説明

電動車両および電力供給システム

【課題】充電中であっても走行することが可能な電動車両および電力供給システムを提供する。
【解決手段】車体11に搭載されたバッテリ15と、車体に設けられバッテリに外部電源27からの電力を充電する充電装置17と、を備えた電動車両10において、充電装置に外部電源が接続されたか否かを検出する接続検出部と、電動車両の走行を制御する走行制御部と、を有する制御装置16をさらに備え、制御装置は、接続検出部において充電装置に外部電源が接続されていると判定した場合に、走行制御部が走行を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両および電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータを駆動源とする電気自動車が知られている。この種のモータを駆動源とする自動車においては、一般的に、バッテリに蓄電された電力によってモータを駆動させるため、バッテリの電力が無くなったときにはモータを駆動することができなくなり、自動車が自走できなくなってしまう。したがって、バッテリには常に電力を蓄電しておく必要がある。
【0003】
バッテリに電力を充電する場合、一般的には電力を供給する供給設備(外部電源装置)から延設される充電ケーブルを電気自動車の充電口に接続することにより、バッテリに電力が充電されるように構成されている。
【0004】
ここで、従来の電気自動車は、バッテリに充電を行っている最中は走行できないように制御されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
特許文献1では、電気自動車が充電中であることを検出する手段と、充電中の場合はモータとクラッチへの動力伝達を遮断するよう信号を供給する駆動機構の制御手段と、により、充電中の走行ができないように構成されている。
【0006】
また、特許文献2では、車両側コネクタと電源側コネクタとの接続状態を検出する光学式の接続検出センサの検出信号に基づいて、両コネクタの接続状態を判定する接続検出回路が設けられ、両コネクタが接続状態にあると判定すると、モータ制御禁止信号を制御回路に出力することで、充電中の走行ができないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−219901号公報
【特許文献2】特開平7−46711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および特許文献2の電気自動車では、充電中の走行が全て禁止される。そのため、例えば、供給設備が複数台設けられた充電スタンド(ガソリン自動車でいうガソリンスタンドに相当)において、充電中に他の電気自動車がスタンド内に進入してきた際に、駐車スペースが無く、充電中の自車の移動が必要な場合に、充電を中止することなく移動することができないという問題がある。
【0009】
また、上述のような場合に、一旦充電を中止して、自車(電気自動車)を所望の位置に移動させた後、再度充電を再開することもできるが、ユーザにとって手間がかかるとともに、バッテリの耐久性を低下させてしまうという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、充電中であっても走行することが可能な電動車両および電力供給システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車体(例えば、実施形態における車体11)に搭載されたバッテリ(例えば、実施形態におけるバッテリ15)と、前記車体に設けられ前記バッテリに外部電源(例えば、実施形態における高圧バッテリ27)からの電力を充電する充電装置(例えば、実施形態における接続コネクタ17)と、を備えた電動車両(例えば、実施形態における電気自動車10)において、前記充電装置に前記外部電源が接続されたか否かを検出する接続検出部(例えば、実施形態における接続検出部41)と、前記電動車両の走行を制御する走行制御部(例えば、実施形態における走行制御部42)と、を有する制御装置(例えば、実施形態におけるECU16)をさらに備え、前記制御装置は、前記接続検出部において前記充電装置に前記外部電源が接続されていると判定した場合に、前記走行制御部が前記走行を規制することを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載した発明は、前記制御装置は、走行時の走行負荷を含む前記電動車両の走行状態を検出する走行状態検出部(例えば、実施形態における走行状態検出部43)を備え、該走行状態検出部において検出された前記走行負荷が所定値以上の場合に、前記走行制御部が前記走行を禁止することを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載した発明は、前記制御装置は、前記車体の現在位置と、前記外部電源の位置と、前記充電装置に接続された前記外部電源から走行が許容される許容走行距離と、を検出する位置検出部(例えば、