説明

電力制御装置および電力制御方法

【課題】エネルギー消費量を管理するための方法を提供する。
【解決手段】
エネルギーネットワーク上における一意の識別子を割り当てられた上記エネルギーネットワーク上の複数のデバイスに対する電力を制御する方法であって、上記エネルギーネットワーク上でデバイスを一意に識別する識別子をそれぞれ割り当てられた上記複数のデバイスからデバイスのグループを形成し、上記グループ内の1つのデバイスに供給される電力の状態に応じて、上記エネルギーネットワークを介して制御信号を送信することによって、上記グループ内の他のデバイスの電力を制御する電力制御方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置および電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、消費者は環境に対する影響を強く意識している。また、エネルギーの値上がりが続いているため、消費者はエネルギー消費量を管理するための様々な方法を模索している。特に、電力消費量の管理に対して関心が持たれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0057177号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1566875号明細書
【特許文献3】英国特許特許第2467813号明細書
【特許文献4】国際公開第01/37392号
【特許文献5】国際公開第2008/071995号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によると、エネルギーネットワーク上における一意の識別子をそれぞれ割り当てられた前記エネルギーネットワーク上の複数のデバイスに対する電力を制御する方法であって、上記複数のデバイスからデバイスのグループを形成し、上記グループ内の1つのデバイスに供給される電力の状態に応じて、上記エネルギーネットワークを介して制御信号を送信することによって、上記グループ内の他のデバイスの電力を制御する電力制御方法が提供される。
【0006】
上記電力制御方法は、ユーザが設定した基準に従って、上記グループ内の各デバイスに対する電力を制御するステップをさらに含んでもよい。
【0007】
上記電力制御方法は、上記グループ内の各デバイスに優先度を割り当てるステップをさらに含み、上記グループ内の上記1つのデバイスには、最も高い優先度が割り当てられていてもよい。
【0008】
上記電力制御方法は、上記グループ内の上記1つのデバイスによって消費される電力を検出し、上記消費される電力が第1の閾値を下回る場合、上記グループ内の他のデバイスに対する電力を制御するステップをさらに含んでもよい。
【0009】
上記電力制御方法は、上記グループ内の上記1つのデバイスによって消費されて検出された上記電力が上記第1の閾値を下回るが、第2の閾値を上回っている場合、上記1つのデバイスが待機状態にあると見なし、上記グループ内の上記他のデバイスに対する電力を制御するステップをさらに含んでもよい。
【0010】
上記グループの少なくとも1つのデバイスが待機状態に置かれてもよい。
【0011】
第2の態様によると、コンピュータに、上記電力制御方法の各ステップを実行させるプログラムが提供される。
【0012】
第3の態様によると、上記プログラムが記録されたコンピュータ可読記録媒体が提供される。
【0013】
第4の態様によると、エネルギーネットワーク上における一意の識別子をそれぞれ割り当てられた前記エネルギーネットワーク上の複数のデバイスに対する電力を制御する装置であって、上記複数のデバイスからデバイスのグループを形成するグループ形成器と、上記グループ内の1つのデバイスに供給される電力の状態に応じて、上記エネルギーネットワークを介して制御信号を送信することによって、上記グループ内の他のデバイスに対する電力を制御する制御部とを具備する電力制御装置が提供される。
【0014】
上記制御部は、ユーザが設定した基準に従って上記グループ内の各デバイスに対する電力を制御してよい。
【0015】
上記電力制御装置は、上記グループ内の各デバイスに優先度を割り当てる優先度割り当て器をさらに具備し、上記グループ内の上記1つのデバイスには、最も高い優先度が割り当てられていてもよい。
【0016】
上記電力制御装置は、上記グループ内の上記1つのデバイスによって消費された電力を検出する検出器をさらに具備し、上記消費された電力が第1閾値を下回る場合、上記グループ内の他のデバイスに対する電力を制御してもよい。
【0017】
上記グループ内の上記1つのデバイスによって消費されて検出された上記電力が上記第1の閾値を下回るが、第2の閾値を上回る場合、上記電力制御装置は、上記1つのデバイスが待機状態にあると見なし、上記グループ内の上記他のデバイスに対する電力を制御してもよい。
【0018】
上記グループ内の少なくとも1つのデバイスが待機状態に置かれてもよい。
