説明

電動式コルク栓抜き器

【課題】 コルク栓を栓抜きする場合に、使う人によって個人差が出ないように安全に、失敗無く、簡単で楽に栓抜きできる電動式のコルク栓抜き器を提供することにある。
【解決手段】 コルク栓91を備えたボトルネック90を挿入する挿入口11と、挿入されたボトルネック90に本器具10を固定するための器具固定機能と、挿入されたボトルネック90のコルク栓91と係合してコルク栓91を引き抜く電動のコルク栓引抜機能と、引き抜いたコルク栓91の係合を解いてコルク栓91を取り外すコルク栓取外機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワインボトルなどのコルク栓を電動で栓抜きする電動式コルク栓抜き器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワインボトルなどのコルク栓を栓抜きする器具としては、実に様々なものが存在している。手動式のものとしては、例えば、特許文献1がある。また、電動式のものとしては、例えば、特許文献2がある(請求項3に係る発明)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3051682号公報
【特許文献2】特開2001−219994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対して、本願発明者らは、コルク栓を栓抜きする場合に、使う人によって個人差が出ないように安全に、失敗無く、簡単で楽に栓抜きできる電動式のコルク栓抜き器を提供することを目的として、本発明の完成に至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明の第1の発明は、コルク栓を備えたボトルネックを挿入する挿入口と、挿入されたボトルネックに本器具を固定するための器具固定機能と、挿入されたボトルネックのコルク栓と係合してコルク栓を引き抜く電動のコルク栓引抜機能とを備えた電動式コルク栓抜き器であることを特徴とする。ここで「ボトルネック」とは、ボトル(瓶)の狭い口部分をいう。
第2の発明は、引き抜いたコルク栓の係合を解いてコルク栓を取り外すコルク栓取外機能を備えたことを特徴とする。
第3の発明は、器具固定機能が、挿入口内面へ出没自在なチャッキングレバーと、当該チャッキングレバーを挿入口側へ付勢して挿入口内面へ突出させて挿入されたボトルネックへ係止させるとともに、チャッキングレバーの挿入口側への付勢を解いてボトルネックへの係止を解除するチャッキングリングとを備えたことを特徴とする。
第4の発明は、コルク栓引抜機能が、コルク栓に螺入し係合するスクリューと、当該スクリューを挿入口方向へ移動及び正回転させてコルク栓に螺入させ、かつ、コルク栓と係合したスクリューを反挿入口方向へ移動させてコルク栓を引き抜く電動のスクリュー台とを備えたことを特徴とする。
第5の発明は、コルク栓に当接してスクリューの螺入をガイドする可動自在なスクリューホルダーを備えたことを特徴とする。
第6の発明は、コルク栓取外機能が、スクリュー台を挿入口方向へ移動して引き抜いたコルク栓を挿入口に位置させた状態でロックされる前記スクリューホルダーと、ロックされたスクリューホルダーと当接するコルク栓に対して、スクリューを反挿入口方向へ移動及び逆回転させてその係合を解いてコルク栓を取り外す電動の前記スクリュー台とを備えたことを特徴とする。
第7の発明は、前記スクリューホルダーが、スクリューホルダーの外に付勢されてスクリューホルダーをロックするとともにスクリュー台に設けられたフック受け部材と掛合可能なフック部材と、スクリューホルダーの外側に摺動自在に嵌合しフック部材の付勢を抑制するロックリングとを備え、挿入口に挿入されたボトルネックによって、ロックリングが摺動しフック部材の付勢を抑制してスクリューホルダーのロック状態が解除されるとともに、スクリューをコルク栓に螺入させるために挿入口方向へ移動したスクリュー台のフック受け部材とフック部材とが掛合して、コルク栓と係合したスクリューを反挿入口方向へ移動させるためにスクリュー台及びスクリューホルダーが結合して反挿入口方向へ移動しコルク栓を引き抜き、引き抜いたコルク栓を取り外すためにスクリュー台及びスクリューホルダーを挿入口方向へ移動させ、引き抜いたコルク栓を挿入口に位置させた状態でフック部材の付勢によってスクリューホルダーがロックされることを特徴とする。
