説明

電動車両用充電装置

【課題】充電コネクタが保持部に戻っていることを検知可能な電動車両用充電装置を提供する。
【解決手段】電動車両用充電装置1は充電装置本体2と充電ケーブルCB1と保持部3と制御部11を備える。充電ケーブルCB1の一端側は施工場所に設置された充電装置本体2に接続され、充電ケーブルCB1の他端側には電動車両に着脱自在に接続される充電コネクタCN1が設けられる。保持部3は充電コネクタCN1を非充電時に保持する。制御部11は充電装置本体2に収納され、充電ケーブルCB1及び充電コネクタCN1を介して電動車両の蓄電部との間で通信を行い、蓄電部からの信号に応じて蓄電部への給電を制御する。また制御部11は、保持部3との間で充電ケーブルCB1及び充電コネクタCN1を介して通信を行うことによって、保持部3に充電コネクタCN1が保持されていることを確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両用充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、蓄電池式電気自動車やプラグインハイブリッド車など、電動機を動力源とする電気自動車の普及が進みつつある。電気自動車の普及が進むと、自動車専用道路のサービスエリアや商業施設などの駐車場に電気自動車のための充電設備を整備する必要があり、例えば特許文献1に開示されるような電動車両用充電装置が提案されている。この電動車両用充電装置は、電源供給手段を内蔵した本体キャビネットを備え、本体キャビネットの前面には、充電ケーブルの先端に設けられて電気自動車に差し込み接続される充電接続部を非充電時に収納する充電接続部収納部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−283947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された電動車両用充電装置では、充電接続部収納部に充電接続部が収納されているか否かを検知できないため、非充電時に充電接続部(充電コネクタ)が充電接続部収納部に戻っていないことをユーザに報知することができなかった。そのため、非充電時に充電接続部が充電接続部収納部に戻されず、地面に放置された状態となる可能性があり、地面に放置された充電接続部や充電ケーブルが人や車に踏まれる可能性があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、充電コネクタが保持部に戻っていることを検知可能な電動車両用充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願の電動車両用充電装置は充電装置本体と充電ケーブルと制御部と保持部と通信部とを備えることを特徴とする。充電装置本体は施工場所に設置される。充電ケーブルの一端側は充電装置本体に接続され、充電ケーブルの他端側には電動車両に着脱自在に接続される充電コネクタが設けられる。制御部は充電装置本体に収納され、充電ケーブル及び充電コネクタを介して電動車両の蓄電部との間で通信を行い、蓄電部からの信号に応じて蓄電部への給電を制御する。保持部は充電コネクタを非充電時に保持する。通信部は、保持部との間で充電ケーブル及び充電コネクタを介して通信を行うことによって、保持部に充電コネクタが保持されていることを確認する。
【0007】
この電動車両用充電装置において、制御部と蓄電部との間では、充電ケーブルが備える通信線に印加される電圧レベルを変化させることによって通信を行っている。ここで、保持部には、充電コネクタが保持部に保持されると、通信線に電気的に接続されて、通信線の電圧レベルを変化させる電圧調整回路が設けられ、通信部は、通信線の電圧レベルが変化することから、保持部との間で通信を行うことも好ましい。
【0008】
この電動車両用充電装置において、電圧調整回路は、制御部と蓄電部との間での通信に使用される電圧レベルとは異なる電圧レベルに、通信線の電圧レベルを変化させることも好ましい。
【0009】
この電動車両用充電装置において、それぞれ充電コネクタが設けられた複数の充電ケーブルと、それぞれ対応する充電コネクタを非充電時に保持する複数の保持部とを備え、各々の保持部の電圧調整回路は、通信線の電圧レベルを互いに異なる電圧レベルに変化させることも好ましい。
【0010】
