説明

電子カメラ

【課題】電子カメラの表示装置に必要な情報を撮影画像とともに表示させる。
【解決手段】電子カメラは、画像を表示する表示装置113と、表示装置113に画像とともに所定の情報を表示させる表示制御手段101、112、116と、撮影後の確認画像を表示する場合と記録媒体160に記録されている画像を再生表示する場合とで、異なる情報を画像とともに表示するように表示制御手段101、112、116へ指示する指示手段101とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
電子カメラの表示装置に電池状態を示す表示を行わせる技術が知られている(特許文献1参照)。従来技術では、電池状態が画像用表示装置と異なる表示装置に表示される。
【0003】
【特許文献1】特開2005−37811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、電池状態の情報と、撮影した画像とを異なる表示装置から確認しなければならないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明による電子カメラは、画像を表示する表示装置と、表示装置に画像とともに所定の情報を表示させる表示制御手段と、撮影後の確認画像を表示する場合と記録媒体に記録されている画像を再生表示する場合とで、異なる情報を画像とともに表示するように表示制御手段へ指示する指示手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項1に記載の電子カメラにおいて、指示手段は、確認画像を表示する場合、電池状態および記録媒体の残容量状態の少なくとも一方を示す情報を画像とともに表示するように表示制御手段へ指示することが好ましい。
(3)請求項2に記載の電子カメラにおいて、指示手段は、再生表示する場合、電池状態および残容量状態を示す情報に代えて再生表示中の画像とともに当該画像の他の情報を表示するように表示制御手段へ指示することが好ましい。
(4)請求項2または3に記載の電子カメラにおいて、記録媒体の残容量状態は、次の撮影用の情報であることが好ましい。
(5)請求項4に記載の電子カメラにおいて、指示手段は、連写撮影の場合、連写撮影画像の全てが記録媒体に記録される前に、連写撮影画像が全て記録される場合の予定残容量状態を示す情報を表示するように表示制御手段へ指示することが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明による電子カメラでは、必要な情報を撮影画像とともに確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラを上から見た図である。図1において、電子カメラは、電源スイッチ118aと、レリーズボタン118cと、情報表示ボタン118dと、操作ボタン118eと、撮影モードダイアル118bと、内蔵フラッシュ装置107とアクセサリシュー120とを有する。図1は、撮影用交換レンズが電子カメラから外された状態を表している。
【0008】
図2は、図1の電子カメラを背面から見た図である。図2において、電子カメラは、ファインダ−接眼窓121と、十字操作ボタン118jと、再生ボタン118fと、メニューボタン118gと、ヘルプボタン118hと、情報変更ボタン118iと、コマンドダイアル118kと、外部表示装置113とを有する。内蔵フラッシュ装置107は使用位置と格納位置との間を移動可能に構成されている。図1および図2は、内蔵フラッシュ装置107が格納された状態を表している。
【0009】
図3は、電子カメラの要部構成を説明するブロック図である。演算回路101は、マイクロコンピュータなどによって構成される。演算回路101は、後述する各ブロックから出力される信号を入力して所定の演算を行い、演算結果に基づく制御信号を各ブロックへ出力する。
【0010】
撮像素子102は、CCDイメージセンサなどによって構成される。撮像素子102は、交換レンズ150を通過した被写体光による像を撮像し、撮像信号を撮像信号処理部104へ出力する。撮像素子102は、駆動部103から出力される駆動信号によって所定の動作タイミングで駆動される。
【0011】
撮像信号処理部104は撮像素子102から出力される光電変換信号(撮像信号)に対するアナログ処理(ゲインコントロールなど)、およびアナログ処理後の撮像信号をディジタル信号に変換する。
【0012】
測光装置105は、交換レンズ150を通して被写体光量を検出し、検出信号を演算回路101へ出力する。シーケンス装置106は、演算回路101からの指示によって不図示のミラーのアップ/ダウン、不図示の絞りの駆動、絞り係止の解除、および不図示のシャッタ装置のチャージなどを行う。
【0013】
