説明

電子ファイル検索装置

【課題】 画面上に表示された表象画像の配置場所に基づく検索対象の電子ファイルの指定を可能にする。
【解決手段】 画面1上に、各電子ファイルを表象するアイコンと、所定の検索条件が予め対応付けられた検索磁石が表示されており、検出手段12が、アイコン情報保持部3及び磁石情報保持部4を参照して、利用者の操作に応じて移動した検索磁石に重ねられたアイコンの検出を行い、判定手段13が、検出手段12によりアイコンが検出されたことに応じて、当該検出されたアイコンに対応する電子ファイルが検索磁石に対応付けられた検索条件に合致するか否かを判定し、表示位置変更手段15が、合致すると判定された電子ファイルのアイコンを検索磁石に追従移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ファイル検索装置、電子ファイル検索プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アプリケーションや電子文書等の複数の電子ファイルが情報処理装置において管理されており、利用者は操作対象の電子ファイルを選択して文書閲覧や編集等の作業を情報処理装置上で行っている。一般に、情報処理装置に管理されている多量の電子ファイルから利用者が所望する電子ファイルを容易に選択できるように、利用者から与えられた検索条件に合致する電子ファイルを検索する機能が情報処理装置に用意されている。
【0003】
ここで、情報の検索に関して、以下のような発明が提案されている。
順序性を持つ属性値を含む情報の集合からの検索において、検索条件を入力するためのGUI画面に、属性値の順序性を表現した時間軸を持つスライダと、指定属性範囲となる期間を操作入力するためのスライドボタンとを設け、スライドボタンの時間軸に沿った移動とスライドボタンの幅の操作とにより検索条件となる期間を入力できるようにした発明が提案されている(特許文献1参照。)。
【0004】
地図上の所在地検索において、地図画像上で指定された範囲を示す地図情報又は所在地を示す文字情報(住所や駅名等)の少なくとも一方を受け付け、地図情報又は文字情報に基づいて検索対象として定めた座標範囲において検索するようにした発明が提案されている(特許文献2参照。)。
【0005】
データの検索/フィルタリングの範囲を、範囲の始めを示す第1の修飾子の指定と、範囲を使用することを示す単一の範囲標識の指定と、範囲の終わりを示す第2の修飾子の指定とを行うことで指定する発明が提案されている(特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2005−157756号公報
【特許文献2】特開2002−236686号公報
【特許文献3】特開平11−212981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報処理装置は、通常、電子ファイルを格納したフォルダを階層状に構成して電子ファイルを管理しており、従来の一般的な検索では、利用者に指定されたフォルダ内での検索を実施する。そして、指定されたフォルダ内の一部の電子ファイルのみを検索対象としたい場合には、その絞込みを行うための条件を更に付加しての絞込み検索等が必要となる。
【0007】
ここで、近年、現実の机を仮想的に表現した作業領域を画面上に表現し、電子ファイルを表象する表象画像(例えばアイコン)を作業領域中の自由な位置に利用者が配置できるようにすることで、現実の机に文書を並べて作業する場合と同様な感覚で利用者が作業できる環境を仮想的に実現することが行われている。
【0008】
このような環境においては、利用者は、例えば、関連する電子ファイルの表象画像同士を近い位置に配置することで各電子ファイルの関連性を一目で把握可能にする等の工夫をしており、画面上の表象画像の配置が重要な意義を持っている。このため、画面上の表象画像の配置場所を絞込み条件としたいという要求があったが、そのような直感的な絞込み検索はこれまで提案されていない。
【0009】
また、従来の一般的な検索では、検索条件に合致するファイル名等が検索結果として一覧表示されるが、そのファイル名に該当する電子ファイルの表象画像同士を画面上の近い位置に再配置することを望むような場合には、利用者は、該当する各表象画像を作業領域から探し出して集め直す必要があり、その作業に手間がかかるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたものであり、画面上に表示された表象画像の配置場所に基づく検索対象の電子ファイルの指定を可能にすることを目的とする。
