電動コンバイン
【課題】車両の駆動源にエンジンとアクチュエータを併用し、扱胴の駆動源のみをエンジン動力にし最適な動力配分とし、走行部を駆動させるアクチュエータを効率的に設置させ、作業効率の向上と環境負荷を軽減させた電動コンバインの提供。
【解決手段】車両に原動機とバッテリーを搭載し、バッテリーは、インバータI1〜I6を介して電動モータ(アクチュエータ)に電力を供給し、原動機と電動モータの各駆動源によって、車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動し、走行部は、電動モータの動力で駆動させ、作業部は、電動モータで駆動させるアクチュエータ駆動部と、原動機より駆動させる原動機駆動部とを備え、車両前部に設けた吸引ファンにより導入する冷却風の送風路中途部に電動モータおよびこの電動モータを駆動するインバータI1〜I6を設置し、送風路終端の車両後端部に排風口を設け、冷却風によりインバータI1〜I6を冷却させる。
【解決手段】車両に原動機とバッテリーを搭載し、バッテリーは、インバータI1〜I6を介して電動モータ(アクチュエータ)に電力を供給し、原動機と電動モータの各駆動源によって、車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動し、走行部は、電動モータの動力で駆動させ、作業部は、電動モータで駆動させるアクチュエータ駆動部と、原動機より駆動させる原動機駆動部とを備え、車両前部に設けた吸引ファンにより導入する冷却風の送風路中途部に電動モータおよびこの電動モータを駆動するインバータI1〜I6を設置し、送風路終端の車両後端部に排風口を設け、冷却風によりインバータI1〜I6を冷却させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動源に原動機およびアクチュエータを併用する電動コンバイン関し、より詳細には、車両前部に設けた吸引ファンにより導入する冷却風の送風路中途部にアクチュエータおよび、このアクチュエータを駆動するインバータを設置し、送風路終端の車両後端部に排風口を設け、冷却風により少なくともインバータを冷却させる電動コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバイン(農作業車両)は、車体に搭載した原動機としてのエンジンの駆動力により、各種機械式の動力伝達機構を介してクローラなどの車両の走行部や、刈取、脱穀など複数の処理部からなる作業部を駆動させていた。しかし、近年、環境問題が重視される中で、大気汚染の軽減や燃費節約の機運が高まっており、動力源として、車両にエンジンと電動モータを搭載したハイブリッド型のコンバインが提唱されている。これは、車両が、エンジンと電動モータの二つの駆動源を持ち、それを使い分けることによって排ガスの低減と燃費を稼ぐものである。その一例として、車両にエンジンや発電機、バッテリー、処理部に設けた電動モータなどを搭載し、エンジンの動力で車両の走行部を駆動させるとともに、このエンジンの駆動により発電機を作動させ、発電した電力を、バッテリーを介して電動モータに供給し、刈取装置や脱穀装置など作業部を駆動させるもの(例えば、特許文献1)がある。
【0003】
また、作業部として、脱穀部の扱胴を駆動するエンジンとは別個に、扱胴に補助出力用モータを設け、扱胴の駆動に連動させた車速を減少するなどした際、既に刈り取られている穀桿がそのまま脱穀部に搬送されるために搬送量が低減されず、扱胴に過負荷が生じた場合には、補助出力用モータを作動させて、補助出力用モータがエンジンと協働して扱胴を駆動し、扱胴のアシスト制御を行うようにしたもの(例えば、特許文献2)がある。
【0004】
さらには、走行装置、刈取装置および脱穀装置を駆動させる電動モータを各別に備え、走行負荷が増大し走行用電動モータのトルク不足が生じたときは、脱穀用電動モータの無段変速装置から各ギヤの噛合連動を経て伝動クラッチを入切させて、脱穀用電動モータを走行用電動モータに連動させることにより、脱穀用電動モータの余裕出力を利用して走行用電動モータのトルク不足を補助するもの(特許文献3)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−095057号公報
【特許文献2】特開2007−111012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のようなコンバインでは、作業部の駆動源に電動モータを用いており、特に脱穀部における扱胴は、発電機により発電した電力を用いて作動する電動モータにより駆動させている。しかしながら、この扱胴は、重量を有するうえ、大量の穀稈を扱歯に巻き付けたり挟んだりして回転するため、コンバイン全体の駆動系における全出力の50〜60%前後にも相当する大きな出力を要し、上述した電動モータでは、このような扱胴を十分に回転駆動させることができず、扱胴の回転停止や、それに伴う各作業部への穀稈詰まりなど、作業能率を著しく低下させてしまう問題があった。さらには、エンジンの動力で走行部を駆動させているため、歯車や軸など多数の動力伝達部材を必要とすることから構成を複雑にしている。
【0007】
このように、車両の動力源として、エンジンと電動モータを搭載したハイブリッド型のコンバインが提案されており、これは、車両が、エンジンと電動モータの2つの駆動源を持ち、それらを使い分けることによって、排ガスの低減と燃費を向上させるものである。
【0008】
しかしながら、上述したハイブリッド型のコンバインにおいて、電動モータを駆動させるためのインバータは、使用しているパワー素子の耐圧、電流容量に対する負荷率によって発熱量が決まり、加熱によるインバータ破壊の防止のため、一般的にはヒートシンクにより冷却している。そのため、インバータ形状の大型化は避けられず、搭載配置の制約を受ける問題があった。
【0009】
そして、車両内の狭いスペースに多くの電動モータを設置しているため、それら電動モータを駆動制御するインバータの加熱を効率的に冷却できず、インバータの損傷や、車両内の温度上昇が各装置に悪影響を及ぼす問題もあった。また、作業部で処理を終えたグレンタンク内に導入された穀粒が湿材時の場合に、穀粒を貯留したグレンタンクの重量増加や、排出オーガの目詰まりを引き起こすなどして、作業効率を低下させる問題もあった。
【0010】
そこで、この発明の目的は、インバータを効率的に冷却してそれらの加熱損傷および車両内の温度上昇を防止し、さらにその高温となった排風を有効利用するとともに、各動力源を最適な動力配分とすることで、作業効率の向上を図り、環境負荷を軽減させた電動コンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、請求項1に記載の発明は、車両に原動機およびバッテリーを搭載し、前記バッテリーは、前記車両の中央近傍に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記原動機およびアクチュエータの各駆動源によって、クローラ式走行装置を備える前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動コンバインにおいて、前記走行部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるとともに、前記作業部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、前記原動機の動力により駆動させる原動機駆動部とを備え、さらに、前記車両前部に設けた吸引ファンにより導入する冷却風の送風路中途部に前記アクチュエータおよび該アクチュエータを駆動するインバータを設置し、前記送風路終端の前記車両後端部に排風口を設け、前記冷却風により少なくとも前記インバータを冷却させることを特徴とする電動コンバイン。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動コンバインにおいて、前記吸引ファンは、前記作業部に選別風を送風する唐箕ファンを用いたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電動コンバインにおいて、前記冷却風は、ダクトを介して前記インバータの内部または前記インバータ下部に設けたヒートシンクに導入することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電動コンバインにおいて、前記排風口には、前記作業部で選別した穀粒を貯留するグレンタンク内に排風を導入させるダクトを接続したことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電動コンバインにおいて、前記グレンタンクには、排風口を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、車両に原動機およびバッテリーを搭載し、バッテリーは、車両の中央近傍に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、原動機およびアクチュエータの各駆動源によって、クローラ式走行装置を備える車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動コンバインにおいて、走行部は、アクチュエータの動力で駆動させるとともに、作業部は、アクチュエータの動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、原動機の動力により駆動させる原動機駆動部とを備え、さらに、車両前部に設けた吸引ファンにより導入する冷却風の送風路中途部にアクチュエータおよびこのアクチュエータを駆動するインバータを設置し、送風路終端の車両後端部に排風口を設け、冷却風により少なくともインバータを冷却させるので、排ガス低減および燃費向上対策として、電動モータおよびこの電動モータを駆動させるインバータの増設に伴い、インバータから発生する発熱量が増加するため、インバータを、車両前部に設けた吸引ファンにより強制的に導入する冷却風で効率的に冷却し、インバータの加熱損傷を防ぎ、熱交換した高温排風を車両後端部の排風口より効率的に排出させて、機体内部の温度上昇を抑制することができる。従って、装置の加熱損傷を防ぐとともに、環境負荷を軽減させた電動コンバインを提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、吸引ファンは、作業部に選別風を送風する唐箕ファンを用いたので、既存の唐箕ファンを用いて、電動モータおよびインバータを効率的に冷却し、電動モータおよびインバータの加熱損傷を防ぐことができる。