説明

電動ステアリングロック装置

【課題】ロック部材が被ロック部材に噛み込んだ際の引き込み力確保と施解錠時の作動時間の短時間化とを両立することができる電動ステアリングロック装置を提供する。
【解決手段】電動ステアリングロック装置は、モータの回転力で回転シャフト12を回し、この回転力をロックストッパ15の直線運動に変換してロックバーを直線動させて施解錠状態を切り換える。モータと回転シャフト12との間に、ウォームギア33と遊星ギア37とから成る多段減速ギア機構を設ける。多段減速ギア機構は、ロックバーが被ロック部材に噛み込んでいない無負荷作動時は、作動時間を優先すべくウォームギア33を主とする1段目の低減速比で回転シャフト12を回転させ、ロックバーが被ロック部材に噛み込んだ負荷作動時は、作動トルクを確保すべくウォームギア33及び遊星ギア37の両方を働かせる2段目の高減速比で回転シャフト12を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばモータ等を駆動源に作動し、ステアリング部材の回動操作を規制又は開放する電動ステアリングロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の操作性向上を目的として、機械的なキー操作を行うことなく車両のドア施解錠やエンジン始動等の各種動作を行うことが可能な電子キーシステムが開発されている。この種の電子キーシステムは、ユーザ(運転者)が電子キーを携帯してドアに近づけばドアロックが解錠され、遠ざかれば施錠されるキーレスエントリー機能や、キーをシリンダに差し込まなくても運転席に設けたイグニッションスイッチを操作すればエンジンが始動するイグニッション機能等を備えたシステムである。この種の電子キーシステムでは機械的なキー操作が行われないので、車両にステアリングロック機能を搭載するには、例えばモータ等を駆動源とする電動ステアリングロック装置を用いる必要がある。ステアリングロック装置の一例は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
図8に特許文献1の電動ステアリングロック装置81の概略構成を示すと、この電動ステアリングロック装置81には、駆動源としてモータ82が設けられている。モータ82には、減速機構として働くウォームギア83を介して回転シャフト84が連結されている。この回転シャフト84には、ネジ部85を介してロックストッパ86が、回転シャフト84の軸方向に沿って直線移動可能に連結されている。このロックストッパ86には、ステアリングシャフト(図示略)側の被ロック部材87の凹部87aに係脱可能なロックバー88が取り付けられている。モータ82と回転シャフト84とをウォームギア83等の減速機構で連結するのは、ロックバー88を凹部87aに係脱する際の作動トルクを確保するためである。
【0004】
電動ステアリングロック装置81が解錠状態の際、例えばモータ82が正転すると、この時のモータ回転力がウォームギア83を介して減速されつつ回転シャフト84に伝達され、回転シャフト84が回転する。回転シャフト84とロックストッパ86とはネジ部85で連結されていることから、回転シャフト84が回転するとシャフト回転力がネジ部85によりロックストッパ86の前進力に変換され、ロックストッパ86がステアリングシャフト側の被ロック部材87の凹部87aに係合してステアリングロックが施錠状態となる。なお、電動ステアリングロック装置81の解錠動作は、各部品の動きが施錠動作の時と逆なだけであるので、ここでは省略する。
【特許文献1】特開2003−276565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、施錠状態の電動ステアリングロック装置81を解錠状態にする際、場合によってはロックバー88が被ロック部材87の凹部87aに噛み込むことがある。そこで、現状の電動ステアリングロック装置81においては、減速機構には減速比が小さければ(即ち、高減速比)、その分だけトルク力(負荷力)が大きくなる特性があるので、ウォームギア83による減速比をできるだけ小さく設定することにより、ロックバー88の引き込み力を大きなものとし、ロックバー88が噛み込み状態になった負荷作動時においてロックバー88を手前側に引き込めるようにすることで対応している。
【0006】
しかし、この種の減速機構は高減速比になると出力側の駆動量が小さくなってしまうので、ウォームギア83を高減速比としてロックバー88の引き抜き力を大きくすると、それに相反して、施解錠作動時に要するモータ82の作動時間が長くなってしまう。モータ82の作動時間が長くなると、施解錠時間が長くなって操作者に不快感を与えることになり、モータ82の作動音が聞こえる場合はこれが長時間に渡り発生する状態となり、これが異音として聞こえ、このこともユーザに不快感を与える原因となってしまう問題もある。
【0007】
逆に、作動時間の短時間化を狙ってウォームギア83の減速比を大きく設定する(即ち低減速比)と、作動時間は短くなるものの、ロックバー88が噛み込んだ際にこれを引き出すのに充分な引き込み力が得られなくなり、以上のことからロックバー88の引き込み力確保と作動時間の短時間化とを両立させるのが困難である問題があった。また、このような引き込み力は、ロックバー88が噛み込み状態になったときの負荷作動時のみ必要であり、それ以外の無負荷作動時においては不要であることから、本願発明の思想は引き抜き力が不要な時に減速機構の減速比を大きくして作動時間を短くし、引き抜き力が必要なときに減速機構の減速値を低くすることを着目点としている。
