説明

電動工具用集塵装置及び電動工具

【課題】ダストボックスの単価を抑えてダストボックスに伴うコストを低減する。
【解決手段】ハンマードリル1に装着される電動工具用集塵装置30において、集塵ファン36を収容した吸気室37の吸気口52に、ダストボックス62の結合状態で蓋体64に設けた出口66の周囲に当接して吸気口52と出口66との間をシールするシールリング42を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ドリルやハンマードリル等の電動工具に装着される電動工具用集塵装置と、その集塵装置を装着した電動工具とに関する。
【背景技術】
【0002】
電動ドリルやハンマードリル等の電動工具には、穿孔作業等の際に被加工材から発生する粉塵を回収する集塵装置が装着される場合がある。この電動工具用集塵装置としては、特許文献1に開示のものが知られている。ここでは、電動工具に装着されるケーシング内に、集塵ファンを備えたモータを収容すると共に、電動工具の先端工具が貫通する集塵部(吸込口)から集塵ファンを収容した吸気室に至る集塵経路を形成して当該集塵経路上に、フィルタを備えたダストボックスを着脱可能に設けて、集塵部から外気と共に吸引した粉塵をフィルタで捕捉可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7017680号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の集塵装置においては、集塵ファンの収容室とダストボックスとの間をシールするシール部材をダストボックス側へ一体に設けている。よって、ダストボックス自体の単価が高くなり、シール部材が破損等するとダストボックスごと交換する必要が生じ、コストがかさむことになる。
【0005】
そこで、本発明は、ダストボックスの単価を抑えてダストボックスに伴うコストを低減することができる電動工具用集塵装置及び電動工具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、吸込口が突設されて電動工具に装着可能なケーシング内に、集塵ファンを収容した吸気室を形成し、集塵ファンの回転によって吸込口から空気を吸い込んでケーシング内を通過させる集塵経路を形成すると共に、集塵経路上でケーシングに設けた結合部に、フィルタを内設して当該フィルタの上流側に入口を、下流側に出口をそれぞれ備えて集塵経路の一部となるダストボックスを着脱可能に結合して、出口を吸気室の吸気口に対向させた電動工具用集塵装置であって、吸気口に、ダストボックスの結合状態で出口の周囲に当接して吸気口と出口との間をシールするリング状のシール部材を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、シール部材を、出口側への突出方向へ付勢して設けたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、ダストボックスに、出口が形成されて結合状態でシール部材が当接するカバーを設けたことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、出口の周縁に、吸気口側へ突出する立ち上がり部を全周に亘って設けたことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、シール部材の開口に金網を設けたことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかの構成において、結合部を上下方向に形成してダストボックスの入口と出口とを、ダストボックスにおける結合部との対向面に上下に分けて配置して、対向面に、入口と出口との間を仕切って対向面から突出するリブを、出口よりも大きい長さで形成したことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかの構成において、結合部を上下方向に形成して結合部の下部に、ダストボックスの下面を支持する支持部を設けると共に、支持部に粉塵の排出孔を形成したことを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、電動工具であって、請求項1乃至7の何れかに記載の電動工具用集塵装置を装着してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1及び8に記載の発明によれば、シール部材が劣化したり損傷したりしてもシール部材のみの交換で済む。よって、ダストボックスの単価を抑えてダストボックスの交換の頻度も少なくなり、ダストボックスに伴うコストを低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、シール部材を付勢して設けたことで、吸気口と出口との間のシール性が高まる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、カバーによってシール部材の当接状態が安定してシール性の向上が期待できる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、立ち上がり部によって出口からの粉塵の侵入のおそれを低減することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、金網によって吸気室への異物の侵入を防止することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の何れかの効果に加えて、ダストボックスを結合部から取り外す際に入口から粉塵がこぼれ落ちることがあっても、リブによって遮られて出口へ侵入するおそれが小さくなる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の何れかの効果に加えて、支持部上に粉塵が溜まることも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電動工具用集塵装置を装着したハンマードリルの縦断面図である。
