電動自転車用バッテリ装置
【課題】安全性を向上させるとともに、二次電池セルから発生した熱を効率良くバッテリケースの外部へ逃がすことが可能な電動自転車用バッテリ装置を提供する。
【解決手段】電動自転車用のバッテリ装置3であって、樹脂製のバッテリケース11内に、二次電池セル12から発生する熱を外部へ逃がす放熱装置13が設けられ、放熱装置13は、二次電池セル12から発生する熱を集める集熱部材15と、集熱部材15の熱を外部へ放散する放熱部材16とで構成され、二次電池セル12は集熱部材15に形成された挿入空間17に挿入され、放熱部材16はバッテリケース11の外部に露出する外部露出部16aを有し、バッテリ装置3を搭載してロック装置で固定した際、外部露出部16aがフレーム2に接触する。
【解決手段】電動自転車用のバッテリ装置3であって、樹脂製のバッテリケース11内に、二次電池セル12から発生する熱を外部へ逃がす放熱装置13が設けられ、放熱装置13は、二次電池セル12から発生する熱を集める集熱部材15と、集熱部材15の熱を外部へ放散する放熱部材16とで構成され、二次電池セル12は集熱部材15に形成された挿入空間17に挿入され、放熱部材16はバッテリケース11の外部に露出する外部露出部16aを有し、バッテリ装置3を搭載してロック装置で固定した際、外部露出部16aがフレーム2に接触する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリケースの内部に二次電池セルを収納した電動自転車用バッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のバッテリ装置としては、例えば図14に示すように、金属製のバッテリケース81の内部に複数のリチウムイオン二次電池セル82を収納したものがある(下記特許文献1参照)。バッテリケース81の内側壁面には、良伝熱性と電気絶縁性とを有する素材で製作されたマット83が設けられており、各二次電池セル82はマット83を介してバッテリケース81の内側壁面に接触している。
【0003】
これによると、二次電池セル82から発生する熱は、マット83を介してバッテリケース81に伝えられ、バッテリケース81から外部へ放散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−6639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら前記の従来形式では、バッテリケース81を金属製にすることで放熱効率を向上させているが、バッテリケース81が重くなるため、軽量化が困難であるといった課題がある。また、バッテリケース81が雨水等によって腐食するといった課題や、或いは、万一、バッテリケース81内で漏電が発生した場合、外部からバッテリケース81に接触した人が感電する危険性があるといった課題がある。また、二次電池セル82の熱がバッテリケース81に伝達した際、バッテリケース81が高温になり、外部からバッテリケース81に接触した人が高温により火傷する危険性があるといった課題もある。
【0006】
本発明は、安全性を向上させるとともに、二次電池セルから発生した熱を効率良くバッテリケースの外部へ逃がすことが可能な電動自転車用バッテリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電動自転車用バッテリ装置は、バッテリケースの内部に二次電池セルが収納された電動自転車用バッテリ装置であって、このバッテリケースは、非金属製であるとともに、バッテリケースの内外に貫通する開口部を形成し、バッテリケースの内部に、二次電池セルから発生する熱をバッテリケースの外部へ逃がす放熱装置を設け、放熱装置は、二次電池セルから発生する熱を集める集熱部材と、集熱部材の熱をバッテリケースの外部へ放散する放熱部材とで構成し、集熱部材は、二次電池セルをそれぞれ挿入する挿入空間を有し、放熱部材は、前記開口部を通ってバッテリケースの外部に露出する外部露出部を有しているものである。
【0008】
本構成によって、二次電池セルから発生した熱を効率良くバッテリケースの外部へ逃がすことができ、また、バッテリケースは非金属製(例えば樹脂製)であるため、人が外部からバッテリケースに接触しても安全性が保たれる。さらに、バッテリケースの軽量化および防食が可能であり、また、万一、バッテリケース内で漏電が発生しても、人が感電するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によると、二次電池セルから発生した熱は、集熱部材に伝達して集められ、集熱部材から放熱部材に伝わり、外部露出部よりバッテリケースの外部へ放散される。これにより、二次電池セルから発生した熱を効率良くバッテリケースの外部へ逃がすことができる。
【0010】
また、バッテリケースは非金属製(例えば樹脂製)であるため、金属製のものに比べて、バッテリケースが高温になるのを防止することができ、人が外部からバッテリケースに接触しても安全性が保たれる。さらに、バッテリケースの軽量化および防食が可能であり、また、万一、バッテリケース内で漏電が発生しても、外部からバッテリケースに接触した人が感電するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における電動自転車の側面図
【図2】同、電動自転車用バッテリ装置の分解斜視図
【図3】同、電動自転車用バッテリ装置の側面図
【図4】同、電動自転車用バッテリ装置の横断面図
【図5】同、電動自転車用バッテリ装置の二次電池セルを放熱装置から脱抜した斜視図
【図6】同、電動自転車用バッテリ装置の二次電池セルを放熱装置に挿入した斜視図
【図7】前記図6における放熱装置を後側から見た斜視図
【図8】同、電動自転車のバッテリ搭載部とロック装置との側面図
【図9】同、電動自転車のバッテリ搭載部とロック装置との正面図
【図10】図8におけるX−X矢視図
【図11】同、電動自転車のロック装置の拡大正面図
【図12】本発明の実施の形態2における電動自転車用バッテリ装置の二次電池セルを放熱装置に挿入した斜視図
【図13】本発明の実施の形態3における電動自転車用バッテリ装置とロック装置との横断面図