内蔵フラッシュ装置107は、演算回路101からの指示に応じて所定の光量で発光し、被写体を照明する。通信制御部119は、電子カメラに装着されている交換レンズ150との間、アクセサリシュー120に装着されている不図示の外部フラッシュ装置との間、電子カメラと無線または有線接続されている外部機器(パーソナルコンピュータ等)との間で通信を行う。電子カメラおよび交換レンズ150間の通信では、絞り値やレンズデータ等のレンズ情報、レンズの駆動指示などのレンズ制御情報などが送受される。電子カメラおよび外部フラッシュ装置間の通信では、外部フラッシュ装置側の電池情報、発光準備情報の他、発光可否、発光タイミングおよび発光量を指示する情報などが送受される。
【0014】
操作部材118は複数の操作スイッチ、ボタンなどによって構成され、各設定操作に応じて操作信号を演算回路101へ出力する。操作部材118は、電源スイッチ118a,撮影モードダイアル118b、レリーズボタン118c、情報表示ボタン118d、操作ボタン118e、再生ボタン118、メニューボタン118g、ヘルプボタン118h、情報変更ボタン118i、十字操作ボタン118j、およびコマンドダイアル118kを含む。
【0015】
電源制御部108は、演算回路101からの指示に応じて各ブロックへの通電オン/オフ制御を行う。電源部109は、不図示の電池電圧を各ブロックで必要な電圧へ変換する。また、電源部109は所定時間ごとに電池電圧を検出し、検出信号を演算回路101へ送出する。
【0016】
ファインダ内表示装置制御部110は、演算回路101からの指示に応じてファインダ内表示装置111の表示制御信号を生成する。ファインダ内表示装置111に表示する内容は、たとえば電池残量を示すマーク、および記録媒体160の残容量を示す情報などである。ファインダ内表示装置111はファインダ−接眼窓121から観察可能な位置に配設され、ファインダ内表示装置制御部110が生成した表示制御信号を受けて表示を行う。
【0017】
外部表示装置制御部112は、演算回路101からの指示に応じて外部表示装置113の表示制御信号を生成する。外部表示装置113に表示する内容は、たとえば、撮影画像や操作メニュー、電子カメラに設定されている内容(露出モード、感度、シャッタ速度、絞り値など)である。外部表示装置113はカラー液晶表示パネルによって構成され、外部表示装置制御部112が生成した表示制御信号を受けて表示を行う。
【0018】
コントローラ114は、演算回路101からの指示に応じて記録媒体160に撮影画像のデータを保存したり、記録媒体160に保存しているデータを読み出したりする。記録媒体160は、たとえば、メモリカードなどのデータストレージ部材によって構成され、電子カメラに対して着脱可能である。
【0019】
画像処理部115は、演算回路101からの指示に応じてディジタル変換後の画像データにホワイトバランス処理などの画像処理を行う他、画像処理後の画像データを所定の形式で圧縮する圧縮処理、圧縮された画像データを伸長する伸長処理などを行う。
【0020】
RAM116は演算回路101による作業用メモリとして使用される他、外部表示装置113に表示されるデータを格納するビデオメモリ(VRAM)として使用される。ROM117は演算回路101が実行するプログラムを格納する。
【0021】
<撮影画像の表示>
電子カメラは、以下の2つの場合に外部表示装置113へ撮影画像を表示する。
表示1:撮影処理終了後に確認画像(撮影画像)を自動表示する。ただし、確認画像を自動表示するように設定されている場合のみ表示する。
表示2:再生ボタン118fが押下操作された場合に記録媒体160に記録されている画像を再生表示する。
【0022】
演算回路101が行う画像表示処理の流れを図4のフローチャートを参照して説明する。図4の処理は、撮影後(撮影画像データをRAM116内の所定のバッファ領域に格納した後)または再生ボタン118fの押下操作時(再生画像表示中を除く)に起動される。
【0023】
図4のステップS101において、演算回路101は撮影後か否かを判定する。演算回路101は、撮影後である場合にステップS101を肯定判定してステップS102へ進み、再生ボタン118fの押下時である場合にはステップS101を否定判定してステップS108へ進む。
【0024】
ステップS102において、演算回路101は、直前の撮影処理で取得した画像データをRAM116の所定領域(VRAM)に展開してステップS103へ進む。ステップS103において、演算回路101は、画像情報(少なくとも画質モードおよび画像サイズに関する情報を含む)をRAM116の所定領域(VRAM)に展開してステップS104へ進む。
【0025】
ステップS104において、演算回路101は、電源部109から送られる電池電圧検出信号に基づいて電池の残容量を検出し、ステップS105へ進む。ステップS105において、演算回路101は、残容量に応じたアイコン情報を生成し、RAM116の所定領域(VRAM)に展開してステップS106へ進む。
【0026】
