説明

電子バラスト用のランプ寿命末期、アーク放電防止、及び無負荷保護のための一点検知

ランプが寿命末期(EOL)段階にある時、或いは、ランプとホルダとの間の接触が損なわれた際に生じ得るようなアーク伝導状態にランプがある時に、ランプ用のバラスト回路においてパルスを検知することを促進するシステム及び方法を開示する。パルスを検知すると、マイクロコントローラは、検出されたパルス幅(群)とに基づいて、EOLとアーク放電状態とを区別し得ると共に、適切な応答を開始し得る。例えば、パルスがアーク放電事象によるものである場合、マイクロコントローラは、ランプを再始動する前に短期間に渡ってランプ動作を中断してアーク放電状態を軽減し得る。パルスがEOL状態により生じた場合、マイクロコントローラは、ランプを余熱又は再始動モードに入れて、ランプの故障を早める。何れの場合も、検知されたパルスへの応答により、ランプソケットに損傷を与え得る危険な高ランプ温度の発生が軽減される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ランプ及び関連回路を設計する時、経済面の考慮は、最も重要であり、許容できる設計と最適な設定との間の差となる場合が多い。現代のランプは、多数の設計バリエーションに対応する様々なサイズのものがある。例えば、T8ランプサイズは、直径約1インチだが、T12ランプは、直径約1.5インチである。他のサイズも、設計者及び消費者の必要性に合わせて入手可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第6291944号明細書
【特許文献2】WO2005/027591A
【特許文献3】米国特許第5982113号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
T5ランプ及びバラストは、他のバラスト及びランプシステムに比べてコンパクトなサイズと高いルーメン効果とのためもあり、普及が進んできている。しかしながら、直径の小さいランプには、特にランプが寿命末期(EOL)に近づく時に、特定の不安が生じ得る。例えば、一部のランプのエンドキャップは、EOL段階に近づくにつれ、フィラメント内の発光混合物の枯渇と、陰極とランプ壁との間の小さな間隙とのため、過熱する可能性がある。これが生じると、ランプのエンドキャップ及びホルダは、設計温度限界を超え、照明システムの安全及び信頼性に悪影響を与える。したがって、ランプの過熱状態を検出及び/又は回避することを促進するシステム及び/又は方法について、この技術には満たされていない必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つ以上の態様によれば、電子バラスト用の寿命末期、アーク放電防止、及び無負荷保護の一点検知を促進するシステムは、第一及び第二のキャパシタと直列に接続された第一のランプにおけるパルシング事象の発生時に、電流及び電圧の一つ以上における階段状変化を受ける前記第一のキャパシタ、前記第二のキャパシタ、及びダイオードと、電流及び電圧の一つ以上における前記階段状変化を検出し、前記パルシング事象に対する応答作用を、少なくとも一個のパルスに関連する情報の関数として開始するコントローラと、を備え得る。
【0005】
他のアスペクトによれば、電子バラスト内の事象を検知する方法は、前記電子バラストと適切に動作可能に接続されたランプを始動するステップと、前記バラスト内のインダクタ及び陰極トランスの巻線の少なくとも一方を通過する電流における階段状変化を検出することにより、少なくとも一回のパルシング事象が生じたかを判断するステップと、前記パルシング事象が前記ランプの寿命末期状態に関連するか、或いは前記ランプの端子におけるアーク放電状態に関連するかを判断するステップと、を備え得る。
【0006】
他の特徴によれば、ランプ内の危険状態の軽減を促進するシステムは、電流レベルの階段状変化が生じたかを検出する手段と、前記ランプの寿命末期状態及びランプ端子におけるアーク放電状態の少なくとも一方により前記階段状変化が生じたことを、前記階段状変化に関連するパルス幅が示唆するかを判断する手段と、前記階段状変化が寿命末期状態により生じたと判断された場合、ランプの故障を早める手段と、前記階段状変化が前記ランプの端子におけるアーク放電状態により生じたと判断された場合、ランプの動作を所定期間に渡って一時中断する手段と、を備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】EOL検出、アーク放電防止、及び開負荷保護プロトコルに一点電圧検知を利用するプログラムスタート型バラストトポグラフィの概略図である。
