説明

電子タグの回収装置及び方法,分離回収システム及び方法、及び沈下物の浮上回収装置及び方法

【課題】 紙シートに接着されて使用される電子タグを再使用するための技術に関し、紙シートに接着されて使用されるICタグ等の電子タグを紙シートから分離し再利用可能に回収する処理を大量に行なえるようにする。
【解決手段】 紙シートを剥離された電子タグ1、及び紙シート又は紙シートが破砕されて作られた紙片を含んだ液体を貯留するタンクと、タンク内の底部又は下部の液体中にマイクロバブルを供給するマイクロバブル供給手段と、タンクの上部に設けられ、液体中でマイクロバブルを受けて浮上した電子タグを回収する回収口とをそなえるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流等の分野において用いられるICタグ等の電子タグを再使用するための技術に関し、詳しくは、紙シートに接着された電子タグを紙シートから分離して回収するための装置,システム及び方法、並びに紙シートから分離された電子タグの回収に用いて好適の沈下物の浮上回収装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の記録媒体として、例えば、ICチップとアンテナとが薄いシート基材で挟まれた構造のICタグが用いられている。ICタグは、多くの情報を記録できる点や非接触で情報を読み取れる点等、利点が多く、これらの利点から商品管理や物流管理等の現場において広く利用されている。
なお、電子タグには、このようなICタグ(或いはICカード)と同様に、ID(Identification)タグ(或いはIDカード)やRFID(Radio Frequency Identification)タグ(或いはRFIDカード)等も用いられている。ここでは、これらの電子チップを内蔵したタグ或いはカードを総称して電子タグと呼び、ICタグをその代表的なものとして表記する。
【0003】
ICタグを商品管理や物流管理等において使用する場合、通常、糊や両面テープ等の接着剤によってICタグを管理対象の物品に貼り付けることで、その物品とICタグに記録された情報との紐付けが行われている。このため、ICタグを剥がして他の物品に貼り替えた場合には、物品と情報との対応が損なわれてしまう。そこで、例えば特許文献1に記載された技術では、一度物品に貼り付けたICタグを剥離した場合には、そのICタグが破壊されるようにすることで、物品と情報との対応が損なわれないようにしている。
【0004】
しかしながら、この特許文献1の技術はICタグを使い捨てにすることを前提としているもので、ICタグを再利用することはできない。
つまり、ICタグは、古い情報を消去して新たな情報を記録し直すことで何度でも使用できる。したがって、再使用せずに使い捨てにすることは無駄なコストを発生させることになる。特に、ICタグの一枚一枚は安価であるとしても、多大な枚数を使用する場合には、全てを使い捨てにするとそのコストは無視できないものになる。このため、ユーザーによっては、コストを重視して使用済みのICタグを回収して再利用したいという要望もある。
【0005】
ICタグを回収するには、ICタグをそれが貼り付けられている物品から分離し、さらに、ICタグに余分な付着物がないように清浄にする必要がある。
通常、ICタグは物品そのものではなく、その包装紙や段ボール容器、或いは台紙等、紙シートに接着されている場合が多い。このため、従来は、ICタグを紙シートから分離する作業は人手により行われており、一枚一枚、例えば紙伝票等の紙シートとの接着面からICタグを剥がしていた。この場合、上記の従来技術のように無理やり剥離させると壊れる構造のICタグの場合には、ICタグを壊さないように慎重に剥がしていく必要があった。
【0006】
また、紙シートに接着されていたICタグの場合、紙シートから剥がされたICタグには接着剤や紙繊維等の付着物が残存していることが多く、ICタグを再利用するためには、ICタグからこれらの付着物を除去しなくてはならない。
このように人手作業によって分離回収を行なう場合、一人当たりの処理枚数には限界があるため、大量のICタグを分離回収するためには、それだけ多くの人員が必要になる。ところが、人員を増やすとそれだけ人件費もかさむため、ICタグを回収して再利用することによるコスト上のメリットが相殺されてしまう。このため、ICタグを回収して再利用したいユーザーからは、人手作業によることなく、大量のICタグをそれが接着されている紙シートから効率良く分離回収するための方法が求められていた。
【0007】
そこで、我々は、大量のICタグをそれが糊付けされている紙シートから効率良く分離回収できるようにする技術(特許文献2)を提案した。
この技術は、紙シートに紙及び/又は糊に対して溶解作用を有する液体(例えば、水)を含ませて膨潤させ(膨潤工程)、次に、膨潤された紙シートとICタグとの糊付け面に外力を作用させて液体中でICタグを紙シートから剥離させてから(剥離工程)、ICタグを他の物質と分別して回収する(分別工程)ものであり、紙シートに接着されたICタグを多数まとめてバッチ処理によって上記各工程での処理を連続して行なうことが好ましいとされている。
【0008】
膨潤工程では、紙シートに、紙及び/又は糊に対して溶解作用を有する液体を含ませることで、ICタグと紙シートとは剥離しやすい状態になり、剥離工程では、この状態で糊付け面に外力を作用させることでICタグは紙シートから容易に剥離する。分別工程では、剥離したICタグは紙等の他の物質とは比重や液体への溶解性の物性に相違があるので、その相違に着目することで容易に分別することができる。
【0009】
このように段階的に分離回収処理を行なうことで、ICタグを紙シートから効率的に分離して回収することが可能になる。
なお、本願発明に関連する技術文献として、非特許文献1を例示する。
【特許文献1】特開2001−167240号公報
【特許文献2】WO2004/065029
【非特許文献1】日本流体力学会「ながれ」第23巻第1号第17〜26ページ「界面活性剤が気泡挙動に与える影響」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の特許文献2の技術では、分離タンク内にカゴを入れた上でこのカゴ内で、分別回収の処理を行なって、電子タグを回収する際には、カゴを引き上げるようにすることで処理を容易にすることができる。
しかし、電子タグの回収処理能力を十分に確保するには、必然的に分離タンクやカゴをある程度大きくすることが必要になり、このように分離タンク底部の電子タグを引き上げ回収する動作は、人手に頼るわけには行かず、相応の動力を用いた機械構成が必要になり、装置の大型化及び複雑化を招き、これにより、装置コストの増大も招く。
【0011】
また、膨潤工程や剥離工程では例えば水流によって各処理をしながら電子タグを移動させることができるが、分離タンク内のカゴを引き上げる動作は、水流とは違った機械的な動作であり、水流による処理に比べて円滑な処理ではなく、紙シートに接着された電子タグの分離回収処理を実用化する上での大きな課題となっている。
そこで、分別工程において、分離タンク内のカゴを引き上げるといった大掛かりな動作をすることなく、より円滑に電子タグを回収できるようにする技術の開発が要望されている。特に、紙成分を分別された電子タグを、水流を用いて分離タンクの上方から回収することができれば、電子タグをより円滑に回収することができる。
【0012】
