説明

電子プローブX線分析における定量分析

【課題】 導電性膜で被われた試料に電子線を照射し、発生する特性X線を用いて組成分析を行う際に、予め導電性膜の厚さを知ること無しに、導電性膜の影響を補正した組成を求めることができるようにする。
【解決手段】 先ず未知試料表面に形成された導電性膜の厚さの近似値を求める。次に表面の導電性膜によるX線強度の減衰量を与える式により、該未知試料からのX線強度を補正し定量分析値の近似値を求める。次に該定量分析値の近似値を用いて、該導電性膜と該未知試料との組成の違いによる該厚さの近似値を真値に近づけるように補正する。該厚さの近似値を補正した値を用いて定量分析値の近似値を真値に近づけるように補正する。以下逐次近似的に、該厚さの補正と該定量分析値の補正を、予め設定してある収束条件を満たすまで交互に繰り返すことにより、導電性膜の影響を補正した未知試料の組成を求めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)、波長分散形X線分光器(WDS)やエネルギー分散形X線分光器(EDS)を装備した走査電子顕微鏡など、特性X線を用いて元素分析を行う電子プローブX線分析装置に係わり、特に試料の組成を求める分析技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は本発明に係わる代表的な装置である電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)の概略構成を示す。電子銃1から発生した電子線は、集束レンズ2と対物レンズ3によって細く絞られ、分析試料11に照射される。 該電子線は電子線走査コイル4によって偏向され、分析試料11の照射位置を選択できる。また、分析試料11をX、Y、Zに移動するための試料ステージ12およびステージ制御ユニット13によっても電子線照射位置を選択することができる。
【0003】
電子像信号検出器6で検出された二次電子、反射電子等は電子像信号処理系7を経て電子像信号制御装置8へ送られ電子像を表示する。WDS/EDS等のX線分光器9で検出されたX線信号は、X線分光器制御装置10を経てEPMA装置の制御演算処理装置14に送られ分析データが作成される。
【0004】
EPMAにおいて、定性分析や定量分析などの元素分析をWDSで行う場合、先ず該X線分光器9に装備された分光素子を走査し、得られた特性X線スペクトにおいて検出されたピークに特性X線種を割り当てる。この結果から元素の同定が行える。また検出されたピークのX線強度は近似的にその元素の質量濃度に比例するため標準試料との比較によりその元素の定量が行える。
【0005】
EPMAにおいてWDSにより定量分析を行う場合、先ず分光素子を分析目的元素Aの特性X線の最高強度が検出できる波長に合わせ、X線強度Ipsを測定する。次に波長をずらしてバックグランド強度Ibsを測定する。
Ns=Ips−Ibs から標準試料の特性X線強度Nsを求める。同様の方法で未知試料の特性X線強度Nu=Ipu−Ibuを求める。 Ka=Nu/NsとおくとKaは相対強度と呼ばれる。Ka近似的にA元素の質量濃度Caに比例するためその元素の定量が行える。 正確なCaを求める為には標準試料と未知試料との組成の違いによるX線発生の違いを物理的に補正する必要がある。この補正は定量補正計算と呼ばれるが、通常のEPMAはこの機能を備えている。
【0006】
定量分析を行う時に測定される各元素の特性X線強度は、加速電圧、照射電流値、計数時間などの分析条件により決まる。定量分析を行う場合は、標準試料と未知試料とで正確に同じ分析条件でX線強度の測定を行うことが原則である。ただし、照射電流値、計数時間については、異なった条件で得られたX線強度を同じ条件になるように換算することで実現させることがある。 定性分析で得られたスペクトルから読み取ったピークとバックグランドのX線強度をそのまま定量分析のデータとして用いる場合も有り、この方法はスタンダードレス定量分析などと称される。
【特許文献1】特開平4−249741号
【特許文献2】特開平4−2956号
【特許文献3】特開昭64−16905号
【非特許文献1】American Mineralogy, 58, 920(1973)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
