電力変換装置
【課題】耐振性に優れた積層体10を備えた電力変換装置1を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、半導体モジュール2及び冷媒流路30を積層した積層体10と、該積層体10を保持するフレーム4とを備える。フレーム4は、底壁部40と、該底壁部40から板厚方向(Z方向)に向かって立設した側壁部41とを有する。側壁部41の内側に形成された収納空間Sに積層体10が収納されている。フレーム4の開口部400を塞ぐように、蓋板5が固定されている。積層体10の冷却管3から上記板厚方向に第1突部61が突出している。蓋板5と底壁部40との間で積層体10を上記板厚方向に挟持している。第1突部61は、上記板厚方向に圧潰された状態で蓋板5に当接している。
【解決手段】電力変換装置1は、半導体モジュール2及び冷媒流路30を積層した積層体10と、該積層体10を保持するフレーム4とを備える。フレーム4は、底壁部40と、該底壁部40から板厚方向(Z方向)に向かって立設した側壁部41とを有する。側壁部41の内側に形成された収納空間Sに積層体10が収納されている。フレーム4の開口部400を塞ぐように、蓋板5が固定されている。積層体10の冷却管3から上記板厚方向に第1突部61が突出している。蓋板5と底壁部40との間で積層体10を上記板厚方向に挟持している。第1突部61は、上記板厚方向に圧潰された状態で蓋板5に当接している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直流電力と交流電力との間で電力変換を行う電力変換装置として、図17、図18に示すごとく、半導体素子を内蔵した複数の半導体モジュール92と、該半導体モジュール92を冷却する冷却管93とを積層した積層体910を備えたものが知られている。
【0003】
半導体モジュール92は、半導体素子を封止した本体部920と、該本体部920から突出したパワー端子99および制御端子97を備える。パワー端子99には、直流電源(図示しない)の正電極に接続される正極端子99aと、直流電源の負電極に接続される負極端子99bと、交流負荷に接続される交流端子99cとがある。また、制御端子97には、制御回路基板98が接続されている。制御回路基板98が複数の半導体モジュール92を制御することにより、正極端子99aと負極端子99bとの間に印加される直流電圧を交流電圧に変換し、交流端子99cから出力している。
【0004】
また、電力変換装置91は、昇圧用のリアクトル95と、昇圧した直流電圧を平滑化するためのコンデンサ96を備える。リアクトル95と、コンデンサ96と、パワー端子99とは、図示しないバスバーによって電気的に接続されている。また、積層体910、リアクトル95等はケース900内に収納されている。
【0005】
図18に示すごとく、積層体910の積層方向(X方向)における一端には、ばね部材94が設けられている。このばね部材94を用いて、積層体910をケース900へ向けて押圧している。これにより、積層体910をケース900内に固定している。
【0006】
電力変換装置91は、例えば、電気自動車やハイブリッドカー等の車両に搭載される。車両が走行すると振動が生じるため、この振動に耐えられるよう、電力変換装置91には耐振性が必要とされている。積層体910は、ばね部材94によって積層方向(X方向)へ押圧されているため、X方向への振動には強い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−166819号公報
【特許文献2】特開2007−166820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら従来の電力変換装置91は、X方向に直交する方向(Y方向、Z方向)への、積層体910の振動を抑制する部材が少ないため、Y方向やZ方向へ積層体910が振動しやすいという問題がある。そのため、Y方向やZ方向に振動Vが発生した場合に、積層体910の積層状態や、制御端子97と制御回路基板98との接続状態に影響を与えるおそれがある。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、耐振性に優れた積層体を備えた電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、スイッチング素子を内蔵した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを積層した積層体と、
該積層体を保持するフレームとを備え、
該フレームは、底壁部と、該底壁部から該底壁部の板厚方向に向かって立設した側壁部とを有し、該側壁部の内側に形成された収納空間に上記積層体が収納され、上記底壁部において上記積層体が支持されており、
上記収納空間に上記積層体を収納するための開口部を塞ぐように、蓋板が上記フレームに固定され、
上記積層体は、上記冷媒流路を内部に有する流路形成部材を有すると共に、該流路形成部材から、上記板厚方向における上記蓋板側または上記底壁部側に向かって突出した第1突部を有し、
該蓋板と上記底壁部との間で上記積層体を上記板厚方向に挟持しており、上記第1突部は、上記板厚方向に圧潰された状態で上記蓋板または上記底壁部に当接していることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【0011】
第2の発明は、上記電力変換装置を製造する方法であって、複数の上記流路形成部材を、互いに所定間隔をおいた状態で上記フレーム内に収容する流路形成部材収容工程と、複数の上記半導体モジュールを互いに所定間隔をおいた状態で位置決め治具に保持させるモジュール保持工程と、上記複数の半導体モジュールを保持した上記位置決め治具を上記流路形成部材に接近させると共に、該位置決め治具に形成した被係合部と上記第1突部とを係合することにより、上記複数の半導体モジュールを上記複数の流路形成部材に対して上記積層方向及び上記幅方向に位置合わせする位置合わせ工程と、位置合わせした状態で上記複数の半導体モジュールを上記位置決め治具から押し出して個々の上記流路形成部材の間に上記半導体モジュールを介在させる押し出し工程とを行うことを特徴とする電力変換装置の製造方法にある(請求項5)。
【0012】
また、第3の発明は、上記電力変換装置を製造する方法であって、
上記第1突部が上記フレームの開口側または上記底壁部側を向いた状態で、上記積層体を上記フレーム内に収容する積層体収容工程と、
上記フレームの開口を塞ぐように蓋板を固定することにより、上記第1突部を上記底壁部の板厚方向に圧潰すると共に、該蓋板と上記底壁部との間で、上記積層体を上記板厚方向に挟持して保持する積層体保持工程と、
を行うことを特徴とする電力変換装置の製造方法にある(請求項6)。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明にかかる電力変換装置は、蓋板と底壁部との間で積層体を板厚方向に挟持してなるため、積層体の、板厚方向における振動を抑制できる。しかも、第1突部が圧潰された状態で積層体を挟持しているため、第1突部において積層体を蓋板または底壁部に密着させることができる。また、積層体の、第1突部を設けた側とは反対側も、蓋板または底壁部に密着させることができる。そのため、蓋板と底壁部との間で積層体の板厚方向へのガタ量が少なくなり、積層体を板厚方向にしっかりと挟持することが可能になる。これにより、積層体の、板厚方向における耐振性を高めることができる。
【0014】
また、第2の発明に係る電力変換装置の製造方法においては、位置決め治具に形成した上記被係合部を上記第1突部に係合させることにより、上記位置合わせ工程を行うことが可能になる。そのため、位置合わせ工程を行うための専用の突部を、流路形成部材に設ける必要がなくなる。
【0015】
また、第3の発明にかかる電力変換装置の製造方法は、上記積層体保持工程において、フレームに蓋板を固定する際に、第1突部を上記板厚方向に圧潰するため、第1突部において積層体を蓋板または底壁部に確実に当接させることができる。そのため、積層体を板厚方向両側からしっかり固定でき、積層体の、板厚方向における耐振性を向上させることができる。
【0016】
以上のごとく、本発明によれば、耐振性に優れた積層体を備えた電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における、電力変換装置の断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図2のB−B断面図。
