説明

電力系統制御システム

【課題】電力系統制御システムに対する各種操作を容易に可能とすることによって誤操作を防止し、システムの誤動作を回避する。
【解決手段】マンマシンインタフェース1を備え、このマンマシンインタフェース1の操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの表示を選定するガイダンスボタン132および不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの内容を表示する表示部11を前記マンマシンインタフェース1に備え、システム不具合時に前記ガイダンスボタン13が操作されると、不良部位,不良原因,システム復旧に必要な復旧操作方法が前記表示部11に表示されることを特徴とする電力系統制御システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統の保護及び制御を行うこの種の電力系統保護・制御システムにおいては、システムの動作状況は、表面に配設された表示パネル上のLEDにより表示されている。また、キースイッチやテンキースイッチを別途備えて、これらの各スイッチの操作によりシステムに対し各種の整定値が設定されると共に、設定された整定値に基づいてシステムの運用が定められるものとなっている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−327135号公報(図1及びその説明)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来の電力系統保護・制御システムは、システムに対し各種の操作をする場合は操作が複雑であり、従って誤操作によりシステムが誤動作するという問題があった。またシステムの操作時には、相当な操作知識が要求され、扱い者に操作知識が無い場合はシステムの操作を行うことができないという問題もあった。
【0005】
この発明は、前述のような実情に鑑みてなされたもので、システムに対する各種操作を容易に可能とすることによって誤操作を防止し、システムの誤動作を回避することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電力系統制御システムは、マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの表示を選定するガイダンスボタンおよび不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、システム不具合時に前記ガイダンスボタンが操作されると、不良部位,不良原因,システム復旧に必要な復旧操作方法が前記表示部に表示されるものである。
【0007】
また、この発明に係る電力系統制御システムは、マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、運転保守時に運転保守を選定するガイダンスボタンおよび運転保守の操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、運転保守時に前記ガイダンスボタンが操作されると、運転保守に必要な運転保守操作方法が前記表示部に表示されるものである。
【0008】
また、この発明に係る電力系統制御システムは、マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、整定値の変更操作時時に整定値の変更操作を選定するガイダンスボタンおよび整定値変更の操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、整定値の変更操作時に前記ガイダンスボタンが操作されると、整定値の変更操作に必要な整定値の変更操作方法が前記表示部に表示されるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの表示を選定するガイダンスボタンおよび不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、システム不具合時に前記ガイダンスボタンが操作されると、不良部位,不良原因,システム復旧に必要な復旧操作方法が前記表示部に表示されるようにしてあるので、システム不具合時には、ガイダンスボタンを選定するだけで、不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの内容が表示部に表示され、従って、容易にシステム復旧操作が行えると共に、復旧操作ミスが無くなりシステムの誤動作を防止できるという効果がある。
【0010】
また、この発明は、マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、運転保守時に運転保守を選定するガイダンスボタンおよび運転保守の操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、運転保守時に前記ガイダンスボタンが操作されると、運転保守に必要な運転保守操作方法が前記表示部に表示されるようにしてあるので、運転保守時には、ガイダンスボタンを選定するだけで、運転保守時の運転保守操作ガイダンスの内容が表示部に表示され、従って、容易に運転保守操作が行えると共に、運転保守操作ミスが無くなりシステムの誤動作を防止できるという効果がある。
【0011】
また、この発明は、マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、整定値の変更操作時時に整定値の変更操作を選定するガイダンスボタンおよび整定値変更の操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、整定値の変更操作時に前記ガイダンスボタンが操作されると、整定値の変更操作に必要な整定値の変更操作方法が前記表示部に表示されるようにしてあるので、整定値の変更操作時には、ガイダンスボタンを選定するだけで、整定値の変更操作ガイダンスの内容が表示部に表示され、従って、容易に整定値の変更操作が行えると共に、整定値の変更ミスが無くなりシステムの誤動作を防止できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
