電動作業機
【課題】作業部を車体フレームから容易に取り外すことが可能な電動作業機を提供する。
【解決手段】シャーシ11と、モアデッキユニットMUと、モアデッキユニットMUに取り付けられたモアモータ15と、モアモータ15に電力を供給するためのバッテリー25とを備える電動ローンモア10であって、バッテリー25とモアモータ25との間をカップラーCPを介してケーブルHNで連結するとともに、カップラーCPをモアデッキユニットMU近傍に配置する。
【解決手段】シャーシ11と、モアデッキユニットMUと、モアデッキユニットMUに取り付けられたモアモータ15と、モアモータ15に電力を供給するためのバッテリー25とを備える電動ローンモア10であって、バッテリー25とモアモータ25との間をカップラーCPを介してケーブルHNで連結するとともに、カップラーCPをモアデッキユニットMU近傍に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームと、作業部と、作業部モータと、バッテリーとを備え、バッテリーと作業部モータとの間をカップラーを介してケーブルで連結するとともに、カップラーを作業部近傍に配置する電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローンモア(作業機)は、モアデッキ内に略水平に回転自在に備えられた2つのモアブレードをエンジン動力にて回転させて芝(草)を刈っていた。そして、刈った芝を後方に向かって排出するように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平11−509798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、地球温暖化防止の観点から、温室効果ガスを含む排気ガスを規制する動きが社会的潮流となってきた。この動きに対する対応は自動車産業において顕著であり、ハイブリッドカー、電気自動車など、いわゆるエコカーの開発が進められている。特に、近年、バッテリーを電源とした電気自動車の実用化に対する技術開発が活発化している。
【0005】
しかし、このような技術開発は、作業機の分野においてはさほど活発ではなく、実施可能レベルの技術開発がなされていないのが現状である。したがって、電動作業機を開発することは重要な意義を持っている。
【0006】
電動作業機の一例として、電動ローンモアには、車体フレームを備え、車体フレームに作業部としてのモアデッキユニットを懸架する。モアデッキユニットは、モアデッキと、モアデッキ内に2つのモアブレード、この2つのモアブレードをそれぞれ回転させるための2つのモアモータを備える。2つのモアモータはモアデッキの上面に取り付けられる。モアモータは車体フレームの後部に備えるバッテリーから電源を供給される。
【0007】
ところで、モアデッキユニットはメンテナンスなどの理由から車体フレームから取り外しを可能とする必要がある。そのような場合、モアモータへの電源供給路(ケーブル)を切り離すことが望ましく、モアデッキ近傍にカップラーなどを配置して容易にケーブルを連結・切断するのがよい。そこでこの発明は、作業部を車体フレームから容易に取り外すことが可能な電動作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため請求項1に記載の発明は、車体フレームと、
作業部と、
該作業部に取り付けられた作業部モータと、
該作業部モータに電力を供給するためのバッテリーとを備える電動作業機であって、
前記バッテリーと前記作業部モータとの間をカップラーを介してケーブルで連結するとともに、
前記カップラーを前記作業部近傍に配置することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動作業機において、前記作業部が、複数のモアブレードと、該複数のモアブレードを覆うモアデッキと、該モアデッキ上に載置され、前記複数のモアブレードをそれぞれ回転させる複数のモアモータとで構成された電動作業機であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電動作業機において、前記カップラーを前記作業部モータの側面に設けることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の電動作業機において、前記カップラーを前記モアデッキの上面に設けることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の電動作業機において、前記カップラーを前記車体フレームに設けることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項3ないし5のいずれかに記載の電動作業機において、前記カップラーを、平面視にて、前記車体フレームよりも外側に配置することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の電動作業機において、前記車体フレーム内に前記ケーブルを配置するとともに、該ケーブルの先端部分を前記作業部近傍に配置した電動作業機であって、前記作業部を前記車体フレームに対して昇降可能とし、前記ケーブルの先端部分をコイル状に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、車体フレームと、作業部と、該作業部に取り付けられた作業部モータと、該作業部モータに電力を供給するためのバッテリーとを備える電動作業機であって、前記バッテリーと前記作業部モータとの間をカップラーを介してケーブルで連結するとともに、前記カップラーを前記作業部近傍に配置する。
【0016】
これにより、作業部をメンテナンスするときなど、車体フレームから取り外しを要する場合、作業部モータへの電源供給路(ケーブル)を切り離すことが容易にできる。したがって、作業部を車体フレームから容易に取り外すことが可能な電動作業機を提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、前記作業部が、複数のモアブレードと、該複数のモアブレードを覆うモアデッキと、該モアデッキ上に載置され、前記複数のモアブレードをそれぞれ回転させる複数のモアモータとで構成されるので、モアデッキユニットをメンテナンスなどの理由から車体フレームから取り外しを容易に行うことができる。モアデッキ近傍にカップラーを配置するので、容易にコードを連結・切断することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、前記カップラーを前記作業部モータの側面に設けるので、ケーブルの着脱を容易に行うことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、前記カップラーを前記モアデッキの上面に設けるので、ケーブルの着脱を容易に行うことができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、前記カップラーを前記車体フレームに設けるので、ケーブルの着脱を容易に行うことができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、前記カップラーを、平面視にて、前記車体フレームよりも外側に配置するので、車体フレームに邪魔されることなく、ケーブルの着脱をいっそう容易に行うことができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、前記車体フレーム内に前記ケーブルを配置するとともに、該ケーブルの先端部分を前記作業部近傍に配置した電動作業機であって、前記作業部を前記車体フレームに対して昇降可能とし、前記ケーブルの先端部分をコイル状に形成するので、作業部が昇降する際に、ケーブルの先端部分が伸縮して長さ調節をすることができ、ケーブルを弛ませることがない。このため、走行中に枝などの障害物にケーブルを引掛けて破損させることを防止することができる。また、ケーブルが伸縮するのでカップラーの着脱が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の電動草刈機の一例としての、電動ローンモアの平面図である。
【図2】その側面図である。
【図3】機体の概略斜視図である。
【図4】シャーシの斜視図である。
【図5】モアデッキ近傍の斜視図である。
【図6】主要部の右側面図である。
【図7】モアデッキ近傍の平面図である。
【図8】モアデッキの高さ調節機構を説明するための図である。
【図9】(a)は同じくモアデッキの高さ調節機構を説明するための図、(b)は調節板の詳細、(c)は高さ調節ピンの斜視図である。