更には、検索条件に合致する電子ファイルの表象画像を容易に把握可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の本発明は、電子ファイルを表象する表象画像を画面に表示するよう処理を行う表象画像表示処理手段と、所定の検索条件が予め対応付けられた操作画像を画面に表示するよう処理を行う操作画像表示処理手段と、利用者から操作画像の表示位置を移動させる指示入力を受け付ける移動受付手段と、指示入力に応じて移動した操作画像との距離が所定値以下である表象画像を検出する検出手段と、表象画像が検出されたことに応じて、当該表象画像に対応する電子ファイルが操作画像に対応付けられた検索条件に合致する検索電子ファイルであることを判定する判定手段と、検出された表象画像を判定結果に応じて表示態様を変更して前記表象画像表示処理手段を用いて表示させる変更手段と、を備えたことを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0012】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の電子ファイル検索装置において、前記変更手段は、検索電子ファイルの表象画像を操作画像の移動に追従する表示位置に変更することを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0013】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の電子ファイル検索装置において、前記判定手段は、検出電子ファイルが検索条件に合致する度合いを算出しており、前記変更手段は、検索電子ファイルの表象画像と操作画像との距離を前記度合いに応じた距離とすることを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0014】
請求項4に記載の本発明は、請求項2に記載の電子ファイル検索装置において、前記変更手段は、所定の基準で順序付けた複数の検出電子ファイルのそれぞれの表象画像と操作画像との距離を各検出電子ファイルの順序に応じた距離とすることを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0015】
請求項5に記載の本発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子ファイル検索装置において、前記変更手段は、検索電子ファイルの表象画像の枠を所定色に変更することを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0016】
請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の電子ファイル検索装置において、前記所定色は、操作画像に予め設定された色情報に基づく色であることを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0017】
請求項7に記載の本発明は、請求項5又は請求項6に記載の電子ファイル検索装置において、前記判定手段は、検出電子ファイルが検索条件に合致する度合いを算出しており、前記所定色は、前記度合いに応じた明度又は彩度の色であることを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0018】
請求項8に記載の本発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電子ファイル検索装置において、利用者から操作画像同士を結合する指示入力を受け付けたことに応じて、当該受け付けた各操作画像に対応付けられた検索条件の和又は積を対応付けた操作画像を生成する操作画像結合手段を備えたことを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0019】
請求項9に記載の本発明は、請求項8に記載の電子ファイル検索装置において、操作画像同士を結合する指示入力は、一方の操作画像を他方の操作画像からの距離が所定値以下となる表示位置に移動させる移動させる指示入力であることを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0020】
請求項10に記載の本発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の電子ファイル検索装置において、複数の検索条件の和又は積が対応付けられた操作画像を、各検索条件が対応付けられた複数の操作画像に分割する操作画像分割手段を備えたことを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0021】