しかしながら、特許文献2にも記載されているように、紙成分のように水との比重差が小さいものは、微細な気泡を付着させると水よりも軽くなり水中で浮上するが、電子タグは、紙成分に比べて比重が大きいため、微細な気泡を付着させても容易には浮上しない。この点が、水流を用いて電子タグを回収する上の大きな障害になっている。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、紙シートに接着されて使用されるICタグ等の電子タグを紙シートから分離し再利用可能に回収する処理を大量にしかも円滑に行なえるようにした、電子タグの回収装置及び回収方法、電子タグの分離回収システム及び分離回収方法、並びに、沈下物の浮上回収装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目標を達成するため、本発明の電子タグの回収装置(請求項1)は、紙シートに接着されて使用された電子タグを液体中で前記紙シートから分離して回収する電子タグの回収装置であって、前記紙シートから剥離された前記電子タグ、及び前記紙シート又は前記紙シートが破砕されて作られた紙片を含んだ前記液体を貯留するタンクと、前記タンク内の底部又は下部の前記液体中にマイクロバブルを供給するマイクロバブル供給手段と、前記タンクの上部に設けられ、前記液体中で前記マイクロバブルを受けて浮上した前記電子タグを回収する回収部とがそなえられていることを特徴としている。
【0014】
マイクロバブルは、一般に、気液混合の加圧水を放出する時において径が10〜数10μm程度の超微細気泡であって、一般には、自然界に少量しか存在せず、一般に目にしている泡とは全く異なる性質を持っている。このマイクロバブルは、気泡同士の合体や吸収が起こりにくく、一気体のままで水中に長時間留まり、比較的長い寿命を持つが、水中で発生してから上昇しつつ次第に収縮して消滅する。また、このマイクロバブルの特性として、液体中への気体吸収効率が高いこと、均一性と分散性に優れること、固有の物理化学特性を示す(電位特性、水素イオン濃度特性など)こと、生物の生理活性作用を有すること、などがあることが知られている。このような観点から、水産養殖,水質浄化,船の航行における摩擦抵抗の軽減などへの利用が提案されている。
【0015】
このようなマイクロバブルは、水中に長時間留まり(つまり極めてゆっくりと浮上する)比較的長い寿命を持つことから、水中で固体に対して付着し易く、また、固体に付着した状態が維持しやすい。このため、液体(例えば、水)に対して比重が大きく、通常の泡では付着しにくく浮上させることができない電子タグであっても、マイクロバブルを多数付着させれば浮上させることが可能になるのである。
【0016】
このように、マイクロバブルを用いる場合、水を主体として流体を構成し、この液体中に、マイクロバブルの消滅を抑制する添加剤を添加することが好ましい(請求項2)。この場合、添加剤は界面活性剤であることが好ましい(請求項3)。
非特許文献1に「水中を上昇する気泡はほんの僅かな界面活性剤の影響により効力が急激に増大して、その上昇速度が2/3から半分程度になることが知られている。また、界面活性剤の存在する水中では気泡同士の合体が非常に起こりづらいことも知られている。」と記載されているように、液体に界面活性剤を添加すると、マイクロバブルの上昇速度が抑えられ、マイクロバブルの消滅も抑制されるので、液体中(水中)に多数のマイクロバブルを維持させることができ、より多数のマイクロバブルが電子タグに付着するようになって、電子タグの浮上を確実に行なうことができるようになる。
【0017】
また、界面活性剤は、浸透性,湿潤性,発泡性を促進させる添加剤としても機能するため、紙シートと電子タグとを接着する接着剤中に添加すれば、タグの剥離、分離、回収の各処理をいずれも向上させることができる。そこで、電子タグを紙シートに接着する接着剤に界面活性剤を添加させるか或いは予め界面活性剤を添加した接着剤を用いて電子タグを紙シートに接着すれば、接着性を向上させることができ、さらに、液体中で電子タグから紙シートを剥離する際等に接着剤の中の界面活性剤が液体中に溶け込むため、回収工程で改めて界面活性剤を添加しなくても、この液体中に溶け込んだ界面活性剤が、マイクロバブルの上昇速度を抑えその消滅を抑制するので、上記のように電子タグの浮上を確実に行なうことができるようになる。
【0018】
なお、前記タンク内の前記液体に鉛直軸線回りの旋回流を生成させる旋回流生成手段がそなえられていることが好ましい(請求項4)。この場合の旋回流は微弱なものが好ましい。
さらに、前記タンクは円筒状又は略円筒状に形成され、前記タンク内に、前記電子タグよりも小さい網目粗さ(即ち、前記電子タグが通過しない粗さ)に構成されるとともに、円筒状又は略円筒状に形成されたスクリーンが、前記タンクの底面及び側面から離隔して備えられ、前記旋回流生成手段は、前記タンク内下部の前記スクリーンの外部に設けられたインペラであることが好ましい(請求項5)。
【0019】
この場合、さらに、前記タンクの上部に、前記タンク内の前記スクリーンの外周に沿って液体を流入して供給する液体供給手段をそなえるとともに、前記タンク内に配設されて前記前記スクリーンの上部を覆うとともに上部が前記回収部に連通するように配設されて、前記液体供給手段から供給された液体を前記回収部へ案内する回収手段をそなえていることが好ましい(請求項6)。
【0020】
さらに、該タンクの下部または側部に、該タンク内の液体を排出する液体排出手段をそなえるとともに、少なくとも開閉機能を有し、該液体供給手段による該タンク内への液体の供給を制御する供給制御バルブと、少なくとも開閉機能を有し、該液体排出手段による該タンクからの液体の排出を制御する排出制御バルブとをなえていることが好ましい(請求項7)。
【0021】
また、前記液体は水を主体とする液体であって、前記マイクロバブル供給手段は、液体と空気とを吸引してこれらを加圧混合して前記マイクロバブルを含んだマイクロバブル含有液体(マイクロバブル水)を生成するマイクロバブル生成装置をそなえ、前記タンク内の底部又は下部の前記液体中に前記マイクロバブル含有液体を供給することが好ましい(請求項7)。
【0022】
この場合、前記タンク内の前記液体は、前記タンク外に排出された後にフィルタで紙片を除去されて再び前記タンク内に供給され再利用するように液体循環回路が形成されていることが好ましい。この場合、前記マイクロバブル生成装置は、前記液体循環回路内にそなえられていることが好ましい(請求項8)。これにより、マイクロバブル生成装置を、循環水と外部空気とを吸引してこれらを加圧混合してマイクロバブルを生成するように構成することができ、水の消費量を抑える点で好ましい。
このようなマイクロバブル生成装置では、マイクロバブルを連続的に生成して吐出することができ、タンク内のマイクロバブルの数が維持できるため浮上回収面で好ましい。
【0023】
また、本発明の電子タグの分離回収システム(請求項9)は、紙シートに接着されて使用された電子タグを前記紙シートから分離して整列させて回収する電子タグの分離回収システムであって、前記電子タグを前記紙シートから剥離させて分離する分離装置と、請求項1〜8のいずれか1項に記載された回収装置とを兼ね備えていることを特徴としている。
【0024】
なお、上記分離装置は、上記電子タグの回収前に、上記の電子タグを接着された紙シートを収容して上記電子タグと上記紙シートとを分離する分離容器として機能する上記タンクと、上記電子タグの回収前に、上記旋回流によって上記液体を攪拌して上記タンク内の上記電子タグと上記紙シートとを剥離させ分離するとともに上記紙シートの破砕を促進する上記インペラとをそなえていることが好ましい。
【0025】