【図10】(a)はモアモータ近傍の側面図であり、(b)は(a)のA矢視断面図である。
【図11】カップラーの配置を説明するための図である。
【図12】(a),(b)は図10の変形例を示すための図である。
【図13】(a),(b)は図10および図12の変形例を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。なお、この明細書において、「前」とは電動作業機の前進方向を、「後」とは後進方向を、「左右」とはそれぞれ、前進方向に向かって「左右」を、「上下」とはそれぞれ、作業車両の「上下」方向を意味するものとする。図1には、この発明の電動作業機の一例としての、電動ローンモア10の平面図を、図2には、その側面図を示す。電動ローンモア10は、シャーシ(車体フレーム)11と、該シャーシ11の前側下方に一対の前タイヤ12、後側下方に一対の後タイヤ(後輪)13などを備える。また、前タイヤ12と後タイヤ13との間には、モアデッキ14を備える。モアデッキ14の後部の側面は刈った芝を後方に排出するために開放されている。モアデッキ14の内側には、不図示のモアブレードを、左右に2つ並べて備える。このモアブレードの回転中心には、それぞれモアモータ(作業部モータ)15,15を取り付ける(モアモータ15によってモアブレードを回転させて芝を刈る)。なお、右側のモアブレードの回転中心は、左側のそれと比べて、直進方向やや後方となる。
【0025】
シャーシ11の上には、本体カバー20を被せる。本体カバー20は、シャーシ11全体を覆うものである。後タイヤ13のやや前方で本体カバー20上には、運転席21を設ける。運転席21の左右側方には、電動ローンモア10の走行操作をするための走行操作レバー22,22をそれぞれ備える。
【0026】
なお、電動ローンモア10は、草刈りに加えて、走行も電動モータによってまかなうものであり、一対の後タイヤ13,13の内側にそれぞれ走行モータ16を備え、この走行モータ16によって後タイヤ13,13をそれぞれ単独で駆動させる(なお、後タイヤ13,13のホイール内にそれぞれホイールモータを備えてもよい)。
【0027】
前述の2つのモアモータ15および2つの走行モータ16の電力は、バッテリー25から供給される。バッテリー25は、機体の後部に備える。詳しくは、バッテリー25は、後タイヤ13,13のアクスル間で、かつ、シャーシ11の後端に着脱自在に配置される。このバッテリー25には4つの従動式車輪を備え、バッテリー25を取り外して作業者が押したり引いたりして移動させることができるように構成されている。なお、バッテリー25にはカバーを備え、カバーの蓋を開けると給電口が露出する。また、カバー内には、バッテリー25の微小な電圧の変動を補正するためのバッテリーコントローラを備える。
【0028】
運転席21の下方には、不図示の制御部を備える。制御部にはモータドライバなどを備える。モータドライバは、電動ローンモア10の走行モータ16を制御し、走行操作レバー22の傾動量に応じて走行モータ16の回転方向および回転速度を制御する。また、別のモータドライバは、モアモータ15の回転制御をする。これらのモータドライバは、自らが発した熱を放出するための放熱板を下部に備える。放熱板はシャーシ11の下方に露出するように配置される。なお、モアモータ15の回転と走行モータ16の回転数とは連動するように制御される。すなわち、モアブレードの回転数を速めると走行スピードが速まり、モアブレードの回転数遅くすると走行スピードが遅くなる。
【0029】
前タイヤ12,12はそれぞれ、シャフトを介して前タイヤブラケット17に回転自在に取り付けられている(すなわち、前タイヤ12は前タイヤブラケット17に対して従動回転する)。前タイヤブラケット17は門型形状に形成され、天面部の中央には貫通孔を設ける。貫通孔にはシャフトを上向きに貫通させて溶接にて固定し、このシャフトを円筒状の前タイヤポスト18内にて回動自在に固定する。これによって、前タイヤブラケット17は、前タイヤポスト18に対して回転自在となる。
【0030】
前タイヤポスト18の側面には、フロントフレーム19の一端を固定する。フロントフレーム19は円弧状に形成され、後述するようにシャーシ11に固設される。
【0031】
電動ローンモア10の右側で、かつ、フロントフレーム19とモアデッキとの間には、モアデッキ14の高さを調節するための高さ調節ペダル24を備える。
【0032】
走行操作レバー22は傾動可能に設けられ、運転者がこれを前に倒すと走行モータ16が前進方向に回転する。一方、走行操作レバー22が後に倒されると走行モータ16は後進方向に回転する。さらに、走行操作レバー22の傾動度合いによって走行モータ16の回転速度が変化する。すなわち、走行操作レバー22を大きく前(後)に倒すと、走行モータ16が前進(後進)方向により早く回転し、走行操作レバー22を小さく前(後)に倒すと、走行モータ16が前進(後進)方向にゆっくりと回転する。運転者は、走行操作レバー22,22を前後に適宜操作することで、直後進、左右折、旋回などを行うことができる。
【0033】
そして、運転席21の右側のフェンダー20FRには、操作部などを備え、例えば、モアデッキ14内の2つのモアブレードの回転をON、OFFする草刈スイッチや、モアデッキ14の高さ調節機構などを設ける。草刈スイッチはリミット型のスイッチで、運転者が指で押下するとONとなり、再度押下するとOFFとなる。運転席21の左側のフェンダー20FLには、カップフォルダや小物を置くためのトレイなどを備える。デッキ昇降ペダル24を右足で操作しながら、モアデッキ14の高さを調節することができる(後述)。
【0034】
図3には機体の斜視図を示す。シャーシ11上には運転席21を載置するための運転席支持フレーム40を取り付ける。この運転席支持フレーム40内には、モアモータドライバ、走行モータドライバなどの電装品類を収納する。シャーシ11の後端付近には、走行モータ16,16を取り付け、走行モータ16にはミッションケースを介してそれぞれ後タイヤ13を取り付ける。
【0035】
シャーシ11の左右前端にはボルトBT1によってブラケット31,31を固設する。ブラケット31の先端はフロントフレーム19と溶接などで連結される。
【0036】
シャーシ11は金属板を加工して形成され、図4に示すように、両側部11S,11Sとその間に設けられた中央部11Mとを一体に形成してなる。中央部11Mの後部には切り欠き11Cを形成する。この切り欠き11Cは、モアモータドライバに備える放熱板を下方に向けて突出させるためのものである。それぞれの側部11Sの上面には、3つの貫通孔11H1と、2つの貫通孔11H2を設ける。また、それぞれの側部11Sの外側面には3つの貫通孔11H3を設ける。貫通孔11H3は、前述のブラケット31の貫通孔31Hと合わせてボルトBT1で固定するためのものである。
【0037】
側部11Sはその断面が略門型状に形成されている。このため、シャーシ11の側部の構造を軽量化することができる。また、側部11Sの中空部分に沿って後述するケーブルなどを配置することができる。
【0038】
図5〜7にはモアデッキユニット(作業部)MUの詳細およびそれを懸架するためのリンク機構を示す。モアデッキユニットMUは、モアデッキ14と、2つのモアモータ15,15と、モアモータ15の回転軸AXの先端に固設されたモアブレードなどで構成される。モアモータ15は上部15A、下部15B、ブラケット15Cをこの順に配置してなる。モアモータ15は、ブラケット15Cにボルトを貫通させてモアデッキ14の上面14Uに固定する。
【0039】
モアモータ15の下部15Bの側面には、カップラーCP1が突設されている。カップラーCP1に連結するカップラーCP2にはケーブルHNが取り付けられている。なお、カップラーCP1とカップラーCP2とを合わせて連結部CPと称す。なお、モアデッキ14はリンク機構を介してシャーシ11に対して昇降するため、ケーブルHNはシャーシ11の側部11SとカップラーCP2との間に長さの余裕をもって配置される。
【0040】
モアデッキ14の前側左右端にはそれぞれブラケット55R,55Lを固設し、ブラケット55R,55Lには、タイヤブラケット53を固設する。そして、タイヤブラケット53にはゲージホイール51,51を回転自在に取り付ける。モアデッキ14の後側左右端にはそれぞれブラケット53R,53Lを固設し、ブラケット53R,53Lにはそれぞれタイヤブラケット54,54を旋回自在に取り付ける。そして、タイヤブラケット54にはゲージホイール52を回転自在に取り付ける。
【0041】
