説明

電力変換装置

【課題】電力変換器に対する冷却性能を十分に確保しながら、装置の小型化を図ることができる電力変換装置を提供すること。
【解決手段】電力変換装置1は、インバータ(第1電力変換器)2と、インバータ2を冷却するための冷媒を流通させる第1冷媒流路30を有する第1冷却器3と、コンバータ(第2電力変換器)4と、コンバータ4を冷却するための冷媒を流通させる第2冷媒流路50を有する第2冷却器5とを備えている。第1冷却器3の第1冷媒流路30の一端に形成された第1排出口(第1流路口)302と第2冷却器5の第2冷媒流路50の一端に形成された第2導入口(第2流路口)501とは、対向するように配置されていると共に弾性を有する接続部材71を介して接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ、コンバータ等の電力変換器を備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両には、直流電力を交流電力に変換するインバータ、直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するコンバータ等の電力変換器が搭載されている。例えば、特許文献1には、インバータとコンバータとを一体的に構成してなる電力変換装置が開示されている。
【0003】
インバータ、コンバータ等の電力変換器は、大電流が流れるために発熱量が大きく、これらの温度上昇を抑制する必要がある。そのため、上記特許文献1の電力変換装置には、インバータ及びコンバータをそれぞれ冷却するためのインバータ用の冷媒流路及びコンバータ用の冷媒流路が設けられている。そして、両者の冷媒流路は、接続用のホースで接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−119275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の電力変換装置では、インバータ用の冷媒流路の流路口とコンバータ用の冷媒流路の流路口とが同じ方向を向いて開口している。そのため、両者の流路口をU字状のホースを用いて接続しており、装置の大型化を招いていた。
また、この問題を解消するために、ホース等の接続部材自体を小型化することも考えられるが、この場合には、接続部材内の圧損が高くなり、冷媒を円滑に流通させることができず、電力変換器に対する冷却性能を十分に確保することができないおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、電力変換器に対する冷却性能を十分に確保しながら、装置の小型化を図ることができる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも、第1電力変換器と、該第1電力変換器を冷却するための冷媒を流通させる第1冷媒流路を有する第1冷却器と、第2電力変換器と、該第2電力変換器を冷却するための冷媒を流通させる第2冷媒流路を有する第2冷却器とを備えた電力変換装置であって、
上記第1冷却器の上記第1冷媒流路の一端に形成された第1流路口と上記第2冷却器の上記第2冷媒流路の一端に形成された第2流路口とは、対向するように配置されていると共に弾性を有する接続部材を介して接続されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電力変換装置において、第1冷却器における第1冷媒流路の第1流路口と第2冷却器における第2冷媒流路の第2流路口とは、対向するように配置されていると共に弾性を有する接続部材を介して接続されている。そのため、両者の間を接続部材によって直線的に接続することができる。これにより、両者の間の接続スペースを小さくすることができ、装置の小型化を図ることができる。
また、第1冷媒流路の第1流路口と第2冷媒流路の第2流路口とを接続部材によって直線的に接続することができるため、接続部材内の圧損を抑え、冷媒を円滑に流通させることができる。これにより、装置の小型化を図りながら、第1電力変換器及び第2電力変換器に対する冷却性能を十分に確保することができる。
【0009】
また、上述のごとく、第1冷媒流路と第2冷媒流路とは、弾性を有する接続部材によって接続されている。そのため、両者の間の接続部分は、第1冷媒流路及び第2冷媒流路の熱膨張、熱収縮に対して追従性・柔軟性を有するものとなる。これにより、熱ストレスに起因する冷媒の漏れ等を防止することができる。
また、対向させて配置する第1冷媒流路の第1流路口と第2冷媒流路の第2流路口との位置精度にずれが生じた場合でも、弾性を有し柔軟性のある接続部材によってその位置精度のずれを吸収することができる。これにより、両者の間の接続が容易となる。