第8の発明は、スクリューホルダーの位置を確認できるインジケーターを備えたことを特徴とする。
第9の発明は、電源が、AC式,一次電池式,二次電池式又はACアダプター式若しくはこれらの組み合わせであることを特徴とする。ここで「一次電池」とは、使用後に再び充電して用いられない電池のことをいう。「二次電池」とは、充電して再使用可能な電池のことをいう。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)コルク栓を備えたボトルネックを挿入する挿入口と、挿入されたボトルネックに本器具を固定するための器具固定機能と、挿入されたボトルネックのコルク栓と係合してコルク栓を引き抜く電動のコルク栓引抜機能と、場合によってはさらに引き抜いたコルク栓の係合を解いてコルク栓を外すコルク栓取外機能を備えることで、使う人によって個人差が出ないような安全で、失敗無く、簡単で楽に栓抜きできる電動式のコルク栓抜き器を提供できる。
(2)具体的には、器具固定機能が、挿入口内面へ出没自在なチャッキングレバーと、当該チャッキングレバーを挿入口側へ付勢して挿入口内面へ突出させて挿入されたボトルネックへ係止させるとともに、チャッキングレバーの挿入口側への付勢を解いてボトルネックへの係止を解除するチャッキングリングとを備えたことで、本器具をボトルネックへ確実に固定できるとともに、その取付け・取外しを安全で、失敗無く、簡単で楽に行える。
(3)コルク栓引抜機能が、コルク栓に螺入し係合するスクリューと、当該スクリューを正回転及び挿入口方向へ移動させてコルク栓に螺入させ、かつ、コルク栓と係合したスクリューを反挿入口方向へ移動させてコルク栓を引き抜く電動のスクリュー台とを備えたことで、コルク栓の引き抜きを安全で、失敗無く、簡単で楽に行える。
(4)コルク栓に当接してスクリューの螺入をガイドする可動自在なスクリューホルダーを備えることで、コルク栓の中心へのスクリューの螺入を確実に行える。また、安全性にも寄与する。すなわち、通常スクリューは剥き出しか又は保護用の別パーツを付けるかしているが、本発明ではスクリュー先端はスクリューホルダーに覆われてカバーされているため、安全であり、安全用保護カバーの着脱も必要のない合理性と安全性を持ったことを特徴とする。
(5)コルク栓取外機能が、スクリュー台を挿入口方向へ移動し引き抜いたコルク栓を挿入口に位置させた状態でロックされるスクリューホルダーと、ロックされたスクリューホルダーと当接するコルク栓に対して、スクリューを逆回転及び反挿入口方向へ移動させてその係合を解いてコルク栓を外す電動のスクリュー台とを備えたことで、係合したスクリューからのコルク栓外しを安全で、失敗無く、簡単で楽に行える。
(6)スクリューホルダーが、スクリューホルダーの外に付勢されてスクリューホルダーをロックするとともにスクリュー台に設けられたフック受け部材と掛合可能なフック部材と、スクリューホルダーの外側に摺動自在に嵌合しフック部材の付勢を抑制するロックリングとを備え、挿入口に挿入されたボトルネックによって、ロックリングが摺動しフック部材の付勢を抑制してスクリューホルダーのロック状態が解除されるとともに、スクリューをコルク栓に螺入させるために挿入口方向へ移動したスクリュー台のフック受け部材とフック部材とが掛合して、コルク栓と係合したスクリューを反挿入口方向へ移動させるためにスクリュー台及びスクリューホルダーが結合して反挿入口方向へ移動しコルク栓を引き抜き、引き抜いたコルク栓を外すためにスクリュー台及びスクリューホルダーを挿入口方向へ移動させ、引き抜いたコルク栓を挿入口に位置させた状態でフック部材の付勢によってスクリューホルダーがロックされることで、コルク栓引抜機能及びコルク栓取外機能を簡単かつ確実に実現できる。
