説明

電子ナンバープレート用の電波モジュール

【課題】 電波モジュールとしての製品寿命を長くすることができ、しかも、電池が交換される段階でも記憶部に記憶されているメモリ情報を適切に保持できると共に、製品として流通される途中の保管段階でもセキュリティ動作を適切に実施できるようにする。
【解決手段】 電波モジュール1は、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して着脱可能に構成されていると共に、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されていない態様であっても、サブ電池9から揮発性メモリ60及び異常検出部57へ動作電力が供給されるように構成されている。メイン電池32の容量が消耗した場合には、メイン電池32を交換することにより、電波モジュール1としての製品寿命を長くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波モジュールの動作全般を制御する制御部と、通信動作を行うRF部と、メモリ情報を記憶する記憶部と、セキュリティに関係する異常が発生したか否かを検出する異常検出部とを備え、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着されている態様で少なくとも前記制御部と前記RF部と前記記憶部とが前記メイン電池から供給される電力を動作電力として動作するように構成されている電子ナンバープレート用の電波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ナンバープレート用の電波モジュールにおいては、記憶部に記憶されているメモリ情報(例えば車検証情報やセキュリティ情報など)を保護するために、回路素子や動作電源などが1つの筐体内に封止されている構造が一般的であり、それに伴って、動作電源として電池が採用されているのが一般的である。ところで、動作電源である電池の容量が消耗した場合には電池を交換する必要があるが、上記したように電池が筐体内に封止されている構成では、電池を単独で交換することができないことから、電波モジュール全体を交換せざるを得ず、その結果、回路素子などの他の部品の製品寿命に比べて極めて短い交換周期となってしまうという問題がある。
【0003】
この問題を解決する方法として、電池を単独で交換可能な構造にすることが考えられるが、単に電池を単独で交換可能な構造にしただけでは、電池が交換される段階では記憶部への動作電力の供給が一時的に停止されることから、記憶部(特に揮発性メモリ)に記憶されているメモリ情報を適切に保持することができないという新たな問題が発生することになり、また、製品として流通される途中の保管段階では電池が装着されていないことから、セキュリティ動作を適切に実施することができないという新たな問題が発生することになる。
【0004】
一方、車載セキュリティ装置において、セキュリティ動作を開始した後にメイン電源が遮断された場合であっても、バックアップ電池から動作電力が供給されることにより、セキュリティ動作が継続されるよう構成されたものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−130942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に記載されているものでは、バックアップ電池の容量が消耗してしまうと、それ以後のセキュリティ動作を継続することが困難となり、上記したような電池が交換される段階で記憶部に記憶されているメモリ情報を適切に保持することができないという問題や製品として流通される途中の保管段階でセキュリティ動作を適切に実施することができないという問題が解決されるには至っていない。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電波モジュールとしての製品寿命を長くすることができ、しかも、電池が交換される段階でも記憶部に記憶されているメモリ情報を適切に保持することができると共に、製品として流通される途中の保管段階でもセキュリティ動作を適切に実施することができる電子ナンバープレート用の電波モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、電波モジュールの動作全般を制御する制御部と、通信動作を行うRF部と、メモリ情報を記憶する記憶部と、セキュリティに関係する異常が発生したか否かを検出する異常検出部とを備え、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着されている態様で少なくとも制御部とRF部と記憶部とがメイン電池から供給される電力を動作電力として動作するものであって、メイン電池が単独で電波モジュール本体に対して着脱可能であると共にメイン電池とは別体にサブ電池が搭載され、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着されていない態様であっても、サブ電池から少なくとも記憶部及び異常検出部へ動作電力が供給されることにより、記憶部に記憶されているメモリ情報が保持されると共にセキュリティに関係する異常が発生したか否かが異常検出部により検出される。
【0008】