【図2】ダストボックスの結合部分の拡大断面図である。
【図3】電動工具用集塵装置の斜視図である。
【図4】ダストボックスの斜視図である。
【図5】電動工具用集塵装置を装着したハンマードリルの縦断面図である(ダストボックスは未結合状態)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、電動工具の一例であるハンマードリルに電動工具用集塵装置(以下単に「集塵装置」という。)を装着した断面を示している。
まずハンマードリル1は、左右一対の半割ハウジングを組み付けてなるハウジング2の前側(図1の左側を前方とする。)下部にモータ3を、出力軸4を上向きにして収容しており、その上方でベベルギヤ5,5を介してトルク伝達される中間軸6に、前方から第1ギヤ7、クラッチ8、ボススリーブ9を備えている。中間軸6の上方には、先端にビット10を挿着可能なツールホルダ11が中間軸6と平行に軸支されて、その後方に遊挿されたピストンシリンダ12の後端に、ボススリーブ9にスワッシュベアリングを介して外装されたアーム13が連結されている。ピストンシリンダ12の内部には、空気室14を介してストライカ15が前後移動可能に外装されて、その前方に設けたインパクトボルト16を打撃可能としている。第1ギヤ7は、ツールホルダ11に装着された第2ギヤ17と噛合している。
【0010】
一方、ハウジング2の後側上部には、スイッチ19及びスイッチレバー20を備えたハンドル18が形成されており、ハンドル18の下方には、電源となるバッテリーパック21が装着されている。また、ハウジング2の前側下部は、前面が前下がり傾斜してバッテリーパック21の前方に突出し、集塵装置30が装着される装着部22となっている。この装着部22の内部に、モータ3のコイル、スイッチ19、バッテリーパック21と電気的接続されるコントローラ23が収容されると共に、装着部22の下面で左右方向の中央には、前端が前方へ開放する案内溝24が前後方向に凹設されている。
【0011】
また、コントローラ23の前方上側には、図2にも示すように、電源用と通信用との3つのメス端子を左右方向に並設したコネクタ25が設けられている。このコネクタ25は、前側が開口した角筒状で、左右の外面に形成した図示しない凹部と、左右の半割ハウジングの内面に突設した図示しないボスとの嵌合により、ボスを中心に上下方向へ回転可能に支持されている。さらに、コネクタ25の上面前端には、ボスを中心とした円弧状の板体であるシャッタ部26が上向きに一体形成される一方、装着部22の下面中央でコネクタ25の下方には、押圧片27が上下方向へ移動可能に保持されている。
【0012】
そして、装着部22の前面におけるコネクタ25の前方には、四角形状の差込口28が開口形成されている。コネクタ25は、シャッタ部26が差込口28の上方に退避して開口を差込口28の真後ろに位置させる上側の接続位置と、シャッタ部26が差込口28の真後ろに位置して開口を差込口28の下方に退避させる非接続位置とに回転可能となっている。但し、コネクタ25は、図示しないトーションスプリングによって、集塵装置30を装着しない状態では、シャッタ部26が差込口28を閉塞する非接続位置に回転付勢されている。この非接続位置で押圧片27は、下方へ退避したコネクタ25に押圧されて、装着部22を貫通して案内溝24内へ突出するようになっている。
【0013】
集塵装置30は、左右の半割ケーシングを組み付けてなる側面視L字状のケーシング31を有し、右上部に、ハンマードリル1の装着部22に嵌合する嵌合凹部32を形成している。ケーシング31の後方には、出力軸34を前方へ向けたモータ33が横向きに収容されると共に、その後方にコントローラ35が設けられている。また、出力軸34には集塵ファン36が固着されて、ケーシング31内に区画形成されて側面に図示しない排気口を備えた吸気室37内に収容されている。38は、吸気室37の前方でケーシング31に形成されたダストボックスの結合部で、図3に示すように前方のみ開口した凹状を呈し、結合部38の底となる後側の仕切壁39には、集塵ファン36の同軸上で結合部38を吸気室37と連通させる連通孔40が形成されている。また、仕切壁39における連通孔40の上側には、吸気室37側へ突出する左右方向の凹部41が形成されている。
【0014】