【図2】ランプがEOL又はアーク放電モードにある時のトポグラフィ内の電流経路を示す、プログラムスタート型バラストトポグラフィの一部の概略図である。
【図3】様々な態様による、ランプがEOLパルシングモードにある時のインダクタL1全体の電流及び電圧のグラフを示す図である。
【図4】様々な態様による、ランプがEOLパルシングモードにある時のインダクタL1全体の電流及び電圧のグラフを示す図である。
【図5】様々な態様による、所定数の事象を検出後にランプバラストにおけるアーク放電及び/又はEOL事象に応答するための方法を示す図である。
【図6】本発明の革新の一つ以上の特徴による、ランプバラスト出力の一時的遮断によりアーク放電を軽減するための方法を示す図である。
【図7】本明細書に提示した様々な特徴による、ランプの無負荷保護の提供を促進するバラスト回路のトポロジを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来のバラストは、ランプを連続して実現し、過電圧(例えば、陰極内の発光混合物の枯渇によるランプの電圧上昇)を使用すること、或いは、整流電流が通過する時にDC阻止コンデンサにおいて発生する電圧を検知することにより、ランプの整流を検知する。測定電圧が所定の最小値群及び最大値群の枠外である場合、通常、保護回路は、バラストを停止することで応答する。
【0009】
しかしながら、過電圧検知手法には、多数の欠点が伴う。第一に、バラストは、様々な電圧で動作する多数のワット量及びランプ長に対応可能である必要がある。第二に、この問題は、二個以上のランプが直列構成において動作する際に一層顕著になる。こうした検出方法により設計されたバラストは、信頼性の高い動作をしない場合が多く、ランプが良好な状態であっても、誤動作を生じる恐れがある。場合によっては、保護回路は、バラスト始動シーケンスの開始、ランプ交換、又はバラストの停止による固定部の均等な配線長により応答する可能性がある。上記の問題により、こうしたバラストの動作は、最善でも信頼性の低いものとなる。
【0010】
別のEOL検出機構では、ランプと直列のコンデンサを使用して、ランプ電流の整流又は不平衡の存在を検出する。コンデンサ全体のDC値が所定値の枠外である場合、回路は、バラストを停止して、ランプのエンドキャップ及びホルダの過熱を防止することでバラストを保護する。ルーメン効果を高める目的で、一部のランプ設計では、クリプトン(Kr)をバッファガスとして使用して、ランプの効果及び実用性を高める。Krの含有量が高いと、調光の無い用途であっても、ランプにおいてストライエーションが発生する場合が多い。一部のバラスト設計では、ランプにDC電流を投入してランプの安定性を向上させるが、追加したDC部品が、EOL保護回路を混乱させる恐れがある。コントローラ駆動回路の部品公差及び不均衡は、こうした問題を更に悪化させる。
【0011】
様々な無負荷保護方法も、無負荷状態からバラストを保護すると共にソケット接触子に存在する過剰高電圧を低減するために、バラスト設計者により開発されてきた。これには、陰極上のDC電流経路又はランプ全体の電圧の何れかを検知することが含まれる。何れの方法も、スイッチング装置及び制御用の集積回路に対して十分且つ迅速な保護を提供せず、寧ろ、無負荷状態により多数のバラストの障害が生じる恐れがある。
【0012】
本明細書に記載の多数の態様により、バラスト設計内のランプ寿命末期(EOL)検出/保護回路がランプEOLモードにより生じる過熱の防止を促進することを説明する。一般に、ランプが寿命末期に近づく際には、ランプにおけるパルシング、非対称電力損失、及び一個又は二個のランプ陰極における開フィラメントという三種類のモードを示す。本願は、ランプがEOLの状態にある時の、或いは、ランプとホルダとの間の劣悪な接触によるアーク伝導状態における、対称及び/又は非対称パルシングを検出するためのパルス検知回路及びプログラミングルーチンを提示する。何れの場合(EOL又はアーク放電)においても、ランプの電流における階段状変化が発生し、ランプに直列の電流制限コンデンサ全体の電圧が減少する。階段状変化に応答して、階段状の高ピーク電流は、陰極加熱トランスの一次巻線を通過し、次に、巻線全体に高ピーク電流を発生させる。アナログ回路は、サンプルホールド回路により最初にピーク電流信号を処理可能であり、マイクロコントローラが更に信号を処理し得る。本発明の革新には、プログラミング電力を利用して、ランプがEOL段階にあるか、或いは、アーク放電状態となっているかを判断し、その後、相応に応答する、一点検知手法が含まれる。最後に、直列及び/又は並列ランプ構成のための一点検知手法には、無負荷検出回路も組み込まれる