これにより、メイン電池が単独で電波モジュール本体に対して着脱可能に構成したので、メイン電池の容量が消耗した場合には、容量が消耗したメイン電池から容量が十分なメイン電池に交換することにより、電波モジュールとしての製品寿命を長くすることができる。また、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着されていない態様であっても、サブ電池から少なくとも記憶部及び異常検出部へ動作電力が供給されるように構成したので、メイン電池が交換される段階でも記憶部への動作電力の供給が一時的に停止されることがなく、記憶部に記憶されているメモリ情報を適切に保持することができると共に、製品として流通される途中の保管段階でメイン電池が搭載されていなくとも、セキュリティ動作を適切に実施することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着されていない場合であっても、セキュリティに関係する異常が発生した旨が異常検出部により検出されると、記憶部に記憶されているメモリ情報の一部または全部が消去されるように構成したので、セキュリティに関係する異常が発生した場合にメモリ情報が盗まれたり改ざんされたりすることを未然に回避することできる。
【0010】
請求項3に記載した発明によれば、制御部を起動させるための条件が成立したか否かを検出するウェイクアップ部と、ウェイクアップ部の検出結果または異常検出部の検出結果を判定して制御部を起動させるための条件が成立した旨を検出した場合に制御部を起動させる判定部とを備え、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着されていない態様であっても、サブ電池から判定部へ動作電力が供給されることにより、異常検出部の検出結果が判定部により判定されるように構成したので、本来はウェイクアップ部の検出結果を判定する判定部を、異常検出部の検出結果を判定する機能ブロックとしても動作させることができ、異常検出部と合わせてより確実な異常判定を行うことが可能となり、本来はウェイクアップ部の検出結果を判定する判定部を有効に活用することができる。
【0011】
請求項4に記載した発明によれば、低周波クロックを判定部へ動作クロックとして供給する低周波発振部を備え、セキュリティに関係する異常が発生した旨が異常検出部により検出された旨をトリガとして低周波発振部から判定部へ低周波クロックが供給されるように構成したので、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着されていない態様であっても、低周波発振部の動作期間を必要最小限に抑制することにより、低周波発振部の電力消費を抑制することができ、電波モジュール全体としての電力消費を抑制することができる。
【0012】
請求項5に記載した発明によれば、各機能ブロックへの動作電力の供給元をサブ電池とメイン電池との間で切替える電源部を備え、各機能ブロックへの動作電力の供給元がサブ電池であるときにメイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着されると、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着された旨をトリガとして各機能ブロックへの動作電力の供給元がサブ電池からメイン電池へ電源部により切替えられるように構成したので、サブ電池の容量の消耗を必要最小限に抑制することができ、電波モジュールとしての製品寿命をより一層長くすることができる。
【0013】
請求項6に記載した発明によれば、電波モジュール本体がナンバープレートから取外されることなく且つ防水構造を有する着脱機構によりメイン電池が電波モジュール本体に対して着脱可能であると共に、その着脱方向がナンバープレートの上方向、横方向または下方向のいずれかであるよう構成したので、着脱箇所で防水性を確保することができると共に、ナンバープレートの上方向、横方向または下方向のいずれかから着脱することができる。
【0014】
請求項7に記載した発明によれば、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着された態様でメイン電池及び電波モジュール本体の一部または全体がカバーにより覆われることが可能に構成したので、電波モジュールに汚れや水滴が直接付着されるのを未然に回避することができ、また、着脱箇所が外部に露出されないことから、装着が自発的に外れてしまうことを回避することができると共に、第三者により装着が意図的に外されてしまうことをも回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1ないし図8を参照して説明する。図2は、電子ナンバープレート用の電波モジュール(以下、単に電波モジュールと称する)の構成部品である電波モジュール本体及び取付けステーなどの横断平面図を示している。電波モジュール1は、電波モジュール本体2が取付けステー3を介してナンバープレート4に取付けられる構造となっている。この場合、電波モジュール1は、車両の前端部に配置されているナンバープレートに取付けられても良いし、車両の後端部に配置されているナンバープレートに取付けられても良い。
【0016】