【図4】実施例1における、冷却管の部分拡大斜視図。
【図5】実施例1における、流路形成部材収容工程の説明図。
【図6】実施例1における、流路形成部材収容工程を説明するための拡大断面図。
【図7】図6のC矢視図。
【図8】実施例1における、モジュール保持工程の説明図。
【図9】実施例1における、位置合わせ工程および押し出し工程の説明図。
【図10】図9のD−D拡大断面図。
【図11】実施例1における、押し出し工程が完了した状態での電力変換装置の断面図。
【図12】図11のE−E拡大断面図。
【図13】実施例1における、積層体保持工程を説明するための拡大断面図。
【図14】実施例2における、電力変換装置の断面図。
【図15】実施例2における、第3突部の拡大斜視図。
【図16】実施例2における、半導体モジュールと冷媒流路とを一体化した例。
【図17】従来例における、電力変換装置の断面図。
【図18】図17のF−F断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記電力変換装置は、例えば、電気自動車やハイブリッド車に搭載するための車載用電力変換装置とすることができる。
【0019】
また、上記積層体は、上記積層体の積層方向と上記板厚方向との双方に直交する幅方向に向かって上記流路形成部材から互いに反対側に突出した一対の第2突部を有し、上記積層体は、上記収納空間内において上記側壁部によって上記幅方向に挟持され、上記一対の第2突部は、圧潰された状態で上記側壁部にそれぞれ当接していることが好ましい(請求項2)。
この場合には、積層体は、側壁部によって上記幅方向にも挟持されているため、該幅方向における積層体の振動を抑制できる。しかも、一対の第2突部が側壁部によって圧潰された状態で、積層体を挟持しているため、第2突部において積層体と側壁部とを密着させることができる。そのため、収納空間内において積層体の幅方向へのガタ量が少なくなり、積層体の、幅方向における耐振性をも高めることが可能になる。すなわち、板厚方向及び幅方向の双方について、積層体の耐振性を高めることができる。
【0020】
また、上記一対の第2突部の側部にはそれぞれテーパ面が形成されており、上記幅方向における上記一対のテーパ面間の間隔は、上記底壁部から上記蓋板に向かうほど次第に広くなっており、上記第2突部の、上記板厚方向における上記蓋板側の部位が、上記側壁部によって圧潰されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、積層体をフレームに収納する作業を行う場合に、幅方向における一対のテーパ面間の間隔が狭い側から、流路形成部材をフレームに収納できるため、収納作業を行いやすくなる。
【0021】
また、上記蓋板は剛性部材であり、該蓋板は上記板厚方向に貫通した貫通穴を有し、上記半導体モジュールは電極端子を有し、該電極端子は上記貫通穴を貫通しており、上記第1突部は、上記積層体の積層方向と上記板厚方向との双方に直交する幅方向における上記貫通穴の両側に配置され、該貫通穴の両側における一対の上記第1突部の間隔は、上記幅方向における上記半導体モジュールの幅よりも長いことが好ましい(請求項4)。
この場合には、一対の第1突部の間に位置する貫通穴の、上記幅方向における幅をも広くすることができる。そのため、半導体モジュールの電極端子が、貫通穴の内面に接触する不具合を防止しやすくなる。
なお、例えば、半導体モジュールの信号端子やパワー端子を、上記電極端子として貫通穴に貫通させることができる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
本発明に実施例にかかる電力変換装置につき、図1〜図13を用いて説明する。
図1、図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と複数の冷媒流路30とを積層してなる積層体10と、フレーム4とを備える。半導体モジュール2は、スイッチング素子を内蔵している。また、冷媒流路30には、半導体モジュール2を冷却する冷媒15が流れる。フレーム4は、積層体10を保持している。
フレーム4は、底壁部40と、該底壁部40から底壁部40の板厚方向(Z方向)に向かって立設した側壁部41とを有する。側壁部41の内側に形成された収納空間Sに積層体10が収納されている。底壁部40において積層体10が支持されている。
【0023】
収納空間Sに積層体10を収納するための開口部400を塞ぐように、蓋板5がフレーム4に固定されている。
積層体10は、冷媒流路30を内部に有する流路形成部材である冷却管3を有する。冷却管3から、板厚方向(Z方向)における蓋板5側に向かって第1突部61が突出している。
蓋板5と底壁部40との間で積層体10を板厚方向(Z方向)に挟持している。第1突部61は、板厚方向(Z方向)に圧潰された状態で蓋板5に当接している。
【0024】
本例の電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド車に搭載される車載用電力変換装置である。
【0025】
半導体モジュール2は、スイッチング素子を封止した本体部20を備える。この本体部20から複数の信号端子21およびパワー端子22が、Z方向に向かって互いに反対側に突出している。信号端子21は制御回路基板11に接続している。また、パワー端子22には、直流電源(図示しない)の正電極に接続した正極端子22aと、直流電源の負電極に接続した負極端子22bと、交流負荷に接続した交流端子22cとがある。制御回路基板11の制御回路が複数の半導体モジュール2のオンオフ動作を制御することにより、正極端子22aと負極端子22bとの間に印加される直流電圧を交流電圧に変換し、交流端子22cから出力している。
【0026】
図1に示すごとく、蓋板5には、Z方向に貫通した貫通穴50が形成されている。制御端子21は、貫通穴50を貫通し、蓋板5の、Z方向における収納空間Sとは反対側まで延びている。そして、制御端子21の先端は、上記制御回路基板11に接続している。制御回路基板11は、蓋板5に設けられた固定部110に固定されている。
【0027】
また、底壁部40には、Z方向に貫通した底壁側貫通穴45が形成されている。パワー端子22は、この底壁側貫通穴45を挿通している。個々のパワー端子22には、図示しないバスバーが接続されている。
【0028】
図2に示すごとく、フレーム4は、Z方向(紙面に垂直な方向)から見た形状が略矩形状を呈している。複数の冷却管3のうち、積層体10の積層方向(X方向)における一端に位置する冷却管3aには、冷媒流路30に冷媒15を導入するための導入パイプ13と、冷媒流路30から冷媒15を導出するための導出パイプ14とが取り付けられている。隣り合う2個の冷却管3の間は、冷媒流路30の長手方向(Y方向)の両端部において、一対の連結管31によって接続されている。導入パイプ13から冷媒15を導入すると、冷媒15は冷媒流路30内を分配されて流れ、導出パイプ14から導出する。これにより、半導体モジュール2を冷却するようになっている。
【0029】
図2、図3に示すごとく、フレーム4の、X方向に直交する2つの内面401,402のうち、導入パイプ13及び導出パイプ14を設けた側の内面401(一方の内面401)と、積層体10との間にばね部材12が設けられている。このばね部材12を使って積層体10をX方向に押圧し、他方の内面402に押し付けている。これにより、積層体10をフレーム4内に保持すると共に、冷却管3と半導体モジュール2とを密着させている。ばね部材12と積層体10との間には、冷却管3aがばね部材12の弾性力によって変形することを防止するための補強板16が介在している。
【0030】
なお、本例では、フレーム4の一方の内面401と積層体10との間にばね部材12を設けたが、フレーム4の他方の内面402と積層体10との間にばね部材12を設けてもよい。この場合、積層体10は、一方の内面401に向かって押圧されることになる。
【0031】
図4、図12に示すごとく、第1突部61は、冷却管3からZ方向に突出した板状部611と、該板状部611の先端615に設けられ、板状部611と一体に形成された円弧状部612とを備える。板状部611の板厚方向は、X方向と一致している。円弧状部612の厚さは、板状部611の厚さと略同一である。Y方向から見た場合に、円弧状部612の外面613は略半円状を呈している。円弧状部612は、Z方向における、冷却管3とは反対側に向かって凸となる形状に形成されている。蓋板5を固定する前の状態において、円弧状部612の先端614は、Z方向における、板状部611の先端615と略同じ高さ位置にある。また、図13に示すごとく、蓋板5をフレーム4に固定すると、円弧状部612の頂点616に蓋板5が当接し、蓋板5によって円弧状部612が冷却管3側に押圧される。そして、板状部611の先端615において円弧状部612が折れ曲がる。これにより、第1突部61が圧潰される。