アーク放電現象は、ランプと、ランプを配置するホルダ又はソケットとの間に中間接触が存在する時、及び通電ランプ交換期間中に見られる場合があり、ランプのホルダ及び他の固定部品を過熱させる恐れがある。現在市販されるバラストの多くは、アーク放電防止による保護を備えていない。出力内のアーク放電は、EOL段階のランプが示すパルスと同様に、単一の検出点に表れるが、しかしながら、アーク放電パルスのピーク期間は、EOLパルスよりも長い。したがって、プログラミングを利用してパルス継続時間を特定し、これを利用することで、EOLをアーク放電から区別し得る。長パルス幅(例えば、約50msより長い)は、出力に存在するアーク放電の指標となる。バラスト100は、顧客のニーズに応じて二種類の形でアーク放電に応答し得る。例えば、一手法は、アークを所定数まで検出した後、ランプの停止及び再始動と、その後のバラストの停止とを含む。別の手法は、出力の一時的中断によるアーク放電の除去を含む。
【0013】
図1を参照すると、プログラムスタート型バラストトポグラフィ100の概略図を示しており、バラストは、EOL検出、アーク放電防止、及び開負荷保護プロトコルに、一点電圧検知を利用する。バラスト100は、EOL事象とアーク放電事象とを区別可能であり、アーク放電事象をEOL信号と取り違えた場合に発生し得るランプの不要な損耗を防止する形で、アーク放電事象に応答し得る。本発明の革新の様々な特徴によれば、電子バラストは、T5放電ランプ及び他のランプサイズ(例えば、T8、T4、T1、T2、T3、又は他の任意の適切なランプサイズ)において利用し得る。関連する態様によれば、バラスト回路は、並列ランプT5(又は他のサイズのランプ)のバラスト用のEOL検出、アーク放電防止、及び無負荷保護を提供するために利用し得る。本明細書で開示した殆どの態様に関連してT5ランプを説明しているが、説明した革新と共に任意の適切なランプサイズを利用してよく、説明した特徴の範囲及び趣旨には、こうしたあらゆるランプサイズが含まれるものと理解されたい。
【0014】
図1の回路は、EOL、アーク放電防止、及び開負荷保護のために一点電圧検知を利用するプログラムスタート型バラストトポロジを表しており、Lamp1と記載されたランプと直列に二個のコンデンサC1及びC3が存在する。コンデンサC2、C4、及びLamp2は、第一のコンデンサ−ランプセットの並列ランプ動作用の複製である。トランスT1の出力巻線は、二つの区画に分割されており、スイッチQ1とダイオードD1、D2、D3、及びD4は、この構成内のインダクタL1及びマイクロコントローラM1と連動して、余熱、陰極電圧制御、及び始動を促進する。C1及びC3は、ランプの電流制限を容易にするために存在する。ダイオードD5と、コンデンサC5及びC6と、レジスタR1及びR2は、EOL、アーク放電防止、及び開負荷信号検知を容易にする。一点検知は、様々な態様により、ノード102における電流及び/又は電圧を検知することで容易にし得る。
【0015】
図示したように、Lamp1及びLamp2は、マイクロコントローラM1により、両ランプをEOL及び/又はアーク放電状態について同時に評価することが可能な並列構成において配置される。例えば、Lamp1がアーク放電していると判断された場合、マイクロコントローラM1等のコントローラ、或いは他の任意の適切な又は公知のハードウェア又はソフトウェアに基づく制御デバイスは、図5及び図6を参照して以下に説明したようなアーク放電防止プロトコルを開始し得る一方、Lamp2を引き続き正常に動作させることができる。別の例によれば、Lamp2をEOLモードとして、マイクロコントローラに故障シーケンスを開始させてLamp2が安全上の問題を引き起こさない状態を確保できる一方、Lamp1を引き続き正常に動作させることができる。したがって、並列構成を採用することで、アーク放電及び/又はEOL状態に応答する時に、バラスト回路に関連する全てのランプを完全に停止する必要性を軽減することができる。
【0016】
図1の並列ランプ構成において、マイクロコンピュータM1は、ランプ1のコンデンサC1及びC3、及び/又はLamp2のコンデンサC2及びC4におけるにおける階段状変化を、それぞれD1又はD4を介した電流の流れにより間接的に評価してアーク放電又はEOL事象が発生しているかを判定できる。例えば、マイクロコンピュータM1は、状態が存在するかを判定するために、アーク放電及び/又はEOL状態に関連するパルス幅(群)を評価及び比較し得ると共に、通常、アーク放電事象はEOL事象より幅広のパルスに関連するため、パルス幅に基づいてアーク放電及びEOL状態を区別し得る。