この電動車両用充電装置において、ユーザに対して報知動作を行う報知部を備えてもよい。そして、制御部は、蓄電部との通信により充電コネクタが電動車両から外されたことを検知した時点から所定時間内に、保持部に充電コネクタが保持されたことを通信部が確認できなければ、充電コネクタが保持部に保持されていないことを報知部から報知させることも好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、充電コネクタが保持部に戻っていることを検知可能な電動車両用充電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は実施形態1の電動車両用充電装置の概略的なブロック図、(b)は要部の回路図である。
【図2】同上の電動車両用充電装置の外観斜視図である。
【図3】同上の電動車両用充電装置と電気自動車とで通信を行う回路の説明図である。
【図4】(a)(b)は同上の電動車両用充電装置の模式図である。
【図5】同上の電動車両用充電装置の他例を示す外観斜視図である。
【図6】実施形態2の電動車両用充電装置の外観斜視図である。
【図7】同上の電動車両用充電装置の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の電動車両用充電装置の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の各実施形態で説明する電動車両用充電装置は、例えば一般住宅において車庫の周囲にある建物の壁に設置され、電動車両を充電するために使用される。ここにおいて電動車両とは、バッテリに蓄えられた電力から駆動力を得て走行するものであり、例えば電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)や燃料電池車(FCV)などの車両のことをいう。
【0014】
(実施形態1)
実施形態1の電動車両用充電装置(以下、充電装置と略す。)1について図1〜図5を参照して説明する。
【0015】
図2は充電装置1の外観斜視図であり、スタンド形の充電装置本体2には、電動車両100への電力供給を制御する充電制御部が収納されている。充電装置本体2から導出される充電ケーブルCB1には電動車両100の車両側コネクタCN2に着脱自在に接続される充電コネクタCN1が接続されている。充電装置本体2の側面には、非充電時にユーザが充電コネクタCN1を保持させておくための保持部3が設けられている。
【0016】
次に充電装置1の回路構成を図1(a)のブロック図に基づいて説明する。充電装置1は、制御部11と、報知部12と、リレー13と、漏電検知部14と、保持部3に設けられた電圧調整回路15とを備えている。
【0017】
充電ケーブルCB1は、電圧極の2本の電線L1,L2と、接地極の電線L3と、電動車両100が備える蓄電部101(図3参照)との間で信号(所謂CPLT信号)を授受するための電線L4とを備え、一端側が充電装置本体2に取り付けられている。
【0018】
充電コネクタCN1は、充電ケーブルCB1の他端側に設けられ、それぞれ対応する電線L1,L2,L3,L4に接続される端子t1,t2,t3,t4を備えている。
【0019】
リレー13の2極の接点は、充電ケーブルCB1の電線L1,L2と商用交流電源ACとの間をそれぞれ接続する内部の導電路に接続され、制御部11によって接点のオン/オフが切り替えられることによって、電動車両100への電力供給がオン/オフされる。なお、リレー13の接点はノーマリ・オフ型の接点であり、電動車両100から制御部11に充電開始信号が入力されると、制御部11によってリレー13が開状態から閉状態に切り替えられ、電動車両100へと電力が供給される。
【0020】
漏電検知部14は、リレー13の二次側において電線L1,L2間に発生する不平衡電流を検出するための零相変流器14aを備えている。電動車両100側の電路で漏電が発生すると、電線L1に流れる電流と電線L2に流れる電流とに不平衡が生じるので、漏電検知部14は、零相変流器14aの出力をもとに漏電発生を検知することができる。漏電検知部14は、漏電の発生を検知すると、制御部11に漏電検知信号を出力する。
【0021】
報知部12は、充電装置本体2に設けられたスピーカ(図示せず)或いは発光ダイオードなどの表示ランプからなり、音や光でユーザに対する報知動作を行う。
【0022】
制御部11は、電動車両100の蓄電部101との間で信号(所謂CPLT信号)を授受し、電動車両100から受信したCPLT信号にもとづいてリレー13のオン/オフを制御する。図3は、制御部11と電動車両100の蓄電部101とを接続した状態を示している。
【0023】