【図14】従来の二次電池セルを内蔵したバッテリ装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、バッテリケースの内部に二次電池セルが収納された電動自転車用バッテリ装置であって、バッテリケースを非金属製とし、バッテリケースの内部に、二次電池セルから発生する熱をバッテリケースの外部へ逃がす放熱装置が設けられ、放熱装置は、二次電池セルから発生する熱を集める集熱部材と、集熱部材の熱をバッテリケースの外部へ放散する放熱部材とで構成され、放熱部材はバッテリケースの外部に露出する外部露出部を有しているものである。
【0013】
これによると、二次電池セルから発生した熱は、集熱部材に伝達して集められ、集熱部材から放熱部材に伝わり、外部露出部よりバッテリケースの外部へ放散される。これにより、二次電池セルから発生した熱を効率良くバッテリケースの外部へ逃がすことができる。
【0014】
また、バッテリケースは非金属製(例えば樹脂製)であるため、熱伝導性の違いから金属製のものに比べて、バッテリケースが高温になるのを防止することができ、人が外部からバッテリケースに接触しても安全性が保たれる。さらに、バッテリケースの軽量化および防食が可能であり、また、万一、バッテリケース内で漏電が発生しても、導電性が異なるために外部からバッテリケースに接触した人が感電するのを防止することができる。
【0015】
本発明は、二次電池セルは集熱部材に形成された挿入空間に挿入されているものである。
これによると、二次電池セルを挿入空間に挿入することによって、二次電池セルから発生した熱が集熱部材に伝達して集められる。
【0016】
本発明は、電動自転車用バッテリ装置を搭載した電動自転車であって、放熱部材の外部露出部が自転車を構成する金属製の構成部品に接触するものである。
【0017】
これによると、二次電池セルから発生した熱は、集熱部材に伝達して集められ、集熱部材から放熱部材に伝わり、外部露出部から電動自転車の構成部品に伝達し、構成部品より放散される。このように、二次電池セルから発生した熱を電動自転車の構成部品全体から逃がすことができるため、熱をより一段と効率良くバッテリケースの外部へ排出することができる。
【0018】
本発明は、電動自転車用バッテリ装置はフレーム側に着脱自在に搭載され、搭載された電動自転車用バッテリ装置を固定するロック装置が設けられ、電動自転車用バッテリ装置を搭載してロック装置で固定した際、放熱部材の外部露出部が金属製の構成部品に接触するものである。
【0019】
これによると、電動自転車用バッテリ装置をフレームに搭載してロック装置で固定した際、放熱部材の外部露出部が構成部品に接触する。この状態で電動自転車を走行することにより、二次電池セルから発生した熱を電動自転車の構成部品全体から逃がすことができる。
【0020】
本発明は、放熱部材がロック装置の一部を構成しているものである。
これによると、放熱部材はロック装置の一部を兼用するため、部品点数を削減することで軽量化ができ、コストダウンにもつながる。
【0021】
本発明は、構成部品がフレームであるものである。
これによると、二次電池セルから発生した熱を電動自転車のフレーム全体から逃がすことができるため、熱をより一段と効率良くバッテリケースの外部へ排出することができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
先ず、本発明における実施の形態1を図1〜図11に基いて説明する。
【0023】
図1に示すように、1は電動自転車であり、電動自転車1は、金属製のフレーム2(構成部品の一例)と、補助駆動装置である電動モータ(図示せず)と、この電動モータに駆動電力を供給する電動自転車用バッテリ装置であるバッテリ装置3とを有している。フレーム2にはバッテリ搭載部材4が設けられ、バッテリ装置3は着脱自在にバッテリ搭載部材4に搭載されている。また、図8に示すように、バッテリ搭載部材4に搭載されたバッテリ装置3を固定するロック装置5が設けられている。
【0024】
先ず、バッテリ装置3の構成を以下に説明する。
図2〜図4に示すように、バッテリ装置3は、プラスチック等の樹脂製(非金属製)のバッテリケース11と、複数のリチウムイオン二次電池セル12(以下二次電池セル12と略記)と、制御基板(図示せず)と、二次電池セル12の熱を逃がす放熱装置13とを有している。
【0025】
バッテリケース11は左右に2分割可能な半割りケース部材11a,11bで構成されており、両半割りケース部材11a,11bはねじ(図示せず)等によって接合されている。バッテリケース11の前面11cには、バッテリケース11の内外に貫通する開口部19が形成されている。また、バッテリケース11の前後両面11c,11dの下部にはそれぞれ、前後に突出した回転支持軸11eが設けられている。尚、図2に記載した前後左右上下方向を示す矢印は電動自転車1に乗った運転者から見た方向である。
【0026】
図5に示すように、各二次電池セル12は、長方形の平板状に形成され、その上端部にプラス電極14aとマイナス電極14bとを有しており、バッテリケース11の内部に収納されている。
【0027】
図2に示すように、放熱装置13は、バッテリケース11の内部に設けられており、各二次電池セル12から発生する熱を集める集熱部材15と、集熱部材15で集められた熱をバッテリケース11の外部へ放散する放熱部材16とで構成されている。
【0028】
図5に示すように、集熱部材15は、前部集熱板15aと、前部集熱板15aの左右両端から後側へ設けられた一対の端部集熱板15bと、両端部集熱板15b間に所定間隔おきに設けられた複数の中間部集熱板15cとで構成されており、端部集熱板15bと中間部集熱板15cとの間および各中間部集熱板15c間にそれぞれ挿入空間17を有する櫛歯状に形成されている。
【0029】
各中間部集熱板15cの前端は前部集熱板15aに設けられており、端部集熱板15bと中間部集熱板15cとは挿入空間17を隔てて左右方向に平行に並んでいる。尚、集熱部材15の材質としては、熱伝導性に優れた樹脂、或いはアルミニウム等の熱伝導性に優れた金属などが用いられている。
【0030】
図6,図7に示すように、各二次電池セル12はそれぞれ、挿入空間17に挿入され、端部集熱板15b又は中間部集熱板15cに面接触している。また、互いに隣り合った一方の二次電池セル12のプラス電極14aと他方の二次電池セル12のマイナス電極14bとが接続タグ20で接続されており、これによって、全ての二次電池セル12は電気的に直列に接続されている。
