説明

電子ビーム合金化加工方法

【課題】被加工物の加工領域の大きさによらず、加工ムラの発生を抑制して安定した合金化加工を行い、均一な合金層を形成すると共に、加工時間を短縮することができる電子ビーム合金化加工方法を得ること。
【解決手段】被加工物の表面に電子ビームの複数の照射点がX軸方向に所定間隔で一列に並ぶ第1照射点列100、および、複数の照射点が第1照射点列100からY軸方向に所定距離離れてX軸方向に所定間隔で一列に並ぶ第2照射点列200を1つの照射領域300として、第1照射点列100および第2照射点列200の一方端から他方端に向けて、所定の周期で各第1照射点列100と各第2照射点列200とに交互に電子ビームを照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビームの照射によって被加工物の表面を合金化する加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子ビームによる合金化加工方法としては、被加工物の送り方向に直角に電子ビームが複数の位置に変位する矩形波信号に三角波信号を重畳して偏向コイルに与え、その複数の位置毎に電子ビームを偏向させながら、被溶接材とその近傍の金属母材とを電子ビームの照射により溶融して合金層を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−39561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、被加工物に合金層を形成する加工領域が大きくなると、電子ビームが変位する位置間の距離が長くなり、その位置毎に電子ビームを偏向する幅も広くなるため、矩形波信号の時間軸方向の幅が大きくなる。このため、前回電子ビームを照射した位置近傍が冷えて凝固してから次回の電子ビームの照射が行われることとなり、被加工物の表面の加工ムラが発生して、形成される合金層が不安定になる、という問題があった。また、合金層を安定して形成するために電子ビームが変位する位置間の距離を短くして加工領域を細かく分割すると、加工時間が長くなる、という問題もあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、被加工物の加工領域の大きさによらず、加工ムラの発生を抑制して安定した合金化加工を行い、均一な合金層を形成すると共に、加工時間を短縮することができる電子ビーム合金化加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる電子ビーム合金化加工方法は、陰極から連続して放出される電子ビームを収束レンズおよび偏向コイルによって金属塗膜が塗布された被加工物の表面に照射し、前記被加工物の表面の合金化加工を行う電子ビーム合金化加工方法において、前記被加工物の形状データに基づいて、前記被加工物の表面に前記電子ビームの複数の照射点が第1の方向に所定間隔で一列に並ぶ第1照射点列、および、複数の前記照射点が前記第1照射点列から前記第1の方向に直交する第2の方向に所定距離離れて前記第1の方向に所定間隔で一列に並ぶ第2照射点列を決定する電子ビーム照射点決定ステップと、前記第1照射点列および前記第2照射点列上の各前記照射点の位置に対応して、前記電子ビームの電流値、前記収束レンズの電流値、および前記偏向コイルの電流値をそれぞれ設定する電子ビーム照射条件設定ステップと、前記第1照射点列および前記第2照射点列の一方端から他方端に向けて、所定の周期で前記各第1照射点列と前記各第2照射点列とに交互に前記電子ビームを照射する電子ビーム照射ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被加工物の加工領域の大きさによらず、加工ムラの発生を抑制して安定した合金化加工を行い、均一な合金層を形成すると共に、加工時間を短縮することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる電子ビーム合金化加工方法を適用する電子ビーム加工装置の一構成例を示す図である。
【図2】図2は、被加工物の略断面図である。
【図3】図3は、被加工物の形状および形状データの一例を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態1にかかる合金化加工方法における被加工物の加工面上の電子ビームの照射位置の一例を示す図である。
【図5】図5は、電子ビームの照射点の移動タイミングを決定するクロック信号の一例を示す図である。
【図6】図6は、被加工物の加工面に複数の照射領域を設定した例を示す図である。
【図7】図7は、電子ビームのX軸方向およびY軸方向の照射経路と照射点の位置の関係を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる電子ビーム合金化加工方法を適用した一例における電子ビーム照射位置の時間変移を示す図である。
【図9】図9は、実施の形態1にかかる電子ビーム合金化加工方法における電子ビーム加工装置の動作フローの一例を示す図である。
