説明

電動発電機の支持構造

【課題】本発明は、パワーユニットへの支持の下で電動発電機の振動方向の荷重を支持して移動量(振幅)を小さく抑制すること、電動発電機の連結支持箇所を増やして個々の支持箇所に集中する荷重を分散すること、共振や大きな振幅等によって電動発電機へのケーブルの支持剛性を確保することことを目的としている。
【解決手段】このため、パワーユニットにベルトを介して動力伝達可能に接続されるとともに、パワーユニットの壁部を利用して取り付けられる電動発電機の支持構造において、電動発電機の取付部をそのケーシングの周囲に分散させて設ける一方、電動発電機とパワーユニットとを連結するように電動発電機のケーシングの後端から離反する方向に延出するスチフナを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関等のパワーユニットに付随して設けられる電動発電機(「モータ・ジェネレータ・ユニット」または「MGU」ともいう。)の支持構造に関する。
特に、電動発電機に連結するケーブルの接続部周辺構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、燃費及び環境への配慮から、電気自動車や燃料電池自動車及びハイブリッド車両(「HEV車両」ともいう。)などが注目されている。
そして、ハイブリッド車両においては、ガソリンエンジンの出力をアシストする一方、ブレーキ時に捨てていた減速エネルギの回生を行う電動発電機を取り付けている。
この電動発電機はエンジンの側面に配置され、ベルトを介して動力の授受を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−74848号公報
【特許文献2】実開平4−91235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電動発電機の支持構造において、電動発電機108は、図9に示す如く、エンジン102に取り付けられた電動発電機用ブラケット110によって、エンジン102に組み付けられている。
このとき、前記エンジン102と電動発電機108とは夫々独立して振動しているため、パワートレインの振動に対し不利となり、また電動発電機108のケーシング114の取付部(「ボス部」とも換言できる。)113や前記電動発電機用ブラケット110、延いてはシリンダブロック103に荷重が集中するという不都合がある。
なお、上述した荷重の負担を軽減し、振動騒音の抑制を図る方策としては、スチフナを設置し、パワートレインの剛性を高めることが考えられる。
【0005】
一方、配線(「高電圧ケーブル」とも換言できる。)の端子ボックスについては、電動発電機用ドッグハウス(「MGU DOG−HOUSE」とも記載される。)と呼ばれる結線用ハウジングであるハウジング部を電動発電機よりオーバハングさせて設置し、電動発電機と前記高電圧ケーブルである配線とを接続している。
しかし、前記パワートレインの揺動や振動により前記ハウジング部が振動し、前記高電圧ケーブルである配線の断線等が発生するおそれがある。
また、前記ハウジング部の剛性を高めるためには電動発電機のケーシングの剛性を上げる必要があり、他機種・他メーカーとの共通化を前提とする場合、種々の問題が多く発生するという不都合がある。
【0006】
また、従来の電動発電機の支持構造においては、端子ハウジング128の端子ボックス130と前記スチフナ126との間に端子ボックス用ステフナが配置されていない。
つまり、図10に示す如く、前記スチフナ126に前記電動発電機108を取り付ける一方、前記スチフナ126の前記第2のスチフナである連結部126aに前記ハウジング部129と前記配線127の接続する端子ボックス130とを結合した前記端子ハウジング128を取り付けるものである。
この結果、前記端子ボックス用ステフナが配置されていないことによって、前記配線127の接続する端子ボックス130と前記スチフナ126とが結合されておらず、端子ボックス130がエンジン(図示せず)に対して接触・離間する方向、すなわち図10において上下方向に振動することとなり、この端子ボックス130の振動を抑制する方策が切望されていた。
【0007】