【0010】
このように、本発明によれば、電力変換器に対する冷却性能を十分に確保しながら、装置の小型化を図ることができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における、電力変換装置の構成を示す断面説明図。
【図2】図1のA−A線矢視断面説明図。
【図3】図1のB−B線矢視断面説明図。
【図4】実施例2における、接続部材周辺の構成を示す説明図。
【図5】実施例3における、接続部材周辺の構成を示す説明図。
【図6】実施例4における、接続部材周辺の構成を示す説明図。
【図7】実施例4における、接続部材周辺の構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記電力変換装置において、上記接続部材としては、絶縁性を有する材料を用いることが好ましい。
この場合には、第1電力変換器及び第2電力変換器において発生した電磁ノイズが上記接続部材を介して伝播することを防止することができる。
なお、上記接続部材としては、エチレンとプロピレンと架橋用ジエンモノマーとの三元共重合体であるEPDM、ブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体であるNBR(ニトリルゴム)等を材料とするホース等を用いることができる。
【0013】
また、上記第1電力変換器及び上記第1冷却器は、第1筐体部内に収容されており、上記第2電力変換器及び上記第2冷却器は、第2筐体部内に収容されており、上記第1筐体部と上記第2筐体部とは、互いに積層して配置されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、第1筐体部と第2筐体部とを積層し、装置全体を一体的に構成することにより、装置の小型化を図ることができる。
【0014】
また、上記第1冷媒流路の上記第1流路口と上記第2冷媒流路の上記第2流路口とは、上記第1筐体部及び上記第2筐体部の外側において上記接続部材を介して接続されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、第1冷媒流路と第2冷媒流路との間の接続部分において冷媒の漏れ等が生じても、第1筐体部及び第2筐体部内に収容された第1電力変換器及び第2電力変換器に影響が及ばないようにすることができる。
【0015】
また、上記第1筐体部と上記第2筐体部との間の少なくとも一部には、両者の積層方向において間隙部が設けられており、上記第1冷媒流路の上記第1流路口と上記第2冷媒流路の上記第2流路口とは、上記間隙部において上記接続部材を介して接続されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、第1筐体部と第2筐体部との間に形成されたスペースである間隙部を第1冷媒流路と第2冷媒流路との接続スペースとして利用することにより、装置の小型化をより一層図ることができる。
【0016】
また、上記第1筐体部の上記第2筐体部側又は上記第2筐体部の上記第1筐体部側には、上記第2筐体部又は上記第1筐体部が積層されない非積層領域が形成されており、上記第1冷媒流路の上記第1流路口と上記第2冷媒流路の上記第2流路口とは、上記非積層領域において上記接続部材を介して接続されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、第1筐体部及び第2筐体部の大きさ、配置等によって形成されたスペースである非積層領域を第1冷媒流路と第2冷媒流路との接続スペースとして利用することにより、装置の小型化をより一層図ることができる。
【0017】
また、上記第1冷却器は、上記第1筐体部から外側に突出して形成された第1突出部を有し、上記第2冷却器は、上記第2筐体部から外側に突出して形成された第2突出部を有し、上記第1突出部及び上記第2突出部の先端には、それぞれ上記第1流路口及び上記第2流路口が形成されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、第1突出部と第2突出部とを接続部材によって接続することにより、第1冷媒流路と第2冷媒流路との間の接続を容易に行うことができる。
【0018】
また、上記第1冷却器の上記第1突出部又は上記第2冷却器の上記第2突出部は、上記第1流路口又は上記第2流路口を含む先端部分を分割してなる分割部を有することが好ましい(請求項7)。
この場合には、対向させて配置する第1冷媒流路の第1流路口と第2冷媒流路の第2流路口との位置精度にずれが生じた場合でも、両者の間の接続を容易に行うことができる。