モアデッキ14の前端略中央の上面14Uには、取付板66をボルトなどで固定し、取付板66上には3つの支持ブラケット67をボルトなどで固定する。支持ブラケット67のうち2つには長板状のリンクバー68の一端をボルトなどによって回動可能に取り付ける。リンクバー68の他端はブラケット73にボルトによって回動可能に取り付ける。なお、ブラケット73はフロントフレーム19に溶接などで固定されている。一方、残りの1つの支持ブラケット67にはリンク部69がボルトなどによって回動可能に取り付けられている。リンク部69には長孔が形成されており、この長孔にはボルトが遊嵌するように配置される。このボルトはリンク部材70の一端に固定されている。リンク部材70の他端は、回動棒64の中間部分に固設する。回動棒64はその右端を高さ調節ペダル24に固設する。回動棒64は両端から内側に一定距離だけ離れた位置に支持部材72,72を回動自在に取り付ける。この支持部材72はシャーシ11の側部11Sに下方より取り付けられる。したがって、回動棒64はシャーシ11に回動自在に取り付けられている。
【0042】
回動棒64の中間部分には別のリンク部材63の一端も固設されている(リンク部材63の長径方向、すなわち中心線方向は水平線よりも後方に向けて下がるように配置される)。リンク部材63の他端は、ボルトを介して長板状のリンクバー62の一端に回動可能に取り付けられている。リンクバー62の他端はボルトを介してリンク部材61の一端に回動可能に取り付けられている(リンク部材61の長径方向、すなわち中心線方向は水平線よりも後方に向けて下がるように配置される)。リンク部材61の他端は回動棒71の中間部分に固設されている。回動棒71の右端には板状のリンク部材58の中間部分を固設する。リンク部材58はブーメラン状に形成され、その上端にはボルトを介して別のリンク部材59の一端を回動可能に取り付ける。リンク部材59の他端は後述する昇降リンクプレート80にボルトで回動可能に取り付けられる。
【0043】
一方、リンク部材58の下端はボルトを介してリンク部57に取り付ける。リンク部57には長孔が形成され、ボルトはこの長孔に遊嵌させる。したがって、リンク部材58はボルトを介してリンク部57内を上下方向移動可能である。リンク部57の下端は、ボルトによってブラケット56Rに回動可能に取り付ける。なお、ブラケット56R,56Lはモアデッキ14の上面14Uの後端の左右にボルトによって取り付けられる。
【0044】
ブラケット56Lには、ボルトによってリンク部57の一端を回動可能に取り付ける。リンク部57には長孔が形成され、この長孔にボルトを遊嵌させるようにして、リンク部材65の一端を取り付ける。リンク部材65の他端は回動棒60の左端に固設する。なお、回動棒60の左右端部から内側に一定距離内側に一定距離だけ離れた位置に支持部材71,71を回動自在に取り付ける。この支持部材71はシャーシ11の側部11Sに下方より取り付けられる。したがって、回動棒60はシャーシ11に回動自在に取り付けられている。なお、符号85は、ストッパーであり、高さ調節ペダル24を踏み込んだとき、高さ調節ペダル24の先端部分の裏側面にストッパー85の上端が当接して、それ以上高さ調節ペダル24が踏み込まれることを規制するためのものである。
【0045】
図8,9には、モアデッキユニットMUを昇降するための高さ調節機構の詳細を示す。リンク部材59の他端は昇降リンクプレート80の一端とボルトを介して回動自在に連結されている。昇降リンクプレート80は上部を調節板84の中央に形成された長孔84Lに遊嵌させ、上端にはパイプ状の係止部80Tを固設する(係止部80Tは長孔84Lの抜け止めとなっている)。また、昇降リンクプレート80の略中央部には回動軸81を貫通させて固定する。回動軸81の一端はブラケット82に回動自在に支持されている。なお、回動軸81の他端も不図示のブラケットにて回動自在に支持されている。このブラケットおよびブラケット82はシャーシ11の側部11Sに不図示のボルトにて固定されている。
【0046】
調節板84には複数の貫通孔84Hが形成されている。貫通孔84Hは、長孔84Hの両側に一定の間隔をもって複数形成されている。調節板84の上方には、調節板83を備える。調節板83は調節板84と平行に配置され、フェンダー20FRに適宜取り付けられている。また、調節板83には、複数の貫通孔83Hが形成されている。この貫通孔83Hは貫通孔84Hに対応する箇所の鉛直上方に形成される。貫通孔83Hと貫通孔84Hには、高さ調節ピン90が挿入可能である。高さ調節ピン90は、貫通孔83Hと貫通孔84Hに挿入して、昇降リンクプレート80の係止部81Tを当接させて、昇降リンクプレート80の動きを所定の位置で停止させるためのものである。貫通孔84H,83Hは平面視にて長孔84Lの両側に2列ずつで形成されているが、これは、係止部81Tを止める間隔をできるだけ細かくとるためである。
【0047】
高さ調節ピン90は、頭部90Aと、それより半径の小さな中間部90B、さらに軸部90Cとで構成される。軸部90Cの上部外周には一対の突起90CT,90CTが形成されている。突起90CTは軸部90Cの半径方向に180度対称な位置に形成されている。なお、貫通孔84Hと貫通孔83Hの外径は、軸部90Cの外径よりもやや大きく形成される。
【0048】
また、貫通孔84Hの外周には、一対の切り欠き83HB,83HBが形成されている。切り欠き83HBは貫通孔84Hの外周に180度の間隔で形成される。高さ調節ピン90を貫通孔84Hに挿入する時には、突起90CT,90CTが切り欠き83HB,83HBを通過するように位置合わせをする。したがって、突起90CTは切り欠き83HBを通過する程度の大きさに形成するものとする。なお、突起90CTが切り欠き83HBを通過したあと、調節ピン90を中心線90Lに沿って90度程度回動させることで、貫通孔84に対する調節ピン90の抜け止めとなる。
【0049】
次に、このように構成された電動ローンモア10においてモアデッキユニットMUを昇降する手順について説明する。ここでは、モアデッキユニットMUは芝刈り作業の最高位置にあるものとし、モアデッキユニットMUを下降させる方法について先に説明する。まず、デッキ昇降ペダル24を右足で強く踏み込む。すると、回動棒64が前方に向けて回動するので、リンク部材70が上方に向けて回動する。これによってモアデッキ14の前側が吊り上げられて上昇する。回動棒64が前方に向けて回動すると、リンク部材63も上方に向けて回動し、リンクバー62が後側に押される。リンクバー62はリンク部材61を上側に向けて回動させて回動棒60が前方に向けて回動する。これによって、リンク部材58が前方に向けて回動し、モアデッキ14の後側を吊り上げる。したがって、モアデッキユニットMUが前後で平行に上昇する。
【0050】
リンク部材58が前方に向けて回動することで、リンク部材59が前方に動き、これによって昇降リンクプレート80が回動軸81を支点として後方に向けて回動する。デッキ昇降ペダル24はストッパー85に当接するまで、すなわち、モアデッキユニットMUが高さ切替位置となるまで踏み込む。そして、右足でデッキ昇降ペダル24を踏み込んだ状態を保持する。
【0051】
この状態で高さ調節ピン90を中心線90Lの周りに回動させて、突起90CTと貫通孔84Hの切り欠き84HBとを合わせる。そして、調節ピン90を調節板83,84から抜いて、所望の位置の貫通孔83H,84Hに差し込む。そして、調節ピン90を中心線90Lの周りに回動させて抜け止めをする。
【0052】
次に、デッキ昇降ペダル24を踏む力を少し緩めるようにして後方(運転席方向)に向けて回動させると回動棒64が後方に向けて回動するので、リンク部材70が下方に向けて回動する。これによってモアデッキ14の前側が自重で下降する。回動棒64が後方に向けて回動すると、リンク部材63も下方に向けて回動し、リンクバー62が前側に引っ張られる。リンクバー62はリンク部材61を下側に向けて回動させて回動棒60が後方に向けて回動する。これによって、リンク部材58が後方に向けて回動し、モアデッキ14の後側を自重で下降させる。したがって、モアデッキユニットMUが前後で平行に下降する。
【0053】
リンク部材58が後方に向けて回動することで、リンク部材59が後方に動き、これによって昇降リンクプレート80が回動軸81を支点として前方に向けて回動する。このため、係止部81Tは長孔84Lに沿って前方に移動し、調節ピン90に当接して移動を停止し、モアデッキユニットMUの高さ調節を終了する。その後、高さ調節ペダル24から右足を離す。
【0054】