電波モジュール本体2は、その筐体5がナンバープレート4側(図2では下側)に開口する2段形状の凹部6とナンバープレート4とは反対側(図2では上側)に開口する凹部7とがナンバープレート4の横方向(図2では左右方向)に沿って並ぶ形状に構成されている。2段形状の凹部6にあってナンバープレート4と反対側(幅寸法が小さい側)はサブ電池収容部8とされており、サブ電池収容部8には、例えばボタン電池から構成されるサブ電池9が蓋部材10の上面側(図2では上側)に位置決め部11a,11bにより位置決めされた態様で搭載されていると共に、サブ電池9から見てナンバープレート4とは反対側にプリント基板12が配置されている。プリント基板12は、その表面側(図2では上側)に例えば導体パターンによりパッチアンテナ13が形成されていると共に、その裏面側(図2では下側)に詳しくは後述する各機能ブロックを構成する回路素子14が実装されている。
【0017】
サブ電池9の正極9aは、アーチ形状のターミナル15を介してプリント基板12に接続されており、サブ電池9の負極9bは、直線形状のターミナル16を介してプリント基板12に接続されている。また、筐体5とプリント基板12との間には、筐体5からプリント基板12に作用する応力を緩和するための緩衝部材(クッション部材)17a,17bが介在されている。尚、上記したサブ電池収容部8では、蓋部材10が筐体5の段差部5a,5bに固着されていることにより、サブ電池9、プリント基板12、アンテナ13及び回路素子14などが封止されている。
【0018】
筐体5とプリント基板12との間には、詳しくは後述する異常検出部として機能する例えば接点スイッチ18が配置されている。この接点スイッチ18は、一方の接点18aがプリント基板12に固着されていると共に他方の接点18bが筐体5に固着されており、電波モジュール本体2が正常に封止されている態様では、一方の接点18aと他方の接点18bとに互いに向き合う方向の応力が作用することにより両者が接しているものであるが、例えば第三者が電波モジュール1を盗難したり破壊したりすることを目的として電波モジュール本体2の筐体5を取外すと、筐体5とプリント基板12とが離れて一方の接点18aと他方の接点18bとが離れるように構成されている。
【0019】
本体側コネクタ19(本発明でいう着脱機構)は、筐体5に一体的に形成されており、正極端子20が正極リード線21を介してプリント基板12に接続されていると共に負極端子22が負極リード線23を介してプリント基板12に接続されている。一方、凹部7は、取付けボルト24が封緘25を介して取付けられる取付けボルト取付部26とされており、その所定部位には取付けボルト24の軸24aが貫通される貫通穴7aが形成されている。
【0020】
取付けステー3は、上記した電波モジュール本体2がナンバープレート4に取付けられるための部品として機能するものであり、その筐体27がナンバープレート4とは反対側に開口する凹部28と板状部29とがナンバープレート4の横方向に沿って並ぶ形状に構成されている。凹部28は、側壁部30a,30bがナンバープレート4の上下方向に沿って形成されていると共に底壁部31(図3参照)がナンバープレート4の左右方向に沿って形成されている。この場合、これら側壁部30a,30b間の寸法(図2中「W1」参照)は後述するメイン電池32の幅方向の寸法(図6及び図7中「W2」参照)よりも僅かに大きく設定されている。
【0021】
また、図4に示すように、電波モジュール本体2が取付けステー3を介してナンバープレート4に対して正常に取付けられた態様では、取付けステー3の凹部28が電波モジュール本体2の凹部6にあって蓋部材10の下方に嵌合されることによりメイン電池収容部33が形成されるようになっている。この場合、凹部28の底面と蓋部材10との間の寸法(図4中「D1」参照)は後述するメイン電池32の奥行き方向の寸法(図7中「D2」参照)よりも僅かに大きく設定されている。一方、板状部29は、ナンバープレート4の周縁部に回り込ませて引掛けるための引掛部34が形成されていると共に、上記した電波モジュール本体2の凹部7と同様にして、その所定部位には取付けボルト24の軸24aが貫通される貫通穴29aが形成されている。
【0022】
このようにして構成されてなる電波モジュール本体2及び取付けステー3は、図3ないし図5に示すように、取付けボルト24により封緘25と共にナンバープレート4の隅(本実施形態ではナンバープレート4を正面から見てナンバープレート4の左上)に取付けられる。そして、取付けボルト24は、電波モジュール本体2及び取付けステー3がナンバープレート4に取付けられた後に、その上部が封印41により封止される。
【0023】
メイン電池32は、図6に示すように、略矩形状の電池本体35から電池側コネクタ36(本発明でいう着脱機構)が引出された形状に構成されている。電池側コネクタ36は、正極端子37と負極端子38とが電池本体35の奥行き方向に沿って並んで配置されており、正極端子37が正極リード線39を介して電池本体35に接続されていると共に負極端子38が負極リード線40を介して電池本体35に接続されている。
【0024】
