説明

電子ビーム照射用装置および方法

本発明は、ウエブ(W)の少なくとも第1面(W)を電子ビーム照射するための装置に関し、この装置は、このウエブ(W)を通すようにしたトンネルを含み、上記トンネルは、ウエブ入口部(5)、ウエブ出口部(6)およびそれを通して電子をこのトンネルの中へ放射するようにした電子出口窓(21)を備え、少なくとも第1電子ビーム放射源(2)を受けるようにした中央部を備える。このトンネルは、この入口部(5)および出口部(6)の各々の少なくとも2個所で、このウエブ(W)の電子ビーム照射中にできたX線をこのトンネルを出る前に少なくとも2度このトンネル壁に当らせるような方法で、曲げてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともウエブの第1面の電子ビーム照射のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装業界では、紙またはボール紙、例えばポリマーの液体遮断層および、例えばアルミニウムの薄膜の気体遮断層の種々の層を含む包装材料のウエブから作った包装を永い間使っている。包装機械では、このウエブの縦縁を重ね合せて封止することによりこのウエブをチューブにする。このチューブを製品で連続的に満たし、次に横に封止してクッションを作る。これらのクッションを切離して、例えば平行六面体の容器に作る。ウエブからチューブを作るこの技術は、それ自体周知であるので詳しくは説明しない。
【0003】
包装した製品の貯蔵寿命を延すために、成形および充填作業の前にウエブを滅菌することが前から知られている。どれだけ永い貯蔵寿命が必要か、配送および保管を冷蔵温度で行うか大気温度で行うかに依って、滅菌を異なるレベルに選ぶことができる。ウエブを滅菌する一つの方法は、例えば過酸化水素浴を使う化学的滅菌である。別の方法は、電子ビーム放射源から出る電子でウエブを照射することである。そのような放射源は、例えばUS−A−5,194,742に開示してある。
【0004】
しかし、電子による照射は、好ましくないX線を作り出す。これらの電子は、それらが特に空気分子、バクテリア、ウエブおよびシールド壁と衝突すると減速する。電子のこの減速は、X線の放出をもたらす。そのようなX線がシールドに当るとき、このX線は、この材料の中へある距離入り、新しいX線を生じる。合理的サイズの照射装置の外側で許容できる放射線レベルを得ることが問題であった。
【0005】
インクの連続電子硬化用装置を記述するGB2157140に、この問題を解決する一つの方法が示してある。放射源を中央室の中に置き、そこにウエブを通してこの放射源によって処理する。この中央室は、遮蔽してあり、このウエブによって吸収されないままの放射線のかなりの量を吸収するための放射線トラップを含む。この中央室の入口および出口に第1副室が設けてある。これらの第1副室は、この中央室の出口および入口から漏れる放射線を吸収するための放射線トラップが設けてある。この中央室の入口および出口と対向して位置する副室の開口で、許容放射線レベルが得られている。第1副室の放射線トラップは、その内壁から伸びる平行突起として作ってある。各々狭い“郵便物差入れ口”として機能し、それにウエブを通せる。第2副室も設けてあり、それは、中央室へ移った酸素の量を減らすために不活性ガスを導入するためのプレナムおよび排出手段を含む。
【0006】
この装置の空間位置決めに対して移動するウエブの入口および出口角を変えるため、これらの副室が交換可能である。それで、副室の一つ以上を除去し、それらを異なる形状寸法の副室で置換えることにより、この中央室を妨害することなくこれらの角度を変えられる。
【0007】
しかし、食品包装業界で、例えば包装材料ウエブを滅菌するとき、放射線トラップを使うGB2157140による解決策は好ましくない。第1に、これらの放射線トラップの設計のために、それらは、滅菌中にこの照射装置を通る制御不能な流体流れを生じるかも知れず且つこの装置それ自体の予備滅菌中に幾つかの難点を生じるかも知れない。これは、望ましくないおよび/または制御不能の衛生レベルを生じるかも知れない。第2に、包装材料ウエブは、このウエブ表面から突出する、キャップのような、予め付けた開口装置を備えるかも知れない。それで、この放射線トラップの“郵便物差入れ口”は、このキャップの付いたウエブを通す大きさである必要がある。差入れ口が大きいとトラップが有効でなくなり、狭い差入れ口と同じ性能を得るためにはトラップの数を増す必要があるかも知れない。今度は、照射装置が大きくなり且つより嵩張る。それで、例えば食品包装業界での滅菌目的には、合理的サイズの照射装置の外側で許容できる放射線レベルを得る問題はまだ残っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、この発明の目的は、電子ビーム照射用の合理的サイズの装置で、この装置の外側の放射線レベルが許容できる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、ウエブの少なくとも第1面を電子ビーム照射するための装置であって、このウエブを通すようにしたトンネルを含み、上記トンネルは、ウエブ入口部、ウエブ出口部およびそれを通して電子をこのトンネルの中へ放射するようにした電子出口窓を備え、少なくとも第1電子ビーム放射源を受けるようにした中央部を備え、並びにそれでこのトンネルが、この入口部および出口部の各々の少なくとも2個所で、このウエブの電子ビーム照射中にできたX線をこのトンネルを出る前に少なくとも2度このトンネル壁に当らせるような方法で、曲げてある装置によって達成される。それで、この発明は、ウエブが通過することは可能であるが、X線が先ずそれらのエネルギーを許容限界値まで下げずに出口を見付けることが可能であるリスクを最小化するように作ったシールドを含む。この限界値は、例えば、政府規制または市場によって認められた値によって決めることができる。このトンネル設計がシールドとして機能し且つX線のエネルギーを低減するという事実のために、このトンネル内部に放射線トラップが何も必要ない。これは、換気して、例えば照射中にできたオゾンを排出するための装置によって、制御された、乱されない気流を導ける可能性をもたらす。更に、そのような制御された、乱されない気流は、この包装機械の停止中に滅菌レベルを維持する可能性をもたらす。これは、後に更に詳しく説明する。