【0031】
放熱部材16は、集熱部材15の前部集熱板15aの前面に設けられており、図4に示すように、開口部19を通ってバッテリケース11の前方外部へ露出(突出)する外部露出部16aを有している。外部露出部16aの前端部の左右幅は後端部の左右幅よりも大きく形成されている。放熱部材16の材質としてはアルミニウム等の熱伝導性に優れた金属などが用いられている。
【0032】
尚、前記制御基板(図示せず)は、二次電池セル12の放電および充電機能等が安定して発揮されるように制御を行うためのものであり、バッテリケース11に内蔵されている。
【0033】
次に、前記バッテリ搭載部材4の構成を以下に説明する。
図8,図9に示すように、バッテリ搭載部材4は、底部にバッテリ搭載部23を有するとともに、バッテリ搭載部23から立ち上がってフレーム2の立パイプ6の下部を覆うカバー体24を有している。バッテリ搭載部23には、バッテリ装置3への接続端子25が設けられている。また、バッテリ搭載部23には、バッテリ装置3を着脱する方向である一側面側(例えば左側面側)を除いてバッテリケース11の下部を保持する保持壁面部26a,26b,26cが立設されている。前後の保持壁面部26a,26cの一部には、バッテリケース11の回転支持軸11eを嵌入させる溝部27が形成されている。
【0034】
バッテリケース11を装着する際、図9の仮想線で示すように、バッテリケース11を例えば左側に傾斜させ、回転支持軸11eを溝部27に嵌入させた後、実線で示すように、回転支持軸11eを中心としてバッテリケース11を回動させて立設姿勢とさせることで、接続端子25にバッテリ装置3が接触した状態でバッテリケース11の下部がバッテリ搭載部23に受けられて保持される。尚、図9は電動自転車1の前方から見た図であるため、バッテリケース11は右側に傾斜しているが、この場合、電動自転車1の運転者にとっては左側となる。
【0035】
次に、前記ロック装置5の構成を以下に説明する。
図8〜図11に示すように、ロック装置5は、ロックレバー30を有するシリンダー錠31と、固定係止具32と、前記放熱部材16とで構成されている。シリンダー錠31は、立パイプ6に取付けられており、前面に鍵穴37を備えている。シリンダー錠31の鍵穴37に鍵33を差し込んで回すことにより、図11に示すように、ロックレバー30が、前後方向の回転軸心34を中心として、ロック位置Aとロック解除位置Bとに回動するように構成されている。また、ロックレバー30の遊端部には鉤状の第1係止突起35が設けられ、ロックレバー30の基端部には鉤状の第2係止突起36が設けられている。
【0036】
固定係止具32は、立パイプ6に取付けられており、一側(例えば左側)が開放された凹部38を有している。図9に示すように、バッテリ装置3の放熱部材16の外部露出部16aは一側方(例えば左側方)から凹部38に対して挿脱自在となるように構成されている。また、図10,図11に示すように、固定係止具32には、凹部38よりも他側方(例えば右側方)に位置し且つ前方へ延びる規制板39が設けられている。前記ロックレバー30の第1係止突起35は、図11の実線で示すようにロック位置Aにおいて規制板39に係止し、図11の仮想線で示すようにロック解除位置Bにおいて規制板39から離脱する。また、外部露出部16aを凹部38に挿入した場合、第2係止突起36は、図11の実線で示すようにロック位置Aにおいて外部露出部16aの一側面(例えば左側面)に係止し、図11の仮想線で示すようにロック解除位置Bにおいて外部露出部16aから離脱する。
【0037】
図3,図4,図10に示すように、フレーム2の立パイプ6は熱伝導性に優れた金属製等のフレーム側集熱体6aを有しており、このフレーム側集熱体6aの後端面は平坦に形成されている。外部露出部16aを凹部38に挿入してロック装置5で固定した際、外部露出部16aの前端面がフレーム側集熱体6aの後端面に面接触し、これにより、外部露出部16aがフレーム側集熱体6aを介してフレーム2の立パイプ6に接触する。
【0038】
以下、上記構成における作用を説明する。
電動自転車1にバッテリ装置3を装着する場合は以下の手順で行う。
先ず、図9の仮想線で示すように、バッテリ装置3を一側方(例えば左側方)に傾斜させた姿勢で回転支持軸11eをバッテリ搭載部材4の溝部27に嵌入させ、その後、実線で示すように、回転支持軸11eを中心としてバッテリ装置3を回動させて立設姿勢とさせる。これにより、接続端子25にバッテリ装置3の端子が接触し、バッテリケース11の下部がバッテリ搭載部23に受けられて各保持壁面部26a〜26cにより保持される。
【0039】
前記のようにして、バッテリ装置3を正規の装着姿勢となるまで回動させると、バッテリ装置3の外部露出部16aが固定係止具32の凹部38に挿入される。この状態で、ロック装置5のシリンダー錠31に鍵33を差し込んでロック方向へ回すことにより、図11の実線で示すように、ロックレバー30がロック解除位置Bからロック位置Aまで回動し、ロックレバー30の第1係止突起35が規制板39に係止するとともに、第2係止突起36が外部露出部16aの一側面(例えば左側面)に係止する。これにより、外部露出部16aはその周囲を凹部38と第2係止突起36とで挟まれて固定される。
【0040】
この際、ロックレバー30の第1係止突起35と第2係止突起36との間で、外部露出部16aと規制板39とが互いに反対方向にそれぞれ当接しているため、図11に示すように、バッテリ装置3を無理に取り外そうとしてバッテリ装置3を一側方(例えば左側方)へ移動する外力Fが働いた場合、バッテリ装置3からの力は、ロックレバー30の第2係止突起36から第1係止突起35に伝達され、規制板39により受け止められる。これにより、バッテリ装置3がバッテリ搭載部材4に固定され、バッテリ装置3の盗難を防止することができる。
【0041】
このようにしてバッテリ装置3を電動自転車1に装着して固定した際、図3,図4,図10に示すように、外部露出部16aの前端面がフレーム側集熱体6aの後端面に面接触する。
【0042】