【0019】
第5の態様によると、複数のデバイスに接続される上記電力制御装置を含むシステムが提供される。
【0020】
本発明の上記および他の目的、特徴、利点は、添付の図面と関連して読まれる例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態によるホームエネルギーネットワークを示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるホームエネルギー分配装置を示す図である。
【図3】本発明の実施形態によるユニットインタフェースを示す図である。
【図4】本発明の実施形態によるホームエネルギーネットワークに用いられるグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
【図5】本発明の実施形態によるホームエネルギーネットワークにおいて実施されるネットワークプロトコルスタックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、ホームエネルギーネットワーク200を示す。このホームエネルギーネットワーク200はユーザの自宅に配置されている。しかし、本発明はこれに限定されない。ホームエネルギーネットワーク200内には、ホームエネルギーゲートウェイ(HEG)100が設けられる。HEG100については、図2を参照して詳細に説明する。HEG100は主電源230に接続されるデバイスである。この主電源230は、単相の220V交流(AC)家庭用電源である。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明は、3相の工業用電源に適用されてもよいし、異なる電圧を有する家庭用電源、例えば、110VのAC電源に適用されてもよい。本実施形態では、壁面のコンセントから電力を引き出すためにホームエネルギーゲートウェイ100を設置することを想定する。一般家庭にはブレーカと環状配電ユニット(ring main;リングメインユニット)との間にスマートメータが設置される。これによって、スマートメータが環状配電ユニットの消費電力量を測定することができる。HEG100は、スマートメータに上記測定値を要求することによって、当該HEG100を損傷させる可能性のある電力の急激な上昇(サージ電圧)から保護しながら、一般家庭で主電源に取り付けられた各デバイスに供給される電力を制御することができる。
【0023】
さらに、HEG100は、ブロードバンドルータ220を用いてインターネット210に接続される。ブロードバンドルータ220は、HEG100に無線接続されても、有線接続されてもよい。ルータ220は、テレビ、PCウェブブラウザ、およびSony(登録商標)Dash(登録商標)等の表示/制御装置225に接続されるが、これらのデバイスに加えてまたはこれらに代えて、他の接続可能なデバイスが想定される。ルータ220に接続されるこれらの表示/制御装置225は、図3を参照して後述する。
【0024】
HEG100がインターネット210に接続されているため、ユーザは、自宅外からホームエネルギーネットワーク200のエネルギー統計値を確認することができる。特に、ユーザは、Google PowerMeter等の適切なインタフェースを利用してエネルギー統計値を確認することができる。このエネルギー統計値は、Sony Ericsson社製のXperia(登録商標)X10等のアンドロイド端末で確認することもできる。代替的には、ユーザは、Sony(登録商標)Vaio(登録商標)ネットブックによってWiFiネットワークにアクセスし、Google PowerMeterを利用して自宅のエネルギー統計値を確認するか、または、任意の好適な方法でHEG100を構成してもよい。様々なシナリオを後で説明する。
【0025】
HEG100は、ホームエリアネットワーク(HAN)240にも接続される。HAN240は、家庭内の各コンセント250に対する制御部である。家庭内のコンセント250については、図3を参照して後述する。各コンセント250は、当該コンセント250を一意(ユニーク)に識別する識別子を有する。換言すると、コンセント250は、家庭内で一意である当該コンセント250に属する識別子を有するが、グローバルに一意(ユニーク)であってもよいし、そうでなくてもよい。しかし、本発明はこれに限定されない。本実施形態では、各コンセント250にスマートメータを内蔵することができる。この場合、これらのスマートメータは、これらに属する識別子を有する。本実施形態では、HEG100は、本システムの初期セットアップ動作中にコンセント250の識別子を割り当てる。
【0026】