【0032】
図1、図2に示すごとく、積層体10は、積層体10の積層方向(X方向)と上記板厚方向(Z方向)との双方に直交する幅方向(Y方向)に向かって冷却管3から互いに反対側に突出した一対の第2突部62を有する。積層体10は、収納空間S内において側壁部41によってY方向に挟持されている。一対の第2突部62a,62bは、圧潰された状態で側壁部41にそれぞれ当接している。
なお、本例の第1突部61および第2突部62は、冷却管3と一体に形成され、それぞれアルミニウム等の金属からなる。
【0033】
図1に示すごとく、一対の第2突部62の側部にはそれぞれテーパ面69が形成されている。Y方向における一対のテーパ面69a,69b間の間隔は、底壁部40から蓋板5側に向かうほど次第に広くなっている。そして、第2突部62の、Z方向における蓋板5側の部位が、側壁部41によって圧潰されている。
【0034】
蓋板5は剛性部材からなる。蓋板5の材料としては、例えば、鉄やアルミニウム等の金属や、樹脂が用いられる。また、上述したように、蓋板5はZ方向に貫通した貫通穴50を備える。そして、半導体モジュール2の信号端子21(電極端子)は貫通穴50を貫通している。第1突部61は、Y方向における貫通穴50の両側に配置されている。そして、貫通穴50の両側における一対の第1突部61a,61bの間隔W1は、Y方向における半導体モジュール2の幅W2よりも長い。
なお、本例では、信号端子21(電極端子)が貫通穴50を貫通しているが、パワー端子22が貫通穴50を貫通するようにしてもよい。
【0035】
次に、本例の電力変換装置1の製造方法について説明する。本例では、次の積層体収容工程(図5〜図12参照)と、積層体保持工程(図1、図13参照)とを行う。積層体収容工程では、図11に示すごとく、積層体10をフレーム4内に収容し、第1突部61がフレーム4の開口400側を向いた状態にする。また、積層体保持工程では、図1、図13に示すごとく、フレーム4の開口400を塞ぐように蓋板5を固定する。そして、第1突部61をZ方向に圧潰すると共に、蓋板5と底壁部40との間で、積層体10をZ方向に挟持して保持する。
【0036】
積層体保持工程は、次の流路形成部材収容工程(図5〜図7参照)と、モジュール保持工程(図8参照)と、位置合わせ工程(図9参照)と、押し出し工程(図9参照)とに細分化することができる。
図7に示すごとく、流路形成部材収容工程では、複数の冷却管3を、互いに平行にした状態でフレーム4内に収納する。この工程では、略矩形状を呈するフレーム4の短辺方向(Y方向)に対して、冷却管3の長手方向が平行になるように、該冷却管3をフレーム4内に収納する。複数の冷却管3は、その長手方向における両端部を一対の連結管31を使って予め連結しておく。複数の冷却管3は、隣り合う2個の冷却管3の間に、連結管31と同じ長さの隙間d1を空けた状態で、フレーム4に収納される。この間隔d1は、半導体モジュール2の厚さよりも長くなるようにしておく。
【0037】
図5に示すごとく、第2突部62には、上述したテーパ面69が形成されている。流路形成部材収容工程では、一対のテーパ面69a,69b間の、Y方向における間隔が狭い側から、冷却管3をフレーム4内に収容し、図6に示すごとく、冷却管3を底壁部40に当接させる。このとき、一対の第2突部62のうち一対のテーパ面69a,69b間のY方向における間隔が広い部位620が一対の側壁部41に当接すると共に圧潰されながら、冷却管3がフレーム4内に挿入される。これにより、冷却管3がY方向から一対の側壁部41によって挟持された状態でフレーム4内に収まる。
【0038】
図7に示すごとく、流路形成部材収容工程が完了すると、全ての第1突部61が、Z方向における同一方向側を向く。全ての第1突部61のZ方向における位置は、略同一になる。
【0039】
また、上記モジュール保持工程では、図8に示すごとく、複数の半導体モジュール2を、互いに所定間隔d2をおいた状態で位置決め治具7に保持させる。間隔d2は、冷却管3の厚さよりも長くしておく。位置決め治具7は、Z方向から見た場合の形状が略矩形状の枠部71と、該枠部71の内面75から枠内に突出した複数の保持用突部72を備える。そして、Y方向に相対向した一対の保持用突部72を使って半導体モジュール2を保持するようになっている。
【0040】
図9、図10に示すごとく、位置決め治具7の枠部71には、パワー端子22の突出側の端面79に、凹状の被係合部70が形成されている。この被係合部70を用いて、位置合わせ工程を行う。位置合わせ工程では、複数の半導体モジュール2を保持した位置決め治具7を冷却管3に接近させ、被係合部70と第1突部61とを係合させる。これにより、複数の半導体モジュール2を複数の冷却管3に対してX方向及びY方向に位置合わせする。
【0041】
図8に示すごとく、位置決め治具7には2個の被係合部70が形成されている。この2個の被係合部70は、Z方向から見た場合に、矩形状の枠部71の対角線上にそれぞれ位置している。2個の被係合部70のうち一方の被係合部70aは、図7に示す複数の冷却管3のうちX方向における一端に位置する冷却管3aの、Y方向における導出パイプ14側の第1突部61cに係合する。また、2個の被係合部70のうち他方の被係合部70bは、図7に示す複数の冷却管3のうちX方向における他端に位置する冷却管3bの、Y方向における導入パイプ13側の第1突部61dに係合する。
【0042】
このように位置合わせ工程を行った後、押し出し工程を行う。押し出し工程では、図9に示すごとく、位置合わせした状態で複数の半導体モジュール2を位置決め治具7から押し出して、個々の冷却管3の間に半導体モジュール2を介在させる。
【0043】
以上の工程を行った後、フレーム4の一方の内面401(図2参照)と積層体10との間に、X方向に押圧して弾性変形させたばね部材12を挿入し、弾性復帰させる。これにより、ばね部材12の弾性力を使って積層体10を他方の内面402に向けて押圧し、積層体10をフレーム4内に固定すると共に、個々の半導体モジュール2と冷却管3とを密着させる。
【0044】
図11に示すごとく、蓋板5を固定する前の状態においては、第1突部61と信号端子21とが、側壁部41の端面415からZ方向外側に突出している。この状態の後、蓋板5(図1参照)を使って開口部400を塞ぎ、蓋板5をフレーム4に固定する。例えば、蓋板5を、側壁部41の端面415にカシメ固定する。蓋板5をフレーム4の開口部400に配置する際には、まず、蓋板5を、端面415に当接させるようにフレーム4側へ押圧する。このとき、図13に示すごとく、円弧状部612の頂点616に蓋板5が当接する。そして、円弧状部612が、Z方向における冷却管3側に押圧される。そして、板状部611の先端615において円弧状部612が折れ曲がる。これにより、第1突部61が圧潰される。また、信号端子21は、蓋板5の貫通穴50内を挿通する。この後、制御回路基板11(図1参照)を蓋板5に固定すると共に、信号端子を制御回路基板11に接続する。
【0045】
本例の作用効果について説明する。本例の電力変換装置1は、図1に示すごとく、蓋板5と底壁部40との間で積層体10をZ方向に挟持しているため、積層体10の、Z方向における振動を抑制できる。しかも、本例では第1突部61が圧潰された状態で積層体10を挟持しているため、第1突部61において積層体10を蓋板5に密着させることができる。また、積層体10の、第1突部61を設けた側面34とは反対側の側面35も、底壁部40に密着させることができる。そのため、蓋板5と底壁部40との間で積層体10のZ方向へのガタ量が少なくなり、積層体10をZ方向にしっかりと挟持することが可能になる。これにより、積層体10の、Z方向における耐振性を高めることができる。
【0046】
また、本例の積層体10は、側壁部41によってY方向に挟持されている。そして、冷却管3に形成した一対の第2突部62が、圧潰された状態で側壁部41にそれぞれ当接している。
このようにすると、積層体10は、側壁部41によってY方向にも挟持されているため、Y方向における積層体10の振動を抑制できる。しかも、本例では一対の第2突部62が側壁部41によって圧潰された状態で、積層体10を挟持しているため、第2突部62において積層体10と側壁部41とを密着させることができる。そのため、収納空間S内において積層体10のY方向へのガタ量が少なくなり、積層体10の、Y方向における耐振性をも高めることが可能になる。すなわち、Z方向及びY方向の双方について、積層体10の耐振性を高めることができる。