電動自転車1を走行させている場合、適時、バッテリ装置3から電動モータに駆動電力が供給され、電動モータが作動して、電動モータによる補助駆動力が人力による駆動力に加えられる。バッテリ装置3の各二次電池セル12からの放電等によって発生した熱は、各二次電池セル12から集熱部材15に伝達して集められ、集熱部材15から放熱部材16に伝わり、放熱部材16からフレーム側集熱体6aを介して立パイプ6に伝達し、フレーム2より放散される。このように、二次電池セル12から発生した熱をフレーム2全体から逃がすことができるため、熱を非常に効率良くバッテリケース11の外部へ排出することができ、バッテリ装置3の寿命が長くなり、十分な電動モータ出力を得ることができる。
【0043】
尚、二次電池セル12で発生した熱の一部は、放熱部材16の外部露出部16aからそのままバッテリケース11の外部空間へ放散される。
また、放熱部材16はロック装置5の一部を兼用するため、部品点数を削減することができ、コストダウンにつながる。
【0044】
また、外部露出部16aと立パイプ6との接触部分の外方はカバー体24で覆われているため、人が前記接触部分に誤って触れてしまうのを防止することができる。
尚、バッテリケース11は樹脂製であるため、金属製のものに比べて、バッテリケース11が高温になるのを防止することができ、人が外部からバッテリケース11に接触しても安全性が保たれる。さらに、バッテリケース11の軽量化および防食が可能であり、また、万一、バッテリケース11内で漏電が発生しても、外部からバッテリケース11に接触した人が感電するのを防止することができる。
【0045】
また、バッテリ装置3を電動自転車1から取り外す場合は、鍵33をロック解除方向へ回すことにより、図11の仮想線で示すように、ロックレバー30がロック位置Aからロック解除位置Bまで回動し、ロックレバー30の第1係止突起35が規制板39から離脱するとともに、第2係止突起36が外部露出部16aから離脱する。これにより、外部露出部16aの固定が解除され、その後、前述のバッテリ装置3の装着手順とは逆の手順を行うことにより、バッテリ装置3を電動自転車1から取り外すことができる。
(実施の形態2)
前述した実施の形態1では、図5に示すように、二次電池セル12を平板状に形成しているが、本実施の形態2では、図12に示すように、二次電池セル50を円柱状に形成している。この場合、集熱部材51は直方体又は立方体形状に形成されており、集熱部材51には、上下両面に開口する円孔状の挿入空間52が複数形成されている。各二次電池セル50はそれぞれ挿入空間52に挿入され、二次電池セル50の外周面が挿入空間52の内周面に面接触している。
(実施の形態3)
前述した実施の形態1では、図10に示すように、外部露出部16aがフレーム側集熱体6aを介してフレーム2の立パイプ6に接触しているが、実施の形態3として、図13に示すように、フレーム側集熱体6aを設けず、外部露出部16aが直接立パイプ6に接触するように構成してもよい。
【0046】
前記各実施の形態では、放熱部材16をロック装置5の一部に兼用しているが、兼用しないように構成してもよい。この場合、放熱部材16とは別に、バッテリケース11の前面11cに固定用突部を形成し、ロック操作時、ロックレバー30の第1係止突起35が規制板39に係止するとともに、第2係止突起36が固定用突部の一側面に係止することで、固定用突部がその周囲を凹部38と第2係止突起36とで挟まれて固定されるように構成される。
【0047】
前記各実施の形態では、集熱部材15の材質としてアルミニウム等の金属を用いた場合、集熱部材15と二次電池セル12との間に熱伝導性に優れた絶縁シート(図示省略)を介在させているが、集熱部材15の材質として熱伝導性に優れた樹脂を用いた場合、集熱部材15を絶縁シートと兼用することができるため、絶縁シートを不要にし得る。
【0048】
前記各実施の形態では、集熱部材15と放熱部材16とを接着したり又はねじ等によって締結してもよく、或いは、集熱部材15と放熱部材16とを一体物にしてもよい。又、放熱部材16をバッテリケース11に固定し、集熱部材15と放熱部材16とを接触させたものでもよい。
【0049】
前記各実施の形態では、外部露出部16aをフレーム2の立パイプ6に接触させているが、その他の金属製の構成部品、例えばフレーム2のチェーンステー7や後輪の金属製の泥除けカバー8等に接触させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のバッテリ装置は電動自転車用バッテリ装置として最適である。
【符号の説明】
【0051】
1 電動自転車
2 フレーム(構成部品)
3 バッテリ装置(電動自転車用バッテリ装置)
5 ロック装置
7 チェーンステー(構成部品)
8 泥除けカバー(構成部品)
11 バッテリケース
12,50 二次電池セル
13 放熱装置
15,51 集熱部材
16 放熱部材
16a外部露出部
17,52 挿入空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリケースの内部に二次電池セルを収納した電動自転車用バッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のバッテリ装置としては、例えば図14に示すように、金属製のバッテリケース81の内部に複数のリチウムイオン二次電池セル82を収納したものがある(下記特許文献1参照)。バッテリケース81の内側壁面には、良伝熱性と電気絶縁性とを有する素材で製作されたマット83が設けられており、各二次電池セル82はマット83を介してバッテリケース81の内側壁面に接触している。
【0003】
これによると、二次電池セル82から発生する熱は、マット83を介してバッテリケース81に伝えられ、バッテリケース81から外部へ放散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−6639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら前記の従来形式では、バッテリケース81を金属製にすることで放熱効率を向上させているが、バッテリケース81が重くなるため、軽量化が困難であるといった課題がある。また、バッテリケース81が雨水等によって腐食するといった課題や、或いは、万一、バッテリケース81内で漏電が発生した場合、外部からバッテリケース81に接触した人が感電する危険性があるといった課題がある。また、二次電池セル82の熱がバッテリケース81に伝達した際、バッテリケース81が高温になり、外部からバッテリケース81に接触した人が高温により火傷する危険性があるといった課題もある。