さらに、連通孔40には、シール部材としてのシールリング42が嵌着されている。このシールリング42は、中心の透孔43に金網44を嵌着した合成樹脂製で、吸気室37側の面には、透孔43と同心円上の外溝45及び内溝46がそれぞれ形成される一方、吸気室37と反対側の面には、外溝45の外側に位置するリング状の突条47が、透孔43と同心円上で形成されている。ここでは突条47の外径が連通孔40の内径と略一致しており、突条47の外周にはフランジ48が周設されている。
49は、吸気室37内で仕切壁39と集塵ファン36との間に設けられたファンカバーで、ファンカバー49の中央に連通孔40と同心で形成されたリング状の突部50を、ゴムリング51を介してシールリング42の外溝45に嵌合させることで、シールリング42は、フランジ48を吸気室37側から仕切壁39に当接させて突条47を仕切壁39から外側へ突出させた状態で保持されている。この状態で内溝46には、集塵ファン36の中央に形成される吸気口52の先端が挿入される。
【0015】
また、ケーシング31の上部後面には、電源用と通信用との3つの板状のオス端子53,53・・が左右方向に所定間隔をおいて並設されて、後方へ突出している。
さらに、ケーシング31の後部上面には、装着部22の案内溝24に嵌合する押圧レール54が前後方向に突設されている。この押圧レール54の後端には、後方へ行くに従って高さが低くなる傾斜面が形成されている。押圧レール54の左右両側には、装着部22の下部が嵌合可能な間隔で一対のガイドレール31a,31aが前後方向に立設されて、各ガイドレール31aの上端には、装着部22の側面に設けた図示しない結合溝に嵌合可能な凸条(図示略)がそれぞれ内側へ向けて突設されている。
【0016】
一方、図1において、結合部38の上方には、前端が開口し後端がU字状にターンして結合部38の後方へ回り込む案内通路55が前後方向に形成されており、その案内通路55の前端に、L字状のノズル56が連結されて、吸込口57を有する先端を上向きに突出させている。このノズル56及び案内通路55には、両者に跨ってフレキシブルホース58が収容されており、フレキシブルホース58の後端には、案内通路55の後端形状に沿ってU字状に折り返した筒状のダクト59が連結されている。このダクト59は、上側が円筒で下側が横長の角筒に形成され、下側の先端部60は、左右へV字状に分岐して、左右一対の吹出口61,61を斜め前方へ向けて開口させている。ダクト59の取付状態で、先端部60は仕切壁39を貫通して結合部38内に突出するようになっている。
【0017】
そして、結合部38にはダストボックス62が着脱可能に装着されている。このダストボックス62は、図4にも示すように、直方体状のボックス本体63と、そのボックス本体63の開口にヒンジ結合されるカバーとしての蓋体64とを備えてなる。蓋体64には、長手方向の一方側に横長矩形状の入口65が、他方側に円形の出口66がそれぞれ形成されると共に、出口66を覆う位置に、折り畳まれた紙製のフィルタを有するフィルタユニット67が、フィルタ面68をボックス本体63内へ突出させた姿勢で設けられている。出口66の周縁には、蓋体64の外面よりも外側へ突出する立ち上がり部66aが全周に亘って形成されている。
【0018】
また、蓋体64の外面で入口65と出口66との間には、図4の縦向き姿勢において左右方向に形成され、左右方向の中央部が入口65へ最も近くなる円弧状のリブ69が、出口66の直径よりも大きい長さで突設されている。
さらに、ボックス本体63の短手方向の一方の端面には、結合部38の下端に設けた左右方向の受け軸70に嵌合する溝71が、他方の端面には、結合部38の上側内面に設けた係止突部72に弾性係止する係止片73がそれぞれ形成されている。
一方、ケーシング31には、受け軸70を仕切壁39より前方で支持する支持部74が突設されて、支持部74には、複数の排出孔75,75・・が左右方向に所定間隔をおいて形成されている。
【0019】
以上の如く構成されたハンマードリル1及び集塵装置30において、まず集塵装置30にダストボックス62を装着する際は、図5に示すように、前方から溝71を受け軸70に嵌合させてダストボックス62を縦に起こすように結合部38に押し込む。すると、図1,2のように係止片73が係止突部72に係止して結合部38に装着される。この装着状態で、入口65にダクト59の先端部60が嵌合してボックス本体63内に突出し、出口66が連通孔40に対向すると共に、リブ69が仕切壁39の凹部41内に挿入するようになっている。
また、ダストボックス62の装着状態では、連通孔40に設けたシールリング42の突条47が、出口66の周囲を覆う格好で蓋体64に押圧されて仕切壁39と蓋体64との間をシールする。
【0020】
そして、ハンマードリル1に集塵装置30を装着する際には、ハンマードリル1の装着部22の下部にケーシング31のガイドレール31a,31aを合わせて装着部22がケーシング31の後部上に位置する状態で、装着部22に対して嵌合凹部32を前方から嵌合させるように集塵装置30を後方へスライドさせる。すると、装着部22の案内溝24に集塵装置30の押圧レール54が、結合溝にガイドレール31aの凸条がそれぞれ嵌合して後方へスライドする。このとき押圧レール54は押圧片27に当接するが、傾斜面によって押圧片27を上方へ押し上げるため、コネクタ25は、シャッタ部26が上方へ退避して開口が差込口28の真後ろに位置する接続位置へ移動する。
その後、集塵装置30のオス端子53が開放した差込口28からハウジング2内へ進入し、装着部22が嵌合凹部32へ嵌合すると同時にメス端子に挿通して電気的接続される(図1,2)。
