電子タグ装置
【課題】管理対象の物品の傾きの影響や、無線信号に生じるマルチパスの影響や、管理対象の物品の高さの影響を低減し、安定した通信に役立つ電子タグ装置を提供する。
【解決手段】自局に事前に割り当てられた個体識別情報を保持すると共に前記個体識別情報を含む無線信号を送信する機能を備える少なくとも1つの電子タグ12,13を収納可能な収納部10a,10bが形成された電子タグ装置10であって、ランドセルなどの物品によって支持される軸もしくは点である支点11が、重心14からずれた位置に形成され、前記支点11を中心として揺動自在な支持構造を有し、前記収納部10a,10bに収納される電子タグ12,13が前記物品に対して揺動自在になるように構成した。
【解決手段】自局に事前に割り当てられた個体識別情報を保持すると共に前記個体識別情報を含む無線信号を送信する機能を備える少なくとも1つの電子タグ12,13を収納可能な収納部10a,10bが形成された電子タグ装置10であって、ランドセルなどの物品によって支持される軸もしくは点である支点11が、重心14からずれた位置に形成され、前記支点11を中心として揺動自在な支持構造を有し、前記収納部10a,10bに収納される電子タグ12,13が前記物品に対して揺動自在になるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自局に事前に割り当てられた個体識別情報を保持すると共に前記個体識別情報を含む無線信号を送信する機能を備える少なくとも1つの電子タグを収納した電子タグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、様々な商品などの物品を個別に管理するために、あるいは人間や動物の通過などを個別に管理する目的に、電子タグが用いられる。このような電子タグの代表的なもののひとつに、電磁波を利用して個体識別情報の通信を行うタグがあり、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれる。RFIDは、個別に割り当てられた個体識別情報を保持すると共に前記個体識別情報を含む無線信号を送信する機能を備えている。
【0003】
また、RFIDの種類としては、電源としてたとえば電池を内蔵しているアクティブタグと、電源として電池等が不要なパッシブタグとがある。パッシブタグは、パッシブタグを読み取る装置であるリーダまたはリーダライタ(以下では、単にリーダライタという)から送信される電磁波の磁界エネルギーを電力に変換して電子タグ自身が動作するために必要な電源としての電力を得るものである。
【0004】
また、パッシブタグ型のRFIDが無線通信に使用する電磁波の偏波については、一般に円偏波又は直線偏波の両方が用いられている。円偏波を用いる場合、図4に示すように円偏波方式のRFIDアンテナ100aから送信された電磁波の電界および磁界の向きが円を描くように回転しながら伝播していく。そのため、電子タグのアンテナ101の向きが偏波の回転方向に変化した場合でも、問題なく通信を行うことができる。しかし、円偏波では電磁波伝播距離に対する電磁波の減衰の程度が大きい。従って、パッシブタグ型のRFIDは、比較的近距離の通信にその用途が限定される。
【0005】
また、直線偏波の場合には、図5に示すように直線偏波方式のRFIDアンテナ100bから送信された電磁波は電磁波の電界および磁界の向きを変えないで伝播する。直線偏波は、距離に対する電磁波の減衰の程度が小さく、円偏波と比較べ伝播距離の大きい通信も可能である。しかしながら直線偏波の場合には、最適な状態で通信できるためには、RFIDアンテナ100bの向きと電子タグのアンテナ101の向きとが同一になるように配置する必要がある。
【0006】
なお、本発明と関連のある従来技術が例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−86394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、図5のような直線偏波を使用して通信する場合には、電子タグのアンテナの向きと、通信相手局であるリーダライタのアンテナの向きとを一致させておかないと通信性能が低下し、通信が困難になる。しかし、現実に電子タグが装着された管理対象となる各種物品や人、例えば様々な商品や学童が使用するランドセルなどは、移動の際に向きが一定であるとは限らない。従って、物品に傾きが生じて電子タグが傾くと、送信側と受信側とのアンテナ偏波面の不一致により通信性能が低下し、電子タグの情報を読み取れない場合が発生する。
【0008】
また、実際の使用環境においては、例えば図6に示すように電子タグの周辺に建物の壁面など様々な反射物102a,102bが存在するので、リーダライタのアンテナ100と電子タグのアンテナ101との間を伝送される無線信号は複数の伝播経路P1,P2を通って伝播する。そのため、それぞれの伝播経路を伝播する電磁波が干渉し合う、いわゆるマルチパスの影響が現れる。具体的には、図7に示すように、リーダライタの送信アンテナからの距離に応じた磁界強度分布に、伝播経路P1,P2のマルチパスにより、局部的な減衰、変動が現れる。すなわち、各ヌル点(受信電磁界強度たとえば磁界強度が所定の受信限界閾値を下回るx,y,z方向のの特定の範囲内)では磁界強度が著しく低下する。従って、ヌル点の範囲内にたとえばパッシブタグ型の電子タグが存在する場合には、電子タグがそれ自身の動作に必要とされる電力を得ることができず、通信もできなくなる。
【0009】
また、電子タグとリーダライタとを用いて物品などを管理する場合には、電子タグとリーダライタとが同程度の高さの位置、すなわち同じ水平面内に存在することを想定する場合も多い。しかし、実際の使用環境においては管理対象の物品などは必要に応じて位置が変化するので、例えば図8に示すように電子タグ(パッシブタグ12及びアクティブタグ13)とリーダライタのパッシブタグアンテナ100cとアクティブタグアンテナ100dとが高さの大きく異なる位置に配置される場合も想定される。
【0010】
電子タグとリーダライタとの高さの違いの影響は、図9に示すように磁界強度の変化として現れる。すなわち、高さの違いが大きくなるのに伴って磁界強度が低下する。特に、パッシブタグ型の電子タグの場合には、アクティブタグに比べて磁界強度の低下が著しく現れる。一般的に、パッシブタグに使用される電磁波の周波数(例えば900MHz)は、アクティブタグに使用される電磁波の周波数(例えば400MHz)に比べ高いため、高さ(距離)が大きくなるほどパッシブタグの電磁波はアクティブタグの電磁波より減衰し易いことが一要因である。従って、特にパッシブタグ型の電子タグを使用する場合には、電子タグが装着される物品などが低い位置にあると通信ができなくなる可能性が高い。
【0011】
本発明は、管理対象の物品の傾きの影響や、無線信号に生じるマルチパスの影響や、管理対象の物品の高さの影響を低減し、安定した通信に役立つ電子タグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、事前に割り当てられた個体識別情報を記憶すると共に、前記個体識別情報を含む無線信号を送信する少なくとも1つの電子タグを備える電子タグ装置であって、当該電子タグ装置の重心から偏移した位置に、外部の部材によって支持される支点を有し、前記支点よりも前記重心を下方としたとき前記電子タグは前記重心よりも上方に配置されており、前記支点を回転中心として揺動可能である。
【0013】
本発明では、電子タグ装置がその重心からずれた位置に形成された支点を中心として揺動自在な状態で管理対象の物品に支持される。従って、仮に物品が静止状態であれば、電子タグ装置の重心位置は常に支点の下方に位置することになるので、物品が基準状態に対して傾いていたとしても、水平面に対する電子タグ装置の向きが一定に保持される。従って、電子タグ収納ケースの収納部に収納される電子タグの水平面に対する向きも一定になる。そのため、物品の傾きとは無関係にリーダライタのアンテナの偏波面と電子タグのアンテナの偏波面とを一致させることができ、良好な通信状態を維持できる。