【0008】
本発明の目的は、ロック部材が被ロック部材に噛み込んだ際の引き込み力確保と施解錠時の作動時間の短時間化とを両立することができる電動ステアリングロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明では、モータの回転力を減速機構で減速して回転シャフトに伝達することにより当該回転シャフトを回転させ、当該回転シャフトの回転運動を送り機構でロック部材の直線運動に変換して当該ロック部材を直線方向に往復動させることにより、当該ロック部材をステアリング部材側の被ロック部材に係脱させてステアリングロックを施解錠する電動ステアリングロック装置において、前記減速機構は、前記ステアリングロックの解錠時に前記被ロック部材への前記ロック部材の噛み込み有無によって減速比を切り換え可能な多段減速機構であって、前記解錠時に前記ロック部材が前記被ロック部材に噛み込んでいない無負荷作動時、前記モータの回転力を低減速比で前記ロック部材に伝達して当該ロック部材を低トルク力で引き抜き、前記解錠時に前記ロック部材が前記被ロック部材に噛み込む負荷作動時、前記モータの回転力を高減速比で前記ロック部材に伝達して当該ロック部材を高トルク力で引き抜くことを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、電動ステアリングロック装置が解錠動作を行う際、モータの回転力が減速機構を介して回転シャフトに伝達されて回転シャフトが回転運動し、この時のシャフト回転が送り機構でロック部材の手前側の直線動に変換されてロック部材が被ロック部材から引き抜かれる動きをとる。このとき、例えばロック部材が被ロック部材に噛み込んでいなければロック部材には何ら外力が加わらないことから、減速機構はモータ回転力を低減速比で回転シャフトに伝えてロック部材を被ロック部材から引き抜く。このように、モータ回転力が低減速比で回転シャフトに伝達されるのであれば、モータの1回転当たりに対する回転シャフトの回転量が多くとれるので、ロック部材の引き抜きに必要な作動時間が短くなり、ステアリングロックの解錠動作時間が短時間化する。
【0011】
ところで、減速機構の特性としては出力側の作動時間とその時のトルク力(負荷力)とが相反する関係があるので、減速機構の減速比を低減速比とするとその分だけ回転シャフト側に生じ得るトルク力は小さくなり、低減速比の際は引き抜き力が小さくなる懸念が生じる。しかし、ロック部材が被ロック部材に噛み込んでいなければ、その際に必要となる引き抜き力は小さくても問題ないことから、作動時間を短くすべく減速機構の減速比を低減速比としても、この時にロック部材の引き抜き力が小さくなっても何ら問題はない。
【0012】
一方、電動ステアリングロック装置を解錠状態とすべくロック部材を被ロック部材から引き抜く際、ロック部材の係止状態によってはロック部材が被ロック部材に噛み込む状態となる場合もあり、この時は噛み込みを解消して引き抜く動作が必要となることから、大きな引き抜き力が必要となる。そこで、ロック部材が被ロック部材に噛み込んだ際には、減速機構はモータ回転力を高減速比で回転シャフトに伝えてロック部材をロック部材から引き抜く動きをとるので、大きなトルク力でロック部材を引き抜くことになり、ロック部材の噛み込みを解消して引き抜くことが可能である。そしてその後、ロック部材の噛み込み状態が解消していれば、減速機構は低減速比でロック部材を被ロック部材から引き抜く動作を再度行う動きをとる。
【0013】
以上により、本構成の減速機構は、ロック部材を被ロック部材から引き抜く際に、例えばロック部材が被ロック部材に噛み込んで大きな引き抜き力が必要な時は、その引き抜きを成し得る高減速比でモータの回転力を回転シャフトに伝達してロック部材の引き抜き動作を行い、一方でロック部材が被ロック部材に噛み込んでおらず、ロック部材の引き抜き時に小さな引き抜き力で済む場合や施錠動作時は、解錠動作時間の短時間化を満たすべく低減速比でモータの回転力を回転シャフトに伝達してロック部材の引き抜き動作を行う。従って、ロック部材が被ロック部材に噛み込んだ際の引き込み力確保と施解錠時の作動時間の短時間化とを両立することが可能となる。
【0014】
本発明では、前記減速機構は、前記モータの出力軸に取り付けられ、前記モータの回転力を減速して前記回転シャフトに伝達可能な伝達ギアと、前記回転シャフトにその軸心回りに沿って1以上取り付けられ、自身の軸心が前記回転シャフトの軸心と平行に並びつつ前記伝達ギアの従動ギア部に噛み合う遊星ギアと、前記遊星ギアに対し前記従動ギア部の噛み合い経路とは異なる経路で噛み合い、前記減速機構を支持する支持部の被係止部に係止可能な係止部を持つ連結ギアとを備え、前記無負荷作動時、前記ロック部材の引抜方向に沿わせて前記連結ギアを移動させることにより前記係止部と前記被係止部とを非係止とし、当該非係止によって前記遊星ギアを前記連結ギアと一体回転可能として当該遊星ギアの回転を制限することにより減速比を前記低減速比とし、前記負荷作動時、前記ロック部材に生じる反引抜方向の外力で前記連結ギアを当該反引抜方向に沿わせて移動させることにより前記係止部と前記被係止部とを係止させ、当該係止によって前記連結ギアの回転を制限して前記遊星ギアの回転を許容することにより減速比を前記高減速比とすることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、遊星ギアを用いた比較的構造の簡単なギア群で減速機構を多段式減速機構とすることが可能となる。