この発明は、パワーユニットへの支持の下で電動発電機の振動方向の荷重を支持して移動量(振幅)を小さく抑制すること、電動発電機の連結支持箇所を増やして個々の支持箇所に集中する荷重を分散すること、共振や大きな振幅等によって電動発電機へのケーブルの支持剛性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、パワーユニットにベルトを介して動力伝達可能に接続されるとともに、前記パワーユニットの壁部を利用して取り付けられる電動発電機の支持構造において、電動発電機の取付部をそのケーシングの周囲に分散させて設ける一方、前記電動発電機と前記パワーユニットとを連結するように前記電動発電機のケーシングの後端から離反する方向に延出するスチフナを設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上詳細に説明した如くこの発明によれば、パワーユニットにベルトを介して動力伝達可能に接続されるとともに、パワーユニットの壁部を利用して取り付けられる電動発電機の支持構造において、電動発電機の取付部をそのケーシングの周囲に分散させて設ける一方、電動発電機とパワーユニットとを連結するように電動発電機のケーシングの後端から離反する方向に延出するスチフナを設ける。
従って、パワーユニット、とくにエンジンと電動発電機とを一体的に振動させることができる。
また、電動発電機を強固に支持でき、とくに倒れ方向のように回転軸がぶれるような振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1はこの発明の第1実施例を示す電動発電機をパワーユニットに取り付けた状態の斜視図である。(実施例1)
【図2】図2は電動発電機をパワーユニットに取り付けた状態の概略正面図である。(実施例1)
【図3】図3はこの発明の従来技術を示すパワーユニットに取り付けられる電動発電機用ブラケットの概略斜視図である。(実施例1)
【図4】図4は電動発電機をパワーユニットに取り付けた状態の下方からの斜視図である。(実施例1)
【図5】図5はこの発明の第2実施例を示すものであり、電動発電機とスチフナとの取付状態を示す図1の破線部分の拡大組立斜視図に対応する。(実施例2)
【図6】図6はこの発明の第3実施例を示す電動発電機とスチフナとの取付状態の概略拡大底面図である。(実施例3)
【図7】図7はこの発明の第3実施例を示す端子ボックス(内部空間省略)とスチフナとの組み付け状態の概略斜視図である。(実施例3)
【図8】図8はこの発明の第4実施例を示すスチフナの連結部の斜視図である。(実施例4)
【図9】図9はパワーユニットに取り付けられる電動発電機用ブラケットの概略拡大斜視図である。
【図10】図10は電動発電機とスチフナとの取付状態の概略拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1〜図4はこの発明の第1実施例を示すものである。
図1〜図4において、1はパワーユニット、2はパワーユニット1の一部を構成するエンジン、3はシリンダブロック、4はシリンダヘッド、5はシリンダヘッドカバー、6はクランクケース、7はオイルパン、8は電動発電機である。
この電動発電機8は、前記パワーユニット1にベルト9を介して動力伝達可能に接続されるとともに、前記パワーユニット1の壁部を利用して取り付けられる。
つまり、前記電動発電機8は、図2に示す如く、前記パワーユニット1の一部を構成するエンジン2の壁面2aに取り付ける電動発電機用ブラケット10に重ねるように取り付けて設けられる。
前記パワーユニット1は、図示しない車体フレーム(あるいはサブフレーム)に防振部材であるマウントゴム(図示せず)を介して支持してある。
前記エンジン2の運転や車両の走行状態によって、振動やトルク反力などを始めとした荷重が、前記電動発電機8に加わる。
そのような荷重によって電動発電機8が振られてしまうと、前記ベルト9による駆動力伝達効率が下がるだけでなく、滑りや偏当たりなどによって、異音が生じたり、ベルト9の耐久性を損ねたりしてしまうので、強固に支持する必要がある。
【0013】
前記電動発電機用ブラケット10は、図3に示す如く、前記パワーユニット1の一部を構成するエンジン2のシリンダブロック3ないしクランクケース6にわたる比較的広い範囲にわたる前記壁面2aに取り付けるベース部11と、前記電動発電機8の後述する取付部13を固定する概略楔形を呈するように立ち上がった突出部12とを備えている。
このとき、前記ベース部11と突出部12の先端とにより、重く大型の前記電動発電機8をも吊り下げ的に安定して支持する。
【0014】
前記電動発電機8は、電動発電機8の取付部13をそのケーシング14の周囲に分散させて設ける。
つまり、前記電動発電機8は、図1に示す如く、ケーシング14の上部に上部支持用取付部15を複数設け、図4に示す如く、ケーシング14の下部には下部支持用取付部16を設けて、ケーシング14の筒状壁部の周囲にこれらの上部及び下部支持用取付部15、16を分散させて、前記パワーユニット1に取付支持する。