【0006】
本発明は、安全性を向上させるとともに、二次電池セルから発生した熱を効率良くバッテリケースの外部へ逃がすことが可能な電動自転車用バッテリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電動自転車用バッテリ装置は、バッテリケースの内部に二次電池セルが収納された電動自転車用バッテリ装置であって、このバッテリケースは、非金属製であるとともに、バッテリケースの内外に貫通する開口部を形成し、バッテリケースの内部に、二次電池セルから発生する熱をバッテリケースの外部へ逃がす放熱装置を設け、放熱装置は、二次電池セルから発生する熱を集める集熱部材と、集熱部材の熱をバッテリケースの外部へ放散する放熱部材とで構成し、集熱部材は、二次電池セルをそれぞれ挿入する挿入空間を有し、放熱部材は、前記開口部を通ってバッテリケースの外部に露出する外部露出部を有しているものである。
【0008】
本構成によって、二次電池セルから発生した熱を効率良くバッテリケースの外部へ逃がすことができ、また、バッテリケースは非金属製(例えば樹脂製)であるため、人が外部からバッテリケースに接触しても安全性が保たれる。さらに、バッテリケースの軽量化および防食が可能であり、また、万一、バッテリケース内で漏電が発生しても、人が感電するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によると、二次電池セルから発生した熱は、集熱部材に伝達して集められ、集熱部材から放熱部材に伝わり、外部露出部よりバッテリケースの外部へ放散される。これにより、二次電池セルから発生した熱を効率良くバッテリケースの外部へ逃がすことができる。
【0010】
また、バッテリケースは非金属製(例えば樹脂製)であるため、金属製のものに比べて、バッテリケースが高温になるのを防止することができ、人が外部からバッテリケースに接触しても安全性が保たれる。さらに、バッテリケースの軽量化および防食が可能であり、また、万一、バッテリケース内で漏電が発生しても、外部からバッテリケースに接触した人が感電するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における電動自転車の側面図
【図2】同、電動自転車用バッテリ装置の分解斜視図
【図3】同、電動自転車用バッテリ装置の側面図
【図4】同、電動自転車用バッテリ装置の横断面図
【図5】同、電動自転車用バッテリ装置の二次電池セルを放熱装置から脱抜した斜視図
【図6】同、電動自転車用バッテリ装置の二次電池セルを放熱装置に挿入した斜視図
【図7】前記図6における放熱装置を後側から見た斜視図
【図8】同、電動自転車のバッテリ搭載部とロック装置との側面図
【図9】同、電動自転車のバッテリ搭載部とロック装置との正面図
【図10】図8におけるX−X矢視図
【図11】同、電動自転車のロック装置の拡大正面図
【図12】本発明の実施の形態2における電動自転車用バッテリ装置の二次電池セルを放熱装置に挿入した斜視図
【図13】本発明の実施の形態3における電動自転車用バッテリ装置とロック装置との横断面図
【図14】従来の二次電池セルを内蔵したバッテリ装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、バッテリケースの内部に二次電池セルが収納された電動自転車用バッテリ装置であって、バッテリケースを非金属製とし、バッテリケースの内部に、二次電池セルから発生する熱をバッテリケースの外部へ逃がす放熱装置が設けられ、放熱装置は、二次電池セルから発生する熱を集める集熱部材と、集熱部材の熱をバッテリケースの外部へ放散する放熱部材とで構成され、放熱部材はバッテリケースの外部に露出する外部露出部を有しているものである。
【0013】
これによると、二次電池セルから発生した熱は、集熱部材に伝達して集められ、集熱部材から放熱部材に伝わり、外部露出部よりバッテリケースの外部へ放散される。これにより、二次電池セルから発生した熱を効率良くバッテリケースの外部へ逃がすことができる。
【0014】
また、バッテリケースは非金属製(例えば樹脂製)であるため、熱伝導性の違いから金属製のものに比べて、バッテリケースが高温になるのを防止することができ、人が外部からバッテリケースに接触しても安全性が保たれる。さらに、バッテリケースの軽量化および防食が可能であり、また、万一、バッテリケース内で漏電が発生しても、導電性が異なるために外部からバッテリケースに接触した人が感電するのを防止することができる。
【0015】
本発明は、二次電池セルは集熱部材に形成された挿入空間に挿入されているものである。
これによると、二次電池セルを挿入空間に挿入することによって、二次電池セルから発生した熱が集熱部材に伝達して集められる。
【0016】
本発明は、電動自転車用バッテリ装置を搭載した電動自転車であって、放熱部材の外部露出部が自転車を構成する金属製の構成部品に接触するものである。
【0017】
これによると、二次電池セルから発生した熱は、集熱部材に伝達して集められ、集熱部材から放熱部材に伝わり、外部露出部から電動自転車の構成部品に伝達し、構成部品より放散される。このように、二次電池セルから発生した熱を電動自転車の構成部品全体から逃がすことができるため、熱をより一段と効率良くバッテリケースの外部へ排出することができる。
【0018】
本発明は、電動自転車用バッテリ装置はフレーム側に着脱自在に搭載され、搭載された電動自転車用バッテリ装置を固定するロック装置が設けられ、電動自転車用バッテリ装置を搭載してロック装置で固定した際、放熱部材の外部露出部が金属製の構成部品に接触するものである。
【0019】
これによると、電動自転車用バッテリ装置をフレームに搭載してロック装置で固定した際、放熱部材の外部露出部が構成部品に接触する。この状態で電動自転車を走行することにより、二次電池セルから発生した熱を電動自転車の構成部品全体から逃がすことができる。
【0020】
本発明は、放熱部材がロック装置の一部を構成しているものである。
これによると、放熱部材はロック装置の一部を兼用するため、部品点数を削減することで軽量化ができ、コストダウンにもつながる。