例えば、予め第1突出部(第2突出部)と第2突出部(第1突出部)の分割部とを接続部材を介して接続しておき、その後、第2突出部(第1突出部)の分割部を第2突出部(第1突出部)の他の部分に接続することにより、接続を容易に行うことができる。
【0019】
また、上記第1電力変換器は、直流電力を交流電力に変換するインバータであり、上記第2電力変換器は、直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するコンバータであることが好ましい(請求項8)。
この場合には、インバータとコンバータとの組み合わせにより、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両に搭載するのに適した電力変換装置となる。
【0020】
また、上記インバータは、半導体素子を内蔵する半導体モジュールを有し、上記第1冷却器は、上記第1冷媒流路の一部を構成すると共に上記半導体モジュールを冷却するためのモジュール冷却部を有し、上記半導体モジュールと上記モジュール冷却部とが積層されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、半導体モジュールとモジュール冷却部との積層方向における寸法ばらつきを第1冷媒流路と第2冷媒流路との間の接続部材によって吸収することができる。
【0021】
また、上記電力変換装置は、車両に搭載して用いられることが好ましい(請求項10)。
この場合には、装置の小型化により、車両に搭載する際の車載自由度を高めることができる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電力変換装置について、図を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図1〜図3に示すごとく、インバータ(第1電力変換器)2と、インバータ2を冷却するための冷媒を流通させる第1冷媒流路30を有する第1冷却器3と、コンバータ(第2電力変換器)4と、コンバータ4を冷却するための冷媒を流通させる第2冷媒流路50を有する第2冷却器5とを備えている。
第1冷却器3の第1冷媒流路30の一端に形成された第1排出口(第1流路口)302と第2冷却器5の第2冷媒流路50の一端に形成された第2導入口(第2流路口)501とは、対向するように配置されていると共に弾性を有する接続部材71を介して接続されている。
以下、これを詳説する。
【0023】
図1〜図3に示すごとく、電力変換装置1は、直流電力を交流電力に変換するインバータ2と、インバータ2を冷却するための第1冷却器3と、直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するコンバータ4と、コンバータ4を冷却するための第2冷却器5とを備えている。
インバータ2及び第1冷却器3は、第1筐体部61内に収容されており、コンバータ4及び第2冷却器5は、第2筐体部62内に収容されている。第1筐体部61と第2筐体部62とは、上下方向Zにおいて互いに積層して配置されている。
【0024】
また、図1、図2に示すごとく、第1筐体部61と第2筐体部62とは、上下方向Zに直交する長手方向Xにおいて、それぞれ長さが異なっている。本例では、上側の第1筐体部61のほうが下側の第2筐体部62よりも短い。そのため、第2筐体部62上には、第1筐体部61が積層されない非積層領域69が形成されている。
また、図2に示すごとく、第1筐体部61と第2筐体部62とは、上下方向Zに直交する幅方向Yにおいて、それぞれ長さが同じである。
【0025】
図1、図2に示すごとく、第1筐体部61において、インバータ2は、半導体素子を内蔵する複数の半導体モジュール21を有している。また、第1冷却器3は、半導体モジュール21を冷却する冷媒を流通させる複数の冷却管(モジュール冷却部)31を有している。そして、複数の半導体モジュール21と複数の冷却管31とは、交互に積層されている。これにより、半導体モジュール21は、冷却管31によって両側から挟持された状態となっている。なお、半導体モジュール21は、IGBT等のスイッチング素子やFWD等のダイオードを内蔵してなる。
【0026】
また、図2に示すごとく、第1冷却器3の複数の冷却管31において、隣り合う冷却管31同士は、その両端部が連結管32によって連結されている。また、長手方向Xの一端にある冷却管31には、冷媒を導入する第1導入管33と冷媒を排出する第1排出管(第1突出部)34とが接続されている。
また、第1冷媒器3の第1冷媒流路30は、上述した冷却管31、連結管32、第1導入管33及び第1排出管34の内部に形成されている。また、冷媒は、第1導入管33、冷却管31(連結管32を含む)、第1排出管34の順に流通する。