請求項11に記載の本発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載に電子ファイル検索装置において、前記移動受付手段は、複数の操作画像をまとめて移動させる指示入力を受け付け、前記検出手段は、まとめて移動された各操作画像のいずれかとの距離が所定値以下である表象画像を検出し、前記判定手段は、当該表象画像に対応する電子ファイルが、まとめて移動された各操作画像のそれぞれに対応付けられた検索条件の積又は和に合致する検索電子ファイルであることを判定することを特徴とする電子ファイル検索装置である。
【0022】
請求項12に記載の本発明は、電子ファイルを表象する表象画像を画面に表示するよう処理を行う表象画像表示処理機能と、所定の検索条件が予め対応付けられた操作画像を画面に表示するよう処理を行う操作画像表示処理機能と、利用者から操作画像の表示位置を移動させる指示入力を受け付ける移動受付機能と、指示入力に応じて移動した操作画像との距離が所定値以下である表象画像を検出する検出機能と、表象画像が検出されたことに応じて、当該表象画像に対応する電子ファイルが操作画像に対応付けられた検索条件に合致する検索電子ファイルであることを判定する判定機能と、検出された表象画像を判定結果に応じて表示態様を変更して前記表象画像表示処理機能を用いて表示させる変更機能と、をコンピュータに実行させることにより構成する電子ファイル検索プログラムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電子ファイル検索装置によると、利用者は、操作画像を表象画像に近づける又は重ねるという操作で、当該表象画像に対応する電子ファイルを検索対象として指定できるようになる。また、検索対象の電子ファイルの表象画像が判定結果に応じた表示態様に変更されるため、利用者は、検索条件に合致する電子ファイルの表象画像を容易に把握できる。
【0024】
表示態様を変更する一形態として、検索条件に合致する電子ファイルの表象画像を操作画像に追従して移動させることで、判定結果を容易に把握できるとともに該当する表象画像を集める手間が省ける。この場合、電子ファイルが検索条件に合致する度合いに応じた距離をおいて表象画像を追従せさることで、その距離から検索条件に合致する度合いを把握できる。または、条件に合致する複数の電子ファイルの各表象画像を所定の並び順(例えばファイル名順、更新日時等)で追従させることができる。
【0025】
表示態様を変更する他の形態として、検索条件に合致する電子ファイルの表象画像の枠の色を変更することで、表象画像の枠を見て判定結果を把握できる。この場合、各操作画像に予め設定された色情報に基づいて枠の色を変更できるため、複数の操作画像がある場合に、いずれの操作画像を用いて検索されたかを把握できる。また、電子ファイルが検索条件に合致する度合いに応じた明度又は彩度の色に変更することで、検索条件に合致する度合いも把握できる。
【0026】
また、本発明の電子ファイル検索装置は、各操作画像に対応付けられた各検索条件の積又は和を検索条件として対応付けた操作画像を生成できるため、既存の操作画像の組合せに基づく検索条件による判定を行える。なお、操作画像同士を近づける又は重ねるという簡単な操作で、これら操作画像に基づく新たな操作画像の生成を行える。
【0027】
また、本発明の電子ファイル検索装置は、複数の検索条件の和又は積が対応付けられた操作画像を各検索条件が対応付けられた複数の操作画像に分割できるため、それぞれの検索条件での判定や検索条件の組合せの変更等を行える。
【0028】
また、本発明の電子ファイル検索装置は、複数の操作画像をまとめて操作し、各操作画像に対応付けられた各検索条件の積又は和を検索条件として判定することができるため、既存の操作画像の組合せに基づく検索条件による判定を、当該検索条件を対応付けた新たな操作画像を作成することなく行える。
【0029】
本発明の電子ファイル検索プログラムによると、当該プログラムをコンピュータに実行させることにより構成される各機能により、利用者は、操作画像を表象画像に近づける又は重ねるという操作で、当該表象画像に対応する電子ファイルを検索対象として指定できるようになる。また、検索対象の電子ファイルの表象画像が判定結果に応じた表示態様に変更されるため、利用者は、検索条件に合致する電子ファイルの表象画像を容易に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を一実施例に基づいて具体的に説明する。