コンセント250は、3つの異なるグループ235A、235Bおよび235Cに割り当てられる。これらのグループ235A、235Bおよび235Cは、コンセント250の場所に関して割り当てることができる。例えば、この具体的な実施形態では、居間のコンセント250がグループ235Aとして割り当てられ、浴室のコンセント250がグループ235Bとして割り当てられ、台所のコンセント250がグループ235Cとして割り当てられる。しかし、本発明はこれに限定されない。実際には、コンセント250の任意の種類のグループ分けが想定される。また、1つのコンセント250が1つまたは複数のグループに割り当てられてもよい。
【0027】
ここまで、電力消費デバイスについてのみ説明してきた。しかし、本実施形態では、電力消費デバイスの代わりにまたはこれに加えて、発電機をホームエネルギーネットワーク200に接続することができる。本実施形態では、ソーラーパネル255を接続することができる。さらに、ネットワークには、電力消費デバイスとしてまたは発電機として動作する他のデバイスが接続される。例えば、固定バッテリ260および電気自動車265がコンセント250を通じてホームエネルギーネットワーク200に接続される。固定バッテリ260は一列のバッテリセルであり、これは、ソーラーパネル255が電気を生成している間に他の電力消費デバイスが少数しか動作していないとき、または、夜間等の電気料金が安くなるとき等、電気が十分にあるときに充電可能である。固定バッテリ260が保持する電気は、電気の需要が高いときまたは外部で生成される電気の料金が高いときにホームエネルギーネットワーク200によって使用される。同様に、電気自動車265用のバッテリも、固定バッテリ260と同様に、電気料金が安いかまたは電気が十分にあるときにエネルギーを蓄え、電気料金が高いときにエネルギーを使用するように動作する。
【0028】
さらに、電気自動車265をホームエネルギーネットワーク200に接続するものとして、いわゆる「グリーン(green:環境に優しい)プラグ」257が示されている。「グリーンプラグ」257は、図1に概略的に示されるような1つの物理的な装置とすることができるが、後述するようなコンセント250の集合とすることもできる。
【0029】
図2は、HEG100の一実施形態を示す。HEG100は、HAN240が接続された制御部130を有する。制御部130は、HAN240を制御し、このHAN240が他のコンセント250を制御する。特に、制御部130は、HAN240を介してコンセント250へ制御信号を送り、当該コンセント250の動作を制御する。さらに、制御部130は、HAN240を介してコンセント250から送り返されたデータを受け取り、これによって、コンセント250に接続されたデバイスの電力消費量を算出する。制御部130は、本実施形態では、ソフトウェアコードによって制御されるマイクロプロセッサである。ソフトウェアコードは、HEG100内のメモリ(図示せず)に記憶してもよく、または遠隔で、例えばインターネットまたはホームコンピュータネットワークを介して配置されるソフトウェアによって制御してもよい。ソフトウェアは、固体メモリ(Solid State Memory)、磁気可読媒体、または光可読媒体等の任意のコンピュータ可読媒体上に記憶することができる。実際には、ソフトウェアは、他の場所から当該ソフトウェアを更新することができるように制御部130自体に記憶してもよい。
【0030】
制御部130は、HEG100のインターネットへの接続を可能にする通信装置120に接続される。通信装置120は、情報をリモート装置205に表示させるとともに、リモート装置205のユーザとHEG100との間のインタフェースとなる。
【0031】
制御部130には、ディスプレイインタフェース140も接続される。ディスプレイインタフェース140は、図1の表示装置225に接続する。ディスプレイインタフェース140は、ホームエネルギーネットワーク200のエネルギー消費量を示す表示装置225への表示データの供給を可能にするとともに、任意の好適な方法でホームエネルギーネットワーク200を制御するためにユーザが表示装置225と情報のやりとりをすることを可能にする双方向インタフェースである。様々なシナリオを後で論じる。なお、ネットワークを介して任意の表示装置225を接続することができ、また、サービスインタフェースを利用してHEG100から情報を取得することができる。このようにして、表示装置225は、当該表示装置225に固有のアプリケーションを用いる等、情報の表示方法を決定することができる。
【0032】
図3は、本発明の実施形態による、図2に示すコンセント250を示す。コンセント250は通常、家の壁に取り付けられており、電気デバイスのプラグを挿すことができる。以下に記載するコンセント250も壁に取り付けられて電気デバイスのプラグを挿すことができるが、本発明はこれに限定されない。コンセント250の別の例として、電球が取り付けられる天井照明器具があり得る。つまり、コンセント250を、電気デバイス(電気消費ユニットまたは発電ユニットのいずれか)を取り外し可能に接続することができる取付具として解釈されたい。
【0033】
