説明

電力変換装置

【課題】太陽電池により充電されるバッテリの過充電を抑制する電力変換装置を提供する。
【解決手段】 バッテリと、太陽電池と、太陽電池からの電力を、バッテリを充電する充電電力に変換する電力変換器と、バッテリの電圧を検出する電圧センサと、電力変換器による電力変換を停止させる電力変換停止時間を制御する電力変換器制御手段とを備え、電力変換器制御手段は、電力変換停止時間中に、電圧センサにより検出された検出電圧に基づいて、電力変換器の再駆動を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池と、バッテリと、電気式制御装置と、車輌の運行中のみ閉じられて電気式制御装置へ電流を供給してこれを作動させる主スイッチとを有する車輌にして、主スイッチが開かれている間に太陽電池によりバッテリに充電された電力を積算する電力積算計を有し、電気式制御装置は、主スイッチが閉じられた当初に、電力積算計による電力積算値に基づいてバッテリの充電状態を補正する車両が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、太陽電池から出力される電流値は低く、充電状態を補正するための電力積算値の変化量が小さいため、バッテリの充電状態を正確に検出できず、バッテリが過充電になる可能性があった。
【0005】
本発明は、太陽電池により充電されるバッテリの過充電を抑制する電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、太陽電池からの電力を、バッテリを充電する充電電力に変換する電力変換器を備え、電力変換停止時間中に、電圧センサにより検出された検出電圧に基づいて、電力変換器の再駆動を判断することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、太陽電池からの電力によりバッテリを充電していない状態で、当該バッテリの電圧を検出し、検出電圧に基づいてバッテリへの充電電力が制御されるため、太陽電池からの出力電力の大きさに関わらず、バッテリを管理することができ、その結果として、バッテリが過充電されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る電力変換装置を含む車両のブロック図である。
【図2】図1の電力変換装置のフローチャートである。
【図3】図2のPCS停止制御のフローチャートである。
【図4】図2のPCS駆動再開制御のフローチャートである。
【図5】本発明の変形例に係る電力変換装置を含む車両のブロック図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る電力変換装置のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は、発明の実施形態に係る電力変換装置を含む車両のブロック図である。以下、本例の電力変換装置を電気自動車に適用した例を挙げて説明するが、本例の電力変換装置は、例えばハイブリッド自動車等の電気自動車以外の車両にも適用可能である。
【0011】
図1に示すように、本例の車両は、太陽電池1と、直並列切替回路2と、出力切替回路3と、PCS4と、バッテリ5と、充電ポート6と、充電器7と、インバータ8と、モータ9と、バッテリ10と、DC/DCコンバータ11と、電流センサ12と、電圧センサ13と、コントローラ20とを備えている。太陽電池1a、1bは、例えば車両のルーフパネルに設けられ、太陽エネルギーを電力に変換する電力機器である。太陽電池1a及び太陽電池1bは、それぞれの出力を独立させて、直並列切替回路2に接続されている。
【0012】
直並列切替回路2は、スイッチ2a、2b、2cを備え、太陽電池1a、1bと出力切替回路3との間に接続されている。スイッチ2a、スイッチ2b及びスイッチ2cは直列に接続され、太陽電池1aの出力のうちP側の出力線がスイッチ2cの高電位側の端子に接続され、太陽電池1aの出力のうちN側の出力線がスイッチ2aとスイッチ2bとの接続点に接続され、太陽電池1bの出力のうちP側の出力線がスイッチ2bとスイッチ2cとの接続点に接続され、太陽電池1aの出力のうちN側の出力線がスイッチ2aの低電位側の端子に接続されている。そして、スイッチ2a及びスイッチ2cがオンになると、太陽電池1a及び太陽電池1bは並列接続の状態となり、スイッチ2bがオンになると、太陽電池1a及び太陽電池1bは直列接続の状態となる。直並列切替回路2は、コントローラ20からの制御信号に基づいて、スイッチ2a〜2cのオン及びオフを切り替えることで、太陽電池1a及び太陽電池1bの接続状態を切り替える回路となる。