【0021】
こうして集塵装置30を装着した後、ハンマードリル1のスイッチレバー20を押し込み操作してスイッチ19をONさせると、モータ3が駆動して中間軸6を回転させる。このとき、ハウジング2の外部からクラッチ8をスライド操作して、第1ギヤ7のみと係合する前進位置、ボススリーブ9のみと係合する後退位置、第1ギヤ7及びボススリーブ9と同時に係合する中間位置の何れかを選択することで、第2ギヤ17を介してツールホルダ11が回転してビット10を回転させるドリルモード、アーム13の揺動によってピストンシリンダ12を往復動させ、連動するストライカ15によってインパクトボルト16を介してビット10を打撃するハンマーモード、ツールホルダ11の回転とインパクトボルト16の打撃とを同時に行うハンマードリルモードの選択が可能となる。
【0022】
スイッチ19のONによってコントローラ23は、集塵装置30のコントローラ35へ電源を供給する。よって、コントローラ35は、モータ33を駆動させて集塵ファン36を回転させる。これにより、ノズル56の吸込口57から外気が吸引され、フレキシブルホース58及びダクト59を通って先端部60の吹出口61,61からダストボックス62内に排出される。その後、フィルタユニット67の前方へ回り込んでフィルタ面68からフィルタを通過する。そして、出口66から連通孔40を介して吸気室37に至り、吸気室37に設けた排気口から外部へ排出される。従って、被加工材から生じた粉塵は、吸込口57に吸い込まれてノズル56及びフレキシブルホース58、ダクト59を介してダストボックス62内に進入し、フィルタに捕捉されてボックス本体63内に貯留することになる。
【0023】
一方、スイッチレバー20の押し込みを解除してスイッチ19をOFFさせると、モータ3が停止してビット10の回転等が停止する。しかし、コントローラ23は、集塵装置30への通電をスイッチ19のOFFから数秒間遅らせて停止させる遅延機能を備えているため、集塵装置30ではビット停止後数秒間は集塵ファン36が回転を続ける。よって、ノズル56やフレキシブルホース58等に残留した粉塵もダストボックス62へ確実に回収することができる。
【0024】
そして、集塵装置30の取り外しは、装着時と逆に集塵装置30をハンマードリル1から前方へスライドさせると、案内溝24による押圧レール54の案内及び結合溝による凸条の案内で集塵装置30が前方へスライドし、これに従ってオス端子53がコネクタ25から離間して差込口28から抜き取られる。その後、前進した押圧レール54による押圧片27の押し上げを解かれたコネクタ25がトーションスプリングの付勢によって非接続位置へ復帰するため、シャッタ部26が再び差込口28を閉塞することになる。
【0025】
また、集塵装置30からのダストボックス62の取り外しも、装着時と逆に、係止片73を係止突部72から外した状態で、ダストボックス62を受け軸70を中心に結合部38から離れる方向へ倒すと、図5のようにダストボックス62が結合部38から離れるため、そのまま取り外すことができる。この取り外しの際、入口65にとどまっていた粉塵がこぼれ落ちるようなことがあっても、蓋体64のリブ69によって受け止められるため、粉塵が出口66からフィルタユニット67側へ侵入するおそれは小さくなる。特に出口66には立ち上がり部66aが設けられているので、粉塵がより侵入しにくくなっている。さらに、リブ69から粉塵が支持部74上に落下することがあっても、排出孔75を介して外部へ排出され、結合部38にとどまることは殆どない。
【0026】
このように、上記形態の集塵装置30及びハンマードリル1によれば、集塵装置30における吸気室37の吸気口52に、ダストボックス62の結合状態で出口66の周囲に当接して吸気口52と出口66との間をシールするシールリング42を設けたことで、シールリング42が劣化したり損傷したりしてもシールリング42のみの交換で済む。よって、ダストボックス62の単価を抑えてダストボックス62の交換の頻度が少なくなり、ダストボックス62に伴うコストを低減することができる。
特にここでは、シールリング42を、出口66側への突出方向へ付勢して設けているので、吸気口52と出口66との間のシール性が高まる。
【0027】
また、ダストボックス62に、出口66が形成されて結合状態でシールリング42が当接する蓋体64を設けたことで、シールリング42の当接状態が安定してシール性の向上が期待できる。
さらに、出口66の周縁に、吸気口52側へ突出する立ち上がり部66aを全周に亘って設けたことで、出口66からの粉塵の侵入のおそれを低減することができる。
加えて、シールリング42の開口に金網44を設けているので、吸気室37への異物の侵入を防止することができる。
【0028】
一方、結合部38を上下方向に形成してダストボックス62の入口65と出口66とを、ダストボックス62における結合部38との対向面に上下に分けて配置して、当該対向面に、入口65と出口66との間を仕切って対向面から突出するリブ69を、出口66よりも大きい長さで形成したことで、ダストボックス62を結合部38から取り外す際に入口65から粉塵がこぼれ落ちることがあっても、リブ69によって遮られて出口66へ侵入するおそれが小さくなる。