また、本発明の電子タグの回収方法(請求項10)は、紙シートに接着されて使用された電子タグを液体中で前記紙シートから分離して回収する回収方法であって、前記紙シートから剥離された前記電子タグ、及び前記紙シート又は前記紙シートが破砕されて作られた紙片を含んだ前記液体を貯留するタンク内の底部又は下部の前記液体中にマイクロバブルを供給するとともに、前記タンク内の前記液体に鉛直軸線回りの旋回流を生成させるマイクロバブル供給工程と、前記タンク内の液面を上昇させて、前記マイクロバブル供給工程でマイクロバブルを受けるとともに前記旋回流を受けながら前記タンクの上部内壁に沿って上方に浮上した前記電子タグを回収する回収工程とがそなえられていることを特徴としている。
【0026】
また、本発明の電子タグの分離回収方法(請求項11)は、紙シートに接着されて使用された電子タグを前記紙シートから分離して整列させて回収する紙シートに接着された電子タグの分離回収方法であって、前記紙シートと前記電子タグとを剥離させる剥離工程と、前記剥離工程により前記紙シートを剥離された前記電子タグを、前記紙シート又は前記紙シートの紙片と分離する分離工程と、タンク内の液体中で、前記分離工程で前記紙シート又は前記紙シートの紙片と分離された前記電子タグにマイクロバブルを供給するマイクロバブル供給工程と、前記タンクの上部内壁に沿って上方に浮上した前記電子タグを回収する回収工程とがそなえられていることを特徴としている。
【0027】
また、本発明の沈下物の浮上回収装置(請求項12)は、液体中の沈下物(例えば、想定される電子タグのように、矩形、名刺サイズ、カード状の厚みが約1mm以下で比重が1.0〜1.3g/cm3程度のシート状の沈下物)を浮上させて回収する装置であって、該容器内の底部又は下部の該液体中にマイクロバブルを供給するマイクロバブル供給手段と、該容器の上部に設けられ、浮上した該沈下物を回収する回収手段とをそなえていることを特徴としている。
【0028】
また、本発明の沈下物の浮上回収方法(請求項13)は、液体中の沈下物を浮上させて回収する方法であって、該液体中にマイクロバブルを供給し、該マイクロバブルを該沈下物に付着させて、該マイクロバブルの浮力を利用して該沈下物を浮上させ、該液体の液面近傍で浮上した該沈下物を回収することを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明の電子タグの回収装置及び回収方法によれば、通常の泡では付着しにくく浮上させることができない電子タグであっても、マイクロバブルを多数発生させ付着させれば浮上させることが可能になり、例えば本発明の回収方法のように、タンク内の液面を上昇させるだけで、タンクの上部から電子タグを回収することが可能になる。
本発明の本発明の紙シートに接着された電子タグの分離回収システム及び分離回収方法によれば、紙シートに接着されて使用された電子タグの再利用のための処理を容易に行なえるようになり、資源の有効利用に寄与しうる。
【0030】
本発明の沈下物の浮上回収装置及び浮上回収方法によれば、通常の泡では付着しにくく浮上させることができない沈下物であっても、マイクロバブルを多数発生させて付着させれば浮上させて回収することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
[電子タグの回収装置及び方法]
図1〜図4は本発明の第1実施形態に係る電子タグの回収装置及び電子タグの回収方法を示すものであり、図1はその回収装置の構成を示す模式的側面図、図2はその分離前ICタグ(電子タグ)を模式的に示す図、図3,図4はその分離装置の攪拌装置により分離容器内に発生する旋回流を説明するための図である。
【0032】
なお、本実施形態では、電子タグとしてICタグ(或いはICカード)を例に説明するが、本発明は、IDタグ(或いはIDカード)やRFIDタグ(或いはRFIDカード)等の他の電子タグにも適用できるものである。
また、このICタグ1は、図2に示すように、PET等の樹脂フィルム内にICチップ1aやこのICタグ1aに接続されたアンテナ1bを密封したものである。
【0033】
まず、本実施形態の回収装置について説明すると、本実施形態の回収装置は、図1(a)に示すように、分離前ICタグ3を、ICタグ1と紙シート2とに分離する分離部(分離装置)と回収部(回収装置)として機能する分離回収装置20として構成されている。
この分離回収装置20は、図1(a),(b)に示すように、水等の液体(ここでは、水とする)を貯留し分離前ICタグ3が投入される分離回収容器(分離回収タンク、以下、タンクとも言う)21と、分離回収容器21の内部に装備された立体型のスクリーン23と、分離回収容器21の内部を攪拌してタンク21内の水に鉛直軸線回りの旋回流を生成させる旋回流生成手段としての攪拌装置24と、タンク21内の底部又は下部の水中にマイクロバブル100を供給するマイクロバブル供給装置(マイクロバブル供給手段)27と、タンク21の上部に設けられ、タンク21内のスクリーン23の外周に水を流入して供給する水供給装置(液体供給手段)29と、をそなえている。
【0034】
分離回収容器21は、円筒形状に形成された上層部と、この上層部の側面と分離回収容器21の底面とを結ぶ傾斜した側面を有する下層部とから構成された容器本体21aとをそなえ、架台21c上に設置されている。スクリーン23は、円筒形状に形成され、スクリーン23の底面と容器本体21aの底面との間及びスクリーン23の側面と容器本体21aの側面との間には、一定の間隔が設けられている。
【0035】
容器本体21aの上部内周には、スクリーン23の上端外周を覆うように、水供給装置29を構成する環状の樋(円周樋)29dが設けられ、この円周樋29dには、下方の分離回収容器21内に、水を供給する供給口(図示略)が適宜設けられており、スクリーン23の周囲(スクリーン23の側面と容器本体21aの側面との間)から容器本体21a内に略全周から略均一に水を供給できるようになっている。
【0036】
さらに、容器本体21aの上部には、スクリーン23の上面を略隙間なく覆う蓋(回収フード)21bがそなえられている。この蓋(回収フード)21bは、上方にいくに従って縮径した逆漏斗状に形成された部分をそなえており、上部がICタグを回収するための回収口に連通するように配設されている。また、蓋(回収フード)21bは開閉可能になっており、蓋21bを開放すると分離回収容器21の上部に投入口20aが形成され、この投入口から、分離前ICタグ3を投入できるようになっている。
【0037】
また、この分離回収容器21の下部には、マイクロバブル供給装置27の供給口27gや、攪拌装置24を構成するインペラ24aや、スクリーン23を通過した物質(後述する紙成分が分散した懸濁液等)を分離回収容器21の外部へ排出する排出管22bの排出口22aが設けられている。なお、排出口22aはバルブ22cにより、閉鎖できるようになっている。
【0038】
タンク21内にマイクロバブル100を供給するマイクロバブル供給装置27は、配管27bの途中に介装されたマイクロバブル生成装置としての気液二相ポンプ(P2)27aをそなえ、この気液二相ポンプ27aでは、循環水タンク50からの水を吸い上げるとともに、吸気管27cを通じて空気を取り入れて、これらの水と空気とを加圧混合してマイクロバブルを含んだ水(マイクロバブル水又はマイクロバブル含有液体)を作って配管27bの出口(供給口)27gから分離回収容器21内に供給する。
【0039】
なお、配管27bの吸い込み口には気液二相ポンプ27aに吸入する水を浄化フィルタ27eが装備され、吸気管27c及び配管27bの気液二相ポンプ27aの吐出側には、バルブ27d,27fがそなえられ、バルブ27dにより気液二相ポンプ27aへの空気量を制御してマイクロバブルの生成状態を調整し、バルブ27fにより気液二相ポンプ27aからの吐出量を制御して分離回収容器21内へのマイクロバブルの供給量を制御することができるようになっている。