【0013】
出力切替回路3は、スイッチ3a、3b、3c、3dを備え、直並列切替回路2と、低電圧バッテリ10及びPCS4との間に接続されている。スイッチ3aとスイッチ3b、及び、スイッチ3cとスイッチ3dにより、それぞれリレースイッチを構成している。スイッチ3a及びスイッチ3bがオンになると、太陽電池1a、1bから出力される電力は直並列切替回路2を介してPCS4に入力され、スイッチ3c及びスイッチ3dがオンになると、太陽電池1a、1bから出力される電力は直並列切替回路2を介して太陽電池10に入力される。また後述するように、PCS4はバッテリ5と接続されているため、スイッチ3a及びスイッチ3bがオンになると、太陽電池1a、1bから出力される電力はバッテリ5へ供給可能な状態となる。すなわち、出力切替回路3は、バッテリ制御部20からの制御信号に基づき、スイッチ3a〜3dのオン及びオフを切り替えることで、太陽電池1a、1bからの出力をPCS4介してバッテリ5に供給する回路と、太陽電池1a、1bからの出力をバッテリ10に供給する回路とを切り替える。
【0014】
PCS(Power Conversion System)4は、太陽電池1a、1bから出力される電力を変換する変換回路を含む電力変換システムであり、太陽電池1a、1bの最大電力点を追従するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力追従制御)制御を行う回路である。PCS4は、出力切替回路3とバッテリ5との間に接続され、太陽電池1a、1bから出力される電力を昇圧して、バッテリ5の充電電力として、バッテリ5に供給する。PCS4には、例えば、昇圧チョッパ、整流回路及びDC/DCコンバータ等が設けられている。昇圧チョッパに含まれるトランジスタは、コントローラ20からのスイッチング信号に基づきオン及びオフを切り替える。そして、トランジスタのスイッチング波形のデューティ比がコントローラ20により設定されることで、PCS4は、変換回路からの出力電圧をほぼ一定に維持しつつ、PCS4の入力電圧の動作点を操作し、太陽電池1a、1bの発電電力を制御する。また、PCS4、バッテリ5を含む高電圧回路と、低電圧回路とを絶縁可能な絶縁型の回路である。
【0015】
バッテリ5は、複数の二次電池により構成され、車両の駆動源となり、後述するバッテリ10と比較して、高電圧のバッテリである。バッテリ5は、PCS4に接続され、またインバータ8を介してモータ9に接続されている。またバッテリ5は、外部電源からの電力により充電可能なバッテリであり、充電器7を介して、充電ポート6に接続されている。充電ポート6は、外部からの充電コネクタと接続可能な充電口であり、充電器7と配線を介して接続されている。また当該充電コネクタは、家庭用の交流電源等の商用電力系統の電源等に接続される。
【0016】
充電器7は、入力側を充電ポート6に接続され、出力側をバッテリ5に接続されている。充電器3は、外部電源からの電力を、バッテリ5を充電するための充電電力に変換し、バッテリ5に供給しバッテリ5を充電する。充電器5の充電制御は、コントローラ20により行われる。また充電器7は、DC/DCコンバータ11を介して、バッテリ10に接続され、コントローラ20の制御信号に基づいて、バッテリ10を充電する。
【0017】
インバータ8は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のスイッチング素子を複数備え、平滑用のコンデンサ等を備えている。インバータ8は、コントローラ20から送信されるスイッチング信号に基づき、当該スイッチング素子をPWM制御することで、バッテリ5から供給される直流電力を交流電力に変換し、モータ9の各相に提供する。また、インバータ8は、モータ9の回生によりモータ9から供給される電力を変換して、バッテリ5に供給する。モータ9は、例えば三相交流モータであり、インバータ8に接続されている。