【0027】
また、図1、図2に示すごとく、半導体モジュール21は、上側に突出してなる制御端子211と、下側に突出してなる電極端子212とを有する。制御端子211は、制御回路基板(図示略)と接続されており、電極端子212は、バスバー(図示略)と接続されている。制御端子211には、スイッチング素子を制御する制御電流が入力され、電極端子212からは被制御電力が半導体モジュール21に入出力される。
【0028】
図1に示すごとく、第2筐体部62内の下側には、コンバータ4が配置されている。また、第2筐体部62内の上側には、コンバータ4を冷却するための第2冷却器5が配置されている。コンバータ4と第2冷却器5とは、上下方向Zにおいて互いに積層して配置されており、コンバータ4は、第2冷却器5の下面に接触するように配置されている。
【0029】
また、図1、図3に示すごとく、第2冷却器5は、平板状の冷却部51と、その冷却部51に冷媒を導入する第2導入管(第2突出部)52と、その冷却部51から冷媒を排出する第2排出管53とを有している。また、冷却部51内には、第2冷媒流路50を形成するための仕切部511が形成されている。
また、第2冷却器5の第2冷媒流路50は、上述した冷却部51、第2導入管52及び第2排出管53の内部に形成されている。また、冷媒は、第2導入管52、冷却部51、第2排出管53の順に流通する。
【0030】
なお、第1冷却器3の第1冷媒流路30及び第2冷却器5の第2冷媒流路50に流通させる冷媒としては、例えば、水やアンモニア等の自然冷媒、エチレングリコール系の不凍液を混入した水、フロリナート等のフッ化炭素系冷媒、HCFC123、HFC134a等のフロン系冷媒、メタノール、アルコール等のアルコール系冷媒、アセトン等のケトン系冷媒等の冷媒を用いることができる。
【0031】
また、図1、図2に示すごとく、第1冷却器3において、第1導入管33は、第1筐体部61を内側から貫通すると共に、第1筐体部61から長手方向Xの非積層領域69側に突出して形成されている。また、第1排出管34は、第1導入管33と同様に、第1筐体部61を内側から貫通すると共に、第1筐体部61から長手方向Xの非積層領域69側に突出して形成されている。
【0032】
また、第1導入管33及び第1排出管34と第1筐体部61との間には、それぞれシール部材39が設けられており、両者の間の気密性を確保している。
また、第1導入管33には、第1冷媒流路30の一端である第1導入口301が形成されている。また、第1排出管34には、第1冷媒流路30のもう一端である第1排出口(第1流路口)302が形成されている。
【0033】
また、図1〜図3に示すごとく、第2冷却器5において、第2導入管52は、第2筐体部62を内側から貫通すると共に、第2筐体部62から上下方向Zの上側に突出すると共に、途中で長手方向Xの第1筐体部61側に折れ曲がって形成されている。また、第2排出管53は、第2筐体部62を内側から貫通すると共に、第2筐体部62から長手方向Xにおいて第1冷却器3の第1導入管33及び第1排出管34の突出方向と同様の方向に突出するように形成されている。
【0034】
また、第2導入管52は、第2導入口501を含む先端部分を分割してなる分割部521を有している。分割部521には、フランジ部522が設けられている。フランジ部522は、固定部材(ネジ)523によって第2筐体部62に締結固定されている。
また、第2導入管52には、第2冷媒流路50の一端である第2導入口(第2流路口)501が形成されている。本例では、第2導入管52の分割部52の先端に第2導入口501が形成されている。また、第2排出管53には、第2冷媒流路50のもう一端である第2排出口502が形成されている。
【0035】
そして、図1、図2に示すごとく、第1冷却器3の第1排出管34の第1排出口302と第2冷却器5の第2導入管52の第2導入口501とは、長手方向Xにおいて対向するように配置されている。すなわち、第1冷却器3の第1冷媒流路30の第1排出口302と第2冷却器5の第2冷媒流路50の第2導入口501とは、長手方向Xにおいて対向するように配置されている。また、両者は、円筒状の接続部材71を介して接続されている。具体的には、第1排出管34及び第2導入管52は、それぞれ接続部材71内に挿し込まれ、ホースクリップ72で固定されている。なお、接続部材71は、弾性を有すると共に絶縁材料であるEPDM、NBR等からなるホースである。
【0036】
次に、第1冷却器3の第1冷媒流路30と第2冷却器5の第2冷媒流路50との接続方法について説明する。
まず、第1冷却器3の第1排出管34と第2冷却器5の第2導入管52の分割部521とを接続部材71を介して接続する。具体的には、第1排出管34及び第2導入管52の分割部521を接続部材71の両側にそれぞれ挿し込む。