次に、モアデッキユニットMUを上昇させる方法について説明する。まず、デッキ昇降ペダル24を右足で強く踏み込む。すると、回動棒64が前方に向けて回動するので、リンク部材70が上方に向けて回動する。これによってモアデッキ14の前側が吊り上げられて上昇する。回動棒64が前方に向けて回動すると、リンク部材63も上方に向けて回動し、リンクバー62が後側に押される。リンクバー62はリンク部材61を上側に向けて回動させて回動棒60が前方に向けて回動する。これによって、リンク部材58が前方に向けて回動し、モアデッキ14の後側を吊り上げる。したがって、モアデッキユニットMUが前後で平行に上昇する。
【0055】
リンク部材58が前方に向けて回動することで、リンク部材59が前方に動き、これによって昇降リンクプレート80が回動軸81を支点として後方に向けて回動する。デッキ昇降ペダル24はストッパー85に当接するまで、すなわち、モアデッキユニットMUが高さ切替位置となるまで踏み込む。そして、右足でデッキ昇降ペダル24を踏み込んだ状態を保持する。
【0056】
次に、高さ調節ピン90を中心線90Lの周りに回動させて、突起90CTと貫通孔84Hの切り欠き84HBとを合わせる。そして、調節ピン90を調節板83,84から抜いて、所望の位置の貫通孔83H,84Hに差し込む。そして、調節ピン90を中心線90Lの周りに回動させて抜け止めをする。
【0057】
さらに、デッキ昇降ペダル24を踏む力を少し緩めるようにして後方(運転席方向)に向けて回動させると回動棒64が後方に向けて回動するので、リンク部材70が下方に向けて回動する。これによってモアデッキ14の前側が自重で下降する。回動棒64が後方に向けて回動すると、リンク部材63も下方に向けて回動し、リンクバー62が前側に引っ張られる。リンクバー62はリンク部材61を下側に向けて回動させて回動棒60が後方に向けて回動する。これによって、リンク部材58が後方に向けて回動し、モアデッキ14の後側を自重で下降させる。したがって、モアデッキユニットMUが前後で平行に下降する。
【0058】
リンク部材58が後方に向けて回動することで、リンク部材59が後方に動き、これによって昇降リンクプレート80が回動軸81を支点として前方に向けて回動する。このため、係止部81Tは長孔84Lに沿って前方に移動し、調節ピン90に当接して移動を停止し、モアデッキユニットMUの高さ調節を終了する。その後、高さ調節ペダル24から右足を離す。
【0059】
図10(a),(b)にはモアモータ15の電気的接続の詳細を示す。モアモータ15は、その下部15Bの側面に設けられたカップラーCP1およびこれと連結されたカップラーCP2、さらにケーブルHNを介して、運転席支持フレーム40内に収納されたモアモータドライバと連結されている。ケーブルHNは、シャーシ11の側部11S内に配置されて、運転席支持フレーム40内に延びている。側部11S内では、ガイド部材Gによって下方より支持されて吊り下げられるようにして配置されている。ガイド部材Gは、側部11Sと一体に形成されていてもよいし、別体に形成されてボルトなどで側部11Sの内側に取り付けるように構成してもよい。ケーブルHNが側部11S内に配置されることで、ケーブルHNを上方からの衝撃によって破損することを防止できる。また、ケーブルHNを設置して保護するための保護部材を別途も受ける必要がない。
【0060】
カップラーCP2の近傍ではケーブルHNはコイル状のコイル部HCを構成している。ケーブルHNは側部11S内ではガイド部材Gによって固定されており、ほとんど伸縮できない。このため、ケーブルHNをモアモータ15と着脱自在に構成する場合には、着脱の際に作業性を考慮して弛みを持たせて設計する必要がある。しかし、コイル部HCを設けることで、側部11Sから下方に露出する部分のケーブルHNの弛みを最小限にとどめることができる。このため、走行中に枝などの障害物にケーブルHNが引っかかることを防止することができ、これによって、モアモータ15の電気的接続が破断されることを防止することができる。また、モアデッキユニットMUの昇降にあたってもケーブルHNの弛みを最小限とすることができる。
【0061】
モアデッキユニット(作業部)MUをメンテナンスする際には、支持ブラケット67 、ブラケット56L,56Rのボルトを緩めてリンク機構から(または、リンク機構の他の部分のボルトを外してシャーシ11から)取り外す必要があるが、この際、電気的な接続はカップラーCP2を取り外すだけでよいので容易であり、電動ローンモア10のメンテナンス性が向上する。
【0062】
なお、カップラーCP1を図11に示すように、側部11Sよりも外側に配置すると、カップラーCP2を取り外すことが容易になり好適である。このカップラーCP1の位置は側部11Sよりも外側であればよく、図11の位置に限定されるものではない。
【0063】
カップラーCP1,CP2の配置は、上述の例に限定されるものではなく、例えば、図12(a),(b)に示すようであってもよい。この例では、モアモータ15の下部15Bの側面からコードCRを突設し、その先端に雌型のカップラーCP1´を備える。カップラーCP1´はモアデッキ14の上面14Uにボルトなどで固定する。したがって、コンセント部分は上方を向いている。このカップラーCP1´には雄型のカップラーCP2´を連結させる。カップラーCP2´は、前述の例のケーブルHNの先端が連結されている。このようにカップラーCP1´を配置すると、カップラーCP2´を着脱する際にモアモータ15の側面を押し付けたり引っ張ったりすることがない。このため、モアモータ15に不必要に衝撃を加えることがなく、破損や故障などの危険性を回避することができる。
【0064】
また、図13(a),(b)に示すように、カップラーCP2´´をシャーシ11の側部11Sにボルトなどで取り付けるようにし、側部11SにてカップラーCP1´´をカップラーCP2´´に連結するようにしてもよい。その他の符号は、図10,12と同様である。
【0065】
なお、上述の例では、モアデッキ14内に2つのモアブレードと、2つのモアブレードをそれぞれ回転駆動させるための2つのモアモータ15を備えたが、この発明はこれに限定されるものではなく、モアデッキ内に備えるモアブレードおよびそのモアブレードを回転駆動させるためのモアモータの数はそれぞれ3つ以上であってもよい。
【0066】
この発明は上述の例に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内であらゆる形態を取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
この発明の電動作業機は、ローンモアに限定されるものではなく、例えばトラクタの後部に取り付けるロータリー作業機など、あらゆる作業に用いる作業部を備える電動作業機に適用しうる。
【符号の説明】
【0068】
10 電動ローンモア(電動作業機)
11 シャーシ(車体フレーム)
15 モアモータ(作業部モータ)
25 バッテリー
CP1,CP2 カップラー
MU モアデッキユニット(作業部)
HN ケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームと、作業部と、作業部モータと、バッテリーとを備え、バッテリーと作業部モータとの間をカップラーを介してケーブルで連結するとともに、カップラーを作業部近傍に配置する電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローンモア(作業機)は、モアデッキ内に略水平に回転自在に備えられた2つのモアブレードをエンジン動力にて回転させて芝(草)を刈っていた。そして、刈った芝を後方に向かって排出するように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平11−509798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、地球温暖化防止の観点から、温室効果ガスを含む排気ガスを規制する動きが社会的潮流となってきた。この動きに対する対応は自動車産業において顕著であり、ハイブリッドカー、電気自動車など、いわゆるエコカーの開発が進められている。特に、近年、バッテリーを電源とした電気自動車の実用化に対する技術開発が活発化している。
【0005】
しかし、このような技術開発は、作業機の分野においてはさほど活発ではなく、実施可能レベルの技術開発がなされていないのが現状である。したがって、電動作業機を開発することは重要な意義を持っている。
【0006】
電動作業機の一例として、電動ローンモアには、車体フレームを備え、車体フレームに作業部としてのモアデッキユニットを懸架する。モアデッキユニットは、モアデッキと、モアデッキ内に2つのモアブレード、この2つのモアブレードをそれぞれ回転させるための2つのモアモータを備える。2つのモアモータはモアデッキの上面に取り付けられる。モアモータは車体フレームの後部に備えるバッテリーから電源を供給される。