【0017】
図2は、上記のプログラムスタート型バラストトポグラフィに類似するものにし得るプログラムスタート型バラスト200トポグラフィの一部の概略図を示しており、ランプがEOL又はアーク放電モードである時のトポグラフィ内の電流経路を示している。例えば、ランプがEOLモードに近づく時には、同時電流整流及び対称/非対称パルスを観察し得る。様々なパルス持続期間(例えば、オン3ms/オフ3ms、オン27ms/オフ3ms等)を適合性について試験した。図2に示したように、EOLモードでは、ある状態から別の状態へのパルスの遷移により、C1及びC3において階段状電圧変化が生じる(下記の図3に図示)。階段状変化により、ダイオードD1を介してC1及びC3を充電する高Δi/Δt電流が生じる。巻線L1を通過する高Δi/Δt電流は、インダクタL1全体で高ピーク電圧を生成する。
【0018】
図1の構成要素を参照すると、波形は、D5、C5、R1及びR2、及びD6を備えるピークサンプルホールド回路により更に処理され得る。ツェナーダイオードD6は、信号対雑音比(SNR)を改善するために利用し得るものであり、C6は、高周波雑音をフィルタにより除去するために利用し得る。結果的な波形を、下記図4に示す。回路は、信号の最小幅が設計に使用されるマイクロコントローラM1の最大サンプリングレートより大きくなり得るように設計される。EOL信号の検出時、マイクロコントローラM1は、ランプを再始動する前に、事前に設定された継続時間に渡って、バラストを余熱モード又は停止モードに設定し得る。一部の機能によれば、バラストは、EOL信号がN回検出された後、恒常的停止モードにしてよく、ここで、Nは、整数であり、入力電源を入れ直すこと、或いはランプ交換することによってのみリセット可能である。更に具体的な例によれば、Nは3に等しくし得るが、様々な設計及び/又は設計者の好みに応じて、他の任意の適切な数(例えば、1、2、4、5、6等)を選択してもよい。
【0019】
図3及び4は、様々な態様による、ランプがEOLパルシングモードである時のインダクタL1全体の電流及び電圧のグラフ300及び400を示す。例えば、図3は、先行各図のコンデンサC1全体の電圧302と、C3全体の電圧304とを示す。サンプルホールド及びスケールダウンプロトコル前のインダクタL1全体のピーク電圧306を、インダクタL1を通過するピーク電流308と共に示している。図4は、マイクロコントローラM1のアナログ−デジタルコンバータ向けに信号を調整した時の、こうしたプロトコル後のインダクタL1全体の電圧402を示している。
【0020】
図5及び6では、EOL、アーク放電防止、及び無負荷保護プロトコル用の一点検知を可能にする並列ランプバラストの提供を促進する方法を説明している。方法は、一連の動作を表すフロー図として表現される。しかしながら、説明した革新の様々な態様により、一つ以上の動作は、図示した順序と異なる順序で発生し得ること、及び、一つ以上の他の動作と同時に発生し得ることは理解されよう。更に、一部の態様により、特定の方法は、図示した全ての動作より少ない動作を含む場合があることを理解されたい。
【0021】
図5は、様々な態様による、所定回数のアーク検出後にランプバラストにおいてアーク放電及び/又はEOLパルシング事象に応答するための方法500を示している。方法500は、ランプがその寿命末期にあること、或いは、アーク放電状態が存在することが判定された際に、ランプの故障を効果的に助長することにより、ランプ及び/又はランプソケットの過熱、溶解等、潜在的に危険なランプ状態の軽減を促進する。502において、T5ランプ等のランプは、電源オフである期間の後、或いはリセットされた後、電源オンとなり得る。504において、ランプは、余熱期間に入り、T_preheatとして定義される期間Tを有するものと説明し得る。余熱期間の完了後、ランプは、506において、ランプが「オン」状態に維持される始動モード又は「ラン」モードに入り得る。508において、アーク放電又はEOL事象が発生又は検出されたかについて判断し得る。アーク放電事象は、ランプ端子とランプを設置するホルダ又はソケットとの間での意図しない又は好ましくない中間接触が存在するような時に発生し得る電気の移動である場合があり、或いは、EOLパルシング事象である場合がある。EOL又はアーク放電事象が検出されない場合、方法は、ランプ動作継続のため506に戻り得る。この意味において、506及び508間のループは、ランプの動作を妨害することなく、アーク放電又はEOL事象についてランプを監視することを促進する継続的なモニタ−フィードバックループを表す。