ステップS106において、演算回路101は記録媒体116の残コマ数を算出する。演算回路101は、撮影した画像データの記録に必要な容量を記録媒体116の残容量から減算し、減算後の容量に記録可能なコマ数を新たな残コマ数としてステップS107へ進む。
【0027】
ステップS107において、演算回路101は、残コマ数を示す情報をRAM116の所定領域(VRAM)に展開して図4による処理を終了する。図5は、ステップS102〜ステップS107の処理によって外部表示装置113に表示される確認画像を例示する図である。図5において、撮影画像50の下部に電池アイコン表示51、残コマ表示52、画質モード表示53および画像サイズ表示54がそれぞれ表示される。
【0028】
図4のステップS108において、演算回路101は、記録媒体(メモリカード)160から画像データを読み出してステップS109へ進む。ステップS109において、演算回路101は、読み出した画像データをRAM116の所定領域(VRAM)に展開してステップS110へ進む。ステップS110において、演算回路101は、画像情報(ファイル名称、撮影日時、画質モードおよび画像サイズに関する情報を含む)をRAM116の所定領域(VRAM)に展開して図4による処理を終了する。
【0029】
図6は、ステップS108〜ステップS110の処理によって外部表示装置113に表示される再生画像を例示する図である。図6において、読み出し画像60の下部にファイル名称表示61、撮影日時表示62、画質モード表示63および画像サイズ表示64がそれぞれ表示される。図5と比べて電池アイコン表示51、残コマ表示52が表示されていない点が異なる。
【0030】
残容量に応じたアイコン情報を生成する(図8のステップS105に対応)処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。図7のステップS201において、演算回路101は電池の残容量判定を行う。電池電圧が最大電圧(たとえば満充電時の電圧)の70%以上の場合、演算回路101はステップS202へ進み、電池アイコンの内部全体を塗りつぶすようにアイコン情報を生成し、RAM116の所定領域(VRAM)に展開する。
【0031】
電池電圧が最大電圧(たとえば満充電時の電圧)の70%未満で15%以上の場合、演算回路101はステップS203へ進み、電池アイコンの内部の2/3を塗りつぶすようにアイコン情報を生成し、RAM116の所定領域(VRAM)に展開する。
【0032】
電池電圧が最大電圧(たとえば満充電時の電圧)の15%未満の場合、演算回路101はステップS204へ進み、電池アイコンの内部の1/3を塗りつぶすようにアイコン情報を生成し、RAM116の所定領域(VRAM)に展開する。
【0033】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)画像表示に用いる外部表示装置113に画像を表示させる場合、撮影後の確認画像の表示時と、記録媒体160に記録されている画像データの再生画像の表示時とで、異なる情報を画像とともに表示させるので、ユーザは必要な情報を画像とともに確認することができる。
【0034】
(2)撮影後の確認画像50を表示する場合、電池状態および記録媒体160の残容量状態を示す情報51、52を確認画像50とともに表示したので、ユーザは外部表示装置113から必要な情報を得ることができる。電池状態および残容量状態は撮影ごとに変化するので、撮影後ただちに確認できることは重要である。また、撮影画像を撮影後ただちに確認できることも重要である。
【0035】
(3)記録媒体160に記録されている画像データの再生画像60を表示する場合、電池状態および記録媒体160の残容量状態を示す情報51、52に代えて、ファイル名や撮影日時を示す情報61、62を再生画像60とともに表示したので、ユーザは外部表示装置113から必要な情報を得ることができる。表示する情報を切替えることによって情報表示エリアを小さく抑え、確認画像50や再生画像60を広く表示させることができる。
【0036】
(変形例1)
連写撮影を行う場合の演算回路101は、図4に例示した単写撮影する場合のフローチャートに代えて図8に例示するフローチャートを実行する。図8のステップS101〜ステップS105およびステップS108〜ステップS110までの処理は、それぞれ図4における同ステップ番号の処理と同様なので説明を省略する。
【0037】
ステップS106Aにおいて、演算回路101は、上記バッファ領域内に格納されている複数の連写画像データの記録に必要な容量を記録媒体116の残容量から減算する。演算回路101は、減算後の容量に記録可能な予定残コマ数を新たな残コマ数としてステップS107へ進む。
【0038】