HEG100は、商用電源インタフェース315を通じてコンセント250に接続される。商用電源インタフェース315は、商用電源システムを介してHEG100から送信されるデータパケットを抽出するように設計される。さらに、商用電源インタフェース315は、商用電源システムを介してデータパケットをHEG100に送信する。電力線を通じてデータを送信する上記技術は既存のものであり、当業者によって理解されるように、HomePlug(登録商標)Alliance等のシステムにおいて規定されている。付加的にまたは代替的に、他の技術を用いて、HEG100とコンセント250との間で適切なデータパケットのやりとりをすることができる。無線通信であるか、または別個の有線ネットワークを設置するかは任意選択である。例えば、Plugwise、PloggZgb(Zigbee standardを利用)、PloggBt(Bluetooth standardを利用)、DINメータ(Serial GPIO standardを利用)またはFlukso(WiFiを利用)において規定されている技術を用いることができる。
【0034】
メモリ320が商用電源インタフェース315に接続される。メモリ320は、本実施形態では、不揮発性であり、コンセント250を一意に識別する一意の識別データを記憶するように構成される。
【0035】
デバイスアダプタ305も、商用電源インタフェース315に接続される。デバイスアダプタ305は、商用電源インタフェース315によって制御され、デバイスに送られる、またはデバイスから送られる商用電力を制御する。さらに、デバイスアダプタ305は、デバイスによって消費または生成される電力量を読み出し、このデータを商用電源インタフェース315に渡す。商用電源インタフェース315は、ホームエリアネットワーク240を介してこのデータをHEG100に送り返す。また、デバイスのステータスをデバイスアダプタ305によって監視する。換言すると、ユーザがデバイスの電源を切った場合、デバイスアダプタ305は、商用電源インタフェース315にフラグを送信し、当該商用電源インタフェース315が、デバイスとデバイスの現在の状態とを特定するデータを生成する。なお、デバイスアダプタ305をデバイスと別個のものとして記載しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、デバイスアダプタ305は、デバイスと一体化してもよい。上記データは、ホームエリアネットワーク240を介してHEG100に渡される。また、デバイスを待機モード(テレビ等)にすることができる場合、デバイスによって消費される電力は、全電力量の30%等の値に抑えられる。デバイスアダプタ305は、デバイスによって消費される電力が一定の値未満まで下がり、ゆえに、当該デバイスが待機モードにあることを特定する。これを特定したフラグが商用電源インタフェース315に渡される。次いで、商用電源インタフェース315は、デバイスとデバイスの現在の状態とを特定するデータを生成し、ホームエリアネットワーク240を介してこれをHEG100に渡す。
【0036】
また、デバイスアダプタ305は、制御信号をデバイスに送信する。特に、デバイスアダプタ305は、電力を下げる制御信号をデバイスに送信する。この電力を下げる制御信号は、デバイスに、スタンバイ状態になるようにまたは一定時間完全に電源を切るように指示する。デバイスは、このように制御されることができる必要がある。
【0037】
図5は、いずれのHEG100が異なるコンセント250を制御するのに用いられるプロトコルを詳細に示す階層ソフトウェアスタック500を示す。アプリケーション層510上では、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)が、本システムの実行中に、ユーザが本システムと情報のやりとりをすることができるようにする。GUIの例を図4に示す。このGUIによって、ユーザは、線グラフおよび棒グラフでシステムの全体的な動作ステータスを確認することができる。さらに、特定の料金方式を仮定して、HEG100が各デバイスのエネルギー消費量に関する各コンセント250のデータを受け取ったときに、GUIは1日、1ヶ月または1年等の所与の時間期間にわたる各デバイスの総電力費用を表示することができる。勿論、一定期間におけるシステム全体の電力消費の総額を算出することもできる。
【0038】
GUIは、データの表示に関して説明してきたが、GUIはHEG100の制御にも用いられる。より詳細には、ユーザは、GUIと情報のやりとりをして、HEGのセットアップを確定することができる。例えば、上述したように、いくつかのコンセント250をグループ分けすることができる。これによって、デバイスのグループが形成される。このグループは複数あってもよい。例えば、居間にある全てのコンセント250が1つのグループを形成する一方で、電源を切られることがない優先度が高いグループ等の他のグループを形成することができる。このグループのコンセント250には、冷蔵庫または冷凍庫を含み得るデバイス、複数の保安灯用の電源、暖房システムまたは調理機器が接続される。また、コンセント250は、或る時点で或るグループから別のグループへ移動することができる。例えば、夏の間、外は通常暑いため、暖房システムのコンセント250は優先度が中程度のコンセント250となるが、寒い冬の間は、優先度が高いコンセント250となる。同様に、保安灯が接続されるコンセント250は日中、優先度が低いコンセント250となるが、夜間では優先度が高いコンセント250となる。