電動車両100の蓄電部101は、制御部11との間で通信を行う通信回路102と、バッテリ103と、バッテリ103を充電する充電回路104とを備える。蓄電部101は、通信回路102と充電装置1との間で通信を行うことによって充電装置1からの給電を制御し、充電装置1からの電力供給を受けて充電回路104がバッテリ103を充電する。通信回路102は、コントローラ102aとダイオードD1と抵抗R2,R3とスイッチ素子SW1とを備えている。ダイオードD1と抵抗R3との直列回路は、車両側コネクタCN2において通信線L4に接続される端子と接地線L3に接続される端子との間に接続されている。抵抗R3の両端間には、抵抗R2とスイッチ素子SW1との直列回路が接続され、スイッチ素子SW1はコントローラ102aによってオン/オフが切り替えられる。また充電装置1では制御部11の出力端子P1と通信線L4との間に抵抗R1が接続されている。制御部11の入力端子P2には、抵抗R1と通信線L4との接続点の電圧V1が入力されており、制御部11は入力端子P2の電圧V1(すなわち通信線L4の電圧)を監視している。
【0024】
ここで、充電装置1に電源が供給された状態で、充電コネクタCN1が車両側コネクタCN2に接続されていない場合、制御部11の出力端子P1からは例えば約12Vの直流電圧が出力されている。この時、入力端子P2には約12Vの直流電圧が入力されるから、制御部11は、入力端子P2の電圧値が約12Vであることから、充電コネクタCN1が車両側コネクタCN2に接続されていないと判断する。この時、制御部11は、リレー13をオフさせており、充電コネクタCN1を介しての電源供給を遮断している。
【0025】
充電コネクタCN1が車両側コネクタCN2に接続されると、スイッチ素子SW1はオフになっているため、出力端子P1の電圧は抵抗R1と抵抗R3とで分圧され、その分圧電圧(約9V)が入力端子P2に入力される。制御部11は、入力端子P2の電圧が約9Vに低下したことから、充電コネクタCN1が車両側コネクタCN2に接続されたことを検知すると、例えば周波数が約1kHzで振幅が約(±12V)の矩形パルス信号を出力端子P1から出力する。この時、入力端子P2の電圧は、プラス側では抵抗R1,R3で分圧された電圧(+9V)となるが、ダイオードD1の整流動作によってマイナス側は(−12V)のままであるので、(+9V)と(−12V)とに交番する交番電圧となる。
【0026】
電動車両100の通信回路102では、コントローラ102aがダイオードD1及び抵抗R3の接続点の電圧を監視しており、接続点の電圧がパルス状の電圧になると、充電コネクタCN1の接続完了を検知する。そして、コントローラ102aは、充電コネクタCN1の接続完了を検知すると、スイッチ素子SW1をオンさせて、抵抗R3と並列に抵抗R2を接続させる。この時、抵抗R2,R3の合成抵抗値が低下し、抵抗R1と、抵抗R2,R3の並列回路との分圧比が低下することによって、入力端子P2に入力される電圧が(+6V)と(−12V)の交番電圧に変化する。ここにおいて、電動車両100側で抵抗を切り替えることによって通信線L4の電圧レベルを変化させており、この時の電圧レベルの変化が、制御部11に充電開始を通知する充電開始信号となる。
【0027】
制御部11は、入力端子P2の電圧が(+6V)と(−12V)の交番電圧に変化したことから、電動車両100側で充電準備が完了したことを検知でき、リレー13をオンにして電動車両100側への電力供給を開始させる。この時、電動車両100側の充電回路104がバッテリ103の充電を開始する。その後、バッテリ103の充電が完了すると、コントローラ102aがスイッチ素子SW1をオフさせて、入力端子P2に入力される電圧を(+9V)/(−12V)のパルス電圧に変化させる。充電装置1の制御部11は、充電中に入力端子P2の電圧が(+9V)/(−12V)のパルス電圧に変化したことから、充電完了を検知し、リレー13をオフさせて電動車両100への給電を遮断する。
【0028】
このように、充電装置1の制御部11では、充電ケーブルCB1の通信線L4に印加される電圧信号(CPLT信号)をモニタすることによって、蓄電部101との間で信号を授受する。そして、制御部11は、蓄電部101から受信した信号をもとに電動車両100の状態を検知し、その検知結果に応じて電動車両100側への電力供給を制御する。さらに、本実施形態では制御部11が、保持部3との間で通信を行うことによって、保持部3に充電コネクタCN1が保持されているか否かを検出できるようにしている。尚、充電装置1と電動車両100との間で状態通知に使用されるCPLT信号の電圧レベルは、SAE(Society of Automotive Engineers:自動車技術者協会)規格により規定されている。
【0029】