【図10】図10は、実施の形態2にかかる合金化加工方法における被加工物の加工面上の電子ビームの照射位置の一例を示す図である。
【図11】図11は、実施の形態3にかかる合金化加工方法における被加工物の加工面上の電子ビームの照射位置の一例を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態3にかかる電子ビーム合金化加工方法を適用する電子ビーム加工装置の一構成例を示す図である。
【図13】図13は、X軸小振幅偏向電流およびY軸小振幅偏向電流の波形、ならびに、照射点を中心とした電子ビームの軌跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかる電子ビーム合金化加工方法について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる電子ビーム合金化加工方法を適用する電子ビーム加工装置の一構成例を示す図である。図1に示すように、加工室11には、図示しない搬送テーブルによって供給された被加工物12が置かれる。被加工物12は、電子銃室1から発生する電子ビームが表面に照射されることによって、電子ビームのビームエネルギーにより表面が溶融する。電子ビームが通過する経路は真空にする必要があるため、電子銃室1および加工室11は、電子ビーム加工装置が起動する前にそれぞれ電子銃室排気装置15および加工室排気装置16によって排気されて真空状態にされる。また、加工室11には、電子ビーム加工装置を起動した時点で電子ビームのビームエネルギーが所定の値に立ち上がるまでの期間、一時的に電子ビームを照射して待機しておくための電子ビーム待機ブロック20を具備している。
【0011】
高電圧電源装置13は、電子銃室1内の陰極3と陽極4との間に直流の高電圧を印加する。これにより、電子ビームが陰極3から放出される。この電子ビームの量に相当し、被加工物12に照射される電子ビームのビームエネルギーを決める電子ビーム電流の大きさは、高電圧電源装置13により陰極3に印加されるバイアス電圧値によって決まる。放出された電子ビームは、陽極4およびオリフィス5を通過して、収束レンズ7および偏向コイル8によって被加工物12の所定の位置に照射されるように調整される。
【0012】
収束レンズ7は、周回状のコイルの内部に発生する磁界により電子ビームを収束させる。この収束レンズ7に供給される収束レンズ電流の大きさによって電子ビームが収束する距離が変わる。
【0013】
偏向コイル8は、コイルから発生した磁界によって電子ビームの向きを変える。この偏向コイル8には、被加工物12の表面の二次元方向、すなわちX軸方向(第1の方向)およびY軸方向(第1の方向に直交する第2の方向)に電子ビームの偏向角度が調整できるように、X軸偏向コイル電流およびY軸偏向コイル電流がそれぞれ個別に供給され、X軸偏向コイル電流の大きさによってX軸方向の偏向角度が変わり、Y軸偏向コイル電流の大きさによってY軸方向の偏向角度が変わる。X軸偏向コイル電流がゼロでX軸方向の偏向角度はゼロになり、Y軸偏向コイル電流がゼロでY軸方向の偏向角度はゼロになる。また、これらのX軸偏向コイル電流およびY軸偏向コイル電流の正負により、それぞれX軸方向およびY軸方向の偏向の向きは逆になる。
【0014】
上述した電子ビーム電流、収束レンズ電流、X軸偏向コイル電流およびY軸偏向コイル電流の各電流値は、電子ビームを所定の位置に照射させるために必要な条件、すなわち加工パラメータであり、これら加工パラメータを適切に制御することにより、電子ビームを所定の位置に照射させることができる。
【0015】
電子ビーム加工データ作成装置17は、被加工物12の形状データに基づいて、被加工物12の表面上における全照射点のXY座標データと共に、上述した加工パラメータを作成する。
【0016】
電子ビーム加工データ出力制御装置18は、各照射点毎の電子ビーム電流値Ienを格納する電子ビーム電流データ格納部21、各照射点毎の収束レンズ電流値Icnを格納する収束レンズ電流データ格納部22、各照射点毎のX軸偏向コイル電流値Idnxを格納するX軸偏向電流データ格納部23、各照射点毎のY軸偏向コイル電流値Idnyを格納するY軸偏向電流データ格納部24、電子ビーム電流値Ienを電子ビーム電流指令値Ieに変換する電子ビーム電流制御回路28、収束レンズ電流値Icnを実電流の収束レンズ電流Icに変換する収束レンズ電流制御回路29、X軸偏向コイル電流値Idnxを実電流のX軸偏向コイル電流Idxに変換するX軸偏向コイル電流制御回路30、Y軸偏向コイル電流値Idnyを実電流のY軸偏向コイル電流Idyに変換するY軸偏向コイル電流制御回路31、および電子ビームの各照射点間移動のトリガーとなるクロック信号を発生するクロック発生回路26を備えている。
【0017】
シーケンス制御回路27は、本実施の形態にかかる電子ビーム合金化加工方法におけるシーケンス制御を行う。より具体的には、クロック発生回路26のクロック周波数設定の制御、加工開始前の初期状態における電子ビーム発生信号の出力制御、および加工開始信号の出力制御を行う。