【0039】
ユーザが確定したセットアップに関するデータは、HEG100によってアクセス可能なメモリに記憶される。例えば、メモリは、HEG100内に配置されるか、または、HEG100によってアクセス可能なままHEG100の遠隔に配置される。例えば、メモリは、ネットワーク上に配置される。また、メモリには、各コンセント250からHEG100が収集したデータも記憶される。詳細には、HEG100は、コンセント250を識別するデータと、任意の時点にコンセント250によって消費または生成された電力量を示すデータとを記憶する。或る特定のコンセント250に接続されたデバイスがいつ電力を消費または生成したかといったデータも記憶される。これは、ホームエネルギーゲートウェイアプリケーション層の上層520の一部をなす。このデータは、ホームエネルギーゲートウェイアプリケーション層の下層530へ供給される。当該ホームエネルギーゲートウェイアプリケーション層の下層530は、異なる複数のコンセント250へ送られる制御指示を供給する。
【0040】
ホームエネルギーゲートウェイアプリケーション層の下層530から供給されたデータはさらに、各コンセント250に指示を送るハードウェア層540用のドライバに供給される。
【0041】
次に、上記システムを用いるいくつかの異なるシナリオを説明する。
【0042】
[シナリオ1]
上記システムは、家中の異なる複数のデバイスに対する電力のインテリジェント制御を可能にする。例えば、複数のデバイスグループの1つのデバイスグループが、専用のモニタと専用のプリンタとに接続されたパーソナルコンピュータ(PC)から成り、コンピュータの電源が切られると、モニタまたはプリンタが用いられなくなる。しかし、プリンタの電源が切られても、PCおよびモニタは引き続き電力を必要とする。したがって、PCの電力ステータスによって、モニタおよびプリンタの電力ステータスが決まる。したがって、PCが接続されるコンセント250は、PC、モニタおよびプリンタから成るグループにおいて「マスター」コンセント250であり、モニタとプリンタとが接続されるコンセント250は「スレイブ」コンセント250である。よって、PCの電源が切られたとき、「マスター」コンセント250内の商用電源インタフェース315がHEG100に、PCの電源が切られたことを知らせる。次いで、HEG100は、「スレイブ」コンセント250に「スレイブ」デバイスの電源を切るように指示するコマンドを送信する。
【0043】
各「スレイブ」デバイスに適用する電力低下量を設定することも可能である。例えば、HEG100は、「マスター」デバイスの電源が切られたときに、「スレイブ」コンセント250にデバイスをスタンバイ状態に置くように指示する。スレイブデバイスのシャットダウン期間にわたるこの制御は、スレイブデバイスが素早く起動する必要がある場合またはユーザデータを保持する必要がある場合に有用である。
【0044】
さらに、照明が接続されるコンセント250は、夜間の時間帯には居間にある全てのデバイスの「マスター」コンセント250とすることができる。照明の電源が切られると、居間はもはや使用されていないと想定される。したがって、当該居間のデバイスは適宜、電源を切られるかまたはスタンバイ状態に置かれる。しかし、日中の時間帯には、照明が接続されるコンセント250は、「マスター」コンセント250とされない場合がある。実際には、動作センサがHEG100に取り付けられる。この場合、動作センサが居間において別の人物の動きを検出する場合、つまり、マスターコンセント250に接続されている照明の電源が切られた後に動作センサが居間において当該人物の動きを検出した場合、残りの「スレイブ」コンセント250の電源は切られない。換言すると、1つのデバイスグループにおけるマスターコンセント250またはスレイブコンセント250へのコンセント250の割り当ては、1日、1ヶ月、または1年のうち、複数の異なる時点で変化し得る。
【0045】
[シナリオ2]
上述したように、HEG100は、ネットワーク内の各コンセント250の使用を1日中記録する。したがって、HEG100は、当該ネットワークにおける各デバイスの動作ステータスを1日中記憶する。これは、時間と共に、当該ネットワークに関する典型的な使用プロファイルを形成することができることを意味する。これは、ユーザが家から離れているときのセキュリティシナリオにおいて有利である。
【0046】