【0037】
次いで、第2導入管52の分割部521を筐体62に固定する。具体的には、分割部521のフランジ部522を固定部材(ネジ)523によって第2筐体部62に締結固定し、分割部521を第2導入管52の他の部分に接続する。
以上により、第1冷却器3の第1冷媒流路30と第2冷却器5の第2冷媒流路50とを接続する。
【0038】
次に、本例の電力変換装置1の作用効果について説明する。
本例の電力変換装置1において、第1冷却器3における第1冷媒流路30の第1排出口302と第2冷却器5における第2冷媒流路50の第2導入口501とは、対向するように配置されていると共に弾性を有する接続部材71を介して接続されている。そのため、両者の間を接続部材71によって直線的に接続することができる。これにより、両者の間の接続スペースを小さくすることができ、装置の小型化を図ることができる。
また、第1冷媒流路30の第1排出口302と第2冷媒流路50の第2導入口501とを接続部材71によって直線的に接続することができるため、接続部材71内の圧損を抑え、冷媒を円滑に流通させることができる。これにより、装置の小型化を図りながら、インバータ2及びコンバータ4に対する冷却性能を十分に確保することができる。
【0039】
また、上述のごとく、第1冷媒流路30と第2冷媒流路50とは、弾性を有する接続部材71によって接続されている。そのため、両者の間の接続部分は、第1冷媒流路30及び第2冷媒流路50の熱膨張、熱収縮に対して追従性・柔軟性を有するものとなる。これにより、熱ストレスに起因する冷媒の漏れ等を防止することができる。
また、対向させて配置する第1冷媒流路30の第1排出口302と第2冷媒流路50の第2導入口501との位置精度にずれが生じた場合でも、弾性を有し柔軟性のある接続部材71によってその位置精度のずれを吸収することができる。これにより、両者の間の接続が容易となる。
【0040】
また、本例では、接続部材71としては、絶縁性を有する材料を用いている。そのため、インバータ2及びコンバータ4において発生した電磁ノイズが接続部材71を介して伝播することを防止することができる。
【0041】
また、インバータ2及び第1冷却器3は、第1筐体部61内に収容されており、コンバータ4及び第2冷却器5は、第2筐体部62内に収容されており、第1筐体部61と第2筐体部62とは、互いに積層して配置されている。これにより、装置全体を一体的に構成することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0042】
また、第1冷媒流路30の第1排出口302と第2冷媒流路50の第2導入口501とは、第1筐体部61及び第2筐体部62の外側において接続部材71を介して接続されている。そのため、第1冷媒流路30と第2冷媒流路50との間の接続部分において冷媒の漏れ等が生じても、第1筐体部61及び第2筐体部62内に収容されたインバータ2及びコンバータ4に影響が及ばないようにすることができる。
【0043】
また、第2筐体部62の第1筐体部61側には、第1筐体部61が積層されない非積層領域69が形成されており、第1冷媒流路30の第1排出口302と第2冷媒流路50の第2導入口501とは、非積層領域69において接続部材71を介して接続されている。第1筐体部61及び第2筐体部62の長手方向Xの大きさが異なることによって形成されたスペースである非積層領域69を第1冷媒流路30と第2冷媒流路50との接続スペースとして利用することにより、装置の小型化をより一層図ることができる。
【0044】
また、第1冷却器3は、第1筐体部61から外側に突出して形成された第1排出管34を有し、第2冷却器5は、第2筐体部62から外側に突出して形成された第2導入管52を有し、第1排出管34及び第2導入管52の先端には、それぞれ第1排出口302及び第2導入口501が形成されている。そのため、第1排出管34と第2導入管52とを接続部材71によって接続することにより、第1冷媒流路30と第2冷媒流路50との間の接続を容易に行うことができる。
【0045】
また、第2冷却器5の第2導入管52は、第2導入口501を含む先端部分を分割してなる分割部521を有する。そのため、対向させて配置する第1冷媒流路30の第1排出口302と第2冷媒流路50の第2導入口501との位置精度にずれが生じた場合でも、両者の間の接続を容易に行うことができる。本例のように、予め第1冷却器3の第1排出管34と第2冷却器5の第2導入管52の分割部521とを接続部材71を介して接続しておき、その後、第2導入管52の分割部521を第2導入管52の他の部分に接続することにより、接続を容易に行うことができる。