【0014】
また、電子タグ読み取り機能を有する外部の装置と、複数の伝送経路を経由する前記無線信号の相互干渉によって生ずる、通信が不可能な前記伝送経路上の距離範囲を越える範囲に渡って、前記電子タグが揺動可能な、前記支点と電子タグとの距離を有するように構成することができる。
【0015】
上述のように、マルチパスの影響によって生じるヌル点の範囲内に電子タグが存在する場合には、磁界強度が著しく低下するため通信が困難になる。ここでは、電子タグ装置が装着される部材等に移動などによって加速度が加わる状態を想定している。この加速度の影響によって、電子タグ収納ケース及び収納された電子タグは前記支点を中心として揺動することになる。この揺動によって電子タグが移動する範囲が、本発明ではヌル点の範囲に相当する距離(△x)を越えるように定めてある。従って、ヌル点の範囲内に電子タグが存在する場合であっても、加速度が加わると揺動が生じ、電子タグが一時的にヌル点の範囲外に出るので、そのタイミングで通信を行うことが可能になる。
【0016】
また、少なくとも2つの電子タグを備え、第1の電子タグと当該第1の電子タグよりも重量の大きな第2の電子タグとが前記支点よりも前記重心を下方としたとき、前記第1の電子タグが前記第2の電子タグよりも上方に配置されるように、電子タグ装置は構成され得る。
【0017】
すなわち、ここでは1つの電子タグ収納ケースに種類の異なる複数の電子タグを収納する場合を想定している。例えば、ある種の管理システムでは、1つの物品を管理するために通信可能範囲が狭い(距離が短い)第1の電子タグと、通信可能範囲が比較的広い第2の電子タグとを同時に必要とする。そこで、上述したように、重量の軽い第1の電子タグを上方に配置し、重量の大きい第2の電子タグを錘として下方に配置する。
【0018】
また、前記支点の位置を前記電子タグと前記重心との間に配置することにより、電子タグが支点よりも上方に配置されるので、高さの影響による通信能力の低下を低減できる。
【0019】
また、前記支点の位置を前記第1の電子タグと第2の電子タグとの間に配置することにより、前記第1の電子タグが支点及び重心よりも上方に配置されるので、高さの影響による第1の電子タグの通信能力の低下を低減できる。
【0020】
また、前記第1の電子タグは該第1の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段との接続され、
前記第2の電子タグは該第2の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段と接続されていない構成にすることができる前記第1の電子タグは該第1の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段との接続され、
前記第2の電子タグは該第2の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段と接続されていない電子タグ装置。。すなわち、高さの影響を受けやすいパッシブタグをアクティブタグよりも上方に配置しているので、高さの影響によるパッシブタグの通信能力の低下を低減できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、現実的な使用状態において、管理対象の物品の傾きの影響や、無線信号に生じるマルチパスの影響や、管理対象の物品の高さの影響を低減することができ、様々な条件において安定した通信が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
本発明の電子タグ装置に関する1つの実施の形態について、図1〜図3並びに図10を参照しながら以下に説明する。
【0023】
図1は第1の実施の形態の電子タグ装置の外観を示す斜視図である。図2は図1に示す電子タグ装置の静止状態を示す正面図である。図3は図1に示す電子タグ装置の揺動状態と磁界強度分布との関係を示す模式図である。図10(a)は第1の実施の形態における電子タグの取り付け構造を示す斜視図であり、図10(b)は図10(a)に示す電子タグ装置の正面図であり、図10(c)は図10(b)に示す電子タグ装置のI−I線にそった断面図である。
【0024】
電子タグとリーダライタとを用いることにより、様々な物品を個別に管理することができるが、ここでは監視対象の1つの具体例として、学校に通う学童が登下校する際の通過を監視する用途を想定している。実際には、登下校する小学生などの学童は常にランドセルを所持している場合が多いので、それぞれのランドセルに電子タグを装着することにより、学童の通過を監視することができる。勿論、ランドセル以外の物品に電子タグを装着することも考えられる。
【0025】
ランドセルなどの物品に実際に電子タグを装着するために、この例では図1に示す電子タグ装置10を用いる。図1、図10に示すように、この電子タグ装置10の本体を構成する電子タグ収納ケース10cは矩形に形成され、薄い板状に形成されている。電子タグ収納ケース10cは、例えばプラスチックのような電気絶縁性の材料で構成される。
【0026】
電子タグ装置10の中央付近、すなわち電子タグ収納ケース10cの中央付近には、支点11が設けられている。この支点11は、電子タグ装置10自体を支持する部分であり、具体例として電子タグ収納ケース10cをその厚み方向に貫通する貫通孔とするものである。この電子タグ装置10をランドセルのような物品に装着する場合には、この物品に固定した土台にピンを設け、このピンが電子タグ装置10の支点11を貫通するように電子タグ装置10を装着すればよい。但し、支点11に前記ピンが挿入された状態で、電子タグ装置10が支点11を中心として揺動自在になるように支点11の径には余裕を持たせる必要がある。なお、前記土台及びピンについては、通信に影響を与えないように、プラスチックのような電気絶縁性の材料で構成するのが望ましい。もちろん、電子タグ装置を揺動自在に取り付ける部材は、土台とピンの組み合わせの如き部材に限られず、電子タグ装置がその支点を中心として揺動可能な、任意の部材上に電子タグ装置を取り付けることができる。
【0027】
図1、図10に示すように、電子タグ装置10の本体を構成する電子タグ収納ケース10cには二つの収納部10a及び収納部10bが異なる位置に形成されている。収納部10a及び収納部10bについては、具体的には表面に形成した凹部のようにタグを保持できるものであればよい。また、この形態では支点11の上側に収納部10aが形成され、支点11の下側に収納部10bが形成されている。つまり、支点11は収納部10aと収納部10bとの間(後述するパッシブタグとアクティブタグの間)に配置されている。
【0028】
電子タグ収納ケース10cの収納部10aにはパッシブタグ(第1の電子タグ)12が装着され、収納部10bにはアクティブタグ(第2の電子タグ)13が装着される。パッシブタグ12、アクティブタグ13は、いわゆる「電子タグ」より構成され、事前に割り当てられた個体識別情報を保持すると共に、この個体識別情報を含む無線信号を少なくとも送信する機能を有するものである。この個体識別情報により、リーダライタは、当該電子タグが添付された物品、個人等を特定することができる。
【0029】
パッシブタグ12は外部から到来する磁界のエネルギーを電気エネルギーに変換して必要な電力を得る電子タグであり、電源として電池などは接続していない。一方、アクティブタグ13はそれ自身が動作するのに必要な電力を得るために電源としてたとえば電池を内蔵し、電池と接続している電子タグである。電池の有無などの構成上の違いにより、アクティブタグ13はパッシブタグ12に比べて重量が大きくなっている。そこで、この形態ではアクティブタグ13を錘としても利用している。
【0030】
アクティブタグ13の重量が大きいので、パッシブタグ12及びアクティブタグ13を装着した状態での電子タグ装置10の重心14は、図1に示す標準状態の向きにおいて、支点11の鉛直方向下方に位置している。つまり、重量のバランス関係により、支点11の下方に重心14が位置する状態が標準状態の向きになる。但し、外部から加速度が加わると、重心14が支点11からずれた位置にあるので、電子タグ装置10は支点11を中心として(図1の点線周りに)矢印A1方向及びその逆方向A2に揺動することになる。