この場合、メイン電池32がメイン電池収容部33に対して正常に収容された態様、つまり、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着された態様では、電池側コネクタ36が上記した本体側コネクタ19に対して嵌合されるようになっており、電池側コネクタ36の正極端子37と本体側コネクタ19の正極端子20とが導通されると共に電池側コネクタ36の負極端子38と本体側コネクタ19の負極端子22とが導通され、メイン電池32の電力が電池側コネクタ36及び本体側コネクタ19を介して電波モジュール本体2側へ伝送されて回路素子14へ供給されるようになっている。尚、この場合、電池側コネクタ36が本体側コネクタ19に対して正常に嵌合されているときには、電池側コネクタ36の爪部36aと本体側コネクタ19の爪部19aとが係止されている。尚、本体側コネクタ19と電池側コネクタ36とは共に防水構造となっている。
【0025】
尚、本実施形態では、メイン電池収容部33がナンバープレート4の上方に開口を有するように構成されることから、図6に示すように、メイン電池32がナンバープレート4の上方向から着脱されることになる。ここで、図7は、メイン電池32がメイン電池収容部33に対して正常に収容された態様、つまり、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着された態様を示している。
【0026】
次に、上記した電波モジュール1の電気的な構成について、図1を参照して説明する。電波モジュール1は、機能ブロックとして、制御部51、スイッチ部52、RF部53、高周波発振部54、不揮発性メモリ55(本発明でいう記憶部)、ウェイクアップ部56、上記した接点スイッチ18から構成される異常検出部57、判定部58、低周波発振部59、揮発性メモリ60(本発明でいう記憶部)及び電源部61を備えて構成されている。これら各機能ブロックは、上記した回路素子14により実現されている。
【0027】
電源部61は、これら各機能ブロックへの動作電力の供給元をサブ電池9とメイン電池32との間で切替える。具体的に説明すると、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されている場合であれば、電源部61は、メイン電池32と各機能ブロックとの間の電力供給線を接続すると共にサブ電池9と各機能ブロックとの間の電力供給線を切断することにより、メイン電池32から供給される電力を制御部51、スイッチ部52、RF部53、高周波発振部54、不揮発性メモリ55、ウェイクアップ部56、異常検出部57、判定部58、低周波発振部59及び揮発性メモリ60の機能ブロックの全てへ動作電力として供給可能である。つまり、電源部9は、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されている場合であれば、メイン電池32をサブ電池9よりも優先することにより、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着された旨をトリガとして各機能ブロックへの動作電力の供給元をサブ電池9からメイン電池32へ切替える。
【0028】
これに対して、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されていない(メイン電池32が電波モジュール本体2に対して装着されていない、または、電池本体35がメイン電池収容部33に収容されていたとしても電池側コネクタ36が本体側コネクタ19に対して正常に嵌合されていない)場合であれば、電源部61は、サブ電池9と各機能ブロックとの間の電力供給線を接続すると共にメイン電池32と各機能ブロックとの間の電力供給線を切断することにより、サブ電池9から供給される電力を少なくとも異常検出部57及び揮発性メモリ60の機能ブロックのみへ動作電力として供給する。この場合、サブ電池9から供給される電力を判定部58及び低周波発振部59へも動作電力として常時供給するようにしても良いが、より電力消費を抑制するには、セキュリティに関係する異常が発生した旨が異常検出部57により検出された時点をトリガとして判定部58及び低周波発振部59へ動作電力を供給するのが望ましい。
【0029】
換言すれば、上記した構成では、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されている場合であれば、制御部51、スイッチ部52、RF部53、高周波発振部54、不揮発性メモリ55、ウェイクアップ部56、異常検出部57、判定部58、低周波発振部59及び揮発性メモリ60の機能ブロックの全てがメイン電池32から供給される電力を動作電力として動作し(図1中「a」参照)、これに対して、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されていない場合であれば、少なくとも異常検出部57及び揮発性メモリ60の機能ブロックのみがサブ電池9から供給される電力を動作電力として動作し、セキュリティに関係する異常が発生した旨が異常検出部57により検出されると、判定部58及び低周波発振部59の機能ブロックもサブ電池9から供給される電力を動作電力として動作する(図1中「b」参照)。
【0030】
ここで、上記した各機能ブロックの処理を説明する。ウェイクアップ部56は、電波信号がアンテナ62により捕捉されてスイッチ部52を介して入力されると、例えば電波信号を包絡線検波して判定部58へ信号出力する。判定部58は、ウェイクアップ部56により検波された信号に基づいて電波モジュール1(制御部51)を起動させるための条件が成立したか否かを判定し、起動させるための条件が成立した旨を検出すると、起動信号を制御部51へ出力する。そして、制御部51は、判定部58から起動信号が入力されると、高周波発振部54から供給される高周波クロックを動作クロックとして動作し、RF部53の通信動作を制御すると共に不揮発性メモリ55に対してメモリ情報(例えば車検証情報やセキュリティ情報など)の読み書き動作を制御する。