【0022】
508においてEOL又はアーク放電事象が検出された場合、510において、事象発生数Nが所定の閾値発生数より大きいかについて判断し得る。例えば、所定の閾値N_setを定義し、アーク放電事象又はEOL事象がN_set回より多く発生したかについて判断し得る。別の例によれば、応答を引き起こすアーク放電又はEOL事象発生数として、N−setを定義し得る(例えば、N−set以上であるNにより応答が生じる)。NがN_set未満(又は、一部の態様において、以下)である場合、方法は、516での短期間の余熱又は停止へ進み、その後、506へ戻り、ランプ動作を間断なく継続し得る。
【0023】
NがN_setより大きいと判断された場合、512において、ランプを余熱モード又は停止モードに設定し得る。ランプがEOL段階にある場合には、512においてランプを余熱モードに入れることでランプを焼き切り、これにより、潜在的に危険なランプ端子過熱の発生の可能性を低減する。したがって、514において、ランプが交換されたかについて判断し得る。交換されていない場合、方法は、余熱モードでのランプの継続動作又は停止のために512へ戻り得る。この場合、ランプは、停止及び再始動プロトコルを所定回数Nに渡って繰り返し、完全なランプ故障状態を確保して、ランプ端子での過剰な温度を軽減し且つ並列ランプ動作を保持する。514において新たなランプが検出された場合、方法は、506において説明したような始動/ラン動作へ戻り得る。加えて又は代わりに、方法は、ランプの余熱プロトコル等のために504へ戻ってもよい。
【0024】
図6は、本発明の革新の一つ以上の特徴による、ランプバラスト出力の一時的中断によりアーク放電を低減するための方法600を示す。方法600は、ランプがその寿命末期にあるという判定時に、完全なランプ故障を助長することを促進する点において方法500に類似する。方法によれば、602において、T5ランプ等は、電源オフ又はリセット状態の後に電源オンとなり得る。604において、ランプは、余熱期間T_preheatに入り得る。余熱期間が完了すると、ランプは、606において、始動/ランモードに入り得る。608において、アーク放電又はEOL事象が発生したか、或いは検出されたかの判断を実行し得る。例えば、回路内の階段状変化が検出され場合、それに関連するパルスを、一つ以上の所定の閾値に対して評価及び比較することで、EOL事象とアーク放電事象との区別を促進し得る。例えば、アーク放電事象に関連するパルスは、通常、EOL事象に関連するパルスよりも継続時間が長いため、608での判断は、検出されたパルス継続時間を第一の所定閾値(例えば、EOL事象閾値パルス幅又は継続時間)と、第二の所定閾値(例えば、アーク放電パルス幅又は継続時間閾値)とに対して比較することを含み得る。検出されたパルスが、第二の所定閾値以上である場合、方法は616へ進み得る。検出されたパルス継続時間が第二の所定閾値未満である場合、方法は、610へ進み得る。EOL又はアーク放電事象が検出されない場合、方法は、ランプの継続動作のため606へ戻り得る。
【0025】
608においてEOL事象が検出された場合、610において、EOL事象発生数Nが所定の閾値発生数N_setより大きいかについて判断し得る。別の例によれば、応答を引き起こすアーク放電又はEOL事象発生数として、N_setを定義し得る(例えば、N_set以上であるNにより応答が生じる)。NがN_set未満(又は、一部の態様において、以下)である場合、方法は、短期間の余熱又は停止のために618へ進み、その後、506へ戻り、ランプ動作を再開し得る。
【0026】
NがN_setより大きいと判断された場合、612において、ランプを余熱モード又は停止に設定し得る。ここでも、ランプは、停止及び再始動プロトコルを所定回数Nに渡って繰り返し、完全なランプ故障状態を確保して、ランプ端子での過剰な温度を軽減し且つ並列ランプ動作を保持し、即ち、システム内の他方の良好なランプが動作を継続する。614において、ランプが交換されたかについて判断し得る。交換されていない場合、方法は、入力電源を入れ直すまで余熱モード又は停止モードでランプを継続動作するために612へ戻り得る。614において新たなランプが検出された場合、方法は、606の始動/ラン動作へ戻り得る。加えて又は代わりに、614での新たなランプの検出時、方法は、ランプの余熱プロトコル等のために604へ戻ってもよい。