本発明では、前記係止部は、前記回転シャフトの軸心回りに沿って複数形成されるとともに、先端に向かうに従って尖った形状を成していることを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、減速機構が高減速比となる際に連結ギアの回転を規制するよう働く係止部はその先端が尖った形状を成しているので、減速機構が高減速比となるべく連結ギアの係止部がその係止先である被係止部に係止状態となる際、係止部が被係止部に係止し易くなり、係止部が被係止部に係止しない状況を生じ難くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ロック部材が被ロック部材に噛み込んだ際の引き込み力確保と施解錠時の作動時間の短時間化とを両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した電動ステアリングロック装置の一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示すように、自動車等の各種車両において運転席の前部位置には、円筒形状を成す樹脂製のコラムチューブ1が設けられている。コラムチューブ1の内部には、ステアリングホイールと車輪(ともに図示略)とを連結するステアリングシャフト2が回動可能に収納されている。ステアリングホイールが回動操作されると、その回動操作に伴ってステアリングシャフト2が回動し、ステアリングホイールの操作角度に応じた舵角に車輪が操舵される。なお、ステアリングシャフト2がステアリング部材に相当する。
【0019】
また、車両によっては、運転者が所有する携帯機が車両との間でID照合が成立すれば、ステアリングホイール近傍のエンジンスタートスイッチを操作するのみでエンジン始動を可能とするエンジンスタートシステムを備える車種がある。この種の車種の場合、コラムチューブ1には、電気的に動いてステアリングホイールの回動を禁止することにより、第三者による不正なステアリングホイール操作を禁止して車両盗難を防止する電動ステアリングロック装置3が設けられている。電動ステアリングロック装置3は、シフトレバーが駐車位置の際にブレーキペダルが踏み込まれつつスタートスイッチが押されると解錠状態となり、運転者が降車してドアが閉じられると施錠状態となる。
【0020】
電動ステアリングロック装置3には、各種ロック部品を収納する略箱形状を成した樹脂製のケース4が設けられている。電動ステアリングロック装置3は、このケース4と略円弧形状のブラケット5とでコラムチューブ1を挟み込みつつ、ケース4を複数(図1では1つのみ図示)のネジ6でブラケット5に組み付けることにより、コラムチューブ1に取り付け固定されている。電動ステアリングロック装置3のケース4は、一側面が開口した略箱形状のケース本体7と、そのケース本体7の開口部分を閉じる平板状の蓋部8とから成り、ネジ4aによって一体組み付けされている。なお、ケース4が支持部に相当する。
【0021】
ケース4の内部には、電動ステアリングロック装置3の駆動源としてモータ9が収納されている。蓋部8の内面には、上下左右に位置する4枚の支持板10を立設することにより収納部10aが形成され、この収納部10aにモータ9がスペーサ11を介して横向きに収納されている。モータ9は、電動ステアリングロック装置3の電源である車載バッテリが直流電源であることから、例えばDCモータが使用されている。
【0022】
モータ9の回転軸9aには、取り付け位置上で回転動作が可能な回転シャフト12が、複数のギア群から成るギア機構13を介して回転軸9aと交差する向きで連結されている。この回転シャフト12には、電動ステアリングロック装置3が施錠状態となる際にステアリングシャフト2側に係止するロックバー14が、ロックバー14の支持部品であるロックストッパ15を介して連結されている。なお、回転軸9aが出力軸に相当し、ギア機構13が減速機構(多段減速機構)に相当し、ロックバー14がロック部材に相当する。
【0023】
図2及び図3に示すように、ロックストッパ15は、回転シャフト12に外挿された状態で取り付けられ、回転シャフト12との取り付け箇所においてはネジ部16が設けられている。即ち、ロックストッパ15は、回転シャフト12の中央部にある大径部12aの外周に形成された雄ネジ17と、回転シャフト12を通す自身の挿通孔18の内周面に形成された雌ネジ19とを螺合することによって回転シャフト12に連結されている。ロックストッパ15の幅方向両側には、回転シャフト12の軸方向に沿って延びる一対のガイド片20,20が突設されている。また、ケース本体7の内面には、これらガイド片20,20が直線移動可能な状態で係止される一対の案内溝21,21が形成されている。なお、ロックストッパ15及びネジ部16が送り機構を構成する。
【0024】
モータ9が回転した際、モータ9の回転力がギア機構13を介して回転シャフト12に伝達されて回転シャフト12が回転運動することになるが、この回転シャフト12にネジ部16を介して連結されたロックストッパ15は、その両端にある一対のガイド片20,20でケース本体7の案内溝21,21に直線移動可能に支持されていることから、回転シャフト12の回転運動がロックストッパ15の直線運動に変換され、ロックストッパ15ひいてはロックバー14が回転シャフト12の軸方向に沿って直線移動する動きをとる。
【0025】