【0046】
また、インバータ2は、半導体素子を内蔵する半導体モジュール21を有し、第1冷却器3は、第1冷媒流路30の一部を構成すると共に半導体モジュール21を冷却するための冷却管31を有し、半導体モジュール21と冷却管31とが積層されている。そのため、半導体モジュール21と冷却管31との積層方向(長手方向X)における寸法ばらつきを第1冷媒流路30と第2冷媒流路50との間の接続部材71によって吸収することができる。
【0047】
このように、本例によれば、インバータ2及びコンバータ4に対する冷却性能を十分に確保しながら、装置の小型化を図ることができる電力変換装置1を提供することができる。
【0048】
(実施例2)
本例は、図4に示すごとく、電力変換装置1の構成を変更した例である。
本例では、同図に示すごとく、第1冷却器3において、第1排出管34は、第1筐体部61を内側から貫通すると共に、第1筐体部61から長手方向Xの非積層領域69側に突出すると共に、途中で上下方向Yの下側に折れ曲がって形成されている。
また、第2冷却器5において、第2導入管52は、第2筐体部62を内側から貫通すると共に、第2筐体部62から上下方向Zの上側に突出するように形成されている。
【0049】
また、同図に示すごとく、第1冷却器3における第1冷媒流路30の第1排出口302と第2冷却器5における第2冷媒流路50の第2導入口501とは、上下方向Zにおいて対向するように配置されていると共に、非積層領域69において接続部材71を介して接続されている。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の作用効果を有する。
【0050】
(実施例3)
本例は、図5に示すごとく、電力変換装置1の構成を変更した例である。
本例では、同図に示すごとく、第1筐体部61と第2筐体部62との間の一部には、両者の積層方向(上下方向Z)において間隙部68が設けられている。
また、第1冷却器3において、第1排出管34は、第1筐体部61を内側から貫通すると共に、第1筐体部61から上下方向Yの下側に突出するように形成されている。
また、第2冷却器5において、第2導入管52は、第2筐体部62を内側から貫通すると共に、第2筐体部62から上下方向Zの上側に突出するように形成されている。
【0051】
また、同図に示すごとく、第1冷却器3における第1冷媒流路30の第1排出口302と第2冷却器5における第2冷媒流路50の第2導入口501とは、上下方向Zにおいて対向するように配置されていると共に、間隙部68において接続部材71を介して接続されている。
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0052】
本例の場合には、第1筐体部61と第2筐体部62との間に形成されたスペースである間隙部68を第1冷媒流路30と第2冷媒流路50との接続スペースとして利用することにより、装置の小型化をより一層図ることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0053】
(実施例4)
本例は、図6に示すごとく、電力変換装置1の構成を変更した例である。
本例では、同図に示すごとく、第2冷却器5において、第2導入管52は、本体部520と本体部520に接続された分割部521とにより構成されている。
本体部520は、第2筐体部62を内側から貫通すると共に、第2筐体部62から長手方向Xの一方側に突出して形成されている。また、分割部521は、本体部520から長手方向Xの一方側に形成され、途中で上下方向Zの上側に折れ曲がって形成され、さらに長手方向Xの第1筐体部61側に折れ曲がって形成されている。
【0054】
また、同図に示すごとく、第1冷却器3において、第1排出管34は、第1筐体部61を貫通すると共に、第1筐体部61から長手方向Xの一方側に突出して形成されている。
また、積層配置された第1筐体部61と第2筐体部62とは、長手方向X及び幅方向Y(図示略)において、それぞれ長さが同じである。
【0055】
また、同図に示すごとく、第2導入管52における本体部520と分割部521とは、両者の間にシール部材(図示略)を介在させた上で、それぞれに設けられたフランジ部530、531を重ね合わせ、固定部材(ネジ)54で締結固定されている。
なお、本体部520と分割部521とは、図7に示すごとく、分割部521内に本体部520を挿し込み、パイプクリップ73で固定してもよい。
【0056】