このとき、前記上部支持用取付部15は、図1に示す如く、4つの上部支持用取付部15が全体として平面的に並び、2つの上部支持用取付部15に共通する1本のボルト17を挿通して、それぞれ締結により固定する。
前記パワーユニット1が車両に搭載された状態では、前記ボルト17は、ほぼ水平面に並ぶとともに、軸方向もこの水平面に沿う。
前記上部支持用取付部15を含めた前記ケーシング14の上部の剛性とボルト軸力によって、前記パワーユニット1に強固に支持する。
また、前記ケーシング14の下部に設けた前記下部支持用取付部16は、図4に示す如く、前記電動発電機8の回転軸18(図2参照。)に沿う方向に延び、同じく回転軸18に沿う方向のボルト19によって支持し、前記上部支持用取付部15とは前記ケーシング14の筒状壁部の周方向に沿って離間しているため、幾何学的な分散配置によって、前記パワーユニット1に電動発電機8を強固に支持することに寄与する。
【0015】
この電動発電機8は、図2に示す如く、その回転軸18の軸端部に設けたプーリ20と、このプーリ20に巻回する前記ベルト9を介して、前記パワーユニット1の回転軸(「クランク軸」とも換言できる。)21の軸端部に設けたプーリ(「クランクプーリ」とも換言できる。)22に連結する。
これらのベルト9及びプーリ20、22を介して、前記電動発電機8は、パワーユニット1を回転駆動する状態としたり、パワーユニット1によって回転駆動される状態としたり、あるいは、駆動力の授受がほとんどない中立状態として繋がったりする。
各状態は図示しない制御装置によって選択的に切り替えることができる。
【0016】
前記ベルト9とプーリ20、22とは、伝達効率を高めるために、プーリ20、22の周囲長においてできるだけ長く巻回させるのが好ましい。
この第1実施例では、図2に示す如く、4つのアイドラ23a、23b、23c、23dを備えることによって、効率を高めている。
4つのアイドラ23a、23b、23c、23dのうち2つは固定してあり、残りの2つはベルト9の張り具合を調整するためにリテーナ24上に設けられた可動式のものである。
このリテーナ24は、中央に回動軸(図示せず)を有する2つのベルトクランク状に機能するリンク構造を有し、張力を調整するスプリング25を備え、常に最適なベルト張力を保持し、ベルト9を介した動力伝達の伝達効率を高く保持している。
【0017】
前記電動発電機8と前記パワーユニット1とを連結するように前記電動発電機8のケーシング14の後端から離反する方向に延出するスチフナ26を設ける構成とする。
詳述すれば、前記電動発電機8には、概略円筒形状をなす前記ケーシング14の後端側に、特にその下半部に位置させて、このケーシング14から離反する方向に前記エンジン2の壁面2aに近づくように湾曲しながら延出するスチフナ26を、着脱可能に連結させて設けるものである。
このため、スチフナ26の支持剛性により、例えば、前記電動発電機8のケーシング14の径方向に大きく、ケーシング14の筒状壁部の周囲に分散配置した前記上部及び下部支持用取付部15、16が狭い範囲に集中している場合であっても、前記電動発電機8の倒れ方向(例えば、前記プーリ20を介してベルト9から受ける荷重方向、またはその反力方向)の荷重を支持することができ、きわめて安定して取付支持ができる。
従って、前記パワーユニット1、特に前記エンジン2と前記電動発電機8とを一体的に振動させることができる。
また、電動発電機8を強固に支持でき、特に倒れ方向のように電動発電機8の回転軸18回転軸がぶれるような振動を抑制することができる。
【0018】
また、前記スチフナ26の他端側は、図1及び図4に示す如く、前記パワーユニット1であるエンジン2の前記クランクケース6の壁面に支持する。
ここでは、クランクケース6の図示しないアッパケースとロアケースとに跨るようにして着脱可能に設けており、とくに図示しないミッションケースと接続するために肉厚となる高剛性の部分に支持している。
これにより、個々のクランクケース6に荷重を分散させるとともに、クランクケース6どうしの連結を高めることにも寄与する。
【0019】
更に、前記スチフナ26の他端側には、このスチフナ26から連なるようにしてさらに図示しないミッションケース側に延出して連結する第3のスチフナ71を着脱可能に備えている。
個々のスチフナ26、71等は、必要な支持剛性を確保するのに最も適したレベルの構造とすることで軽量化できるので、複数のスチフナ26、71等を接ぐとしても重量に対する剛性が高くなるよう効率的に支持することができる。
【0020】