分析に用いるX線を発生させるために電子線を試料に照射する場合、試料が電気的中性を保てるように、試料に電荷が溜まらないようにする必要がある。このため試料を載置するホルダは通常金属で作られ、電気的にアースされる構造をとっている。元々導電性を持っている金属試料の場合は、そのままホルダに載置することにより分析が行える。しかし、例えば酸化物試料などは絶縁物質のためそのまま分析を行うと、溜まった電荷により試料が負に帯電(チャージアップとも呼ばれる)する。試料が帯電すると試料に入射する電子線のエネルギーが実質的に減少し分析に用いる特性X線の発生量も減少する。この減少量は特性X線の臨界励起電圧により異なる。
【0008】
導電性を持たない試料を分析する場合、帯電を防ぐため通常は炭素、金などの物質を蒸着またはスパッタして、試料表面に導電性膜を形成する方法がとられる。 標準試料と未知試料とで導電性物質を同じ厚さで形成できれば、導電性膜による電子線の減衰やX線の吸収への影響を相対的に低減することができる。しかし、標準試料には蒸着されていない金属を用いるが、未知試料は絶縁性試料のため蒸着を施すという場合も多い。特に、スタンダードレス定量分析法における標準感度(各元素の決められた条件での特性X線強度)は、通常表面に導電性膜を形成する必要のない金属を標準試料に用いて設定される。
【0009】
試料表面に形成された導電性膜によるX線強度の低下割合は、未知試料中に含まれる元素の特性X線の種類により異なる。なぜなら、導電性膜の影響で照射電子線のエネルギーが未知試料に到達するまでに低下すると、臨界励起電圧、衝突断面積などの違いにより未知試料内部での特性X線発生量が異なり、また導電性膜による質量吸収係数も特性X線の種類によって異なるからである。 従って、定量分析結果の合計が100%になるように規格化することにより、減少分を一様に補正しても正しい組成を得ることはできない。
【0010】
表面が蒸着膜などの薄膜で被われた未知試料の定量分析において表面薄膜の影響を補正する方法は、特開平4-249741号、特開平4-2956号
に開示されている。しかしこれらの公知資料で開示されている方法は、いずれも測定前に何らかの方法で表面薄膜の厚さを求めておき、その厚さを補正に使用することが前提となっている。しかしながら、実際の試料で蒸着膜の厚さが分かっていることは稀であり、膜厚計などを用いて膜厚を計ることは、不可能ではないが手間がかかり精度も期待できない。さらに、補正計算に用いる厚さは、薄膜の密度が考慮された、「質量厚さ」でなければならないが、一般の蒸着膜において密度まで考慮された「質量厚さ」を知ることは非常に困難である。
従って、未知試料から得られる特性X線強度のみが導電性膜の影響を受けている場合に、容易に精度の良い未知試料の組成分析結果を得ることは困難であった。
本発明は、未知試料表面に形成されている導電性膜の厚さが予め与えられていない場合でも、未知試料の定量分析を行える方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の問題を解決するため、本発明は、試料に電子線を照射し、標準試料と未知試料とから発生する特性X線強度の測定値に定量補正計算を施すことにより組成分析を行う手段を備える電子プローブX線分析装置であって、未知試料表面に形成された導電性膜の厚さの近似値を求める第1の演算手段と、導電性膜の存在により未知試料からのX線強度が減衰する量を補正して未知試料の定量分析値の近似値を算出する第2の演算手段とを備えた電子プローブX線分析装置を用い、未知試料の組成に基づき該導電性膜の厚さの近似値を求める補正演算と、それにより求められた該導電性膜の厚さに基づき該定量分析値の近似値を求める補正演算とを、予め設定された収束条件を満たすまで交互に繰り返すことにより、未知試料から得られる特性X線強度のみが導電性膜の影響を受けている場合に、該導電性膜の存在が該未知試料の定量分析値に及ぼす影響を補正して未知試料の定量分析を行う方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、試料に電子線を照射し、標準試料と未知試料とから発生する特性X線強度の測定値に定量補正計算を施すことにより組成分析を行う手段を備える電子プローブX線分析装置であって、未知試料表面に形成された導電性膜の厚さの近似値を求める第1の演算手段と、導電性膜の存在により未知試料からのX線強度が減衰する量を補正して未知試料の定量分析値の近似値を算出する第2の演算手段とを備えた電子プローブX線