本例の電子ファイル検索装置は、アプリケーションや電子文書等の電子ファイルの検索を、磁石を模した検索磁石(選択画像)の操作により指定されたアイコン(電子ファイルを表象する表象画像)に対応する電子ファイルを検索対象として処理する装置であり、図1にその構成を示すように、画面1、入力機器2、アイコン情報保持部3、磁石情報保持部4、アイコン表示処理部5、磁石表示処理部6、操作受付部7、磁石情報編集部8、検出部12、判定部13、アイコン情報編集部14、を備えている。
【0031】
画面1は、液晶ディスプレイ等により構成されており、当該画面1に表現された作業領域上に各アイコンが表示される。
入力機器2は、マウス等のポインティングデバイス等により構成されており、利用者は当該入力機器2を用いて検索磁石の操作を行う。
【0032】
アイコン情報保持部3は、各電子ファイルのファイル情報及び各電子ファイルに対応するアイコン情報を保持している。
【0033】
ファイル情報は、図2に示すように、電子ファイルを識別する「ファイルID」、電子ファイルの名称である「ファイル名」、電子ファイルの属性情報(例えば、作成日時、更新日時、ファイルサイズ、製作者、ファイル種別等)である「属性」、電子ファイルの保持内容(例えば、文字、図形、写真等)である「内容データ」を組にして保持している。
【0034】
アイコン情報は、図3に示すように、アイコンを識別する「アイコンID」、対応する電子ファイルを識別する「ファイルID」、当該電子ファイルを表象する画像である「アイコン画像」、アイコンを表示する位置を示す「位置座標」等を組にして保持している。
【0035】
磁石情報保持部4は、検索対象の指定に用いる検索磁石に係る磁石情報を保持しており、図4に示すように、検索磁石を識別する「磁石ID」、検索磁石を表示する位置を示す「位置座標」、電子ファイルを判定する条件式である「検索条件」等を組にして保持している。
【0036】
検索条件としては、一般的なファイル検索と同様に、例えば、ファイル名の曖昧検索指定、作成日時や更新日時の期間指定、ファイルサイズの範囲指定、作成者の指定、ファイル種別の指定、ファイル中の文字の指定、ファイル中に図形や写真を含むか否かの指定、等の条件を設定することができる。
【0037】
アイコン表示処理部5は、アイコン情報のアイコン画像をその位置座標に該当する画面1上の位置に表示するアイコン表示処理を行う。
磁石表示処理部6は、磁石を模した画像(検索磁石)を磁石情報の位置座標に該当する画面1上の位置に表示する磁石表示処理を行う。
【0038】
操作受付部7は、利用者が行った入力機器2の操作に応じた指示入力を受け付ける。本例では、指定された検索条件を対応付けた新たな検索磁石を作成する磁石作成指示入力、検索磁石の表示位置を移動する磁石移動指示入力、検索磁石同士を結合する磁石結合指示入力、検索磁石を複数に分割する磁石分割指示入力、等を受け付けている。
【0039】
磁石情報編集部8は、操作受付部7で受け付けた検索磁石に対する指示入力に応じて、対応する磁石情報を編集する処理を行っており、磁石作成指示入力にて指定された検索条件を設定した新たな磁石情報を作成して磁石情報保持部4に格納する磁石作成処理を行うほか、磁石移動指示入力、磁石結合指示入力、磁石分割指示入力に応じた処理をそれぞれ行う磁石表示位置変更部9、磁石結合処理部10、磁石分割処理部11、を備えている。
【0040】
磁石表示位置変更部9は、選択された検索磁石に係る磁石情報中の位置座標を変更する磁石位置変更処理を行っており、磁石表示処理部6により当該変更後の磁石情報で磁石表示処理を行うことで検索磁石の表示位置が移動される。本例では、検索磁石を選択した状態でのマウス等の移動操作に伴って磁石移動指示入力を受け付け、該当する磁石情報中の位置座標を随時変更して検索磁石の表示位置を移動させることで、検索磁石を手に持って動かす感覚を利用者に与えている。
【0041】
磁石結合処理部10は、結合対象として選択された複数の検索磁石に係る各磁石情報を結合して新たな磁石情報を作成して磁石情報保持部4に格納する磁石結合処理を行う。作成する磁石情報には、結合対象の各磁石情報中の検索条件をAND(積)又はOR(和)で結合した検索条件が設定され、AND又はORのいずれで結合するかは利用者の指定に従う。
【0042】
磁石分割処理部11は、分割対象として選択された検索磁石に係る磁石情報を分割して複数の新たな磁石情報を作成して磁石情報保持部4に格納する磁石分割処理を行う。作成する各磁石情報には、分割対象の磁石情報中のAND又はORで結合された各検索条件がそれぞれ設定される。
【0043】