【0031】
揮発性メモリ60は、例えば不揮発性メモリ55に記憶されているメモリ情報をバックアップしたりセキュリティに関係する情報を保持したりしておくためのバックアップメモリとして機能するもので、バックアップ情報としてのメモリ情報を記憶している。異常検出部57は、上記したように例えば第三者が電波モジュール1を盗難したり破壊したりすることを目的として電波モジュール本体2の筐体5を取外すことにより接点スイッチ18の一方の接点18aと他方の接点18bとが離れると、異常検出信号を判定部58及び低周波発振部59へ出力する。
【0032】
低周波発振部59は、異常検出部57から異常検出信号が入力されると、その異常検出信号が入力された旨をトリガとして低周波クロックを判定部58へ供給する。判定部58は、異常検出部57から異常検出信号が入力されると、低周波発振部59から供給される低周波クロックを動作クロックとして動作し、異常検出であると判定するための条件が成立したか否かを判定し、その条件が成立した旨を検出すると、起動信号を制御部51へ出力するのと合わせて異常通知信号をも制御部51へ出力する。制御部51は、判定部58から起動信号と合わせて異常通知信号が入力されると、高周波発振部54から供給される高周波クロックを動作クロックとして動作し、不揮発性メモリ55に記憶されているメモリ情報の一部または全部を消去すると共に、揮発性メモリ60に記憶されているメモリ情報の一部または全部をも消去する。
【0033】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、電波モジュール1において、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して着脱可能に構成したので、メイン電池32の容量が消耗した場合には、容量が消耗したメイン電池32から容量が十分なメイン電池32に交換することにより、電波モジュール1としての製品寿命を長くすることができる。また、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されていない態様であっても、サブ電池9から揮発性メモリ60及び異常検出部57へ動作電力が供給されるように構成したので、メイン電池32が交換される段階でも揮発性メモリ60への動作電力の供給が一時的に停止されることがなく、揮発性メモリ60に記憶されているメモリ情報を適切に保持することができると共に、製品として流通される途中の保管段階でメイン電池32が搭載されていなくとも、セキュリティ動作を適切に実施することができる。
【0034】
また、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されていない場合であっても、セキュリティに関係する異常が発生した旨が異常検出部57により検出されると、揮発性メモリ60に記憶されているメモリ情報の一部または全部が消去されるように構成したので、セキュリティに関係する異常が発生した場合にメモリ情報が盗まれたり改ざんされたりすることを未然に回避することできる。
【0035】
また、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されていない態様であっても、サブ電池9から判定部58へ動作電力が供給されることにより、異常検出部57の検出結果が判定部58により判定されるように構成したので、本来はウェイクアップ部56の検出結果を判定する判定部58を、異常検出部57の検出結果を判定する機能ブロックとしても動作させることができ、異常検出部57と合わせてより確実な異常判定を行うことが可能となり、本来はウェイクアップ部56の検出結果を判定する判定部58を有効に活用することができる。
【0036】
また、セキュリティに関係する異常が発生した旨が異常検出部57により検出された旨をトリガとして低周波発振部59から判定部58へ低周波クロックが供給されるように構成したので、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されていない態様であっても、低周波発振部59の動作期間を必要最小限に抑制することにより、低周波発振部59の電力消費を抑制することができ、電波モジュール1全体としての電力消費を抑制することができる。
【0037】
また、各機能ブロックへの動作電力の供給元がサブ電池9であるときにメイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着されると、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着された旨をトリガとして各機能ブロックへの動作電力の供給元がサブ電池9からメイン電池32へ電源部61により切替えられるように構成したので、サブ電池9の容量の消耗を必要最小限に抑制することができ、電波モジュール1としての製品寿命をより一層長くすることができる。
【0038】
さらに、電波モジュール本体2がナンバープレート4から取外されることなく且つ防水構造を有する着脱機構によりメイン電池32が電波モジュール本体2に対して着脱可能であると共に、その着脱方向がナンバープレート4の上方向、横方向または下方向のいずれかであるよう構成したので、着脱箇所で防水性を確保することができると共に、ナンバープレート4の上方向、横方向または下方向のいずれかから着脱することができる。