(7)スクリューホルダーの位置を確認できるインジケーターを備えたことで、本器具の誤使用を防止することができる。すなわち、スクリューに係合するコルク栓の有無に関わらずスクリューホルダーが反挿入口方向にある状態で、新しいボトル(コルク栓が付いている)に本器具を取り付けて作動させると、スクリューが回転せずに挿入口方向へ移動するので新しいボトルのコルク栓がボトルの中へ押し込まれてしまうことになるので、スクリューホルダーの位置を確認できることはこうした誤使用を未然に防止することになる。
(8)電源が、AC式,一次電池式,二次電池式又はACアダプター式若しくはこれらの組み合わせであることで、本器具の使用を安全で、失敗無く、簡単で楽に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1から図7は、本発明に係る電動式コルク栓抜き器の構造及び動作を説明する説明図である。
【0008】
図1及び図2は、電動式コルク栓抜き器(以下「本器具」)10の器具固定機能を示す説明図である。器具固定機能とは、挿入されたボトルネック90に本器具10を固定するための機能である。
本器具10は、器具固定機能のためにチャッキングレバー20とチャッキングリング25を備える。チャッキングレバー20は、コルク栓91を備えたボトルネック90を挿入する挿入口11の内面12へ出没自在な部材である。また、チャッキングリング25は、チャッキングレバー20を挿入口11側へ付勢して挿入口内面12へ突出させて挿入されたボトルネック90へ係止させるとともに、チャッキングレバー20の挿入口11側への付勢を解いてボトルネック90への係止を解除する部材である。
【0009】
図1左図に示すように、チャッキングレバー20,20は挿入口11の外側に頂部21,21を軸着するようにハ字形に取り付けられている。また、チャッキングレバー20,20は、挿入口11側へ付勢された場合に挿入口内面12へ突出する突起部22,22を備えている。そして、このチャッキングレバー20,20を外嵌するようにチャッキングリング25が取り付けられている。
【0010】
器具固定機能は、まず第1に、チャッキングリング25がチャッキングレバー20,20の頂部21,21側にあってチャッキングレバー20,20を挿入口11側へ付勢していない状態で、本器具10の挿入口11がコルク栓91を備えたボトルネック90上へ来るようにする(図1右図)。
次に、挿入口11へボトルネック90を挿入する(図2左図)。
そして、チャッキングリング25をチャッキングレバー20,20の反頂部23,23側(図中矢印方向)へ移動させる。すると、チャッキングレバー20,20が挿入口11側へ付勢され、チャッキングレバー20,20の突起部22,22が挿入口内面12へ突出し、ボトルネック90の段部92に係止する。これによって、ボトルネック90に本器具10を固定することができる(図2右図)。
また、この固定を解くためには、これと逆のことをすればよい。すなわち、チャッキングリング25をチャッキングレバー20,20の頂部21,21側へ移動させる。すると、チャッキングレバー20,20の挿入口11側への付勢が解かれ、チャッキングレバー20,20の突起部22,22が挿入口内面12へ突出しなくなり、ボトルネック90の段部92との係止が解除される。これによって、ボトルネック90に対する本器具10の固定を解除することができる。
【0011】
図3及び図4は、本器具10のコルク栓引抜機能を示す説明図である。コルク栓引抜機能とは、挿入されたボトルネック90のコルク栓91と係合してコルク栓91を引き抜くための機能である。
本器具10はコルク栓引抜機能のために、まずスクリュー31とスクリュー台30とを備える。スクリュー31は、コルク栓に螺入し係合する部材である。また、スクリュー台30は、スクリュー31を挿入口11方向へ移動及び正回転させてコルク栓91に螺入させ、かつ、コルク栓91と係合したスクリュー31を反挿入口14方向へ移動させてコルク栓91を引き抜く電動部材である。