保持部3には、充電コネクタCN1が保持部3に保持されると、通信線L4に電気的に接続されて、通信線L4の電圧レベルを変化させる電圧調整回路15が設けられている。この電圧調整回路15は、保持部3に充電コネクタCN1が保持された際に充電コネクタCN1の端子t4(通信線L4に接続された端子)に接続される端子t11と、この端子t11に一端が接続され、他端が筐体アースに接続された抵抗R10とで構成される。尚、保持部3に、充電コネクタCN1の端子t3(接地線L3に接続される端子)に接続される端子t12が設けられている場合は、抵抗R10の他端が端子t12に接続されていてもよい。
【0030】
この保持部3に充電コネクタCN1が保持されると、充電コネクタCN1の端子t4が端子t11に接続され、制御部11の出力端子P1から出力される電圧を抵抗R1,R10で分圧した分圧電圧が制御部11の入力端子P2に入力される。充電コネクタCN1が車両側コネクタCN2から外された場合、入力端子P2の電圧レベルが約12Vに変化するので、制御部11は、入力端子P2の電圧変化から充電コネクタCN1が車両側コネクタCN2から外されたことを検知する。その後、充電コネクタCN1が保持部3に保持されると、出力端子P1の電圧(DC12V)を抵抗R1,R10で分圧した電圧が入力端子P2に入力される。この時の分圧電圧が、充電装置1と電動車両100との間での状態通知に使用される電圧レベルとは異なる電圧に設定されていれば、入力端子P2の電圧変化から充電コネクタCN1が保持部3に保持されたことを検知できる。例えば抵抗R1の抵抗値を1kΩ、抵抗R10の抵抗値を100Ωとすると、分圧電圧は12(V)×R10/(R1+R10)≒1.1(V)となり、電動車両100の状態通知と弁別して保持部3に保持されたことを検出できる。したがって、充電コネクタCN1が保持部3に保持された状態では、制御部11が充電ケーブルCB1及び充電コネクタCN1を介して保持部3との間で通信を行うことによって、充電コネクタCN1が保持部3に保持されていることを確認できる。また充電コネクタCN1が車両側コネクタCN2に接続された状態では、制御部11が充電ケーブルCB1及び充電コネクタCN1を介して蓄電部101との間で通信を行うことによって、電動車両100の状態を検出できる。また、充電コネクタCN1が車両側コネクタCN2から外され、保持部3にも保持されていない状態では、制御部11の入力端子P2の電圧レベルが約12Vになる。制御部11では、入力端子P2の電圧が約12Vになることから、充電コネクタCN1が車両側コネクタCN2から外され、且つ、保持部3にも保持されていないことを検出できる。ここにおいて、本実施形態では制御部11によって、保持部3との間で通信を行うことにより、保持部3に充電コネクタCN1が保持されていることを確認する通信部が兼用される。
【0031】
また制御部11は、電動車両100の蓄電部101(通信回路102)との通信により充電コネクタCN1が電動車両100から外されたことを検知した時点から所定時間内に、保持部3に充電コネクタCN1が保持されたことを制御部11が確認できなければ、充電コネクタCN1が保持部3に保持されていないことを報知部12から報知させる。これにより、ユーザに対して充電コネクタCN1を保持部3に保持させるよう促すことができる。また制御部11は、充電コネクタCN1が電動車両100から外されたことを検知した時点から所定時間内に、保持部3に充電コネクタCN1が保持されたことを確認できなければ、充電コネクタCN1が保持部3に保持されていないことを、従来周知の通信方法でサーバ(図示せず)に通知してもよい。これにより、遠隔に設置されたサーバから、充電コネクタCN1が保持部3に保持されているか否かを監視することができる。
【0032】
尚、本実施形態では、図1及び図4(a)に示すように保持部3が充電装置本体2に設けられているが、図4(b)に示すように保持部3が充電装置本体2と別体に形成され、充電装置本体2から離れた場所に設置されていてもよい。制御部11は、充電ケーブルCB1を介して保持部3との間で通信を行っているので、図4(b)に示すように保持部3が充電装置本体2と離して設けられた場合でも、保持部3との間で通信を行うための通信ケーブルを別途配線する必要がない。よって、電動車両100の駐車位置や、駐車中の電動車両100が備える車両側コネクタCN2の位置や、充電装置本体2の設置位置に合わせて、ユーザが利用しやすい場所に保持部3を設置でき、保持部3の設置位置の自由度が向上する。
【0033】