【0018】
バッテリ10は、複数の二次電池により構成され、車両のヘッドライトやオーディオ機器などの補機類を運転させるための電力源となり、バッテリ5と比較して、低電圧のバッテリである。バッテリ10は、DC/DCコンバータ11及び出力切替回路3に接続されている。バッテリ10は、太陽電池1a、1bから供給される電力及び外部電源からの電力により充電される。また、バッテリ10は、DC/DCコンバータ11を介してバッテリ5に接続され、バッテリ5の電力をバッテリ10に供給することで充電される。DC/DCコンバータ11は、バッテリ5とバッテリ10との間、及び、充電器7とバッテリ10との間に接続され、バッテリ5からの電力を変換してバッテリ10へ供給し、充電器7からの電力を変換してバッテリ10へ供給する。DC/DCコンバータ11は、コントローラ20から送信される制御信号に基づいて、バッテリ10と、バッテリ5及び充電器7との間の導通状態を切り替える。
【0019】
電流センサ12及び電圧センサ13は、バッテリ5の電流及び電圧をそれぞれ検出するセンサであって、バッテリ5に接続されている。それぞれのセンサの検出値は、コントローラ20に送信され、コントローラ20は、当該検出値に基づいてバッテリ5の状態を管理する。
【0020】
コントローラ20は、切替回路制御部21と、PCS制御部22と、SOC推定部23と、メモリ24と、バッテリコントローラ25とを備えている。コントローラ20は、本例の電力変換装置の全体を制御する回路であり、太陽電池1a、1bによるバッテリ5及びバッテリ10の充電制御、外部電源からのバッテリ5及びバッテリ10の充電制御、バッテリ5とバッテリ10との間における電力受給制御、及び、モータ9の駆動制御等を行う。
【0021】
切替回路制御部21は、直並列切替回路2に含まれるスイッチ2a〜2cのオン及びオフを制御する回路であり、太陽電池1a及び太陽電池1bを並列接続の状態と、直列接続の状態とを切り替える制御を行う。また、切替回路制御部21は、出力切替回路3に含まれるスイッチ3a〜3dのオン及びオフを制御する回路であり、太陽電池1a、1bからの出力をバッテリ5に出力するか、バッテリ10に出力するかを切り替える制御を行う。
【0022】
PCS制御部22は、PCS4を制御する制御部であり、PCS4の駆動時間及び停止時間を設定する。またPCS制御部22は、PCS4の入力側に接続された電圧センサ(図示しない)から、太陽電池1a、1bからPCS4に入力する入力電圧を検出し、検出電圧をメモリ24に記憶する。
【0023】
SOC推定部23は、電圧センサ5の検出電圧に基づき、バッテリ5の充電状態(State of Charge)を推定する。なお、SOC推定部23によるSOCの推定制御は後述する。バッテリコントローラ25は、バッテリ5及びバッテリ10の過充電及び過放電を防ぐよう、バッテリ5のSOC及びバッテリ10のSOCを管理する。バッテリコントローラ25は、SOCを80パーセント推定部23により推定されたSOCに基づきバッテリ5の状態を管理する。バッテリ10の管理の際には、バッテリコントローラ25は、例えば、バッテリ10の入出力電流を検出するセンサ(図示しない)から、電流積算値を算出し、当該電流積算値からSOCを算出する。
【0024】
バッテリコントローラ25には、バッテリ5及びバッテリ10の満充電を示す上限値が予め設定されており、SOC及びSOCが設定されている。上限値(SOC)は外部電源により充電器7を介してバッテリ5を充電する場合における、バッテリ5のSOCの上限を示す値である。また、上限値(SOC)は太陽電池1a、1bによりバッテリ5を充電する場合における、バッテリ5のSOCの上限を示す値である。そして、バッテリコントローラ25は、外部電源による充電の際に、バッテリ5のSOCが上限値(SOC)より高くなった場合には、バッテリ5を過充電から防ぐために、コントローラ20に制御信号を送信し、コントローラ20はバッテリ5の充電を終了する。
【0025】
