を復旧するための作業をしている作業者が居ても安全に作業を行うことができ、その安全性を確保することができる。
【0066】
また、停電が復旧した際には、リレー31および32の接続がオンされるとともにリレー33の接続がオフされるので、商用電力系統から供給される交流電圧200Vの電力と、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から出力されていた交流電圧100Vの電力とが同一経路に流れ込むような事態が回避される。これにより、そのような事態が発生したときに想定される故障を回避することができ、エネルギーコントローラ11の信頼性を高めることができる。
【0067】
次に、図5は、本発明を適用したエネルギーコントローラの第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0068】
図5において、エネルギーコントローラ11Aは、図1のエネルギーコントローラ11と同様に、図示しない太陽光パネルに接続されるとともに、分電盤12を介して、交流電圧200Vの電力を供給する商用電力系統に接続されている。
【0069】
エネルギーコントローラ11Aは、太陽光パネル用PCS21、バッテリ用PCS22、電力モニタ25および26、入出力部27、並びに制御部28を備える点で、図1のエネルギーコントローラ11と同一の構成であり、その詳細な説明は省略する。即ち、エネルギーコントローラ11Aは、充電用AC/DC変換部23Aを備える点で、エネルギーコントローラ11と異なった構成となっている。
【0070】
また、図5に示すように、エネルギーコントローラ11Aは、エネルギーコントローラ11が有するリレー31乃至33を備えておらず、充電用AC/DC変換部23Aに、分電盤12からの配線が直接的に接続されているとともに、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子が直接的に接続されている。つまり、エネルギーコントローラ11Aでは、充電用AC/DC変換部23Aが、リレー31乃至33が構成する排他的回路の機能を内蔵した構成となっている。
【0071】
従って、エネルギーコントローラ11Aでは、制御部28が、自立運転信号を充電用AC/DC変換部23Aにも供給し、充電用AC/DC変換部23Aの内部において、商用電力系統との接続と、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子との接続とが排他的に切り替えられる。
【0072】
つまり、エネルギーコントローラ11Aでは、停電時において、充電用AC/DC変換部23Aは、自立運転信号に従って、商用電力系統との接続を解除するとともに、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子と接続するように、充電用AC/DC変換部23Aの内部で排他的回路の切り替えを行う。また、停電が復旧したとき、充電用AC/DC変換部23Aは、自立運転を解除する信号に従って、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子との接続を解除するとともに、商用電力系統と接続するように、充電用AC/DC変換部23Aの内部で排他的回路の切り替えを行う。
【0073】
これにより、エネルギーコントローラ11Aでは、図1のエネルギーコントローラ11と同様に、安全性および信頼性を確保することができるのに加えて、充電用AC/DC変換部23Aが排他的回路の機能を内蔵することによって、装置の簡素化および小型化を図ることができる。
【0074】
次に、図6は、本発明を適用したエネルギーコントローラの第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0075】
図6において、エネルギーコントローラ11Bは、図1のエネルギーコントローラ11と同様に、図示しない太陽光パネルに接続されるとともに、分電盤12を介して、交流電圧200Vの電力を供給する商用電力系統に接続されている。
【0076】
エネルギーコントローラ11Bは、太陽光パネル用PCS21、電力モニタ25および26、入出力部27、制御部28、並びにリレー31乃至33を備える点で、図1のエネルギーコントローラ11と同一の構成であり、その詳細な説明は省略する。即ち、エネルギーコントローラ11Bは、双方向AC/DC変換部23Bを備える点で、エネルギーコントローラ11と異なった構成となっている。
【0077】
双方向AC/DC変換部23Bは、分電盤12を介して供給される交流電圧の電力を直流電圧の電力に変換して、バッテリ13に供給して充電させる。また、双方向AC/DC変換部23Bは、通常時において、バッテリ13から供給される直流電圧の電力を交流電圧の電力に変換して、分電盤12を介してブレーカ部43の各ブレーカに接続された負荷に供給する。また、双方向AC/DC変換部23Bは、停電時において、バッテリ13から供給される直流電圧の電力を交流電圧に変換した電力、または、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から供給される交流電圧の電力を、自立出力用コンセント14に接続された負荷に対して供給する。
【0078】
つまり、双方向AC/DC変換部23Bは、図1のバッテリ用PCS22および充電用AC/DC変換部23の両方の機能を備えた構成となっている。
【0079】
エネルギーコントローラ11Bでは、停電時において、制御部28は、リレー31および32の接続をオフにするとともに、リレー33の接続をオンにする制御を行う。また、通常時において、制御部28は、リレー31および32の接続をオンにするとともに、リレー33の接続をオフにする制御を行う。つまり、エネルギーコントローラ11Bでは、図1のエネルギーコントローラ11と同様に、リレー31乃至33が排他的回路を構成している。
【0080】
従って、エネルギーコントローラ11Bは、図1のエネルギーコントローラ11と同様に、安全性および信頼性を確保することができるのに加えて、双方向AC/DC変換部23Bが、図1のバッテリ用PCS22および充電用AC/DC変換部23の両方の機能を備えることによって、装置の簡素化および小型化を図ることができる。
【0081】
次に、図7は、本発明を適用したエネルギーコントローラの第4の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0082】
図7において、エネルギーコントローラ11Cは、図1のエネルギーコントローラ11と同様に、図示しない太陽光パネルに接続されるとともに、分電盤12を介して、交流電圧200Vの電力を供給する商用電力系統に接続されている。
【0083】
エネルギーコントローラ11Cは、太陽光パネル用PCS21、電力モニタ25および26、入出力部27、並びに制御部28を備える点で、図1のエネルギーコントローラ11と同一の構成であり、その詳細な説明は省略する。即ち、エネルギーコントローラ11Cは、双方向AC/DC変換部23Cを備える点で、エネルギーコントローラ11と異なった構成となっている。
【0084】
さらに、図7に示すように、エネルギーコントローラ11Cは、エネルギーコントローラ11が有するリレー31乃至33を備えておらず、双方向AC/DC変換部23Cに、分電盤12からの配線が直接的に接続されているとともに、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子が直接的に接続されている。