【0031】
なお、一般的な用途においては1つの物品に複数の電子タグを装着する必要はないが、例えば学童の登下校時の通過を監視するような場合には、リーダライタからの距離が比較的狭い範囲内でのみ動作するパッシブタグ12と、比較的広い範囲でも動作するアクティブタグ13との両方が同時に必要とされる場合もあるので、図1に示す電子タグ装置10には両者を装着してある。特に登下校時の学童の画像を通学路上に設置したIPカメラ等により撮影するような場合、アクティブタグ13のみの検知に基づき撮影を行なうと、その広い通信可能範囲のせいで、的確に学童を撮影できない可能性がある。そこで、通信可能範囲がより狭いパッシブタグ12を併用し、パッシブタグ12による検知をIPカメラによる撮影のトリガとして用いることにより、的確に学童を撮影する可能性を高くできる。
【0032】
電子タグ装置10を装着した物品が移動しない場合のように、電子タグ装置10に加速度が加わらない状態では、仮に物品であるランドセル自体が傾いていたとしても、電子タグ装置10の向きは図1に示すような標準状態の向きで静止したまま保持される。この状態では、パッシブタグ12及びアクティブタグ13は例えば図1に示すようにそれぞれ予め定めた方向(この例では水平方向)を向く。
【0033】
従って、電子タグから情報を読み取るために設けられるリーダライタのアンテナと、パッシブタグ12及びアクティブタグ13のアンテナとの偏波面の向きを合わせるのは容易である。このため、直線偏波を利用することができ、パッシブタグ12についても通信可能な距離を大きくすることができる。
【0034】
また、電子タグ装置10に加速度が加わらない状態では、図1及び図2に示すような標準状態の向きで静止するので、アクティブタグ13が配置された位置の高さh2に比べて、パッシブタグ12が配置された位置の高さh1は相対的に高くなる。
【0035】
上述したように、一般的に、パッシブタグに使用される電磁波の周波数(例えば900MHz)は、アクティブタグに使用される電磁波の周波数(例えば400MHz)に比べ高いため、高さ(距離)が大きくなるほどパッシブタグの電磁波はアクティブタグの電磁波より減衰し易い。従って、図9に示すように、特にパッシブタグ12の場合には、高さの影響による磁界強度の低下が著しく、磁界強度が閾値以下になると動作しなくなるので、高い位置に配置するのが望ましい。一方、アクティブタグ13は高さの影響を受けにくいので、下方に配置しても性能が劣化しにくい。従って、図2に示すように標準状態でパッシブタグ12の高さh1がアクティブタグ13の高さh2よりも大きくなるように配置することにより、高さの影響による通信能力の劣化を低減できる。なお、図8に示すように、リーダライタのパッシブタグアンテナ100cとアクティブタグアンテナ100dについては、様々な物品の通常の高さに比べてより高い位置に設置することを想定している。
【0036】
一方、学童がランドセルを背負って登下校する際には、歩行時の人体の動きの変化に伴って電子タグ装置10に周期的に加速度が加わることになる。加速度が加わると、電子タグ装置10は支点11を中心として揺動する。この揺動によって、電子タグ装置10に装着されているパッシブタグ12及びアクティブタグ13の位置も図3に示すように水平方向に対して移動する。
【0037】
一般的に道路などの周囲には、図6に示すように様々な建物の如き反射物102a,102bが存在するので、実際に電子タグ装置10が使用される環境では、リーダライタと電子タグとの間の伝送される無線信号は複数の伝播経路P1,P2を通って伝播する。そのため、それぞれの伝播経路を伝播する電磁波が干渉し合う、マルチパスの影響が現れる。この影響により、図7に示すように、リーダライタの送信アンテナ100からの距離に応じた磁界強度分布に、局部的な減衰、変動を示すヌル点が形成される。すなわち、リーダライタからの距離がヌル点に相当する位置に電子タグが存在する場合には、電子タグに届く磁界強度が著しく低下し、パッシブタグ12は動作不可能になる。
【0038】
ヌル点の範囲(図3中の△x0)は、局部的な比較的小さい範囲だけに形成されるので、この範囲の外に電子タグが出れば通信は可能になる。図1に示す電子タグ装置10においては、電子タグが装着された管理対象の物品などの動きにより支点11に加わる加速度によって電子タグ装置10が揺動するように構成している。図3に示すパッシブタグ12又はアクティブタグ13の、アンテナ部(図示せず)の電磁界強度の中心が移動する距離(△x1)は、外部から加わる加速度により変化する。ここで、△x1が△x0よりも大きくなるように各部の寸法や位置関係(特に支点11とパッシブタグ12又はアクティブタグ13との距離)を定めてある。
【0039】
ヌル点の範囲(△x0)は、当該ヌル点におけるマルチパスの経路数、マルチパスのベクトル合成による強度、マルチパスを形成する電磁波の波長、図6中の反射物102a、102bの如き、反射物の電磁波吸収率等により変化する。従って、図3、図6にも示したように、発生場所ごとにヌル点の範囲(△x0)、深さ(磁界強度の減衰度合い)は変化する。図3、図6の例では、最も右のヌル点(最も遠いヌル点)では、範囲が広いが、深さは小さくなっており、最も左側のヌル点(最も遠いヌル点)では、範囲は狭いが、深さは大きくなっている。そこで、リーダライタ及び電子タグ装置を利用する空間における、マルチパスの経路、マルチパスを形成する電磁波の波長、反射物の電磁波吸収率等から、マルチパス及びヌル点の分布をあらかじめ把握する。そして、各ヌル点において、リーダライタが通信可能である磁界強度h0以下のヌル点の範囲を、所定のヌル点の中でたとえば平均化した値として△x0を求める。
【0040】
一方、△x1は、電子タグの大きさ、形状、重量、電子タグ収納ケースの各部分の寸法(支点の位置)などといった、電子タグ装置の物理的性状に加え、電子タグ装置が装着され、検知の対象となるオブジェクトの動き、とりわけ加速度を加味することにより求められる。そこで、△x0の最大値より大きい△x1が生じるよう、装着されるオブジェクトの性質をも考慮して、電子タグ装置の電子タグ収納ケース、電子タグの各部の寸法、位置関係などを定めてある。
【0041】
電子タグ装置10に対する電子タグの具体的な取り付け構造が図10(a)〜図10(c)に示されている。この例では、図10(a)に示すように、収納部10a及び10bが電子タグ収納ケース10cの一方の面に設けられた凹部として形成されている。また、図10(c)に示すように収納部10aと収納部10bとの間には所定の間隔d1を設けてある。このような間隔d1を設ける理由は次の通りである。
【0042】
パッシブタグ12を使用する場合には、例えば図12に示すように、リーダライタ103のアンテナ101から発射された無線信号の磁界成分が、パッシブタグ12内部のアンテナコイル12aを貫通することにより電力が誘起するので、この電力をパッシブタグ12自身の電源電力、具体的にはパッシブタグ12に内蔵したICチップの駆動電力として利用する。
【0043】
また、システムの用途によっては同一の物品を監視するためにパッシブタグ12とアクティブタグ13との両方を必要とする場合があるが、パッシブタグ12が無線通信に使用する周波数帯とアクティブタグ13が無線通信に使用する周波数帯とが重ならないように周波数を割り当てることにより、基本的には両者の共存が可能になる。
【0044】
しかし、実際にはアクティブタグ13の内部に導電体である金属成分が含まれているので、この金属成分の影響が現れる。具体的には、例えば図13に示すようにパッシブタグ12とアクティブタグ13とが互いに近接した状態で配置されると、アクティブタグ13に含まれている金属内部に渦電流が発生し、この渦電流によって生じる磁束の影響により、リーダライタ103のアンテナ101から放射される磁界が打ち消される。従って、互いに異なる周波数帯を使用している場合であっても、パッシブタグ12とアクティブタグ13とが互いに近接していると、パッシブタグ12に十分な電力が誘起せずパッシブタグ12が動作不能になる。