以下この発明の実施の形態1を図1および図2により説明する。図1は電力系統保護・制御システムの要部のシステム構成の事例を示すブロック図、図2は図1に例示のシステムの動作をフローチャートで示す図である。
【0013】
図1において、上記電力系統保護・制御システムは、マンマシンインタフェース部1、リレー演算部2、出力部3などから構成される。
ここでマンマシンインタフェース部1は、表示部11、表示部制御H/W(ハードウェア)12、上記システムに整定値などを設定するための操作部13、操作部制御H/W14から構成される。
また、表示部11には、システムの状態を表示するLED111、日本語表示パネル112が設けられている。
操作部13には、整定開始スイッチ131、ガイダンスボタン132が設けられている。
【0014】
また、図2は、図1のシステムの動作を示すフローチャートであり、上記システムに対するシステム不具合発生時の復旧操作を示すものである。図1のブロック図及び図2のフローチャートに基づいて上記システムの動作について説明する。
【0015】
上記システムにおいて不具合が発生した場合、ステップ200によりリレー演算部2でシステム不具合を検出し、マンマシンインタフェース部1の表示部11にあるLED111に出力をする。
ここで、不具合とは、例えば、復旧が可の可能性のある不具合としては例えばDO(ディジタルアウトプット)出力監視異常、復旧が不可と思われる不具合としては例えばインバリッドチェック(不正命令)、等である。
【0016】
上記システムの不具合発生時の復旧操作は、まずステップ201において、操作部13にあるガイダンスボタン132を押す。この際、復旧操作でシステムが回復するかどうかをステップ202で判断する。このステップ202での判断はリレー演算部2で行われる。
【0017】
回復が可能と判断された場合、ステップ203において日本語表示パネル112に不良部位、原因、復旧方法を、一画面に纏めて表示したり、スクロールすることで順に表示したりする。これらの表示は、例えば、前記DO出力監視異常の場合であれば、不良部位としては例えば表示部、出力部などと表示され、原因としては例えば整定不良、DO部不良、などと表示され、復旧方法としては例えば整定値の変更、DOカード交換などと表示される。
なお、整定値の変更の表示に沿って実際に変更するのは一般的には現地で変更(即ち復旧作業)が行なわれ、DOカード交換の表示に沿って実際に交換するのは一般的には部品交換による復旧作業となる。
【0018】
ステップ204で再度ガイダンスボタンを押すことにより、ガイダンス表示が消灯する。その後、ステップ205で、前記ステップ203の復旧方法によって復旧操作を行う。復旧操作が完了した時点で表示部のLEDをステップ206で消灯する。なお、或る操作している最中(例えば復旧する為に整定値を変更している場合)に、ガイダンスボタンを押すと、その時に操作している項目について使用方法をサポート(ガイダンスを表示)するようにしてあれば至便である。
【0019】
回復が不可能と判断された場合、ステップ207において日本語表示パネル112に不良部位、原因、復旧不可であることを表示する。
【0020】
このように、この発明のシステムにおいては、システム不具合時に上記ガイダンス専用ボタンにより、不良部位,原因,システム復旧に必要な復旧操作方法を前記の日本語表示パネルにより表示するようにしたので、容易にシステム復旧操作が行えると共に、復旧操作ミスが無くなりシステムの誤動作を防止できるという効果がある。
【0021】
つまり、マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの表示を選定するガイダンスボタンおよび不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、システム不具合時に前記ガイダンスボタンが操作されると、不良部位,不良原因,システム復旧に必要な復旧操作方法が前記表示部に表示されるようにしてあるので、システム不具合時には、ガイダンスボタンを選定するだけで、不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの内容が表示部に表示され、従って、容易にシステム復旧操作が行えると共に、復旧操作ミスが無くなりシステムの誤動作を防止できるという効果がある。
【0022】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2を図3により説明する。図3は、システムの動作を示すフローチャートであり、上記システムに対する電力系統保護制御システムの運用時の操作を示すものである。
【0023】
図1のブロック図及び図3のフローチャートに基づいて上記実施例装置の動作について説明する。
【0024】
上記システムの運用時の運転保守業務において、まずステップ301において、操作部13にあるガイダンスボタン132を押すことにより、ステップ302において日本語表示パネル112に運転保守情報に必要な計測データを表示する。必要な情報が複数ある場合には、ステップ304で更にガイダンスボタンを押すとステップ305のように次の項目が表示される。ステップ303で最終項目まで表示された後、ステップ306のようにガイダンスボタンを押すと消灯する。
【0025】
このように、この発明のシステムにおいては、システム運用時に上記ガイダンス専用ボタンにより、電力会社の運転保守業務に必要な情報のみを前記の日本語表示パネルにより表示するようにしたので、運転中に容易に運転保守に必要な情報(例えば、遮断器CBの状態、点検回数、入力電気量、等)を確認することができると共に、確認操作時の誤操作によりシステムの誤動作を防止できるという効果がある。
【0026】
つまり、マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、運転保守時に運転保守を選定するガイダンスボタンおよび運転保守の操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、運転保守時に前記ガイダンスボタンが操作されると、運転保守に必要な運転保守操作方法が前記表示部に表示されるようにしてあるので、運転保守時には、ガイダンスボタンを選定するだけで、運転保守時の運転保守操作ガイダンスの内容が表示部に表示され、従って、容易に運転保守操作が行えると共に、運転保守操作ミスが無くなりシステムの誤動作を防止できるという効果がある。