従って、装置の加熱損傷を防止した電動コンバインを提供することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、冷却風は、ダクトを介してインバータの内部またはインバータ下部に設けたヒートシンクに導入するので、吸引ファンにより導入する冷却風を、ダクトによってインバータに確実に導入し、インバータを効率的に冷却させることができる。従って、装置の加熱損傷を確実に防止した電動コンバインを提供することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、排風口には、作業部で選別した穀粒を貯留するグレンタンク内に排風を導入させるダクトを接続したので、電動モータおよびインバータを冷却して高温となった排風をグレンタンク内に導入し、穀粒が湿材時でもタンク内で乾燥させることで、貯留や機外への排出(移送)効率を向上させることができる。従って、作業性を向上した電動コンバインを提供することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、グレンタンクには、排風口を設けたので、電動モータおよびインバータを冷却し、グレンタンク内に導入された排風でタンク内の穀粒を乾燥させた後、この排風をタンク内から効率的に排出させることで、タンク内の穀粒乾燥を確実に行うことができる。従って、作業性を向上した電動コンバインを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る電動コンバインの一例を示した左側面図である。
【図2】電動コンバインの平面図。
【図3】穀稈搬送装置の左側面図である。
【図4】脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【図5】電動コンバインの動力伝達構成図である。
【図6】電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図である。
【図7】吸引ファンおよび排風口の設置を示す電動コンバインの平面図である。
【図8】吸引ファンの設置を示す電動コンバインの正面図である。
【図9】通風路(ダクト)に各電動モータおよびインバータを設置した平面模式図である。
【図10】インバータの平面模式図である。
【図11】インバータの側面模式図である。
【図12】唐箕を用いた冷却風の通風路を示す電動コンバインの斜視図である。
【図13】排風口とグレンタンクのダクトによる連結を示す車両の背面図である。
【図14】グレンタンク周辺の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1はこの発明の一例としての電動コンバインの右側面図、図2は電動コンバインの左側面図、図3は穀稈搬送装置の左側面図、図4は脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【0023】
まず、電動コンバイン1は、図1〜3に示すように、左右一対の機体フレーム2に、左右一対のクローラ式走行装置である走行部3を装設し、これら左右機体フレーム2に機台4が架設される。また、機台4上には、引起機構8、刈刃9、収穫物搬送手段10などを備える刈取部7や、フィードチェーン18を機体左側に張架し、扱胴6を内蔵する脱穀装置である脱穀部5、排藁チェーン終端を臨ませる排藁処理部11、脱穀部5からの籾を、揚穀筒を介して搬入するグレンタンク12、このグレンタンク12の籾を機外に搬出する搬送部16としての排出オーガ13などが設置される。
【0024】
さらに、機体前部の機台4上には、ハンドル14や運転席15、および運転席15下方には、エンジン(原動機)Eや、後述する発電機DおよびバッテリーBなどが設けられており、これら構成により自脱型の電動コンバイン1が連続的に稲などの農作物を刈取って脱穀するように構成されている。
【0025】
そして、機台3の後部には、グレンタンク12内の籾を外部へ排出するための排出オーガ13の縦オーガ13aが立設されるとともに、この縦オーガ16aの上端部には横オーガ13bが連設されている。この縦オーガ13aを中心として、グレンタンク12が左右回動可能に設けられて、グレンタンク12の前側を外方に回転させて開放可能に構成されている。また、機台3の後部には、脱穀部5に連続して穀稈搬送装置17が内設されている。
【0026】
刈取部7で刈り取られた穀稈は、収穫物搬送手段10にて後部へ搬送され、収穫物搬送手段10の上端から株元側が穀稈搬送装置17のフィードチェーン18に受け継がれ、扱胴6の供給始端部を介して脱穀部5および選別部19からなる脱穀装置内に穀稈が搬送される。そして、フィードチェーン18後端には、排藁搬送チェーン20が配設され、この排藁搬送チェーン20後部下方には、カッター,結束機などからなる図示しない排藁処理部が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出し、或いは切断せずに放出するようにしている。
【0027】
脱穀部5は、コンバイン1の進行方向左側に配置され、脱穀部4の右側には選別後の精粒を貯留するグレンタンク12が配設されている。そして、グレンタンク12の前方には運転席15が配設されている。つまり、運転席15は、機体の進行方向右前部に配置されている。一方、グレンタンク12の後方には、排出オーガ13の縦オーガ13aが立設され、縦オーガ16を中心にして排出オーガ13およびグレンタンク12が側方へ回動可能とし、グレンタンク12を側方へ回動することにより機体内側のメンテナンスを容易にしている。
【0028】
そして、グレンタンク12の底部には、後述する排出コンベア12aが前後方向に配設され、該排出コンベアの後部が縦オーガ13aの下部に連通されるとともに、排出コンベア16後部から排出オーガ13に動力が伝達されて、横オーガ13bの先端よりトラックなどに、グレンタンク12内の穀粒を排出できるようにしている。さらに、脱穀部5の下方には、選別部19が配設され、脱穀部5から流下する穀粒や藁屑等から穀粒を選別し、精粒をグレンタンク12に搬送したり、藁屑などを機外に排出するようにしている。
【0029】
穀稈搬送装置17は、上述の脱穀部5において、刈り取った穀稈の一端(株元側)を挟扼しながら搬送するためのものであり、刈取部7で刈り取った穀稈を排藁搬送チェーン20まで搬送するフィードチェーン18と、フィードチェーン18上方に配設され、搬送されている穀稈を挟扼する挟扼杆21と、挟扼杆21を本機側に対して弾性支持する複数の弾性支持体22などとから構成されている。
【0030】
この穀稈搬送装置17においては、対向配置される挟扼杆21とフィードチェーン18とによって、刈取部7で刈り取った穀稈の株元側を挟扼し、扱室31内の扱胴6によって脱穀する構成となっており、この挟扼杆21とフィードチェーン18とが対向した部分を搬送経路としている。そして、脱穀部5にて脱粒された排藁は、フィードチェーン18の後端部(下流側端部)において、排藁搬送チェーン20へと受け継がれ、この排藁搬送チェーン20によって、前記排藁処理部へと搬送される。
【0031】
挟扼杆21は、ステー23などによって固設される支持杆24と、支持杆24に複数の弾性支持体22を介して弾性支持して設けられている。この挟扼杆21は、フィードチェーン18に沿うように左右平行状に一対の板状部材が配置された形状となっており、フィードチェーン18による搬送方向断面視逆U字状に形成されている。
【0032】
支持杆24は、中空の柱状部材であり、図示しない扱室カバー内の左側において前後方向に長く、挟扼杆21と並列的に配置されるように形成されている。そして、この支持杆24の側面には、一定間隔ごとに弾性支持体22が、その上部が支持されるとともに配設され、これら弾性支持体22の下部に挟扼杆21が弾性支持されている。この弾性支持体22の下部は、挟扼杆21に連結ピンで枢支されており、弾性支持体22の上部は支持杆24よりも上方に延出されている。
【0033】
次に、脱穀部5について説明する。図4に示すように、脱穀部5に形成された扱室31には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴6が設けられ、この扱胴6の外周面には複数の扱歯32が植設されている。そして、扱胴6の下部周辺を覆うように半円形状の受網33が着脱可能に周設されている。
【0034】
一方、フィードチェーン18により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端側が扱胴6の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴6の回転により脱粒が行われ、受網33から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
【0035】
続いて、選別部19について説明する。選別部19は、揺動選別装置41による揺動選別と唐箕42による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
【0036】
揺動選別装置41は、機枠43内に収納される。揺動選別装置41の前端部は、扱胴6の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置41前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には後述の揺動駆動機構44が設けられ、この揺動駆動機構44によって揺動選別装置41が機枠43に対して揺動するように構成されている。なお、揺動駆動機構44の後下方には燃料タンク(不図示)が配置されている。
【0037】
揺動選別装置41の前部には、流穀板45が設けられるとともに、この流穀板45の後下方に搬送板46が設けられる。これら流穀板45および搬送板46は、板状の部材を波形に成形したものであり、受網33を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は、流穀板45および搬送板46上に落下し、揺動選別装置41の揺動により機体後方に搬送される。
【0038】
そして、搬送板46後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ(篩分装置)47が連設されるとともに、このグレンシーブ47と搬送板46の上方、かつ流穀板45の後方には、第一選別部であるチャフシーブ48が被装されている。さらに、チャフシーブ48の後方には、ストローラック49が配設される。
【0039】