実施形態における位置検出部44)を備え、該位置検出部において検出された前記車体の現在位置と前記外部電源の位置との間の距離が、前記許容走行距離以上離れている場合に、前記走行制御部が前記走行を禁止することを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載した発明は、前記制御装置は、走行時間を計測する計時部(例えば、実施形態における計時部45)を備え、前記走行制御部が前記走行を規制している場合に、前記走行時間が所定時間以上になったときに前記走行を禁止することを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載した発明は、前記制御装置は、前記走行が規制されている場合に、前記走行した経路を記憶する経路記憶部(例えば、実施形態における経路記憶部46)を備え、前記走行制御部において前記走行が禁止された場合に、前記走行した経路のみ走行を許可することを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載した発明は、前記制御装置は、前記走行が規制されている場合に、前記走行制御部において前記走行が禁止される前に、前記走行が禁止になる旨を報知する報知部(例えば、実施形態における報知部47)を備えていることを特徴としている。
【0017】
請求項7に記載した発明は、請求項3〜6のいずれかに記載の電動車両と、該電動車両に電力を供給する外部電源を有する供給装置(例えば、実施形態における外部充電器25)と、を備えた電力供給システム(例えば、実施形態における電力供給システム50)であって、前記供給装置と前記制御装置とは、通信可能に構成され、前記制御装置は、前記供給装置から受信した該供給装置の位置および前記電力の供給可能範囲から前記許容走行距離を算出できるように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載した発明によれば、電動車両の制御装置が、充電装置に外部電源が接続されていると判定した場合に、走行を規制するように構成したため、充電中であっても規制された範囲内で走行することが可能となる。また、バッテリへの充電中であっても、充電を中止することなく電動車両を移動させることができるため、ユーザ(運転者)の手間を省くことができるとともに、充電・放電を繰り返すことによるバッテリの耐久性の低下を防ぐことができる。
【0019】
請求項2に記載した発明によれば、電動車両のトルクや速度などの走行負荷を含む走行状態を検出し、走行負荷が所定値以上の場合に走行を禁止するように構成したため、充電中に規制された範囲内で走行可能な場合であっても、その走行条件を定めることで、充電状態を保持することができる。つまり、充電中に電動車両に接続される充電ケーブルに対して張力がかかることにより、充電ケーブルが断線するなどの不具合が生じるのを防止することができる。
【0020】
請求項3に記載した発明によれば、電動車両の位置を検出し、電動車両と外部電源との距離が離れすぎている場合に走行を禁止するように構成したため、充電中に規制された範囲内で走行可能な場合であっても、その走行可能範囲を定めることで、充電状態を保持することができる。つまり、充電中に電動車両に接続される充電ケーブルに対して張力がかかることにより、充電ケーブルが断線するなどの不具合が生じるのを防止することができる。
【0021】
請求項4に記載した発明によれば、充電中に電動車両が走行すると充電ケーブルが引きずられてしまう虞があるため、充電中の走行時間を制限することにより、充電ケーブルの被覆が破れて断線するなどの不具合が生じるのを防止することができる。
【0022】
請求項5に記載した発明によれば、充電中に走行が禁止された場合にも、禁止されるまでに移動した経路だけは戻ることができるように構成したため、走行が禁止された状態から安全に走行が可能な状態まで復帰させることができる。
【0023】
請求項6に記載した発明によれば、ユーザに対して走行禁止になる旨を事前に報知することにより、充電中に充電ケーブルに張力がかかる前に、予め走行を規制することができる。したがって、充電ケーブルが断線するなどの不具合が生じるのを効果的に防止することができる。
【0024】
請求項7に記載した発明によれば、電動車両の制御装置と供給装置とが直接通信して位置情報を取得することができるため、より正確な位置関係を把握することができる。したがって、充電中であっても規制された範囲内で走行することが可能となる。また、バッテリへの充電中であっても、充電を中止することなく電動車両を移動させることができるため、ユーザ(運転者)の手間を省くことができるとともに、充電・放電を繰り返すことによるバッテリの耐久性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態における電気自動車の概略構成図(側面図)である。
【図2】本発明の実施形態における電気自動車の概略構成図(平面図)である。