分析装置を用い、未知試料の組成に基づき該導電性膜の厚さの近似値を求める補正演算と、それにより求められた該導電性膜の厚さに基づき該定量分析値の近似値を求める補正演算とを、予め設定された収束条件を満たすまで交互に繰り返すことにより、未知試料から得られる特性X線強度のみが導電性膜の影響を受けている場合に、該導電性膜の存在が該未知試料の定量分析値に及ぼす影響を補正して未知試料の定量分析を行う手段を備えた電子プローブX線分析装置の提供を目的とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、未知試料表面に形成された導電性膜の厚さの近似値を求める第1の演算手段と、導電性膜の存在により未知試料からのX線強度が減衰する量を補正して未知試料の定量分析値の近似値を算出する第2の演算手段とを備えた電子プローブX線分析装置を用い、未知試料の組成に基づき該導電性膜の厚さの近似値を求める補正演算と、それにより求められた該導電性膜の厚さに基づき該定量分析値の近似値を求める補正演算とを、予め設定された収束条件を満たすまで交互に繰り返すことができるので、表面に導電性膜が形成されていない標準試料を用いて表面が導電性膜で被われている未知試料を定量分析する場合に、未知試料表面に形成された導電性膜の厚さを予め与えること無しに、精度の良い分析結果を簡易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
組成既知の下地の上に形成された薄膜の厚さを求める方法は、特開昭64-16905号に開示されている。本発明においては、未知試料の表面に形成された導電性膜の厚さの近似値を求める際に、特開昭64-16905号の考え方の一部を利用する。ただし、特開昭64-16905号においては、下地の組成の違いによる導電性膜の厚さの誤差を補正するために、実測した反射電子強度から推定した表面電離を使うのに対し、本発明においては、下地の未知試料の表面電離を計算で求め、導電性膜の厚さに応じて補正量を変化させるようにした点、および下地の組成の違いによる厚さの誤差を、繰り返し計算により精度の向上した下地の組成で補正するようにした点で、特開昭64-16905号の方法とは大きく異なる。
また、原理上本発明では、該導電性膜と該未知試料とは互いに共通する元素を含まないことを前提としているが、元来特殊な例外を除いて分析の目的を妨げる元素を該導電性膜に採用することはしないため、該前提が本発明の価値を減じるものではない。
【0015】
以下、本発明の考え方について詳しく説明する。
先ず、簡単のために、導電性膜が単一元素Au(金)のみからなると仮定して説明するが、Auは導電性膜としてひろく使われるので式の理解を助けるためであり、本発明の範囲を限定するものではない。
始めに、通常の定量分析における測定方法に従って、標準試料と導電性膜Auお
よび未知試料からの特性X線強度を測定する。
導電性膜中Au およびAu標準試料からの特性X線強度の測定値をそれぞれ
Ifilm、Irefとおくと、導電性膜中Auの相対強度KAuは、
KAu = Ifilm /Iref
である。
未知試料中のi元素の相対強度Kiは、
Ki = 未知試料からの特性X線強度/標準試料からの特性X線強度
(i=1〜n)
となる。
【0016】
該導電性膜中Auの相対強度KAuを用いてAu膜の厚さを求める。
図3と図4に、Au膜の厚さを求める方法の概念を示す。
図3において、Au標準試料とAu膜とからのAu特性X線強度の比がKAuである。図4の横軸ρzはAu膜表面から深さ方向への質量深さ(g/cm2)で、縦軸は試料中で発生する特性X線の試料表面から質量深さ方向ρzに対する発生強度をあらわす。該ρzに対する発生強度の分布は発生関数と呼ばれ、一般的にφ(ρz)であらわされる。ρtは未知試料表面に形成されたAu膜の質量厚さ(g/cm2)である。 発生関数を利用して理論計算から求めた厚さρtのAu膜とAu標準試料とのX線強度比を、測定から求めたKAuと比較することによりAu膜の厚さを求めることが可能である。図4中の発生関数Bのφ(ρz)は、Au標準試料中のAu特性X線強度の発生分布をあらわす。しかし、ρtより深いところにAuとは組成の異なる未知試料が存在すると、表面からρtまでのAuの発生関数はφ(ρz)ではなく、該未知試料の組成に依存したφ'(ρz)になる。この理由は、Auと未知試料とでは電子線の拡散状態が異なることにより、導電性膜から発生するAuの特性X線強度にも影響を及ぼすからである。 従って、膜厚ρtを求めるためのKAuも補正する必要があるが、本発明では近似的にφ'(ρz)=φ(ρz)とし、φ'(ρz)とφ(ρz)の違いによるKAuの変化分は後述する方法で補正する。