【0010】
この発明の好適実施例で、この入口部および出口部は、それぞれ三つの連続するセグメント、すなわち入口セグメント、中央セグメントおよび出口セグメントを含み、並びにこの中央セグメントは、この入口セグメントに対し第1角度を成しおよびこの出口セグメントは、この中央セグメントに対し第2角度を成す。この様にして、このシールドの入口と出口の両方が容易に2度曲げられる。
【0011】
このトンネルの幅、上記角度およびこれらのセグメントの長さの間の関係は、この入口セグメントでこのトンネル壁に当る仮想直線が、この出口セグメントを出る前に、少なくともこの出口セグメントのトンネル壁にも当り、且つこの入口セグメントを通過する仮想直線が、この中央セグメントのトンネル壁に当って、それがこの出口セグメントを出る前に、少なくともこの出口セグメントのトンネル壁にも当るようになっているのが好ましい。X線をこのシールドを出る前に少なくとも2度トンネル壁に当てさせることによって、X線エネルギーの許容できる低減を得る。これは、以下に更に詳しく説明する。
【0012】
この中央部は、それを通して電子をこのトンネルの中へ放射するようにした電子出口窓を備える追加の第2電子ビーム放射源を受けるようになっていて、この電子ビーム放射源は、このウエブの第2面を電子で照射するように配置するようになっているのが都合がよい。ウエブの両面を照射することによって、ウエブの再汚染のリスクが最小化する、即ち、ウエブの滅菌しない面からのバクテリアが滅菌した面を再汚染できるリスクを避ける。
【0013】
この電子出口窓が実質的に平面であり且つこのウエブと実質的に平行に設けるようになっているのが好ましい。電子をウエブに垂直に放射することによって、電子が移動しなければならない距離が最小になり、それが今度は電子がウエブに達する前の電子エネルギーの損失を最小化する。更に、ウエブに達する電子の量は、放射源をウエブに垂直に向ければ高く、それは今度は良い滅菌結果に繋がる。
【0014】
更なる好適実施例では、この追加の第2電子ビーム放射源がこの第1電子ビーム放射源と実質的に対向して配置するようになっていて、且つこの電子出口窓がこの第1電子出口窓と実質的に対向して配置するようになっている。この様にして、ウエブの両面を照射し、同時にウエブの再汚染のリスクを効果的に最小化する。
【0015】
その上更なる実施例では、この放射源がハウジングに収納してある。放射源を収納するハウジングを設けることにより、1次X線を閉込めることが容易である。更に、このハウジングは、これらの放射源の周辺にこの室を取巻く圧力と異なる圧力が存在することを可能にする。例えば、この装置を通る気流をそれによってより容易に制御できる。
【0016】
もう一つの実施例では、この放射源が低電圧電子ビーム放射源である。低電圧電子ビーム放射源を使うことは、例えば、照射したウエブで作った包装から出ることがあるような、製品の異臭のような、照射誘発変化のリスクを最小化する。更に、低電圧電子ビーム放射源は、電子およびX線のエネルギーが少ないので、エネルギー消費が少なくなり、強いシールドの必要性が低いことは言うまでもない。更に、出来たX線およびオゾン(O)の取扱いは、低電圧電子ビーム放射源では比較的少量しか出来ないので、簡単になる。更に、低電圧電子ビーム放射源を使うとき、放射源自体を比較的小さくできる。
【0017】
更に別の実施例では、この入口および出口部がこのトンネルを通してこのウエブを案内するために各々少なくとも一つのウエブ案内を備える。この様にして、ウエブの案内を簡単な方法で達成する。
【0018】
この出口部のこの少なくとも一つのウエブ案内が、このウエブに関してこのウエブの第2面と接触するように、且つこのウエブの第1面と接触しないようになっている方法で配置するのが好ましい。このウエブ案内を出口に説明したように配置することによって、後にこの包装内容物と接触するようになる、このウエブの第1面がこのウエブ案内と接触させられない。これは、トンネルの出口でのウエブ取扱中に滅菌した表面に負に影響する偶発的リスクを最小化する。それで、この発明は、比較的高い滅菌レベルを保証しなければならない食品包装業界で使うのに適する。
【0019】
或る実施例では、このウエブ案内が支持部材に支承してある第1および第2ローラを含み、これらのローラは、この第1ローラがこのウエブを第2角度曲げ、第2ローラがウエブを第1角度曲げるような方法で作ってあり且つ相互に位置する。これらのローラは、信頼性があり且つ比較的安い。
【0020】
更に別の実施例では、この入口部および出口部の入口セグメントがこのトンネルの中央部に隣接し、この入口部および出口部の出口セグメントが互いから離れる方向に向いていて、それによって滅菌したウエブを滅菌しないウエブから更に引離し、それによって再汚染のリスクを更に最小化する。
【0021】
このトンネル部およびこの放射源ハウジングがハウジングに収容してあるのが都合がよい。これは、照射中に出来たオゾンを封入、制御および排出するのを容易にする。
【0022】
更に、この発明は、ウエブの少なくとも第1面を電子ビーム照射するための方法に関し、この方法は、このウエブをトンネルに通し、上記トンネルは、ウエブ入口部、ウエブ出口部および電子出口窓を備え、少なくとも第1電子ビーム放射源を受ける中央部を備える工程、この放射源からこの電子出口窓を通してこのトンネルの中へ電子を放射する工程、並びにこのトンネルをこの入口および出口部の各々の少なくとも2個所で曲っているように作ることによって、このウエブの照射中に電子によってできたX線をこのトンネルを出る前に少なくとも2度このトンネル壁に当らせる工程を含む。それで、ウエブが通過することを可能にしながら、照射装置をシールドする方法を提供し、さらに、X線がそのエネルギーを許容限界値まで下げずにこのシールドからの出口を見付けることが可能であるリスクを最小化する。このトンネル設計がシールドとして機能し且つX線のエネルギーを低減するという事実のために、このトンネル内部に放射線トラップが何も必要ない。これは、換気して、例えば照射中にできたオゾンを排出するためにこの装置を通る制御された、乱されない気流を導ける可能性をもたらす。更に、そのような制御された、乱されない気流は、この包装機械の停止中に滅菌レベルを維持する可能性をもたらす。