【図3】本発明の実施形態におけるECUに接続されている機器類を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態におけるECUの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態における電気自動車の充電時の走行制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。なお、本実施形態では電動車両として電気自動車を用いて説明する。
【0027】
(電気自動車)
図1、図2は電気自動車の概略構成図であり、図1は側面図、図2は平面図である。図1、図2に示すように、電気自動車10は、駆動モータ12と、駆動モータ12に連結されたギヤボックス(G/B)13と、ギヤボックス13に連結された駆動軸を介して設けられた左右の駆動輪14,14と、駆動モータ12に電力を供給するために車体11の床下一面に配されたバッテリ15と、電気自動車10の走行を制御するECU16と、バッテリ15と接続コネクタ17との間に配されるチャージャ18と、バッテリ15と駆動モータ12との間に配されるダウンバータ19と、駆動モータ12の動作を制御するインバータ20およびVCU21と、駆動モータ12の冷却系として機能する冷媒ポンプ22およびラジエータ23と、を備えている。
【0028】
駆動モータ12は、例えばDCブラシレスモータなどで構成され、この駆動モータ12の駆動および発電を制御するインバータ20およびVCU21に接続されている。さらにインバータ20およびVCU21は、駆動モータ12と電力の授受を行うバッテリ15に接続されている。上記電力としては、例えば、駆動時に駆動モータ12に供給される供給電力や回生作動による発電時に駆動モータ12から出力される出力電力がある。
【0029】
インバータ20およびVCU21は、ECU(制御装置)16からの制御命令を受けて駆動モータ12の駆動および発電を制御する。例えば、駆動モータ12の駆動時には、ECU16から出力されるトルク指令に基づき、バッテリ15から出力される直流電力をPWM出力に変換して駆動モータ12を駆動制御する。一方、駆動モータ12の発電時には、駆動モータ12から出力される交流電力を直流電力に変換してバッテリ15を充電制御する。
【0030】
チャージャ18は、バッテリ15の外部充電用の接続コネクタ17に接続されている。また、チャージャ18は、充電スタンドや駐車場などに設置された外部充電器(供給装置)25から延設された充電ケーブル28の先端に設けられた接続コネクタ26が接続コネクタ17に電気的に接続された場合にこれを検出し、この接続コネクタ26を介して供給される商用電源(例えば、AC100VやAC200Vなど)を平滑化してバッテリ15の充電に必要な所定の電圧に調整するとともに、バッテリ15の充電状態を監視しながら定電流定電圧充電などの充電制御を行うことができるように構成されている。なお、外部充電器25には、電気自動車10に電力を供給するための高圧バッテリ27が内蔵されている。また、電気自動車10および外部充電器25が、電力供給システム50を構成している。
【0031】
図3は、ECU16に接続されている機器類を表したブロック図である。図3に示すように、ECU16にはバッテリ15およびインバータ20がそれぞれ接続されており、該インバータ20を介して駆動モータ12および該駆動モータ12の回転数を検出するレゾルバ29が接続されている。また、ECU16には、電気自動車10の位置を検出するGPSユニット30が接続され、電気自動車10の現在位置を受信できるようになっている。また、ECU16には、電動パワーステアリング(EPS)31の操舵角およびアクセルペダル32の開度を受信できるようになっているとともに、EPS31の操舵角を規制できるように構成されている。
【0032】
また、ECU16は、接続コネクタ17に外部充電器25の接続コネクタ26が接続されているか否かを判定できるように構成されている。
【0033】
さらに、電気自動車10および外部充電器25には、それぞれ電波送受信器35,36が設けられている。この電波送受信器35,36により電気自動車10のバッテリ15の充電状態などの情報を送受信しながら充電を行うように構成されている。なお、電気自動車10の電波送受信器35はECU16に接続されており、ECU16からバッテリ15の充電状態などの情報が電波送受信器35に入力され、その情報を外部充電器25の電波送受信器36に送信されるように構成されている。
【0034】
そして、ECU16には、各種警告をユーザ(運転者)に伝達するための警告灯38の各制御回路が接続され、ECU16の制御指令に基づいて、ON/OFF制御が可能になっている。
【0035】
図4は、ECU16の構成を示すブロック図である。図4に示すように、ECU16は、接続コネクタ17に接続コネクタ26が接続されたか否かを検出する接続検出部41と、電気自動車10の走行を制御する走行制御部42と、走行時の走行負荷(トルクなど)を含む電気自動車10の走行状態を検出する走行状態検出部43と、電気自動車10の現在位置と外部充電器25の位置と電気自動車に接続された外部充電器25から走行が許容される許容走行距離を検出する位置検出部44と、電気自動車10の走行時間を計測する計時部45と、電気自動車10の走行した経路を記憶する経路記憶部46と、電気自動車10の走行が禁止になる旨を報知する報知部47と、を備えている。