また、本実施形態ではスタンド形の充電装置1を例に説明したが、図5に示すように充電装置本体2aが壁に取り付けられるものでもよく、図5の例では充電装置本体2aの前面下側に保持部3が設けられている。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の電動車両用充電装置1は、充電装置本体2と充電ケーブルCB1と制御部11と保持部3と通信部(本実施形態では制御部11が兼用)とを備えている。充電装置本体2は施工場所に設置される。充電ケーブルCB1の一端側は充電装置本体2に接続され、充電ケーブルCB1の他端側には電動車両100に着脱自在に接続される充電コネクタCN1が設けられる。制御部11は充電装置本体2に収納され、充電ケーブルCB1及び充電コネクタCN1を介して電動車両100の蓄電部101との間で通信を行い、蓄電部101からの信号に応じて蓄電部101への給電を制御する。保持部3は充電コネクタCN1を非充電時に保持する。通信部(制御部11が兼用)は、保持部3との間で充電ケーブルCB1及び充電コネクタCN1を介して通信を行うことによって、保持部3に充電コネクタCN1が保持されていることを確認する。
【0035】
このように、通信部は、保持部3との間で充電コネクタCN1及び充電ケーブルCB1を介して通信を行うことによって、保持部3に充電コネクタCN1が保持されていることを確認することができる。したがって、非充電時に充電コネクタCN1が保持部3に戻されていないことを検出し、非充電時に充電コネクタCN1が保持部3に戻されていないことを報知すれば、充電コネクタCN1が地面などに放置されたままになる状態を回避することができる。さらに通信部は充電コネクタCN1及び充電ケーブルCB1を介して保持部3と通信を行っているので、保持部3との間で通信を行うために専用の通信ケーブルを別途配線する必要がない。したがって保持部3を充電装置と離れた場所に設置できるから、保持部3の設置場所の自由度が向上するという効果もある。
【0036】
また、制御部11と蓄電部101との間では、充電ケーブルCB1が備える通信線L4に印加される電圧レベルを変化させることによって通信を行っており、通信部は、通信線L4の電圧レベルを変化させることによって保持部3との間で通信を行っている。
【0037】
このように、制御部11と蓄電部101との間の通信方式を利用し、通信部と保持部3との間では通信線L4に印加される電圧レベルを変化させることで通信を行っている。したがって、蓄電部101との間で通信を行う回路によって通信部が兼用可能であり、保持部3との通信のために専用の通信回路を設ける必要が無いから、全体のコストを低減できるという効果もある。
【0038】
また、通信部(制御部11が兼用)は、制御部11と蓄電部101との間での通信に使用される電圧レベルとは異なる電圧レベルを保持部3との間の通信に使用している。すなわち、電圧調整回路15は、制御部11と蓄電部101との間での通信で使用される電圧レベルと異なる電圧レベルに通信線L4の電圧レベルを変化させている。
【0039】
このように、通信部は、制御部11と蓄電部101との間での通信に使用される電圧レベルとは異なる電圧レベルを保持部3との通信に使用しているので、制御部11との間で授受される信号と弁別して保持部3との間で信号を授受できる。よって、通信部は、保持部3に充電コネクタCN1が保持されていることを確実に識別することができる。
【0040】
また、本実施形態の充電装置1は、ユーザに対して報知動作を行う報知部12を備えている。制御部11は、蓄電部101との通信により充電コネクタCN1が電動車両100から外されたことを検知した時点から所定時間内に、保持部3に充電コネクタCN1が保持されたことを通信部(制御部11が兼用)が確認できなければ、充電コネクタCN1が保持部3に保持されていないことを報知部12から報知させている。
【0041】
したがって、報知部12の報知によって、充電コネクタCN1が電動車両100から外された後で、充電コネクタCN1が地面などに放置されたままになる状態を回避することができる。
【0042】
(実施形態2)
実施形態2の充電装置1について図6及び図7を参照して説明する。尚、実施形態1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0043】
実施形態1の充電装置1は、1度に1台の電動車両100しか充電できないが、本実施形態の充電装置1は1度に複数台(例えば2台)の電動車両100を充電できるようにしてある。充電装置本体2には、それぞれ電動車両100に電源を供給する電源回路(図示せず)が2台分収納されている。充電装置本体2に収納された2台の電源回路には、それぞれ充電ケーブルCB1a,CB1bの一端側が接続され、充電ケーブルCB1a,CB1bの他端側にはそれぞれ充電コネクタCN1a,CN1bが接続されている。