【0047】
また、図5に示すごとく、一対の第2突部62の側部にはそれぞれテーパ面69が形成されている。Y方向における一対のテーパ面69a,69b間の間隔は、Z方向において底壁部40から遠ざかるほど広くなっている。そして、Y方向における一対のテーパ面69a,69b間の間隔が狭い側から、冷却管3をフレーム4内に収容している。
このようにすると、冷却管3をフレーム4内に収容する工程(流路形成部材収容工程)を行いやすくなる。
【0048】
また、本例では図1に示すごとく、半導体モジュール2の信号端子21(電極端子)が、金属製の蓋板5の貫通穴50を貫通している。第1突部61は、Y向における貫通穴50の両側に配置されている。貫通穴50の両側における一対の第1突部61a,61bの間隔W1は、Y方向における半導体モジュール2の幅W2よりも長い。
このようにすると、一対の第1突部61a,61bの間に介在する貫通穴50の、Y方向における幅をも広くすることができる。そのため、半導体モジュール2の信号端子21(電極端子)が、貫通穴50の内面に接触する不具合を防止しやすくなる。
なお、本例では、信号端子21が貫通穴50を貫通しているが、パワー端子22が貫通穴50を貫通するように構成した場合も、同様の効果を奏する。
【0049】
また、本例では図5〜図9に示すごとく、流路形成部材収容工程(図5〜図7参照)と、モジュール保持工程(図8参照)と、位置合わせ工程(図9参照)と、押し出し工程(図9参照)とを行う。位置合わせ工程では、図9に示すごとく、位置決め治具7に形成した被係合部70を第1突部61に係合させることにより、複数の冷却管3に対して位置決め治具7を位置合わせする。
このようにすると、第1突部61を使って位置合わせ工程を行えるため、位置合わせ工程を行うための専用の突部を、冷却管3に設ける必要がなくなる。
【0050】
以上のごとく、本例によれば、耐振性に優れた積層体10を備えた電力変換装置1を提供することができる。
【0051】
(実施例2)
本例は、図14に示すごとく、冷却管3に第3突部63を設けた例である。本例の冷却管3は、実施例1と同様に、それぞれ2個の第1突部61及び第2突部62を備える。本例の冷却管3は、これら第1突部61と第2突部62に加えて、2個の第3突部63を備える。2個の第3突部63は、Z方向において、第1突部61とは反対側に突出している。また、2個の第3突部63は、Y方向において、半導体モジュール2の両側に位置している。2個の第3突部63のうち、一方の第3突部63aは、第1突部61(図4参照)と同様の形状をしている。一方の第3突部63aは、圧潰した状態で底壁部42に当接している。
【0052】
また、図15に示すごとく、他方の第3突部63bには切欠部630が形成されている。この切欠部630が、底壁部42に形成した底壁側貫通穴45に係合している。他方の第3突部63bの一部635は、底壁側貫通穴45内に位置し、底壁側貫通穴45の内面425に密着している。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0053】
本例の作用効果について説明する。本例では、第3突部63bに形成した切欠部630が、底壁部42に形成した底壁側貫通穴45に係合している。第3突部63bの一部は、底壁側貫通穴45内に位置し、底壁側貫通穴45の内面425に密着している。
このようにすると、第3突部63bによって、積層体10のY方向への耐振性をも向上させることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0054】
なお、実施例1、実施例2では、冷媒流路30を冷却管3によって形成し、該冷却管3を半導体モジュール2に接触させたが、本発明の電力変換装置は、これに限られるものではない。すなわち、例えば図16に示すごとく、半導体モジュール2に直接、冷媒15が接触するように冷媒流路30を設けることもできる。図16の例では、半導体素子を内蔵した半導体モジュール2の本体部20を、積層方向(X方向)に直交する方向から間に空間を設けつつ囲むと共に、本体部20よりも積層方向(X方向)の幅の大きい枠体80を本体部20と一体に備えた冷却器一体型半導体モジュール8を積層することで、半導体モジュール2と冷媒流路30とが積層される構造にしてある。
【0055】
また、実施例1、2では、第1突部61は蓋板5側に突出しているが、底壁部40側に突出していてもよい。また、実施例1、2では、信号端子21は蓋板5側に突出し、パワー端子22は蓋板5の反対側に突出しているが、これら信号端子21とパワー端子22の突出方向を逆にしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 電力変換装置
2 半導体モジュール
21 電極端子
3 流路形成部材(冷却管)
30 冷媒流路
4 フレーム
40 底壁部
41 側壁部
5 蓋板
61 第1突部
62 第2突部
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直流電力と交流電力との間で電力変換を行う電力変換装置として、図17、図18に示すごとく、半導体素子を内蔵した複数の半導体モジュール92と、該半導体モジュール92を冷却する冷却管93とを積層した積層体910を備えたものが知られている。
【0003】
半導体モジュール92は、半導体素子を封止した本体部920と、該本体部920から突出したパワー端子99および制御端子97を備える。パワー端子99には、直流電源(図示しない)の正電極に接続される正極端子99aと、直流電源の負電極に接続される負極端子99bと、交流負荷に接続される交流端子99cとがある。また、制御端子97には、制御回路基板98が接続されている。制御回路基板98が複数の半導体モジュール92を制御することにより、正極端子99aと負極端子99bとの間に印加される直流電圧を交流電圧に変換し、交流端子99cから出力している。
【0004】
また、電力変換装置91は、昇圧用のリアクトル95と、昇圧した直流電圧を平滑化するためのコンデンサ96を備える。リアクトル95と、コンデンサ96と、パワー端子99とは、図示しないバスバーによって電気的に接続されている。また、積層体910、リアクトル95等はケース900内に収納されている。
【0005】
図18に示すごとく、積層体910の積層方向(X方向)における一端には、ばね部材94が設けられている。このばね部材94を用いて、積層体910をケース900へ向けて押圧している。これにより、積層体910をケース900内に固定している。
【0006】
電力変換装置91は、例えば、電気自動車やハイブリッドカー等の車両に搭載される。車両が走行すると振動が生じるため、この振動に耐えられるよう、電力変換装置91には耐振性が必要とされている。積層体910は、ばね部材94によって積層方向(X方向)へ押圧されているため、X方向への振動には強い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−166819号公報
【特許文献2】特開2007−166820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら従来の電力変換装置91は、X方向に直交する方向(Y方向、Z方向)への、積層体910の振動を抑制する部材が少ないため、Y方向やZ方向へ積層体910が振動しやすいという問題がある。そのため、Y方向やZ方向に振動Vが発生した場合に、積層体910の積層状態や、制御端子97と制御回路基板98との接続状態に影響を与えるおそれがある。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、耐振性に優れた積層体を備えた電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、スイッチング素子を内蔵した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを積層した積層体と、
該積層体を保持するフレームとを備え、
該フレームは、底壁部と、該底壁部から該底壁部の板厚方向に向かって立設した側壁部とを有し、該側壁部の内側に形成された収納空間に上記積層体が収納され、上記底壁部において上記積層体が支持されており、
上記収納空間に上記積層体を収納するための開口部を塞ぐように、蓋板が上記フレームに固定され、