【0045】
そこで、例えば図10(a)〜図10(c)に示すように、パッシブタグ12とアクティブタグ13とを離して、両者の間に金属の存在しない空間(d1に相当する)を設けると、アクティブタグ13内部の渦電流によって磁束が発生しても、パッシブタグ12に届く磁界の大きさは大きく変化しなくなる。従って、パッシブタグ12とアクティブタグ13とを同時に使用することができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
本発明の電子タグ装置に関するもう1つの実施の形態について以下に説明する。この形態は第1の実施の形態の変形例である。本実施の形態は、第1の実施の形態から異なる箇所が少ないので図示は省略し第1の実施の形態と同じ図面を引用して説明する。
【0047】
この形態では、図1に示すアクティブタグ13の代わりに特別な同等の重量を有する錘を電子タグ収納ケース10cの収納部10bに装着する。パッシブタグ12については図1と同様に支点11の上方に配置する。
【0048】
すなわち、一般的な用途ではパッシブタグ12及びアクティブタグ13のいずれか一方だけを設ければ十分なので、アクティブタグ13を省略して代わりに錘を、パッシブタグ12とは異なる位置(元のアクティブタグ13の位置)に装着する。従って、機能的には第1の実施の形態とほぼ同一である。つまり、重心14が支点11からずれた位置に存在するので、加速度が加わらない定常状態では電子タグ装置10の向きは一定になり、加速度が加わるとパッシブタグ12が揺動する。
【0049】
(第3の実施の形態)
本発明の電子タグ装置に関するもう1つの実施の形態について、図11(a)〜図11(c)を参照しながら以下に説明する。図11(a)は第3の実施の形態の電子タグ装置の外観を示す斜視図であり、図11(b)は図11(a)に示す電子タグ装置の正面図であり、図11(c)は図11(b)に示す電子タグ装置のII−II線にそった断面図である。
【0050】
この形態は第1の実施の形態の変形例である。この形態では、図11(a)〜図11(c)に示すようにパッシブタグ12及びアクティブタグ13の取り付け構造が第1の実施の形態と異なっている。それ以外については第1の実施の形態と同様である。
【0051】
図11(a)〜図11(c)に示すように、この形態では電子タグ収納ケース10cの厚み方向の一方の面にパッシブタグ12が装着され、電子タグ収納ケース10cの反対側の面にアクティブタグ13が装着され、パッシブタグ12とアクティブタグ13とは厚み方向に対向した状態で配置されている。
【0052】
従って、パッシブタグ12とアクティブタグ13とが近接していると、図13に示すようにアクティブタグ13内部の渦電流によって生じる磁束の影響が現れる可能性がある。そこで、この形態では図11(c)に示すようにパッシブタグ12を取り付ける面の位置とアクティブタグ13を取り付ける面との間に厚み方向に十分な間隔d2があくように電子タグ装置10を形成してある。
【0053】
このため、アクティブタグ13内部の渦電流によって磁束が発生しても、パッシブタグ12に届く磁界の大きさはほとんど変化しなくなる。従って、パッシブタグ12とアクティブタグ13とを同時に使用することができる。
【0054】
また、電子タグ収納ケース10cに対してアクティブタグ13を装着する際には、アクティブタグ13に接続されたバッテリーが下側に配置されるような向きで固定する。これにより、第1の実施の形態の場合と同様に、電子タグ装置10の重心位置が支点よりも十分低い位置に配置されるので、外部から加わる加速度によって電子タグ装置10が揺動しやすくなる。
【0055】
尚、図3の下方に示したように、アクティブ又はパッシブのうち1つの電子タグが、電子タグ収納ケースの収納部に収納された実施形態も本発明の電子タグ装置に含まれる。当該電子タグの重みにより、電子タグ装置が支点を中心として揺動自在となり、電子タグ自体も外部の取り付け部材に対して揺動自在となり、本発明の効果を奏するからである。
【0056】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の電子タグ装置を利用することにより、例えばランドセルのような管理対象の物品の傾きの影響や、無線信号に生じるマルチパスの影響や、管理対象の物品の高さの影響を低減し、安定した通信を実現できるので、防犯などを目的とする様々な管理システムに適用することにより、信頼性を高めるのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1の実施の形態の電子タグ装置の外観を示す斜視図
【図2】図1に示す電子タグ装置の静止状態を示す正面図
【図3】図1に示す電子タグ装置の揺動状態と磁界強度分布との関係を示す模式図
【図4】円偏波の場合の電磁波の伝播状態を示す模式図
【図5】直線偏波の場合の電磁波の伝播状態を示す模式図
【図6】マルチパスが生じる場合の電磁波の伝播状態を示す模式図
【図7】マルチパスが生じる場合の磁界強度と距離の関係を示すグラフ
【図8】リーダライタのアンテナと電子タグのアンテナとの高さ方向の位置関係の例を示す模式図
【図9】電子タグのアンテナ高さと磁界強度との関係の例を示すグラフ
【図10】図10(a)は、第1の実施の形態における電子タグの取り付け構造を示す斜視図であり、図10(b)は、図10(a)に示す電子タグ装置の正面図であり、図10(c)は、図10(b)に示す電子タグ装置のI−I線にそった断面図
【図11】図11(a)は、第3の実施の形態における電子タグの外観を示す斜視図であり、図11(b)は、図11(a)に示す電子タグ装置の正面図であり、図11(c)は、図11(b)に示す電子タグ装置のII−II線にそった断面図
【図12】リーダライタのアンテナから送信されて電子タグに届く電磁波の磁界成分の状況の例を示す模式図
【図13】リーダライタのアンテナから送信されて電子タグに届く電磁波の磁界成分の状況の例を示す模式図
【符号の説明】
【0059】
10 電子タグ装置
10a,10b 収納部
10c 電子タグ収納ケース
11 支点
12 パッシブタグ
13 アクティブタグ
14 重心
【技術分野】
【0001】
本発明は、自局に事前に割り当てられた個体識別情報を保持すると共に前記個体識別情報を含む無線信号を送信する機能を備える少なくとも1つの電子タグを収納した電子タグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、様々な商品などの物品を個別に管理するために、あるいは人間や動物の通過などを個別に管理する目的に、電子タグが用いられる。このような電子タグの代表的なもののひとつに、電磁波を利用して個体識別情報の通信を行うタグがあり、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれる。RFIDは、個別に割り当てられた個体識別情報を保持すると共に前記個体識別情報を含む無線信号を送信する機能を備えている。
【0003】
また、RFIDの種類としては、電源としてたとえば電池を内蔵しているアクティブタグと、電源として電池等が不要なパッシブタグとがある。パッシブタグは、パッシブタグを読み取る装置であるリーダまたはリーダライタ(以下では、単にリーダライタという)から送信される電磁波の磁界エネルギーを電力に変換して電子タグ自身が動作するために必要な電源としての電力を得るものである。
【0004】
また、パッシブタグ型のRFIDが無線通信に使用する電磁波の偏波については、一般に円偏波又は直線偏波の両方が用いられている。円偏波を用いる場合、図4に示すように円偏波方式のRFIDアンテナ100aから送信された電磁波の電界および磁界の向きが円を描くように回転しながら伝播していく。そのため、電子タグのアンテナ101の向きが偏波の回転方向に変化した場合でも、問題なく通信を行うことができる。しかし、円偏波では電磁波伝播距離に対する電磁波の減衰の程度が大きい。従って、パッシブタグ型のRFIDは、比較的近距離の通信にその用途が限定される。