バッテリコントローラ25には、バッテリ10の満充電を示す上限値が予め設定されており、SOCが設定されている。上限値(SOC)はバッテリ10のSOCの上限を示す値である。バッテリコントローラ25は、バッテリ10の充電において、バッテリ10のSOCが上限値(SOC)より高くなった場合には、バッテリ10を過充電から防ぐために、コントローラ20に制御信号を送信し、コントローラ20はバッテリ10の充電を終了する。
【0026】
またバッテリコントローラ25には、バッテリ5の容量の下限値を示す閾値が予め設定されており、バッテリの容量が下限値より低くならないように、バッテリ5及びバッテリ10を管理し、バッテリ5及びバッテリ10の過放電を防ぐ。
【0027】
次に、本例の電力変換装置の制御内容を説明する。まず、外部電源による充電について説明する。コントローラ20は、充電ポート6に充電コネクタが接続されたことを検出すると、外部電源によりバッテリ5を充電するための制御を開始する。コントローラ20は、充電器7を制御し、外部電源から供給される電力をバッテリ5の充電に適した電力に変換して、バッテリ5に供給する。コントローラ20は、外部電源によりバッテリ5を充電している場合には、切替回路制御部21によりスイッチ3a、3bをオフにして、DC/DCコンバータ11を遮断状態にして、充電器7からの出力が太陽電池1a、1bに入力されない状態にする。
【0028】
コントローラ20は、バッテリコントローラ25により、バッテリ5の充電中、電圧センサ13の検出電圧及び電流センサ12の検出電流から、バッテリ5のSOCを算出し、バッテリ5のSOCを管理する。なお、外部電源によりバッテリ5を充電している場合において、SOCの算出方法は、例えば、検出電流の積算値から算出すればよい。
【0029】
そして、バッテリ5のSOCがSOCより高くなると、バッテリコントローラ25はバッテリ5の容量が満充電に達したと判断し、コントローラ20は、充電器7を制御して、バッテリ5の充電を終了する。
【0030】
次に、太陽電池1a、1bの充電について説明する。コントローラ20は、バッテリ5を充電する際には、切替回路制御部21により、スイッチ2bをオンに、スイッチ2a、2cをオフにして、太陽電池1a、1bを直列接続の状態に切り替える。またコントローラ20は、切替回路制御部21によりスイッチ3a、3bをオンに、スイッチ3c、3dをオフにして、直列接続状態の太陽電池1a、1bの出力をPCS4に入力する。これにより、太陽電池1a、1bからの出力電圧を高くし、PCS4への入力電流を下げることで、PCS4における電力変換の際の損失を低減させる。
【0031】
コントローラ20は、PCS制御部22により、MPPT制御により太陽電池1a、1bの発電電力点を最大発電電力点に近づけるよう、PCS4を駆動させる。そして、コントローラ20は、PCS4から出力される電力を、バッテリ5に供給する。
【0032】
コントローラ20は、バッテリ5の充電制御中、所定の周期で、PCS4を停止させる制御を行う。すなわち、PCS制御部22には、PCS4の駆動時間と、PCS4の電力変換停止時間とが予め設定されており、駆動時間と電力変換停止時間とを繰り返すことで、周期的に、PCS4を駆動させて、PCS4を停止させる。PCS4が駆動している場合には、PCS4から電力が出力され、バッテリ5が充電されている状態となる。一方、PCS4が停止している場合には、PCS4による電力変換が停止され、PCS4から電力が出力されず、バッテリ5は充電されていない状態となる。
【0033】
そして、コントローラ20は、電力変換停止時間中に、電圧センサ13からバッテリ5の検出電圧を取得して、SOC推定部23により、バッテリ5のSOCを推定する。SOC推定部23には、バッテリ5の開放電圧とバッテリのSOCとの相関性を示すマップが格納されている。電力変換停止時間中、バッテリ5には電力が供給されておらず、バッテリ5は無負荷状態となる。そのため、電圧センサ13により検出される電圧は開放電圧相当する。ゆえに、SOC推定部23は、電力変換停止時間中の検出電圧から、格納されているマップを参照することで、バッテリ5のSOCを推定する。
【0034】
また、コントローラ20は、駆動時間から電力変換停止時間に切り替える際に、PCS4への入力電圧をメモリ24に記憶する。すなわち、コントローラ20は、電力変換停止時間の直前に、メモリ24にPCS4の入力電圧を記憶する。