【0027】
或いは、608においてアーク放電状態が検出された場合、616において、ランプの動作に中断を発生させ、アーク放電状態を軽減してランプを通常の動作状態に戻すことを促進し得る。中断は、アーク放電事象を停止させ、ランプを通常動作に戻すために、数マイクロ秒又は数ミリ秒程度のものにし得る。中断期間(例えば、T_interrupt)の完了後、方法は、ランモードでの継続動作のために606へ戻り得る。このようにして、方法600は、T5ランプ等のランプ内のバラストがEOLパルシング事象とアーク放電事象とを区別できるようにすると共に、アーク放電検出時にはランプ寿命の延長を促進し、ランプが耐用寿命の末期に近いと判断された時には安全を考慮してランプ寿命を断ち切る形で、こうした事象に応答できるようにし得る。
【0028】
図7は、本明細書に提示した様々な機能による、ランプの無負荷保護の提供を促進するバラスト回路トポロジ700の概略図を示す。C_parasiticと記載されたコンデンサは、ダイオードD1と並列な等価寄生コンデンサである。電流ループ内には、三個の共振コンデンサ、L1、C1、及びC_parasiticが存在する。バラスト回路700は、インダクタL1の巻線抵抗RL1のみが電力を失い、こうした電力損失は最小限のものであることから、非常に低い電力損失を示す。L1、C1、及びC_parasiticは、高いQに共振する(例えば、Q=ωL/RL1、ここでωは2πfに等しく、RL1はインダクタL1に関連する抵抗である)。したがって、L1と、結果的に(例えば図1の)マイクロコントローラM1とにおいて高電圧を発生させ得るため、マイクロコントローラM1は、バラストを停止モードにすることが可能となる。このようにして、バラスト及び/又はそれに関連するランプは、ランプに悪影響を与え得る開回路状態から保護され得る。
本明細書で説明した様々な態様及び/又は特徴の理解を容易にするために、構成要素及びそれぞれの参照符号の表を以下に記載する。
【0029】
【表1】

一つ以上の態様に従い、様々な構成要素に関連し得る値の例を以下に示す。しかしながら、以下の値は例示の目的でのみ提示されており、対象構成要素は、こうした値に限定されるものではなく、上記の目的を達成し且つ本明細書において説明した機能を提供するために、任意の適切な値を備え得ることを理解されたい。
【0030】
【表2】

上記の概念は、様々な態様を参照して説明してきた。当然のことながら、上記の詳細な説明を読み理解することで、他者は修正及び変更を想到し得よう。上記概念は、こうした全ての修正及び変更を含むものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子バラスト用の寿命末期、アーク放電防止、及び無負荷保護の一点検知を促進するシステムであって、
第一及び第二のキャパシタと直列に接続された第一のランプにおけるパルシング事象の発生時に、電流及び電圧の一つ以上における階段状変化を受ける前記第一のキャパシタ、前記第二のキャパシタ、及びダイオードと、
電流及び電圧の一つ以上における前記階段状変化を検出し、前記パルシング事象に対する応答作用を、少なくとも一個のパルスに関連する情報の関数として開始するコントローラと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記ランプは、T5放電ランプである、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
更に、関連する一対の直列接続されたコンデンサとダイオードとを有する第二のランプを備え、前記第二のランプ及び前記第一のランプは、互いに対して並列に接続される、請求項1又は2記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも一個のパルスに関連する前記情報は、前記少なく主一個のパルスの幅を表し、前記コントローラは、前記少なくとも一個のパルスの前記幅の関数として、寿命末期状態又はアーク放電状態が存在するかを判断する、請求項1乃至3のいずれか1項記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、寿命末期状態が存在すると判断された際に、前記第一のランプを所定回数停止及び再始動して前記ランプを恒久的に無効化する、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、アーク放電状態が存在すると判断された際に、前記ランプを停止及び再始動する、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