【0005】
また、直線偏波の場合には、図5に示すように直線偏波方式のRFIDアンテナ100bから送信された電磁波は電磁波の電界および磁界の向きを変えないで伝播する。直線偏波は、距離に対する電磁波の減衰の程度が小さく、円偏波と比較べ伝播距離の大きい通信も可能である。しかしながら直線偏波の場合には、最適な状態で通信できるためには、RFIDアンテナ100bの向きと電子タグのアンテナ101の向きとが同一になるように配置する必要がある。
【0006】
なお、本発明と関連のある従来技術が例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−86394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、図5のような直線偏波を使用して通信する場合には、電子タグのアンテナの向きと、通信相手局であるリーダライタのアンテナの向きとを一致させておかないと通信性能が低下し、通信が困難になる。しかし、現実に電子タグが装着された管理対象となる各種物品や人、例えば様々な商品や学童が使用するランドセルなどは、移動の際に向きが一定であるとは限らない。従って、物品に傾きが生じて電子タグが傾くと、送信側と受信側とのアンテナ偏波面の不一致により通信性能が低下し、電子タグの情報を読み取れない場合が発生する。
【0008】
また、実際の使用環境においては、例えば図6に示すように電子タグの周辺に建物の壁面など様々な反射物102a,102bが存在するので、リーダライタのアンテナ100と電子タグのアンテナ101との間を伝送される無線信号は複数の伝播経路P1,P2を通って伝播する。そのため、それぞれの伝播経路を伝播する電磁波が干渉し合う、いわゆるマルチパスの影響が現れる。具体的には、図7に示すように、リーダライタの送信アンテナからの距離に応じた磁界強度分布に、伝播経路P1,P2のマルチパスにより、局部的な減衰、変動が現れる。すなわち、各ヌル点(受信電磁界強度たとえば磁界強度が所定の受信限界閾値を下回るx,y,z方向のの特定の範囲内)では磁界強度が著しく低下する。従って、ヌル点の範囲内にたとえばパッシブタグ型の電子タグが存在する場合には、電子タグがそれ自身の動作に必要とされる電力を得ることができず、通信もできなくなる。
【0009】
また、電子タグとリーダライタとを用いて物品などを管理する場合には、電子タグとリーダライタとが同程度の高さの位置、すなわち同じ水平面内に存在することを想定する場合も多い。しかし、実際の使用環境においては管理対象の物品などは必要に応じて位置が変化するので、例えば図8に示すように電子タグ(パッシブタグ12及びアクティブタグ13)とリーダライタのパッシブタグアンテナ100cとアクティブタグアンテナ100dとが高さの大きく異なる位置に配置される場合も想定される。
【0010】
電子タグとリーダライタとの高さの違いの影響は、図9に示すように磁界強度の変化として現れる。すなわち、高さの違いが大きくなるのに伴って磁界強度が低下する。特に、パッシブタグ型の電子タグの場合には、アクティブタグに比べて磁界強度の低下が著しく現れる。一般的に、パッシブタグに使用される電磁波の周波数(例えば900MHz)は、アクティブタグに使用される電磁波の周波数(例えば400MHz)に比べ高いため、高さ(距離)が大きくなるほどパッシブタグの電磁波はアクティブタグの電磁波より減衰し易いことが一要因である。従って、特にパッシブタグ型の電子タグを使用する場合には、電子タグが装着される物品などが低い位置にあると通信ができなくなる可能性が高い。
【0011】
本発明は、管理対象の物品の傾きの影響や、無線信号に生じるマルチパスの影響や、管理対象の物品の高さの影響を低減し、安定した通信に役立つ電子タグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、事前に割り当てられた個体識別情報を記憶すると共に、前記個体識別情報を含む無線信号を送信する少なくとも1つの電子タグを備える電子タグ装置であって、当該電子タグ装置の重心から偏移した位置に、外部の部材によって支持される支点を有し、前記支点よりも前記重心を下方としたとき前記電子タグは前記重心よりも上方に配置されており、前記支点を回転中心として揺動可能である。
【0013】
本発明では、電子タグ装置がその重心からずれた位置に形成された支点を中心として揺動自在な状態で管理対象の物品に支持される。従って、仮に物品が静止状態であれば、電子タグ装置の重心位置は常に支点の下方に位置することになるので、物品が基準状態に対して傾いていたとしても、水平面に対する電子タグ装置の向きが一定に保持される。従って、電子タグ収納ケースの収納部に収納される電子タグの水平面に対する向きも一定になる。そのため、物品の傾きとは無関係にリーダライタのアンテナの偏波面と電子タグのアンテナの偏波面とを一致させることができ、良好な通信状態を維持できる。
【0014】
また、電子タグ読み取り機能を有する外部の装置と、複数の伝送経路を経由する前記無線信号の相互干渉によって生ずる、通信が不可能な前記伝送経路上の距離範囲を越える範囲に渡って、前記電子タグが揺動可能な、前記支点と電子タグとの距離を有するように構成することができる。
【0015】
上述のように、マルチパスの影響によって生じるヌル点の範囲内に電子タグが存在する場合には、磁界強度が著しく低下するため通信が困難になる。ここでは、電子タグ装置が装着される部材等に移動などによって加速度が加わる状態を想定している。この加速度の影響によって、電子タグ収納ケース及び収納された電子タグは前記支点を中心として揺動することになる。この揺動によって電子タグが移動する範囲が、本発明ではヌル点の範囲に相当する距離(△x)を越えるように定めてある。従って、ヌル点の範囲内に電子タグが存在する場合であっても、加速度が加わると揺動が生じ、電子タグが一時的にヌル点の範囲外に出るので、そのタイミングで通信を行うことが可能になる。
【0016】
また、少なくとも2つの電子タグを備え、第1の電子タグと当該第1の電子タグよりも重量の大きな第2の電子タグとが前記支点よりも前記重心を下方としたとき、前記第1の電子タグが前記第2の電子タグよりも上方に配置されるように、電子タグ装置は構成され得る。
【0017】
すなわち、ここでは1つの電子タグ収納ケースに種類の異なる複数の電子タグを収納する場合を想定している。例えば、ある種の管理システムでは、1つの物品を管理するために通信可能範囲が狭い(距離が短い)第1の電子タグと、通信可能範囲が比較的広い第2の電子タグとを同時に必要とする。そこで、上述したように、重量の軽い第1の電子タグを上方に配置し、重量の大きい第2の電子タグを錘として下方に配置する。
【0018】
また、前記支点の位置を前記電子タグと前記重心との間に配置することにより、電子タグが支点よりも上方に配置されるので、高さの影響による通信能力の低下を低減できる。
【0019】
また、前記支点の位置を前記第1の電子タグと第2の電子タグとの間に配置することにより、前記第1の電子タグが支点及び重心よりも上方に配置されるので、高さの影響による第1の電子タグの通信能力の低下を低減できる。
【0020】
また、前記第1の電子タグは該第1の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段との接続され、
前記第2の電子タグは該第2の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段と接続されていない構成にすることができる前記第1の電子タグは該第1の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段との接続され、