検出部12は、磁石移動指示入力に応じて移動された検索磁石に係る磁石情報の位置座標と各アイコン情報の位置座標とを比較することで、検索磁石から所定値以下の距離に表示されているアイコンを検出する。本例では、検索磁石の画像の画像幅とアイコン画像の画像幅との合計を所定値とすることで、検索磁石に重なったアイコンの検出を行っているが、更に一定の値(例えば5ピクセル)を加えて所定値とすることで、検索磁石が近づけられたアイコンの検出を行うこともできる。
【0044】
判定部13は、検出部12によりアイコンが検出されたことに応じて、当該アイコンに対応する電子ファイルが、磁石移動指示入力に応じて移動された検索磁石に係る検索条件に合致するか否かを判定する。本例では、検出されたアイコンのアイコン情報に対応するファイル情報中のファイル名、属性、内容データを参照して検索条件に合致するかを判定するが、例えば、ファイル名や属性をアイコン情報に保持させておくことでファイル情報を参照せずに判定するようにしてもよい。
【0045】
また、本例の判定部13は、検索条件に合致すると判定された電子ファイルについて、検索条件に合致する度合いを示す合致度を算出する。合致度は、例えば、検索条件がOR結合された複数の条件からなる場合には適合する条件数が多い電子ファイルほど高くなり、また例えば、検索条件が或る単語を内容データに含む電子ファイルを検索する条件の場合には当該単語を多く含む電子ファイルほど高くなる。
【0046】
アイコン情報編集部14は、判定部13による判定結果に応じて、検出部12で検出されたアイコンの表示態様を変更する処理を行っており、アイコンの表示位置を変更するアイコン表示位置変更部15と、アイコンの枠色を変更するアイコン枠色変更部16と、を備えている。
【0047】
アイコン表示位置変更部15は、判定部13で合致すると判定された電子ファイルに対応するアイコンのアイコンIDと算出された合致度とを組にした合致リストを検索磁石に対応付けて保持しており、合致リスト中のアイコンIDに該当するアイコンを合致度に応じた距離で検索磁石に追従させる。
【0048】
例えば、アイコンを検索磁石から距離M以上離さないで追従させるときは、移動後の磁石情報の位置座標Pと現在のアイコン情報の位置座標Qとを比較し、PQ間の距離mが距離Mより大きくなる場合に、位置座標Qから位置座標Pに向けて距離Mと距離mとの差分D(D=m−M)を移動した位置座標Q’で、アイコン情報の位置座標を変更する。
【0049】
アイコン枠色変更部16は、判定部13で合致すると判定された電子ファイルに対応するアイコンのアイコン情報中のアイコン画像を加工してアイコンの枠色を変更する。すなわち、当該アイコンが他のアイコンと区別して表示される。
【0050】
次に、検索磁石を用いた電子ファイルの検索を、図5を用いて説明する。
なお、検索条件に合致する電子ファイルのアイコンを検索磁石に追従移動させることが利用者に指定されているものとする。
利用者が行った入力機器2の操作により検索磁石を移動させる磁石移動指示入力を操作受付部7で受け付けると(ステップS10)、磁石表示位置変更部9が、操作対象の検索磁石の磁石情報の位置座標を変更する(ステップS11)。
【0051】
検出部12が、当該変更された位置座標と各アイコン情報の位置座標とを比較することで、検索磁石から所定値以下の距離に表示されているアイコンの検出を行う(ステップS12)。該当するアイコンを検出した場合は、判定部13が、当該アイコンに対応する電子ファイルのファイル情報中のファイル名や属性等を参照して、操作対象の検索磁石の磁石情報の検索条件に合致するか否かを判定する(ステップS13)。一方、該当するアイコンを検出しない場合は、当該判定及び下記の合致度算出・合致リスト追加(ステップS13〜S15)は行わない。
【0052】
検索条件に合致する場合は、判定部13は、更に、検索条件に対する電子ファイルの合致度の算出を行い(ステップS14)、当該電子ファイルに対応するアイコンのアイコンIDと算出した合致度とを組にしてアイコン表示位置変更部15に提供して合致リストに追加させる(ステップS15)。一方、検索条件に合致しない場合は、合致度算出・合致リスト追加(ステップS14、S15)は行わない。
【0053】
アイコン表示位置変更部15は、合致リスト中にアイコンIDと合致度との組が格納されているかを判定し(ステップS16)、格納されている場合には以下の処理を行う。
まず、アイコンIDと合致度との組を合致リスト中から1つ取り出し(ステップS17)、当該アイコンIDに対応するアイコンを合致度に応じた距離で検索磁石に追従する表示位置に、該当するアイコン情報の位置座標を変更する(ステップS18)。そして、合致リスト中の全ての組について処理したかを判定し(ステップS19)、未処理の組がある場合には、同様にその組に該当するアイコン情報の位置座標を変更する処理を行い、全ての組について処理を繰り返す。