電動ステアリングロック装置3は、ロックバー14がアンロック位置に位置する解錠状態の際、例えばモータ9を正転させてロックストッパ15をステアリングシャフト2に向かって往動させることにより、アンロック位置にあるロックバー14をロック位置に位置させることで、ステアリングシャフト2の外周に設けた被ロック部材22の凹部22a(図1参照)にロックバー14を係止して施錠状態となる。また、電動ステアリングロック装置3は、ロックバー14がロック位置に位置する施錠状態の際、例えばモータ9を逆転させてロックストッパ15をステアリングシャフト2から離間する向きに復動させることにより、ロック位置にあるロックバー14をアンロック位置に向かい復動させることでロックバー14を被ロック部材22の凹部から離脱させて解錠状態となる。
【0026】
ロックストッパ15の下部には、回転シャフト12に対してその反対側(図1〜図3では下方側)に延びる張出部15aが設けられている。ロックバー14は、ロックストッパ15の張出部15aに組み付けられ、材質としては例えば鉄やアルミニウム等を用いた金属製となっている。ロックバー14は、ステアリングロックの施錠時にステアリングシャフト2側に飛び出す断面四角柱状を成す係止突14aと、その係止突14aを基端側で支持する四角枠形状の係止枠14bとを有する形状を成している。ロックバー14は、自身の係止枠14bを張出部15aに入り込ませ、ロックバー14をステアリングシャフト2側に常時付勢する第1付勢部材23を係止突14aと張出部15aとの間に介装させつつ、張出部15aの背面の係止凹部15bに係止枠14bを係止して抜け止めを施すことでロックストッパ15に組み付けられている。第1付勢部材23は、ロックバー14をステアリングシャフト2側に付勢することにより、被ロック部材22の各々の凹部22a,22aの間にある凸部22bにロックバー14が乗り上げることを防いでロックバー14が凹部22aへ確実に係止するように働く。
【0027】
図4に示すように、ケース本体7の側壁においてロックバー14の移動経路上には、ロックバー14をケース外部に導くケース側透孔24が貫設されている。また、コラムチューブ1においてケース本体7のケース側透孔24と相対する位置には、ケース外部に突出するロックバー14をコラムチューブ1内に導くコラム側透孔25が貫設されている。電動ステアリングロック装置3が施錠状態になるとき、ロックバー14はこれら透孔24,25を通じてステアリングシャフト2側に突出する。
【0028】
ケース4の内部には、電動ステアリングロック装置3のコントロールユニットとして機能するステアリングロックECU26が実装された基板27が収納されている。この基板27は、底面が開口した内部ケース28で電子部品実装面(図1では上面)が覆われた状態でケース4内に収納されている。内部ケース28の上壁には、ロックストッパ15の直線移動方向に沿って切り欠かれた案内部28aが凹設され、ロックストッパ15の張出部15aは内部ケース28側に飛び出しているが、ロックストッパ15が直線移動する際には張出部15aが案内部28aを通ることでロックストッパ15の直線移動が許容されている。また、内部ケース28には、ロックストッパ15をロック側に常時付勢して施錠時のモータ空回りを防ぐ第2付勢部材29が取り付けられている。
【0029】
基板27には、ロックバー14(ロックストッパ15)がロック位置又はアンロック位置に位置したか否かを検出する一対のホール素子30,31が実装されている。また、ロックストッパ15の張出部15aには、例えば焼結磁石等から成る磁石32が取り付け固定されている。ホール素子30,31は、ロックバー14がロック位置に到達した際において磁石32と向き合う位置に一方が配置され、ロックバー14がアンロック位置に位置した際において磁石32と向き合う位置に他方が配置されている。ロックストッパ15は、ロックバー14の位置が磁気式位置検出系で位置検出されることから、磁気で検出する磁気式位置検出系に悪影響を及ぼさないように例えば亜鉛ダイカストなどの非金属部品で製造されている。
【0030】
ホール素子30,31は、検出する磁界強度に応じた検出信号をステアリングロックECU26に出力する。ステアリングロックECU26は、ホール素子30,31からの検出信号を用い、ロックバー14がロック位置及びアンロック位置のどちらに位置しているのかを認識する。即ち、ステアリングロックECU26は、ホール素子30,31のうちホール素子30から磁界を検出すると、これを以ってロックバー14がロック位置に位置していると認識し、ホール素子30,31のうちホール素子31から磁界を検出すると、これを以ってロックバー14がアンロック位置に位置していると認識する。
【0031】
本例のギア機構13は、モータ9の回転出力を減速して回転シャフト12に伝達する減速ギア機構であるとともに、この減速比が複数段の間で切り換え可能な多段減速ギア機構(以下、ギア機構13を多段減速ギア機構と併用する)である。多段減速ギア機構13を以下に詳述すると、図1に示すようにモータ9の回転軸9aには、ウォームギア33を介して回転シャフト12が連結されている。即ち、モータ9の回転軸9aの先端にウォーム34が取り付け固定され、回転シャフト12の基端(図1では右端)にウォームホイール(ヘリカルギア)35が、ウォーム34に噛み合いつつ回転シャフト12に対して相対回動可能な状態で支持されている。ウォームホイール35は、回転シャフト12に対してこれと同一軸心位置となるように配置されている。なお、ウォームギア33が伝達ギアに相当する。