前記第2の電子タグは該第2の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段と接続されていない電子タグ装置。。すなわち、高さの影響を受けやすいパッシブタグをアクティブタグよりも上方に配置しているので、高さの影響によるパッシブタグの通信能力の低下を低減できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、現実的な使用状態において、管理対象の物品の傾きの影響や、無線信号に生じるマルチパスの影響や、管理対象の物品の高さの影響を低減することができ、様々な条件において安定した通信が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
本発明の電子タグ装置に関する1つの実施の形態について、図1〜図3並びに図10を参照しながら以下に説明する。
【0023】
図1は第1の実施の形態の電子タグ装置の外観を示す斜視図である。図2は図1に示す電子タグ装置の静止状態を示す正面図である。図3は図1に示す電子タグ装置の揺動状態と磁界強度分布との関係を示す模式図である。図10(a)は第1の実施の形態における電子タグの取り付け構造を示す斜視図であり、図10(b)は図10(a)に示す電子タグ装置の正面図であり、図10(c)は図10(b)に示す電子タグ装置のI−I線にそった断面図である。
【0024】
電子タグとリーダライタとを用いることにより、様々な物品を個別に管理することができるが、ここでは監視対象の1つの具体例として、学校に通う学童が登下校する際の通過を監視する用途を想定している。実際には、登下校する小学生などの学童は常にランドセルを所持している場合が多いので、それぞれのランドセルに電子タグを装着することにより、学童の通過を監視することができる。勿論、ランドセル以外の物品に電子タグを装着することも考えられる。
【0025】
ランドセルなどの物品に実際に電子タグを装着するために、この例では図1に示す電子タグ装置10を用いる。図1、図10に示すように、この電子タグ装置10の本体を構成する電子タグ収納ケース10cは矩形に形成され、薄い板状に形成されている。電子タグ収納ケース10cは、例えばプラスチックのような電気絶縁性の材料で構成される。
【0026】
電子タグ装置10の中央付近、すなわち電子タグ収納ケース10cの中央付近には、支点11が設けられている。この支点11は、電子タグ装置10自体を支持する部分であり、具体例として電子タグ収納ケース10cをその厚み方向に貫通する貫通孔とするものである。この電子タグ装置10をランドセルのような物品に装着する場合には、この物品に固定した土台にピンを設け、このピンが電子タグ装置10の支点11を貫通するように電子タグ装置10を装着すればよい。但し、支点11に前記ピンが挿入された状態で、電子タグ装置10が支点11を中心として揺動自在になるように支点11の径には余裕を持たせる必要がある。なお、前記土台及びピンについては、通信に影響を与えないように、プラスチックのような電気絶縁性の材料で構成するのが望ましい。もちろん、電子タグ装置を揺動自在に取り付ける部材は、土台とピンの組み合わせの如き部材に限られず、電子タグ装置がその支点を中心として揺動可能な、任意の部材上に電子タグ装置を取り付けることができる。
【0027】
図1、図10に示すように、電子タグ装置10の本体を構成する電子タグ収納ケース10cには二つの収納部10a及び収納部10bが異なる位置に形成されている。収納部10a及び収納部10bについては、具体的には表面に形成した凹部のようにタグを保持できるものであればよい。また、この形態では支点11の上側に収納部10aが形成され、支点11の下側に収納部10bが形成されている。つまり、支点11は収納部10aと収納部10bとの間(後述するパッシブタグとアクティブタグの間)に配置されている。
【0028】
電子タグ収納ケース10cの収納部10aにはパッシブタグ(第1の電子タグ)12が装着され、収納部10bにはアクティブタグ(第2の電子タグ)13が装着される。パッシブタグ12、アクティブタグ13は、いわゆる「電子タグ」より構成され、事前に割り当てられた個体識別情報を保持すると共に、この個体識別情報を含む無線信号を少なくとも送信する機能を有するものである。この個体識別情報により、リーダライタは、当該電子タグが添付された物品、個人等を特定することができる。
【0029】
パッシブタグ12は外部から到来する磁界のエネルギーを電気エネルギーに変換して必要な電力を得る電子タグであり、電源として電池などは接続していない。一方、アクティブタグ13はそれ自身が動作するのに必要な電力を得るために電源としてたとえば電池を内蔵し、電池と接続している電子タグである。電池の有無などの構成上の違いにより、アクティブタグ13はパッシブタグ12に比べて重量が大きくなっている。そこで、この形態ではアクティブタグ13を錘としても利用している。
【0030】
アクティブタグ13の重量が大きいので、パッシブタグ12及びアクティブタグ13を装着した状態での電子タグ装置10の重心14は、図1に示す標準状態の向きにおいて、支点11の鉛直方向下方に位置している。つまり、重量のバランス関係により、支点11の下方に重心14が位置する状態が標準状態の向きになる。但し、外部から加速度が加わると、重心14が支点11からずれた位置にあるので、電子タグ装置10は支点11を中心として(図1の点線周りに)矢印A1方向及びその逆方向A2に揺動することになる。
【0031】
なお、一般的な用途においては1つの物品に複数の電子タグを装着する必要はないが、例えば学童の登下校時の通過を監視するような場合には、リーダライタからの距離が比較的狭い範囲内でのみ動作するパッシブタグ12と、比較的広い範囲でも動作するアクティブタグ13との両方が同時に必要とされる場合もあるので、図1に示す電子タグ装置10には両者を装着してある。特に登下校時の学童の画像を通学路上に設置したIPカメラ等により撮影するような場合、アクティブタグ13のみの検知に基づき撮影を行なうと、その広い通信可能範囲のせいで、的確に学童を撮影できない可能性がある。そこで、通信可能範囲がより狭いパッシブタグ12を併用し、パッシブタグ12による検知をIPカメラによる撮影のトリガとして用いることにより、的確に学童を撮影する可能性を高くできる。
【0032】
電子タグ装置10を装着した物品が移動しない場合のように、電子タグ装置10に加速度が加わらない状態では、仮に物品であるランドセル自体が傾いていたとしても、電子タグ装置10の向きは図1に示すような標準状態の向きで静止したまま保持される。この状態では、パッシブタグ12及びアクティブタグ13は例えば図1に示すようにそれぞれ予め定めた方向(この例では水平方向)を向く。
【0033】
従って、電子タグから情報を読み取るために設けられるリーダライタのアンテナと、パッシブタグ12及びアクティブタグ13のアンテナとの偏波面の向きを合わせるのは容易である。このため、直線偏波を利用することができ、パッシブタグ12についても通信可能な距離を大きくすることができる。
【0034】
また、電子タグ装置10に加速度が加わらない状態では、図1及び図2に示すような標準状態の向きで静止するので、アクティブタグ13が配置された位置の高さh2に比べて、パッシブタグ12が配置された位置の高さh1は相対的に高くなる。
【0035】
上述したように、一般的に、パッシブタグに使用される電磁波の周波数(例えば900MHz)は、アクティブタグに使用される電磁波の周波数(例えば400MHz)に比べ高いため、高さ(距離)が大きくなるほどパッシブタグの電磁波はアクティブタグの電磁波より減衰し易い。従って、図9に示すように、特にパッシブタグ12の場合には、高さの影響による磁界強度の低下が著しく、磁界強度が閾値以下になると動作しなくなるので、高い位置に配置するのが望ましい。一方、アクティブタグ13は高さの影響を受けにくいので、下方に配置しても性能が劣化しにくい。従って、図2に示すように標準状態でパッシブタグ12の高さh1がアクティブタグ13の高さh2よりも大きくなるように配置することにより、高さの影響による通信能力の劣化を低減できる。なお、図8に示すように、リーダライタのパッシブタグアンテナ100cとアクティブタグアンテナ100dについては、様々な物品の通常の高さに比べてより高い位置に設置することを想定している。