前記ケーシング14の後端に配線(「高電圧ケーブル」とも換言できる。)27を取り出す端子ハウジング28の一部を構成するハウジング部(「電動発電機用ドッグハウス」または「MGU DOG−HOUSE」とも換言できる。)29を設け、このハウジング部29を前記スチフナ26の連結部26aと隣接するよう並べて設ける。
すなわち、前記ケーシング14の後端面、特に前記エンジン2とは離間する側の半部に、前記配線27を取り出す端子ハウジング28をケーシング14と一体的に設けている。
この端子ハウジング28は、後端面から膨出させて設けてある。
そして、前記スチフナ26の一端部である連結部26aと隣接するようにして、並べて設ける。
このとき、縦壁同士が近づき合って集中するのできわめて高い剛性を確保できる。
従って、前記配線27を取り出す基端部分を強固に支持でき、振動を抑制することができる。
また、他機種などとの共通性を確保するように汎用性を確保しながら、剛性確保との両立を図ることができる。
【0021】
前記端子ハウジング28は、別体の端子ボックス30を備え、この端子ボックス30から配線27を取り出すように構成する一方、この端子ボックス30とスチフナ26の連結部26aとを結合させて設ける。
すなわち、前記ハウジング部29には、ハウジング部29とは別体となる端子ボックス30を設ける。
前記ハウジング部29と端子ボックス30とを併せて前記端子ハウジング28としている。
そして、前記ハウジング部29に取り付けた端子ボックス30から、前記電動発電機8の軸方向に沿って電動発電機8から離反する方向に前記配線27を取り出す。
このように別体の端子ボックス30を設けることによって、電動発電機8の交換が容易となり、汎用性を持たせることができる。
従って、前記配線27を取り出す基端部分を強固に支持でき、個々に独立した振動を抑制することができる。
また、耐振動強度を向上できる。
【0022】
この発明の第1実施例では、スチフナ26の主体形状で連結部26aを構成して小型軽量とのバランスをとったが、他の形状でも良い。
例えば、前記配線27を取り出す前記ハウジング部29に比べて別体となる前記端子ボックス30を大きく形成し、その延出部分に整合するように模ってスチフナ26の連結部26aを設けても良い。
また、この端子ハウジング28と、前記スチフナ26の一端部である連結部26aとを連結して設けてもよい。
その場合、耐振動強度をより向上することができる。
【実施例2】
【0023】
図5はこの発明の第2実施例を示すものである。
この第2実施例において、上述第1実施例のものと同一機能を果たす箇所には、同一符号を付して説明する。
この第2実施例の1つ目の特徴とするところは、前記スチフナ26に、別体の第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41を着脱可能に設けて、スチフナ26の一端部である連結部26aを構成するものである。
さすれば、前記端子ボックス用スチフナ41の配置によって、前記配線27の接続する端子ボックス30と前記スチフナ26とを堅固に結合することができ、端子ボックス30の振動を抑制することができる。
このとき、加工工数は大幅に増えるが、スチフナ26の形状が複雑化することに対し、鋳造時の型抜きといった製造上の都合によって駄肉が増加することを避け、前記パワーユニット1全体の軽量化に寄与することができる。
【0024】
詳述すると、この発明の第2実施例では、前記スチフナ26の連結部26a付近に分岐する形状となる第2のスチフナを設けて端子ボックス用スチフナ41を構成する。
前記配線27を取り出す前記ハウジング部29に比べて別体となる前記端子ボックス30を大きく形成し、その延出部分に整合するように模って第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41を設けている。
そのため、端子ボックス用スチフナ41の形状変更が容易となり、前記電動発電機8および第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41の形状が異なるものに交換したとしても、コンパクトに収める組合せを採用することができる。
【0025】
また、この端子ボックス30と、前記スチフナ26の一端部に一体的に設けた端子ボックス用スチフナ41とを相互に連結して設ける。
なお、上述した第1実施例では、前記連結部26aを設けているが、別の形態でもよい。
例えば、第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41と同等な形状を前記スチフナ26の連結部26aに形成してもよく、あるいは、そのような同等形状でなくても前記端子ボックス30を挟持するような強固な支持が可能であればよい。