上記積層体は、上記冷媒流路を内部に有する流路形成部材を有すると共に、該流路形成部材から、上記板厚方向における上記蓋板側または上記底壁部側に向かって突出した第1突部を有し、
該蓋板と上記底壁部との間で上記積層体を上記板厚方向に挟持しており、上記第1突部は、上記板厚方向に圧潰された状態で上記蓋板または上記底壁部に当接していることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【0011】
第2の発明は、上記電力変換装置を製造する方法であって、複数の上記流路形成部材を、互いに所定間隔をおいた状態で上記フレーム内に収容する流路形成部材収容工程と、複数の上記半導体モジュールを互いに所定間隔をおいた状態で位置決め治具に保持させるモジュール保持工程と、上記複数の半導体モジュールを保持した上記位置決め治具を上記流路形成部材に接近させると共に、該位置決め治具に形成した被係合部と上記第1突部とを係合することにより、上記複数の半導体モジュールを上記複数の流路形成部材に対して上記積層方向及び上記幅方向に位置合わせする位置合わせ工程と、位置合わせした状態で上記複数の半導体モジュールを上記位置決め治具から押し出して個々の上記流路形成部材の間に上記半導体モジュールを介在させる押し出し工程とを行うことを特徴とする電力変換装置の製造方法にある(請求項5)。
【0012】
また、第3の発明は、上記電力変換装置を製造する方法であって、
上記第1突部が上記フレームの開口側または上記底壁部側を向いた状態で、上記積層体を上記フレーム内に収容する積層体収容工程と、
上記フレームの開口を塞ぐように蓋板を固定することにより、上記第1突部を上記底壁部の板厚方向に圧潰すると共に、該蓋板と上記底壁部との間で、上記積層体を上記板厚方向に挟持して保持する積層体保持工程と、
を行うことを特徴とする電力変換装置の製造方法にある(請求項6)。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明にかかる電力変換装置は、蓋板と底壁部との間で積層体を板厚方向に挟持してなるため、積層体の、板厚方向における振動を抑制できる。しかも、第1突部が圧潰された状態で積層体を挟持しているため、第1突部において積層体を蓋板または底壁部に密着させることができる。また、積層体の、第1突部を設けた側とは反対側も、蓋板または底壁部に密着させることができる。そのため、蓋板と底壁部との間で積層体の板厚方向へのガタ量が少なくなり、積層体を板厚方向にしっかりと挟持することが可能になる。これにより、積層体の、板厚方向における耐振性を高めることができる。
【0014】
また、第2の発明に係る電力変換装置の製造方法においては、位置決め治具に形成した上記被係合部を上記第1突部に係合させることにより、上記位置合わせ工程を行うことが可能になる。そのため、位置合わせ工程を行うための専用の突部を、流路形成部材に設ける必要がなくなる。
【0015】
また、第3の発明にかかる電力変換装置の製造方法は、上記積層体保持工程において、フレームに蓋板を固定する際に、第1突部を上記板厚方向に圧潰するため、第1突部において積層体を蓋板または底壁部に確実に当接させることができる。そのため、積層体を板厚方向両側からしっかり固定でき、積層体の、板厚方向における耐振性を向上させることができる。
【0016】
以上のごとく、本発明によれば、耐振性に優れた積層体を備えた電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における、電力変換装置の断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図2のB−B断面図。
【図4】実施例1における、冷却管の部分拡大斜視図。
【図5】実施例1における、流路形成部材収容工程の説明図。
【図6】実施例1における、流路形成部材収容工程を説明するための拡大断面図。
【図7】図6のC矢視図。
【図8】実施例1における、モジュール保持工程の説明図。
【図9】実施例1における、位置合わせ工程および押し出し工程の説明図。
【図10】図9のD−D拡大断面図。
【図11】実施例1における、押し出し工程が完了した状態での電力変換装置の断面図。
【図12】図11のE−E拡大断面図。
【図13】実施例1における、積層体保持工程を説明するための拡大断面図。
【図14】実施例2における、電力変換装置の断面図。
【図15】実施例2における、第3突部の拡大斜視図。
【図16】実施例2における、半導体モジュールと冷媒流路とを一体化した例。
【図17】従来例における、電力変換装置の断面図。
【図18】図17のF−F断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記電力変換装置は、例えば、電気自動車やハイブリッド車に搭載するための車載用電力変換装置とすることができる。
【0019】
また、上記積層体は、上記積層体の積層方向と上記板厚方向との双方に直交する幅方向に向かって上記流路形成部材から互いに反対側に突出した一対の第2突部を有し、上記積層体は、上記収納空間内において上記側壁部によって上記幅方向に挟持され、上記一対の第2突部は、圧潰された状態で上記側壁部にそれぞれ当接していることが好ましい(請求項2)。
この場合には、積層体は、側壁部によって上記幅方向にも挟持されているため、該幅方向における積層体の振動を抑制できる。しかも、一対の第2突部が側壁部によって圧潰された状態で、積層体を挟持しているため、第2突部において積層体と側壁部とを密着させることができる。そのため、収納空間内において積層体の幅方向へのガタ量が少なくなり、積層体の、幅方向における耐振性をも高めることが可能になる。すなわち、板厚方向及び幅方向の双方について、積層体の耐振性を高めることができる。
【0020】
また、上記一対の第2突部の側部にはそれぞれテーパ面が形成されており、上記幅方向における上記一対のテーパ面間の間隔は、上記底壁部から上記蓋板に向かうほど次第に広くなっており、上記第2突部の、上記板厚方向における上記蓋板側の部位が、上記側壁部によって圧潰されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、積層体をフレームに収納する作業を行う場合に、幅方向における一対のテーパ面間の間隔が狭い側から、流路形成部材をフレームに収納できるため、収納作業を行いやすくなる。
【0021】
また、上記蓋板は剛性部材であり、該蓋板は上記板厚方向に貫通した貫通穴を有し、上記半導体モジュールは電極端子を有し、該電極端子は上記貫通穴を貫通しており、上記第1突部は、上記積層体の積層方向と上記板厚方向との双方に直交する幅方向における上記貫通穴の両側に配置され、該貫通穴の両側における一対の上記第1突部の間隔は、上記幅方向における上記半導体モジュールの幅よりも長いことが好ましい(請求項4)。
この場合には、一対の第1突部の間に位置する貫通穴の、上記幅方向における幅をも広くすることができる。そのため、半導体モジュールの電極端子が、貫通穴の内面に接触する不具合を防止しやすくなる。
なお、例えば、半導体モジュールの信号端子やパワー端子を、上記電極端子として貫通穴に貫通させることができる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
本発明に実施例にかかる電力変換装置につき、図1〜図13を用いて説明する。
図1、図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と複数の冷媒流路30とを積層してなる積層体10と、フレーム4とを備える。半導体モジュール2は、スイッチング素子を内蔵している。また、冷媒流路30には、半導体モジュール2を冷却する冷媒15が流れる。フレーム4は、積層体10を保持している。
フレーム4は、底壁部40と、該底壁部40から底壁部40の板厚方向(Z方向)に向かって立設した側壁部41とを有する。側壁部41の内側に形成された収納空間Sに積層体10が収納されている。底壁部40において積層体10が支持されている。
【0023】
収納空間Sに積層体10を収納するための開口部400を塞ぐように、蓋板5がフレーム4に固定されている。
積層体10は、冷媒流路30を内部に有する流路形成部材である冷却管3を有する。冷却管3から、板厚方向(Z方向)における蓋板5側に向かって第1突部61が突出している。
蓋板5と底壁部40との間で積層体10を板厚方向(Z方向)に挟持している。第1突部61は、板厚方向(Z方向)に圧潰された状態で蓋板5に当接している。
【0024】