【0036】
次に、上述のように構成された電気自動車10の充電時の走行制御方法についてフローチャートを用いて説明する。
図5に示すように、ステップS11では、電気自動車10のイグニッションがONにされたか否かを判定し、イグニッションがONになった場合はステップS12へ進み、イグニッションがOFFの場合はステップS11を繰り返す。
【0037】
ステップS12では、ECU16の接続検出部41において、電気自動車10の接続コネクタ17に、外部充電器25の接続コネクタ26が接続されているか否かを検出する。接続コネクタ26が接続されている場合はステップS13へ進む。一方、接続コネクタ26が接続されていない場合は充電中でないと判定し、そのまま処理を終了し、電気自動車10は通常走行をすることができる。
【0038】
ステップS13では、電気自動車10が充電中であると判断したため、警告灯38をONにするとともに、ECU16の走行制御部42からの指示により走行規制制御を開始して、ステップS14へ進む。なお、警告灯38の表示色は、例えば黄色で表示する。
【0039】
ステップS14では、ECU16からの指示により、電気自動車10の電波送受信器35に外部充電器25の電波送受信器36からの電波(信号)を受信できるか否かを判定し、電波を受信できる場合はステップS15へ進み、電波を受信できない場合はステップS19へ進む。
【0040】
ステップS15では、電気自動車10が充電中であって、外部充電器25からの電波が届く距離(外部充電器25の直近)に居ると判断したため、電気自動車10は移動(運転)できる状態になっている。そして、電気自動車10が移動している際に、走行状態検出部43において電気自動車10のトルクが予め設定された所定値(閾値)以上か否かを判定する。トルクが所定値(閾値)未満である場合にはステップS16へ進み、トルクが閾値以上になった場合はステップS19へ進む。
【0041】
ステップS16では、計時部45において計測される走行規制制御が開始された後の電気自動車10の走行時間が、所定時間経過したか否かを検出し、所定時間経過していない場合はステップS17へ進み、所定時間以上経過した場合はステップS19へ進む。
【0042】
ステップS17では、電気自動車10のバッテリ15への充電が完了したか否かを判定し、充電が完了していない場合はステップS14へ戻り、充電が完了した場合はステップS18へ進む。
【0043】
ステップS18では、ECU16の接続検出部41において、電気自動車10の接続コネクタ17から外部充電器25の接続コネクタ26が外されたか否かを検出する。接続コネクタ26が外されていない場合はステップS18を繰り返し、接続コネクタ26が外された場合は、そのまま処理を終了し、電気自動車10は通常走行をすることができる。
【0044】
ステップS19では、走行制御部42からの指示により電気自動車10の走行ができないようにしてステップS20へ進む。なお、このとき警告灯38の表示色を例えば黄色から赤色に変更する。また、電気自動車10の走行を禁止する際には、走行制御部42からの指示により、例えば、EPS31およびアクセルペダル32の操作が重くなるように制御して走行できないように構成する。
ここで、電気自動車10の走行を禁止する条件としては、以下の場合がある。
【0045】
まず、ステップS14において、電気自動車10が充電中であって、外部充電器25からの電波が届かない距離に居ると判断した場合、これ以上電気自動車10を移動させると、充電ケーブル28が引っ張られて断線する虞があると判断し、アクセルペダル32が踏み込まれても電気自動車10が移動できないように構成する。
【0046】
また、ステップS15において、電気自動車10が充電中であって、外部充電器25からの電波が届く距離に居て移動中であり、トルクが閾値以上になっている場合、電気自動車10の速度が上昇することにより、電気自動車10が外部充電器25から急に離れてしまい、充電ケーブル28が引っ張られて断線する虞があると判断し、アクセルペダル32が踏み込まれても電気自動車10が移動できないように構成する。
【0047】
さらに、ステップS16において、走行規制制御が開始された後の走行時間が所定時間以上経過したため、電気自動車10がさらに外部充電器25から離れた可能性が高いと判定し、アクセルペダル32が踏み込まれても電気自動車10が移動できないように構成する。
【0048】
ステップS20では、経路記憶部46において、走行規制制御が開始されてから走行禁止状態になるまでの間の電気自動車10の経路が記憶されているか否かを判定し、経路が記憶されていない場合はステップS21へ進み、経路が記憶されている場合はステップS22へ進む。
【0049】
