説明

電動ブラインド

【課題】、充電池及び太陽電池を使用して施工性に優れ、かつメンテナンスの容易な電動ブラインドを提供する。
【解決手段】充電池14と、充電池を充電する太陽電池10と、充電池を電源として動作する信号受信部18と、信号受信部の受信信号の入力に基づいてモーター20を駆動する制御部17とを備えた電動ブラインドにおいて、充電池14をニッケル水素充電池で構成し、制御部17に省電力モードを設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リモコン装置の操作によりバッテリーを電源として動作するモーターの駆動力でスラットを角度調節する電動ブラインドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリーを電源として動作し、かつリモコン装置でスラットの角度調節動作を制御する電動ブラインドでは、リモコン受信部と、スラット角度調節用のモーターと、受光信号に基づいてモーターを制御するマイコン等の電源として乾電池等のバッテリーを使用したものがある(特許文献1参照)。
【0003】
このような電動ブラインドは、商用電源の配線が困難な場所に設置されることが多いことから、バッテリーが消耗した場合の交換作業も煩雑となることが多い。
そこで、バッテリーの交換を不要とするために、太陽電池を使用して充電可能とした充電池を電源とする電動ブラインドが提案されている(特許文献2,3,4参照)。
【特許文献1】特開2007−303255号
【特許文献2】特許第3863435号
【特許文献3】実開平4−129298号公報
【特許文献4】特開平1−125485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池で充電する充電池を使用した電動ブラインドでは、充電池をリモコン受信部、マイコン、モーターの電源として使用するので、充電池の消耗が激しく、長期間に亘って安定した動作を確保することが困難である。
【0005】
従来から充電池として使用されるニッケル−カドミウム電池は、自己放電が大きいため、安定した電源として使用することはできない。充電池として使用される電気二重層コンデンサでは十分な容量を確保することか困難である。
【0006】
また、充電池を十分に充電するためには大型の太陽電池を使用しなければならず、施工性が悪く、コストも増大するという問題点がある。
この発明の目的は、充電池及び太陽電池を使用して施工性に優れ、かつメンテナンスの容易な電動ブラインドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1では、充電池と、前記充電池を充電する太陽電池と、前記充電池を電源として動作する信号受信部と、前記信号受信部の受信信号の入力に基づいてモーターを駆動する制御部とを備えた電動ブラインドにおいて、前記充電池をニッケル水素充電池で構成し、前記制御部に省電力モードを設定した。
【0008】
請求項2では、前記制御部は、前記受信信号が入力されないとき、前記省電力モードで動作する。
請求項3では、前記制御部は、前記省電力モードで前記充電池から前記信号受信部への電源供給を遮断する。
【0009】
請求項4では、前記制御部は、前記受信信号が入力されないとき、前記省電力モードと通常モードとを一定時間毎に交互に繰り返す。
請求項5では、前記充電池及び前記信号受信部をヘッドボックスの前面に取着し、前記太陽電池をヘッドボックスの背面側に取着した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、充電池及び太陽電池を使用して施工性に優れ、かつメンテナンスの容易な電動ブラインドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1に示す横型ブラインドは、ヘッドボックス1から吊下支持されるラダーコード2に多数段のスラット3が支持され、そのラダーコード2の下端にボトムレール4が取着されている。
【0012】
前記スラット3には前記ラダーコード2の支持位置近傍で昇降コード5が挿通され、その昇降コード5の下端に前記ボトムレール4が吊下支持されている。前記昇降コード5の上端部は、ヘッドボックス1内をその一端側に案内され、ヘッドボックス1の端部からストッパ装置6を経て垂下され、コードイコライザー7を介して操作コード8が接続されている。
【0013】
そして、操作コード8を操作して昇降コード5をヘッドボックス1から引き出し、あるいは昇降コード5をヘッドボックス1内に引き込ませることにより、ボトムレール4及びスラット3を昇降可能となっている。ストッパ装置6は、ボトムレール4及びスラット3の自重降下を防止する。
【0014】
図2に示すように、前記ヘッドボックス1の前面にはリモコン受信部9が取着され、同ヘッドボックス1の背面側すなわち室外側には発電部10が取着されている。そして、リモコン受信部9及び発電部10が接続コード11で接続されている。前記リモコン受信部9は、リモコン操作部12から操作信号として発信される赤外線信号を受信可能となっている。
【0015】
図3は、前記リモコン受信部9の具体的構成を示す。ケース13内には電源部としてニッケル水素充電池14が収納され、その下方に配設された基板15には赤外線受光部及びマイコンが搭載されている。そして、前記基板15が前記接続コード11を介して前記発電部10に接続されている。
【0016】
図4に示すように、前記発電部10の表面には太陽電池16が取着されている。太陽電池16は、高温時にも効率が低下しないアモルファス型を使用する。
図5は、前記電動ブラインドの電気的構成を示す。前記発電部10は、太陽光を受光して発電し、前記ニッケル水素充電池14を充電する。ニッケル水素充電池14はマイコン17と、赤外線受光部(信号受信部)18と、モーター駆動部19に電源電圧を供給するとともに、マイコン17は赤外線受光部18への電源供給を制御する。
【0017】
前記マイコン(制御部)17は、赤外線受光部18から出力される操作信号と、あらかじめ設定されているプログラムと、内蔵するタイマーのカウント値に基づいて、動作モードを選択する。すなわち、マイコン17は赤外線受光部18からの操作信号を受信しないとき、一定時間の間で省電力モードで動作するとともに、赤外線受光部18への電源供給を停止する。また、マイコン17は赤外線受光部18からの操作信号に基づいて、モーター駆動部19に制御信号を出力する。
【0018】
前記モーター駆動部19は、前記マイコン17から出力される制御信号に基づいてヘッドボックス1内に配設されるモーター20を駆動する。そして、モーター20の作動によりヘッドボックス1内の角度調節軸が回転駆動され、チルト装置及び前記ラダーコード2を介して各スラット3が回動される。
【0019】