【0085】
つまり、エネルギーコントローラ11Cでは、双方向AC/DC変換部23Cが、リレー31乃至33が構成する排他的回路の機能を内蔵した構成となっている。従って、エネルギーコントローラ11Cでは、制御部28が、自立運転信号を双方向AC/DC変換部23Cにも供給し、双方向AC/DC変換部23Cの内部において、商用電力系統との接続と、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子との接続とが排他的に切り替えられる。
【0086】
さらに、双方向AC/DC変換部23Cは、図6の双方向AC/DC変換部23Bと同様に、図1のバッテリ用PCS22および充電用AC/DC変換部23の両方の機能を備えて構成される。
【0087】
つまり、エネルギーコントローラ11Cでは、停電時において、双方向AC/DC変換部23Cは、自立運転信号に従って、商用電力系統との接続を解除するとともに、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子と接続するように、双方向AC/DC変換部23Cの内部で排他的回路の切り替えを行う。そして、双方向AC/DC変換部23Cは、バッテリ13から供給される直流電圧の電力を交流電圧に変換した電力、または、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子から供給される交流電圧の電力を、自立出力用コンセント14に接続された負荷に対して供給する。
【0088】
また、エネルギーコントローラ11Cでは、停電が復旧したとき、双方向AC/DC変換部23Cは、自立運転を解除する信号に従って、太陽光パネル用PCS21の自立運転出力端子との接続を解除するとともに、商用電力系統と接続するように、双方向AC/DC変換部23Cの内部で排他的回路の切り替えを行う。そして、双方向AC/DC変換部23Cは、バッテリ13から供給される直流電圧の電力を交流電圧の電力に変換して、分電盤12を介してブレーカ部43の各ブレーカに接続された負荷に供給する。
【0089】
従って、エネルギーコントローラ11Cでは、図1のエネルギーコントローラ11と同様に、安全性および信頼性を確保することができる。さらに、エネルギーコントローラ11Cでは、双方向AC/DC変換部23Cが、排他的回路の機能を内蔵するとともに、図1のバッテリ用PCS22および充電用AC/DC変換部23の両方の機能を備えることによって、装置のさらなる簡素化および小型化を図ることができる。
【0090】
なお、上述した実施の形態では、リレー31乃至33により排他的回路が構成されているが、必ずしもリレー31乃至33により排他的回路が構成されていなくてもよい。つまり、制御部28が、商用電力系統からの電力の供給に基づいて、リレー31乃至33それぞれの開閉を独立して制御してもよく、停電を検知したとき、少なくともリレー31および32をオフすることで、安全性および信頼性を確保することができる。そして、制御部28は、リレー31および32をオフした後に、リレー33をオンすればよい。また、リレー31乃至33は、図2で説明した24Vで駆動するものの他、例えば、12Vで駆動するものなど、適宜、設計に応じた電圧で駆動するものを採用することができる。
【0091】
さらに、本実施の形態では、太陽光発電パネルを発電手段とした発電システムについて説明したが、本技術は、太陽光発電パネルの他、風力発電などのように、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段による電力を利用した発電システムに適用することができる。
【0092】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
11 エネルギーコントローラ, 12 分電盤, 13 バッテリ, 14 自立出力用コンセント, 21 太陽光パネル用PCS, 22 バッテリ用PCS, 23 充電用AC/DC変換部, 25および26 電力モニタ, 27 入出力部, 28 制御部, 31乃至34 リレー, 37 端子, 41 端子, 42 漏電ブレーカ, 43 ブレーカ部, 44 配線用ブレーカ, 45 漏電ブレーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換手段から出力される交流電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する第2の変換手段と、
系統から前記第2の変換手段に電力を供給する配線を開閉する第1の開閉手段と、
前記系統からの電力の供給が停止したことを検知すると、前記第1の開閉手段を開放する開閉制御手段と
を備えることを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記第1の変換手段から前記第2の変換手段に電力を供給する配線を開閉する第2の開閉手段
をさらに備え、
前記開閉制御手段は、前記系統からの電力の供給が停止したことを検知すると、前記第2の開閉手段を閉鎖する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記第1の開閉手段と前記第2の開閉手段とが排他的回路により構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段が、前記第2の変換手段内に組み込まれている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記第2の変換手段から出力される電力、または、前記第2の変換手段から出力された電力を蓄積する蓄積手段に蓄積されている電力を、交流電圧の電力に変換して負荷に供給する第3の変換手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記第2の変換手段および前記第3の変換手段が一体で構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の電力制御装置。
【請求項7】
自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される直流電圧の電力を、交流電圧の電力に変換する第1の変換手段と、前記第1の変換手段から出力される交流電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する第2の変換手段と、系統から前記第2の変換手段に電力を供給する配線を開閉する第1の開閉手段とを備える電力制御装置の電力制御方法において、
前記系統からの電力の供給が停止したことを検知すると、前記第1の開閉手段を開放する
ステップを含むことを特徴とする電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−196024(P2012−196024A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56955(P2011−56955)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】