チャフシーブ48は、複数のチャフフィンから構成され、投入される処理物の量に応じてチャフフィンの開度を調節することを可能としている。すなわち、チャフフィンの上下一側端部が揺動選別装置41に枢支されて、チャフシーブ48左右両側に設けられた揺動板に枢結され、また、他側端部がチャフシーブ48の左右両側に設けられた不図示の摺動板に枢結されている。
【0040】
上記摺動板は、揺動選別装置41と一体的に揺動されるとともに、この摺動板には図示しない調節レバーが枢結されており、該調節レバーに連結された図示しないワイヤの弛緩又は牽引により、この摺動板が前後に摺動される。なお、前記調節レバーは、上述のワイヤと反対側に設けられた図示しないバネによって各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とする方向に付勢されている。
【0041】
そして、前記摺動板の摺動によりチャフフィンの角度が変更され、このチャフフィンの傾斜角を大(立てる)とさせるとき、チャフシーブ48の開度を大として穀粒の漏下量を増大させ、各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とさせるときチャフシーブ48の開度を小として穀粒の漏下量を減少させるように構成している。
【0042】
こうして、穀粒および細かい藁屑は、チャフシーブ48を通過して下方に落下し、チャフシーブ48の開口よりも大きい藁屑などは後方に搬送される。このとき、チャフシーブ48とグレンシーブ47との間には、唐箕42により選別部19の前方から後方への気流が発生しており、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【0043】
この唐箕42は、揺動選別装置19における前流穀板45の後部下方かつ後流穀板46の前部下方に配置され、チャフシーブ48やグレンシーブ47に選別風を送風するようにしている。
【0044】
そして、揺動選別装置41の後端部近傍には、吸引ファン50が全幅に横設され、唐箕42から供給される選別風の流れに乗ってきた塵埃や脱穀時に発生する塵埃などを、吸引ファン50により吸引して機外へと排出するようにしている。
【0045】
選別部19内に投入され、前流穀板45上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、チャフシーブ48上に漏下される過程において、唐箕42により発生する選別部19の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。
【0046】
そして、チャフシーブ48上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、揺動選別装置41の揺動により、後方に搬送される、このとき、これら穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、チャフシーブ48の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ48の後方まで搬送され、ストローラック49を経て機外に排出される。
【0047】
また、チャフシーブ48の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、後流穀板46およびグレンシーブ47上に漏下される。このときも唐箕42からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
【0048】
さらに、グレンシーブ47上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などのうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑などは、グレンシーブ47を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番)は一番回収部51に回収され、後述する一番コンベア51aから図示しない揚穀コンベアを経て、グレンタンク12に搬送される。
【0049】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒などが混じった未処理粒は、唐箕42からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番回収部52に回収され、後述する二番コンベア52aから図示しない二番還元コンベアを経て、前流穀板45上(またはチャフシーブ48上)に再投入される。
【0050】
次に、本願発明の電動コンバインの動力伝達構成について説明する。図5は電動コンバインの動力伝達構成図、図6は電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図である。
【0051】
本願発明の電動コンバイン1は、走行部3および脱穀部5や刈取部7など複数の処理部からなる作業部61を構成した駆動系の駆動源を、電動モータM(アクチュエータ)とエンジン(原動機)Eとを併用し、作業部61の一部の駆動源を、エンジンEの動力にしたものである。
【0052】
図1にも示したように、車両左側部の、例えば、フィードチェーン18と、走行部3との間であって、車両前後方向の機台4上には、詳細を後述するバッテリーBが複数並設(図例では7個だが、設置数は限定されない)される。
【0053】
また、エンジンE近傍の機台4上には、エンジンEの図示しないクランク軸などに接続した発電機Dが設置されており、この発電機DはバッテリーBに接続されている。従って、エンジンEの動力により駆動させた発電機Dによって発電した比較的電圧の高い電力が、バッテリーBに充電され、後述する車両の駆動系の駆動源に用いられる。
【0054】
なお、エンジンEには、上述した発電機Dの他に、図示しない周知のオルタネータも設置されており、エンジンEの動力により駆動させたオルタネータによって発電した比較的電圧の低い電力が、別途設置した図示しないバッテリーを介して車両のライト、あるいはキャビンを装備する車両においてはエアコンなどの電源に用いられる。
【0055】
これらエンジンEおよび発電機Dを用いた電動コンバイン1の動力伝達構成は、図5に示すように、まず、エンジンEには、発電機Dおよび作業部61を構成する脱穀部5の扱胴6のみが接続される。そして、発電機Dには、バッテリーBが接続されている。
【0056】
また、バッテリーBには、車両の上記扱胴6以外の作業部61であって、刈取部7を駆動させる各駆動部に設置した、刈取部電動モータM1と、脱穀部5を駆動させる扱胴6以外の各駆動部に設置した脱穀部電動モータM2と、選別部19を駆動させる各駆動部に設置した選別部電動モータM3と、排藁処理部11を駆動させる各駆動部に設置した排藁処理部電動モータM4と、搬送部16を駆動させる各駆動部に設置した搬送部電動モータM5とが、それぞれインバータI1〜I5および図示しないドライバを介して接続されている。
【0057】
さらに、バッテリーBには、走行部3を駆動させる駆動部に、走行部電動モータM6が、インバータI6や図示しないドライバを介して接続されている。なお、各電動モータM1〜M6は、アクチュエータの例示であって、その構成は限定されない。
【0058】
つまり、作業部61には、エンジンEの動力により駆動(扱胴6)させる、原動機駆動部62と、バッテリーBの電力により各モータM1〜M5の動力により駆動させる、扱胴6を除いた脱穀部5を含むアクチュエータ駆動部63とを有する構成とされる。
【0059】
なお、これらバッテリーBは、例えば、車両進行方向の機体右側に配設したグレンタンク12とは左右対称位置の機体左側の機台4上に配設させてもよい。また、このバッテリーBは二次電池であり、リチウムイオン電池や、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池など適宜使用することができる。
【0060】
そして、これらエンジンEおよび各電動モータM1〜M6から各駆動系への動力伝達は、図6に示すように、まず、エンジン駆動部62においては、エンジンEの動力は、脱穀クラッチcおよび変速ギアgなどを介してVベルトvにより扱胴6の駆動軸6aに伝達され、扱胴6はエンジンEの動力により駆動する。
【0061】
一方、エンジンEの動力は、発電機Dも駆動させるため、この発電機Dにより発電した電力が、後述する各インバータI1〜I6に接続したバッテリーBに充電される。
【0062】
そして、刈取部7では、例えば、刈取部7全体を駆動させる刈取入力軸7aにインバータI1に接続した刈取部電動モータM1の出力軸を連結する。なお、刈取部7は、引起タインチェン64を備える穀稈引起装置65や、掻込ベルト66を備える穀稈搬送装置67、刈刃駆動ユニット68を有する刈刃装置69などからなる周知の構成であり、これら装置間にはベルトやギアなど周知の機械式伝達機構で動力を中継することができるが、この発明は上記に限定されず、例えば、刈取部7内における各装置を駆動する入力軸にそれぞれインバータを介して電動モータを設置してもよい。
【0063】
また、脱穀部5のフィードチェーン18を駆動する入力軸18aには、インバータI2に接続した脱穀部電動モータM2が連結されるとともに、選別部19における揺動選別装置41の揺動駆動機構44および唐箕42、揚穀コンベアに連動する一番コンベア51a、二番還元コンベアに連動する二番コンベア52aなどを駆動する各入力軸には、それぞれインバータI3を構成するインバータI3a,I3b,I3c,I3dに接続した選別部電動モータM3を構成する選別部電動モータM3a,M3b,M3c,M3dが連結される。
【0064】
また、排藁処理部11の排藁搬送チェーン20や吸引ファン50などを駆動する入力軸には、インバータI4を構成するインバータI4a,I4bに接続した脱穀部電動モータM4を構成する脱穀部電動モータM4a,M4bが連結されるとともに、搬送部16では、縦オーガ13aおよび横オーガ13bに連動する排出コンベア12aを駆動する入力軸に、インバータI5に接続した脱穀部電動モータM5が連結される。
【0065】
次に、走行部3は、詳細を後述するが、上述の図6に示すように、クローラ式走行装置における左右駆動スプロケット3a,3bに、インバータI6を構成するインバータI6a,I6bに接続した走行部電動モータM6を構成する走行部電動モータM6a,M6bが連結される。
【0066】
このような構成にすることで、エンジン動力を作業部61の一部の駆動源に限定して用いることで、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化できるとともに、走行部3は、エンジン動力を伝達する機械式の動力伝達部材を必要とせず、走行部3の構成を簡素化することができる。