本器具10はその他に、スクリューホルダー40を備える。スクリューホルダー40は、ここではコルク栓91に当接してスクリュー31の螺入をガイドする可動自在な部材であり、スクリュー台30に設けられたフック受け部材32,32と掛合可能なフック部材41,41を備える。
【0012】
図3左図に示すように、スクリュー台30は反挿入口14側に位置し、スクリュー31が本器具10の長手方向中心部に位置するようにスクリュー台30に取り付けられている。なお、スクリュー台30の移動構造及びスクリュー31の回転構造については、後ほど詳細に説明する。
また、スクリューホルダー40は挿入口11に挿入されたボトルネック90のコルク栓91に当接するように位置しており、反挿入口14側には逆ハ字形に付勢するフック部材41,41を備えている。
【0013】
コルク栓引抜機能は、まず第1に、本器具10の挿入口11へボトルネック90を挿入し固定すると、コルク栓91とスクリューホルダー40が当接するとともに、スクリューホルダー40の外側に摺動自在に嵌合しているロックリング45が持ち上げられ、フック部材41,41の付勢を抑制する(図3左図)。
次に、スクリュー台30がスクリュー31を挿入口11方向へ移動及び正回転させてコルク栓91に螺入させるとともに、スクリュー台30に設けられたフック受け部材32,32とスクリューホルダー40のフック部材41,41とが掛合する(図3右図)。
そして、スクリュー台30がコルク栓91と係合したスクリュー31をスクリューホルダー40とともに反挿入口14方向へ移動させて、コルク栓91を引き抜くことができるものである(図4左図)。
最後に、チャッキングリング25を頂部21,21側(図中矢印方向)へ移動し、チャッキングレバー20,20の係止を解除すれば、コルク栓91の引き抜かれたボトルネック90から本器具10を取り外すことができる(図4右図)。
【0014】
図5〜図7は、本器具10のコルク栓取外機能を示す説明図である。コルク栓取外機能とは、引き抜いたコルク栓の係合を解いてコルク栓を取り外すための機能である。
コルク栓取外機能は、まず第1に、ボトルネック90から本器具10を取り外すことが必要である。そのために、チャッキングリング25を頂部21,21側(図中矢印方向)へ移動し、チャッキングレバー20,20の係止を解除することで本器具10を取り外す(図5左図)。
第2に、引き抜いたコルク栓91を外すためにスクリュー台30を挿入口11方向へ移動させる(図5右図)。
第3に、引き抜いたコルク栓91が挿入口11に位置した状態になると、ロックリング45が下がっており、フック部材41,41の付勢によってスクリューホルダー40がロックされる(図6左図)。
第4に、スクリューホルダー40がロックされた状態で、これと当接するコルク栓91に対して、スクリュー台30がスクリュー31を反挿入口14方向へ移動及び逆回転させる(図6右図)。すると、その係合が解かれ、コルク栓91が外れる(図7)。
【0015】
次に、スクリュー台30の動作(上下動)について、図8を使用して説明する。図8は、本器具10の内部構造を示す構造図であり、右図は正面図、左図は側面図である。
スクリュー台30は電動であり、本器具10に内蔵されたモータ33によって稼動する。モータ33の回転力は、歯車3段にて減速する。そして、最後の歯車34に軸歯車35,35が2個噛み合っている。ここで、軸歯車35,35は、同一の歯車34に噛み合っているので同速で同一の方向に回転する。この軸歯車35,35に雄ねじをきった回転動力軸36,36が空転しないようにDカットなどで固定されている。
一方、スクリュー台30には、雌ねじが切られたインサートナット37,37が圧入されている(但し、スクリュー台30に直に雌ねじが切られていても良い)。そして、このインサートナット37,37に回転動力軸36,36がねじ嵌合している。
従って、モータ33が回転すると回転動力軸36,36が回転し、ねじ嵌合されているのでスクリュー台30は上下動することができるのである。なお、スクリュー台30が上下する方向は、モータ33の回転が正回転か逆回転かの方向による。図9に、モータ33の正回転と逆回転の電気回路図を示す。上図がモータ33を正回転させてスクリュー台30を下げる(挿入口11側へ移動させる)電気回路図であり、下図がモータ33を逆回転させてスクリュー台30を上げる(反挿入口14側へ移動させる)電気回路図である。