【0018】
ここで、本実施の形態にかかる電子ビーム合金化加工方法のプロセスについて、図2を参照して説明する。図2は、被加工物の略断面図である。図2に示すように、被加工物12には、加工面にあらかじめ被加工物12の材質とは異なる材質の金属塗膜が塗布されている。
【0019】
電子ビーム(第1電子ビーム)をある照射点に照射すると、ビームエネルギーによりその照射点付近の金属塗膜が溶融する。この工程を塗膜溶融工程と呼び、この塗膜溶融工程を実施する複数の照射点がX軸方向に所定間隔で一列に並ぶ照射点列を、以下「第1照射点列」と呼ぶ。
【0020】
つぎに、塗膜溶融工程における照射点から所定の微小距離(例えば約2mm)離れた照射点に同様に電子ビーム(第2電子ビーム)を照射すると、ビームエネルギーにより被加工物12の表面が溶融し、塗膜溶融工程において溶融された金属塗膜と被加工物12の表面とが攪拌され、被加工物12の表面に合金層が形成される。この工程を塗膜撹拌工程と呼び、この塗膜撹拌工程を実施する複数の照射点がX軸方向に所定間隔で一列に並ぶ照射点列を、以下「第2照射点列」と呼ぶ。
【0021】
本実施の形態では、電子ビームを図2中のX軸方向に一方向に偏向させながら、所定の周期で第1照射点列と第2照射点列とに交互に電子ビームを照射する。これにより、塗膜溶融工程と塗膜撹拌工程とが連続して実施され、被加工物12の表面に均一な合金層が形成される。
【0022】
つぎに、本実施の形態にかかる電子ビーム合金化加工方法の各ステップについて説明する。本実施の形態にかかる電子ビーム合金化加工方法では、被加工物12の加工面上における電子ビームの照射点の配置を決定する電子ビーム照射点決定ステップと、各照射点毎に各パラメータ(電子ビーム電流値Ien、収束レンズ電流値Icn、X軸偏向コイル電流値Idnx、Y軸偏向コイル電流値Idny)を設定する電子ビーム照射条件設定ステップと、各照射点に対して電子ビームを照射する電子ビーム照射ステップとを有している。
【0023】
まず、電子ビーム照射点決定ステップについて、図1、図3〜図6を参照して説明する。図3は、被加工物の形状およびその形状データの一例を示す図である。図3に示すように、被加工物12の形状データは、被加工物12の加工面上の基準位置(X=0,Y=0)を基準点として、細分化されたXY座標データで示される。
【0024】
図4は、実施の形態1にかかる電子ビーム合金化加工方法における被加工物の加工面上の電子ビームの照射位置の一例を示す図である。図4に示すように、本実施の形態では、第1照射点列100および第2照射点列200の組み合わせを1つの照射領域300として設定する。また、図5は、電子ビームの照射点の移動タイミングを決定するクロック信号の一例を示す図である。また、図6は、被加工物の加工面に複数の照射領域を設定した例を示す図である。
【0025】
電子ビーム加工データ作成装置17は、第1照射点列100の各照射点の所定間隔である照射点間隔Xp1(例えば、0.01mm間隔)、第2照射点列200の各照射点の所定間隔である照射点間隔Xp2(例えば、0.01mm間隔)、第1照射点列100と第2照射点列200との所定距離である照射点列間距離Yd(例えば、2mm間隔)を決定し、図4に示す被加工物12の加工面上における各照射点のXY座標データを決定すると共に、各照射点への電子ビームの照射順序を決定する。また、図4に示す例では、第1照射点列100における照射点間隔Xp1と第2照射点列200における照射点間隔Xp2とを同一の照射点間隔Xpとした例を記載している。
【0026】
各照射点への電子ビームの照射順序は、第1照射点列100および第2照射点列200の一方端から他方端に向けて、所定の周期で第1照射点列100と第2照射点列200とに交互に電子ビームが照射されるように設定する。図4では、照射点1−1、照射点1−2、照射点1−3、・・・、照射点1−nの順序で、図5に示す周期tsのクロック信号に同期して電子ビームの照射点が移動する例を示しており、この場合には、後述する電子ビーム照射ステップにおいて、4×tsを1周期として、第1照射点列100上の照射点2つと第2照射点列200上の照射点2つとに電子ビームが交互に照射される。
【0027】
このように第1照射点列100および第2照射点列200の一方端から他方端に向けて、所定の周期で第1照射点列100と第2照射点列200とに交互に電子ビームが照射されることにより、塗膜溶融工程と塗膜撹拌工程とが連続して実施されるので、被加工物12の表面の加工ムラの発生が抑制され、均一な合金層を形成することができる。
【0028】
そして、電子ビーム加工データ作成装置17は、上述のようにして決定した第1照射点列100および第2照射点列200の組み合わせを1つの照射領域300として、図6に示すように、Y軸方向に照射点列送り間隔Ypずつずらしながら、被加工物12の加工面上に複数の照射領域300−1,300−2,300−3,・・・を設定していく。なお、照射点列送り間隔Ypは、上述した照射点列間距離Ydより小さくなるように設定する。これにより、被加工物12の表面の加工ムラを出さずに安定した合金化加工を行うことができる。