また、図6(図7)に示すごとく、第1冷却器3における第1冷媒流路30の第1排出口302と第2冷却器5における第2冷媒流路50の第2導入口501とは、長手方向Xにおいて対向するように配置されていると共に、接続部材71を介して接続されている。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0057】
1 電力変換装置
2 インバータ(第1電力変換器)
3 第1冷却器
30 第1冷媒流路
302 第1排出口(第1流路口)
4 コンバータ(第2電力変換器)
5 第2冷却器
50 第2冷媒流路
501 第2導入口(第2流路口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1電力変換器と、該第1電力変換器を冷却するための冷媒を流通させる第1冷媒流路を有する第1冷却器と、第2電力変換器と、該第2電力変換器を冷却するための冷媒を流通させる第2冷媒流路を有する第2冷却器とを備えた電力変換装置であって、
上記第1冷却器の上記第1冷媒流路の一端に形成された第1流路口と上記第2冷却器の上記第2冷媒流路の一端に形成された第2流路口とは、対向するように配置されていると共に弾性を有する接続部材を介して接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記第1電力変換器及び上記第1冷却器は、第1筐体部内に収容されており、上記第2電力変換器及び上記第2冷却器は、第2筐体部内に収容されており、上記第1筐体部と上記第2筐体部とは、互いに積層して配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、上記第1冷媒流路の上記第1流路口と上記第2冷媒流路の上記第2流路口とは、上記第1筐体部及び上記第2筐体部の外側において上記接続部材を介して接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置において、上記第1筐体部と上記第2筐体部との間の少なくとも一部には、両者の積層方向において間隙部が設けられており、上記第1冷媒流路の上記第1流路口と上記第2冷媒流路の上記第2流路口とは、上記間隙部において上記接続部材を介して接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電力変換装置において、上記第1筐体部の上記第2筐体部側又は上記第2筐体部の上記第1筐体部側には、上記第2筐体部又は上記第1筐体部が積層されない非積層領域が形成されており、上記第1冷媒流路の上記第1流路口と上記第2冷媒流路の上記第2流路口とは、上記非積層領域において上記接続部材を介して接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項3〜5に記載の電力変換装置において、上記第1冷却器は、上記第1筐体部から外側に突出して形成された第1突出部を有し、上記第2冷却器は、上記第2筐体部から外側に突出して形成された第2突出部を有し、上記第1突出部及び上記第2突出部の先端には、それぞれ上記第1流路口及び上記第2流路口が形成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換装置において、上記第1冷却器の上記第1突出部又は上記第2冷却器の上記第2突出部は、上記第1流路口又は上記第2流路口を含む先端部分を分割してなる分割突出部を有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記第1電力変換器は、直流電力を交流電力に変換するインバータであり、上記第2電力変換器は、直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するコンバータであることを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電力変換装置において、上記インバータは、半導体素子を内蔵する半導体モジュールを有し、上記第1冷却器は、上記第1冷媒流路の一部を構成すると共に上記半導体モジュールを冷却するためのモジュール冷却部を有し、上記半導体モジュールと上記モジュール冷却部とが積層されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の電力変換装置において、該電力変換装置は、車両に搭載して用いられること特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−210022(P2012−210022A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72686(P2011−72686)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】