ステップS21では、電気自動車10が走行禁止状態になり、経路も記憶されていないため、報知部47からの指示により、これ以上走行させることはできない旨を運転者に報知して処理を終了する。報知の方法としては、メータパネルに表示したり、カーナビゲーションシステムのディスプレイに表示したり、音声によって報知したりすればよい。
【0050】
ステップS22では、電気自動車10が走行禁止状態であるが、それまでの経路が記憶されているため、その記憶された経路を修正走行経路として設定し、ステップS23へ進む。
【0051】
ステップS23では、一旦走行禁止状態になった電気自動車10に対して、走行規制制御を実行しつつ、再度走行を許可してステップS24へ進む。つまり、電気自動車10は修正走行経路上を、走行規制制御を実行しながら戻ることができる。
【0052】
ステップS24では、ECU16からの指令により、電気自動車10の電波送受信器35に外部充電器25の電波送受信器36からの信号を受信できるか否かを判定し、電波を受信できる場合、つまり、外部充電器25からの電波を受信できる直近に戻ってきた場合はステップS26へ進み、電波を受信できない場合はステップS25へ進む。
【0053】
ステップS25では、電気自動車10が修正走行経路上を走行しているか否かを判定し、修正走行経路上を走行している場合にはステップS24へ戻り、修正走行経路上から外れてしまっている場合にはステップS19へ戻り、再度走行を禁止する。
【0054】
ステップS26では、走行状態検出部43において、電気自動車10のトルクが予め設定された所定値(閾値)以上か否かを判定する。トルクが所定値(閾値)未満である場合、つまり、外部充電器25の直近に戻ってきた場合にはステップS17へ進み、トルクが所定値(閾値)以上のままの場合はステップS25へ進む。
【0055】
なお、ステップS19〜S26は、電気自動車10が電波を受信でき、かつ、トルクが所定値(閾値)未満になるまで行われる。この際、ステップS20では、経路記憶部46において、走行規制制御が開始されてから走行禁止状態になるまでの間の電気自動車10の経路および修正走行経路の走行が開始されてから走行禁止状態になるまでの経路が記憶されているか否かを判定し、経路が記憶されていない場合はステップS21へ進み、経路が記憶されている場合はステップS22へ進む。ステップS22では、記憶されたそれまでの経路と前回の修正経路を修正走行経路として再設定し、ステップS23へ進む。そして、ステップS23では、一旦走行禁止状態になった電気自動車10に対して、走行規制制御を実行しつつ、再度走行を許可してステップS24へ進む。
【0056】
本実施形態によれば、電気自動車10のECU16が、接続コネクタ17に外部充電器25の接続コネクタ26が接続されていると接続検出部41において判定した場合に、走行制御部42からの指示で走行を規制するように構成したため、充電中であっても規制された範囲内で走行することが可能となる。つまり、充電スタンドにおいて充電している最中に、別の電気自動車がスタンド内に進入してきて、自車を若干移動させないと別の電気自動車が所定の充電位置に行けないような場合に、充電をしながら自車を規制された範囲内で移動させることができる。また、バッテリ15への充電中であっても、充電を中止することなく電気自動車10を移動させることができるため、ユーザ(運転者)が都度充電ケーブル28を取り外し・取り付けを行う手間を省くことができるとともに、充電・放電を繰り返すことによるバッテリ15の耐久性の低下を防ぐことができる。
【0057】
また、電気自動車10のトルクや速度などの走行負荷を含む走行状態を走行状態検出部43で検出し、走行負荷が所定値以上の場合に走行を禁止するように構成したため、充電中に規制された範囲内で走行可能な場合であっても、その走行条件を定めることで、充電状態を保持することができる。つまり、充電中に電気自動車10に接続される充電ケーブル28に対して張力がかかることにより、充電ケーブル28が断線するなどの不具合が生じるのを防止することができる。
【0058】
また、充電中に電気自動車10が走行すると充電ケーブル28が引きずられてしまう虞があるため、計時部45において充電中の走行時間を制限することにより、充電ケーブル28の被覆が破れて断線するなどの不具合が生じるのを防止することができる。
【0059】
さらに、充電中に走行が禁止された場合にも、それまで走行した経路を経路記憶部46で記憶し、走行が禁止されるまでに移動した経路だけは戻ることができるように構成したため、走行が禁止された状態から安全に走行が可能な領域内まで容易に復帰させることができる。
【0060】
そして、報知部47からの指示により運転者に対して走行禁止になる旨を事前に報知することにより、充電中に充電ケーブル28に張力がかかる前に、予め走行を規制することができる。したがって、充電ケーブル28が断線するなどの不具合が生じるのを効果的に防止することができる。
【0061】