【0039】
ところで、上記した構成では、図8に示すように、メイン電池32が電波モジュール本体2に対して正常に装着された態様で電波モジュール1の一部の箇所(特には電池側コネクタ36と本体側コネクタ19との嵌合箇所)または全体がカバー71により覆われる構成であっても良い。このように構成すれば、電波モジュール1に汚れや水滴が直接付着されるのを未然に回避することができ、また、電池側コネクタ36と本体側コネクタ19との嵌合箇所が外部に露出されないことから、コネクタ同士の嵌合が自発的に外れてしまうことを回避することができると共に、第三者によりコネクタ同士の嵌合が意図的に外されてしまうことをも回避することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図9を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。上記した第1の実施形態は、電波モジュール本体2が取付けステー3を介してナンバープレート4に取付けられている態様でメイン電池収容部33がナンバープレート4の上方に開口を有するように構成されていることにより、メイン電池32が電波モジュール本体2に対してナンバープレート4の上方向から着脱されるものであるが、これに対して、第2の実施形態は、電波モジュール本体が取付けステーを介してナンバープレートに取付けられている態様でメイン電池収容部がナンバープレートの横方に開口を有するように構成されていることにより、メイン電池が電波モジュール本体に対してナンバープレートの横方向から着脱されるものである。
【0041】
すなわち、電波モジュール81は、電波モジュール本体82が取付けステー83を介してナンバープレート4に取付けられるように構成されており、電波モジュール本体82が取付けステー83を介してナンバープレート4に取付けられている態様では、メイン電池収容部84が電波モジュール本体82と取付けステー83とからナンバープレート4の左方に開口を有するように構成されている。この場合、メイン電池85は、電波モジュール本体82に対してナンバープレート4の左方向から着脱されることになる。尚、電波モジュール本体82に一体に形成されている本体側コネクタ86とメイン電池85から引出されている電池側コネクタ87との関係は、上記した第1の実施形態に記載した本体側コネクタ19と電池側コネクタ36との関係と比較すると、それらの嵌合方向が異なっているのみであり、基本的構造や嵌合形態は同じである。
【0042】
この第2の実施形態においても、上記した第1の実施形態に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、すなわち、メイン電池85が電波モジュール本体82に対して着脱可能に構成したので、メイン電池85の容量が消耗した場合には、容量が消耗したメイン電池85から容量が十分なメイン電池85に交換することにより、電波モジュール81としての製品寿命を長くすることができる。
【0043】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
電波モジュール本体が取付けステーを介してナンバープレートに取付けられている態様でメイン電池収容部がナンバープレートの下方に開口を有するように構成されていても良く、メイン電池が電波モジュール本体に対してナンバープレートの下方から着脱される構成であっても良い。
【0044】
異常検出部は、電波モジュール本体にあって筐体とプリント基板との間に配置されるものに限らず、他の箇所に配置されるものであっても良いし、また、接点スイッチから構成されるものに限らず、他の構造のスイッチやセンサから構成されるものであっても良い。
サブ電池及びメイン電池は、充電不可能な(使い切り型の)一次電池に限らず、充電可能な二次電池でも良い。その場合、特にメイン電池が二次電池である場合には、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着され、各機能ブロックへの動作電力の供給元がサブ電池からメイン電池へ切替えられた後に、メイン電池からサブ電池へ電力が供給されてサブ電池が充電される構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す機能ブロック図
【図2】電波モジュール本体及び取付けステーの横断平面図
【図3】取付けステーがナンバープレートに取付けられた態様を示す正面図(a)及び横断平面図(b)
【図4】電波モジュール本体が取付けステーを介してナンバープレートに取付けられた態様を示す正面図(a)及び横断平面図(b)
【図5】電波モジュール本体が取付けステーを介してナンバープレートに取付けられた態様で取付けボルトが封印された態様を示す正面図(a)及び横断平面図(b)
【図6】メイン電池が電波モジュール本体に対して装着される態様を示す図
【図7】メイン電池が電波モジュール本体に対して装着された態様を示す正面図(a)及び横断平面図(b)
【図8】カバーが取付けられた態様を示す正面図
【図9】本発明の第2の実施形態を示すものであって、メイン電池が電波モジュール本体に対して装着される態様を示す図
【符号の説明】
【0046】