通常、何日も家を離れる場合、ユーザは、いくつかの時点において電源のON/OFFを切り替えるタイマーに電気デバイスを取り付ける。しかし、時間が経つと、ウィークデーにもかかわらず照明及びデバイスの電源が同時に入れられている場合にはユーザがいないことが明らかになる。
【0047】
例えば、ウィークデー(月曜日〜金曜日)では、多くの人々が働いているため、ネットワーク内のエネルギー消費量は、人々が仕事から帰ってきてテレビ、PC、照明および調理機器等の多くのデバイスを使用する夜に比べて少ない。同様に、週末の日中は、多くの人々が働かないため、使用パターンは月曜日〜金曜日の日中の使用パターンとは非常に異なる。したがって、ウィークデーにもかかわらずデバイスが同時に作動しているのはおかしなことであると観察される。
【0048】
HEG100によって記憶されている情報を用いて、異なるデバイスが動作している日時を特定することができる。例えば、ラジオが接続されるコンセント250が使用されるのは、月曜日〜金曜日の毎日午前6時〜午前8時半であり、台所の照明がつくのは、午後5時半〜午後8時半であり、再度つくのが午後10時〜午後10時半である。しかし、週末は、ラジオは、午前8時〜午前10時につけられ、台所の照明は、午後4時〜午後10時の一回になる。
【0049】
したがって、一定の時間家を離れるとき、ユーザは、デバイスのセキュリティグループを設定し、HEG100によって観察されたエネルギー使用パターンに応じてコンセント250のON/OFFを切り替えることができる。
【0050】
初期設定では、ユーザが通常使用する全てのデバイスが作動される。
【0051】
しかし、これは、不要な照明及びデバイスが作動することで費用および環境に対する影響が増加することを意味する。当該費用および環境に対する影響を減らすために、ユーザは、デバイスの異なるカテゴリを設定することができる。例えば、第1の照明が、容易に観察可能な家の正面にある保安灯であり、第2の照明が、観察し辛い家の裏側にある台所の照明である場合、ユーザは、セキュリティモード中には、台所の照明をつけないようにするかもしれないが、保安灯はつけるはずである。これによって、上記費用および環境に対する影響が低減する。
【0052】
また、ユーザは、エネルギーの支出が閾値を超えないことを保証するようにエネルギーキャップを設定することを望む場合がある。この場合、ユーザは、固定バッテリが一定のチャージレベルを有する場合、台所の照明をつける。さらに、ユーザは、保安モード中に動作するように、いくつかのデバイスグループにエネルギーを割り当てる。例えば、ユーザは、費用にかかわらず冷蔵庫および冷凍庫ならびに全ての保安灯を動作することを望む。しかし、ユーザは、家の中の照明およびラジオ等の他のデバイスを優先度が中程度のデバイスとして設定する。テレビ等の優先度が低いデバイスも設定することができる。次いで、ユーザは、十分なエネルギーがソーラーパネルによって生成された場合または一定のレベルのエネルギーが固定バッテリに蓄えられる場合にのみ、優先度が中程度のデバイスを動作させる。同様に、優先度が中程度のデバイスが全て動作中である場合にのみ、優先度が低いデバイスを動作させる。
【0053】
[シナリオ3]
これまでは電力の使用パターンを監視する例に言及してきたが、HEG100を用いてエネルギー生産を監視してもよい。上述したように、ソーラーパネル255は、ホームエネルギーネットワーク200に接続される。ソーラーパネル255は通常、商用電源回路ブレーカの前面に配置されるグリッドタイドインバータ(格子タイインバータ)によって接続される。ソーラーパネル255によって生成される電力は、スマートメータによって監視される。したがって、所与の時間枠にわたってソーラーパネル255によって生成されたエネルギー量を算出することができる。
【0054】
ソーラーパネル255からのエネルギーによってデバイスを給電することができるときのみに動作する、ネットワーク内の1つまたは複数のコンセント250を設定することがユーザにとって望ましい場合がある。これは「グリーンプラグ」と称される。このエネルギーは、即時的なエネルギー(すなわち、ソーラーパネル255によって生成されている最中のエネルギー)としてもよいし、またはソーラーパネル255によって生成されて固定バッテリ260に蓄えられたエネルギーとしてもよい。換言すると、「グリーンプラグ」は、自宅で生成されたエネルギーを用い、主電源230からのエネルギーを用いない。「グリーンプラグ」は、ネットワークに接続されているデバイスの消費量がソーラーパネル255または固定バッテリ260によって供給される電力を下回るとき、または、固定バッテリ260からの電力またはソーラーパネル255からの電力が減ってデバイスに供給される実際の電力量が減少するときのみ動作することができる。「グリーンプラグ」が、ソーラーパネル255および固定バッテリ260から同時にエネルギーを供給されることも想定される。例えば、ソーラーパネル255によって供給されるエネルギーが低いとき、固定バッテリがグリーンプラグにエネルギーを補給してデバイスを動作させることができる。