【0032】
図2及び図3に示すように、このウォームホイール35には、減速機構の一種である遊星歯車機構36を介して回転シャフト12が連結されている。本例の遊星歯車機構36は、回転シャフト12に取り付けられた複数(本例は4つ)の遊星ギア37,37…と、遊星ギア37,37…に内接する円環状の連結ギア38と、ウォームホイール35に対し同一軸心状態で一体形成された小径ギア39(図3参照)とから成り、遊星ギア37,37…と連結ギア38とが噛み合い、遊星ギア37,37…と小径ギア39とが噛み合う取り付け状態をとっている。
【0033】
遊星ギア37,37…は、回転シャフト12の中央基端寄りの位置にセレーション部40を介して取り付け固定された筒形状の保持部41に各々が回動可能な状態で取り付けられている。遊星ギア37,37…は、回転シャフト12の軸心回りに沿って等間隔に配置され、各々のギア軸37a,37a…が回転シャフト12と平行に沿う向きに配置されている。遊星ギア37,37…は、各ギア軸37a,37aに若干のフリクションが設定され、回動に際してはある程度の力を要するようになっている。
【0034】
連結ギア38の内周面全域には、その周方向に沿って等間隔に並ぶ複数の歯部38a,38a…が形成されている。遊星ギア37,37…は、自身の歯部37b,37b…が連結ギア38の内周面の歯部38a,38a…に噛み合う、いわゆる内接する状態で連結ギア38に噛み合う取り付け状態をとるとともに、小径ギア39をその外周方向から囲んでその歯部39a,39a…と噛み合う取り付け状態をとっている。即ち、遊星ギア37,37…は、そのギア内径方向に位置する噛み合い経路(図3に示すL1)で小径ギア39と噛み合い、ギア外径方向に位置する噛み合い経路(図3に示すL2)で連結ギア38と噛み合う状態となっている。なお、小径ギア39が従動ギア部に相当する。
【0035】
連結ギア38の端部には、外側方向に突出する複数の突部42,42…が、連結ギア38の周方向全域に亘って等間隔に突設されている。これら複数の突部42,42…は、先端に向かうに従い幅が細くなる尖った断面三角形状を成すとともに、ロックバー押込方向側の面に配置されている。このため、これら複数の突部42,42は、回転シャフト12の軸方向に沿いステアリングシャフト2側に突出する向きをとり、内周面の歯部38a,38a…とは延設方向が直交する向きとなっている。
【0036】
図4に示すように、ケース4の内周面には、連結ギア38の突部42,42…と対向する位置に、ケース4の内側方向に延びる突設片43が形成されている。この突設片43には、突部42を係止することが可能な係止溝44が設けられている。係止溝44は、連結ギア38の突部42が係止し易いように断面三角状の溝形状を成し、突部42が自身に係止する状態となると、連結ギア38の回動が規制された状態となる。なお、この係止溝44は、1つの突設片43で複数の突部42,42…が係止可能となるように複数形成してもよい。なお、突部42が突部に相当し、係止溝44が被係止部に相当する。
【0037】
次に、本例の電動ステアリングロック装置3の動作を説明する。
図4に示すように、ロックストッパ15がモータ9側に位置し、ロックバー14がケース4内に引き込まれたアンロック位置となる際は、ロックバー14が被ロック部材22から離脱する状態をとる。このときは、ロックバー14が被ロック部材22の回動を規制しない状態をとるので、電動ステアリングロック装置3が解錠状態となり、ステアリングホイールの自由な回動操作が可能である。
【0038】
ステアリングロック解錠状態の際、例えば運転者が車両から降車してドアが閉じられると、電動ステアリングロック装置3がロック動作を開始し、それまで停止中であったモータ9が正転する動きを開始する。ステアリングロック施錠動作時は、ロックバー14が被ロック部材22に係止する動きをとることから、ロックバー14が被ロック部材22の凹部22aからロックバー14を凹部22a側に引き込むような外力を受けるような状況は生じず、連結ギア38はケース4の係止溝44と一定間隔をおいた配置状態を維持して突部42が係止溝44に係止しない状態をとる。
【0039】
このため、連結ギア38はケース4に対して回動可能な状態となり、遊星ギア37,37…のギア軸37aにはフリクションが設定されていることから、ステアリングロック施錠動作時は遊星ギア37,37…と連結ギア38とが一体回転する、いわゆる遊星ギア37,37…の作動が制限された状態で回転シャフト12が回転する。よって、遊星ギア37,37…の作動制限状態時は、ウォームギア33を主とする1段目のみの減速比で回転シャフト12が回転する状態となる。ところで、このときはウォームギア33を主とするギア群のみでモータ回転力を減速するので、モータ9の回転力は低減速比で回転シャフト12に伝達されることになる。
【0040】
よって、ロックストッパ15は低減速比で回転する回転シャフト12の回転力で直線移動することから、ロックバー14は低作動トルクではあるが高速度でその押込方向(図4に示す矢印A方向)に往動する。このため、遊星ギア37,37…の作動制限状態時は、ロックバー14を凹部22aに押し込む際にロックバー14に生じる押込トルクよりも、ロックバー14がアンロック位置からロック位置に移動する際の作動速度を優先し、施錠動作時に要するロックバー14の作動時間を短時間化する。そして、図5に示すようにロックバー14が凹部22aに入り込むと、電動ステアリングロック装置3が施錠状態となる。
【0041】