電子バラスト内の事象を検知する方法であって、
前記電子バラストと適切に動作可能に接続されたランプを始動するステップと、
前記バラスト内のインダクタ及び陰極トランスの巻線の少なくとも一方を通過する電流における階段状変化を検出することにより、少なくとも一回のパルシング事象が生じたかを判断するステップと、
前記パルシング事象が前記ランプの寿命末期状態に関連するか、或いは前記ランプの端子におけるアーク放電状態に関連するかを判断するステップと、を備える方法。
【請求項8】
更に、前記パルシング事象が前記ランプの寿命末期状態に関連するか、或いは前記ランプの端子におけるアーク放電状態に関連するかを判断するために、検出されたパルシング事象の少なくとも一個のパルスのパルス幅を分析するステップを備える、請求項7記載の方法。
【請求項9】
更に、前記少なくとも一個のパルスの前記パルス幅を所定の閾値と比較するステップを備える、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記パルス幅が第一の所定閾値より大きい場合には、前記パルス事象が寿命末期状態に関連すると判断し、前記パルス幅が第二の所定閾値より大きい場合には、アーク放電状態に関連すると判断する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記第二の所定閾値は、前記第一の所定閾値より大きい、請求項10記載の方法。
【請求項12】
更に、寿命末期状態が存在する場合に、前記少なくとも一回のパルシング事象が所定回数より多く発生したかを判断するステップを備える、請求項10記載の方法。
【請求項13】
更に、前記少なくとも一回のパルシング事象が前記所定回数より多く発生した場合に、前記ランプを余熱モード又は停止モードに入れるステップを備える、請求項12記載の方法。
【請求項14】
更に、前記ランプが交換されたかを検出するステップを備える、請求項8乃至13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
更に、交換ランプが検出されない場合、前記ランプが動作不能となるまで、前記ランプを前記余熱モードに維持するステップを備える、請求項8乃至13のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
更に、前記パルシング事象が前記ランプの端子におけるアーク放電状態であると判断された場合に、前記ランプの動作を所定期間に渡って中断するステップを備える、請求項8乃至15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記所定期間は、約50msである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ランプは、T5放電ランプである、請求項7乃至17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
ランプ内の危険状態の軽減を促進するシステムであって、
電流レベルの階段状変化が生じたかを検出する手段と、
前記ランプの寿命末期状態及びランプ端子におけるアーク放電状態の少なくとも一方により前記階段状変化が生じたことを、前記階段状変化に関連するパルス幅が示唆するかを判断する手段と、
前記階段状変化が寿命末期状態により生じたと判断された場合、ランプの故障を早める手段と、
前記階段状変化が前記ランプの端子におけるアーク放電状態により生じたと判断された場合、ランプの動作を所定期間に渡って一時中断する手段と、を備えるシステム。
【請求項20】
前記ランプは、T5放電ランプである、請求項19記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−515230(P2010−515230A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544140(P2009−544140)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/085586
【国際公開番号】WO2008/082819
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】