【0007】
ところで、モアデッキユニットはメンテナンスなどの理由から車体フレームから取り外しを可能とする必要がある。そのような場合、モアモータへの電源供給路(ケーブル)を切り離すことが望ましく、モアデッキ近傍にカップラーなどを配置して容易にケーブルを連結・切断するのがよい。そこでこの発明は、作業部を車体フレームから容易に取り外すことが可能な電動作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため請求項1に記載の発明は、車体フレームと、
作業部と、
該作業部に取り付けられた作業部モータと、
該作業部モータに電力を供給するためのバッテリーとを備える電動作業機であって、
前記バッテリーと前記作業部モータとの間をカップラーを介してケーブルで連結するとともに、
前記カップラーを前記作業部近傍に配置することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動作業機において、前記作業部が、複数のモアブレードと、該複数のモアブレードを覆うモアデッキと、該モアデッキ上に載置され、前記複数のモアブレードをそれぞれ回転させる複数のモアモータとで構成された電動作業機であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電動作業機において、前記カップラーを前記作業部モータの側面に設けることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の電動作業機において、前記カップラーを前記モアデッキの上面に設けることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の電動作業機において、前記カップラーを前記車体フレームに設けることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項3ないし5のいずれかに記載の電動作業機において、前記カップラーを、平面視にて、前記車体フレームよりも外側に配置することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の電動作業機において、前記車体フレーム内に前記ケーブルを配置するとともに、該ケーブルの先端部分を前記作業部近傍に配置した電動作業機であって、前記作業部を前記車体フレームに対して昇降可能とし、前記ケーブルの先端部分をコイル状に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、車体フレームと、作業部と、該作業部に取り付けられた作業部モータと、該作業部モータに電力を供給するためのバッテリーとを備える電動作業機であって、前記バッテリーと前記作業部モータとの間をカップラーを介してケーブルで連結するとともに、前記カップラーを前記作業部近傍に配置する。
【0016】
これにより、作業部をメンテナンスするときなど、車体フレームから取り外しを要する場合、作業部モータへの電源供給路(ケーブル)を切り離すことが容易にできる。したがって、作業部を車体フレームから容易に取り外すことが可能な電動作業機を提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、前記作業部が、複数のモアブレードと、該複数のモアブレードを覆うモアデッキと、該モアデッキ上に載置され、前記複数のモアブレードをそれぞれ回転させる複数のモアモータとで構成されるので、モアデッキユニットをメンテナンスなどの理由から車体フレームから取り外しを容易に行うことができる。モアデッキ近傍にカップラーを配置するので、容易にコードを連結・切断することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、前記カップラーを前記作業部モータの側面に設けるので、ケーブルの着脱を容易に行うことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、前記カップラーを前記モアデッキの上面に設けるので、ケーブルの着脱を容易に行うことができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、前記カップラーを前記車体フレームに設けるので、ケーブルの着脱を容易に行うことができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、前記カップラーを、平面視にて、前記車体フレームよりも外側に配置するので、車体フレームに邪魔されることなく、ケーブルの着脱をいっそう容易に行うことができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、前記車体フレーム内に前記ケーブルを配置するとともに、該ケーブルの先端部分を前記作業部近傍に配置した電動作業機であって、前記作業部を前記車体フレームに対して昇降可能とし、前記ケーブルの先端部分をコイル状に形成するので、作業部が昇降する際に、ケーブルの先端部分が伸縮して長さ調節をすることができ、ケーブルを弛ませることがない。このため、走行中に枝などの障害物にケーブルを引掛けて破損させることを防止することができる。また、ケーブルが伸縮するのでカップラーの着脱が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の電動草刈機の一例としての、電動ローンモアの平面図である。
【図2】その側面図である。
【図3】機体の概略斜視図である。
【図4】シャーシの斜視図である。
【図5】モアデッキ近傍の斜視図である。
【図6】主要部の右側面図である。
【図7】モアデッキ近傍の平面図である。
【図8】モアデッキの高さ調節機構を説明するための図である。
【図9】(a)は同じくモアデッキの高さ調節機構を説明するための図、(b)は調節板の詳細、(c)は高さ調節ピンの斜視図である。
【図10】(a)はモアモータ近傍の側面図であり、(b)は(a)のA矢視断面図である。
【図11】カップラーの配置を説明するための図である。
【図12】(a),(b)は図10の変形例を示すための図である。
【図13】(a),(b)は図10および図12の変形例を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。なお、この明細書において、「前」とは電動作業機の前進方向を、「後」とは後進方向を、「左右」とはそれぞれ、前進方向に向かって「左右」を、「上下」とはそれぞれ、作業車両の「上下」方向を意味するものとする。図1には、この発明の電動作業機の一例としての、電動ローンモア10の平面図を、図2には、その側面図を示す。電動ローンモア10は、シャーシ(車体フレーム)11と、該シャーシ11の前側下方に一対の前タイヤ12、後側下方に一対の後タイヤ(後輪)13などを備える。また、前タイヤ12と後タイヤ13との間には、モアデッキ14を備える。モアデッキ14の後部の側面は刈った芝を後方に排出するために開放されている。モアデッキ14の内側には、不図示のモアブレードを、左右に2つ並べて備える。このモアブレードの回転中心には、それぞれモアモータ(作業部モータ)15,15を取り付ける(モアモータ15によってモアブレードを回転させて芝を刈る)。なお、右側のモアブレードの回転中心は、左側のそれと比べて、直進方向やや後方となる。
【0025】
シャーシ11の上には、本体カバー20を被せる。本体カバー20は、シャーシ11全体を覆うものである。後タイヤ13のやや前方で本体カバー20上には、運転席21を設ける。運転席21の左右側方には、電動ローンモア10の走行操作をするための走行操作レバー22,22をそれぞれ備える。
【0026】
なお、電動ローンモア10は、草刈りに加えて、走行も電動モータによってまかなうものであり、一対の後タイヤ13,13の内側にそれぞれ走行モータ16を備え、この走行モータ16によって後タイヤ13,13をそれぞれ単独で駆動させる(なお、後タイヤ13,13のホイール内にそれぞれホイールモータを備えてもよい)。
【0027】
前述の2つのモアモータ15および2つの走行モータ16の電力は、バッテリー25から供給される。バッテリー25は、機体の後部に備える。詳しくは、バッテリー25は、後タイヤ13,13のアクスル間で、かつ、シャーシ11の後端に着脱自在に配置される。このバッテリー25には4つの従動式車輪を備え、バッテリー25を取り外して作業者が押したり引いたりして移動させることができるように構成されている。なお、バッテリー25にはカバーを備え、カバーの蓋を開けると給電口が露出する。また、カバー内には、バッテリー25の微小な電圧の変動を補正するためのバッテリーコントローラを備える。