一方、エンジン停止状態の車両に運転者が乗車し、ステアリングホイール近傍のエンジンスタートスイッチが操作されてエンジン始動動作が行われたとする。このとき、電動ステアリングロック装置3はアンロック動作を開始し、それまで停止中であったモータ9が逆転する動きを開始する。ところで、ロックバー14を凹部22aに係止してステアリングロックが施錠状態となった後にステアリングホイールを回動操作すると、その時の位置状態によってはロックバー14が凹部22aに噛み込んだ状態となってしまうことがある。ロックバー14が凹部22aに噛み込んだ際は、大きな引き抜き力でロックバー14を引き抜かないとロックバー14が凹部22aから抜け出さない状態となる。
【0042】
ステアリングロック解錠動作時、ロックバー14が被ロック部材22の凹部22aに噛み込んでいなければ、ロックバー14は被ロック部材22からロックバー14を凹部22a側に引き込むような外力(図5に示すの矢印B)を受けるような状況とはならないので、連結ギア38はケース4の係止溝44と一定間隔をおいた配置状態を維持して突部42が係止溝44に係止しない状態をとる。
【0043】
このため、連結ギア38はケース4に対して回動可能な状態となり、ロックバー14が被ロック部材22に噛み込んでいない時のステアリングロック解錠動作時は、遊星ギア37,37…と連結ギア38とが一体回転する、いわゆる遊星ギア37,37…の作動が制限された状態で回転シャフト12が回転する。よって、ロックバー14が被ロック部材22に噛み込んでいない時のステアリングロック解錠動作時は、ウォームギア33を主とする1段目のみの減速比で回転シャフト12が回転する状態となり、モータ9の回転力が低減速比で回転シャフト12に伝達される。
【0044】
よって、ロックストッパ15は低減速比で回転する回転シャフト12の回転力で直線移動することから、ロックバー14は低作動トルクではあるが高速度でその引抜方向(図5に示す矢印C方向)に復動する。このため、ロックバー14が被ロック部材22に噛み込んでいない時のステアリングロック解錠動作時は、ロックバー14を凹部22aから離脱させる際には大きな引抜力は不要であることから、ロックバー14に生じる引抜トルクよりも、ロックバー14がロック位置からアンロック位置に移動する際の作動速度を優先し、解錠動作時に要するロックバー14の作動時間を短時間化する。そして、ロックバー14が凹部22aから離脱してケース4内に入り込むと、電動ステアリングロック装置3が図4に示す解錠状態となる。
【0045】
一方、ステアリングロック解錠動作時、ロックバー14が被ロック部材22の凹部22aに噛み込んでいると、ロックバー14は被ロック部材22からロックバー14を凹部22a側に引き込む押込方向(反引抜方向)Aに沿う外力(図5に示す矢印B)を受ける状態となる。ところで、雄ネジ17と雌ネジ19との間には若干量の隙間が存在していることから、ステアリングロック解錠時にロックバー14が被ロック部材22から外力を受けると、図6に示すように、回転シャフト12及び各種ギア群(ウォームギア35、遊星ギア37、連結ギア38)から成るギアユニット部45が押込方向Aに移動し、連結ギア38の突部42の1つが係止溝44に係止する状態となる。
【0046】
このため、ロックバー14が被ロック部材22に噛み込んでいる時のステアリングロック解錠時は、連結ギア38がケース4に対して回動不能な状態となり、ロックバー14が被ロック部材22に噛み込んでいない時とは逆に、連結ギア38の回転が制限された、いわゆる遊星ギア37,37…の作動が許可された状態で回転シャフト12が回転する。即ち、この時は固定状態の連結ギア38に対して遊星ギア37,37…が回動する状態となる。よって、ロックバー14が被ロック部材22に噛み込んでいる時のステアリングロック解錠時は、ウォームギア33と遊星ギア37との両方を用いた2段目の減速比で回転シャフト12が回転する状態となる。
【0047】
ところで、ウォームギア33及び遊星ギア37の両方で減速する場合、減速ギア機構13として生じ得る減速比は、これらのギア33,37の減速比を合算した値がそれに相当することになり、この場合はウォームギア33を主として減速する場合に比較して減速比が高減速比となる。また、この種の減速ギア機構13には、伝達トルクと作動時間とには相反する関係があるので、仮にギア機構を高減速比とすると、ロックバー14の作動トルクが大きくなり、その一方で作動時間は長くなる関係性がある。
【0048】
よって、ロックバー14が被ロック部材22に噛み込んでいる時のステアリングロック解錠時は、ウォームギア33と遊星ギア37とを用いた高減速比でロックバー14を引き抜くことになるので、引き抜きの際の作動時間はギア1段目の時よりも時間を要することになるが、被ロック部材22に噛み込んでいるロックバー14をその噛み込みを解消して引き抜き得る作動トルクでロックバー14を引き抜く状態となる。このため、ロックバー14が被ロック部材22に噛み込んでいても、ロックバー14を引き抜くことが可能となる。
【0049】
そして、ロックバー14が噛み込み状態を解消して引き抜かれた後、ロックストッパ15及びロックバー14は回転シャフト12の回転動作に伴い引抜方向Cに動く動作を再開する。このとき、ギアユニット部45には、ロックストッパ15及びロックバー14が引抜方向Cに移動する際に生じる慣性力が付与されることになるので、ギアユニット部45全体が引抜方向Cに移動する動きをとって元の状態をとる。よって、連結ギア38の突部42が係止溝44から離脱し、連結ギア38の回転規制状態が解除される。このため、ロックバー14が噛み込みを解消されて凹部22aから引き抜かれた後は、モータ9の回転力は低減速比でロックバー14に伝達されることになり、引抜トルクよりも作動時間を優先してロックバー14がアンロック位置に戻される。