【0027】
更に、システムの操作マニュアル等が無くても操作が可能になり、従って、システムの扱い者が限定されずに、誰でも容易に整定値を変更することができる。
なお、整定値とは、保護リレー要素などの整定値であり、整定値を変更するということは、例えば、過電流リレーの整定値を、例えば2Aから10Aに変更することを意味する。
【0028】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3を図4によって説明する。図4は、システムの動作を示すフローチャートであり、上記電力系統保護制御システムに対する整定値変更時の操作を示すものである。
【0029】
図1のブロック図及び図4のフローチャートに基づいて上記実施例装置の動作について説明する。
【0030】
上記システムにおいて整定を行う場合、ステップ401により整定開始スイッチ131を押した後、ステップ402で操作部13にあるガイダンスボタン132を押すことにより、ステップ403で日本語表示パネル112に整定操作手順を表示する。
【0031】
ステップ404で再度ガイダンスボタンを押すことにより、ガイダンス表示が消灯する。
【0032】
その後、ステップ405で、前記ステップ403の整定方法によって整定操作を行う。
【0033】
このように、この発明のシステムにおいては、整定値の変更操作時に上記ガイダンス専用ボタンにより、整定値の変更操作手順に沿った操作内容を前記の日本語表示パネルにより表示するようにしたので、容易に整定値の変更操作が行えると共に、整定値変更操作ミスが無くなりシステムの誤動作を防止できるという効果がある。
【0034】
つまり、マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、整定値の変更操作時時に整定値の変更操作を選定するガイダンスボタンおよび整定値変更の操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、整定値の変更操作時に前記ガイダンスボタンが操作されると、整定値の変更操作に必要な整定値の変更操作方法が前記表示部に表示されるようにしてあるので、整定値の変更操作時には、ガイダンスボタンを選定するだけで、整定値の変更操作ガイダンスの内容が表示部に表示され、従って、容易に整定値の変更操作が行えると共に、整定値の変更ミスが無くなりシステムの誤動作を防止できるという効果がある。
【0035】
なお、前述の実施の形態における不具合発生時に操作するガイダンスボタン、運転保守時に操作するガイダンスボタン、整定値の変更時操作するガイダンスボタン、の各ボタンは個別に設けてもよいが、共通のボタンとしてもよく、共通のボタンとする場合は、例えば、無操作、無表示の状態でガイダンスボタンを押すと、先ず運転保守に関するガイダンスが表示され、整定値の変更に関するガイダンスは、整定開始ボタンを押した後にガイダンスボタンを押すと整定値の変更に関するガイダンスが表示されるようにしてもよい。
【0036】
なお、ガイダンス内容のS/Wは、前述の実施の形態では、例えば、前記リレー演算部2に格納されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、システム構成の事例をブロック図で示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す図で、図1に例示のシステムの動作をフローチャートで示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2を示す図で、システムの動作をフローチャートで示す図である。
【図4】この発明の実施の形態3を示す図で、システムの動作をフローチャートで示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 マンマシンインタフェース部、
2 リレー演算部、
3 出力部、
11 表示部、
12 表示部制御H/W、
13 操作部、
14 操作部制御H/W、
111 LED、
112 日本語表示パネル、
131 整定開始スイッチ、
132 ガイダンスボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの表示を選定するガイダンスボタンおよび不具合発生時のシステム復旧操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、システム不具合時に前記ガイダンスボタンが操作されると、不良部位,不良原因,システム復旧に必要な復旧操作方法が前記表示部に表示されることを特徴とする電力系統制御システム。
【請求項2】
マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、運転保守時に運転保守を選定するガイダンスボタンおよび運転保守の操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、運転保守時に前記ガイダンスボタンが操作されると、運転保守に必要な運転保守操作方法が前記表示部に表示されることを特徴とする電力系統制御システム。
【請求項3】
マンマシンインタフェースを備え、このマンマシンインタフェースの操作によりシステムを設定・運用・保守する電力系統制御システムにおいて、整定値の変更時に整定値の変更操作を選定するガイダンスボタンおよび整定値変更の操作ガイダンスの内容を表示する表示部を前記マンマシンインタフェースに備え、整定値の変更操作時に前記ガイダンスボタンが操作されると、整定値の変更操作に必要な整定値の変更操作方法が前記表示部に表示されることを特徴とする電力系統制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−325391(P2007−325391A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151702(P2006−151702)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】