【0016】
また、スクリュー台30の動作(スクリュー31自身の回転)について、図10を使用して説明する。図10も、図8と同じく本器具10の内部構造を示す構造図であり、左側2図は初期状態(A状態)を示す側面図・正面図であり、右図2図はコルク栓91が引き抜かれた状態(B状態)を示す側面図・正面図である。
スクリュー31の回転には、スクリューホルダー40の存在が大きく関わってくる。すなわち、スクリューホルダー40のセンターライン上に平行ピン42がセットされており(図面上では、スクリュー31と平行ピン42が重なっているが、実際は螺旋の隙間に平行ピン42が入る)、この平行ピン42とスクリュー台30の上下動によってスクリュー31が回転するものであり、スクリュー31の回転はモータ33の回転と直接関係するものではない。もちろん、本発明がスクリュー31の回転をモータ33の回転と直接関係するような構造にすることを否定するものではない。
【0017】
図10を用いて、スクリュー31の回転についてさらに詳しく説明する。
(1)「初期状態」では、スクリューホルダー40は下部側(挿入口11側)にロック状態にある(左側2図)。そこに、スクリュー台30が下がってくる(挿入口11側へ移動してくる)とスクリュー台30に回転自在に取り付けられたスクリュー31も下がってくる(挿入口11側へ移動してくる)ことになる。スクリュー31は平行ピン42を突き抜けて前進はできないので、平行ピン42に沿って正回転しながら前進することになる。そして、コルク栓91があればスクリュー31が突き刺さることになる。なお、スクリューホルダー40がスクリュー台30と一緒に移動する場合は、スクリュー31が回転することなしに、単なる上下移動となる。
(2)上記(1)の工程が済むとスクリュー台30は上がる(反挿入口14側へ移動する)が、この時スクリューホルダー40がスクリュー台30と一体になって上がる。上記のように一緒に移動する場合は、スクリュー31が回転することなしに移動して行くので、コルク栓91がボトルネック90から引き抜けるということになる。
(3)スクリュー31が逆回転する場合は、コルク栓91が引き抜かれた状態(右側2図)から作動させる場合である。作動を開始するとスクリューホルダー40は上部(反挿入口14側)にあるので下りて来る(挿入口11側へ移動してくる)が、スクリュー台30と一緒に移動するので上記と同様に単なる下降移動となる。
(4)下り切った(挿入口11側へ移動し切った)所でスクリューホルダー40は分離され上部(反挿入口14側)に移動しないようにロックされ、モータ33が逆回転に切り替えられてスクリュー台30だけが上昇(反挿入口14側へ移動)していく。スクリュー31も上がって行く(反挿入口14側へ移動していく)ことになるが、上記(1)の場合とは逆に後退しながら平行ピンに沿って逆回転することになる。コルク栓91が係合している場合には、スクリューホルダー40が下部でロックされているのでスクリュー31からコルク栓91が外れることになる。
【0018】
以上、これまで説明した本器具10の動作とスイッチ及びスクリュー31との関係をまとめると図11の表のようになる。
【0019】
ここで、本器具10のスイッチについて補足する。本器具10では、メインスイッチ(メインSW1)と内部スイッチ(内部SW2)を備える。メインスイッチは、モータ33を正回転・逆回転させるためにあり、いわば正逆切り替え用のスイッチである。一方、内部スイッチはモータ33を止めるためのスイッチである。両者の関係は次の通りである。