また、マイコン17には発光ダイオード(LED)21が接続される。この発光ダイオード21は前記リモコン受信部9の前面に取着されている。
次に、前記マイコン17の動作を図7に従って説明する。マイコン17は、その動作開始により、赤外線受光部18に電源を供給し(ステップ1)、タイマーのカウント動作を開始させる(ステップ2)。
【0020】
次いで、100μsecの間赤外線信号を受信しないと(ステップ3,4)、赤外線受光部18の受信素子への電源供給を遮断し、マイコン17自身を省電力モードとし、新たにタイマーのカウント動作を開始する(ステップ5)。
【0021】
次いで、400μsec経過すると、マイコン17自身を通常モードに移行させ、ステップ1に復帰する。
ステップ3で赤外線信号を受信すると、タイマーのカウント動作を停止し(ステップ7)、受信した赤外線信号がリモコン操作部12から発信された操作信号であるか否かを判定する(ステップ8)。
【0022】
そして、リモコン操作部12から発信された操作信号である場合には、発光ダイオード21を点滅させ、モーター20を作動させてスラット3を操作信号に対応する角度に回動させる(ステップ9)。
【0023】
次いで、発光ダイオード21の点滅を停止させ(ステップ10)、ステップ2に復帰する。
ステップ8で、受信した赤外線信号がリモコン操作部12から発信された操作信号ではない場合には、発光ダイオード21を0.5sec点灯し(ステップ11)、ステップ2に復帰する。
【0024】
上記のようなマイコン17の動作により、図6に示すように、赤外線信号を受信しないときには、100μsecの通常モードと、400μsecの省電力モードとを繰り返す。通常モードでは、マイコン17及び赤外線受光部18の消費電力は500μAであるのに対し、省電力モードでは数μAに低減される。
【0025】
すると、マイコン17及び赤外線受光部18の消費電力が低減されるので、ニッケル水素充電池14の放電量が低下し、充電量が大きく低下しない状態で太陽電池により充電するトリクル充電を行うことができる。
【0026】
上記のように構成された電動ブラインドでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)充電池として自己放電の少ないニッケル水素充電池14を使用したので、安定した電源電圧と電流容量を備えた電源を確保することができる。
(2)充電池として自己放電の少ないニッケル水素充電池14を使用したので、太陽電池16を小型化しても、十分な電源容量を確保することができる。従って、施工性を向上させ、かつコストを低減することができる。
(3)赤外線受光部18で赤外線信号を受信しないときは、定期的に省電力モードで動作することにより、マイコン17及び赤外線受光部18での消費電力を低減することができる。従って、ニッケル水素充電池14の放電を抑制して、太陽電池16の小型化を図ることができる。
(4)マイコン17及び赤外線受光部18での消費電力を低減することができるので、ニッケル水素充電池14を満充電状態に近い状態を維持しながら放電動作と充電動作を繰り返すトリクル充電で動作させることができる。従って、ニッケル水素充電池14の寿命を延ばすことができる。
(5)充電池として自己放電の少ないニッケル水素充電池14を使用し、かつ省電力モードを設定したので、充電池を交換する必要がなくなる。
(6)アモルファス型の太陽電池16で効率よく発電して、ニッケル水素充電池14を充電することができる。
(7)発電部10をリモコン受信部9と別体として接続コード11で接続したので、発電部10をヘッドボックス1の背面の発電効率のよい位置に取着することができる。
(8)ニッケル水素充電池14をヘッドボックス1の前面側に位置させた。従って、太陽光線の直射によるニッケル水素充電池14の温度上昇を防止して、充電性能の劣化を防止することができる。
【0027】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・発電部10をヘッドボックス1の背面以外の任意位置に設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】一実施形態の電動ブラインドを示す斜視図である。
【図2】一実施形態の電動ブラインドを示す側面図である。
【図3】リモコン受信部を示す一部破断正面図である。
【図4】発電部を示す正面図である。
【図5】一実施形態の電動ブラインドの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】リモコン受信部の動作モードを示す説明図である。
【図7】マイコンの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
9…リモコン受信部、10…発電部、14…電源部(ニッケル水素充電池)、16…太陽電池、17…制御部(マイコン)、18…信号受信部(赤外線受光部)、20…モーター、21…発光ダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電池と、
前記充電池を充電する太陽電池と、
前記充電池を電源として動作する信号受信部と、
前記信号受信部の受信信号の入力に基づいてモーターを駆動する制御部と
を備えた電動ブラインドにおいて、
前記充電池をニッケル水素充電池で構成し、前記制御部に省電力モードを設定したことを特徴とする電動ブラインド。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信信号が入力されないとき、前記省電力モードで動作することを特徴とする請求項1記載の電動ブラインド。
【請求項3】
前記制御部は、前記省電力モードで前記充電池から前記信号受信部への電源供給を遮断することを特徴とする請求項1又は2記載の電動ブラインド。
【請求項4】
前記制御部は、前記受信信号が入力されないとき、前記省電力モードと通常モードとを一定時間毎に交互に繰り返すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動ブラインド。
【請求項5】
前記充電池及び前記信号受信部をヘッドボックスの前面に取着し、前記太陽電池をヘッドボックスの背面側に取着したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動ブラインド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−150884(P2010−150884A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333008(P2008−333008)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000250672)立川ブラインド工業株式会社 (224)
【Fターム(参考)】