【0029】
また、照射領域の数、および照射点列送り間隔Ypの値は、被加工物12の加工面の表面積や合金化加工の要求精度に応じて変わる。例えば、照射点列送り間隔Ypの値が等しく、被加工物12の加工面が広い場合には、照射領域の数は増加する。この場合は、照射点列送り間隔Ypの値を大きくして照射領域の数を減少させることにより、加工時間の短縮を図ることができる。
【0030】
つぎに、電子ビーム照射条件設定ステップについて、図1および図7を参照して説明する。図7は、電子ビームのX軸方向およびY軸方向の照射経路と照射点の位置の関係を示す図である。
【0031】
この電子ビーム照射条件設定ステップでは、電子ビーム加工データ作成装置17は、上述した電子ビーム照射点決定ステップにおいて決定した各照射点毎に、加工パラメータ、つまり、電子ビーム電流値Ien、収束レンズ電流値Icn、X軸偏向コイル電流値Idnx、Y軸偏向コイル電流値Idnyを設定する。ここでは、ある照射点NのXY座標データを(X,Y)として、照射点Nにおける電子ビーム照射条件を設定する例について説明する。
【0032】
収束レンズ7の中心から照射点Nまでの距離は、収束レンズ7の中心から加工面の基準位置(X=0,Y=0)までの距離と基準位置(X=0,Y=0)から照射点Nまでの距離とにより得られる。収束レンズ電流値Icnは、得られた収束レンズ7の中心から照射点までの距離に応じた値に設定される。
【0033】
照射点Nにおける偏向角度は、偏向コイルの中心から加工面の基準位置(X=0,Y=0)までの距離と基準位置(X=0,Y=0)から照射点Nまでの距離とにより得られ、X軸偏向角度θxおよびY軸偏向角度θyは、その偏向角度をX軸およびY軸の成分に分離することにより得られる。X軸偏向コイル電流値IdnxおよびY軸偏向コイル電流値Idnyは、それぞれX軸偏向角度θxおよびY軸偏向角度θyに応じた値となるように設定される。
【0034】
電子ビーム電流値Ienは、照射点Nの位置、つまり、照射点Nにおける偏向角度に応じて、電子ビームのビームエネルギーが均一となるように設定される。照射点Nの位置が加工面の基準位置(X=0,Y=0)に対して離れるに従い、偏向角度が大きくなるので、電子ビームのビームエネルギーを均一化するために、偏向角度に応じて電子ビーム電流値Ienが設定される必要がある。
【0035】
電子ビーム加工データ作成装置17は、上述のようにして得た各照射点毎の各加工パラメータを電子ビーム加工データ出力制御装置18に出力する。電子ビーム加工データ出力制御装置18内において、収束レンズ電流値Icnは、収束レンズ電流データ格納部22に格納され、X軸偏向コイル電流値Idnxは、X軸偏向電流データ格納部23に格納され、Y軸偏向コイル電流値Idnyは、Y軸偏向電流データ格納部24に格納され、電子ビーム電流値Ienは、電子ビーム電流データ格納部21に格納される。このとき、各パラメータは、後述する電子ビーム照射ステップにおいて、図5に示したクロック信号に同期して、上述した電子ビーム照射点決定ステップにおいて設定した照射順序で電子ビームが各照射点に照射されるように、各データ格納部21,22,23,24に格納される。
【0036】
つぎに、電子ビーム照射ステップについて、図1および図8を参照して説明する。図8は、実施の形態1にかかる電子ビーム合金化加工方法を適用した一例における電子ビーム照射位置の時間変移を示す図である。
【0037】
この電子ビーム照射ステップでは、収束レンズ電流制御回路29は、収束レンズ電流値Icnを実電流の収束レンズ電流Icに変換して収束レンズ7に供給し、X軸偏向コイル電流制御回路30は、X軸偏向コイル電流値Idnxを実電流のX軸偏向コイル電流Idxに変換して偏向コイル8に供給し、Y軸偏向コイル電流制御回路31は、Y軸偏向コイル電流値Idnyを実電流のY軸偏向コイル電流Idyに変換して偏向コイル8に供給する。電子ビーム電流制御回路28は、電子ビーム電流値Ienを電子ビーム電流指令値Ieに変換して高電圧電源装置13に指令する。高電圧電源装置13は、指令された電子ビーム電流指令値Ieに対応したバイアス電源を陰極3に供給する。この一連の動作を各照射点毎に実施する。
【0038】
図8に示すように、電子ビーム照射ステップでは、図5に示した周期tsのクロック信号をトリガーとして、照射領域300−1において、上述した一連の動作を照射点1−1、照射点1−2、照射点1−3、・・・、照射点1−nの順で実施する。ここで、各照射点への電子ビームの照射順序は、上述した電子ビーム照射点決定ステップにおいて、第1照射点列100および第2照射点列200の一方端から他方端に向けて、所定の周期で第1照射点列100と第2照射点列200とに交互に電子ビームが照射されるように設定されている。図8に示す例では、4tsを1周期として、照射領域300−1への電子ビームの照射を行うn×tsの期間が第1照射点列100上の照射点と第2照射点列200上の照射点との間で2×ts毎に時分割され交互に電子ビームが照射される。これにより、塗膜溶融工程と塗膜撹拌工程とが連続して実施されるので、被加工物12の表面に安定した均一な合金層を形成することができる。