【0067】
特に、車両の駆動系の中で最も出力を要する扱胴6のみをエンジン動力にすることで、大量の穀稈を扱歯に巻き付けたり挟むなどして回転に大きな負荷がかかる扱胴6でも、円滑に回転駆動させることができるとともに、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化し、排ガスの低減と燃費を向上させることができる。
【0068】
次に、本願発明のアクチュエータ駆動源の冷却方法について、その具体的構成を説明する。図7は吸引ファンおよび排風口の設置を示す電動コンバインの平面図、図8は吸引ファンの設置を示す電動コンバインの正面図、図9は送風路(ダクト)に各電動モータおよびインバータを設置した平面模式図、図10はインバータの平面模式図、図11はインバータの側面模式図、図12は唐箕を用いた冷却風の送風路を示す電動コンバインの斜視図である。
【0069】
上述した、アクチュエータ駆動部63の駆動源として、刈取部電動モータM1、脱穀部電動モータM2、選別部電動モータM3、排藁処理部電動モータM4、搬送部電動モータM5、走行部電動モータM6をそれぞれ駆動制御するインバータI1〜I6は、例えば、車両の一側方(図例におけるグレンタンク12とは反対側の車両左側部)であって、図7に示すような車両の前後方向略直線の設置ライン100に沿って設けられたダクト104内に設置する。
【0070】
また、図8に示すように、この設置ライン100の先端である、車両前端面左側であって、例えば、刈取部3と、走行部7との間に位置する高さの、引起ケース及び引起タインを含む引起機構101間には、吸引ファン102が設置されるとともに、設置ライン100の終端である車両後端面左側には、排風口103が形成される。
【0071】
そして、吸引ファン102には、ダクト104の先端部が接続されるとともに、このダクト104の後部はバッテリーB上を縦断し、ダクト104の後端部が排風口103に接続される。つまり、吸引ファン102からダクト104内に吸引された冷却風は、このダクト104内を車両後方に向かって移動し、排風口103からダクト104外(機外)に排出される。
【0072】
従って、ダクト104内が冷却風の送風路105となり、この送風路105には、上述した各インバータI1〜I6が設置される。
【0073】
ダクト104の敷設に対するこれらインバータI1〜I6の設置方法は、例えば図9〜10に示すように、ダクト104の送風路105内であって、冷却風の流れを阻止しない程度の位置に、各インバータI1〜I6を順に設置することができる。
【0074】
このような構成により、駆動により発熱した各電動モータM1〜M6を、吸引ファン102から導入されてダクト104内を流れる冷却風によりダクト104を介して熱交換させ、それら各電動モータM1〜M6の熱を奪うことで、これら各電動モータM1〜M6を効率的に冷却し、これら各電動モータM1〜M6の加熱損傷を防ぐことができるとともに、熱交換により熱を奪った排風を、排風口103からダクト104外(機外)に効率的に排出させることができる。
【0075】
また、インバータI1〜I6は、例えば図11に示すように、下部が、複数の棒状フィンからなり、これらフィン間を空気(冷却風)が流通可能としたヒートシンクhを構成しており、各インバータI1〜I6におけるこれらヒートシンクhの部分を、ダクト104の送風路105内に設置することができる。
【0076】
このような構成にすることで、各電動モータM1〜M6の駆動制御をするために発熱し、下部のヒートシンクhから放熱される各インバータI1〜I6を、吸引ファン102から導入されてダクト104内を流れる冷却風によりダクト104を介して熱交換させ、それら各インバータI1〜I6の熱を奪うことで、これら各インバータI1〜I6を確実かつ効率的に冷却し、これらインバータI1〜I6の加熱損傷を防ぐことができるとともに、熱交換により熱を奪った排風を、排風口103からダクト104外(機外)に効率的に排出させることができる。なお、インバータI1〜I6は、ダクト104内にヒートシンクhの部分を配置することが冷却効率上最も好ましいが、このような配置に限定されず、ダクト104内にインバータI1〜I6本体を配置させてもインバータI1〜I6を冷却させることができる。
【0077】
なお、ダクト104の後部は、上述したようにバッテリーB上を縦断しているため、これら発熱したバッテリーBもダクト104内の冷却風により冷却させることができる。
【0078】
次に、上述では、ダクト104内の冷却風導入のために吸引ファン102を設置したが、この吸引ファン102の設置に替えて、選別部19に選別風を供給する唐箕42を用いることができる。
【0079】
この場合、図12に示すように、唐箕42と、排風口103とを上述同様にダクト104で連結し、唐箕42の吸引風の一部をダクト104内に導入し、これを冷却風として発熱した各インバータI1〜I6、およびバッテリーBを冷却することができる。
【0080】
なお、唐箕42の配設位置は、吸引ファン102の設置高さよりも低い位置に設けられているため、ダクト104の敷設位置も低くなるが、各インバータI1〜I6もダクト104の敷設高さに対応してダクト104内に設置させることで、インバータI1〜I6、およびバッテリーBを確実かつ効率的に冷却し、各電動モータMおよびインバータIの加熱損傷を防ぐことができる。
【0081】
次に、これら各インバータI1〜I6、およびバッテリーBを冷却し、それら機器より熱を奪って比較的高温となった排風を有効に活用することもできる。図13は排風口とグレンタンクのダクトによる連結を示す車両の背面図、図14はグレンタンク周辺の側面図である。
【0082】
図13に示すように、車両後端部の排風口103には、ダクト106の一端部を接続するとともに、ダクト106の他端部は、グレンタンク12外側面など(限定されない、背面でもよい)の下部に形成した乾燥風取込口107に接続される。
【0083】
また、図14に示すように、グレンタンク12上部の外側面(または/および周面など適宜位置)には、複数の排風口108が形成される。なお、それぞれの排風口108には、グレンタンク12内に貯留した穀粒が排風口108から排出されないように、穀粒の粒径よりも小さな網目を有するネットなどを装着してもよい。
【0084】
ここで、吸引ファン102または唐箕42により外気から取り込んだ冷却風は、上述したようにダクト104内において各インバータI1〜I6およびバッテリーBから奪った熱により比較的高温となり、この排風が排風口103からダクト106内に排出(導入)される。
【0085】
次いで、ダクト106内の排風は、吸引ファン102または唐箕42の吸引力による気流に沿ってグレンタンク12側へ移動し、乾燥風取込口107からグレンタンク12内に、穀粒の乾燥風として導入される。
【0086】
そして、グレンタンク12の下部からグレンタンク12内に導入された比較的高温の乾燥風は、グレンタンク12内に貯留される穀粒を乾燥させながらグレンタンク12内を上昇し、排風口108から機外へ排出される。
【0087】
このため、刈り取って脱穀選別したばかりの穀粒であって、特に穀粒が湿材時の場合には、グレンタンク12内で穀粒を乾燥させることができるため、穀粒をグレンタンク12内に円滑に投入でき、貯留効率を向上できるとともに、グレンタンク12内の貯留穀粒の重量を軽減でき、車両の重量バランスを維持することができる。さらには、穀粒の水分によるベタつきを無くすことで、排出オーガ13を介して機外に搬出する際における排出オーガ13の目詰まりを防ぐことができる。
【0088】
従って、各インバータI1〜I6およびバッテリーBを冷却させた後の排風を用いて刈り取って脱穀選別したばかりの穀粒を乾燥させることができるため、冷却風(排風)を有効利用することができる。
【0089】
以上詳述したように、この例の電動コンバイン1は、車両に原動機EおよびバッテリーBを搭載し、バッテリーBは、インバータI1〜I6を介して電動モータM1〜M6(アクチュエータ)に電力を供給するとともに、原動機Eおよび電動モータM1〜M6の各駆動源によって、クローラ式走行装置を備える車両の走行部3と、複数の処理部からなる作業部61とを駆動し、走行部3は、電動モータM6の動力で駆動させるとともに、作業部61は、電動モータM1〜M5の動力で駆動させるアクチュエータ駆動部63と、原動機Eの動力により駆動させる原動機駆動部62とを備え、さらに、車両前部に設けた吸引ファン102により導入する冷却風の送風路105中途部に電動モータM1〜M6を駆動するインバータI1〜I6を設置し、送風路105終端の車両後端部に排風口103を設け、冷却風により少なくともインバータI1〜I6を冷却させる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
なお、この発明は、圃場の穀稈を連続的に刈取って脱穀する、駆動源にエンジンなどの原動機および電動モータを併用したあらゆる電動コンバインに適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
12 グレンタンク
13 排出オーガ
42 唐箕
62 原動機駆動部
63 アクチュエータ駆動部
100 設置ライン
101 引起機構
102 吸引ファン
103,108 排風口
104,106 ダクト
105 送風路
107 乾燥風取込口
B バッテリー
E 原動機
I1〜I6 インバータ
M1〜M6 アクチュエータ(電動モータ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動源に原動機およびアクチュエータを併用する電動コンバイン関し、より詳細には、車両前部に設けた吸引ファンにより導入する冷却風の送風路中途部にアクチュエータおよび、このアクチュエータを駆動するインバータを設置し、送風路終端の車両後端部に排風口を設け、冷却風により少なくともインバータを冷却させる電動コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバイン(農作業車両)は、車体に搭載した原動機としてのエンジンの駆動力により、各種機械式の動力伝達機構を介してクローラなどの車両の走行部や、刈取、脱穀など複数の処理部からなる作業部を駆動させていた。しかし、近年、環境問題が重視される中で、大気汚染の軽減や燃費節約の機運が高まっており、動力源として、車両にエンジンと電動モータを搭載したハイブリッド型のコンバインが提唱されている。これは、車両が、エンジンと電動モータの二つの駆動源を持ち、それを使い分けることによって排ガスの低減と燃費を稼ぐものである。その一例として、車両にエンジンや発電機、バッテリー、処理部に設けた電動モータなどを搭載し、エンジンの動力で車両の走行部を駆動させるとともに、このエンジンの駆動により発電機を作動させ、発電した電力を、バッテリーを介して電動モータに供給し、刈取装置や脱穀装置など作業部を駆動させるもの(例えば、特許文献1)がある。