図10に示すように「初期状態(A状態)」と「コルクが抜かれた状態(B状態)」(ともに「スタート状態」)ではスクリュー台30は、上部(反挿入口14側)にある。作動させるためにスイッチボタン13(本体の外面にある)を操作すると、スイッチレバーが上方に起こされてメインスイッチが切り替えられ、モータ33を正回転させる。そして、スクリュー台30が上から下に移動する。スクリュー台30が下り切った所で、スクリュー台30によってメインスイッチのスイッチレバーが下方に押されてメインスイッチが切り替えられ、モータ33を逆回転させる。すると、スクリュー台30は下から上に移動するが、何らかの方法でモータ33を停止させないと、「スタート状態」の位置を通り越してスクリュー台30の上方にある構造物に当たってしまい、モータ33がロック状態(通電しているのに止められる)となってしまう。この状態は、非常に危険な状態でモータ33や充電池の発熱を引き起こすため、「スタート状態」の位置に内部スイッチを設置し、電流を切るようにしたものである。スクリュー台30によって内部スイッチ(この例ではマイクロスイッチ)の押ボタンを押し電流を切る。なお、この内部スイッチは、メインスイッチの逆転の回路に入っていて、メインスイッチが逆転の時だけ働くようになっている。従って、正回転してスクリュー台30が下に移動して内部スイッチの押ボタンが元に戻っても、正回転している間は回路上関係なく、本器具の動作を止めてしまうことはない。
【0020】
最後に、図10を用いて、スクリューホルダー40の位置を確認できるインジケーターについて説明する。
図10に示すように、インジケーター48はスクリューホルダー40に取り付けられている。このため、インジケーター48はスクリューホルダー40と一緒に移動し、スクリューホルダー40の位置を表すことができるのである。通常は、インジケーター48が上にあれば、図面中「B状態」のように引き抜かれたコルク栓91が本器具10中にある。特別な場合、例えばコルク栓91の無い空のボトルネック90を取り付けて作動させると、コルク栓91が無くてもスクリューホルダー40が上がり(反挿入口14側へ移動し)、インジケーター48が上になる。コルク栓91があってもなくても、スクリューホルダー40が上にある状態で、新しいボトルネック90(コルク栓91が付いている)に本器具10を取り付けて作動させると、スクリュー31が回転せずに下りて来るので新しいボトルネック90のコルク栓91がボトルの中へ押し込まれてしまうため、これを防止するためにインジケーター48を設けるものである。
なお、コルク栓91が無くて(あっても)インジケーター48が上にある場合の対処方法は、本器具10にボトルネック90など何も取り付けずに空運転すると、図面中の「A状態(初期状態)」に戻る。
【0021】
電動式のスクリュー台30の電源としては、例えば、AC式,一次電池式,二次電池式又はACアダプター式若しくはこれらの組み合わせである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
ワインボトルなどのコルク栓を電動で栓抜きする電動式コルク栓抜き器に関するものであり、家庭用のオープナーとしても、また、業務用のオープナーとしても利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】電動式コルク栓抜き器の構造及び動作を説明する説明図(その1)。
【図2】電動式コルク栓抜き器の構造及び動作を説明する説明図(その2)。
【図3】電動式コルク栓抜き器の構造及び動作を説明する説明図(その3)。
【図4】電動式コルク栓抜き器の構造及び動作を説明する説明図(その4)。
【図5】電動式コルク栓抜き器の構造及び動作を説明する説明図(その5)。
【図6】電動式コルク栓抜き器の構造及び動作を説明する説明図(その6)。
【図7】電動式コルク栓抜き器の構造及び動作を説明する説明図(その7)。
【図8】電動式コルク栓抜き器の内部構造を示す構造図。
【図9】モータの正回転と逆回転の電気回路図。
【図10】電動式コルク栓抜き器の内部構造を示す構造図。
【図11】本器具の動作とスイッチ及びスクリューとの関係をまとめた表。
【符号の説明】
【0024】
10 電動式コルク栓抜き器 11 挿入口 12 挿入口内面
13 スイッチボタン 14 反挿入口
20 チャッキングレバー 21 頂部 22 突起部
23 反頂部 25 チャッキングリング
30 スクリュー台 31 スクリュー 32 フック受け部材
33 モータ 34 歯車 35 軸歯車 36 回転動力軸