【0035】
コントローラ20は、バッテリコントローラ25により、SOC推定部23の推定SOCとSOCとを比較して、推定SOCがSOCより低い場合には、バッテリ5を継続して充電可能であると判断し、PCS4の駆動時間を開始させて、PCS4を再駆動させる。再駆動の際に、コントローラ20は、メモリ24に記憶された入力電圧に基づいて、MPPT制御にてPCS4を駆動させる。これにより、MPPT制御を行う場合に、PCS制御部22は、初期のPCS4の駆動状態から最大電力点を探索しなくてもよいため、探索時間を短縮化することができる。そして、設定された駆動時間が経過すると、コントローラ20は、再びPCS4を停止して、バッテリのSOCを推定する。
【0036】
一方、コントローラ20は、バッテリコントローラ25により、電力変換停止時間中の検出電圧に基づく推定SOCがSOCより高くなった場合には、バッテリ5が満充電に達したと判断して、太陽電池1a、1bによるバッテリ5の充電制御を終了させる。
【0037】
コントローラ20は、バッテリ5が満充電に達している場合には、太陽電池1a、1bによりバッテリ10を充電する。コントローラ20は、バッテリ10を充電する際には、切替回路制御部21により、スイッチ2bをオフに、スイッチ2a、2cをオンにして、太陽電池1a、1bを並列接続の状態に切り替える。またコントローラ20は、切替回路制御部21によりスイッチ3c、3dをオンに、スイッチ3a、3bをオフにして、直列接続状態の太陽電池1a、1bの出力をバッテリ10に入力する。太陽電池1a、1bからの出力は、電圧変換等されずに、バッテリ10に入力されるため、電力変換の際の損失が低減される。
【0038】
コントローラ20は、バッテリ10の充電中、バッテリコントローラ25により、バッテリ10のSOCを管理し、SOCがSOCより高くなった場合には、バッテリ10が満充電に達したと判断して、太陽電池1a、1bによるバッテリ10の充電制御を終了させる。
【0039】
次に、図2を用いて、本例の電力変換装置の制御手順を説明する。図2は、本例の電力変換装置の制御手順を示すフローチャートである。ステップS1にて、コントローラ20は、充電ポート6への充電コネクタの接続状態や、太陽電池1a、1bの発電状態など、バッテリ5、バッテリ10を充電に関する情報を取得する。ステップS2にて、コントローラ20は、充電ポート6の接続状態、充電器7の制御状態等に基づいて、外部電源によりバッテリ5が充電中であるか否かを検出する。ステップS3にて、外部電源による充電中である場合には、バッテリコントローラ25は、電流センサ12からバッテリ5の電流を検出する。
【0040】
ステップS4にて、バッテリコントローラ25は、ステップS3の検出電流を積算することで、バッテリ5のSOCを演算する。ステップS5にて、バッテリコントローラ25は、ステップS4のSOCと、SOCとを比較して、バッテリ5が満充電に達したか否かを検出する。演算されたSOCがSOC以下である場合には、ステップS3に戻る。演算されたSOCがSOCより高い場合には、ステップS6に遷る。
【0041】
ステップS2に戻り、外部電源による充電中でない場合には、ステップS21にて、コントローラ20は、切替回路制御部21により、直並列切替回路2を制御して太陽電池1a、1bを直列状態にし、出力切替回路3を制御して太陽電池1a、1bの出力をPCS4に入力する回路に切り替え、PCS制御部22により、MPPT制御でPCS4を駆動させて、バッテリ5の充電を開始する。またPCS制御部22は、PCS4を駆動させる際に、図示しないタイマーをゼロに設定して、駆動時間を計時するためのカウントを開始する。ステップS22にて、PCS制御部22は、カウントしているタイマ(T)と、駆動時間に相当する閾値時間(T)とを比較する。タイマ(T)が閾値時間(T)より小さい場合には、駆動時間内になるため、ステップS221にて、タイマ(T)をインクリメントし、ステップS22に戻る。一方、タイマ(T)が閾値時間(T)以上である場合には、ステップS23に遷る。これにより、コントローラ20は、所定の周期毎に、設定された駆動時間でバッテリ5を充電する。