【0023】
この入口部および出口部をそれぞれの部分が三つの連続するセグメント、すなわち入口セグメント、中央セグメントおよび出口セグメントの列を含むように作り、この中央セグメントは、この入口セグメントに対し第1角度を成すように作りおよびこの出口セグメントは、この中央セグメントに対し第2角度を成すように作るのが好ましい。先に述べたように、この様にしてこのシールドの入口および出口の両方を容易に2度曲げられる。
【0024】
このトンネルの幅、上記角度およびこれらのセグメントの長さの間の関係を、この入口セグメントでこのトンネル壁に当る仮想直線が、この出口セグメントを出る前に、少なくともこの出口セグメントのトンネル壁にも当るように、およびこの入口セグメントを通過する仮想直線が、この中央セグメントのトンネル壁に当って、それがこの出口セグメントを出る前に、少なくともこの出口セグメントのトンネル壁にも当るようにするのが都合がよい。これらのX線をこのシールドを出る前にトンネル壁に少なくとも2度当らせることによって、X線エネルギーの許容できる低減が得られる。
【0025】
以下に、この発明の現在好適な実施例を添付の図面を参照して詳しく説明する。
【実施例】
【0026】
図1に示すこの装置は、中に一つまたは二つの放射源2、3が取付けてある、内ハウジング1を含む。この内ハウジングの中央部は、これらの放射源を受けるようになっている。内ハウジング1は、トンネルを形成し、包装材料ウエブWをこのトンネルに入れて放射源2、3を通過させる。更に、内ハウジング1は、このウエブを出し入れするための出口部6および入口部5を備える。このウエブ入口部5は、入口部5の中へのウエブWの流入方向がこの入口部5からのウエブWの流出方向に対して傾斜しているように設計してある。この入口部5からのウエブWの流出方向は、ウエブWが放射源2、3を通過する方向に等しい。入口部5でのウエブWの流入および流出方向の間の角度は、少なくとも90°である。入口部5は、少なくとも2個所で曲っているように作ってある。図2に、入口部5が三つの連続するセグメント、すなわち入口セグメント5a、中央セグメント5bおよび出口セグメント5cを含むことを示す。中央セグメント5bは、入口セグメント5aに対し第1角度αを成し、出口セグメント5cは、この中央セグメント5bに対し第2角度βを成す。更に、トンネルの幅、上記角度α、βおよびセグメント5a−cの長さの間の関係は、入口セグメント5aでトンネル壁に当る仮想直線が、出口セグメント5cを出る前に、少なくとも出口セグメント5cのトンネル壁にも当り、且つ入口セグメント5aを通過する仮想直線が、中央セグメント5bのトンネル壁に当って、それが出口セグメント5cを出る前に、少なくともこの出口セグメント5cのトンネル壁にも当るようになっている。図3および図4に、紙、定規およびペンを使ってこの設計を得る方法を示す。図3に、第1の最悪ケースのシナリオを示す。入口セグメント5aの外部に始り、実質的に入口セグメント5aと中央セグメント5bの間の外角の方に向けて直線を引く。この線は、入口セグメント5aでトンネル壁に当り、実質的に中央セグメント5bと出口セグメント5cの間の内角に向けて引く。もし、トンネルの幅、角度α、βおよびセグメント長さの間の関係を十分良く考えるべきなら、この直線は、出口セグメント5cを出る前に、無理に出口セグメント5cのトンネル壁に当てられるだろう。図4に、第2の最悪ケースのシナリオを示す。直線を今度は入口セグメント5aの外部に始って、実質的にこの入口セグメント5aの出口に近い内角の方に向くが、中央セグメント5bでトンネル壁に当てて引く。次にこの線を実質的に中央セグメント5bと出口セグメント5cの間の内角の方へ引く。もし、トンネルの幅、角度α、βおよびセグメント長さの間の関係を十分良く考えるべきなら、この直線は、出口セグメント5cを出る前に、無理に出口セグメント5cのトンネル壁に当てられるだろう。それで、もしある角度を使うなら、修正できるパラメータはトンネルの幅かセグメントの長さであることが分る。トンネルが広いと長いセグメントを必要とする。もし、短いセグメントが必要なら、トンネルの幅を減らさねばならない。もう一つの可能性は、勿論角度の一つまたは両方を変えることである。図示する例では、入口部の角度αおよびβ、長さおよび幅が出口部の対応する角度、長さおよび幅と同じである。二つの部分の長さおよび幅は、勿論角度が違ってもよいことを理解すべきである。
【0027】
先に述べたように、ウエブWは、照射装置1を通過し、その中でそれが滅菌され、続いて充填機の無菌塔105の中へ送られ、そこでこのウエブWは、このウエブWの縦縁を重ね合せて封止することによりチューブにされる。このチューブを連続的に製品で満たし、横に封止してクッションを作る。これらのクッションを切離して、例えば平行六面体の容器、即ち包装に作る。ウエブからチューブを作るこの技術は、それ自体周知であるのでこれ以上は説明しない。
【0028】
このウエブWは、二つの面、第1面Wと第2面Wがある。このウエブWの第1面Wは、ウエブWのこの包装の内容物、即ち製品と接触するようにされる面であり、チューブ成形中このチューブの内側に、従ってこのクッションの内側に、且つ完成後の包装の内側になるようになっている面であると定義する。従って、このウエブWの第2面Wは、それでウエブWのこの製品と接触しないことになっている面であり、チューブ成形中このチューブの外側に、従ってこのクッションの外側に、且つ完成後の包装の外側になるようになっている面であると定義する。
【0029】
この入口部で、少なくとも一つのウエブ案内を設けることによってウエブWの走行方向を変更する。この例では、このウエブ案内が入口部5の内部に取付けた第1および第2ローラ9、10である。この開示した設計で、ウエブWは、ほぼ水平に入口部5の中へ走行し、それが入口部5を離れるとき実質的に垂直に上方へ走行し、内ハウジング1に入る。この方向変更を達成するために、ローラ9、10は、第1ローラ9がウエブWを第2角度β曲げ、第2ローラ10がウエブWを第1角度α曲げるように作られ、配置されている。ローラ9、10は、支持部材に支承してあるのが好ましい。この支持部材は、例えば、トンネルと同じ設計基準に従って設計した外シールドまたは軸受ハウジングを備える軸受でもよい。