【0021】
本発明は、構成部品がフレームであるものである。
これによると、二次電池セルから発生した熱を電動自転車のフレーム全体から逃がすことができるため、熱をより一段と効率良くバッテリケースの外部へ排出することができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
先ず、本発明における実施の形態1を図1〜図11に基いて説明する。
【0023】
図1に示すように、1は電動自転車であり、電動自転車1は、金属製のフレーム2(構成部品の一例)と、補助駆動装置である電動モータ(図示せず)と、この電動モータに駆動電力を供給する電動自転車用バッテリ装置であるバッテリ装置3とを有している。フレーム2にはバッテリ搭載部材4が設けられ、バッテリ装置3は着脱自在にバッテリ搭載部材4に搭載されている。また、図8に示すように、バッテリ搭載部材4に搭載されたバッテリ装置3を固定するロック装置5が設けられている。
【0024】
先ず、バッテリ装置3の構成を以下に説明する。
図2〜図4に示すように、バッテリ装置3は、プラスチック等の樹脂製(非金属製)のバッテリケース11と、複数のリチウムイオン二次電池セル12(以下二次電池セル12と略記)と、制御基板(図示せず)と、二次電池セル12の熱を逃がす放熱装置13とを有している。
【0025】
バッテリケース11は左右に2分割可能な半割りケース部材11a,11bで構成されており、両半割りケース部材11a,11bはねじ(図示せず)等によって接合されている。バッテリケース11の前面11cには、バッテリケース11の内外に貫通する開口部19が形成されている。また、バッテリケース11の前後両面11c,11dの下部にはそれぞれ、前後に突出した回転支持軸11eが設けられている。尚、図2に記載した前後左右上下方向を示す矢印は電動自転車1に乗った運転者から見た方向である。
【0026】
図5に示すように、各二次電池セル12は、長方形の平板状に形成され、その上端部にプラス電極14aとマイナス電極14bとを有しており、バッテリケース11の内部に収納されている。
【0027】
図2に示すように、放熱装置13は、バッテリケース11の内部に設けられており、各二次電池セル12から発生する熱を集める集熱部材15と、集熱部材15で集められた熱をバッテリケース11の外部へ放散する放熱部材16とで構成されている。
【0028】
図5に示すように、集熱部材15は、前部集熱板15aと、前部集熱板15aの左右両端から後側へ設けられた一対の端部集熱板15bと、両端部集熱板15b間に所定間隔おきに設けられた複数の中間部集熱板15cとで構成されており、端部集熱板15bと中間部集熱板15cとの間および各中間部集熱板15c間にそれぞれ挿入空間17を有する櫛歯状に形成されている。
【0029】
各中間部集熱板15cの前端は前部集熱板15aに設けられており、端部集熱板15bと中間部集熱板15cとは挿入空間17を隔てて左右方向に平行に並んでいる。尚、集熱部材15の材質としては、熱伝導性に優れた樹脂、或いはアルミニウム等の熱伝導性に優れた金属などが用いられている。
【0030】
図6,図7に示すように、各二次電池セル12はそれぞれ、挿入空間17に挿入され、端部集熱板15b又は中間部集熱板15cに面接触している。また、互いに隣り合った一方の二次電池セル12のプラス電極14aと他方の二次電池セル12のマイナス電極14bとが接続タグ20で接続されており、これによって、全ての二次電池セル12は電気的に直列に接続されている。
【0031】
放熱部材16は、集熱部材15の前部集熱板15aの前面に設けられており、図4に示すように、開口部19を通ってバッテリケース11の前方外部へ露出(突出)する外部露出部16aを有している。外部露出部16aの前端部の左右幅は後端部の左右幅よりも大きく形成されている。放熱部材16の材質としてはアルミニウム等の熱伝導性に優れた金属などが用いられている。
【0032】
尚、前記制御基板(図示せず)は、二次電池セル12の放電および充電機能等が安定して発揮されるように制御を行うためのものであり、バッテリケース11に内蔵されている。
【0033】
次に、前記バッテリ搭載部材4の構成を以下に説明する。
図8,図9に示すように、バッテリ搭載部材4は、底部にバッテリ搭載部23を有するとともに、バッテリ搭載部23から立ち上がってフレーム2の立パイプ6の下部を覆うカバー体24を有している。バッテリ搭載部23には、バッテリ装置3への接続端子25が設けられている。また、バッテリ搭載部23には、バッテリ装置3を着脱する方向である一側面側(例えば左側面側)を除いてバッテリケース11の下部を保持する保持壁面部26a,26b,26cが立設されている。前後の保持壁面部26a,26cの一部には、バッテリケース11の回転支持軸11eを嵌入させる溝部27が形成されている。
【0034】
バッテリケース11を装着する際、図9の仮想線で示すように、バッテリケース11を例えば左側に傾斜させ、回転支持軸11eを溝部27に嵌入させた後、実線で示すように、回転支持軸11eを中心としてバッテリケース11を回動させて立設姿勢とさせることで、接続端子25にバッテリ装置3が接触した状態でバッテリケース11の下部がバッテリ搭載部23に受けられて保持される。尚、図9は電動自転車1の前方から見た図であるため、バッテリケース11は右側に傾斜しているが、この場合、電動自転車1の運転者にとっては左側となる。
【0035】
次に、前記ロック装置5の構成を以下に説明する。
図8〜図11に示すように、ロック装置5は、ロックレバー30を有するシリンダー錠31と、固定係止具32と、前記放熱部材16とで構成されている。シリンダー錠31は、立パイプ6に取付けられており、前面に鍵穴37を備えている。シリンダー錠31の鍵穴37に鍵33を差し込んで回すことにより、図11に示すように、ロックレバー30が、前後方向の回転軸心34を中心として、ロック位置Aとロック解除位置Bとに回動するように構成されている。また、ロックレバー30の遊端部には鉤状の第1係止突起35が設けられ、ロックレバー30の基端部には鉤状の第2係止突起36が設けられている。
【0036】