【0040】
また、タンク21内に水を供給する水供給装置29は、配管29bの途中に介装された水吸引ポンプ(P1)29aをそなえ、この水吸引ポンプ29aでは、循環水タンク50からの水を吸い上げて、配管29bの出口(給水口)25aから円周樋29d上に水を吐出して、この円周樋29dから分離回収容器21内に水を供給するようになっている。なお、配管29bの吸い込み口には浄化フィルタ29eが装備され、配管29bのポンプ29aの吐出側には、バルブ29cがそなえられて、ポンプ29aからの吐出量を制御して分離回収容器21内への水供給量を制御することができるようになっている。
【0041】
そして、蓋21bの上部にはタグ回収用配管(タグ回収スペース)26が設けられ、このタグ回収用配管26の先端開口部(回収口)26aの下方には、回収容器(回収カゴ)37に向かって下降傾斜した脱水ベルト装置28が設けられている。また、回収口26aと脱水ベルト装置28との間には、回収口26aから送り出されたICタグ1を脱水ベルト装置28に確実に送り出すように案内するガイド板26bがそなえられている。なお、脱水ベルト装置28は回収口26aからICタグ1とともに吐出された水を下方に流下させる孔付きベルトが使用され、脱水ベルト装置28及び回収カゴ37から流下した水は、回収パン55で回収され、回収流路55aからフィルタ55bを介して循環水タンク50に流下するようになっている。
【0042】
なお、立体型のスクリーン23は、分離回収容器21内でICタグ1が外部(即ち、分離回収容器21とスクリーン23との隙間)に飛び出さないように収納するとともに、所定の大きさの物質のみを通過させるフィルタとして機能するものであり、網目状の金網等で構成され、円筒形状の籠型に形成されている。またスクリーン23は、分離回収容器21の壁面に対して所定の隙間が設けられるように設置されている。
【0043】
攪拌装置24は、分離回収容器21内の液体を攪拌して分離回収容器21内に水流(鉛直軸線回りの旋回流)を発生させるものであり、攪拌装置24は、回転することにより水流を発生するインペラ24aと、このインペラ24aに回転力を伝達するシャフト24bと、分離回収容器21の底部を貫通するシャフト24bと分離回収容器21の貫通穴との間に介装されたパッキン24cと、シャフト24bに固設されるとともに駆動モータ等からなる駆動装置(図示略)に接続されてシャフト24bを回転駆動する駆動力伝達部24dとをそなえて構成されている。なお、駆動装置には、インペラ24aの回転を制御する制御装置(図示略)が接続されている。そして、攪拌装置24は、インペラ24aを正転・逆転の両方向に回転駆動できるように構成されている。
【0044】
さらに、攪拌装置24のインペラ24aは、分離回収容器21の底面の中心軸線上で、且つ、分離回収装置21とスクリーン23との上記隙間内でスクリーン23に接近した位置に設けられている。もちろん、スクリーン23とは接触しないで分離回収容器21の底面から所定距離の間隔が設けられるように配置されている。
このような構成により、本実施形態の分離回収装置20によれば、その分離機能に着目すると、攪拌装置24のインペラ24aを正転方向に回転することで、図3に示すように、分離回収容器21内に分離回収容器21の中心部が上方向に上昇(流動)する旋回流(正転方向の旋回流)が発生する(第1の作動態様)。また、攪拌装置24のインペラ24aを逆転方向に回転することで、図4に示すように、分離回収容器21内に分離回収容器21の中心部が下方向に降下(流動)する旋回流(逆転方向の旋回流)が発生する(第2の作動態様)。
【0045】
なお、これらの正転・逆転方向の各旋回流には、当然ながらインペラ24aの回転方向に沿った旋回流(シャフト24bの軸心線を中心とする水平面内での旋回流)の旋回成分も含まれ、図3,図4に示す旋回流を中心とした複合的な旋回流が形成される。これら正転・逆転方向の旋回流は、インペラ24aが分離回収容器21の底面から所定距離の間隔を置いて設置されていることや、分離回収容器21が上記下層部の傾斜した側面をそなえることによって、より確実に且つより強く発生するようになっている。
【0046】
このようなインペラ24aによる攪拌作用によって、ICタグ1を紙シート(台紙)2から剥離させることができる。
次に回収機能に着目すると、図1(a)に示すように、回収段階では、タンク21a内には、紙シート(台紙)2が破砕された紙片や紙クズが混入した懸濁状の水中にICタグ1が沈下した状態になっており、ここでバルブ22cにより排出口22aを閉鎖した上で、蓋21bにより容器本体21aの上部を密封した状態で、マイクロバブル供給装置27によってタンク21内の底部又は下部(スクリーン23の底部よりも下方)の水中にマイクロバブル100を供給する。これに併せて、インペラ24aを一方向に緩やかに回転させることで、水中の多数のマイクロバブル100は、緩やかな旋回流に乗りながら微速で上昇する。これらのマイクロバブル100は、水中の各ICタグ1に多数付着するため、比重の大きいICタグ1にも浮力が与えられて、図1(b)に示すように、水中を浮上することになる。
【0047】
つまり、マイクロバブル100は、気泡同士の合体や吸収が起こりにくく、水中に長時間留まり(つまり極めてゆっくりと浮上する)比較的長い寿命を持つことから、マイクロバブル100を大量に発生させても隣接するマイクロバブル100同士が共存しやすく、水中で固体に対して付着し易く、固体に付着した状態が維持しやすい。したがって、タンク21a内の下方から多数のマイクロバブル100を供給することにより、タンク21a内の各ICタグ1にこの多数のマイクロバブル100が付着することになる。このため、水等の液体に対して比重が大きく、通常の泡では付着しにくく浮上させることができない電子タグ1であっても、マイクロバブル100を多数付着させることで浮上させることが可能になるのである。
【0048】
このように、ICタグ1にマイクロバブル100を付着させて浮力を与える操作と同時に、或いは、この操作の途中から、バルブ29cを開放して供給口25aから円周樋29dを通じて分離回収容器21内に水(循環水)を供給すると、タグ回収スペース26まで液面(水)が上昇するとともに、円周樋29dから供給された水の一部は、蓋(回収フード)21bの逆漏斗状に形成された部分に沿った流れFgを形成するため、ICタグ1が蓋21bの上部の逆漏斗状部分に停滞することなく、タグ回収スペース26まで上昇する。
【0049】
これとともに、タンク21内の液面WL1は図1(a)に示すレベルから図1(b)に示すレベルへと上昇し、このレベルを維持する。このため、ICタグ1はタグ回収スペース26まで達して、回収口26aから脱水ベルト装置28の脱水ベルト上に水とともに排出され、回収カゴ37に回収される。
したがって、スクリーン23を動かすことなく、循環水タンク内の再利用水の供給のみで、比重が水よりも大きくあり、通常の泡では浮上させることが困難なICタグ1を、マイクロバブル100を用いて容易に浮上させて回収することができ、装置の小型化簡素化を図りながら、紙シートに接着されて使用されるICタグ等の電子タグを紙シートから分離し再利用可能に回収する処理を大量にしかも円滑に行なえるようにすることができる。
【0050】
[電子タグの分離回収システム]
次に、上記実施形態の電子タグの回収装置を適用した電子タグの分離回収システムについて図面に基づいて説明する。
図5は本実施形態に係る電子タグの分離回収システムの全体構成を示す模式的側面図である。図5において、図1と同様な部分には同符号を付す。