【0054】
この結果、位置座標の変更後の内容で検索磁石とアイコンとが表示されるため、例えば、図6(a)に示すように、5つのアイコン101〜105が画面上に表示されている場合に、同図(b)に示すように、検索磁石20を各アイコン101〜105に重なるように破線矢印21に沿って移動させると、検索磁石20の検索条件に合致するアイコン102、103が検索磁石20に追従して移動する。
【0055】
すなわち、利用者は、検索磁石を各アイコン101〜105に重ねるという操作で、各アイコンに対応する電子ファイルを検索対象として選択でき、また、アイコン102、103が検索磁石20に追従移動していることから、当該アイコンに対応する電子ファイルが検索条件に合致していることがわかる。また、アイコン102がアイコン103に比べて検索磁石20に近いことから、アイコン102に対応する電子ファイルの方がアイコン103に対応する電子ファイルより検索条件に対する合致度が高いことがわかる。
【0056】
なお、検索磁石に追従させる各アイコンは、例えば、該当する電子ファイルのファイル名順や更新日時順等の属性に応じた順番、或いは検索磁石が重ねられた順番等、所定の並び順で追従させるようにしてもよい。
【0057】
次に、検索磁石同士の結合について説明する。
本例では、検出部12が、操作対象の検索磁石から所定値以下の距離に表示されている他の検索磁石の検出も行っており、該当する検索磁石を検出した場合に、操作対象の検索磁石と検出した検索磁石とを結合する磁石結合指示入力があったとみなしている。なお、磁石結合指示入力として、対象の検索磁石を複数選択して結合する指示を利用者から受け付けてもよい。
【0058】
磁石結合処理部10は、磁石結合指示入力を受け付けると、これら検索磁石に係る磁石情報の検索条件をAND又はORのいずれで結合するかの指定を利用者に要求する。そして、その指定に従って各検索条件を結合した新たな検索条件を設定した磁石情報を生成して磁石情報保持部4に格納するとともに、当該結合に用いた各検索磁石の磁石情報を磁石情報保持部4から削除する。これにより、検索磁石同士が1つの検索磁石に結合されて画面上に表示され、当該検索磁石を操作して該当する電子ファイルを検索できる。
【0059】
次に、検索磁石同士の分割について説明する。
本例では、磁石分割指示入力として、分割対象の検索磁石を選択して分割する指示を利用者から受け付けている。
磁石分割処理部11は、磁石分割指示入力を受け付けると、分割対象の検索磁石に係る磁石情報の検索条件がAND又はORで結合された複数の条件式から構成されているかを判定する。そして、複数の条件式から構成されている場合に、各条件式を検索条件とした複数の磁石情報を生成して磁石情報保持部4に格納するとともに、分割対象の検索磁石に係る磁石情報を磁石情報保持部4から削除する。これにより、検索磁石が複数の検索磁石に分割されて画面上に表示され、各検索磁石を操作して該当する電子ファイルを検索できる。
【0060】
本例の電子ファイル検索装置は、複数の検索磁石をまとめて操作することもできる。
すなわち、利用者が行った入力機器2の操作により複数の検索磁石を移動させる磁石移動指示入力を操作受付部7で受け付けて、磁石表示位置変更部9で各検索磁石の磁石情報の位置座標を変更されると、検出部12が、当該変更された各位置座標と各アイコン情報の位置座標とを比較することで、操作されたいずれかの検索磁石から所定値以下の距離に表示されているアイコンを検出する。
【0061】
そして、判定部13が、当該アイコンに対応する電子ファイルのファイル情報中のファイル名や属性等を参照して、操作対象の各検索磁石の磁石情報の検索条件に合致するか否かを判定する。なお、各検索条件の全てに合致することを判定するか、いずれかに合致することを判定するかは、利用者が指定することができる。
【0062】
図7には、複数の検索磁石をまとめて操作した場合の結果画面の例が示してある。
同図(a)では、各検索条件の全てに合致する電子ファイルのアイコンを検索磁石に追従移動させた例が示してある。すなわち、検索磁石20a及び20bに追従移動しているアイコン110、111が検索磁石20a及び20bの両方の検索条件に合致する電子ファイルに係るアイコンであることがわかる。
【0063】
同図(b)では、各検索条件のいずれかに合致する電子ファイルのアイコンを検索磁石に追従移動させた例が示してある。すなわち、検索磁石20aに追従移動しているアイコン120、121が検索磁石20aの検索条件に合致する電子ファイルに係るアイコンであり、検索磁石20bに追従移動しているアイコン130、131が検索磁石20bの検索条件に合致する電子ファイルに係るアイコンであることがわかる。