【0036】
一方、学童がランドセルを背負って登下校する際には、歩行時の人体の動きの変化に伴って電子タグ装置10に周期的に加速度が加わることになる。加速度が加わると、電子タグ装置10は支点11を中心として揺動する。この揺動によって、電子タグ装置10に装着されているパッシブタグ12及びアクティブタグ13の位置も図3に示すように水平方向に対して移動する。
【0037】
一般的に道路などの周囲には、図6に示すように様々な建物の如き反射物102a,102bが存在するので、実際に電子タグ装置10が使用される環境では、リーダライタと電子タグとの間の伝送される無線信号は複数の伝播経路P1,P2を通って伝播する。そのため、それぞれの伝播経路を伝播する電磁波が干渉し合う、マルチパスの影響が現れる。この影響により、図7に示すように、リーダライタの送信アンテナ100からの距離に応じた磁界強度分布に、局部的な減衰、変動を示すヌル点が形成される。すなわち、リーダライタからの距離がヌル点に相当する位置に電子タグが存在する場合には、電子タグに届く磁界強度が著しく低下し、パッシブタグ12は動作不可能になる。
【0038】
ヌル点の範囲(図3中の△x0)は、局部的な比較的小さい範囲だけに形成されるので、この範囲の外に電子タグが出れば通信は可能になる。図1に示す電子タグ装置10においては、電子タグが装着された管理対象の物品などの動きにより支点11に加わる加速度によって電子タグ装置10が揺動するように構成している。図3に示すパッシブタグ12又はアクティブタグ13の、アンテナ部(図示せず)の電磁界強度の中心が移動する距離(△x1)は、外部から加わる加速度により変化する。ここで、△x1が△x0よりも大きくなるように各部の寸法や位置関係(特に支点11とパッシブタグ12又はアクティブタグ13との距離)を定めてある。
【0039】
ヌル点の範囲(△x0)は、当該ヌル点におけるマルチパスの経路数、マルチパスのベクトル合成による強度、マルチパスを形成する電磁波の波長、図6中の反射物102a、102bの如き、反射物の電磁波吸収率等により変化する。従って、図3、図6にも示したように、発生場所ごとにヌル点の範囲(△x0)、深さ(磁界強度の減衰度合い)は変化する。図3、図6の例では、最も右のヌル点(最も遠いヌル点)では、範囲が広いが、深さは小さくなっており、最も左側のヌル点(最も遠いヌル点)では、範囲は狭いが、深さは大きくなっている。そこで、リーダライタ及び電子タグ装置を利用する空間における、マルチパスの経路、マルチパスを形成する電磁波の波長、反射物の電磁波吸収率等から、マルチパス及びヌル点の分布をあらかじめ把握する。そして、各ヌル点において、リーダライタが通信可能である磁界強度h0以下のヌル点の範囲を、所定のヌル点の中でたとえば平均化した値として△x0を求める。
【0040】
一方、△x1は、電子タグの大きさ、形状、重量、電子タグ収納ケースの各部分の寸法(支点の位置)などといった、電子タグ装置の物理的性状に加え、電子タグ装置が装着され、検知の対象となるオブジェクトの動き、とりわけ加速度を加味することにより求められる。そこで、△x0の最大値より大きい△x1が生じるよう、装着されるオブジェクトの性質をも考慮して、電子タグ装置の電子タグ収納ケース、電子タグの各部の寸法、位置関係などを定めてある。
【0041】
電子タグ装置10に対する電子タグの具体的な取り付け構造が図10(a)〜図10(c)に示されている。この例では、図10(a)に示すように、収納部10a及び10bが電子タグ収納ケース10cの一方の面に設けられた凹部として形成されている。また、図10(c)に示すように収納部10aと収納部10bとの間には所定の間隔d1を設けてある。このような間隔d1を設ける理由は次の通りである。
【0042】
パッシブタグ12を使用する場合には、例えば図12に示すように、リーダライタ103のアンテナ101から発射された無線信号の磁界成分が、パッシブタグ12内部のアンテナコイル12aを貫通することにより電力が誘起するので、この電力をパッシブタグ12自身の電源電力、具体的にはパッシブタグ12に内蔵したICチップの駆動電力として利用する。
【0043】
また、システムの用途によっては同一の物品を監視するためにパッシブタグ12とアクティブタグ13との両方を必要とする場合があるが、パッシブタグ12が無線通信に使用する周波数帯とアクティブタグ13が無線通信に使用する周波数帯とが重ならないように周波数を割り当てることにより、基本的には両者の共存が可能になる。
【0044】
しかし、実際にはアクティブタグ13の内部に導電体である金属成分が含まれているので、この金属成分の影響が現れる。具体的には、例えば図13に示すようにパッシブタグ12とアクティブタグ13とが互いに近接した状態で配置されると、アクティブタグ13に含まれている金属内部に渦電流が発生し、この渦電流によって生じる磁束の影響により、リーダライタ103のアンテナ101から放射される磁界が打ち消される。従って、互いに異なる周波数帯を使用している場合であっても、パッシブタグ12とアクティブタグ13とが互いに近接していると、パッシブタグ12に十分な電力が誘起せずパッシブタグ12が動作不能になる。
【0045】
そこで、例えば図10(a)〜図10(c)に示すように、パッシブタグ12とアクティブタグ13とを離して、両者の間に金属の存在しない空間(d1に相当する)を設けると、アクティブタグ13内部の渦電流によって磁束が発生しても、パッシブタグ12に届く磁界の大きさは大きく変化しなくなる。従って、パッシブタグ12とアクティブタグ13とを同時に使用することができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
本発明の電子タグ装置に関するもう1つの実施の形態について以下に説明する。この形態は第1の実施の形態の変形例である。本実施の形態は、第1の実施の形態から異なる箇所が少ないので図示は省略し第1の実施の形態と同じ図面を引用して説明する。
【0047】
この形態では、図1に示すアクティブタグ13の代わりに特別な同等の重量を有する錘を電子タグ収納ケース10cの収納部10bに装着する。パッシブタグ12については図1と同様に支点11の上方に配置する。
【0048】
すなわち、一般的な用途ではパッシブタグ12及びアクティブタグ13のいずれか一方だけを設ければ十分なので、アクティブタグ13を省略して代わりに錘を、パッシブタグ12とは異なる位置(元のアクティブタグ13の位置)に装着する。従って、機能的には第1の実施の形態とほぼ同一である。つまり、重心14が支点11からずれた位置に存在するので、加速度が加わらない定常状態では電子タグ装置10の向きは一定になり、加速度が加わるとパッシブタグ12が揺動する。
【0049】
(第3の実施の形態)
本発明の電子タグ装置に関するもう1つの実施の形態について、図11(a)〜図11(c)を参照しながら以下に説明する。図11(a)は第3の実施の形態の電子タグ装置の外観を示す斜視図であり、図11(b)は図11(a)に示す電子タグ装置の正面図であり、図11(c)は図11(b)に示す電子タグ装置のII−II線にそった断面図である。
【0050】
この形態は第1の実施の形態の変形例である。この形態では、図11(a)〜図11(c)に示すようにパッシブタグ12及びアクティブタグ13の取り付け構造が第1の実施の形態と異なっている。それ以外については第1の実施の形態と同様である。
【0051】
図11(a)〜図11(c)に示すように、この形態では電子タグ収納ケース10cの厚み方向の一方の面にパッシブタグ12が装着され、電子タグ収納ケース10cの反対側の面にアクティブタグ13が装着され、パッシブタグ12とアクティブタグ13とは厚み方向に対向した状態で配置されている。
【0052】
従って、パッシブタグ12とアクティブタグ13とが近接していると、図13に示すようにアクティブタグ13内部の渦電流によって生じる磁束の影響が現れる可能性がある。そこで、この形態では図11(c)に示すようにパッシブタグ12を取り付ける面の位置とアクティブタグ13を取り付ける面との間に厚み方向に十分な間隔d2があくように電子タグ装置10を形成してある。