【0030】
このウエブWは、ウエブWの第1面Wがウエブ案内と接触するように入口部5に送込む。それで、給送中、この第1面Wは、ローラ9、10の外被面と一時的に接触する。
【0031】
出口部6は、入口セグメント6a、中央セグメント6bおよび出口セグメント6cで同様に設計してある。ウエブWの走行方向を変えるために、出口部6は、一つ以上のローラ11、12を含む。この入口部5および出口部6は、ウエブWが出口部6を離れるとき、それが入口部5に入るときと同じ方向に走行するように取付け且つ設計してある。開示した設計では、入口部5と出口部6は類似していて、それぞれ同じフランジを使うが、この内ハウジング1を縦貫するウエブWの中心線に沿って伸びる軸線Aの周りに180°回転して内ハウジング1の二つの対向する面1a、1bに取付けてある。それで、入口部5および出口部6のそれぞれの入口セグメント5a、6aは、このトンネルの中央部に隣接し、入口部5および出口部6のそれぞれの出口セグメント5c、6cは、互いから離れる方に向いている。入口部6に類似する出口部6を有することは、この照射装置1の製造中に同じ型を使えるので有利である。
【0032】
図1で、入口部5に対する出口部6の設計が、ウエブWの第1面Wがウエブ案内と接触するのを防ぐように、ウエブWが出口部6を通過することを保証するのが分る。その代りに給送中、第2面Wがローラ11、12の外被面と一時的に接触する。
【0033】
外ハウジング4が内ハウジング1を囲み、この外ハウジング4は、ウエブWを出し入れするための出口8および入口7を形成する開口を備える。
【0034】
放射源2、3は、出口窓21、31から電子ビームを送出する。これらの放射源は、第1放射源2はウエブWの第1面Wを照射するように、第2放射源3は第2面Wを照射するように配置してある。このため、第2電子ビーム放射源3は、実質的に第1放射源2に対向して位置し、この第2放射源3の出口窓31は、実質的に第1電子出口窓21に対向して位置する。以下には、第1放射源2だけを詳しく説明する。図5に示す、開示した設計によれば、放射源2は、一般的に中にフィラメント23およびケージ24を備える真空室22を含む。このフィラメント23に電流を送ると、フィラメント23の電気抵抗がこのフィラメント23を2000°Cのオーダの温度に加熱させる。この加熱は、フィラメント23に電子雲を出させる。多数の開口を備えるケージ24がフィラメント23を囲む。このケージ24は、ファラデー箱の役をし、電子を制御した状態で分配するのを助ける。これらの電子を、ケージ24と出口窓21の間の電圧によって加速する。使用する放射源は、一般的に低電圧電子ビーム放射と称されるもので、その電圧は通常300kV以下である。開示した設計では、加速電圧が70−85kVのオーダである。この電圧は、各電子に関して70−85kVの運動エネルギー(動力)を出す。この電子出口窓は、実質的に平面で、ウエブと実質的に平行に設けてある。更に、この出口窓21は、金属箔で作ってあり、6μmのオーダの厚さを有する。アルミニウムで作った支持ネットが出口窓21を支持する。この種の放射源は、US−B1−6,407,492に更に詳しく開示してある。US−A−5,637,953にもう一つの放射源が開示してある。この放射源は、一般的に出口窓を備える真空室を含み、この真空室内にフィラメントおよび二つの収束板が設けてある。US−A−4,910,435に、更に別の放射源が開示してあり、そこでは電子がイオン衝撃による材料からの2次電子放射によって放出される。これらの種々の放射源の更に詳しい説明については上記の特許を引用する。これらの放射源およびその他の放射源が説明したシステムに使えることを意図する。
【0035】
電子が真空室内にある限り、それらは、ケージ24および窓に供給する電圧が定める直線経路に沿って移動するが、それらがこの放射源窓を通して放射源から出ると、それらは多かれ少なかれ不規則な経路を動き(散乱し)始める。これらの電子は、特に空気分子、バクテリア、ウエブおよびハウジングの壁と衝突すると減速する。電子のこの減速は、全ての方向にX線(レントゲン線)の放出をもたらす。これらのX線は、直線に沿って伝播する。そのようなX線がこのハウジングの内壁に当ると、このX線は、この材料の中へある距離入り、最初のX線が入った点からあらゆる方向に新しいX線を出す。X線がハウジング壁に当り、2次X線を生じる度毎に、エネルギーが、このハウジング用に選択される材料に応じて約700分の1−1000分の1に減少する。ステンレス鋼は、減少率が約800、即ち、2次X線のエネルギーが1次X線に対して約800分の1に減少する。鉛は、放射線が関わるとき屡々考慮される材料である。鉛は、減少比が低いが、他方この材料を通るX線の透過に対して高い抵抗を有する。もし、電子を約80kVの電圧で加速するならば、電子は約80kVの運動エネルギーを与えられる。このエネルギーレベルのX線が内ハウジング1を貫通しないことを保証するために、この内ハウジング1を厚さ約22mmのステンレス鋼で作る。同様に、入口および出口部をステンレス鋼で作り、図1で分るように、実質的に同じ厚さにする。この様にして、内ハウジング並びに入口および出口部の両壁が放射線シールドを作る。ウエブWの電子ビーム照射中にできたX線は、その壁を貫通するのを妨げられる。この厚さは、この壁に対して垂直に進むX線に対して計算する。この壁に対して傾斜して進行するX線は、同じ深さに達するために壁の中で、より長い距離を通る、即ち、より厚い壁を通るのと同じ効果をもたらす。この壁の厚さは、ハウジング外部の放射線の量に関する政府規制によって決る。今日放射線の限界値(放射線はこの限界値より低くなければならない。)は、アクセス可能面、即ちシールドの外部から0.1mの距離で測定して0.1μSv/hである。材料および寸法の選択は、現在該当する規則によって影響されること、および新しい規則が材料または寸法の選択を変えるかも知れないことに注意すべきである。各電子のエネルギー(80kV)および電子の数がこの電子雲の全エネルギーを決める。この全エネルギーが滅菌すべき表面へ伝達される全エネルギーとなる。この放射線エネルギーは、グレイ単位(Gy)で測定する。上に簡単に説明した電子放射源(フィラメントおよびファラデー箱を備える)の場合、このフィラメントを通る約17mAの電流を使うのが現在適当と考えられる。しかし、これは、決定した放射線レベルおよび滅菌すべき表面の面積に依る。この例では、放射源を35m/sの速度で通過する幅400mmのウエブを滅菌することをもくろむ。これは、平均35kGyのオーダの放射線エネルギーを与える。もう一つの例では、ウエブ幅がやはり400mmであるが、ウエブが移動する速度を100m/sに増す。同じ放射線エネルギー、35kGyを得るために、電流を約50mAに増す。