本例の電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド車に搭載される車載用電力変換装置である。
【0025】
半導体モジュール2は、スイッチング素子を封止した本体部20を備える。この本体部20から複数の信号端子21およびパワー端子22が、Z方向に向かって互いに反対側に突出している。信号端子21は制御回路基板11に接続している。また、パワー端子22には、直流電源(図示しない)の正電極に接続した正極端子22aと、直流電源の負電極に接続した負極端子22bと、交流負荷に接続した交流端子22cとがある。制御回路基板11の制御回路が複数の半導体モジュール2のオンオフ動作を制御することにより、正極端子22aと負極端子22bとの間に印加される直流電圧を交流電圧に変換し、交流端子22cから出力している。
【0026】
図1に示すごとく、蓋板5には、Z方向に貫通した貫通穴50が形成されている。制御端子21は、貫通穴50を貫通し、蓋板5の、Z方向における収納空間Sとは反対側まで延びている。そして、制御端子21の先端は、上記制御回路基板11に接続している。制御回路基板11は、蓋板5に設けられた固定部110に固定されている。
【0027】
また、底壁部40には、Z方向に貫通した底壁側貫通穴45が形成されている。パワー端子22は、この底壁側貫通穴45を挿通している。個々のパワー端子22には、図示しないバスバーが接続されている。
【0028】
図2に示すごとく、フレーム4は、Z方向(紙面に垂直な方向)から見た形状が略矩形状を呈している。複数の冷却管3のうち、積層体10の積層方向(X方向)における一端に位置する冷却管3aには、冷媒流路30に冷媒15を導入するための導入パイプ13と、冷媒流路30から冷媒15を導出するための導出パイプ14とが取り付けられている。隣り合う2個の冷却管3の間は、冷媒流路30の長手方向(Y方向)の両端部において、一対の連結管31によって接続されている。導入パイプ13から冷媒15を導入すると、冷媒15は冷媒流路30内を分配されて流れ、導出パイプ14から導出する。これにより、半導体モジュール2を冷却するようになっている。
【0029】
図2、図3に示すごとく、フレーム4の、X方向に直交する2つの内面401,402のうち、導入パイプ13及び導出パイプ14を設けた側の内面401(一方の内面401)と、積層体10との間にばね部材12が設けられている。このばね部材12を使って積層体10をX方向に押圧し、他方の内面402に押し付けている。これにより、積層体10をフレーム4内に保持すると共に、冷却管3と半導体モジュール2とを密着させている。ばね部材12と積層体10との間には、冷却管3aがばね部材12の弾性力によって変形することを防止するための補強板16が介在している。
【0030】
なお、本例では、フレーム4の一方の内面401と積層体10との間にばね部材12を設けたが、フレーム4の他方の内面402と積層体10との間にばね部材12を設けてもよい。この場合、積層体10は、一方の内面401に向かって押圧されることになる。
【0031】
図4、図12に示すごとく、第1突部61は、冷却管3からZ方向に突出した板状部611と、該板状部611の先端615に設けられ、板状部611と一体に形成された円弧状部612とを備える。板状部611の板厚方向は、X方向と一致している。円弧状部612の厚さは、板状部611の厚さと略同一である。Y方向から見た場合に、円弧状部612の外面613は略半円状を呈している。円弧状部612は、Z方向における、冷却管3とは反対側に向かって凸となる形状に形成されている。蓋板5を固定する前の状態において、円弧状部612の先端614は、Z方向における、板状部611の先端615と略同じ高さ位置にある。また、図13に示すごとく、蓋板5をフレーム4に固定すると、円弧状部612の頂点616に蓋板5が当接し、蓋板5によって円弧状部612が冷却管3側に押圧される。そして、板状部611の先端615において円弧状部612が折れ曲がる。これにより、第1突部61が圧潰される。
【0032】
図1、図2に示すごとく、積層体10は、積層体10の積層方向(X方向)と上記板厚方向(Z方向)との双方に直交する幅方向(Y方向)に向かって冷却管3から互いに反対側に突出した一対の第2突部62を有する。積層体10は、収納空間S内において側壁部41によってY方向に挟持されている。一対の第2突部62a,62bは、圧潰された状態で側壁部41にそれぞれ当接している。
なお、本例の第1突部61および第2突部62は、冷却管3と一体に形成され、それぞれアルミニウム等の金属からなる。
【0033】
図1に示すごとく、一対の第2突部62の側部にはそれぞれテーパ面69が形成されている。Y方向における一対のテーパ面69a,69b間の間隔は、底壁部40から蓋板5側に向かうほど次第に広くなっている。そして、第2突部62の、Z方向における蓋板5側の部位が、側壁部41によって圧潰されている。
【0034】
蓋板5は剛性部材からなる。蓋板5の材料としては、例えば、鉄やアルミニウム等の金属や、樹脂が用いられる。また、上述したように、蓋板5はZ方向に貫通した貫通穴50を備える。そして、半導体モジュール2の信号端子21(電極端子)は貫通穴50を貫通している。第1突部61は、Y方向における貫通穴50の両側に配置されている。そして、貫通穴50の両側における一対の第1突部61a,61bの間隔W1は、Y方向における半導体モジュール2の幅W2よりも長い。
なお、本例では、信号端子21(電極端子)が貫通穴50を貫通しているが、パワー端子22が貫通穴50を貫通するようにしてもよい。
【0035】
次に、本例の電力変換装置1の製造方法について説明する。本例では、次の積層体収容工程(図5〜図12参照)と、積層体保持工程(図1、図13参照)とを行う。積層体収容工程では、図11に示すごとく、積層体10をフレーム4内に収容し、第1突部61がフレーム4の開口400側を向いた状態にする。また、積層体保持工程では、図1、図13に示すごとく、フレーム4の開口400を塞ぐように蓋板5を固定する。そして、第1突部61をZ方向に圧潰すると共に、蓋板5と底壁部40との間で、積層体10をZ方向に挟持して保持する。
【0036】
積層体保持工程は、次の流路形成部材収容工程(図5〜図7参照)と、モジュール保持工程(図8参照)と、位置合わせ工程(図9参照)と、押し出し工程(図9参照)とに細分化することができる。
図7に示すごとく、流路形成部材収容工程では、複数の冷却管3を、互いに平行にした状態でフレーム4内に収納する。この工程では、略矩形状を呈するフレーム4の短辺方向(Y方向)に対して、冷却管3の長手方向が平行になるように、該冷却管3をフレーム4内に収納する。複数の冷却管3は、その長手方向における両端部を一対の連結管31を使って予め連結しておく。複数の冷却管3は、隣り合う2個の冷却管3の間に、連結管31と同じ長さの隙間d1を空けた状態で、フレーム4に収納される。この間隔d1は、半導体モジュール2の厚さよりも長くなるようにしておく。
【0037】
図5に示すごとく、第2突部62には、上述したテーパ面69が形成されている。流路形成部材収容工程では、一対のテーパ面69a,69b間の、Y方向における間隔が狭い側から、冷却管3をフレーム4内に収容し、図6に示すごとく、冷却管3を底壁部40に当接させる。このとき、一対の第2突部62のうち一対のテーパ面69a,69b間のY方向における間隔が広い部位620が一対の側壁部41に当接すると共に圧潰されながら、冷却管3がフレーム4内に挿入される。これにより、冷却管3がY方向から一対の側壁部41によって挟持された状態でフレーム4内に収まる。
【0038】
図7に示すごとく、流路形成部材収容工程が完了すると、全ての第1突部61が、Z方向における同一方向側を向く。全ての第1突部61のZ方向における位置は、略同一になる。
【0039】
また、上記モジュール保持工程では、図8に示すごとく、複数の半導体モジュール2を、互いに所定間隔d2をおいた状態で位置決め治具7に保持させる。間隔d2は、冷却管3の厚さよりも長くしておく。位置決め治具7は、Z方向から見た場合の形状が略矩形状の枠部71と、該枠部71の内面75から枠内に突出した複数の保持用突部72を備える。そして、Y方向に相対向した一対の保持用突部72を使って半導体モジュール2を保持するようになっている。
【0040】
図9、図10に示すごとく、位置決め治具7の枠部71には、パワー端子22の突出側の端面79に、凹状の被係合部70が形成されている。この被係合部70を用いて、位置合わせ工程を行う。位置合わせ工程では、複数の半導体モジュール2を保持した位置決め治具7を冷却管3に接近させ、被係合部70と第1突部61とを係合させる。これにより、複数の半導体モジュール2を複数の冷却管3に対してX方向及びY方向に位置合わせする。