37 インサートナット
40 スクリューホルダー 41 フック部材 42 平行ピン
45 ロックリング 48 インジケーター
90 ボトルネック 91 コルク栓 92 段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルク栓を備えたボトルネックを挿入する挿入口と、
挿入されたボトルネックに本器具を固定するための器具固定機能と、
挿入されたボトルネックのコルク栓と係合してコルク栓を引き抜く電動のコルク栓引抜機能とを備えたことを特徴とする電動式コルク栓抜き器。
【請求項2】
引き抜いたコルク栓の係合を解いてコルク栓を取り外すコルク栓取外機能を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動式コルク栓抜き器。
【請求項3】
器具固定機能は、挿入口内面へ出没自在なチャッキングレバーと、
当該チャッキングレバーを挿入口側へ付勢して挿入口内面へ突出させて挿入されたボトルネックへ係止させるとともに、チャッキングレバーの挿入口側への付勢を解いてボトルネックへの係止を解除するチャッキングリングとを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の電動式コルク栓抜き器。
【請求項4】
コルク栓引抜機能は、コルク栓に螺入し係合するスクリューと、
当該スクリューを挿入口方向へ移動及び正回転させてコルク栓に螺入させ、かつ、コルク栓と係合したスクリューを反挿入口方向へ移動させてコルク栓を引き抜く電動のスクリュー台とを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電動式コルク栓抜き器。
【請求項5】
コルク栓に当接してスクリューの螺入をガイドする可動自在なスクリューホルダーを備えたことを特徴とする請求項4記載の電動式コルク栓抜き器。
【請求項6】
コルク栓取外機能は、スクリュー台を挿入口方向へ移動して引き抜いたコルク栓を挿入口に位置させた状態でロックされる前記スクリューホルダーと、
ロックされたスクリューホルダーと当接するコルク栓に対して、スクリューを反挿入口方向へ移動及び逆回転させてその係合を解いてコルク栓を取り外す電動の前記スクリュー台とを備えたことを特徴とする請求項5記載の電動式コルク栓抜き器。
【請求項7】
前記スクリューホルダーは、スクリューホルダーの外に付勢されてスクリューホルダーをロックするとともにスクリュー台に設けられたフック受け部材と掛合可能なフック部材と、スクリューホルダーの外側に摺動自在に嵌合しフック部材の付勢を抑制するロックリングとを備え、
挿入口に挿入されたボトルネックによって、ロックリングが摺動しフック部材の付勢を抑制してスクリューホルダーのロック状態が解除されるとともに、スクリューをコルク栓に螺入させるために挿入口方向へ移動したスクリュー台のフック受け部材とフック部材とが掛合して、コルク栓と係合したスクリューを反挿入口方向へ移動させるためにスクリュー台及びスクリューホルダーが結合して反挿入口方向へ移動しコルク栓を引き抜き、引き抜いたコルク栓を取り外すためにスクリュー台及びスクリューホルダーを挿入口方向へ移動させ、引き抜いたコルク栓を挿入口に位置させた状態でフック部材の付勢によってスクリューホルダーがロックされることを特徴とする請求項6記載の電動式コルク栓抜き器。
【請求項8】
スクリューホルダーの位置を確認できるインジケーターを備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電動式コルク栓抜き器。
【請求項9】
電源は、AC式,一次電池式,二次電池式又はACアダプター式若しくはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電動式コルク栓抜き器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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