【0028】
運転席21の下方には、不図示の制御部を備える。制御部にはモータドライバなどを備える。モータドライバは、電動ローンモア10の走行モータ16を制御し、走行操作レバー22の傾動量に応じて走行モータ16の回転方向および回転速度を制御する。また、別のモータドライバは、モアモータ15の回転制御をする。これらのモータドライバは、自らが発した熱を放出するための放熱板を下部に備える。放熱板はシャーシ11の下方に露出するように配置される。なお、モアモータ15の回転と走行モータ16の回転数とは連動するように制御される。すなわち、モアブレードの回転数を速めると走行スピードが速まり、モアブレードの回転数遅くすると走行スピードが遅くなる。
【0029】
前タイヤ12,12はそれぞれ、シャフトを介して前タイヤブラケット17に回転自在に取り付けられている(すなわち、前タイヤ12は前タイヤブラケット17に対して従動回転する)。前タイヤブラケット17は門型形状に形成され、天面部の中央には貫通孔を設ける。貫通孔にはシャフトを上向きに貫通させて溶接にて固定し、このシャフトを円筒状の前タイヤポスト18内にて回動自在に固定する。これによって、前タイヤブラケット17は、前タイヤポスト18に対して回転自在となる。
【0030】
前タイヤポスト18の側面には、フロントフレーム19の一端を固定する。フロントフレーム19は円弧状に形成され、後述するようにシャーシ11に固設される。
【0031】
電動ローンモア10の右側で、かつ、フロントフレーム19とモアデッキとの間には、モアデッキ14の高さを調節するための高さ調節ペダル24を備える。
【0032】
走行操作レバー22は傾動可能に設けられ、運転者がこれを前に倒すと走行モータ16が前進方向に回転する。一方、走行操作レバー22が後に倒されると走行モータ16は後進方向に回転する。さらに、走行操作レバー22の傾動度合いによって走行モータ16の回転速度が変化する。すなわち、走行操作レバー22を大きく前(後)に倒すと、走行モータ16が前進(後進)方向により早く回転し、走行操作レバー22を小さく前(後)に倒すと、走行モータ16が前進(後進)方向にゆっくりと回転する。運転者は、走行操作レバー22,22を前後に適宜操作することで、直後進、左右折、旋回などを行うことができる。
【0033】
そして、運転席21の右側のフェンダー20FRには、操作部などを備え、例えば、モアデッキ14内の2つのモアブレードの回転をON、OFFする草刈スイッチや、モアデッキ14の高さ調節機構などを設ける。草刈スイッチはリミット型のスイッチで、運転者が指で押下するとONとなり、再度押下するとOFFとなる。運転席21の左側のフェンダー20FLには、カップフォルダや小物を置くためのトレイなどを備える。デッキ昇降ペダル24を右足で操作しながら、モアデッキ14の高さを調節することができる(後述)。
【0034】
図3には機体の斜視図を示す。シャーシ11上には運転席21を載置するための運転席支持フレーム40を取り付ける。この運転席支持フレーム40内には、モアモータドライバ、走行モータドライバなどの電装品類を収納する。シャーシ11の後端付近には、走行モータ16,16を取り付け、走行モータ16にはミッションケースを介してそれぞれ後タイヤ13を取り付ける。
【0035】
シャーシ11の左右前端にはボルトBT1によってブラケット31,31を固設する。ブラケット31の先端はフロントフレーム19と溶接などで連結される。
【0036】
シャーシ11は金属板を加工して形成され、図4に示すように、両側部11S,11Sとその間に設けられた中央部11Mとを一体に形成してなる。中央部11Mの後部には切り欠き11Cを形成する。この切り欠き11Cは、モアモータドライバに備える放熱板を下方に向けて突出させるためのものである。それぞれの側部11Sの上面には、3つの貫通孔11H1と、2つの貫通孔11H2を設ける。また、それぞれの側部11Sの外側面には3つの貫通孔11H3を設ける。貫通孔11H3は、前述のブラケット31の貫通孔31Hと合わせてボルトBT1で固定するためのものである。
【0037】
側部11Sはその断面が略門型状に形成されている。このため、シャーシ11の側部の構造を軽量化することができる。また、側部11Sの中空部分に沿って後述するケーブルなどを配置することができる。
【0038】
図5〜7にはモアデッキユニット(作業部)MUの詳細およびそれを懸架するためのリンク機構を示す。モアデッキユニットMUは、モアデッキ14と、2つのモアモータ15,15と、モアモータ15の回転軸AXの先端に固設されたモアブレードなどで構成される。モアモータ15は上部15A、下部15B、ブラケット15Cをこの順に配置してなる。モアモータ15は、ブラケット15Cにボルトを貫通させてモアデッキ14の上面14Uに固定する。
【0039】
モアモータ15の下部15Bの側面には、カップラーCP1が突設されている。カップラーCP1に連結するカップラーCP2にはケーブルHNが取り付けられている。なお、カップラーCP1とカップラーCP2とを合わせて連結部CPと称す。なお、モアデッキ14はリンク機構を介してシャーシ11に対して昇降するため、ケーブルHNはシャーシ11の側部11SとカップラーCP2との間に長さの余裕をもって配置される。
【0040】
モアデッキ14の前側左右端にはそれぞれブラケット55R,55Lを固設し、ブラケット55R,55Lには、タイヤブラケット53を固設する。そして、タイヤブラケット53にはゲージホイール51,51を回転自在に取り付ける。モアデッキ14の後側左右端にはそれぞれブラケット53R,53Lを固設し、ブラケット53R,53Lにはそれぞれタイヤブラケット54,54を旋回自在に取り付ける。そして、タイヤブラケット54にはゲージホイール52を回転自在に取り付ける。
【0041】
モアデッキ14の前端略中央の上面14Uには、取付板66をボルトなどで固定し、取付板66上には3つの支持ブラケット67をボルトなどで固定する。支持ブラケット67のうち2つには長板状のリンクバー68の一端をボルトなどによって回動可能に取り付ける。リンクバー68の他端はブラケット73にボルトによって回動可能に取り付ける。なお、ブラケット73はフロントフレーム19に溶接などで固定されている。一方、残りの1つの支持ブラケット67にはリンク部69がボルトなどによって回動可能に取り付けられている。リンク部69には長孔が形成されており、この長孔にはボルトが遊嵌するように配置される。このボルトはリンク部材70の一端に固定されている。リンク部材70の他端は、回動棒64の中間部分に固設する。回動棒64はその右端を高さ調節ペダル24に固設する。回動棒64は両端から内側に一定距離だけ離れた位置に支持部材72,72を回動自在に取り付ける。この支持部材72はシャーシ11の側部11Sに下方より取り付けられる。したがって、回動棒64はシャーシ11に回動自在に取り付けられている。
【0042】
回動棒64の中間部分には別のリンク部材63の一端も固設されている(リンク部材63の長径方向、すなわち中心線方向は水平線よりも後方に向けて下がるように配置される)。リンク部材63の他端は、ボルトを介して長板状のリンクバー62の一端に回動可能に取り付けられている。リンクバー62の他端はボルトを介してリンク部材61の一端に回動可能に取り付けられている(リンク部材61の長径方向、すなわち中心線方向は水平線よりも後方に向けて下がるように配置される)。リンク部材61の他端は回動棒71の中間部分に固設されている。回動棒71の右端には板状のリンク部材58の中間部分を固設する。リンク部材58はブーメラン状に形成され、その上端にはボルトを介して別のリンク部材59の一端を回動可能に取り付ける。リンク部材59の他端は後述する昇降リンクプレート80にボルトで回動可能に取り付けられる。
【0043】
一方、リンク部材58の下端はボルトを介してリンク部57に取り付ける。リンク部57には長孔が形成され、ボルトはこの長孔に遊嵌させる。したがって、リンク部材58はボルトを介してリンク部57内を上下方向移動可能である。リンク部57の下端は、ボルトによってブラケット56Rに回動可能に取り付ける。なお、ブラケット56R,56Lはモアデッキ14の上面14Uの後端の左右にボルトによって取り付けられる。
【0044】