なお、電気自動車10の位置を位置検出部44において検出し、電気自動車10と外部充電器25との距離が離れすぎている場合、つまり許容走行距離を超えている場合に、電気自動車10の走行を禁止するように構成してもよい。このように構成することで、充電中に規制された条件内で走行可能な場合であっても、その許容走行距離(範囲)を定めることで、充電状態を保持することができる。つまり、充電中に電気自動車10に接続される充電ケーブル28に対して張力がかかることにより、充電ケーブル28が断線するなどの不具合が生じるのを防止することができる。
【0062】
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や形状などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0063】
例えば、本実施形態では、フローチャートのステップS14において外部充電器25からの電波を受信できるか否かを判定し、ステップS15においてトルクが所定値未満であるか否かを判定し、ステップS16において走行時間が所定時間経過したか否かを判定した場合の説明をしたが、いずれか一つまたは二つのステップのみを条件として設定してもよい。
【0064】
また、本実施形態では、電動車両として電気自動車(四輪車)を用いて説明したが、電動二輪車や電動カートなどにも採用することができる。
【符号の説明】
【0065】
10…電気自動車(電動車両) 11…車体 15…バッテリ 16…ECU(制御装置) 17…接続コネクタ(充電装置) 27…高圧バッテリ(外部電源) 41…接続検出部 42…走行制御部 43…走行状態検出部 44…位置検出部 45…計時部 46…経路記憶部 47…報知部 50…電力供給システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に搭載されたバッテリと、
前記車体に設けられ前記バッテリに外部電源からの電力を充電する充電装置と、を備えた電動車両において、
前記充電装置に前記外部電源が接続されたか否かを検出する接続検出部と、前記電動車両の走行を制御する走行制御部と、を有する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記接続検出部において前記充電装置に前記外部電源が接続されていると判定した場合に、前記走行制御部が前記走行を規制することを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記制御装置は、走行時の走行負荷を含む前記電動車両の走行状態を検出する走行状態検出部を備え、
該走行状態検出部において検出された前記走行負荷が所定値以上の場合に、前記走行制御部が前記走行を禁止することを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記制御装置は、前記車体の現在位置と、前記外部電源の位置と、前記充電装置に接続された前記外部電源から走行が許容される許容走行距離と、を検出する位置検出部を備え、
該位置検出部において検出された前記車体の現在位置と前記外部電源の位置との間の距離が、前記許容走行距離以上離れている場合に、前記走行制御部が前記走行を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記制御装置は、走行時間を計測する計時部を備え、
前記走行制御部が前記走行を規制している場合に、前記走行時間が所定時間以上になったときに前記走行を禁止することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電動車両。
【請求項5】
前記制御装置は、前記走行が規制されている場合に、前記走行した経路を記憶する経路記憶部を備え、
前記走行制御部において前記走行が禁止された場合に、前記走行した経路のみ走行を許可することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の電動車両。
【請求項6】
前記制御装置は、前記走行が規制されている場合に、前記走行制御部において前記走行が禁止される前に、前記走行が禁止になる旨を報知する報知部を備えていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の電動車両。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれかに記載の電動車両と、
該電動車両に電力を供給する外部電源を有する供給装置と、を備えた電力供給システムであって、
前記供給装置と前記制御装置とは、通信可能に構成され、
前記制御装置は、前記供給装置から受信した該供給装置の位置および前記電力の供給可能範囲から前記許容走行距離を算出できるように構成されていることを特徴とする電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−188595(P2011−188595A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49608(P2010−49608)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】