まず、本実施形態の電子タグの分離回収システムは、図5に示すように、ICタグ1が台紙(紙シート)2に糊付け(接着)された状態の分離前ICタグ3を液体(浸漬水)に浸しながら搬送する予備処理・搬送部10と、予備処理・搬送部10により水等の液体に浸漬されながら搬送された分離前ICタグ3を、第1実施形態で説明したように構成された、ICタグ1と紙シート2とに分離する分離部及び第1回収部(分離回収装置)20と、分離回収装置20により紙シート2を分離されたICタグ1を整列させて回収する第2回収部(回収完了装置)30と、分離回収装置20によりICタグ1が分離された紙シート2の紙成分を含んだ懸濁液を、紙成分と液体とに固液分離する固液分離装置40とをそなえている。
【0051】
予備処理・搬送部10は、床レベルからタワー状の分離回収装置20の上方まで搬送しうるバケットコンベア11がそなえられている。バケットコンベア11の下部には、上方に開口した投入口11aが設けられ、分離前ICタグ3を束にして投入口11aから投入すると、これらの多数の分離前ICタグ3は、投入口11a下方のバケット11bに収容され、分離回収装置20の上方に位置するバケットコンベア11の上部まで搬送されて、分離回収装置20上部の投入口20aから分離回収装置20内に投入されるようになっている。
【0052】
バケットコンベア11の上部には、分離回収装置20内への投入前に、分離前ICタグ3を予め浸漬する工程が設けられている。つまり、バケットコンベア11の上部には、浸漬水タンク12が設けられており、浸漬水タンク12内の浸漬水が、ポンプ12aによって吸い上げられて、バケットコンベア11の上部に進んできたバケット11b内に上方から供給されるようになっている。
【0053】
なお、バケットコンベア11等の予備処理・搬送部10の操作は、図示しない操作盤を通じて行なうようになっている。
また、分離回収装置20は、図5に示すように、第1実施形態と同様の構成に加えて、分離回収容器21の上層部の外周には、排出口122bから排出された水分及び排出口25bから排出され脱水ベルト装置28の脱水ベルトを通過した水分を受けて、下方のセイボール(水受け)52に排出する排出路129が形成されている。また、容器本体21aの上層部の側面にバルブ127bにより閉鎖しうる排出口122bが追加されている。また、分離回収容器21の底面部に設けられた排出口22aは、排出路129に通じており、バルブ22cにより閉鎖しうるようになっている。
【0054】
次に、回収完了装置30について説明すると、この回収完了装置30は、図5に示すように、紙シート2から分離されたICタグ1を整列させて回収する装置であって、互いに連通するように直列に接続された分散水路部31と整列水路部32とからなる水路30Aと、水路30Aの下流端に接続された樋部(樋状流路)36と、樋部36の下流端の下方に配設された回収容器(タグ回収バスケット)37とをそなえている。
【0055】
分散水路部31は、水路30Aの最上流部に鉛直方向に向けて設けられ、分散水路部31の上端には、ICタグ1を投入する入口部31aが設けられており、分離回収容器21の排出口25bから脱水ベルト装置28の脱水ベルト上に液体とともに排出されたICタグ1は、脱水ベルト装置28により水分を滴下しながら搬送されて、入口部31aから分散水路部31内に投入されるようになっている。
【0056】
水路30Aは、この分散水路部31の入口部31aから整列水路部32の下流端にある管路出口部(樋部入口)36aにかけて形成された側面視が略U字状の管路と樋部36とからなり、入口部31aと管路出口部36aとが大気開放しており、入口部31aは管路出口部36aよりも十分に高位置に設定されている。これにより、分散水路部31内に水を供給することにより、分散水路部31内の水面の高さと管路出口部36aとの水頭差に応じて、水路30A内では、分散水路部31から整列水路部32に進む水流が発生するようになっている。なお、水路30A内への水の供給量は、流量計を参照しながら適量に制御できるようになっている。
【0057】
ここでは、分散水路部31の側面上部に、給水口31bが設けられ、循環水タンク50内の水がマイクロバブル供給装置27のポンプ27aによって加圧され配管53を通じてこの給水口31bから供給されるようになっている。特に、この給水口31bの向きは、円筒状の分散水路部31の内壁に沿って給水されるように設定されており、これにより、分散水路部31内には、下方に向かう旋回流(渦流)Fが形成されるようになっている。分散水路部31に、大量のICタグ1が投入されたとしても、各ICタグ1がこの旋回流によって下降(下方に進行)していく際に、近接するICタグ1,1間に水流が進入し互いに分離するようになるため、多数のICタグ1が互いに絡み合って水路30A内の途中に停滞するような不具合を未然に防止できるようになっている。
【0058】
整列水路部32は、回収容器37に回収されるICタグ1を水流により一定方向に向けるものであって、分散水路部31の下端に、流れ方向に向けて縮径するテーパ部32aを介して接続されており、テーパ部32aの下流端に接続される連絡水路33と、この連絡水路33の下流端に接続される鉛直水路34と、この鉛直水路34の下流端に接続される曲管水路35とから構成される。
【0059】
テーパ部32aは、分散水路部31からの水流を加速する働きをし、ICタグ1を停滞させることなく速やかに整列水路部32に導入する。
また、鉛直水路34は、鉛直上方に向けてICタグ1を流通させるように構成され、これにより、鉛直水路34内を鉛直上方に向けて進行するICタグ1は、水流と自重バランスとによって、その板状の面を鉛直水路34の周面方向のいずれかに向けて、その長手方向を鉛直方向に向けて進むように姿勢を矯正される。
【0060】
なお、連絡水路33は、テーパ部32aの下流端と鉛直水路34の上流端との間にこれらを連絡するように介装されている。
これらの連絡水路33及び鉛直水路34は、いずれも、内部に内筒を有する二重構造部となっており、内筒には、内外を連通する多数の微細穴(図示略)が設けられている。また、内筒の内部流路の圧力よりも内筒の外部流路の圧力の方が、給水圧力が高いため、上記微細穴から流入する壁面水量が付加され微細穴を通じて、外部流路から内部流路に向けて水流が生じるように構成されている。なお、微細穴からの水流速度は内部流路の流速よりも速い方が好ましい。これにより、水流と共に内部を移動するICタグは、内筒の内部流路の周面に接触して停滞するようなこともなく、円滑に移動するようになっている。
【0061】
曲管水路35は、エルボ構造に構成され、鉛直上方に進む水流を水平方向に向けて、この際生じる水流の作用によって、ICタグ1の長手方向が進行方向(水流方向)を向き、ICタグ1の板状面が水平方向を向くように姿勢を矯正される。
樋部36は、このような曲管水路35の下流端に接続されるが、この樋部36は平面状の底面を有し上方が開口している。特に、円管状の曲管水路35の開口部と平面状の底面を有する樋部36との接続部付近は、底面や側面が円筒面から次第に平面になっていくように滑らかに接続されている。なお、この、樋部36の底面及び/又は側面は穴明き構造となっており、曲管水路35からの水分の一部は、ICタグ1を樋部36の先端まで運ぶように進行するが、その他の多くの水分は、穴明き構造を通じて樋部36の底面及び/又は側面から下方のセイボール52に流下するようになっている。
【0062】
なお、樋部36に接続する曲管水路35の出口部分及び樋部36は、水流の方向に対して水平よりも適宜角度だけ下降傾斜させることで、ICタグ1を運ぶ水流が適正になり、ICタグ1が所定の姿勢を保持しながらタグ回収バスケット37に適切に進入しやすくなる。