ブラケット56Lには、ボルトによってリンク部57の一端を回動可能に取り付ける。リンク部57には長孔が形成され、この長孔にボルトを遊嵌させるようにして、リンク部材65の一端を取り付ける。リンク部材65の他端は回動棒60の左端に固設する。なお、回動棒60の左右端部から内側に一定距離内側に一定距離だけ離れた位置に支持部材71,71を回動自在に取り付ける。この支持部材71はシャーシ11の側部11Sに下方より取り付けられる。したがって、回動棒60はシャーシ11に回動自在に取り付けられている。なお、符号85は、ストッパーであり、高さ調節ペダル24を踏み込んだとき、高さ調節ペダル24の先端部分の裏側面にストッパー85の上端が当接して、それ以上高さ調節ペダル24が踏み込まれることを規制するためのものである。
【0045】
図8,9には、モアデッキユニットMUを昇降するための高さ調節機構の詳細を示す。リンク部材59の他端は昇降リンクプレート80の一端とボルトを介して回動自在に連結されている。昇降リンクプレート80は上部を調節板84の中央に形成された長孔84Lに遊嵌させ、上端にはパイプ状の係止部80Tを固設する(係止部80Tは長孔84Lの抜け止めとなっている)。また、昇降リンクプレート80の略中央部には回動軸81を貫通させて固定する。回動軸81の一端はブラケット82に回動自在に支持されている。なお、回動軸81の他端も不図示のブラケットにて回動自在に支持されている。このブラケットおよびブラケット82はシャーシ11の側部11Sに不図示のボルトにて固定されている。
【0046】
調節板84には複数の貫通孔84Hが形成されている。貫通孔84Hは、長孔84Hの両側に一定の間隔をもって複数形成されている。調節板84の上方には、調節板83を備える。調節板83は調節板84と平行に配置され、フェンダー20FRに適宜取り付けられている。また、調節板83には、複数の貫通孔83Hが形成されている。この貫通孔83Hは貫通孔84Hに対応する箇所の鉛直上方に形成される。貫通孔83Hと貫通孔84Hには、高さ調節ピン90が挿入可能である。高さ調節ピン90は、貫通孔83Hと貫通孔84Hに挿入して、昇降リンクプレート80の係止部81Tを当接させて、昇降リンクプレート80の動きを所定の位置で停止させるためのものである。貫通孔84H,83Hは平面視にて長孔84Lの両側に2列ずつで形成されているが、これは、係止部81Tを止める間隔をできるだけ細かくとるためである。
【0047】
高さ調節ピン90は、頭部90Aと、それより半径の小さな中間部90B、さらに軸部90Cとで構成される。軸部90Cの上部外周には一対の突起90CT,90CTが形成されている。突起90CTは軸部90Cの半径方向に180度対称な位置に形成されている。なお、貫通孔84Hと貫通孔83Hの外径は、軸部90Cの外径よりもやや大きく形成される。
【0048】
また、貫通孔84Hの外周には、一対の切り欠き83HB,83HBが形成されている。切り欠き83HBは貫通孔84Hの外周に180度の間隔で形成される。高さ調節ピン90を貫通孔84Hに挿入する時には、突起90CT,90CTが切り欠き83HB,83HBを通過するように位置合わせをする。したがって、突起90CTは切り欠き83HBを通過する程度の大きさに形成するものとする。なお、突起90CTが切り欠き83HBを通過したあと、調節ピン90を中心線90Lに沿って90度程度回動させることで、貫通孔84に対する調節ピン90の抜け止めとなる。
【0049】
次に、このように構成された電動ローンモア10においてモアデッキユニットMUを昇降する手順について説明する。ここでは、モアデッキユニットMUは芝刈り作業の最高位置にあるものとし、モアデッキユニットMUを下降させる方法について先に説明する。まず、デッキ昇降ペダル24を右足で強く踏み込む。すると、回動棒64が前方に向けて回動するので、リンク部材70が上方に向けて回動する。これによってモアデッキ14の前側が吊り上げられて上昇する。回動棒64が前方に向けて回動すると、リンク部材63も上方に向けて回動し、リンクバー62が後側に押される。リンクバー62はリンク部材61を上側に向けて回動させて回動棒60が前方に向けて回動する。これによって、リンク部材58が前方に向けて回動し、モアデッキ14の後側を吊り上げる。したがって、モアデッキユニットMUが前後で平行に上昇する。
【0050】
リンク部材58が前方に向けて回動することで、リンク部材59が前方に動き、これによって昇降リンクプレート80が回動軸81を支点として後方に向けて回動する。デッキ昇降ペダル24はストッパー85に当接するまで、すなわち、モアデッキユニットMUが高さ切替位置となるまで踏み込む。そして、右足でデッキ昇降ペダル24を踏み込んだ状態を保持する。
【0051】
この状態で高さ調節ピン90を中心線90Lの周りに回動させて、突起90CTと貫通孔84Hの切り欠き84HBとを合わせる。そして、調節ピン90を調節板83,84から抜いて、所望の位置の貫通孔83H,84Hに差し込む。そして、調節ピン90を中心線90Lの周りに回動させて抜け止めをする。
【0052】
次に、デッキ昇降ペダル24を踏む力を少し緩めるようにして後方(運転席方向)に向けて回動させると回動棒64が後方に向けて回動するので、リンク部材70が下方に向けて回動する。これによってモアデッキ14の前側が自重で下降する。回動棒64が後方に向けて回動すると、リンク部材63も下方に向けて回動し、リンクバー62が前側に引っ張られる。リンクバー62はリンク部材61を下側に向けて回動させて回動棒60が後方に向けて回動する。これによって、リンク部材58が後方に向けて回動し、モアデッキ14の後側を自重で下降させる。したがって、モアデッキユニットMUが前後で平行に下降する。
【0053】
リンク部材58が後方に向けて回動することで、リンク部材59が後方に動き、これによって昇降リンクプレート80が回動軸81を支点として前方に向けて回動する。このため、係止部81Tは長孔84Lに沿って前方に移動し、調節ピン90に当接して移動を停止し、モアデッキユニットMUの高さ調節を終了する。その後、高さ調節ペダル24から右足を離す。
【0054】
次に、モアデッキユニットMUを上昇させる方法について説明する。まず、デッキ昇降ペダル24を右足で強く踏み込む。すると、回動棒64が前方に向けて回動するので、リンク部材70が上方に向けて回動する。これによってモアデッキ14の前側が吊り上げられて上昇する。回動棒64が前方に向けて回動すると、リンク部材63も上方に向けて回動し、リンクバー62が後側に押される。リンクバー62はリンク部材61を上側に向けて回動させて回動棒60が前方に向けて回動する。これによって、リンク部材58が前方に向けて回動し、モアデッキ14の後側を吊り上げる。したがって、モアデッキユニットMUが前後で平行に上昇する。
【0055】
リンク部材58が前方に向けて回動することで、リンク部材59が前方に動き、これによって昇降リンクプレート80が回動軸81を支点として後方に向けて回動する。デッキ昇降ペダル24はストッパー85に当接するまで、すなわち、モアデッキユニットMUが高さ切替位置となるまで踏み込む。そして、右足でデッキ昇降ペダル24を踏み込んだ状態を保持する。
【0056】
次に、高さ調節ピン90を中心線90Lの周りに回動させて、突起90CTと貫通孔84Hの切り欠き84HBとを合わせる。そして、調節ピン90を調節板83,84から抜いて、所望の位置の貫通孔83H,84Hに差し込む。そして、調節ピン90を中心線90Lの周りに回動させて抜け止めをする。
【0057】
さらに、デッキ昇降ペダル24を踏む力を少し緩めるようにして後方(運転席方向)に向けて回動させると回動棒64が後方に向けて回動するので、リンク部材70が下方に向けて回動する。これによってモアデッキ14の前側が自重で下降する。回動棒64が後方に向けて回動すると、リンク部材63も下方に向けて回動し、リンクバー62が前側に引っ張られる。リンクバー62はリンク部材61を下側に向けて回動させて回動棒60が後方に向けて回動する。これによって、リンク部材58が後方に向けて回動し、モアデッキ14の後側を自重で下降させる。したがって、モアデッキユニットMUが前後で平行に下降する。
【0058】
リンク部材58が後方に向けて回動することで、リンク部材59が後方に動き、これによって昇降リンクプレート80が回動軸81を支点として前方に向けて回動する。このため、係止部81Tは長孔84Lに沿って前方に移動し、調節ピン90に当接して移動を停止し、モアデッキユニットMUの高さ調節を終了する。その後、高さ調節ペダル24から右足を離す。
【0059】