【0036】
以下に、この装置のガス状流体システムを説明する。この実施例では、流体が無菌空気であるが、それは、勿論、この装置を使う応用分野に適するどんなガス状流体でもよい。
【0037】
図6に示す、この機械の空気システム100は、圧縮機101および水分離器102を含み、それから加圧空気を得る。この空気を熱交換器103に供給し、そこでこの空気を約100°Cに予熱する。熱交換器103から、この空気を過熱器104へ送り、そこでこの空気を330−450°Cの範囲内の温度に加熱する。330°C以上の温度で空気中のあらゆるバクテリアは死滅する。この殺滅率は、温度およびバクテリアが上記温度に曝される時間に依る。過熱器104からの空気は、入来空気の上記予熱を達成するために熱交換器103へ戻す。熱交換器103の2度目の通過後、この空気は、約90°Cの温度を有する。次にこの空気を、充填機の塔105と流体連通した第1分岐および外ハウジング4が形成する第1室107と流体連通した第2分岐を有する切替弁106へ送る。塔105へ供給した空気の少量は、出口開口108を通ってこの塔105から出るウエブWに追従するだろう。塔105の中では、ウエブWがその縦縁を重ね合せて封止することによってチューブにされる。このチューブを、ウエブWのまだチューブに変形されていない端からこのチューブの中へ伸びる製品パイプ109を介して連続的に製品で満たす。ウエブからチューブを作るこの技術は、それ自体周知であるので詳しくは説明しない。出口開口108は、この出口開口108から外への空気の制御した流れを得るために、封止リング(図示せず)を備える。これは、開口108から送出されるチューブとこの出口開口108との隙間を与えられた寸法とすることによっても達成できる。このチューブを横に封止してクッションを作り、それを切離して平行六面体の容器に作る。再び、この技術は、それ自体周知であるので詳しくは説明しない。塔105に供給する空気のかなりの部分は、塔105の中をウエブWの移動方向とは反対の方向に流れる。塔105は、空気出口開口として作用するウエブ入口開口110を備える。塔105からの空気は、内ハウジング1から成る第2室111へ送られる。
【0038】
以下に、図6で破線で表した部分を説明する。これらの破線は、第1室および第2室への空気流の二つの代替実施例を表す。第1実施例では、これらの線は連続で、直接第2室111のウエブ出口開口112と、第1室107のウエブ出口開口121(出口8でもある。)との間の閉じた流通を表す。第2実施例では、これらの線がなく、第1および第2室107、111と第1室107のウエブ出口開口121の間の開いた流通を表す。
【0039】
この第1実施例では、第2室111のウエブ出口開口112と第1室107のウエブ出口開口121の間に流体結合がある。それで、空気を、空気流入口開口として作用するウエブ出口開口112を介して第2室111へ送込む。塔105は、第1空気源として作用する。もし、第2室111のウエブ出口開口112が第1室107のウエブ出口開口121から少し離れて、且つ好ましくはそれと整列して位置するならば、この流体結合は、例えば、第2室111のウエブ出口開口112を第1室107のウエブ出口開口121に結合するパイプを含むことができる。あるいはその代りに、第2室111のウエブ出口開口112が第1室107のウエブ出口開口121まで伸びる。第1室107と第1室107のウエブ出口開口121の間の流体結合は、それによって妨げられる。先に説明したように、切替弁106は、第1室107のための空気源106として作用する。
【0040】
第2実施例では、第1室107と第2室111が第1室107のウエブ出口開口121と流体結合していて、それで両室107、111が塔105の空気源と結合している。その上、第1室107が空気の追加供給のために弁106と接触している。
【0041】
両実施例で、第2室111の空気は、この第2室111を通るウエブWの移動方向と反対方向に流れる。第2室111を殆ど完全に通過してから、この空気は、その最終処理のために排出出口113経由で送られる。同様に、第1室107に提供した空気は、ウエブWの移動方向と反対方向に流れる。第1室107および第2室111からの空気は、出口113から排出される。それで、両室107、111がこの出口と連絡している。第1室107に供給した空気の少量が、ウエブ入口開口115(入口7でもある。)から漏れる。漏れる量は、隙間の形状および使用するシールに依る。隙間の形状および使用するシールは、特にウエブが予め付けられた開口装置と共に供給されるかどうかに依る。
【0042】
排出出口113は、第2室111のウエブ入口開口114近くに位置する。図1で、出口113は、第2室111の内部に位置する。例えば、出口113は、第2室111のウエブ入口開口114付近に位置することができる。出口113は、第2室111からの殆ど全ての空気および第1室107からの殆どの空気を排出する。第1室107のウエブ入口開口115は、第1室107と第2室111のウエブ入口開口114の両方との間に流体結合がある。図7に示す代替実施例では、出口113が第2室111と流体連通した二つの分岐113a、113bを含む。この図を参照すると、第1出口分岐113aは、第2室111のウエブ入口開口114付近の室壁の上に位置し、第2出口分岐113bは、第1出口分岐と反対の底壁に位置する。
【0043】