【0039】
続いて、Y軸方向位置の照射点位置を照射点列送り間隔Yp分ずらし、照射領域300−2において、上述した一連の動作を照射点2−1、照射点2−2、照射点2−3、・・・、照射点2−mの順で実施し、さらに、Y軸方向位置の照射点位置を照射点列送り間隔Yp分ずらし、照射領域300−3において、上述した一連の動作を照射点3−1、照射点3−2、照射点3−3、・・・、照射点3−kの順で実施する。以下、Y軸方向位置の照射点位置を照射点列送り間隔Yp分ずらしながら、上述した電子ビーム照射点決定ステップにおいて設定された各照射領域に対して上述した一連の動作を実施していく。ここで、照射点列送り間隔Ypは、電子ビーム照射点決定ステップにおいて、照射点列間距離Ydより小さくなるように設定している。これにより、被加工物12の表面に加工ムラを出さずに合金化加工を行うことができる。
【0040】
つぎに、本実施の形態にかかる電子ビーム合金化加工方法における電子ビーム加工装置の動作について、図1、図7、図8および図9を参照して説明する。図9は、実施の形態1にかかる電子ビーム合金化加工方法における電子ビーム加工装置の動作フローの一例を示す図である。
【0041】
まず、電子ビーム加工データ作成装置17には、被加工物12の形状データが入力される(ステップST101)。電子ビーム加工データ作成装置17は、入力された被加工物12の形状データに基づいて、照射点間隔Xp(=Xp1=Xp2;例えば、0.01mm間隔)、照射点列間距離Yd(例えば、2mm間隔)および照射点列送り間隔Yp(Yp<Yd)を決定して、複数の照射領域300およびその照射領域300毎に第1照射点列100および第2照射点列200を設定し、被加工物12の加工面上における各照射点のXY座標データを決定すると共に、各照射点への電子ビームの照射順序を決定する(ステップST102)。
【0042】
つぎに、電子ビーム加工データ作成装置17は、ステップST102において決定した各照射点毎に、加工パラメータ、つまり、電子ビーム電流値Ien、収束レンズ電流値Icn、X軸偏向コイル電流値Idnx、Y軸偏向コイル電流値Idnyを設定し(ステップST103)、設定した各パラメータを電子ビーム加工データ出力制御装置18に出力する(ステップST104)。
【0043】
電子ビーム加工データ出力制御装置18は、ステップST102において設定した照射順序で電子ビームが各照射点に照射されるように、各パラメータを各データ格納部21,22,23,24に格納する(ステップST105)。
【0044】
被加工物12が加工室11の所定位置に配置され、電子銃室1および加工室11が電子銃室排気装置15および加工室排気装置16により排気されて真空状態にされた後に、シーケンス制御回路27は、高電圧電源装置13に対して電子ビーム発生信号を出力する(ステップST106)。このとき、高電圧電源装置13から高電圧ケーブル14を通して高電圧電源が印加された陰極3から電子ビームが放出される。なお、加工開始前の初期状態では、電子ビーム待機ブロック20に電子ビームが照射されるように、電子ビーム加工データ出力制御装置18から待機用の電子ビーム電流指令値Ie、収束レンズ電流Ic、X軸偏向コイル電流IdxおよびY軸偏向コイル電流Idyが出力される。
【0045】
シーケンス制御回路27から加工開始信号が出力されると(ステップST107)、クロック発生回路26からあらかじめ設定された所定の周期tsでクロック信号が出力され、そのクロック信号の周期tsに同期して、ステップST102において設定した照射順序で電子ビームが各照射点に照射される(ステップST108)。
【0046】
設定した全ての照射点への電子ビームの照射が終了すると、当該動作フローを終了する。
【0047】
以上説明したように、実施の形態1の電子ビーム合金化加工方法によれば、塗膜溶融工程を実施する第1照射点列と塗膜撹拌工程を実施する第2照射点列とを設け、第1照射点列および第2照射点列の一方端から他方端に向けて、所定の周期で第1照射点列と第2照射点列とに交互に電子ビームを照射するようにしたので、塗膜溶融工程と塗膜撹拌工程とを連続して実施することができ、被加工物の表面の加工ムラの発生が抑制され、均一な合金層を形成することができる。
【0048】
また、被加工物の加工面を細かく分割する必要がないので、加工時間の短縮を図ることが可能となる。
【0049】
さらに、第1照射点列および第2照射点列の組み合わせを1つの照射領域として、Y軸方向に第1照射点列と第2照射点列との間の照射点列間距離Ydよりも小さい照射点列送り間隔Ypずつずらした複数の照射領域を設定するようにしたので、被加工物の表面の加工ムラを出さずに安定した合金化加工を行うことができる。
【0050】
実施の形態2.