図10(a),(b)にはモアモータ15の電気的接続の詳細を示す。モアモータ15は、その下部15Bの側面に設けられたカップラーCP1およびこれと連結されたカップラーCP2、さらにケーブルHNを介して、運転席支持フレーム40内に収納されたモアモータドライバと連結されている。ケーブルHNは、シャーシ11の側部11S内に配置されて、運転席支持フレーム40内に延びている。側部11S内では、ガイド部材Gによって下方より支持されて吊り下げられるようにして配置されている。ガイド部材Gは、側部11Sと一体に形成されていてもよいし、別体に形成されてボルトなどで側部11Sの内側に取り付けるように構成してもよい。ケーブルHNが側部11S内に配置されることで、ケーブルHNを上方からの衝撃によって破損することを防止できる。また、ケーブルHNを設置して保護するための保護部材を別途も受ける必要がない。
【0060】
カップラーCP2の近傍ではケーブルHNはコイル状のコイル部HCを構成している。ケーブルHNは側部11S内ではガイド部材Gによって固定されており、ほとんど伸縮できない。このため、ケーブルHNをモアモータ15と着脱自在に構成する場合には、着脱の際に作業性を考慮して弛みを持たせて設計する必要がある。しかし、コイル部HCを設けることで、側部11Sから下方に露出する部分のケーブルHNの弛みを最小限にとどめることができる。このため、走行中に枝などの障害物にケーブルHNが引っかかることを防止することができ、これによって、モアモータ15の電気的接続が破断されることを防止することができる。また、モアデッキユニットMUの昇降にあたってもケーブルHNの弛みを最小限とすることができる。
【0061】
モアデッキユニット(作業部)MUをメンテナンスする際には、支持ブラケット67 、ブラケット56L,56Rのボルトを緩めてリンク機構から(または、リンク機構の他の部分のボルトを外してシャーシ11から)取り外す必要があるが、この際、電気的な接続はカップラーCP2を取り外すだけでよいので容易であり、電動ローンモア10のメンテナンス性が向上する。
【0062】
なお、カップラーCP1を図11に示すように、側部11Sよりも外側に配置すると、カップラーCP2を取り外すことが容易になり好適である。このカップラーCP1の位置は側部11Sよりも外側であればよく、図11の位置に限定されるものではない。
【0063】
カップラーCP1,CP2の配置は、上述の例に限定されるものではなく、例えば、図12(a),(b)に示すようであってもよい。この例では、モアモータ15の下部15Bの側面からコードCRを突設し、その先端に雌型のカップラーCP1´を備える。カップラーCP1´はモアデッキ14の上面14Uにボルトなどで固定する。したがって、コンセント部分は上方を向いている。このカップラーCP1´には雄型のカップラーCP2´を連結させる。カップラーCP2´は、前述の例のケーブルHNの先端が連結されている。このようにカップラーCP1´を配置すると、カップラーCP2´を着脱する際にモアモータ15の側面を押し付けたり引っ張ったりすることがない。このため、モアモータ15に不必要に衝撃を加えることがなく、破損や故障などの危険性を回避することができる。
【0064】
また、図13(a),(b)に示すように、カップラーCP2´´をシャーシ11の側部11Sにボルトなどで取り付けるようにし、側部11SにてカップラーCP1´´をカップラーCP2´´に連結するようにしてもよい。その他の符号は、図10,12と同様である。
【0065】
なお、上述の例では、モアデッキ14内に2つのモアブレードと、2つのモアブレードをそれぞれ回転駆動させるための2つのモアモータ15を備えたが、この発明はこれに限定されるものではなく、モアデッキ内に備えるモアブレードおよびそのモアブレードを回転駆動させるためのモアモータの数はそれぞれ3つ以上であってもよい。
【0066】
この発明は上述の例に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内であらゆる形態を取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
この発明の電動作業機は、ローンモアに限定されるものではなく、例えばトラクタの後部に取り付けるロータリー作業機など、あらゆる作業に用いる作業部を備える電動作業機に適用しうる。
【符号の説明】
【0068】
10 電動ローンモア(電動作業機)
11 シャーシ(車体フレーム)
15 モアモータ(作業部モータ)
25 バッテリー
CP1,CP2 カップラー
MU モアデッキユニット(作業部)
HN ケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
作業部と、
該作業部に取り付けられた作業部モータと、
該作業部モータに電力を供給するためのバッテリーとを備える電動作業機であって、
前記バッテリーと前記作業部モータとの間をカップラーを介してケーブルで連結するとともに、
前記カップラーを前記作業部近傍に配置することを特徴とする、電動作業機。
【請求項2】
前記作業部が、複数のモアブレードと、該複数のモアブレードを覆うモアデッキと、該モアデッキ上に載置され、前記複数のモアブレードをそれぞれ回転させる複数のモアモータとで構成された電動作業機であることを特徴とする、請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記カップラーを前記作業部モータの側面に設けることを特徴とする、請求項1または2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記カップラーを前記モアデッキの上面に設けることを特徴とする、請求項2に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記カップラーを前記車体フレームに設けることを特徴とする、請求項1または2に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記カップラーを、平面視にて、前記車体フレームよりも外側に配置することを特徴とする、請求項3ないし5のいずれかに記載の電動作業機。
【請求項7】
前記車体フレーム内に前記ケーブルを配置するとともに、該ケーブルの先端部分を前記作業部近傍に配置した電動作業機であって、
前記作業部を前記車体フレームに対して昇降可能とし、
前記ケーブルの先端部分をコイル状に形成することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の電動作業機。
【請求項1】
車体フレームと、
作業部と、
該作業部に取り付けられた作業部モータと、
該作業部モータに電力を供給するためのバッテリーとを備える電動作業機であって、
前記バッテリーと前記作業部モータとの間をカップラーを介してケーブルで連結するとともに、
前記カップラーを前記作業部近傍に配置することを特徴とする、電動作業機。
【請求項2】
前記作業部が、複数のモアブレードと、該複数のモアブレードを覆うモアデッキと、該モアデッキ上に載置され、前記複数のモアブレードをそれぞれ回転させる複数のモアモータとで構成された電動作業機であることを特徴とする、請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記カップラーを前記作業部モータの側面に設けることを特徴とする、請求項1または2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記カップラーを前記モアデッキの上面に設けることを特徴とする、請求項2に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記カップラーを前記車体フレームに設けることを特徴とする、請求項1または2に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記カップラーを、平面視にて、前記車体フレームよりも外側に配置することを特徴とする、請求項3ないし5のいずれかに記載の電動作業機。
【請求項7】
前記車体フレーム内に前記ケーブルを配置するとともに、該ケーブルの先端部分を前記作業部近傍に配置した電動作業機であって、
前記作業部を前記車体フレームに対して昇降可能とし、
前記ケーブルの先端部分をコイル状に形成することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の電動作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−21921(P2013−21921A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156014(P2011−156014)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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