固定係止具32は、立パイプ6に取付けられており、一側(例えば左側)が開放された凹部38を有している。図9に示すように、バッテリ装置3の放熱部材16の外部露出部16aは一側方(例えば左側方)から凹部38に対して挿脱自在となるように構成されている。また、図10,図11に示すように、固定係止具32には、凹部38よりも他側方(例えば右側方)に位置し且つ前方へ延びる規制板39が設けられている。前記ロックレバー30の第1係止突起35は、図11の実線で示すようにロック位置Aにおいて規制板39に係止し、図11の仮想線で示すようにロック解除位置Bにおいて規制板39から離脱する。また、外部露出部16aを凹部38に挿入した場合、第2係止突起36は、図11の実線で示すようにロック位置Aにおいて外部露出部16aの一側面(例えば左側面)に係止し、図11の仮想線で示すようにロック解除位置Bにおいて外部露出部16aから離脱する。
【0037】
図3,図4,図10に示すように、フレーム2の立パイプ6は熱伝導性に優れた金属製等のフレーム側集熱体6aを有しており、このフレーム側集熱体6aの後端面は平坦に形成されている。外部露出部16aを凹部38に挿入してロック装置5で固定した際、外部露出部16aの前端面がフレーム側集熱体6aの後端面に面接触し、これにより、外部露出部16aがフレーム側集熱体6aを介してフレーム2の立パイプ6に接触する。
【0038】
以下、上記構成における作用を説明する。
電動自転車1にバッテリ装置3を装着する場合は以下の手順で行う。
先ず、図9の仮想線で示すように、バッテリ装置3を一側方(例えば左側方)に傾斜させた姿勢で回転支持軸11eをバッテリ搭載部材4の溝部27に嵌入させ、その後、実線で示すように、回転支持軸11eを中心としてバッテリ装置3を回動させて立設姿勢とさせる。これにより、接続端子25にバッテリ装置3の端子が接触し、バッテリケース11の下部がバッテリ搭載部23に受けられて各保持壁面部26a〜26cにより保持される。
【0039】
前記のようにして、バッテリ装置3を正規の装着姿勢となるまで回動させると、バッテリ装置3の外部露出部16aが固定係止具32の凹部38に挿入される。この状態で、ロック装置5のシリンダー錠31に鍵33を差し込んでロック方向へ回すことにより、図11の実線で示すように、ロックレバー30がロック解除位置Bからロック位置Aまで回動し、ロックレバー30の第1係止突起35が規制板39に係止するとともに、第2係止突起36が外部露出部16aの一側面(例えば左側面)に係止する。これにより、外部露出部16aはその周囲を凹部38と第2係止突起36とで挟まれて固定される。
【0040】
この際、ロックレバー30の第1係止突起35と第2係止突起36との間で、外部露出部16aと規制板39とが互いに反対方向にそれぞれ当接しているため、図11に示すように、バッテリ装置3を無理に取り外そうとしてバッテリ装置3を一側方(例えば左側方)へ移動する外力Fが働いた場合、バッテリ装置3からの力は、ロックレバー30の第2係止突起36から第1係止突起35に伝達され、規制板39により受け止められる。これにより、バッテリ装置3がバッテリ搭載部材4に固定され、バッテリ装置3の盗難を防止することができる。
【0041】
このようにしてバッテリ装置3を電動自転車1に装着して固定した際、図3,図4,図10に示すように、外部露出部16aの前端面がフレーム側集熱体6aの後端面に面接触する。
【0042】
電動自転車1を走行させている場合、適時、バッテリ装置3から電動モータに駆動電力が供給され、電動モータが作動して、電動モータによる補助駆動力が人力による駆動力に加えられる。バッテリ装置3の各二次電池セル12からの放電等によって発生した熱は、各二次電池セル12から集熱部材15に伝達して集められ、集熱部材15から放熱部材16に伝わり、放熱部材16からフレーム側集熱体6aを介して立パイプ6に伝達し、フレーム2より放散される。このように、二次電池セル12から発生した熱をフレーム2全体から逃がすことができるため、熱を非常に効率良くバッテリケース11の外部へ排出することができ、バッテリ装置3の寿命が長くなり、十分な電動モータ出力を得ることができる。
【0043】
尚、二次電池セル12で発生した熱の一部は、放熱部材16の外部露出部16aからそのままバッテリケース11の外部空間へ放散される。
また、放熱部材16はロック装置5の一部を兼用するため、部品点数を削減することができ、コストダウンにつながる。
【0044】
また、外部露出部16aと立パイプ6との接触部分の外方はカバー体24で覆われているため、人が前記接触部分に誤って触れてしまうのを防止することができる。
尚、バッテリケース11は樹脂製であるため、金属製のものに比べて、バッテリケース11が高温になるのを防止することができ、人が外部からバッテリケース11に接触しても安全性が保たれる。さらに、バッテリケース11の軽量化および防食が可能であり、また、万一、バッテリケース11内で漏電が発生しても、外部からバッテリケース11に接触した人が感電するのを防止することができる。
【0045】
また、バッテリ装置3を電動自転車1から取り外す場合は、鍵33をロック解除方向へ回すことにより、図11の仮想線で示すように、ロックレバー30がロック位置Aからロック解除位置Bまで回動し、ロックレバー30の第1係止突起35が規制板39から離脱するとともに、第2係止突起36が外部露出部16aから離脱する。これにより、外部露出部16aの固定が解除され、その後、前述のバッテリ装置3の装着手順とは逆の手順を行うことにより、バッテリ装置3を電動自転車1から取り外すことができる。
(実施の形態2)
前述した実施の形態1では、図5に示すように、二次電池セル12を平板状に形成しているが、本実施の形態2では、図12に示すように、二次電池セル50を円柱状に形成している。この場合、集熱部材51は直方体又は立方体形状に形成されており、集熱部材51には、上下両面に開口する円孔状の挿入空間52が複数形成されている。各二次電池セル50はそれぞれ挿入空間52に挿入され、二次電池セル50の外周面が挿入空間52の内周面に面接触している。
(実施の形態3)
前述した実施の形態1では、図10に示すように、外部露出部16aがフレーム側集熱体6aを介してフレーム2の立パイプ6に接触しているが、実施の形態3として、図13に示すように、フレーム側集熱体6aを設けず、外部露出部16aが直接立パイプ6に接触するように構成してもよい。
【0046】