【0003】
また、作業部として、脱穀部の扱胴を駆動するエンジンとは別個に、扱胴に補助出力用モータを設け、扱胴の駆動に連動させた車速を減少するなどした際、既に刈り取られている穀桿がそのまま脱穀部に搬送されるために搬送量が低減されず、扱胴に過負荷が生じた場合には、補助出力用モータを作動させて、補助出力用モータがエンジンと協働して扱胴を駆動し、扱胴のアシスト制御を行うようにしたもの(例えば、特許文献2)がある。
【0004】
さらには、走行装置、刈取装置および脱穀装置を駆動させる電動モータを各別に備え、走行負荷が増大し走行用電動モータのトルク不足が生じたときは、脱穀用電動モータの無段変速装置から各ギヤの噛合連動を経て伝動クラッチを入切させて、脱穀用電動モータを走行用電動モータに連動させることにより、脱穀用電動モータの余裕出力を利用して走行用電動モータのトルク不足を補助するもの(特許文献3)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−095057号公報
【特許文献2】特開2007−111012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のようなコンバインでは、作業部の駆動源に電動モータを用いており、特に脱穀部における扱胴は、発電機により発電した電力を用いて作動する電動モータにより駆動させている。しかしながら、この扱胴は、重量を有するうえ、大量の穀稈を扱歯に巻き付けたり挟んだりして回転するため、コンバイン全体の駆動系における全出力の50〜60%前後にも相当する大きな出力を要し、上述した電動モータでは、このような扱胴を十分に回転駆動させることができず、扱胴の回転停止や、それに伴う各作業部への穀稈詰まりなど、作業能率を著しく低下させてしまう問題があった。さらには、エンジンの動力で走行部を駆動させているため、歯車や軸など多数の動力伝達部材を必要とすることから構成を複雑にしている。
【0007】
このように、車両の動力源として、エンジンと電動モータを搭載したハイブリッド型のコンバインが提案されており、これは、車両が、エンジンと電動モータの2つの駆動源を持ち、それらを使い分けることによって、排ガスの低減と燃費を向上させるものである。
【0008】
しかしながら、上述したハイブリッド型のコンバインにおいて、電動モータを駆動させるためのインバータは、使用しているパワー素子の耐圧、電流容量に対する負荷率によって発熱量が決まり、加熱によるインバータ破壊の防止のため、一般的にはヒートシンクにより冷却している。そのため、インバータ形状の大型化は避けられず、搭載配置の制約を受ける問題があった。
【0009】
そして、車両内の狭いスペースに多くの電動モータを設置しているため、それら電動モータを駆動制御するインバータの加熱を効率的に冷却できず、インバータの損傷や、車両内の温度上昇が各装置に悪影響を及ぼす問題もあった。また、作業部で処理を終えたグレンタンク内に導入された穀粒が湿材時の場合に、穀粒を貯留したグレンタンクの重量増加や、排出オーガの目詰まりを引き起こすなどして、作業効率を低下させる問題もあった。
【0010】
そこで、この発明の目的は、インバータを効率的に冷却してそれらの加熱損傷および車両内の温度上昇を防止し、さらにその高温となった排風を有効利用するとともに、各動力源を最適な動力配分とすることで、作業効率の向上を図り、環境負荷を軽減させた電動コンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、請求項1に記載の発明は、車両に原動機およびバッテリーを搭載し、前記バッテリーは、前記車両の中央近傍に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記原動機およびアクチュエータの各駆動源によって、クローラ式走行装置を備える前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動コンバインにおいて、前記走行部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるとともに、前記作業部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、前記原動機の動力により駆動させる原動機駆動部とを備え、さらに、前記車両前部に設けた吸引ファンにより導入する冷却風の送風路中途部に前記アクチュエータおよび該アクチュエータを駆動するインバータを設置し、前記送風路終端の前記車両後端部に排風口を設け、前記冷却風により少なくとも前記インバータを冷却させることを特徴とする電動コンバイン。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動コンバインにおいて、前記吸引ファンは、前記作業部に選別風を送風する唐箕ファンを用いたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電動コンバインにおいて、前記冷却風は、ダクトを介して前記インバータの内部または前記インバータ下部に設けたヒートシンクに導入することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電動コンバインにおいて、前記排風口には、前記作業部で選別した穀粒を貯留するグレンタンク内に排風を導入させるダクトを接続したことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電動コンバインにおいて、前記グレンタンクには、排風口を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、車両に原動機およびバッテリーを搭載し、バッテリーは、車両の中央近傍に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、原動機およびアクチュエータの各駆動源によって、クローラ式走行装置を備える車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動コンバインにおいて、走行部は、アクチュエータの動力で駆動させるとともに、作業部は、アクチュエータの動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、原動機の動力により駆動させる原動機駆動部とを備え、さらに、車両前部に設けた吸引ファンにより導入する冷却風の送風路中途部にアクチュエータおよびこのアクチュエータを駆動するインバータを設置し、送風路終端の車両後端部に排風口を設け、冷却風により少なくともインバータを冷却させるので、排ガス低減および燃費向上対策として、電動モータおよびこの電動モータを駆動させるインバータの増設に伴い、インバータから発生する発熱量が増加するため、インバータを、車両前部に設けた吸引ファンにより強制的に導入する冷却風で効率的に冷却し、インバータの加熱損傷を防ぎ、熱交換した高温排風を車両後端部の排風口より効率的に排出させて、機体内部の温度上昇を抑制することができる。従って、装置の加熱損傷を防ぐとともに、環境負荷を軽減させた電動コンバインを提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、吸引ファンは、作業部に選別風を送風する唐箕ファンを用いたので、既存の唐箕ファンを用いて、電動モータおよびインバータを効率的に冷却し、電動モータおよびインバータの加熱損傷を防ぐことができる。従って、装置の加熱損傷を防止した電動コンバインを提供することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、冷却風は、ダクトを介してインバータの内部またはインバータ下部に設けたヒートシンクに導入するので、吸引ファンにより導入する冷却風を、ダクトによってインバータに確実に導入し、インバータを効率的に冷却させることができる。従って、装置の加熱損傷を確実に防止した電動コンバインを提供することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、排風口には、作業部で選別した穀粒を貯留するグレンタンク内に排風を導入させるダクトを接続したので、電動モータおよびインバータを冷却して高温となった排風をグレンタンク内に導入し、穀粒が湿材時でもタンク内で乾燥させることで、貯留や機外への排出(移送)効率を向上させることができる。従って、作業性を向上した電動コンバインを提供することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、グレンタンクには、排風口を設けたので、電動モータおよびインバータを冷却し、グレンタンク内に導入された排風でタンク内の穀粒を乾燥させた後、この排風をタンク内から効率的に排出させることで、タンク内の穀粒乾燥を確実に行うことができる。従って、作業性を向上した電動コンバインを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る電動コンバインの一例を示した左側面図である。
【図2】電動コンバインの平面図。
【図3】穀稈搬送装置の左側面図である。
【図4】脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【図5】電動コンバインの動力伝達構成図である。
【図6】電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図である。
【図7】吸引ファンおよび排風口の設置を示す電動コンバインの平面図である。
【図8】吸引ファンの設置を示す電動コンバインの正面図である。
【図9】通風路(ダクト)に各電動モータおよびインバータを設置した平面模式図である。
【図10】インバータの平面模式図である。
【図11】インバータの側面模式図である。
【図12】唐箕を用いた冷却風の通風路を示す電動コンバインの斜視図である。
【図13】排風口とグレンタンクのダクトによる連結を示す車両の背面図である。
【図14】グレンタンク周辺の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1はこの発明の一例としての電動コンバインの右側面図、図2は電動コンバインの左側面図、図3は穀稈搬送装置の左側面図、図4は脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【0023】