【0017】
該発生関数Bのφ(ρz)について、表面からρt までの膜中で発生した特性X線強度が、未知試料を被うAu導電性膜からの特性X線強度に近似的に相当するとしてρtを求める。
KAu = Ifilm/Iref = I(ρt)/I(ref) …(1)
とおく。ここに、
I(ref) = ∫φ(ρz)×exp(−χ×ρz)dρz (積分範囲:0〜∞) …(2)
I(ρt) = ∫φ'(ρz)×exp(−χ×ρz)dρz (積分範囲:0〜ρt) …(3)
ここに、φ(ρz)はAuの標準試料の発生関数、φ'j(ρz)は導電性膜Auの発生関数である。また、Auの特性X線の自己質量吸収係数を(μ/ρ)とおくと、
χ = (μ/ρ)×cosecθ (θ:分析装置のX線取り出し角度)
である。
発生関数φ(ρz)には J. Philibertの提唱した下記(4)式のモデルを用いる。
φ(ρz) =(const.)×exp(−σ×ρz)×(1−q×exp(−(σ/h)×ρz)) …(4)
ここに、h = 1.2×A/Z2 (A、ZはそれぞれAuの原子量、原子番号)
σ = (9.5E+5)×(V02 Vc2) (σ:レナード係数)…(5)
V0:電子線の加速電圧(kV)
Vc:Au特性X線の臨界励起電圧(kV)
q=1−φ0/4
φ0 = 1 + 3.3×(1−1/Uγ)×η01.2 (φ0:表面電離) …(6)
U = V0/Vc (U:オーバーボルテージレシオ)
γ = 2 2.3×η0
η0 = (1.75E−3)×Z + 0.37×(1−exp(−0.015×Z1.3)) …(7)
(η0 :反射電子の後方散乱係数)
である。上記φ0とη0を求める式は、Pouchou and Pichoirにより与えられたものである。ただし、φ(ρz), h, σ, φ0, η0を与える式は他にも提唱されており、ここに示した式を使うことに限定するものではない。
【0018】
次に、(4)式を(2)、(3)式に代入し、実際に積分を行ってI(ref)とI(ρt)を求める。ここで、(4)式中のconst.は、アボガドロ数、イオン化断面積などの物理定数を含む定数であるが、積分された式は比の形で用いることになりconst.は実質的に意味を持たないので、以下の式中では表記を省略する。
I(ref) = 1/α−q/β …(8)
I(ρt) = (1/α)×(1 − exp(−α×ρt)) −((q/β)×(1−exp(−β×ρt)) …(9)
ここに、α = σ + χ
β =σ×(1 + h)/h +χ
(8)、(9)式を(1)式に代入して、
KAu =((1/α)×(1−exp(−α×ρt))−(q/β)×(1−exp(−β×ρt)))/(1/α−q/β) …(10)
が得られる。
KAuは測定から求められるので、(10)式をρtについて解くことによりAu膜厚が求められる。(10)式のρtを解析的に求めることはできないが、0<KAu<1の範囲で上式を満足するρtが必ずひとつだけ存在することは物理的にも明らかである。従って、例えば代数式の数値解法であるニュートン法を用いて、(10)式を解けば容易にρtを求めることができる。
ニュートン法を用いた場合の例を示す。(10)式を変形して、
f(ρt)=(1/α)×(1−exp(−α×ρt))−(q/β)×(1−exp(−β×ρt))−(1/α−q/β)×KAu …(11)
とおく。f(ρt)の微分した関数をf'(ρt)とおくと、
f'(ρt)=exp(−α×ρt)−q×exp(−β×ρt) …(12)
である。 ニュートン法においてρtの近似解を求める式は、
ρti+1 =ρti −f(ρti)/f'(ρti) …(13)
として与えられる。ρti+1とρtiの差が予め与えられた範囲内に収束すれば、ρti+1が求めるべきρtである。
【0019】
はじめに求まるρtは、φ'(ρz)=φ(ρz) とおいて求めたKAuに基づく近似値のため、例えば図4のC曲線のようにφ'(ρz)の方がφ(ρz)より小さい場合、測定されたKAuはI(ρt)/I(ref)より小さな値となり、膜厚ρtも小さく見積もられることになる。