【0055】
さらに、HEG100は、ソーラーパネル255によって生成される即時的エネルギー量と、デバイスによって消費されるエネルギー量との差を算出する。デバイスが、ソーラーパネル255によって生成されるエネルギーの全てを消費しない場合、余分な再生可能エネルギーを固定バッテリ260に蓄える。
【0056】
この一例として、例えば電気自動車のバッテリがある。ユーザは、ローカルに生成した無料の電力がある場合にのみ、電気自動車に充電したいと思うかもしれない。また、グリーンプラグは、(例えば、ソーラーパネル255で)ローカルに生成した電力が電力消費量を上回るときのみに動作するように構成することができる。換言すると、グリーンプラグは、ローカルに生成した電力が余剰している場合だけ動作する。バッテリに供給される電力量は、ソーラーパネル255によって供給される再生可能エネルギー量によって変化し得る。換言すると、ソーラーパネル255によって供給されるエネルギー量が少ない場合、固定バッテリは時間をかけて充電される。しかし、ソーラーパネル255によって供給されるエネルギー量が多い場合、固定バッテリはより迅速に充電される。別の例として、部屋を涼しくするのに用いられる扇風機があり得る。扇風機に供給される電流量は、ソーラーパネル255または固定バッテリによって生成される電力量が少ないときには減少させることができる。しかし、いくつかの他のデバイス(テレビ等)では、デバイスを動作させながら電力量を減らすことができない。この場合、デバイスは、ソーラーパネル255から特定の期間のみ給電されることができる。また、本実施形態では、「グリーンプラグ」に取り付けられたデバイスは、供給元の優先度によって給電されることができる。例えば、グリーンプラグは、第1の優先度として、ソーラーパネル255からデバイスに給電し、次いで、第2の優先度として、デバイスに固定バッテリから給電し、第3の優先度として、デバイスに商用電源から給電する。
【0057】
実際には、冷蔵庫のように、デバイスによっては、(冷蔵庫の内部を冷却するために)グリーンプラグから冷蔵庫を短時間給電し、そして、少し経ってから再度電力を供給することが適切である場合がある。これによって、冷蔵庫の総電力消費量が減る。
【0058】
また、「グリーンプラグ」に別のコンセント250を割り当てることをユーザが望む状況では、表示装置225またはリモート装置205は、全てのコンセント250を含むネットワークを表示することができる。そうすると、ユーザは適切なプラグ(のGUI)に触れるだけで、これを「グリーンプラグ」にすることができる。この選択は、ホームエネルギーゲートウェイ100へ送り返され、コンセント250のプロファイルが更新される。実際には、ソーラーパネル255または固定バッテリによって十分な再生可能エネルギーが、いつ「グリーンプラグ」に供給されなくなるかを示すようにグラフィカルユーザインタフェースを拡張することができる。この場合、ユーザには、ローカルに生成された電力を補充するようにまたは当該電力に代えて商用電源を使用する任意選択が与えられる。
【0059】
上記では、商用電源インタフェース315とデバイスアダプタ305とを有するコンセント250に関して説明を行ったが、本発明はこれに限定されない。商用電源インタフェース315とデバイスアダプタ305とをデバイス自体に一体化することが可能である。勿論、識別子を記憶するメモリ320もデバイスに統合する必要がある。これは、システム内においていくつかのコンセント250がそれぞれ所与の一定のステータスを有するのではなく、デバイスが所与の一定のステータスを有することを意味する。これは、デバイスを任意のコンセント250に接続し、必要に応じて家中に移動させることができることを意味する。また、これは、従来のコンセントを用いることができることで、下位互換性が保証されることを意味する。
【0060】
また、コンセント250を、従来のコンセントに接続することができるアダプタとすることができることが想定される。この場合、デバイスはアダプタに接続される。これによって、また、下位互換性が保証される。
【0061】
また、上記では、商用電源ネットワーク上で転送されるデータに関して説明を行ったが、本発明はこれに限定されず、当該データを、商用電源システムとは別個の無線または有線ネットワークを介して転送してもよい。
【0062】
上記では、ソーラーパネル255に関して説明を行ったが、風力タービン等、任意の形態の再生可能エネルギーも想定される。
【0063】
本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながら本明細書において詳述してきたが、本発明は上記実施形態に厳密に限定されないこと、および、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲および精神から逸脱しない限り、当業者によって種々の変更および修正が可能であることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーネットワーク上における一意の識別子をそれぞれ割り当てられた前記エネルギーネットワーク上の複数のデバイスに対する電力を制御する方法であって、