まず、電動コンバイン1は、図1〜3に示すように、左右一対の機体フレーム2に、左右一対のクローラ式走行装置である走行部3を装設し、これら左右機体フレーム2に機台4が架設される。また、機台4上には、引起機構8、刈刃9、収穫物搬送手段10などを備える刈取部7や、フィードチェーン18を機体左側に張架し、扱胴6を内蔵する脱穀装置である脱穀部5、排藁チェーン終端を臨ませる排藁処理部11、脱穀部5からの籾を、揚穀筒を介して搬入するグレンタンク12、このグレンタンク12の籾を機外に搬出する搬送部16としての排出オーガ13などが設置される。
【0024】
さらに、機体前部の機台4上には、ハンドル14や運転席15、および運転席15下方には、エンジン(原動機)Eや、後述する発電機DおよびバッテリーBなどが設けられており、これら構成により自脱型の電動コンバイン1が連続的に稲などの農作物を刈取って脱穀するように構成されている。
【0025】
そして、機台3の後部には、グレンタンク12内の籾を外部へ排出するための排出オーガ13の縦オーガ13aが立設されるとともに、この縦オーガ16aの上端部には横オーガ13bが連設されている。この縦オーガ13aを中心として、グレンタンク12が左右回動可能に設けられて、グレンタンク12の前側を外方に回転させて開放可能に構成されている。また、機台3の後部には、脱穀部5に連続して穀稈搬送装置17が内設されている。
【0026】
刈取部7で刈り取られた穀稈は、収穫物搬送手段10にて後部へ搬送され、収穫物搬送手段10の上端から株元側が穀稈搬送装置17のフィードチェーン18に受け継がれ、扱胴6の供給始端部を介して脱穀部5および選別部19からなる脱穀装置内に穀稈が搬送される。そして、フィードチェーン18後端には、排藁搬送チェーン20が配設され、この排藁搬送チェーン20後部下方には、カッター,結束機などからなる図示しない排藁処理部が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出し、或いは切断せずに放出するようにしている。
【0027】
脱穀部5は、コンバイン1の進行方向左側に配置され、脱穀部4の右側には選別後の精粒を貯留するグレンタンク12が配設されている。そして、グレンタンク12の前方には運転席15が配設されている。つまり、運転席15は、機体の進行方向右前部に配置されている。一方、グレンタンク12の後方には、排出オーガ13の縦オーガ13aが立設され、縦オーガ16を中心にして排出オーガ13およびグレンタンク12が側方へ回動可能とし、グレンタンク12を側方へ回動することにより機体内側のメンテナンスを容易にしている。
【0028】
そして、グレンタンク12の底部には、後述する排出コンベア12aが前後方向に配設され、該排出コンベアの後部が縦オーガ13aの下部に連通されるとともに、排出コンベア16後部から排出オーガ13に動力が伝達されて、横オーガ13bの先端よりトラックなどに、グレンタンク12内の穀粒を排出できるようにしている。さらに、脱穀部5の下方には、選別部19が配設され、脱穀部5から流下する穀粒や藁屑等から穀粒を選別し、精粒をグレンタンク12に搬送したり、藁屑などを機外に排出するようにしている。
【0029】
穀稈搬送装置17は、上述の脱穀部5において、刈り取った穀稈の一端(株元側)を挟扼しながら搬送するためのものであり、刈取部7で刈り取った穀稈を排藁搬送チェーン20まで搬送するフィードチェーン18と、フィードチェーン18上方に配設され、搬送されている穀稈を挟扼する挟扼杆21と、挟扼杆21を本機側に対して弾性支持する複数の弾性支持体22などとから構成されている。
【0030】
この穀稈搬送装置17においては、対向配置される挟扼杆21とフィードチェーン18とによって、刈取部7で刈り取った穀稈の株元側を挟扼し、扱室31内の扱胴6によって脱穀する構成となっており、この挟扼杆21とフィードチェーン18とが対向した部分を搬送経路としている。そして、脱穀部5にて脱粒された排藁は、フィードチェーン18の後端部(下流側端部)において、排藁搬送チェーン20へと受け継がれ、この排藁搬送チェーン20によって、前記排藁処理部へと搬送される。
【0031】
挟扼杆21は、ステー23などによって固設される支持杆24と、支持杆24に複数の弾性支持体22を介して弾性支持して設けられている。この挟扼杆21は、フィードチェーン18に沿うように左右平行状に一対の板状部材が配置された形状となっており、フィードチェーン18による搬送方向断面視逆U字状に形成されている。
【0032】
支持杆24は、中空の柱状部材であり、図示しない扱室カバー内の左側において前後方向に長く、挟扼杆21と並列的に配置されるように形成されている。そして、この支持杆24の側面には、一定間隔ごとに弾性支持体22が、その上部が支持されるとともに配設され、これら弾性支持体22の下部に挟扼杆21が弾性支持されている。この弾性支持体22の下部は、挟扼杆21に連結ピンで枢支されており、弾性支持体22の上部は支持杆24よりも上方に延出されている。
【0033】
次に、脱穀部5について説明する。図4に示すように、脱穀部5に形成された扱室31には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴6が設けられ、この扱胴6の外周面には複数の扱歯32が植設されている。そして、扱胴6の下部周辺を覆うように半円形状の受網33が着脱可能に周設されている。
【0034】
一方、フィードチェーン18により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端側が扱胴6の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴6の回転により脱粒が行われ、受網33から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
【0035】
続いて、選別部19について説明する。選別部19は、揺動選別装置41による揺動選別と唐箕42による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
【0036】
揺動選別装置41は、機枠43内に収納される。揺動選別装置41の前端部は、扱胴6の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置41前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には後述の揺動駆動機構44が設けられ、この揺動駆動機構44によって揺動選別装置41が機枠43に対して揺動するように構成されている。なお、揺動駆動機構44の後下方には燃料タンク(不図示)が配置されている。
【0037】
揺動選別装置41の前部には、流穀板45が設けられるとともに、この流穀板45の後下方に搬送板46が設けられる。これら流穀板45および搬送板46は、板状の部材を波形に成形したものであり、受網33を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は、流穀板45および搬送板46上に落下し、揺動選別装置41の揺動により機体後方に搬送される。
【0038】
そして、搬送板46後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ(篩分装置)47が連設されるとともに、このグレンシーブ47と搬送板46の上方、かつ流穀板45の後方には、第一選別部であるチャフシーブ48が被装されている。さらに、チャフシーブ48の後方には、ストローラック49が配設される。
【0039】
チャフシーブ48は、複数のチャフフィンから構成され、投入される処理物の量に応じてチャフフィンの開度を調節することを可能としている。すなわち、チャフフィンの上下一側端部が揺動選別装置41に枢支されて、チャフシーブ48左右両側に設けられた揺動板に枢結され、また、他側端部がチャフシーブ48の左右両側に設けられた不図示の摺動板に枢結されている。
【0040】
上記摺動板は、揺動選別装置41と一体的に揺動されるとともに、この摺動板には図示しない調節レバーが枢結されており、該調節レバーに連結された図示しないワイヤの弛緩又は牽引により、この摺動板が前後に摺動される。なお、前記調節レバーは、上述のワイヤと反対側に設けられた図示しないバネによって各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とする方向に付勢されている。
【0041】
そして、前記摺動板の摺動によりチャフフィンの角度が変更され、このチャフフィンの傾斜角を大(立てる)とさせるとき、チャフシーブ48の開度を大として穀粒の漏下量を増大させ、各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とさせるときチャフシーブ48の開度を小として穀粒の漏下量を減少させるように構成している。
【0042】
こうして、穀粒および細かい藁屑は、チャフシーブ48を通過して下方に落下し、チャフシーブ48の開口よりも大きい藁屑などは後方に搬送される。このとき、チャフシーブ48とグレンシーブ47との間には、唐箕42により選別部19の前方から後方への気流が発生しており、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【0043】
この唐箕42は、揺動選別装置19における前流穀板45の後部下方かつ後流穀板46の前部下方に配置され、チャフシーブ48やグレンシーブ47に選別風を送風するようにしている。
【0044】
そして、揺動選別装置41の後端部近傍には、吸引ファン50が全幅に横設され、唐箕42から供給される選別風の流れに乗ってきた塵埃や脱穀時に発生する塵埃などを、吸引ファン50により吸引して機外へと排出するようにしている。
【0045】
選別部19内に投入され、前流穀板45上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、チャフシーブ48上に漏下される過程において、唐箕42により発生する選別部19の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。
【0046】
そして、チャフシーブ48上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、揺動選別装置41の揺動により、後方に搬送される、このとき、これら穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、チャフシーブ48の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ48の後方まで搬送され、ストローラック49を経て機外に排出される。