実施の形態1では、第1照射点列における照射点間隔と第2照射点列における照射点間隔とを同一とし、第1照射点列と第2照射点列とに対するエネルギーを均等とした例について説明したが、実際の合金化加工において、より安定した均一な合金層を形成するためには、塗膜溶融工程に要するエネルギーよりも塗膜撹拌工程に要するエネルギーの方が大きい場合がある。本実施の形態では、第1照射点列における照射点間隔よりも第2照射点列における照射点間隔を狭くすることにより、第2照射点列に与えるエネルギー、つまり、塗膜撹拌工程に要するエネルギーを大きくする例について説明する。なお、本実施の形態にかかる電子ビーム合金化加工方法を適用する電子ビーム加工装置の構成は、実施の形態1において説明した電子ビーム加工装置の構成と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0051】
図10は、実施の形態2にかかる合金化加工方法における被加工物の加工面上の電子ビームの照射位置の一例を示す図である。図10に示す例では、1つの照射領域300aのみを示している。また、図10に示す例では、第1照射点列100aにおける照射点間隔Xp1と第2照射点列200aにおける照射点間隔Xp2との関係がXp1=2×Xp2、つまり、照射点間隔Xp1と照射点間隔Xp2との比がXp1:Xp2=2:1となる例を記載している。
【0052】
図10に示す例では、照射点1−1、照射点1−2、照射点1−3、・・・、照射点1−nの順序で、図5に示す周期tsのクロック信号に同期して電子ビームの照射点が移動する例を示しており、この場合には、電子ビーム照射ステップにおいて、3×tsを1周期として、第1照射点列100a上の照射点1つと第2照射点列200a上の照射点2つとに電子ビームが交互に照射される。
【0053】
第1照射点列100a上の1つの照射点に対するビームエネルギーは、第2照射点列200a上の1つの照射点に対するビームエネルギーと同一であるため、第2照射点列200aに供給されるビームエネルギー、つまり、塗膜撹拌工程に供給されるエネルギーは、第1照射点列100aに供給されるビームエネルギー、つまり、塗膜溶融工程に供給されるエネルギーの2倍になる。これにより、被加工物12の表面により安定した均一な合金層を形成することができる。
【0054】
なお、図10に示す例では、第1照射点列100aにおける照射点間隔Xp1と第2照射点列200aにおける照射点間隔Xp2との比がXp1:Xp2=2:1となる例を記載したが、これら照射点間隔Xp1と照射点間隔Xp2との比は、これに限らず、任意の整数比としてもよい。例えば、Xp1:Xp2=N:M(NおよびMは1以上の整数)とした場合、電子ビーム照射ステップにおいて、(N+M)×tsを1周期として、第1照射点列100a上のM個の照射点と第2照射点列200a上のN個の照射点とに電子ビームが交互に照射される。このようにすれば、塗膜溶融工程に要するエネルギーと塗膜撹拌工程に要するエネルギーとの比を、合金化加工を安定して行うための最適な値に選定することができるので、塗膜溶融工程に要するエネルギーと塗膜撹拌工程に要するエネルギーとの比に応じて安定した合金化加工を行うことができ、さらに均一な合金層を形成することができる。
【0055】
以上説明したように、実施の形態2の電子ビーム合金化加工方法によれば、第1照射点列における照射点間隔Xp1と第2照射点列における照射点間隔Xp2との比を任意の整数比とするようにしたので、塗膜溶融工程に要するエネルギーと塗膜撹拌工程に要するエネルギーとの比を、合金化加工を安定して行うための最適な値に選定することができるので、塗膜溶融工程に要するエネルギーと塗膜撹拌工程に要するエネルギーとの比に応じて安定した合金化加工を行うことができ、さらに均一な合金層を形成することができる。
【0056】
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2では、第1照射点列および第2照射点列における各照射点は特定の一点であるが、本実施の形態では、各照射点を中心として電子ビームを円形に連続して偏向させながら照射する例について説明する。
【0057】
図11は、実施の形態2にかかる合金化加工方法における被加工物の加工面上の電子ビームの照射位置の一例を示す図である。図11に示す例では、1つの照射領域300bのみを示している。図11に示すように、本実施の形態では、第1照射点列100bおよび第2照射点列200bにおける各照射点を中心として、半径Rxの円を描くように電子ビームを連続的に偏向させる。
【0058】