このシステムの空気の流れは、第1過圧を第1室107の内部で創るように制御する。説明した実施例で、この圧力は、294Paのオーダである。更に、第2過圧は、第2室111内部で創る。これらの過圧は、例えば、第1過圧および第2過圧が同じであるように選ぶことができる。その代りに、これらの過圧を第1過圧と第2過圧が違うように選ぶこともできる。第1過圧が第2過圧より高くてもよく、逆も同様である。第1過圧を第2過圧より高いように選ぶ一つの理由は、照射中にできるオゾン(O)を第2室111内に保ち、そうすればそれを出口113から直ちに排出できるからである。更に、第1過圧より低い第2過圧は、例えば、この機械の始動でのこの装置の予備滅菌に役立つ。第2室の圧力を第1室に比べて低くすることにより、滅菌中に使う過酸化水素の十分な量をこの第2室内部に押込むことができる。この予備滅菌を以下に更に詳しく説明する。第2過圧を第1過圧より高いように選ぶ一つの理由は、第2室から、例えば、異臭を生じる、オゾンおよび起り得るその他の揮発性物質の迅速な排出を得るためである。
【0044】
内ハウジング1内部、即ち、放射源2、3周辺の圧力は好ましくは第2室111内部の圧力より低くする。第2室111内部の圧力より低い圧力を選ぶ一つの理由は、内ハウジング1に含まれる汚染した空気によるウエブWの再汚染のリスクを最小化するためである。この特別の実施例で使用する放射源2、3に何も決った圧力が必要ないので、内ハウジング1内の圧力は、大気圧でもよい。しかし、もし、使用する放射源が必要とするなら、内ハウジング1を加圧してもよいことを理解すべきである。
【0045】
第1室107の外部に、空気システム100は、所謂ゼロ点116を備える。このゼロ点116は、このシステムの何処かが故障したら、大気圧以下の圧力を避けるために必要な空気をこのゼロ点116を介してこのシステムに送込むことを確実にする装置である。この様にして、塔105、第1室107および第2室111内部の圧力が少なくとも大気圧以下に落ちないことが保証される。このゼロ点116は、一般的に入口117、出口118および弁120によって閉じる開口119を有するハウジングを含む。大気圧を超える圧力は、この弁を外方に押して開口119を封止する。ゼロ点116内部の圧力が大気圧以下に落ちると、弁120は、開口119に押付けられない(それどころか、それがゼロ点116の内方に押されて、この開口119から空気をこのシステムに導入できる)。
【0046】
例えば、この機械の始動中、塔105および室107、111の内部の表面をウエブWが入る前に滅菌するためにこの空気システム100を使うことができる。この滅菌は、過酸化水素(H)で行う。過酸化水素を使う滅菌は、それ自体知られているが、以下にこの空気システム100に関して簡単に説明する。塔105は、過酸化水素供給源と接続されていて、それはエアロゾル・ノズルを備える。これらのノズルは、過酸化水素を空気中にスプレーとして送り、この塔に供給した空気を、過酸化水素が気化する温度、通常40−50°Cのオーダの温度に加熱する。空気に含まれる過酸化水素は、塔105および室107、111を先に説明した方向に流過し、排出出口113で排出される。途中、過酸化水素は、表面に凝結する。次にこの過酸化水素は、過酸化水素気化温度以上の温度の空気を供給することによってこの表面から除去する。この実施例では、70−90°Cのオーダの温度を使用する。気化温度より十分上の温度にすることにより、過酸化水素をこの表面から効果的且つ迅速に除去する。
【0047】
この装置のガス状流体システムの利点の一つは、この充填機の停止中に現れる。停止中、ウエブWを停止し、このウエブWを損傷しないように照射装置1の電子ビーム放射源2、3を止めるべきである。しかし、第1および第2室107、111の両方にウエブWの移動方向と反対方向に無菌空気の流れをまだ連続的に提供することにより、この装置1の内部に所望の滅菌レベルを維持することができる。それによって、ウエブWの滅菌の所望のレベルを確保し、あらゆる起り得るその再汚染のリスクを最小化する。
【0048】
ウエブWの電子ビーム放射のための方法によれば、ウエブWが供給されてトンネルを通過させる。このトンネルは、ウエブ入口部5、ウエブ出口部6および電子出口窓21、31を備える電子ビーム放射源2、3を受けるようになっている中央部を備える。電子は、放射源2、3から電子出口窓21、31を介してこのトンネルの中へ放射し、このウエブWの照射中に電子によって作られるX線は、このトンネルを出る前に、このトンネル壁に2度強制的に衝突させられる。少なくとも2度の衝突を達成するために、このトンネルは、入口および出口部5、6の各々で少なくとも2個所で曲げて作ってある。
【0049】
ウエブWは、入口および出口部5、6の各々に設けた少なくとも一つのウエブ案内によってこのトンネルを通して案内する。出口部6のウエブ案内は、ウエブWに関して、このウエブWの第2面Wと接触するようになっていて、ウエブWの第1面Wとの接触を妨げるようになっているような方法で位置する。
【0050】
更に、この方法は、入口部5が三つの連続するセグメント、すなわち入口セグメント5a、中央セグメント5bおよび出口セグメント5cの列を含むようにこの入口部5を作る工程を含む。この中央セグメント5bは、入口セグメント5aに対し第1角度αを成すように作ってある。更に、出口セグメント5cは、この中央セグメント5bに対し第2角度βを成す。出口部6も同様に設計してある。
【0051】
トンネルの幅、上記角度α、βおよびセグメント5a−cの長さの間の関係は、入口セグメント5aでトンネル壁に当る仮想直線が、出口セグメント5cを出る前に、少なくとも出口セグメント5cのトンネル壁にも当り、且つ入口セグメント5aを通過する仮想直線が、中央セグメント5bのトンネル壁に当って、それが出口セグメント5cを出る前に、少なくともこの出口セグメント5cのトンネル壁にも当るようになっている。
【0052】
電子による照射中、この装置の内部にオゾン(O)ができることが分っている。従って、この発明は、この装置を換気する方法も含む。この方法は、ウエブ入口開口115およびウエブ出口開口121を含む第1室107を用意する工程を含む。この第1室107は、外ハウジング4である。トンネルである、第2室111も設けてあり、第1室107の内部を伸びる。この第2室111は、ウエブ入口開口114およびウエブ出口開口112を含むように作ってある。更に、電子出口窓21、31を備え、それを通して電子を第2室111の中へ放射するようになっている。ウエブWは、第2室111を貫通し、第1および第2室107、111の両方を通る空気の流れができる。この空気流は、ウエブWの移動方向と反対方向に流れる。この空気を第1室107のウエブ出口開口121に供給し、また、少なくとも一つの出口113を設ける。
【0053】