未知試料の組成が導電性膜と異なることに起因して生じる導電性膜の厚さの誤差を補正する方法として、原子番号の分かった基準元素と導電性膜とで反射電子強度差を測定し、導電性膜の見かけの原子番号を求め、該原子番号から算出した基準元素と導電性膜との表面電離の比を用いて、導電性膜中の元素の相対強度を補正する方法は、特開昭64-16905号に開示されている。しかしこの方法は、装置に備えられている反射電子検出器を用いて反射電子強度差を実測する必要があるため手間がかかり、自動的に組成分析を行う手順の中に組み込むことは困難である。そのため、本発明では反射電子強度差の実測は行わず、以下に説明する方法により補正を行う。
【0020】
導電性膜中の元素の相対強度を補正する方法として、未知試料の組成が導電性膜と異なることを考慮した補正後のKAuをKAu'とおき、
KAu' = D×KAu
となる補正ファクタDを定義する。
ここで、補正ファクタDについて考察する。(6)式で与えられる表面電離φ0は試料組成に依存し、試料表面近傍における電子の散乱に係わり、ρz=0での発生関数の値に比例するパラメータである。そこで、Au標準試料のAu特性X線の表面電離をφ0s、未知試料の組成を用いて計算されるAu特性X線の表面電離をφ0u とする。
導電性膜が極めて薄いとき(すなわちKAuがほぼ0の時)、Au導電性膜のAu特性X線の表面電離はφ0uにほぼ等しいと考えてよい。従って、測定値KAuにφ0s0uを乗じた値は、φ'(ρz)=φ(ρz)と仮定して求めたI(ρt)/I(ref)にほぼ等しい値が得られることになる。また導電性膜が極めて厚いとき(すなわちKAuがほぼ1の時)、Au導電性膜のAu特性X線の表面電離はφ0sにほぼ等しくなるので KAuを補正する必要はない。すなわち、補正係数Dは、KAuが0から1まで変化するのに対応してφ0s0uから1まで変化するKAuの関数として表されることが分かる。この関数は必ずしも線形であるとは限らないので、一般的にはKAuの高次式で近似することが望ましいが、実用的には一次式または二次式で近似すればよい。
【0021】
図5において、横軸は相対強度KAu、縦軸は補正ファクタDを表す。図5に示すように、DのKAuについての一次式は、KAu=0のときD=φ0s0u 、KAu=1のときD=1となるDとKAuの関係式を求めれば良い。
D = 1 + (φ0s0u−1)×(1 − KAu) …(15)
が得られる。
補正ファクタDの近似の精度を上げる場合は、DをKAuの二次式であらわすことになる。この場合、ある厚みを持ったAu導電性膜のKAuと、Au導電性膜による下地からの特性X線強度の減衰率を実験的若しくは理論的に少なくとも一組求めることで二次式を決めることが可能となる。図6はKAuを変数とするDの二次式を決める方法の概念を示している。図6においてはφ0s0u>1の曲線で説明しているがφ0s0u<1の曲線でも同じことであり、区別する必要はない。図6に示すように、ある厚みを持ったAu導電性膜のKAuの値をKrとおいた時、Dの値がD=R×(φ0s0u−1)+1となる係数Rを定義する。二次式の場合もKAu=0のときD=φ0s0u 、KAu=1のときD=1の条件が成り立つので、例えば、
D=1+A×(1−KAu)+B×(1−KAu)×(Kr−KAu) …(16)
A=R×(φ0s0u−1)/ (1−Kr)
B=(1−Kr−R)×(φ0s0u−1)/ (1−Kr)/Kr
が得られる。ただし二次式の形によりA、B係数も変わるので、上式の形に限定されるものではない。
一次式、二次式とも、φ0s は(7)式のAuのη0を用いて(6)式から求める。φ0uは、未知試料中の元素iの質量濃度をCiとすると、
Z = (ΣCi×Zi0.5)2 により求めたZを(7)式に代入し、算出されたη0を用いて(6)式で計算した表面電離の値を使用する。
以上説明したように、未知試料の組成が導電性膜と異なることに起因して生じる導電性膜の厚さの誤差を補正するために本発明による補正方法を用いれば、通常の定量分析の手順中に簡易に組み込むことが可能であり、自動的に補正を行うことができる。
【0022】
次に、該ρtの近似値を基に、未知試料中のi元素の相対強度Kiを補正する方法について説明する。
導電性膜が未知試料表面を被うことにより未知試料からのX線強度が減衰するする量を求める方法は、D.M. Kerrickらにより非特許文献American Mineralogy, 58, 920(1973)で与えられている。本発明ではKerrickらの式を用いて未知試料中の元素のKiを補正する。