図12は、実施の形態3にかかる電子ビーム合金化加工方法を適用する電子ビーム加工装置の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0059】
図12に示すように、実施の形態3にかかる電子ビーム合金化加工方法を適用する電子ビーム加工装置は、図1に示す構成に加えて、電子ビーム加工データ出力制御装置18内に小振幅偏向電流データ発生回路25を備えている。
【0060】
図13は、X軸小振幅偏向電流およびY軸小振幅偏向電流の波形、ならびに、照射点を中心とした電子ビームの軌跡を示す図である。小振幅偏向電流データ発生回路25は、シーケンス制御回路27からの小振幅偏向電流波形データ設定および小振幅偏向周期データ設定に基づいて、図13(a)に示す周期toのX軸小振幅偏向電流値IdoxおよびY軸小振幅偏向電流値Idoyを出力する。なお、X軸小振幅偏向電流値IdoxおよびY軸小振幅偏向電流値Idoyの周期toは、クロック信号の周期tsと同等か、あるいは周期tsよりも短くすればよい。
【0061】
電子ビーム照射ステップにおいて、X軸偏向コイル電流制御回路30は、X軸偏向電流データ格納部23から出力されるX軸偏向コイル電流値IdnxとX軸小振幅偏向電流Idoxとを加算して、実電流のX軸偏向コイル電流Idxに変換して偏向コイル8に供給する。また、Y軸偏向コイル電流制御回路31は、Y軸偏向電流データ格納部24から出力されるY軸偏向コイル電流値IdnyとY軸小振幅偏向電流値Idoyとを加算して、実電流のY軸偏向コイル電流Idyに変換して偏向コイル8に供給する。これにより、電子ビームの軌跡は、図13(b)に示すように、各照射点を中心としたX軸小振幅偏向電流値IdoxおよびY軸小振幅偏向電流値Idoyの振幅値Aにより決まる半径Rxの円形となる。
【0062】
したがって、本実施の形態では、図11に示すように、実施の形態1と同様に、電子ビーム照射条件設定ステップにおいて決定した照射順序で、図5に示す周期tsのクロック信号に同期して電子ビームの照射点が移動しつつ、各照射点を中心とする半径Rxの円周上を連続的に偏向しながら、電子ビームが被加工物12に照射される。これにより、塗膜および被加工物12が溶融される領域が拡大し、さらに安定した合金化加工を行うことができ、より均一な合金層を形成することができる。なお、X軸小振幅偏向電流値IdoxおよびY軸小振幅偏向電流値Idoyの振幅値Aは、隣り合う照射点を中心とした各電子ビームの軌跡が重なるように、より具体的には、電子ビームの軌跡の直径2Rxが第1照射点列100bおよび第2照射点列200bにおける照射点間隔Xpよりも大きくなるように設定すればよい。
【0063】
以上説明したように、実施の形態3の電子ビーム合金化加工方法によれば、第1照射点列および第2照射点列における各照射点を中心として、円を描くように電子ビームを照射することにより、塗膜および被加工物が溶融される領域を拡大することができるので、さらに安定した合金化加工を行うことができ、より均一な合金層を形成することができる。
【0064】
なお、上述した実施の形態3では、X軸小振幅偏向電流値IdoxおよびY軸小振幅偏向電流値Idoyの周期toは、クロック信号の周期tsと同等か、あるいは周期tsよりも短くすればよいとしたが、実施の形態3の効果が得られる範囲内で、周期tsよりも長くすることも可能である。
【0065】
また、上述した実施の形態3では、X軸小振幅偏向電流値IdoxおよびY軸小振幅偏向電流値Idoyの振幅値Aは、各照射点を中心とする電子ビームの軌跡の直径2Rxが第1照射点列および第2照射点列における照射点間隔Xpよりも大きくなるように設定すればよいとしたが、実施の形態3の効果が得られる範囲内で、電子ビームの軌跡の直径2Rxが照射点間隔Xpよりも小さくなるように設定することも可能である。
【0066】
さらに、上述した実施の形態3では、各照射点を中心とする電子ビームの軌跡の形状を円形としたが、他の形状、例えば楕円形あるいは四角形等の任意の形状とすることもできる。この場合には、シーケンス制御回路が楕円形あるいは四角形等の任意の形状に合わせた小振幅偏向電流波形データ設定および小振幅偏向周期データ設定を小振幅偏向電流データ発生回路25に出力するようにすればよい。各照射点を中心とする電子ビームの軌跡の形状が楕円形あるいは四角形等の任意の形状であっても、上述した実施の形態3と同様に塗膜および被加工物が溶融される領域を拡大することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0067】