一方の充電ケーブルCB1aは充電装置本体2の前面左側から導出されており、充電装置本体2の左側面には充電ケーブルCB1aに結線された充電コネクタCN1aを非充電時に保持する保持部3aが設けられている。また、他方の充電ケーブルCB1bは充電装置本体2の前面右側から導出されており、充電装置本体2の右側面には充電ケーブルCB1bに結線された充電コネクタCN1bを非充電時に保持する保持部3bが設けられている。
【0044】
図7は充電装置1の概略的なブロック図であり、制御部11は、それぞれ充電ケーブルCB1a,CB1bに接続された電動車両との間で通信が行えるように、通信のための回路を2系統備えている。すなわち、制御部11の出力端子P11が抵抗R1aを介して充電ケーブルCB1aの通信線L4に接続され、抵抗R1a及び通信線L4の接続点の電圧が制御部11の入力端子P21に入力されている。また、制御部11の出力端子P12が抵抗R1bを介して充電ケーブルCB1bの通信線L4に接続され、抵抗R1b及び通信線L4の接続点の電圧が制御部11の入力端子P21に入力されている。
【0045】
一方、保持部3a,3bにはそれぞれ電圧調整回路15a,15bが設けられている。保持部3aの電圧調整回路15aは、この保持部3aに充電コネクタが接続された際に、充電ケーブルの通信線L4と接地線L3の間に接続される抵抗R11を備えている。保持部3bの電圧調整回路15bは、この保持部3bに充電コネクタが接続された際に、充電ケーブルの通信線L4と接地線L3の間に接続される抵抗R12を備えている。
【0046】
ここで、充電ケーブルCB1aの通信線L4に接続された抵抗R1aの抵抗値と、充電ケーブルCB1bの通信線L4に接続された抵抗R1bの抵抗値は同じ値(例えば1kΩ)に設定されている。一方、保持部3aに設けられた抵抗R11の抵抗値と、保持部3bに設けられた抵抗R12の抵抗値は異なる値に設定されており、例えば抵抗R11は100Ω、抵抗R12は140Ωに設定されている。
【0047】
したがって、充電コネクタCN1a又はCN1bが保持部3aに保持された場合、通信線L4の電圧レベルは、12(V)×100(Ω)/(1000+100)(Ω)≒1.1Vとなる。また充電コネクタCN1a又はCN1bが保持部3bに保持された場合、通信線L4の電圧レベルは、12(V)×140(Ω)/(1000+140)(Ω)≒1.5Vとなる。このように、充電コネクタが保持部3aに保持された場合と保持部3bに保持された場合とで、通信線L4に発生する電圧レベルが異なる電圧レベルとなっている。また、保持部3aに充電コネクタが保持された状態で通信線L4に発生する電圧レベルや、保持部3bに充電コネクタが保持された状態で通信線L4に発生する電圧レベルは、制御部11と蓄電部101との間での通信で使用される電圧レベルと異なる電圧レベルになるよう、抵抗R11,R12の抵抗値は設定されている。すなわち、各々の保持部3a,3bに設けられた電圧調整回路15a,15bは、制御部11と蓄電部101との間での通信で使用される電圧レベルと異なる電圧レベルであって、互いに異なる電圧レベルに通信線L4の電圧レベルを変化させている。
【0048】
このように通信線L4に発生する電圧レベルが設定されていれば、制御部11は、入力端子P21,P22の入力電圧をもとに、充電ケーブルCB1a,CB1bが何れの保持部3a,3bに保持されているかを検出することができる。
【0049】
ところで、充電装置本体2の左側に接続された充電ケーブルCB1aの充電コネクタCN1aが右側の保持部3bに保持され、充電装置本体2の右側に接続された充電ケーブルCB1bの充電コネクタCN1bが左側の保持部3aに保持されると、充電ケーブルCB1a,CB1bが充電装置本体2の前側で交差することになる。この場合、交差した2本の充電ケーブルCB1a,CB1bのうち、後側にある充電ケーブルを電動車両100に接続しようとすると、前側にある充電ケーブルが邪魔になって、充電ケーブルを電動車両に接続する作業がやりにくくなる。したがって、充電装置本体2の左側に接続された充電ケーブルCB1aの充電コネクタCN1aは左側の保持部3aに、充電装置本体2の右側に接続された充電ケーブルCB1bの充電コネクタCN1bは右側の保持部3aに保持されるのが好ましい。そこで、制御部11は、入力端子P21,P22の電圧レベルをもとに、充電コネクタCN1a,CN1bが何れの保持部3a,3bに保持されているかを検出する。そして、制御部11は、充電コネクタCN1aが反対側の保持部3bに保持されたり、充電コネクタCN1bが反対側の保持部3aに保持されているのを検出すると、報知部12により反対側のホルダ部に保持されていることをユーザに報知させる。