【0042】
ステップS23にて、PCS制御部22は、駆動時間(T)を経過すると、電力変換停止時間に遷り、図3に示すように、PCS停止制御を行う。図3はPCS停止制御の制御手順を示すフローチャートである。ステップS231にて、PCS制御部22は、PCS4に、回路を停止させるための指令信号を送信する。当該指令信号を受信したPCS4は回路の駆動を停止する。ステップS232にて、PCS4は回路の駆動を停止する際に、停止直前の入力電圧を図示しないセンサにより検出し、コントローラ20に送信する。PCS制御部22は、PCS4からの信号から、PCS4の入力電圧を検出する。ステップS233にて、PCS制御部22は、検出した入力電圧をメモリ24に記憶し、ステップS24に遷る。
【0043】
ステップS24にて、SOC推定部23は、電流センサ12の検出値から、電力変換停止時間のバッテリ5の電圧を検出する。ステップS25にて、SOC推定部23は、検出電圧をマップに参照することで、バッテリ5のSOCを推定する。ステップS26にて、バッテリコントローラ25は、推定されたSOCと、SOCとを比較する。推定SOCがSOC以下である場合には、バッテリコントローラ25は満充電に達していないと判断し、PCS制御部22は、図4に示すように、PCS駆動再開制御を行う(ステップS27)。
【0044】
図4は、PCS駆動再開制御の制御手順を示すフローチャートである。ステップS271にて、PCS制御部22は、ステップS233で記憶された入力電圧をメモリ24から読み出す。ステップS272にて、PCS制御部22は、読み出した入力電圧に基づいて、MPPT制御を行うための、太陽電池1a、1bの最大電力点を探索して、PCS4を駆動させる条件を設定する。ステップS273にて、PCS制御部22は、ステップS272で設定された駆動条件を含む信号をPCS4に送信し、PCS4は、当該駆動条件の下、回路を再駆動させ、ステップS21に戻る。これにより、PCS制御部22は、電力変換停止時間を経過後に、PCS4を再駆動させ、駆動時間のカウントを開始する。
【0045】
ステップS26に戻り、推定SOCがSOCより高い場合には、バッテリ5が満充電に達したと判断して、ステップS6にて、コントローラ20は、切替回路制御部21により、直並列切替回路2を制御して太陽電池1a、1bを並列状態にし、出力切替回路3を制御して太陽電池1a、1bの出力をバッテリ10に入力する回路に切り替え、バッテリ10の充電を開始する。ステップS7にて、バッテリコントローラ25は、図示しない電流センサ12からバッテリ10の電流を検出する。ステップS8にて、バッテリコントローラ25は、ステップS7の検出電流を積算することで、バッテリ10のSOCを演算する。ステップS9にて、バッテリコントローラ25は、ステップS7のSOCと、SOCとを比較して、バッテリ10が満充電に達したか否かを検出する。演算されたSOCがSOC以下である場合には、ステップS7に戻る。演算されたSOCがSOCより高い場合には、バッテリ10が満充電に達したとして、本例の制御を終了する。
【0046】
上記のように、本例は、電力変換停止時間にPCS4の回路駆動を停止させて、電力変換停止時間中に、電圧センサ12により検出された検出電圧に基づいて、PCS4の再駆動を判断する。これにより、本例は、太陽電池1a、1bによる充電中のバッテリ5の電圧を、無負荷時に検出することができる。そして、当該電圧に基づいて、PCS4の再駆動を判断するため、バッテリ5が上限値を超えることを防止し、バッテリ5の過充電を防ぐことができる。
【0047】
本例とは異なり、太陽電池1a、1bによる充電中に、バッテリ5の検出電流の積算値からバッテリ5のSOCを演算して、バッテリ5の充電を制御した場合には、太陽電池1a、1bから出力される電流値は微弱であるため、バッテリ5のSOCを正確に検出することができず、バッテリ5が過充電に陥る可能性がある。また、太陽電池1a、1bからの微弱な出力電流の変化を検出するために、センサの分解能を高くすることも考えられるが、電流センサ12のコストが高くなると問題があった。
【0048】