なお、上述した実施の形態では、被加工物の加工面の合金化加工において、ビームエネルギーにより被加工物の表面に塗布された金属塗膜を溶融させる塗膜溶融工程、および、ビームエネルギーにより被加工物の表面を溶融させ、溶融された金属塗膜と被加工物の表面とを攪拌する塗膜攪拌工程の2つの工程を有する電子ビーム合金化加工方法について説明したが、これら塗膜溶融工程および塗膜攪拌工程を含むさらに多くの工程を有する加工方法においても、本発明を適用することが可能であることは言うまでもない。
【0068】
また、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
1 電子銃室
3 陰極
4 陽極
5 オリフィス
7 収束レンズ
8 偏向コイル
11 加工室
12 被加工物
13 高電圧電源装置
14 高電圧ケーブル
15 電子銃室排気装置
16 加工室排気装置
17 電子ビーム加工データ作成装置
18 電子ビーム加工データ出力制御装置
20 電子ビーム待機ブロック
21 電子ビーム電流データ格納部
22 収束レンズ電流データ格納部
23 X軸偏向電流データ格納部
24 Y軸偏向電流データ格納部
25 小振幅偏向電流データ発生回路
26 クロック発生回路
27 シーケンス制御回路
28 電子ビーム電流制御回路
29 収束レンズ電流制御回路
30 X軸偏向コイル電流制御回路
31 Y軸偏向コイル電流制御回路
100,100a,100b 第1照射点列
200,200a,200b 第2照射点列
300,300a,300b,300−1,300−2,300−3 照射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極から連続して放出される電子ビームを収束レンズおよび偏向コイルによって金属塗膜が塗布された被加工物の表面に照射し、前記被加工物の表面の合金化加工を行う電子ビーム合金化加工方法において、
前記被加工物の形状データに基づいて、前記被加工物の表面に前記電子ビームの複数の照射点が第1の方向に所定間隔で一列に並ぶ第1照射点列、および、複数の前記照射点が前記第1照射点列から前記第1の方向に直交する第2の方向に所定距離離れて前記第1の方向に所定間隔で一列に並ぶ第2照射点列を決定する電子ビーム照射点決定ステップと、
前記第1照射点列および前記第2照射点列上の各前記照射点の位置に対応して、前記電子ビームの電流値、前記収束レンズの電流値、および前記偏向コイルの電流値をそれぞれ設定する電子ビーム照射条件設定ステップと、
前記第1照射点列および前記第2照射点列の一方端から他方端に向けて、所定の周期で前記各第1照射点列と前記各第2照射点列とに交互に前記電子ビームを照射する電子ビーム照射ステップと
を有することを特徴とする電子ビーム合金化加工方法。
【請求項2】
前記電子ビーム照射点決定ステップにおいて、前記第1照射点列および前記第2照射点列の組み合わせを1つの照射領域とした複数の前記照射領域を設定し、
前記照射領域毎に前記電子ビーム照射ステップを実施することを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム合金化加工方法。
【請求項3】
前記第1照射点列の各照射点間の所定間隔と前記第2照射点列の各照射点間の所定間隔との比が任意の整数比となることを特徴とする請求項1または2に記載の電子ビーム合金化加工方法。
【請求項4】
前記電子ビーム照射ステップにおいて、前記第1照射点列および前記第2照射点列の各前記照射点を中心とする所定形状を描くように前記電子ビームを偏向させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子ビーム合金化加工方法。
【請求項5】
前記所定形状は円形であることを特徴とする請求項4に記載の電子ビーム合金化加工方法。
【請求項6】
前記電子ビーム照射ステップにおいて、前記第1照射点列への前記電子ビームの照射により前記被加工物の表面に塗布した金属塗膜を溶融させ、前記第2照射点列への前記電子ビームの照射により前記被加工物を溶融させると共に、前記金属塗膜と前記被加工物とを攪拌し、前記被加工物の表面に合金層を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子ビーム合金化加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−111612(P2013−111612A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260473(P2011−260473)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】