【0026】
すなわち、前記スチフナ26の連結部26aに連結する端子ボックス用スチフナ41と前記端子ハウジング28のカバー部材31とを端子ハウジング28から取り出される前記配線27の周囲を囲むように連結する。
この発明の第2実施例では、前記スチフナ26の一端部である連結部26aに一体に設けた第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41と、前記ハウジング部29と端子ボックス30とを結合した前記端子ハウジング28、あるいは、端子ボックス30に設けるカバー部材31とを、端子ハウジング28から取り出される前記配線27の周囲を囲むようにして互いに結合している。
従って、配線27を取り出す基端部分を強固に支持でき、個々に独立した振動を抑制することができる。
また、耐振動強度を向上できる。
しかも、前記パワーユニット1の振動対策部品であるスチフナに、前記電動発電機8よりオーバハングした前記端子ボックス30を抱持させることにより、前記電動発電機8の剛性を高めることなく、前記配線27の信頼性を上げることができる。
そして、前記電動発電機8側での対策はしないので、前記電動発電機8を他機種・他メーカーと共通化する際の制限事項にかかわらず、剛性アップが可能である。
【0027】
この発明の第2実施例では、前記第1実施例と同様に、スタッドボルト32によって、前記端子ボックス30を前記ハウジング部29とカバー部材31とによって積層するように挟持している。
さらに、カバー部材31に端子ボックス30の厚みに対応した脚部33を設け、前記スチフナ26の連結部26aに一体に設けた第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41と、図示しない別なボルトの締結によって結合している。
【0028】
また、前記カバー部材31は、同時に前記端子ボックス30の内部を気密に保つようにシール性を確保している。
このとき、図5に示す如く、前記端子ボックス30とカバー部材31との結合部分に緩衝部材(「Oリング」ともいう。)34を介在させて設ける。
つまり、前記端子ボックス30が前記カバー部材31と接触する面に、図5に示す如く、環状の浅溝35を形成して、この浅溝35に前記緩衝部材34を嵌め込んだものである。
さすれば、固有振動に影響を与えるので、固有振動を変更して、振動を抑制することができる。
当然に、前記緩衝部材34は、前記端子ボックス30とカバー部材31との結合部分におけるシール機能をも果たす。
【0029】
更に、前記端子ハウジング28は、前記ハウジング部29と別体となる前記端子ボックス30とを着脱可能に結合して構成したが、ハウジング部29に端子ボックス30を一体に形成したものであっても、前記端子ボックス用スチフナ41と結合して支持剛性を高めることは可能である。
ただし、前記電動発電機8の選択肢が少なくなり、汎用性で若干劣ることになる。
【実施例3】
【0030】
図6及び図7はこの発明の第3実施例を示すものである。
上述の第2実施例においては、前記スチフナ26の連結部26aに繋がるように前記端子ハウジング28を取り付ける際に、カバー部材31に端子ボックス30の厚みに対応した脚部33を設け、前記スチフナ26の連結部26aに端子ボックス30とカバー部材31とを積層し、ボルトと結合する構成としたが、この第3実施例の特徴とするところは、図6及び図7に示す如く、端子ボックス51を第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41に直接結合する構成とした点にある。
すなわち、内部空間を省略した端子ボックス51に取付孔部を形成する際に、図7に示す如く、第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41に形成される連結部側第1取付孔部52と端子ボックス51に形成される端子ボックス側第1取付孔部53とを結ぶ中心線C1と、端子ボックス51に形成される端子ボックス側第2取付孔部(図示せず)とカバー部材31に形成されるカバー部材側第2取付孔部54とを結ぶ中心線C2とが一直線とならないように形成位置をずらして形成するものである。
さすれば、連結部側第1取付孔部52及び端子ボックス側第1取付孔部53を利用して、第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41に端子ボックス51を結合した後に、端子ボックス側第2取付孔部及びカバー部材側第2取付孔部54を利用して、端子ボックス51にカバー部材31を結合することとなる。