【0047】
また、チャフシーブ48の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、後流穀板46およびグレンシーブ47上に漏下される。このときも唐箕42からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
【0048】
さらに、グレンシーブ47上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などのうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑などは、グレンシーブ47を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番)は一番回収部51に回収され、後述する一番コンベア51aから図示しない揚穀コンベアを経て、グレンタンク12に搬送される。
【0049】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒などが混じった未処理粒は、唐箕42からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番回収部52に回収され、後述する二番コンベア52aから図示しない二番還元コンベアを経て、前流穀板45上(またはチャフシーブ48上)に再投入される。
【0050】
次に、本願発明の電動コンバインの動力伝達構成について説明する。図5は電動コンバインの動力伝達構成図、図6は電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図である。
【0051】
本願発明の電動コンバイン1は、走行部3および脱穀部5や刈取部7など複数の処理部からなる作業部61を構成した駆動系の駆動源を、電動モータM(アクチュエータ)とエンジン(原動機)Eとを併用し、作業部61の一部の駆動源を、エンジンEの動力にしたものである。
【0052】
図1にも示したように、車両左側部の、例えば、フィードチェーン18と、走行部3との間であって、車両前後方向の機台4上には、詳細を後述するバッテリーBが複数並設(図例では7個だが、設置数は限定されない)される。
【0053】
また、エンジンE近傍の機台4上には、エンジンEの図示しないクランク軸などに接続した発電機Dが設置されており、この発電機DはバッテリーBに接続されている。従って、エンジンEの動力により駆動させた発電機Dによって発電した比較的電圧の高い電力が、バッテリーBに充電され、後述する車両の駆動系の駆動源に用いられる。
【0054】
なお、エンジンEには、上述した発電機Dの他に、図示しない周知のオルタネータも設置されており、エンジンEの動力により駆動させたオルタネータによって発電した比較的電圧の低い電力が、別途設置した図示しないバッテリーを介して車両のライト、あるいはキャビンを装備する車両においてはエアコンなどの電源に用いられる。
【0055】
これらエンジンEおよび発電機Dを用いた電動コンバイン1の動力伝達構成は、図5に示すように、まず、エンジンEには、発電機Dおよび作業部61を構成する脱穀部5の扱胴6のみが接続される。そして、発電機Dには、バッテリーBが接続されている。
【0056】
また、バッテリーBには、車両の上記扱胴6以外の作業部61であって、刈取部7を駆動させる各駆動部に設置した、刈取部電動モータM1と、脱穀部5を駆動させる扱胴6以外の各駆動部に設置した脱穀部電動モータM2と、選別部19を駆動させる各駆動部に設置した選別部電動モータM3と、排藁処理部11を駆動させる各駆動部に設置した排藁処理部電動モータM4と、搬送部16を駆動させる各駆動部に設置した搬送部電動モータM5とが、それぞれインバータI1〜I5および図示しないドライバを介して接続されている。
【0057】
さらに、バッテリーBには、走行部3を駆動させる駆動部に、走行部電動モータM6が、インバータI6や図示しないドライバを介して接続されている。なお、各電動モータM1〜M6は、アクチュエータの例示であって、その構成は限定されない。
【0058】
つまり、作業部61には、エンジンEの動力により駆動(扱胴6)させる、原動機駆動部62と、バッテリーBの電力により各モータM1〜M5の動力により駆動させる、扱胴6を除いた脱穀部5を含むアクチュエータ駆動部63とを有する構成とされる。
【0059】
なお、これらバッテリーBは、例えば、車両進行方向の機体右側に配設したグレンタンク12とは左右対称位置の機体左側の機台4上に配設させてもよい。また、このバッテリーBは二次電池であり、リチウムイオン電池や、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池など適宜使用することができる。
【0060】
そして、これらエンジンEおよび各電動モータM1〜M6から各駆動系への動力伝達は、図6に示すように、まず、エンジン駆動部62においては、エンジンEの動力は、脱穀クラッチcおよび変速ギアgなどを介してVベルトvにより扱胴6の駆動軸6aに伝達され、扱胴6はエンジンEの動力により駆動する。
【0061】
一方、エンジンEの動力は、発電機Dも駆動させるため、この発電機Dにより発電した電力が、後述する各インバータI1〜I6に接続したバッテリーBに充電される。
【0062】
そして、刈取部7では、例えば、刈取部7全体を駆動させる刈取入力軸7aにインバータI1に接続した刈取部電動モータM1の出力軸を連結する。なお、刈取部7は、引起タインチェン64を備える穀稈引起装置65や、掻込ベルト66を備える穀稈搬送装置67、刈刃駆動ユニット68を有する刈刃装置69などからなる周知の構成であり、これら装置間にはベルトやギアなど周知の機械式伝達機構で動力を中継することができるが、この発明は上記に限定されず、例えば、刈取部7内における各装置を駆動する入力軸にそれぞれインバータを介して電動モータを設置してもよい。
【0063】
また、脱穀部5のフィードチェーン18を駆動する入力軸18aには、インバータI2に接続した脱穀部電動モータM2が連結されるとともに、選別部19における揺動選別装置41の揺動駆動機構44および唐箕42、揚穀コンベアに連動する一番コンベア51a、二番還元コンベアに連動する二番コンベア52aなどを駆動する各入力軸には、それぞれインバータI3を構成するインバータI3a,I3b,I3c,I3dに接続した選別部電動モータM3を構成する選別部電動モータM3a,M3b,M3c,M3dが連結される。
【0064】
また、排藁処理部11の排藁搬送チェーン20や吸引ファン50などを駆動する入力軸には、インバータI4を構成するインバータI4a,I4bに接続した脱穀部電動モータM4を構成する脱穀部電動モータM4a,M4bが連結されるとともに、搬送部16では、縦オーガ13aおよび横オーガ13bに連動する排出コンベア12aを駆動する入力軸に、インバータI5に接続した脱穀部電動モータM5が連結される。
【0065】
次に、走行部3は、詳細を後述するが、上述の図6に示すように、クローラ式走行装置における左右駆動スプロケット3a,3bに、インバータI6を構成するインバータI6a,I6bに接続した走行部電動モータM6を構成する走行部電動モータM6a,M6bが連結される。
【0066】
このような構成にすることで、エンジン動力を作業部61の一部の駆動源に限定して用いることで、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化できるとともに、走行部3は、エンジン動力を伝達する機械式の動力伝達部材を必要とせず、走行部3の構成を簡素化することができる。
【0067】
特に、車両の駆動系の中で最も出力を要する扱胴6のみをエンジン動力にすることで、大量の穀稈を扱歯に巻き付けたり挟むなどして回転に大きな負荷がかかる扱胴6でも、円滑に回転駆動させることができるとともに、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化し、排ガスの低減と燃費を向上させることができる。
【0068】
次に、本願発明のアクチュエータ駆動源の冷却方法について、その具体的構成を説明する。図7は吸引ファンおよび排風口の設置を示す電動コンバインの平面図、図8は吸引ファンの設置を示す電動コンバインの正面図、図9は送風路(ダクト)に各電動モータおよびインバータを設置した平面模式図、図10はインバータの平面模式図、図11はインバータの側面模式図、図12は唐箕を用いた冷却風の送風路を示す電動コンバインの斜視図である。
【0069】
上述した、アクチュエータ駆動部63の駆動源として、刈取部電動モータM1、脱穀部電動モータM2、選別部電動モータM3、排藁処理部電動モータM4、搬送部電動モータM5、走行部電動モータM6をそれぞれ駆動制御するインバータI1〜I6は、例えば、車両の一側方(図例におけるグレンタンク12とは反対側の車両左側部)であって、図7に示すような車両の前後方向略直線の設置ライン100に沿って設けられたダクト104内に設置する。
【0070】
また、図8に示すように、この設置ライン100の先端である、車両前端面左側であって、例えば、刈取部3と、走行部7との間に位置する高さの、引起ケース及び引起タインを含む引起機構101間には、吸引ファン102が設置されるとともに、設置ライン100の終端である車両後端面左側には、排風口103が形成される。
【0071】
そして、吸引ファン102には、ダクト104の先端部が接続されるとともに、このダクト104の後部はバッテリーB上を縦断し、ダクト104の後端部が排風口103に接続される。つまり、吸引ファン102からダクト104内に吸引された冷却風は、このダクト104内を車両後方に向かって移動し、排風口103からダクト104外(機外)に排出される。
【0072】
従って、ダクト104内が冷却風の送風路105となり、この送風路105には、上述した各インバータI1〜I6が設置される。
【0073】
ダクト104の敷設に対するこれらインバータI1〜I6の設置方法は、例えば図9〜10に示すように、ダクト104の送風路105内であって、冷却風の流れを阻止しない程度の位置に、各インバータI1〜I6を順に設置することができる。
【0074】
このような構成により、駆動により発熱した各電動モータM1〜M6を、吸引ファン102から導入されてダクト104内を流れる冷却風によりダクト104を介して熱交換させ、それら各電動モータM1〜M6の熱を奪うことで、これら各電動モータM1〜M6を効率的に冷却し、これら各電動モータM1〜M6の加熱損傷を防ぐことができるとともに、熱交換により熱を奪った排風を、排風口103からダクト104外(機外)に効率的に排出させることができる。