【0064】
また、本例では、アイコン枠色変更部16により各検索磁石に応じてアイコンの枠色も併せて変更している。すなわち、検索磁石20aに合致する電子ファイルのアイコン120、121は赤で表示され、検索磁石20bに合致する電子ファイルのアイコン130、131は青で表示され、いずれの検索磁石の検索条件に合致しているかがより明確となっている。また、両方の検索条件に合致する場合には緑色にしたり、赤と青で半々にしたり、等するようにしてもよい。なお、各検索磁石毎に枠色を設定することができ、各色は利用者が指定できる。また、合致度に応じて、明度又は彩度を変えるようにしてもよく、枠色を見て合致度を把握できるようになる。
【0065】
図8には、検索条件に合致する電子ファイルのアイコンを検索磁石に追従移動させずに、アイコンの枠色のみを変更した例が示してある。
同図では、検索条件に合致する電子ファイルのアイコン141の枠色を赤にするとともに、検索磁石に重ねられたものの検索条件に合致しないと判定された電子ファイルのアイコン140、142、143の枠色を灰色に変更している。
【0066】
すなわち、検索条件に合致する判定された電子ファイルのアイコンと、合致しないと判定された電子ファイルのアイコンと、検索条件に合致するかを未だ判定していない電子ファイルのアイコンと、の枠色が違えて表示される。これにより、検索条件に合致する電子ファイルが把握できると共に、判定済みの電子ファイルと未判定の電子ファイルとが区別できる。
【0067】
なお、上述したように、検索磁石にアイコンを追従移動させたり、アイコンの枠色を変更するほか、例えば、アイコンの形状を変更したり、アイコンにラベルを付加して表示したりする等の他の表示態様を採用しても良く、検索条件に合致する判定された電子ファイルのアイコンが把握できる表示態様であれば良い。
【0068】
また、磁石を模した画像を検索磁石として用いる他、例えば、通常用いられる矢印上のカーソル画像を検索磁石として用いてもよく、どのような画像を検索磁石として用いるかは特に限定されない。
【0069】
本例の電子ファイル検索装置は、外部の記憶媒体に対するデータアクセスを行う媒体アクセス部、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェア資源を有しており、本発明に係る電子ファイル検索プログラムを記憶保持した記憶媒体やHDDから当該プログラムを読み出し、RAM上に展開してCPUに演算処理させることにより、アイコン表示処理部5、磁石表示処理部6、操作受付部7、磁石情報編集部8、検出部12、判定部13、アイコン情報編集部14を構成しているが、それぞれを専用の電子回路により構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施例に係る電子ファイル検索装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係るファイル情報のデータ構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係るアイコン情報のデータ構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施例に係る磁石情報のデータ構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施例に係るファイル検索の処理手順を説明する図である。
【図6】本発明の一実施例に係るファイル検索の結果表示の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係るファイル検索の結果表示の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施例に係るファイル検索の結果表示の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1:画面、 2:入力機器、
3:アイコン情報保持部、 4:磁石情報保持部、
5:アイコン表示処理部、 6:磁石表示処理部、
7:操作受付部、 8:磁石情報編集部、
9:磁石表示位置変更部、 10:磁石結合処理部、
11:磁石分割処理部、 12:検出部、
13:判定部、 14:アイコン情報編集部、
15:アイコン表示位置変更部、 16:アイコン枠色変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ファイルを表象する表象画像を画面に表示するよう処理を行う表象画像表示処理手段と、
所定の検索条件が予め対応付けられた操作画像を画面に表示するよう処理を行う操作画像表示処理手段と、