【0050】
このように本実施形態の充電装置1は、それぞれ充電コネクタが設けられた複数(本実施形態では2つ)の充電ケーブルと、それぞれ対応する充電コネクタを非充電時に保持する複数(本実施形態では2つ)の保持部とを備えている。そして、各々の保持部の電圧調整回路は、通信線の電圧レベルを互いに異なる電圧レベルに変化させている。
【0051】
これにより、通信部と保持部との間の通信で使用される電圧レベルをもとに、各充電ケーブルの充電コネクタが何れの保持部に保持されているのかを判別でき、充電コネクタが所望のホルダ部に保持されているか否かを判別することができる。
【0052】
尚、上記の実施形態では、充電コネクタが保持部に保持されると、保持部に設けられた電圧調整回路が通信線の電圧レベルを変化させることによって、保持部に充電コネクタが保持されたことを通信部が確認しているが、保持部に充電コネクタが保持されていることを検知する方法は上記の方法に限定されるものではない。例えば保持部に、充電コネクタが保持されると充電コネクタで操作子が押されて接点状態が切り替わるマイクロスイッチ(図示せず)を設け、マイクロスイッチから信号線(図示せず)を介して通信部へ任意の信号を送信することによって、保持部に充電コネクタが保持されたことを通信部が確認するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 充電装置(電動車両用充電装置)
2 充電装置本体
3 保持部
11 制御部(通信部)
100 電動車両
101 蓄電部
102 通信回路
CB1 充電ケーブル
CN1 充電コネクタ
CN2 充電コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工場所に設置される充電装置本体と、
一端側が前記充電装置本体に接続され、他端側に電動車両に着脱自在に接続される充電コネクタが設けられた充電ケーブルと、
前記充電装置本体に収納され、前記充電ケーブル及び前記充電コネクタを介して前記電動車両の蓄電部との間で通信を行い、前記蓄電部からの信号に応じて前記蓄電部への給電を制御する制御部と、
前記充電コネクタを非充電時に保持する保持部と、
前記保持部との間で前記充電ケーブル及び前記充電コネクタを介して通信を行うことによって、前記保持部に前記充電コネクタが保持されていることを確認する通信部とを備えることを特徴とする電動車両用充電装置。
【請求項2】
前記制御部と前記蓄電部との間では、前記充電ケーブルが備える通信線に印加される電圧レベルを変化させることによって通信を行っており、
前記保持部には、前記充電コネクタが前記保持部に保持されると、前記通信線に電気的に接続されて、前記通信線の電圧レベルを変化させる電圧調整回路が設けられ、
前記通信部は、前記通信線の電圧レベルが変化することから、前記保持部との間で通信を行うことを特徴とする請求項1記載の電動車両用充電装置。
【請求項3】
前記電圧調整回路は、前記制御部と前記蓄電部との間での通信に使用される電圧レベルとは異なる電圧レベルに、前記通信線の電圧レベルを変化させることを特徴とする請求項2記載の電動車両用充電装置。
【請求項4】
それぞれ前記充電コネクタが設けられた複数の前記充電ケーブルと、それぞれ対応する前記充電コネクタを非充電時に保持する複数の前記保持部とを備え、
各々の前記保持部の前記電圧調整回路は、前記通信線の電圧レベルを互いに異なる電圧レベルに変化させることを特徴とする請求項3記載の電動車両用充電装置。
【請求項5】
ユーザに対して報知動作を行う報知部を備え、
前記制御部は、前記蓄電部との通信により前記充電コネクタが前記電動車両から外されたことを検知した時点から所定時間内に、前記保持部に前記充電コネクタが保持されたことを前記通信部が確認できなければ、前記充電コネクタが前記保持部に保持されていないことを前記報知部から報知させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電動車両用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−46477(P2013−46477A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181916(P2011−181916)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】