図面中、1は電子ナンバープレート用の電波モジュール、2は電波モジュール本体、9はサブ電池、19は本体側コネクタ(着脱機構)、32はメイン電池、36は電池側コネクタ(着脱機構)、51は制御部、53はRF部、55は不揮発性メモリ(記憶部)、56はウェイクアップ部、57は異常検出部、58は判定部、59は低周波発振部、60は揮発性メモリ(記憶部)、61は電源部、81は電波モジュール、82は電波モジュール本体、85はメイン電池である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波モジュールの動作全般を制御する制御部と、通信動作を行うRF部と、メモリ情報を記憶する記憶部と、セキュリティに関係する異常が発生したか否かを検出する異常検出部とを備え、メイン電池が電波モジュール本体に対して正常に装着されている態様で少なくとも前記制御部と前記RF部と前記記憶部とが前記メイン電池から供給される電力を動作電力として動作する電子ナンバープレート用の電波モジュールであって、
前記メイン電池が単独で前記電波モジュール本体に対して着脱可能であると共に前記メイン電池とは別体にサブ電池が搭載され、前記メイン電池が前記電波モジュール本体に対して正常に装着されていない態様であっても、前記サブ電池から少なくとも前記記憶部及び前記異常検出部へ動作電力が供給されることにより、前記記憶部に記憶されているメモリ情報が保持されると共にセキュリティに関係する異常が発生したか否かが前記異常検出部により検出されることを特徴とする電子ナンバープレート用の電波モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載した電子ナンバープレート用の電波モジュールにおいて、
前記メイン電池が前記電波モジュール本体に対して正常に装着されていない場合であっても、セキュリティに関係する異常が発生した旨が前記異常検出部により検出された場合には、前記記憶部に記憶されているメモリ情報の一部または全部が消去されることを特徴とする電子ナンバープレート用の電波モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載した電子ナンバープレート用の電波モジュールにおいて、
前記制御部を起動させるための条件が成立したか否かを検出するウェイクアップ部と、
前記ウェイクアップ部の検出結果または前記異常検出部の検出結果を判定して前記制御部を起動させるための条件が成立した旨を検出した場合に前記制御部を起動させる判定部とを備え、
前記メイン電池が前記電波モジュール本体に対して正常に装着されていない態様であっても、前記サブ電池から前記判定部へ動作電力が供給されることにより、前記異常検出部の検出結果が前記判定部により判定されることを特徴とする電子ナンバープレート用の電波モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載した電子ナンバープレート用の電波モジュールにおいて、
低周波クロックを前記判定部へ動作クロックとして供給する低周波発振部を備え、
セキュリティに関係する異常が発生した旨が前記異常検出部により検出された旨をトリガとして前記低周波発振部から前記判定部へ低周波クロックが供給されることを特徴とする電子ナンバープレート用の電波モジュール。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載した電子ナンバープレート用の電波モジュールにおいて、
各機能ブロックへの動作電力の供給元を前記サブ電池と前記メイン電池との間で切替える電源部を備え、
各機能ブロックへの動作電力の供給元が前記サブ電池であるときに前記メイン電池が前記電波モジュール本体に対して正常に装着された場合には、前記メイン電池が前記電波モジュール本体に対して正常に装着された旨をトリガとして各機能ブロックへの動作電力の供給元が前記サブ電池から前記メイン電池へ前記電源部により切替えられることを特徴とする電子ナンバープレート用の電波モジュール。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載した電子ナンバープレート用の電波モジュールにおいて、
前記電波モジュール本体がナンバープレートから取外されることなく且つ防水構造を有する着脱機構により前記メイン電池が前記電波モジュール本体に対して着脱可能であると共に、その着脱方向が前記ナンバープレートの上方向、横方向または下方向のいずれかであることを特徴とする電子ナンバープレート用の電波モジュール。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載した電子ナンバープレート用の電波モジュールにおいて、
前記メイン電池が前記電波モジュール本体に対して正常に装着された態様で前記メイン電池及び前記電波モジュール本体の一部または全体がカバーにより覆われることが可能に構成されていることを特徴とする電子ナンバープレート用の電波モジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−311075(P2006−311075A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129688(P2005−129688)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】