前記各実施の形態では、放熱部材16をロック装置5の一部に兼用しているが、兼用しないように構成してもよい。この場合、放熱部材16とは別に、バッテリケース11の前面11cに固定用突部を形成し、ロック操作時、ロックレバー30の第1係止突起35が規制板39に係止するとともに、第2係止突起36が固定用突部の一側面に係止することで、固定用突部がその周囲を凹部38と第2係止突起36とで挟まれて固定されるように構成される。
【0047】
前記各実施の形態では、集熱部材15の材質としてアルミニウム等の金属を用いた場合、集熱部材15と二次電池セル12との間に熱伝導性に優れた絶縁シート(図示省略)を介在させているが、集熱部材15の材質として熱伝導性に優れた樹脂を用いた場合、集熱部材15を絶縁シートと兼用することができるため、絶縁シートを不要にし得る。
【0048】
前記各実施の形態では、集熱部材15と放熱部材16とを接着したり又はねじ等によって締結してもよく、或いは、集熱部材15と放熱部材16とを一体物にしてもよい。又、放熱部材16をバッテリケース11に固定し、集熱部材15と放熱部材16とを接触させたものでもよい。
【0049】
前記各実施の形態では、外部露出部16aをフレーム2の立パイプ6に接触させているが、その他の金属製の構成部品、例えばフレーム2のチェーンステー7や後輪の金属製の泥除けカバー8等に接触させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のバッテリ装置は電動自転車用バッテリ装置として最適である。
【符号の説明】
【0051】
1 電動自転車
2 フレーム(構成部品)
3 バッテリ装置(電動自転車用バッテリ装置)
5 ロック装置
7 チェーンステー(構成部品)
8 泥除けカバー(構成部品)
11 バッテリケース
12,50 二次電池セル
13 放熱装置
15,51 集熱部材
16 放熱部材
16a外部露出部
17,52 挿入空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリケースの内部に二次電池セルが収納された電動自転車用バッテリ装置であって、
このバッテリケースは、非金属製であるとともに、バッテリケースの内外に貫通する開口部を形成し、
バッテリケースの内部に、二次電池セルから発生する熱をバッテリケースの外部へ逃がす放熱装置を設け、
放熱装置は、二次電池セルから発生する熱を集める集熱部材と、集熱部材の熱をバッテリケースの外部へ放散する放熱部材とで構成し、
集熱部材は、二次電池セルをそれぞれ挿入する挿入空間を有し、
放熱部材は、前記開口部を通ってバッテリケースの外部に露出する外部露出部を有することを特徴とする電動自転車用バッテリ装置。
【請求項2】
二次電池セルが、集熱部材に面接触することを特徴とする請求項1に記載の電動自転車用バッテリ装置。
【請求項3】
二次電池セルは、一方の端部にプラス電極とマイナス電極とを有することを特徴とする請求項1に記載の電動自転車用バッテリ装置。
【請求項4】
集熱部材は、直方体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の電動自転車用バッテリ装置。
【請求項5】
集熱部材と放熱部材とを一体物としたことを特徴とする請求項1に記載の電動自転車用バッテリ装置。
【請求項6】
集熱部材の集熱板を所定間隔で複数配設して挿入空間を形成する空間形成工程と、
放熱部材の反集熱部材側へ外部露出部を形成する露出部形成工程と、
前記空間形成工程と前記露出部形成工程とを経て形成された放熱装置の挿入空間に二次電池セルを挿入する挿入工程と、
二次電池セルが挿入された放熱装置をバッテリケースへ設ける内蔵工程と、
を含むことを特徴とする電動自転車用バッテリ装置の製造方法。
【請求項1】
バッテリケースの内部に二次電池セルが収納された電動自転車用バッテリ装置であって、
このバッテリケースは、非金属製であるとともに、バッテリケースの内外に貫通する開口部を形成し、
バッテリケースの内部に、二次電池セルから発生する熱をバッテリケースの外部へ逃がす放熱装置を設け、
放熱装置は、二次電池セルから発生する熱を集める集熱部材と、集熱部材の熱をバッテリケースの外部へ放散する放熱部材とで構成し、
集熱部材は、二次電池セルをそれぞれ挿入する挿入空間を有し、
放熱部材は、前記開口部を通ってバッテリケースの外部に露出する外部露出部を有することを特徴とする電動自転車用バッテリ装置。
【請求項2】
二次電池セルが、集熱部材に面接触することを特徴とする請求項1に記載の電動自転車用バッテリ装置。
【請求項3】
二次電池セルは、一方の端部にプラス電極とマイナス電極とを有することを特徴とする請求項1に記載の電動自転車用バッテリ装置。
【請求項4】
集熱部材は、直方体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の電動自転車用バッテリ装置。
【請求項5】
集熱部材と放熱部材とを一体物としたことを特徴とする請求項1に記載の電動自転車用バッテリ装置。
【請求項6】
集熱部材の集熱板を所定間隔で複数配設して挿入空間を形成する空間形成工程と、
放熱部材の反集熱部材側へ外部露出部を形成する露出部形成工程と、
前記空間形成工程と前記露出部形成工程とを経て形成された放熱装置の挿入空間に二次電池セルを挿入する挿入工程と、
二次電池セルが挿入された放熱装置をバッテリケースへ設ける内蔵工程と、
を含むことを特徴とする電動自転車用バッテリ装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−104501(P2012−104501A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−5743(P2012−5743)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【分割の表示】特願2006−77911(P2006−77911)の分割
【原出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【分割の表示】特願2006−77911(P2006−77911)の分割
【原出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]