【0041】
図8に示すごとく、位置決め治具7には2個の被係合部70が形成されている。この2個の被係合部70は、Z方向から見た場合に、矩形状の枠部71の対角線上にそれぞれ位置している。2個の被係合部70のうち一方の被係合部70aは、図7に示す複数の冷却管3のうちX方向における一端に位置する冷却管3aの、Y方向における導出パイプ14側の第1突部61cに係合する。また、2個の被係合部70のうち他方の被係合部70bは、図7に示す複数の冷却管3のうちX方向における他端に位置する冷却管3bの、Y方向における導入パイプ13側の第1突部61dに係合する。
【0042】
このように位置合わせ工程を行った後、押し出し工程を行う。押し出し工程では、図9に示すごとく、位置合わせした状態で複数の半導体モジュール2を位置決め治具7から押し出して、個々の冷却管3の間に半導体モジュール2を介在させる。
【0043】
以上の工程を行った後、フレーム4の一方の内面401(図2参照)と積層体10との間に、X方向に押圧して弾性変形させたばね部材12を挿入し、弾性復帰させる。これにより、ばね部材12の弾性力を使って積層体10を他方の内面402に向けて押圧し、積層体10をフレーム4内に固定すると共に、個々の半導体モジュール2と冷却管3とを密着させる。
【0044】
図11に示すごとく、蓋板5を固定する前の状態においては、第1突部61と信号端子21とが、側壁部41の端面415からZ方向外側に突出している。この状態の後、蓋板5(図1参照)を使って開口部400を塞ぎ、蓋板5をフレーム4に固定する。例えば、蓋板5を、側壁部41の端面415にカシメ固定する。蓋板5をフレーム4の開口部400に配置する際には、まず、蓋板5を、端面415に当接させるようにフレーム4側へ押圧する。このとき、図13に示すごとく、円弧状部612の頂点616に蓋板5が当接する。そして、円弧状部612が、Z方向における冷却管3側に押圧される。そして、板状部611の先端615において円弧状部612が折れ曲がる。これにより、第1突部61が圧潰される。また、信号端子21は、蓋板5の貫通穴50内を挿通する。この後、制御回路基板11(図1参照)を蓋板5に固定すると共に、信号端子を制御回路基板11に接続する。
【0045】
本例の作用効果について説明する。本例の電力変換装置1は、図1に示すごとく、蓋板5と底壁部40との間で積層体10をZ方向に挟持しているため、積層体10の、Z方向における振動を抑制できる。しかも、本例では第1突部61が圧潰された状態で積層体10を挟持しているため、第1突部61において積層体10を蓋板5に密着させることができる。また、積層体10の、第1突部61を設けた側面34とは反対側の側面35も、底壁部40に密着させることができる。そのため、蓋板5と底壁部40との間で積層体10のZ方向へのガタ量が少なくなり、積層体10をZ方向にしっかりと挟持することが可能になる。これにより、積層体10の、Z方向における耐振性を高めることができる。
【0046】
また、本例の積層体10は、側壁部41によってY方向に挟持されている。そして、冷却管3に形成した一対の第2突部62が、圧潰された状態で側壁部41にそれぞれ当接している。
このようにすると、積層体10は、側壁部41によってY方向にも挟持されているため、Y方向における積層体10の振動を抑制できる。しかも、本例では一対の第2突部62が側壁部41によって圧潰された状態で、積層体10を挟持しているため、第2突部62において積層体10と側壁部41とを密着させることができる。そのため、収納空間S内において積層体10のY方向へのガタ量が少なくなり、積層体10の、Y方向における耐振性をも高めることが可能になる。すなわち、Z方向及びY方向の双方について、積層体10の耐振性を高めることができる。
【0047】
また、図5に示すごとく、一対の第2突部62の側部にはそれぞれテーパ面69が形成されている。Y方向における一対のテーパ面69a,69b間の間隔は、Z方向において底壁部40から遠ざかるほど広くなっている。そして、Y方向における一対のテーパ面69a,69b間の間隔が狭い側から、冷却管3をフレーム4内に収容している。
このようにすると、冷却管3をフレーム4内に収容する工程(流路形成部材収容工程)を行いやすくなる。
【0048】
また、本例では図1に示すごとく、半導体モジュール2の信号端子21(電極端子)が、金属製の蓋板5の貫通穴50を貫通している。第1突部61は、Y向における貫通穴50の両側に配置されている。貫通穴50の両側における一対の第1突部61a,61bの間隔W1は、Y方向における半導体モジュール2の幅W2よりも長い。
このようにすると、一対の第1突部61a,61bの間に介在する貫通穴50の、Y方向における幅をも広くすることができる。そのため、半導体モジュール2の信号端子21(電極端子)が、貫通穴50の内面に接触する不具合を防止しやすくなる。
なお、本例では、信号端子21が貫通穴50を貫通しているが、パワー端子22が貫通穴50を貫通するように構成した場合も、同様の効果を奏する。
【0049】
また、本例では図5〜図9に示すごとく、流路形成部材収容工程(図5〜図7参照)と、モジュール保持工程(図8参照)と、位置合わせ工程(図9参照)と、押し出し工程(図9参照)とを行う。位置合わせ工程では、図9に示すごとく、位置決め治具7に形成した被係合部70を第1突部61に係合させることにより、複数の冷却管3に対して位置決め治具7を位置合わせする。
このようにすると、第1突部61を使って位置合わせ工程を行えるため、位置合わせ工程を行うための専用の突部を、冷却管3に設ける必要がなくなる。
【0050】
以上のごとく、本例によれば、耐振性に優れた積層体10を備えた電力変換装置1を提供することができる。
【0051】
(実施例2)
本例は、図14に示すごとく、冷却管3に第3突部63を設けた例である。本例の冷却管3は、実施例1と同様に、それぞれ2個の第1突部61及び第2突部62を備える。本例の冷却管3は、これら第1突部61と第2突部62に加えて、2個の第3突部63を備える。2個の第3突部63は、Z方向において、第1突部61とは反対側に突出している。また、2個の第3突部63は、Y方向において、半導体モジュール2の両側に位置している。2個の第3突部63のうち、一方の第3突部63aは、第1突部61(図4参照)と同様の形状をしている。一方の第3突部63aは、圧潰した状態で底壁部42に当接している。
【0052】
また、図15に示すごとく、他方の第3突部63bには切欠部630が形成されている。この切欠部630が、底壁部42に形成した底壁側貫通穴45に係合している。他方の第3突部63bの一部635は、底壁側貫通穴45内に位置し、底壁側貫通穴45の内面425に密着している。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0053】
本例の作用効果について説明する。本例では、第3突部63bに形成した切欠部630が、底壁部42に形成した底壁側貫通穴45に係合している。第3突部63bの一部は、底壁側貫通穴45内に位置し、底壁側貫通穴45の内面425に密着している。
このようにすると、第3突部63bによって、積層体10のY方向への耐振性をも向上させることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0054】
なお、実施例1、実施例2では、冷媒流路30を冷却管3によって形成し、該冷却管3を半導体モジュール2に接触させたが、本発明の電力変換装置は、これに限られるものではない。すなわち、例えば図16に示すごとく、半導体モジュール2に直接、冷媒15が接触するように冷媒流路30を設けることもできる。図16の例では、半導体素子を内蔵した半導体モジュール2の本体部20を、積層方向(X方向)に直交する方向から間に空間を設けつつ囲むと共に、本体部20よりも積層方向(X方向)の幅の大きい枠体80を本体部20と一体に備えた冷却器一体型半導体モジュール8を積層することで、半導体モジュール2と冷媒流路30とが積層される構造にしてある。
【0055】
また、実施例1、2では、第1突部61は蓋板5側に突出しているが、底壁部40側に突出していてもよい。また、実施例1、2では、信号端子21は蓋板5側に突出し、パワー端子22は蓋板5の反対側に突出しているが、これら信号端子21とパワー端子22の突出方向を逆にしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 電力変換装置