タグ回収バスケット37には、タグ受け板38がそなえられ、樋部36内を一定の姿勢で進んだICタグ1は、タグ受け板38に当たってタグ回収バスケット37内に落下する。なお、タグ受け板38の角度は調整可能になっており、ICタグ1が所定の姿勢でタグ回収バスケット37内に落下するように調整される。また、図5に示すように、タグ回収バスケット37は、支持部材39に回転可能に支持され、大量のICタグ1を処理する際には、適宜回転移動させながら、タグ回収バスケット37の交換や移動を行なえるようになっている。
【0063】
次に、固液分離装置40について説明すると、固液分離装置40は、セイボール52によって回収された紙成分を含んだ液体(水分)を受けて固液分離処理をするフィルタ41をそなえている。このフィルタ41は、循環タンク50の上部に配設され、紙成分を回収された残りの液体(水分)は、この循環タンク50に流下するようになっている。なお、フィルタ41によって回収された紙成分は紙成分回収容器54に集められる。
【0064】
このように、本実施形態では、循環タンク50内の水をポンプ27a,29aによって分離回収装置(分離回収タンク)20に供給して使用しては、この水を、重力を利用して流下させてフィルタ41で紙片を除去し循環タンク50内に回収し再利用するという液体循環回路が形成されており、溝を無駄なく有効利用しながら、分離回収処理を行なうようになっているのである。
【0065】
次に、本分離回収システムによる紙シート2に糊付け(接着)されたICタグ1の分離回収方法について説明する。
図6に示すように、本実施形態の分離回収方法では、まず、前処理工程が行なわれる。この前処理工程では、分離前ICタグ3を上記水及び酵素が混ざった液体(膨潤用液体)に一定時間浸漬させる。ここでは、予備処理・搬送部10のバケットコンベア11の上部において、分離前ICタグ3を収容したバケット11b内に液体(膨潤用液体)が供給され、ここで、予備的な膨潤が行われる。さらに、分離回収容器21内に水及び糊を分解する酵素を貯留し、分離回収容器21内部の立体型スクリーン23内に分離前ICタグ3を多数(例えば、数百〜数千枚)を一束として投入して、分離前ICタグ3を上記水及び酵素が混ざった液体(膨潤用液体)に一定時間浸漬させることにより、分離前ICタグ3に膨潤用液体を膨潤させて、ICタグ1と台紙2とを剥離しやすい状態にする。
【0066】
なお、膨潤用液体を分離前ICタグ3に浸漬させる時間は、膨潤用液体が台紙2に浸透して酵素が糊(接着剤)に作用するまでの時間を考慮して設定する。また、ここでは、水の温度を酵素が働きやすい温度(例えば、5〜90℃、望ましくは40〜60℃)にし、水に加える酵素の種類は、ICタグ1と台紙2との接着に用いている糊(接着剤)の種類によって決める。もちろん、予備処理・搬送部10の膨潤のみで十分であれば、分離回収容器21内での膨潤は省略できる。
【0067】
前処理工程が終わると、次いで剥離工程が行なわれる。剥離工程では、前処理工程が行なわれた状態から、攪拌装置24を起動して分離回収容器21内に貯留された液体(浸漬用液体)を攪拌して旋回流を発生させ、この旋回流によってICタグ1と台紙2との糊付け面(接着面)に外力を作用させる。その結果、ICタグ1を台紙2から剥離する。
そして、分離回収容器21内のスクリーン23内において、剥離工程でICタグ1が剥離された台紙2に対して、上記旋回流がさらに作用することにより、台紙2は分解又は破砕されて台紙2の紙成分が液体中に分散される破砕工程が行われる。
【0068】
さらに、上記旋回流によって、上記の紙成分が分散された液体(以下、懸濁液という)のみが、スクリーン23を通過し、分離回収容器21に設けられた排出口予備処理・搬送部10のから分離回収容器21の外部へ排出されることにより、立体型スクリーン23内のICタグ1が他の物質(即ち、懸濁液)と分別される分別工程が行なわれる。
このように、本実施形態の分離回収装置における分離回収方法では、立体型スクリーン23に収容された分離前ICタグ3毎に剥離工程,破砕工程,分別工程が順に行なわれる。もちろん、分離回収容器21内では、ある時点で、ある分離前ICタグ3は分別工程まで進んでも、他の分離前ICタグ3は剥離工程中であったり破砕工程中であったりすることもあり、上記各工程は、各分離前ICタグ3毎に進行するものである。
【0069】
そして、分別工程が終わると、洗浄工程が行なわれる。この洗浄工程では、上記旋回流によって、スクリーン23内において、台紙2から剥離されたICタグ1に付着したままの紙や糊をICタグ1から除去する。なお、この洗浄工程は、前述の剥離工程,破砕工程,分別工程と同様に、分離前ICタグ3毎に順に行なってもよいし、立体型スクリーン23内に収納された全ての分離前ICタグ3が分別工程を完了してから行なうようにしてもよい。
【0070】
なお、剥離工程,破砕工程,分別工程さらには洗浄工程において、攪拌装置24(インペラ24a)を、正転,停止,逆転,停止を1サイクルとして、このサイクルを連続的に行なうように回転制御することが好ましい。
これにより、正転運転期間には、分離回収容器21内にランダムな正転方向の旋回流(図3参照)が発生し(第1の作動態様)、停止期間で、分離回収容器21内の正転方向の旋回流がある程度弱まった後に、逆転運転期間で、分離回収容器21内に逆転方向の旋回流(図4参照)が発生する(第2の作動態様)。こうして、分離回収容器21内において旋回流の水流パターンが頻繁に変化されるため、スクリーン23内において、ICタグ及び紙は停滞することなく常に流動する。
【0071】
洗浄工程での処理が終わると、ICタグ1は回収工程に進み、分離回収装置20及び回収完了装置30によって回収される。
回収工程では、まず、バルブ22c,127bにより排出口22a,122bを閉鎖し、蓋21bにより容器本体21aの上部を密封した状態で、分離回収容器21内に水(循環水)を供給する。この循環水の供給は、マイクロバブル供給装置27による分離回収容器21の容器本体21a内の下部からのマイクロバブル水の供給と、水供給装置29円周樋29d上への水供給とで行なう。また、これとともに、インペレ24aが作動して容器本体21a内に鉛直方向軸線回りの微弱な旋回流を発生させる。
【0072】
マイクロバブル水の供給により、ICタグ1に多数のマイクロバブルが付着して、浮力を生じることになり、また、鉛直方向軸線回りの微弱な旋回流と、円周樋29dから供給される水によって生じる分離回収容器21の上部内壁に沿った水流とにより、各ICタグ1は分離回収容器21の上部内壁に付着したり滞留したりすることなく、円滑に分離回収容器21内を浮上する。
【0073】
同時に、水流とタグ回収スペース26内の上部まで液面(水)が上昇して、ICタグ1は液面付近のタグ回収スペース26内に浮上する。これにより、タグ回収スペース26内のICタグ1が水とともに排出口25bから脱水ベルト装置28の脱水ベルト上に排水される。
そして、ICタグ1は脱水ベルト装置28の脱水ベルトから、回収完了装置30の入口部31a内に投入される。ICタグ1が脱水ベルト装置28により搬送される際には、付着した水分(紙成分を僅かに含むもの)は下方のセイポール52に流下する。
【0074】
投入されたICタグ1は、分散水路部31内で、旋回流を受けながら下方に進行する。この際の旋回流により、近接するICタグ1,1間に水流が進入し互いに分離するようになるため、多数のICタグ1が互いに絡み合って水路30内の途中に停滞するような不具合を未然に防止できる。