利用者から操作画像の表示位置を移動させる指示入力を受け付ける移動受付手段と、
指示入力に応じて移動した操作画像との距離が所定値以下である表象画像を検出する検出手段と、
表象画像が検出されたことに応じて、当該表象画像に対応する電子ファイルが操作画像に対応付けられた検索条件に合致する検索電子ファイルであることを判定する判定手段と、
検出された表象画像を判定結果に応じて表示態様を変更して前記表象画像表示処理手段を用いて表示させる変更手段と、
を備えたことを特徴とする電子ファイル検索装置。
【請求項2】
前記変更手段は、検索電子ファイルの表象画像を操作画像の移動に追従する表示位置に変更することを特徴とする請求項1に記載の電子ファイル検索装置。
【請求項3】
前記判定手段は、検出電子ファイルが検索条件に合致する度合いを算出しており、
前記変更手段は、検索電子ファイルの表象画像と操作画像との距離を前記度合いに応じた距離とすることを特徴とする請求項2に記載の電子ファイル検索装置。
【請求項4】
前記変更手段は、所定の基準で順序付けた複数の検出電子ファイルのそれぞれの表象画像と操作画像との距離を各検出電子ファイルの順序に応じた距離とすることを特徴とする請求項2に記載の電子ファイル検索装置。
【請求項5】
前記変更手段は、検索電子ファイルの表象画像の枠を所定色に変更することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子ファイル検索装置。
【請求項6】
前記所定色は、操作画像に予め設定された色情報に基づく色であることを特徴とする請求項5に記載の電子ファイル検索装置。
【請求項7】
前記判定手段は、検出電子ファイルが検索条件に合致する度合いを算出しており、
前記所定色は、前記度合いに応じた明度又は彩度の色であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の電子ファイル検索装置。
【請求項8】
利用者から操作画像同士を結合する指示入力を受け付けたことに応じて、当該受け付けた各操作画像に対応付けられた検索条件の和又は積を対応付けた操作画像を生成する操作画像結合手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電子ファイル検索装置。
【請求項9】
操作画像同士を結合する指示入力は、一方の操作画像を他方の操作画像からの距離が所定値以下となる表示位置に移動させる移動させる指示入力であることを特徴とする請求項8に記載の電子ファイル検索装置。
【請求項10】
複数の検索条件の和又は積が対応付けられた操作画像を、各検索条件が対応付けられた複数の操作画像に分割する操作画像分割手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の電子ファイル検索装置。
【請求項11】
前記移動受付手段は、複数の操作画像をまとめて移動させる指示入力を受け付け、
前記検出手段は、まとめて移動された各操作画像のいずれかとの距離が所定値以下である表象画像を検出し、
前記判定手段は、当該表象画像に対応する電子ファイルが、まとめて移動された各操作画像のそれぞれに対応付けられた検索条件の積又は和に合致する検索電子ファイルであることを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載に電子ファイル検索装置。
【請求項12】
電子ファイルを表象する表象画像を画面に表示するよう処理を行う表象画像表示処理機能と、
所定の検索条件が予め対応付けられた操作画像を画面に表示するよう処理を行う操作画像表示処理機能と、
利用者から操作画像の表示位置を移動させる指示入力を受け付ける移動受付機能と、
指示入力に応じて移動した操作画像との距離が所定値以下である表象画像を検出する検出機能と、
表象画像が検出されたことに応じて、当該表象画像に対応する電子ファイルが操作画像に対応付けられた検索条件に合致する検索電子ファイルであることを判定する判定機能と、
検出された表象画像を判定結果に応じて表示態様を変更して前記表象画像表示処理機能を用いて表示させる変更機能と、
をコンピュータに実行させることにより構成する電子ファイル検索プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−97175(P2008−97175A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276073(P2006−276073)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】