【0053】
このため、アクティブタグ13内部の渦電流によって磁束が発生しても、パッシブタグ12に届く磁界の大きさはほとんど変化しなくなる。従って、パッシブタグ12とアクティブタグ13とを同時に使用することができる。
【0054】
また、電子タグ収納ケース10cに対してアクティブタグ13を装着する際には、アクティブタグ13に接続されたバッテリーが下側に配置されるような向きで固定する。これにより、第1の実施の形態の場合と同様に、電子タグ装置10の重心位置が支点よりも十分低い位置に配置されるので、外部から加わる加速度によって電子タグ装置10が揺動しやすくなる。
【0055】
尚、図3の下方に示したように、アクティブ又はパッシブのうち1つの電子タグが、電子タグ収納ケースの収納部に収納された実施形態も本発明の電子タグ装置に含まれる。当該電子タグの重みにより、電子タグ装置が支点を中心として揺動自在となり、電子タグ自体も外部の取り付け部材に対して揺動自在となり、本発明の効果を奏するからである。
【0056】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の電子タグ装置を利用することにより、例えばランドセルのような管理対象の物品の傾きの影響や、無線信号に生じるマルチパスの影響や、管理対象の物品の高さの影響を低減し、安定した通信を実現できるので、防犯などを目的とする様々な管理システムに適用することにより、信頼性を高めるのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1の実施の形態の電子タグ装置の外観を示す斜視図
【図2】図1に示す電子タグ装置の静止状態を示す正面図
【図3】図1に示す電子タグ装置の揺動状態と磁界強度分布との関係を示す模式図
【図4】円偏波の場合の電磁波の伝播状態を示す模式図
【図5】直線偏波の場合の電磁波の伝播状態を示す模式図
【図6】マルチパスが生じる場合の電磁波の伝播状態を示す模式図
【図7】マルチパスが生じる場合の磁界強度と距離の関係を示すグラフ
【図8】リーダライタのアンテナと電子タグのアンテナとの高さ方向の位置関係の例を示す模式図
【図9】電子タグのアンテナ高さと磁界強度との関係の例を示すグラフ
【図10】図10(a)は、第1の実施の形態における電子タグの取り付け構造を示す斜視図であり、図10(b)は、図10(a)に示す電子タグ装置の正面図であり、図10(c)は、図10(b)に示す電子タグ装置のI−I線にそった断面図
【図11】図11(a)は、第3の実施の形態における電子タグの外観を示す斜視図であり、図11(b)は、図11(a)に示す電子タグ装置の正面図であり、図11(c)は、図11(b)に示す電子タグ装置のII−II線にそった断面図
【図12】リーダライタのアンテナから送信されて電子タグに届く電磁波の磁界成分の状況の例を示す模式図
【図13】リーダライタのアンテナから送信されて電子タグに届く電磁波の磁界成分の状況の例を示す模式図
【符号の説明】
【0059】
10 電子タグ装置
10a,10b 収納部
10c 電子タグ収納ケース
11 支点
12 パッシブタグ
13 アクティブタグ
14 重心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に割り当てられた個体識別情報を記憶すると共に、前記個体識別情報を含む無線信号を送信する少なくとも1つの電子タグを備える電子タグ装置であって、
当該電子タグ装置の重心から偏移した位置に、外部の部材によって支持される支点を有し、
前記支点よりも前記重心を下方としたとき前記電子タグは前記重心よりも上方に配置されており、
前記支点を回転中心として揺動可能である電子タグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子タグ装置であって、
電子タグ読み取り機能を有する外部の装置と、複数の伝送経路を経由する前記無線信号の相互干渉によって生ずる、通信が不可能な前記伝送経路上の距離範囲を越える範囲に渡って、前記電子タグが揺動可能な、前記支点と電子タグとの距離を有する電子タグ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子タグ装置であって、
少なくとも2つの電子タグを備え、
第1の電子タグと当該第1の電子タグよりも重量の大きな第2の電子タグとが、前記支点よりも前記重心を下方としたとき、前記第1の電子タグが前記第2の電子タグよりも上方に配置された電子タグ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子タグ装置であって、
前記支点が前記電子タグと前記重心との間に配置された電子タグ装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電子タグ装置であって、
前記支点が前記第1の電子タグと前記第2の電子タグとの間に配置された電子タグ装置。
【請求項6】
請求項3に記載の電子タグ装置であって、
前記第1の電子タグは該第1の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段との接続され、
前記第2の電子タグは該第2の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段と接続されていない電子タグ装置。
【請求項1】
事前に割り当てられた個体識別情報を記憶すると共に、前記個体識別情報を含む無線信号を送信する少なくとも1つの電子タグを備える電子タグ装置であって、
当該電子タグ装置の重心から偏移した位置に、外部の部材によって支持される支点を有し、
前記支点よりも前記重心を下方としたとき前記電子タグは前記重心よりも上方に配置されており、
前記支点を回転中心として揺動可能である電子タグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子タグ装置であって、
電子タグ読み取り機能を有する外部の装置と、複数の伝送経路を経由する前記無線信号の相互干渉によって生ずる、通信が不可能な前記伝送経路上の距離範囲を越える範囲に渡って、前記電子タグが揺動可能な、前記支点と電子タグとの距離を有する電子タグ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子タグ装置であって、
少なくとも2つの電子タグを備え、
第1の電子タグと当該第1の電子タグよりも重量の大きな第2の電子タグとが、前記支点よりも前記重心を下方としたとき、前記第1の電子タグが前記第2の電子タグよりも上方に配置された電子タグ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子タグ装置であって、
前記支点が前記電子タグと前記重心との間に配置された電子タグ装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電子タグ装置であって、
前記支点が前記第1の電子タグと前記第2の電子タグとの間に配置された電子タグ装置。
【請求項6】
請求項3に記載の電子タグ装置であって、
前記第1の電子タグは該第1の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段との接続され、
前記第2の電子タグは該第2の電子タグの電源としての電荷を蓄積または発生する電源手段と接続されていない電子タグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−158974(P2007−158974A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354190(P2005−354190)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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