そして、ICタグ1は、テーパ部32aで加速されながら整列水路部32に進んで、鉛直水路34で、鉛直上方に向けて進む。鉛直水路34内を鉛直上方に向けて進行するICタグ1は、水流と自重バランスとによって、その板状の面を鉛直水路34の周面方向のいずれかに向けて、その長手方向を鉛直方向に向けて進むように姿勢を矯正される。
【0075】
また、連絡水路33及び鉛直水路34内では、二重構造部の内筒に形成された多数の微細穴を通じて外部流路から内部流路に向けて生じる水流により、水流と共に内部を移動するICタグは、流路の周面に接触して停滞するようなこともなく、円滑に移動する。
ICタグ1は、曲管水路35に進むと、鉛直上方に進む水流を水平方向に向ける際に生じる水流の作用によって、ICタグ1の長手方向が進行方向(水流方向)を向き、ICタグ1の板状面が水平方向を向くように姿勢を矯正される。
【0076】
また、このような回収装置に投入されるICタグ1に接着剤や紙成分などの付着物が残っている場合、ICタグ1が水路30A内で水流によって運ばれる際の水流によってこれらの付着物も除去される効果がある。
さらに、ICタグ1は樋部36に進むが、この樋部36は、平面状の底面を有しているので、ICタグ1は水平方向の姿勢を保って樋部36からタグ回収バスケット37に向けて進む。この際、曲管水路35からの水分の一部は、ICタグ1を樋部36の先端まで運ぶように進行するが、その他の多くの水分は、樋部36の底面および/又は側面の穴明き構造を通じて下方のセイボール52に流下する。
【0077】
さらに、樋部36内を一定の姿勢で進んだICタグ1は、タグ受け板38に当たってタグ回収バスケット37内に所要の姿勢で落下する。
したがって、ICタグ1は、自動的に整列された状態で移動して、タグ回収バスケット37内に回収されるので、タグ回収バスケット37内のICタグ1は、何れも一定の姿勢でタグ回収バスケット37内に積載されていく。
【0078】
このため、回収されたICタグ1は乾燥されて再利用されるが、この際のICタグ1の処理が容易になる。
一方、排出口22a,122bから排出された懸濁液は固液分離工程での処理に回される。この固液分離工程では、固液分離装置40において、セイボール52によって回収された紙成分を含んだ液体(水分)をフィルタ41によって紙成分と残りの水分とに固液分離処理をする。固液分離処理で得た上記水分は、循環タンク50に貯留され、再利用されるまた、フィルタ41により回収された懸濁液中の紙成分は、回収後再利用される。
【0079】
このように、本実施形態の紙シートから分離された回収装置及び回収方法によれば、紙シート2に接着されて使用されたICタグ1を、紙シート2から分離した後、マイクロバブルを用いて浮上させて、水路30A内に流通させながら、整列水路部32によって一定方向に整列させて、順に回収容器に回収するので、大量のICタグ1を水路内に投入しても、これらを自動的に整列させて回収することができ、大量のICタグ1を回収した後、容易に処理することができる。
【0080】
また、本実施形態の紙シートに接着された分離回収システム及び分離回収方法によれば、紙シートに接着されて使用された電子タグの再利用のための処理を容易に行なえるようになり、資源の有効利用に寄与しうる。
この場合、該分離装置を、液体が貯留される分離容器と、この分離容器内で電子タグを接着された紙シートを収容しフィルタとして機能する立体型スクリーンと、分離容器内の液体を攪拌して分離容器内に液体の水流を発生させる攪拌装置と、攪拌装置による該水流によって、電子タグが剥離され破砕された紙シートの紙成分のうち立体型スクリーンを通過した紙成分を該分離容器の外部へ排出して分離するための排出口とをそなえることで、紙シートに接着された電子タグの紙シートからの分離を容易にし、更に大量の電子タグの処理を容易、かつ効率的に行なえ、確実にかかる電子タグの再利用のための処理を容易に行なえるようになり、資源の有効利用に寄与しうる。
【0081】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態に示すマイクロバブル生成装置は、液体と空気とを吸引してこれらを加圧混合してマイクロバブル水を生成するものであるが、水中(液体中)に、マイクロバブルを供給できれば良く、マイクロバブル自体を水中で直接生成できるものがあればもちろん適用することができる。
また、上述の実施形態に示す分離回収システムは、複数枚の分離前ICタグを一束としたバッチ処理によって処理するように構成している。バッチ処理を行なうことで、大量のICタグをより効率的に処理しているが、回収装置は、連続的に処理するようにしてもよい。
【0082】
あるいは、電子タグを紙シートに接着する接着剤に界面活性剤を添加させるか或いは予め界面活性剤を添加した接着剤を用いて電子タグを紙シートに接着すれば、液体中で電子タグから紙シートを剥離する際等に接着剤の中の界面活性剤が液体中に溶け込むため、回収工程で改めて界面活性剤を添加しなくても、この液体中に溶け込んだ界面活性剤が、マイクロバブルの上昇速度を抑えその消滅を抑制するので、上記のように電子タグの浮上を確実に行なうことができるようになる。
【0083】
また、上述の実施形態では、電子タグの1例であるICタグ1を、当該紙シート2の表面に接着されたものを例にあげて説明したが、もちろん、電子タグ1を紙シート2の裏面に接着したものを対象としてもよく、さらには、電子タグ1の表面、裏面それぞれに紙シートが接着され、紙シートの間に電子タグ1が挟まれたような形態のものを対象としてもよい。
【0084】
さらに、本発明は、ICタグ等の電子タグの浮上に限らず、液体中の沈下物を浮上させて回収するために広く適用しうる。つまり、液体中にマイクロバブルを供給し、マイクロバブルを該沈下物に付着させて、マイクロバブルの浮力を利用して該沈下物を浮上させ、液体の液面近傍で浮上した沈下物を回収するという基本構成を利用しうる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明によれば、水の流れを用いるなどして、電子タグが接着されている紙シートから電子タグを効率良く分離回収することができ、電子タグを紙シートに接着して用いるシステムにおいて、電子タグを再利用する場合に広く適用できる。
特に、本発明は、例えば、物流等の分野においては、電子タグを伝票(紙シート)に接着して用いる場合があるが、このような場合に、電子タグを再使用するために用いて好適であり、その有用性は極めて高いものと考えられる。
【0086】
また、本発明のマイクロバブルの浮力を利用した浮上技術は、電子タグの浮上に限らず、液体中の沈下物を浮上させて回収するために広く適用しうる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態にかかる回収装置の構成を示す模式的側面図であって、(a)は電子タグ(ICタグ)の浮上前の状態を示し、(b)は電子タグ(ICタグ)を浮上させた状態を示している。
【図2】本発明の一実施形態における分離前ICタグを模式的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態としての分離装置の攪拌装置により分離容器内に発生する正転方向の旋回流を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態としての分離装置の攪拌装置により分離容器内に発生する逆転方向の旋回流を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる分離回収システムの全体構成を示す模式的側面図である。
【図6】本発明の各実施形態にかかる分離回収方法を示す処理フロー図である。
【符号の説明】
【0088】
1 ICタグ
2 台紙(紙シート)
3 分離前ICタグ
10 予備処理・搬送部