ステップS107の処理は、図4における同ステップ番号の処理と同様なので説明を省略する。ステップS120において、演算回路101は、連写撮影された複数の連写画像データについて、全コマ分をRAM116の所定領域(VRAM)に展開したか否かを判定する。演算回路101は、未だRAM116の所定領域(VRAM)に展開していないコマの画像データが存在する場合にはステップS120を否定判定してステップS102へ戻る。ステップS102へ戻った演算回路101は、ステップS102において未展開の画像データを1コマ分RAM116の所定領域(VRAM)に上書き展開する。これにより、次コマの確認画像が外部表示装置113に表示される。
【0039】
一方、ステップS120において演算回路101は、RAM116の所定領域(VRAM)へ未展開であるコマの画像データが存在しない場合にはステップS120を肯定判定し、図8による処理を終了する。
【0040】
以上説明した変形例2によれば、連写撮影したコマの画像の全てが記録媒体106に記録される前に、連写撮影した画像の全てが記録される場合の予定残コマ数を確認画像とともに表示する。これにより、ユーザは、連写撮影した最初のコマの確認画像とともに最終的な予定残コマ数を外部表示装置113から知ることができる。また、確認画像の表示コマを進めるたびにステップS104〜ステップS107の処理を繰り返すので、電池残容量および残コマ数の情報が逐次更新表示される。
【0041】
(変形例2)
図8において2コマ目以降の画像データをRAM116の所定領域(VRAM)に上書き展開(ステップS103)する場合、ステップS104〜ステップS107の処理をスキップさせてもよい。この場合の演算回路101は、バッファ領域内の最終コマの画像データをRAM116の所定領域(VRAM)に上書き展開した時点でステップS104〜ステップS107の処理を再度実行すれば、連写撮影した全コマの確認画像を表示終了後、最新の電池残容量および残コマ数の情報を外部表示装置113に表示させることができる。
【0042】
(変形例3)
以上の説明では、撮影処理終了後に外部表示装置113に表示する確認画像(撮影画像)において電池アイコン表示51および残コマ表示52の両方を表示させたが、いずれか一方のみを表示させてもよい。
【0043】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態による電子カメラを上から見た図である。
【図2】図1の電子カメラを背面から見た図である。
【図3】電子カメラの要部構成を説明するブロック図である。
【図4】画像表示処理の流れを説明するフローチャートである。
【図5】外部表示装置に表示される確認画像を例示する図である。
【図6】外部表示装置に表示される再生画像を例示する図である。
【図7】アイコン情報を生成する処理を説明するフローチャートである。
【図8】連写撮影時の画像表示処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
101…演算回路
112…外部表示装置制御部
113…外部表示装置
116…RAM
118…操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示装置と、
前記表示装置に前記画像とともに所定の情報を表示させる表示制御手段と、
撮影後の確認画像を表示する場合と記録媒体に記録されている画像を再生表示する場合とで、異なる情報を前記画像とともに表示するように前記表示制御手段へ指示する指示手段とを備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記指示手段は、前記確認画像を表示する場合、電池状態および前記記録媒体の残容量状態の少なくとも一方を示す情報を前記画像とともに表示するように前記表示制御手段へ指示することを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項2に記載の電子カメラにおいて、
前記指示手段は、前記再生表示する場合、前記電池状態および前記残容量状態を示す情報に代えて前記再生表示中の画像とともに当該画像の他の情報を表示するように前記表示制御手段へ指示することを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電子カメラにおいて、
前記記録媒体の残容量状態は、次の撮影用の情報であることを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
請求項4に記載の電子カメラにおいて、
前記指示手段は、連写撮影の場合、連写撮影画像の全てが前記記録媒体に記録される前に、前記連写撮影画像が全て記録される場合の予定残容量状態を示す情報を表示するように前記表示制御手段へ指示することを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−118531(P2008−118531A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301688(P2006−301688)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】