代替方法では、第2室111のウエブ出口開口121と第1室107のウエブ出口開口112の間に流体結合がもたらされる。同時に第1室107と第1室107のウエブ出口開口121の間の流体結合が妨げられる。ウエブWの移動方向と反対方向に第1および第2室107、111の両方を通る空気の流れを、上記空気を第1室107におよび第1室107のウエブ出口開口121に供給し且つ少なくとも一つの出口113を設けることによって創ることができる。空気を第1室107と流体連通している弁106から第1室107に供給する。
【0054】
この方法によれば、ウエブWは、第1室107のウエブ入口開口115からこの装置に入り、第2室111にそのウエブ入口開口114から入る。両開口115、114は、それらを通るときウエブWを真っ直ぐに、実質的に水平に保つように位置する。入口部5の内部で、ウエブWは、第1ローラ9で第2角度β曲げられ、第2ローラ10で第1角度α曲げられる。移動中、ウエブWは、ウエブWと反対方向の流れる空気流に遭遇する。ウエブWがこのトンネルの中央部を通るとき、今度は垂直方向に移動し、電子出口窓21、31を通過し、それを通してこのウエブWが放射源2、3によって照射される。電子出口窓21、31は、トンネルの対向する側に位置し、それによってウエブWの両面を照射する。照射後、ウエブWは、出口部6に入り、そこでウエブWは、入口部5でのように、2度曲げられる。最後に、ウエブWは第2室111のウエブ出口開口112から、および次に第1室107のウエブ出口開口121からこの装置を出て塔105に入る。
【0055】
本発明を現在好適な実施例に関して説明したが、この発明の目的および添付の請求項に定義する範囲から逸脱することなく種々の修正および変形を為してもよいことを理解すべきである。
【0056】
説明した実施例は、二つの放射源2、3を、一つはウエブWの第1面Wの電子照射用に、他はウエブWの第2面Wの電子照射用に含む。しかし、この装置は二つの放射源2、3を含む必要はなく、製品と接触する面を照射するために第1放射源2だけを含むことができることを理解すべきである。更に、二つの放射源2、3が互いに対向して位置することを説明した。その代りに、それらは、ウエブ移動方向に互いから少し離れて位置することができる。
【0057】
その上、放射源の数が2を超えてもよいことも理解すべきである。例えば、広いウエブを扱うために、幾つかの放射源を並べることが可能である。また、二つ以上の放射源をウエブ移動方向に沿って並べて配置し、決った放射線レベルをもたらす後続滅菌領域を作るか、または高い放射線レベルが必要な場所、例えば、閉鎖装置を選択的に放射するための手段とすることも可能である。
【0058】
説明したウエブ案内は、曲げローラである。しかし、ウエブ案内は曲げローラである必要はなく、トンネルを通してウエブを案内するために適したどんな他の手段でもよいことを理解すべきである。
【0059】
更に、出口113の位置を修正できることを理解すべきである。上に説明した実施例では、この出口113が第2室111の内部に位置する。その代りに、この出口113は、例えば、第2室111のウエブ入口開口114の付近または第1室107のウエブ入口開口115の付近に位置してもよい。出口113を第1室107の外部で入口開口115付近に位置付けることも可能である。
【0060】
その上、上に説明した実施例では、出口113が第2室111の内部に位置し、第1室107がこの第2室111と流体結合している。代替実施例では、第2室111のウエブ入口開口114が第1室107のウエブ入口開口115と流体結合していて、一方第1室107、そのウエブ入口開口115と第2室111のウエブ入口開口114の間の流体結合は妨げられる。二つの室107、111は、別々の出口に通じている。少なくとも一つの出口が第1室107に存在し、少なくとも一つの出口が第2室111に存在するかまたは第2室111と流体連通している。
【0061】
更に、過酸化水素を使う説明した空気システムは、防腐応用分野で使うのが好ましい。低温殺菌した製品を取扱うために使用する包装機械での対応する空気システムでは、機械滅菌を通常濾過した空気を使って行うが、空気流は同じである。上に説明したシステムの代りに、このシステムは、フィルタとファンを含むことができる。作業中これらの室からオゾンを排出するために、このシステムは、触媒コンバータを備えることができる。
【0062】
その上、図示する実施例では、第2室111のウエブ入口開口114が第1室107のウエブ入口開口115から少し離れて、且つ好ましくはそれと整列して位置する。その代りに、この第2室111は、第1室107のウエブ入口開口115までいっぱいに伸びることができ、それによって第1室107とウエブ入口開口115の間の流体結合を妨げる。この場合第2室111の壁は、このウエブ入口開口から少し離れるが、出口113の前に開口、好ましくはスリットを備える。それによって二つの室の間の流体結合がもたらされ、この構成は、インジェクタ効果を生じ、第1室からこれらのスリットを通って第2室へ流れる空気流を作り、そこで出口113から排出される。少量の空気もハウジングの外部からウエブ入口開口115を通って吸引される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この装置の実施例の概略断面図を示す。
【図2】トンネルのセグメント、角度および放射源を備える内ハウジングを図解する概略図を示す。
【図3】トンネルの幅、セグメントの角度および長さの関係についての概略第1図解を示す。
【図4】トンネルの幅、セグメントの角度および長さの関係についての概略第2図解を示す。
【図5】この装置に収納した放射源の概略断面図を示す。
【図6】この発明による空気システムの概略図を示す。
【図7】図1に類似する概略図を示すが、反対側から示し且つ代替実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエブ(W)の少なくとも第1面(W)を電子ビーム照射するための装置であって、このウエブ(W)を通すようにしたトンネルを含み、上記トンネルは、ウエブ入口部(5)、ウエブ出口部(6)およびそれを通して電子をこのトンネルの中へ放射するようにした電子出口窓(21)を備え、少なくとも第1電子ビーム放射源(2)を受けるようにした中央部を備え、並びにそれでこのトンネルが、この入口部(5)および出口部(6)の各々の少なくとも2個所で、このウエブ(W)の電子ビーム照射中にできたX線をこのトンネルを出る前に少なくとも2度このトンネル壁に当らせるような方法で、曲げてある装置。