【0050】
従って、本例においては、ステアリングロック施錠時やロックバー14が被ロック部材22に噛み込んでいないステアリングロック解錠時のような無負荷作動時、遊星ギア37,37…を連結ギア38に連れ回りするようにして遊星ギア37,37…の作動を制限することによりモータ9の回転力を低減速比で回転シャフト12に伝達し、ロックバー14を高速度で直線移動させて作動時間を短時間化する。また、ロックバー14が被ロック部材22に噛み込んだ時の負荷作動時は、ギアユニット部45がその時に受ける外力で押込方向Aに移動する動きを利用し、連結ギア38の突部42をケース4側の係止溝44に係止させて連結ギア38の回動を規制し、遊星ギア37,37…の作動を許容することによりモータ9の回転力を高減速比で回転シャフト12に伝達し、ロックバー14を高トルクで引き抜いて噛み込みを解消する。
【0051】
よって、ロックバー14の作動に際して高トルクが必要な負荷作動時は、モータ9の回転力を高減速比で回転シャフト12に伝達して高トルクでロックバー14を動かすことになり、ロックバー14の作動が低トルクでよい無負荷作動時は、作動時間短縮を優先すべくモータ9の回転力を低減速比で回転シャフト12に伝達して高速度でロックバー14を動かす。このため、ロックバー14の作動時間短縮を図るべく減速ギア機構13の減速比を低減速比としても、減速ギア機構13はロックバー14に作動トルクが必要な時は高減速比に切り換わる構造をとることから、作動時間の短縮と噛み込み時におけるロックバー14の作動トルクの確保との両立を図ることが可能となる。
【0052】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)ステアリングロック施解錠時にモータ9の回転力を減速して回転シャフト12に伝達してロックバー14を往復動させる本例の減速ギア機構は、ロックバー14に作動トルクが不要な時は作動時間短縮を優先すべく低減速比に設定され、ロックバー14に作動トルクが必要な時はトルク確保を優先すべく高減速比に設定される多段減速ギア機構13である。従って、ロックバー14の作動時間短縮を図るべく減速ギア機構13の減速比を低減速比としても、多段減速ギア機構13はロックバー14に作動トルクが必要な時は高減速比に切り換わるので、ロックバー14の作動時間を短縮することができるとともに、被ロック部材22に噛み込んだロックバー14を引き抜く際に必要な作動トルクも確保することができる。
【0053】
(2)ロックバー14が被ロック部材22に噛み込んでいない無負荷作動時、多段減速ギア機構13は低減速比に設定されることから、この時はロックバー14を作動トルクよりも作動時間短縮を優先させて作動させる。このため、ステアリングロックの施錠動作や解錠動作に要する作動時間が極力短く済むので、仮にモータ9に作動音が生じてもその作動音が生じる時間は僅かであることから、その作動音が気にならずに済み、操作者が不快に思うような異音発生の抑制にも効果が高い。
【0054】
(3)減速ギア機構13を多段減速ギア機構とする場合、本例は遊星ギア37,37…を用いて構成するので、遊星ギア37,37という広く一般的に用いられる部品群によって多段減速ギア機構13を構成することができる。
【0055】
(4)突部42の形状は、先端に向かうに従い先が尖る断面三角形状を成しているので、ステアリングロック解錠時にロックバー14が噛み込んでギアユニット部45が押込方向Aに移動した際には、突部42が係止溝44に係止し易くなる。このため、ロックバー14の噛み込み時に突部42が係止溝44に係止しない状況を生じ難くすることができ、電動ステアリングロック3装置の作動信頼性を向上することができる。
【0056】
なお、実施形態はこれまでの構成に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・ 遊星ギア37,37…の個数は、必ずしも4個であることに限定されず、その個数は適宜変更可能である。
【0057】
・ ウォームギア33の減速比や遊星ギア37の減速比は、これら歯数や遊星ギア個数等を変更することにより、所望する作動トルクや作動時間に応じて適宜設定変更可能である。
【0058】
・ 突部42の形状は、必ずしも断面三角形状に限らず、断面四角形状や断面円弧形状等の係止溝44に係止可能な形状であれば、その形状は特に限定されない。また、このことは係止溝44についても同様に言える。
【0059】
・ 連結ギア38の突部42は、連結ギア38においてロックバー押込方向側の面に形成されることに限定されず、外周面に配置してもよい。
・ 連結ギア38と小径ギア39との位置関係は、遊星ギア37を挟んで径方向内側に小径ギア39が位置し、径方向外側に連結ギア38が位置する関係に限定されず、これを入れ替えてもよい。
【0060】
・ 本例の多段減速ギア機構13は、必ずしも電動ステアリングロック装置3に採用されることに限らず、汎用的なロック装置に転用することが可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0061】