本例では、駆動中のPCS4を停止した上で、バッテリ5の電圧を検出し、検出電圧に基づいて、PCS4を再駆動させるか否か、バッテリ5の充電を継続させるか否かを判断するため、バッテリ5の状態の検出精度を高めることができ、バッテリ5の過充電を防ぐことができる。
【0049】
また本例は、電力変換停止時間中に、電圧センサ12により検出された検出電圧に基づいて、バッテリ5のSOCを推定し、推定されたSOCがSOC1より高い場合に、PCS4の再駆動を禁止する。これにより、バッテリのSCOの検出精度を高めることができ、バッテリ5の過充電を防ぐことができる。
【0050】
また本例は、電力変換停止時間中に、電圧センサ12により検出された検出電圧に基づいて、バッテリ5のSOCを推定し、推定されたSOCがSOC1より低い場合に、PCS4を再駆動させる。これにより、バッテリ5の充電量が不足している場合には、PCS4を再駆動させることで、太陽電池1a、1bによる充電を継続させることができる。
【0051】
また本例は、推定されたSOCがSOCより高い場合には、太陽電池1a、1bの電力をバッテリ10に供給する回路に切り替えて、太陽電池1a、1bによりバッテリ10を充電する。これにより、太陽電池1a、1bの発電電力よるバッテリ10の充電を直接行うことができ、長時間の駐車・運休中におこりうるバッテリ10の充電量の低下を防ぐことができる。また、車両の運転時にはバッテリ10からの電力供給によって制御が開始することから、バッテリ10の充電量低下による起動不能を避けることができる。
【0052】
また本例は、電力変換停止時間の直前にメモリ24に記憶された入力電圧に基づいて、PCS4を電力変換停止時間の後に駆動させる。これにより、PCS4の停止前の太陽電池1a、1bの電力点に基づいて、発電を再開することができる。また、
MPPT制御を行う場合に、初期の運転状態から最大電力点を探索する時間を省くことができるため、速やかに最大電力点での発電が可能となり、発電効率を高めることができる。
【0053】
なお、本例は、図5に示すように、直並列切替回路2を省略してもよい。図5は本例の変形例に係る電力変換装置を含む車両のブロック図である。
【0054】
上記のPCS4が本発明の「電力変換器」に相当し、PCS制御部22が「電力変換器制御手段」に、SOC推定部23が「SOC推定手段」に、直並列切替回路2及び出力切替回路3が「切替回路」に、切替回路制御部21が「切替回路制御手段」に、メモリ24が「記憶部」に、バッテリ5が「高電圧バッテリ」に、バッテリ10が「低電圧バッテリ」に相当する。
【0055】
《第2実施形態》
図6は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置の制御手順を示すフローチャートである。本例では、第1実施形態に対して、電力変換停止中に、太陽電池1a、1bによりバッテリ10を充電する点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を援用する。
【0056】
コントローラ20は、PCS制御部22により、駆動時間から電力変換停止時間に遷る際に、PCS4を停止し、切替回路制御部21により、直並列切替回路2を制御して太陽電池1a、1bを並列状態にし、出力切替回路3を制御して太陽電池1a、1bの出力をバッテリ10に入力する回路に切り替え、バッテリ10の充電を開始する。これにより、電力変換停止時間中に、太陽電池1a、1bの発電電力でバッテリ10を充電させることができる。
【0057】
次に、図6を用いて、本例の電力変換装置の制御手順を説明する。図6は、本例の電力変換装置の制御手順を示すフローチャートである。図6に示すステップのうち、図1に示すステップと制御内容が同じステップについては、説明を省略する。
【0058】
ステップS23にて、PCS停止制御を行った後に、ステップS231にて、切替回路制御部21は、直並列切替回路2及び出力切替回路3を制御し、太陽電池1a、1bを並列接続の状態にして、太陽電池1a、1bの電力をバッテリ10に供給する。また、バッテリコントローラ25は、ステップS231による充電中に、第1実施形態と同様に、バッテリ10の充電状態を管理する。
【0059】