2 半導体モジュール
21 電極端子
3 流路形成部材(冷却管)
30 冷媒流路
4 フレーム
40 底壁部
41 側壁部
5 蓋板
61 第1突部
62 第2突部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を内蔵した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを積層した積層体と、
該積層体を保持するフレームとを備え、
該フレームは、底壁部と、該底壁部から該底壁部の板厚方向に向かって立設した側壁部とを有し、該側壁部の内側に形成された収納空間に上記積層体が収納され、上記底壁部において上記積層体が支持されており、
上記収納空間に上記積層体を収納するための開口部を塞ぐように、蓋板が上記フレームに固定され、
上記積層体は、上記冷媒流路を内部に有する流路形成部材を有すると共に、該流路形成部材から、上記板厚方向における上記蓋板側または上記底壁部側に向かって突出した第1突部を有し、
該蓋板と上記底壁部との間で上記積層体を上記板厚方向に挟持しており、上記第1突部は、上記板厚方向に圧潰された状態で上記蓋板または上記底壁部に当接していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記積層体は、上記積層体の積層方向と上記板厚方向との双方に直交する幅方向に向かって上記流路形成部材から互いに反対側に突出した一対の第2突部を有し、上記積層体は、上記収納空間内において上記側壁部によって上記幅方向に挟持され、上記一対の第2突部は、圧潰された状態で上記側壁部にそれぞれ当接していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、上記一対の第2突部の側部にはそれぞれテーパ面が形成されており、上記幅方向における上記一対のテーパ面間の間隔は、上記底壁部から上記蓋板に向かうほど次第に広くなっており、上記第2突部の、上記板厚方向における上記蓋板側の部位が、上記側壁部によって圧潰されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記蓋板は剛性部材であり、該蓋板は上記板厚方向に貫通した貫通穴を有し、上記半導体モジュールは電極端子を有し、該電極端子は上記貫通穴を貫通しており、上記第1突部は、上記積層体の積層方向と上記板厚方向との双方に直交する幅方向における上記貫通穴の両側に配置され、該貫通穴の両側における一対の上記第1突部の間隔は、上記幅方向における上記半導体モジュールの幅よりも長いことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置を製造する方法であって、複数の上記流路形成部材を、互いに所定間隔をおいた状態で上記フレーム内に収容する流路形成部材収容工程と、複数の上記半導体モジュールを互いに所定間隔をおいた状態で位置決め治具に保持させるモジュール保持工程と、上記複数の半導体モジュールを保持した上記位置決め治具を上記流路形成部材に接近させると共に、該位置決め治具に形成した被係合部と上記第1突部とを係合することにより、上記複数の半導体モジュールを上記複数の流路形成部材に対して上記積層方向及び上記幅方向に位置合わせする位置合わせ工程と、位置合わせした状態で上記複数の半導体モジュールを上記位置決め治具から押し出して個々の上記流路形成部材の間に上記半導体モジュールを介在させる押し出し工程とを行うことを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項4に記載の電力変換装置を製造する方法であって、
上記第1突部が上記フレームの開口側または上記底壁部側を向いた状態で、上記積層体を上記フレーム内に収容する積層体収容工程と、
上記フレームの開口を塞ぐように蓋板を固定することにより、上記第1突部を上記底壁部の板厚方向に圧潰すると共に、該蓋板と上記底壁部との間で、上記積層体を上記板厚方向に挟持して保持する積層体保持工程と、
を行うことを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項1】
スイッチング素子を内蔵した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを積層した積層体と、
該積層体を保持するフレームとを備え、
該フレームは、底壁部と、該底壁部から該底壁部の板厚方向に向かって立設した側壁部とを有し、該側壁部の内側に形成された収納空間に上記積層体が収納され、上記底壁部において上記積層体が支持されており、
上記収納空間に上記積層体を収納するための開口部を塞ぐように、蓋板が上記フレームに固定され、
上記積層体は、上記冷媒流路を内部に有する流路形成部材を有すると共に、該流路形成部材から、上記板厚方向における上記蓋板側または上記底壁部側に向かって突出した第1突部を有し、
該蓋板と上記底壁部との間で上記積層体を上記板厚方向に挟持しており、上記第1突部は、上記板厚方向に圧潰された状態で上記蓋板または上記底壁部に当接していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記積層体は、上記積層体の積層方向と上記板厚方向との双方に直交する幅方向に向かって上記流路形成部材から互いに反対側に突出した一対の第2突部を有し、上記積層体は、上記収納空間内において上記側壁部によって上記幅方向に挟持され、上記一対の第2突部は、圧潰された状態で上記側壁部にそれぞれ当接していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、上記一対の第2突部の側部にはそれぞれテーパ面が形成されており、上記幅方向における上記一対のテーパ面間の間隔は、上記底壁部から上記蓋板に向かうほど次第に広くなっており、上記第2突部の、上記板厚方向における上記蓋板側の部位が、上記側壁部によって圧潰されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記蓋板は剛性部材であり、該蓋板は上記板厚方向に貫通した貫通穴を有し、上記半導体モジュールは電極端子を有し、該電極端子は上記貫通穴を貫通しており、上記第1突部は、上記積層体の積層方向と上記板厚方向との双方に直交する幅方向における上記貫通穴の両側に配置され、該貫通穴の両側における一対の上記第1突部の間隔は、上記幅方向における上記半導体モジュールの幅よりも長いことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置を製造する方法であって、複数の上記流路形成部材を、互いに所定間隔をおいた状態で上記フレーム内に収容する流路形成部材収容工程と、複数の上記半導体モジュールを互いに所定間隔をおいた状態で位置決め治具に保持させるモジュール保持工程と、上記複数の半導体モジュールを保持した上記位置決め治具を上記流路形成部材に接近させると共に、該位置決め治具に形成した被係合部と上記第1突部とを係合することにより、上記複数の半導体モジュールを上記複数の流路形成部材に対して上記積層方向及び上記幅方向に位置合わせする位置合わせ工程と、位置合わせした状態で上記複数の半導体モジュールを上記位置決め治具から押し出して個々の上記流路形成部材の間に上記半導体モジュールを介在させる押し出し工程とを行うことを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項4に記載の電力変換装置を製造する方法であって、
上記第1突部が上記フレームの開口側または上記底壁部側を向いた状態で、上記積層体を上記フレーム内に収容する積層体収容工程と、
上記フレームの開口を塞ぐように蓋板を固定することにより、上記第1突部を上記底壁部の板厚方向に圧潰すると共に、該蓋板と上記底壁部との間で、上記積層体を上記板厚方向に挟持して保持する積層体保持工程と、
を行うことを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図8】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−231591(P2012−231591A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98102(P2011−98102)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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