(1)請求項2又は3において、前記遊星ギアは前記回転シャフトの軸心回りに沿って複数配置された遊星ギア群から成り、当該遊星ギア群は、前記第2ギアに噛み合い状態で取り付けられ、前記連結ギアとは内接する噛み合い状態で取り付けられている。この場合、減速機構を多段構成としたとしても、これを比較的簡単な構成とすることが可能となる。
【0062】
(2)モータの回転力を減速機構で減速して回転シャフトに伝達することにより当該回転シャフトを回転させ、当該回転シャフトの回転運動を送り機構でロック部材の直線運動に変換して当該ロック部材をスライド移動させることにより、当該ロック部材を被ロック部材に係脱させて施解錠を行う電動ロック装置において、
前記減速機構は、前記解錠時に前記被ロック部材への前記ロック部材の噛み込みによって減速比切り換えが可能であり、前記解錠時に前記ロック部材が前記被ロック部材に噛み込んでいない無負荷作動時、前記モータの回転力を低減速比で前記ロック部材に伝達して当該ロック部材を低トルク力で引き抜き、前記解錠時に前記ロック部材が前記被ロック部材に噛み込む負荷作動時、前記モータの回転力を高減速比で前記ロック部材に伝達して当該ロック部材を高トルク力で引き抜くことを特徴とする電動ロック装置。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】一実施形態における電動ステアリングロック装置の構成を示す分解斜視図。
【図2】電動ステアリングロック装置のギアユニット部の構成を示す分解斜視図。
【図3】同じくギアユニット部を別の角度から見た際の分解斜視図。
【図4】ステアリングロック解錠時の電動ステアリングロック装置の縦断面図。
【図5】ステアリングロック施錠時の電動ステアリングロック装置の縦断面図。
【図6】ロックバーが噛み込んだ時の電動ステアリングロック装置の縦断面図。
【図7】ロックバー噛込みが解消された時の電動ステアリングロック装置の縦断面図。
【図8】従来における電動ステアリングロック装置の斜視図。
【符号の説明】
【0064】
2…ステアリング部材としてのステアリングシャフト、3…電動ステアリングロック装置、4…支持部としてのケース、9…モータ、9a…出力軸としての回転軸、12…回転シャフト、13…減速機構(多段減速機構)としてのギア機構(減速ギア機構、多段減速ギア機構)、14…ロック部材としてのロックバー、15…送り機構を構成するロックストッパ、16…送り機構を構成するネジ部、22…被ロック部材、33…伝達ギアとしてのウォームギア、37…遊星ギア、38…連結ギア、39…従動ギア部としての小径ギア、42…係止部としての突部、44…被係止部としての係止溝、L1,L2…噛み合い経路、A…反引抜方向としての押込方向、C…引抜方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転力を減速機構で減速して回転シャフトに伝達することにより当該回転シャフトを回転させ、当該回転シャフトの回転運動を送り機構でロック部材の直線運動に変換して当該ロック部材を直線方向に往復動させることにより、当該ロック部材をステアリング部材側の被ロック部材に係脱させてステアリングロックを施解錠する電動ステアリングロック装置において、
前記減速機構は、前記ステアリングロックの解錠時に前記被ロック部材への前記ロック部材の噛み込み有無によって減速比を切り換え可能な多段減速機構であって、前記解錠時に前記ロック部材が前記被ロック部材に噛み込んでいない無負荷作動時、前記モータの回転力を低減速比で前記ロック部材に伝達して当該ロック部材を低トルク力で引き抜き、前記解錠時に前記ロック部材が前記被ロック部材に噛み込む負荷作動時、前記モータの回転力を高減速比で前記ロック部材に伝達して当該ロック部材を高トルク力で引き抜くことを特徴とする電動ステアリングロック装置。
【請求項2】
前記減速機構は、
前記モータの出力軸に取り付けられ、前記モータの回転力を減速して前記回転シャフトに伝達可能な伝達ギアと、
前記回転シャフトにその軸心回りに沿って1以上取り付けられ、自身の軸心が前記回転シャフトの軸心と平行に並びつつ前記伝達ギアの従動ギア部に噛み合う遊星ギアと、
前記遊星ギアに対し前記従動ギア部の噛み合い経路とは異なる経路で噛み合い、前記減速機構を支持する支持部の被係止部に係止可能な係止部を持つ連結ギアとを備え、
前記無負荷作動時、前記ロック部材の引抜方向に沿わせて前記連結ギアを移動させることにより前記係止部と前記被係止部とを非係止とし、当該非係止によって前記遊星ギアを前記連結ギアと一体回転可能として当該遊星ギアの回転を制限することにより減速比を前記低減速比とし、
前記負荷作動時、前記ロック部材に生じる反引抜方向の外力で前記連結ギアを当該反引抜方向に沿わせて移動させることにより前記係止部と前記被係止部とを係止させ、当該係止によって前記連結ギアの回転を制限して前記遊星ギアの回転を許容することにより減速比を前記高減速比とすることを特徴とする請求項1に記載の電動ステアリングロック装置。
【請求項3】
前記係止部は、前記回転シャフトの軸心回りに沿って複数形成されるとともに、先端に向かうに従って尖った形状を成していることを特徴とする請求項2に記載の電動ステアリングロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−168863(P2008−168863A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6111(P2007−6111)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】