【請求項2】
請求項1による装置で、この入口部(5)および出口部(6)がそれぞれ三つの連続するセグメント、すなわち入口セグメント(5a、6a)、中央セグメント(5b、6b)および出口セグメント(5c、6c)を含み、並びにこの中央セグメント(5b、6b)は、この入口セグメント(5a、6a)に対し第1角度(α)を成し、この出口セグメント(5c、6c)は、この中央セグメント(5b、6b)に対し第2角度(β)を成す装置。
【請求項3】
請求項2による装置で、このトンネルの幅、上記角度(α、β)およびこれらのセグメント(5a−c、6a−c)の長さの間の関係は、この入口セグメント(5a、6a)でこのトンネル壁に当る仮想直線が、この出口セグメント(5c、6c)を出る前に、少なくともこの出口セグメント(5c、6c)のトンネル壁にも当り、この入口セグメント(5a、6a)を通過する仮想直線が、この中央セグメント(5b、6b)のトンネル壁に当って、それがこの出口セグメント(5c、6c)を出る前に、少なくともこの出口セグメント(5c、6c)のトンネル壁にも当るようになっている装置。
【請求項4】
請求項1による装置で、この中央部は、それを通して電子をこのトンネルの中へ放射するようにした電子出口窓(31)を備える追加の第2電子ビーム放射源(3)を受けるようになっていて、この電子ビーム放射源(3)は、このウエブ(W)の第2面(W)を電子で照射するように配置するようになっている装置。
【請求項5】
請求項1および請求項4による装置で、この電子出口窓(21、31)が実質的に平面であり且つこのウエブ(W)と実質的に平行に設けるようになっている装置。
【請求項6】
請求項4および請求項5による装置で、この追加の第2電子ビーム放射源(3)がこの第1電子ビーム放射源(2)と実質的に対向して配置するようになっていて、且つこの電子出口窓(31)がこの第1電子出口窓(21)と実質的に対向して配置するようになっている装置。
【請求項7】
請求項1および請求項4−6による装置で、この放射源(2、3)がハウジング(1)に収納してある装置。
【請求項8】
請求項1および請求項4−7による装置で、この放射源(2、3)が低電圧電子ビーム放射源である装置。
【請求項9】
請求項1による装置で、この入口および出口部(5、6)がこのトンネルを通してこのウエブを案内するために各々少なくとも一つのウエブ案内を備える装置。
【請求項10】
請求項9による装置で、この出口部(6)のこの少なくとも一つのウエブ案内が、このウエブ(W)に関してこのウエブ(W)の第2面(W)と接触するように、且つこのウエブ(W)の第1面(W)と接触しないようになっている方法で配置してある装置。
【請求項11】
請求項9および請求項10による装置で、このウエブ案内が支持部材に支承してある第1および第2ローラ(9、10、11、12)を含み、これらのローラ(9、10、11、12)は、この第1ローラ(9、11)がこのウエブ(W)を第2角度(β)曲げ、第2ローラ(10、12)がウエブ(W)を第1角度(α)曲げるような方法で作ってあり且つ相互に位置する装置。
【請求項12】
請求項2−11の何れかによる装置で、この入口部(5)および出口部(6)の入口セグメント(5a、6a)がこのトンネルの中央部に隣接し、この入口部(5)および出口部(6)の出口セグメント(5c、6c)が互いから離れる方向に向いている装置。
【請求項13】
請求項2−12の何れかによる装置で、このトンネル部およびこの放射源ハウジング(1)がハウジング(4)に収容してある装置。
【請求項14】
ウエブ(W)の少なくとも第1面(W)を電子ビーム照射するための方法であって:
このウエブ(W)をトンネルに通し、上記トンネルは、ウエブ入口部(5)、ウエブ出口部(6)および電子出口窓(21)を備え、少なくとも第1電子ビーム放射源(2)を受ける中央部を備える工程、
この放射源(2)からこの電子出口窓(21)を通してこのトンネルの中へ電子を放射する工程、並びに
このトンネルをこの入口および出口部(5、6)の各々の少なくとも2個所で曲っているように作ることによって、ウエブ(W)の照射中に電子によってできたX線をこのトンネルを出る前に少なくとも2度このトンネル壁に当らせる工程を含む方法。
【請求項15】
請求項14による方法で、この入口部および出口部(5、6)をそれぞれの部分が三つの連続するセグメント、すなわち入口セグメント(5a、6a)、中央セグメント(5b、6b)および出口セグメント(5c、6c)の列を含むように作る工程を含み、この中央セグメント(5b、6b)は、この入口セグメント(5a、6a)に対し第1角度(α)を成すように作り、この出口セグメント(5c、6c)は、この中央セグメント(5b、6b)に対し第2角度(β)を成すように作る方法。
【請求項16】
請求項15による方法で、このトンネルの幅、上記角度(α、β)およびこれらのセグメント(5a−c、6a−c)の長さの間の関係を、この入口セグメント(5a、6a)でこのトンネル壁に当る仮想直線が、この出口セグメント(5c、6c)を出る前に、少なくともこの出口セグメント(5c、6c)のトンネル壁にも当るように、且つこの入口セグメント(5a、6a)を通過する仮想直線が、この中央セグメント(5b、6b)のトンネル壁に当って、それがこの出口セグメント(5c、6c)を出る前に、少なくともこの出口セグメント(5c、6c)のトンネル壁にも当るようにする工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−527139(P2006−527139A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508578(P2006−508578)
【出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000891
【国際公開番号】WO2004/110868
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】