上記のように、本例は、電力変換停止時間中に、太陽電池1a、1bからの出力をバッテリ10に供給する回路に切り替える。これにより、電力変換停止時間においても、太陽電池1a、1bの発電電力よるバッテリ10の充電を直接行うことができ、長時間の駐車・運休中におこりうるバッテリ10の充電量の低下を防ぐことができる。また、車両の運転時にはバッテリ10からの電力供給によって制御が開始することから、バッテリ10の充電量低下による起動不能を避けることができる。
【符号の説明】
【0060】
1a、1b…太陽電池
2…直並列切替回路
2a、2b、2c…スイッチ
3…出力切替回路
3a、3b、3c、3d…スイッチ
4…PCS
5…バッテリ
6…充電ポート
7…充電器
8…インバータ
9…モータ
10…バッテリ
11…DC/DCコンバータ
12…電流センサ
13…電圧センサ
20…コントローラ
21…PCS制御部
22…SOC推定部
23…切替回路制御部
24…メモリ
25…バッテリコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
太陽電池と、
前記太陽電池からの電力を、前記バッテリを充電する充電電力に変換する電力変換器と、
前記バッテリの電圧を検出する電圧センサと、
前記電力変換器による電力変換を停止させる電力変換停止時間を制御する電力変換器制御手段とを備え、
前記電力変換器制御手段は、
前記電力変換停止時間中に、前記電圧センサにより検出された検出電圧に基づいて、前記電力変換器の再駆動を判断する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記電力変換停止時間中に、前記電圧センサにより検出された検出電圧に基づいて、前記バッテリのSOCを推定するSOC推定手段をさらに備え、
前記電力変換器制御手段は、
前記SOC推定手段により推定されたSOCが、前記バッテリのSOCの上限値を示す上限SOCより高い場合には、前記電力変換器の再駆動を禁止する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
前記電力変換器制御手段は、
前記SOC推定手段により推定されたSOCが、前記バッテリのSOCの上限値を示す上限SOCより低い場合には、前記電力変換器を再駆動させる
ことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記太陽電池の出力を前記バッテリに含まれる高電圧バッテリに供給する回路と、前記太陽電池の出力を前記バッテリに含まれる低電圧バッテリに供給する回路とを切り替える切替回路と、
前記切替回路を制御する切替回路制御手段とをさらに備え、
前記切替回路制御手段は、
前記SOC推定手段により推定されたSOCが、前記バッテリのSOCの上限値を示す上限SOCより高い場合には、前記太陽電池からの出力を前記低電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項2又は3記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記太陽電池の出力を前記バッテリに含まれる高電圧バッテリに供給する回路と、前記太陽電池の出力を前記バッテリに含まれる低電圧バッテリに供給する回路とを切り替える切替回路と、
前記切替回路を制御する切替回路制御手段とをさらに備え、
前記切替回路制御手段は、
前記電力変換停止時間中に、前記太陽電池からの出力を前記低電圧バッテリに供給する回路に切り替える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記電力変換器制御手段は、
前記太陽電池から前記電力変換器への入力電圧を記憶する記憶部を有し、
前記電力変換停止時間の直前に前記記憶部に記憶された入力電圧に基づいて、前記電力変換停止時間の後に前記電力変換器を駆動させる
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−70547(P2013−70547A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208458(P2011−208458)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】