【0075】
また、インバータI1〜I6は、例えば図11に示すように、下部が、複数の棒状フィンからなり、これらフィン間を空気(冷却風)が流通可能としたヒートシンクhを構成しており、各インバータI1〜I6におけるこれらヒートシンクhの部分を、ダクト104の送風路105内に設置することができる。
【0076】
このような構成にすることで、各電動モータM1〜M6の駆動制御をするために発熱し、下部のヒートシンクhから放熱される各インバータI1〜I6を、吸引ファン102から導入されてダクト104内を流れる冷却風によりダクト104を介して熱交換させ、それら各インバータI1〜I6の熱を奪うことで、これら各インバータI1〜I6を確実かつ効率的に冷却し、これらインバータI1〜I6の加熱損傷を防ぐことができるとともに、熱交換により熱を奪った排風を、排風口103からダクト104外(機外)に効率的に排出させることができる。なお、インバータI1〜I6は、ダクト104内にヒートシンクhの部分を配置することが冷却効率上最も好ましいが、このような配置に限定されず、ダクト104内にインバータI1〜I6本体を配置させてもインバータI1〜I6を冷却させることができる。
【0077】
なお、ダクト104の後部は、上述したようにバッテリーB上を縦断しているため、これら発熱したバッテリーBもダクト104内の冷却風により冷却させることができる。
【0078】
次に、上述では、ダクト104内の冷却風導入のために吸引ファン102を設置したが、この吸引ファン102の設置に替えて、選別部19に選別風を供給する唐箕42を用いることができる。
【0079】
この場合、図12に示すように、唐箕42と、排風口103とを上述同様にダクト104で連結し、唐箕42の吸引風の一部をダクト104内に導入し、これを冷却風として発熱した各インバータI1〜I6、およびバッテリーBを冷却することができる。
【0080】
なお、唐箕42の配設位置は、吸引ファン102の設置高さよりも低い位置に設けられているため、ダクト104の敷設位置も低くなるが、各インバータI1〜I6もダクト104の敷設高さに対応してダクト104内に設置させることで、インバータI1〜I6、およびバッテリーBを確実かつ効率的に冷却し、各電動モータMおよびインバータIの加熱損傷を防ぐことができる。
【0081】
次に、これら各インバータI1〜I6、およびバッテリーBを冷却し、それら機器より熱を奪って比較的高温となった排風を有効に活用することもできる。図13は排風口とグレンタンクのダクトによる連結を示す車両の背面図、図14はグレンタンク周辺の側面図である。
【0082】
図13に示すように、車両後端部の排風口103には、ダクト106の一端部を接続するとともに、ダクト106の他端部は、グレンタンク12外側面など(限定されない、背面でもよい)の下部に形成した乾燥風取込口107に接続される。
【0083】
また、図14に示すように、グレンタンク12上部の外側面(または/および周面など適宜位置)には、複数の排風口108が形成される。なお、それぞれの排風口108には、グレンタンク12内に貯留した穀粒が排風口108から排出されないように、穀粒の粒径よりも小さな網目を有するネットなどを装着してもよい。
【0084】
ここで、吸引ファン102または唐箕42により外気から取り込んだ冷却風は、上述したようにダクト104内において各インバータI1〜I6およびバッテリーBから奪った熱により比較的高温となり、この排風が排風口103からダクト106内に排出(導入)される。
【0085】
次いで、ダクト106内の排風は、吸引ファン102または唐箕42の吸引力による気流に沿ってグレンタンク12側へ移動し、乾燥風取込口107からグレンタンク12内に、穀粒の乾燥風として導入される。
【0086】
そして、グレンタンク12の下部からグレンタンク12内に導入された比較的高温の乾燥風は、グレンタンク12内に貯留される穀粒を乾燥させながらグレンタンク12内を上昇し、排風口108から機外へ排出される。
【0087】
このため、刈り取って脱穀選別したばかりの穀粒であって、特に穀粒が湿材時の場合には、グレンタンク12内で穀粒を乾燥させることができるため、穀粒をグレンタンク12内に円滑に投入でき、貯留効率を向上できるとともに、グレンタンク12内の貯留穀粒の重量を軽減でき、車両の重量バランスを維持することができる。さらには、穀粒の水分によるベタつきを無くすことで、排出オーガ13を介して機外に搬出する際における排出オーガ13の目詰まりを防ぐことができる。
【0088】
従って、各インバータI1〜I6およびバッテリーBを冷却させた後の排風を用いて刈り取って脱穀選別したばかりの穀粒を乾燥させることができるため、冷却風(排風)を有効利用することができる。
【0089】
以上詳述したように、この例の電動コンバイン1は、車両に原動機EおよびバッテリーBを搭載し、バッテリーBは、インバータI1〜I6を介して電動モータM1〜M6(アクチュエータ)に電力を供給するとともに、原動機Eおよび電動モータM1〜M6の各駆動源によって、クローラ式走行装置を備える車両の走行部3と、複数の処理部からなる作業部61とを駆動し、走行部3は、電動モータM6の動力で駆動させるとともに、作業部61は、電動モータM1〜M5の動力で駆動させるアクチュエータ駆動部63と、原動機Eの動力により駆動させる原動機駆動部62とを備え、さらに、車両前部に設けた吸引ファン102により導入する冷却風の送風路105中途部に電動モータM1〜M6を駆動するインバータI1〜I6を設置し、送風路105終端の車両後端部に排風口103を設け、冷却風により少なくともインバータI1〜I6を冷却させる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
なお、この発明は、圃場の穀稈を連続的に刈取って脱穀する、駆動源にエンジンなどの原動機および電動モータを併用したあらゆる電動コンバインに適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
12 グレンタンク
13 排出オーガ
42 唐箕
62 原動機駆動部
63 アクチュエータ駆動部
100 設置ライン
101 引起機構
102 吸引ファン
103,108 排風口
104,106 ダクト
105 送風路
107 乾燥風取込口
B バッテリー
E 原動機
I1〜I6 インバータ
M1〜M6 アクチュエータ(電動モータ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に原動機およびバッテリーを搭載し、
前記バッテリーは、前記車両の中央近傍に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記原動機およびアクチュエータの各駆動源によって、クローラ式走行装置を備える前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動コンバインにおいて、
前記走行部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるとともに、前記作業部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、前記原動機の動力により駆動させる原動機駆動部とを備え、
さらに、前記車両前部に設けた吸引ファンにより導入する冷却風の送風路中途部に前記アクチュエータおよび該アクチュエータを駆動するインバータを設置し、前記送風路終端の前記車両後端部に排風口を設け、前記冷却風により少なくとも前記インバータを冷却させることを特徴とする電動コンバイン。
【請求項2】
前記吸引ファンは、前記作業部に選別風を送風する唐箕ファンを用いたことを特徴とする、請求項1に記載の電動コンバイン。
【請求項3】
前記冷却風は、ダクトを介して前記インバータの内部または前記インバータ下部に設けたヒートシンクに導入することを特徴とする、請求項1に記載の電動コンバイン。
【請求項4】
前記排風口には、前記作業部で選別した穀粒を貯留するグレンタンク内に排風を導入させるダクトを接続したことを特徴とする、請求項1に記載の電動コンバイン。
【請求項5】
前記グレンタンクには、排風口を設けたことを特徴とする、請求項4に記載の電動コンバイン。
【請求項1】
車両に原動機およびバッテリーを搭載し、
前記バッテリーは、前記車両の中央近傍に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記原動機およびアクチュエータの各駆動源によって、クローラ式走行装置を備える前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動コンバインにおいて、
前記走行部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるとともに、前記作業部は、前記アクチュエータの動力で駆動させるアクチュエータ駆動部と、前記原動機の動力により駆動させる原動機駆動部とを備え、
さらに、前記車両前部に設けた吸引ファンにより導入する冷却風の送風路中途部に前記アクチュエータおよび該アクチュエータを駆動するインバータを設置し、前記送風路終端の前記車両後端部に排風口を設け、前記冷却風により少なくとも前記インバータを冷却させることを特徴とする電動コンバイン。
【請求項2】
前記吸引ファンは、前記作業部に選別風を送風する唐箕ファンを用いたことを特徴とする、請求項1に記載の電動コンバイン。
【請求項3】
前記冷却風は、ダクトを介して前記インバータの内部または前記インバータ下部に設けたヒートシンクに導入することを特徴とする、請求項1に記載の電動コンバイン。
【請求項4】
前記排風口には、前記作業部で選別した穀粒を貯留するグレンタンク内に排風を導入させるダクトを接続したことを特徴とする、請求項1に記載の電動コンバイン。
【請求項5】
前記グレンタンクには、排風口を設けたことを特徴とする、請求項4に記載の電動コンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−217422(P2012−217422A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88524(P2011−88524)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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