11 バケットコンベア
11a 投入口
11b バケット
12 浸漬水タンク
12a ポンプ
20 分離部及び第1回収部(分離回収装置)
20a 投入口
21 分離回収容器
21a 容器本体
21b 蓋(回収フード)
21c 架台
22a,122b 排出口
22c,127b バルブ
23 立体型スクリーン
24 旋回流生成手段としての攪拌装置
24a インペラ
24b シャフト
24c パッキン
24d 駆動力伝達部
25a 配管29bの出口(給水口)
25b 排出口
26 タグ回収用配管(タグ回収スペース)
26a タグ回収用配管26の先端開口部(回収口)
26b ガイド板
27 マイクロバブル供給装置(マイクロバブル供給手段)
27a 気液二相ポンプ(P2)
27b 配管
27c 吸気管
27e 浄化フィルタ
27d,27f バルブ
27g 配管27bの出口(供給口)
28 脱水ベルト装置
29 水供給装置(液体供給手段)
29a 水吸引ポンプ(P1)
29b 配管
29c バルブ
29d 樋(円周樋)
29e 浄化フィルタ
30 第2回収部(回収完了装置)
30A 水路
31 分散水路部
31a 入口部
31b 給水口
32 整列水路部
32a テーパ部
32b 出口部
33 連絡水路
33a,34a 管路
33b,34b 内筒
33i,34i 内部流路
33o,34o 外部流路
34 鉛直水路
35 曲管水路
36 樋部(樋状流路)
36a 管路出口部(樋部入口)
36b 樋部出口
37 回収容器(タグ回収バスケット,回収カゴ)
38 タグ受け板
40 液分離装置
41 フィルタ
42 フィルタ
50 循環水タンク
52 セイボール(水受け)
53 配管
54 紙成分回収容器
55 回収パン
55a 回収流路
55b フィルタ
100 マイクロバブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙シートに接着されて使用された電子タグを液体中で前記紙シートから分離して回収する電子タグの回収装置であって、
前記紙シートから剥離された前記電子タグ、及び前記紙シート又は前記紙シートが破砕されて作られた紙片を含んだ前記液体を貯留するタンクと、
前記タンク内の底部又は下部の前記液体中にマイクロバブルを供給するマイクロバブル供給手段と、
前記タンクの上部に設けられ、前記液体中で前記マイクロバブルを受けて浮上した前記電子タグを回収する回収部とがそなえられている
ことを特徴とする、電子タグの回収装置。
【請求項2】
前記液体は水を主体とし、前記液体には前記マイクロバブルの消滅を抑制する添加剤が添加されている
ことを特徴とする、請求項1記載の電子タグの回収装置。
【請求項3】
前記添加剤は界面活性剤である
ことを特徴とする、請求項2記載の電子タグの回収装置。
【請求項4】
前記タンク内の前記液体に鉛直軸線回りの旋回流を生成させる旋回流生成手段がそなえられている
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子タグの回収装置。
【請求項5】
前記タンクは円筒状又は略円筒状に形成され、
前記タンク内に、前記電子タグよりも小さい網目粗さに構成されるとともに、円筒状又は略円筒状に形成されたスクリーンが、前記タンクの底面及び側面から離隔して備えられ、
前記旋回流生成手段は、前記タンク内の前記スクリーンよりも下方に設けられたインペラである
ことを特徴とする、請求項4記載の電子タグの回収装置。
【請求項6】
前記タンクの上部に、前記タンク内の前記スクリーンの外周に沿って液体を流入して供給する液体供給手段をそなえるとともに、
前記タンク内に配設されて前記前記スクリーンの上部を覆うとともに上部が前記回収部に連通するように配設されて、前記液体供給手段から供給された液体を前記回収部へ案内する回収手段をそなえている
ことを特徴とする、請求項5記載の電子タグの回収装置。
【請求項7】
前記液体は水を主体とする液体であって、
前記マイクロバブル供給手段は、液体と空気とを吸引してこれらを加圧混合して前記マイクロバブルを含んだマイクロバブル含有液体を生成するマイクロバブル生成装置をそなえ、前記タンク内の底部又は下部の前記液体中に前記マイクロバブル含有液体を供給する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子タグの回収装置。
【請求項8】
前記タンク内の前記液体は、前記タンク外に排出された後にフィルタで紙片を除去されて再び前記タンク内に供給され再利用するように液体循環回路が形成され、
前記マイクロバブル生成装置は、前記液体循環回路内にそなえられている
ことを特徴とする、請求項7記載の電子タグの回収装置。
【請求項9】
紙シートに接着されて使用された電子タグを前記紙シートから分離して整列させて回収する電子タグの分離回収システムであって、
前記電子タグを前記紙シートから剥離させて分離する分離装置と、
請求項1〜8のいずれか1項に記載された回収装置とをそなえた
ことを特徴とする、電子タグの分離回収システム。
【請求項10】
紙シートに接着されて使用された電子タグを液体中で前記紙シートから分離して回収する回収方法であって、
前記紙シートから剥離された前記電子タグ、及び前記紙シート又は前記紙シートが破砕されて作られた紙片を含んだ前記液体を貯留するタンク内の底部又は下部の前記液体中にマイクロバブルを供給するとともに、前記タンク内の前記液体に鉛直軸線回りの旋回流を生成させるマイクロバブル供給工程と、
前記タンク内の液面を上昇させて、前記マイクロバブル供給工程でマイクロバブルを受けるとともに前記旋回流を受けながら前記タンクの上部内壁に沿って上方に浮上した前記電子タグを回収する回収工程とがそなえられている
ことを特徴とする、電子タグの回収方法。
【請求項11】
紙シートに接着されて使用された電子タグを前記紙シートから分離して整列させて回収する紙シートに接着された電子タグの分離回収方法であって、
前記紙シートと前記電子タグとを剥離させる剥離工程と、
前記剥離工程により前記紙シートを剥離された前記電子タグを、前記紙シート又は前記紙シートの紙片と分離する分離工程と、
タンク内の液体中で、前記分離工程で前記紙シート又は前記紙シートの紙片と分離された前記電子タグにマイクロバブルを供給するマイクロバブル供給工程と、
前記タンクの上部内壁に沿って上方に浮上した前記電子タグを回収する回収工程とがそなえられている
ことを特徴とする、電子タグの分離回収方法。
【請求項12】
液体中の沈下物を浮上させて回収する装置であって、
前記容器内の底部又は下部の前記液体中にマイクロバブルを供給するマイクロバブル供給手段と、
前記容器の上部に設けられ、浮上した前記沈下物を回収する回収手段とをそなえている
ことを特徴とする、沈下物の浮上回収装置。
【請求項13】
液体中の沈下物を浮上させて回収する方法であって、
前記液体中にマイクロバブルを供給し、
前記マイクロバブルを前記沈下物に付着させて、
前記マイクロバブルの浮力を利用して前記沈下物を浮上させ、
前記液体の液面近傍で浮上した前記沈下物を回収する
ことを特徴とする、沈下物の浮上回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−231193(P2006−231193A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49100(P2005−49100)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(594095028)
【出願人】(593022076)佐川印刷株式会社 (18)
【Fターム(参考)】