前記複数のデバイスからデバイスのグループを形成し、
前記グループ内の1つのデバイスに供給される電力の状態に応じて、前記エネルギーネットワークを介して制御信号を送信することによって、前記グループ内の他のデバイスの電力を制御する
電力制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電力制御方法であって、
ユーザが設定した基準に従って、前記グループ内の各デバイスに対する電力を制御するステップをさらに含む
電力制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の電力制御方法であって、
前記グループ内の各デバイスに優先度を割り当てるステップをさらに含み、
前記グループ内の前記1つのデバイスには、最も高い優先度が割り当てられる
電力制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の電力制御方法であって、
前記グループ内の前記1つのデバイスによって消費される電力を検出し、前記消費される電力が第1の閾値を下回る場合、前記グループ内の他のデバイスに対する電力を制御するステップをさらに含む
電力制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電力制御方法であって、
前記グループ内の前記1つのデバイスによって消費されて検出された前記電力が前記第1の閾値を下回るが、第2の閾値を上回っている場合、前記1つのデバイスが待機状態にあると見なし、前記グループ内の前記他のデバイスに対する電力を制御するステップをさらに含む
電力制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載の電力制御方法であって、
前記グループ内の少なくとも1つのデバイスが待機状態に置かれる
電力制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項1に記載の電力制御方法の各ステップを実行させるプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムが記録されたコンピュータ可読記録媒体。
【請求項9】
エネルギーネットワーク上における一意の識別子をそれぞれ割り当てられた前記エネルギーネットワーク上の複数のデバイスに対する電力を制御する装置であって、
前記複数のデバイスからデバイスのグループを形成するグループ形成器と、
前記グループ内の1つのデバイスに供給される電力の状態に応じて、前記エネルギーネットワークを介して制御信号を送信することによって、前記グループ内の他のデバイスに対する電力を制御する制御部とを具備する
電力制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電力制御装置であって、
前記制御部は、ユーザが設定した基準に従って前記グループ内の各デバイスに対する電力を制御する
電力制御装置。
【請求項11】
請求項9に記載の電力制御装置であって、
前記グループ内の各デバイスに優先度を割り当てる優先度割り当て器をさらに具備し、
前記グループの前記1つのデバイスには、最も高い優先度が割り当てられる
電力制御装置。
【請求項12】
請求項9に記載の電力制御装置であって、
前記グループ内の前記1つのデバイスによって消費された電力を検出する検出器をさらに具備し、
前記消費された電力が第1の閾値を下回る場合、前記グループ内の他のデバイスに対する電力を制御する
電力制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の電力制御装置であって、
前記グループ内の前記1つのデバイスによって消費されて検出された前記電力が前記第1の閾値を下回るが、第2の閾値を上回る場合、前記1つのデバイスが待機状態にあると見なし、前記グループ内の前記他のデバイスに対する電力を制御する
電力制御装置。
【請求項14】
請求項9に記載の電力制御装置であって、
前記グループ内の少なくとも1つのデバイスが待機状態に置かれる
電力制御装置。
【請求項15】
複数のデバイスに接続される請求項9に記載の電力制御装置を含むシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−60878(P2012−60878A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193314(P2011−193314)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(593081408)ソニー ヨーロッパ リミテッド (93)
【Fターム(参考)】