また、結合部38を上下方向に形成して結合部38の下部に、ダストボックス62の下面を支持する支持部74を設けると共に、支持部74に粉塵の排出孔75を形成しているので、支持部74上に粉塵が溜まることも低減できる。
【0029】
なお、シール部材の形状は上記形態に限らず、突条の数を同心円上で増やしたり、金網をなくしたり等の変更が可能である。また、連通孔への取付構造も、吸気室側からフランジを係止させて別体のゴムリングで突出付勢する形態に限らず、例えばゴム製としたシールリングの外周に溝を周設し、その溝に連通孔の内周縁を嵌合させて取り付ける等しても差し支えない。
一方、ダストボックス側でも、リブを円弧状でなく山形形状としたり、上下方向に複数形成したり等、適宜形状変更可能であるし、リブを省略することもできる。同様に出口の立ち上がり部も、突出量を大きくしてシール部材に当接させたり、省略したりしてもよい。また、ダストボックスは上下方向の結合部に対して結合される構造に限らず、例えば電動工具の下面に設けた左右方向の結合部に対して結合させる等、結合の向きや結合構造は上記形態に限定しない。
【0030】
その他、ハンマードリルの形態も、モータやバッテリーパックの配置の変更の他、コネクタを回転でなく上下又は左右方向で接続位置と非接続位置との間をスライド可能に設けて、コイルバネや板バネ等の付勢手段で非接続位置へ付勢したりできる。集塵装置への電源供給も、オス端子とメス端子との関係を逆にしたり、端子の差し込みに代えて、装着部と嵌合凹部との結合部分に互いに当接する端子部を設けたり等、適宜変更可能である。勿論ハンマードリルに限らず、集塵装置を装着可能であれば、電動ドリル等の他の電動工具であっても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1・・ハンマードリル、2・・ハウジング、3,33・・モータ、4,34・・出力軸、6・・中間軸、10・・ビット、11・・ツールホルダ、21・・バッテリーパック、22・・装着部、23,35・・コントローラ、25・・コネクタ、30・・電動工具用集塵装置、31・・ケーシング、32・・嵌合凹部、36・・集塵ファン、37・・吸気室、38・・結合部、40・・連通孔、42・・シールリング、43・・透孔、44・・金網、47・・突条、48・・フランジ、51・・ゴムリング、52・・吸気口、57・・吸込口、62・・ダストボックス、63・・ボックス本体、34・・蓋体、65・・入口、66・・出口、66a・・立ち上がり部、67・・フィルタユニット、69・・リブ、74・・支持部、75・・排出孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口が突設されて電動工具に装着可能なケーシング内に、集塵ファンを収容した吸気室を形成し、前記集塵ファンの回転によって前記吸込口から空気を吸い込んで前記ケーシング内を通過させる集塵経路を形成すると共に、前記集塵経路上で前記ケーシングに設けた結合部に、フィルタを内設して当該フィルタの上流側に入口を、下流側に出口をそれぞれ備えて前記集塵経路の一部となるダストボックスを着脱可能に結合して、前記出口を前記吸気室の吸気口に対向させた電動工具用集塵装置であって、
前記吸気口に、前記ダストボックスの結合状態で前記出口の周囲に当接して前記吸気口と前記出口との間をシールするリング状のシール部材を設けたことを特徴とする電動工具用集塵装置。
【請求項2】
前記シール部材を、前記出口側への突出方向へ付勢して設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項3】
前記ダストボックスに、前記出口が形成されて前記結合状態で前記シール部材が当接するカバーを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項4】
前記出口の周縁に、前記吸気口側へ突出する立ち上がり部を全周に亘って設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項5】
前記シール部材の開口に金網を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項6】
前記結合部を上下方向に形成して前記ダストボックスの前記入口と出口とを、前記ダストボックスにおける前記結合部との対向面に上下に分けて配置して、前記対向面に、前記入口と出口との間を仕切って前記対向面から突出するリブを、前記出口よりも大きい長さで形成したことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項7】
前記結合部を上下方向に形成して前記結合部の下部に、前記ダストボックスの下面を支持する支持部を設けると共に、前記支持部に粉塵の排出孔を形成したことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の電動工具用集塵装置を装着してなる電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−49123(P2013−49123A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189337(P2011−189337)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】