これにより、取付孔部の増加による加工工数や取付用ボルトの使用本数が増加してしまうという不具合は生じてしまうが、取り外しの際に、カバー部材31のみ、あるいはカバー部材31と端子ボックス51との両方という選択肢が生まれるため、作業内容によって取り外し処理を選択することができ、作業性の向上に寄与することができる。
【実施例4】
【0031】
図8はこの発明の第4実施例を示すものである。
この第4実施例の特徴とするところは、前記スチフナ26の連結部26aに接続する第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41の端子ボックスとの結合部分に緩衝部材(「Oリング」ともいう。)61を介在させて設けた点にある。
すなわち、前記第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41が前記端子ボックスと接触する面に、図8に示す如く、環状の浅溝62を形成して、この浅溝62に前記緩衝部材61を嵌め込んだものである。
さすれば、ゴム部材からなる緩衝部材61が振動を吸収して固有振動に影響を与えるので、固有振動を変更して、振動を抑制することができる。
当然に、前記緩衝部材61は、前記第2のスチフナである端子ボックス用スチフナ41と前記端子ボックスとの接合する面のシール機能をも果たす。
【0032】
なお、この発明は上述実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可能である。
【0033】
例えば、この発明の第1実施例においては、前記電動発電機8をパワーユニットの一部を構成するエンジンの壁面に取り付ける電動発電機用ブラケットと、前記端子ハウジングに連結するスチフナとを別体に形成する構成としたが、スチフナに電動発電機用ブラケットを付加させて一体的なブラケット付きスチフナを形成する特別構成とすることも可能である。
さすれば、スチフナと電動発電機用ブラケットとの2部材を、1部材のブラケット付きスチフナとするため、部品点数の低減を図ることが可能であるとともに、一体成型による剛性の向上も期待することができるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 パワーユニット
2 エンジン
2a 壁面
8 電動発電機
9 ベルト
10 電動発電機用ブラケット
13 取付部
14 ケーシング
15 上部支持用取付部
16 下部支持用取付部
22 プーリ(「クランクプーリ」とも換言できる。)
24 リテーナ
26 スチフナ
26a 連結部
27 配線(「高電圧ケーブル」とも換言できる。)
28 端子ハウジング
29 ハウジング部
30 端子ボックス
31 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーユニットにベルトを介して動力伝達可能に接続されるとともに、前記パワーユニットの壁部を利用して取り付けられる電動発電機の支持構造において、電動発電機の取付部をそのケーシングの周囲に分散させて設ける一方、前記電動発電機と前記パワーユニットとを連結するように前記電動発電機のケーシングの後端から離反する方向に延出するスチフナを設けることを特徴とする電動発電機の支持構造。
【請求項2】
前記ケーシングの後端に配線を取り出す端子ハウジングを設け、この端子ハウジングをスチフナの連結部と隣接するよう並べて設けることを特徴とする請求項1に記載の電動発電機の支持構造。
【請求項3】
前記端子ハウジングは、別体の端子ボックスを備え、この端子ボックスから配線を取り出すよう構成する一方、この端子ボックスとスチフナの連結部とを結合させて設けることを特徴とする請求項2に記載の電動発電機の支持構造。
【請求項4】
前記スチフナに第2のスチフナを設けてスチフナの連結部を構成し、このスチフナの連結部と端子ハウジングのカバー部材とを端子ハウジングから取り出される配線の周囲を囲むように連結することを特徴とする請求項2に記載の電動発電機の支持構造。
【請求項5】
結合部分に緩衝部材を介在させて設けることを特徴とする請求項2または請求項4に記載の電動発電機の支持構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−78258(P2011−78258A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229209(P2009−229209)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】