導電性膜の影響による未知試料からの特性X線強度の減少率をdI、導電性膜の有る場合と無い場合のX線強度をそれぞれIf、Iuとすると、Kerrickの式から、特性X線強度の減少dI(%)は、
dI = 100−(If/Iu)×100 = a×b + 100−100×b …(17)
ここに、a = (8.3E4×ρt)/ (V02 Vc2)
b = exp(−(μ/ρ)×(cosecθ)×ρt/1000)
μ/ρ:測定X線の導電性膜による質量吸収係数(cm2/g)
ρt:導電性膜の質量厚さ(mg/ cm2
と与えられている。
未知試料中の元素iの補正ファクタをGiとおくと、
Gi = Iu/If = 100/(100−a)/b …(18)
であるから補正後の相対強度Ki' は、
Ki' = Gi ×Ki
となる。
【0023】
次に、補正後の相対強度Ki'に基づいて未知試料中の元素の定量補正計算を行う。未知試料中のi元素の質量濃度をCi、定量補正係数をFiとおくと、FiはX線取り出し角度、特性X線の臨界励起電圧、質量吸収係数などの物理定数の他に未知試料中の元素濃度Ciの関数となっている。実際には未知試料の組成は分かっていないので近似的な濃度を求め仮定濃度として計算を行う。
補正計算に必要なi元素の仮定濃度Ci'は、 Ci' = Ki'/ΣKi'で求め、Ci=Ci'として、i元素の補正係数Fiを計算する。補正されたi元素の質量濃度をCi''とすると、 Ci'' = Fi×Ki' である。
Ci''はCi'より真値に近いi元素の質量濃度を与える。
Ci''が前回値Ci'と比較して、予め決められた範囲内に収束していれば計算を終了する。収束していなければ、Ci'''=Ci''/ΣCi''、Ci=Ci'''として補正計算を繰り返す。
この手順を逐次近似的に繰り返すことにより濃度の精度が高まる。
【0024】
以上、導電性膜が単一元素Au(金)のみからなると仮定して説明したが、ここで導電性膜がPd-Au合金のように複数の元素からなる場合についての考え方を説明する。
導電性膜の構成元素jの質量濃度をCj、相対強度をKj、導電性膜からの元素jの特性X線強度の測定値をIjfilm、元素jの標準試料からの特性X線強度の測定値をIjrefとおくと、元素jの相対強度Kjは、
Kj=Ijfilm /Ijref= Cj×Ij(ρt)/Ij(ref) …(19)
(j=1〜m)
となる。
φj(ρz)を元素jの標準試料の発生関数、φ'j(ρz)を導電性膜中の元素jの発生関数とおくと、
Ij(ref) = ∫φj(ρz)×exp(−χj×ρz)dρz (積分範囲:0〜∞) …(20)
Ij(ρt) = Cj×∫φ'j(ρz)×exp(−χjk×ρz)dρz (積分範囲:0〜ρt) …(21)
ΣCj=1 …(22)
である。ここに、元素jの特性X線の自己質量吸収係数を(μ/ρ) jj とおくと、
χj = (μ/ρ) jj×cosecθ
元素jの特性X線の元素kに対する質量吸収係数を(μ/ρ) j kとおくと、
χjk=Σ(Ck× (μ/ρ) j k×cosecθ)
である。元素kは導電性膜中の元素(k=1〜m)で、C kは元素kの質量濃度である。
【0025】
J. Philibertの提唱した発生関数φ(ρz)モデルを用いて、φj(ρz)とφ'j(ρz)は以下のように表される。
φj(ρz) =(const.)×exp(−σj×ρz)×(1−qj×exp(−(σj /hj)×ρz)) …(23)
hj = 1.2×Aj/Zj2 (Aj、Zj:元素jの原子量、原子番号)
σj = (9.5E+5)×(V02 Vcj2) (σj:レナード係数)
V0:電子線の加速電圧(kV)
Vcj:元素jの特性X線の臨界励起電圧(kV)
j=1−φ0 j /4
φ0j = 1 + 3.3×(1−1/U)×η01.2 (φ0j:表面電離) …(24)
Uj = V0/Vcj (Uj:オーバーボルテージレシオ)
γ = 2 2.3×η0
η0 = (1.75E−3)×Zj + 0.37×(1−exp(−0.015×Zj1.3)) …(25)
(η0 :反射電子の後方散乱係数)
また、
φ'j(ρz) =(const.)×exp(−σj×ρz)×(1−qjk×exp(−(σj /hk)×ρz)) …(26)
hk =ΣCk×(1.2×Ak/Zk2)
(Ak、Zk:導電性膜中の元素kの原子量、原子番号)
jk=1−φ0 jk /4
φ0jk = 1 + 3.3×(1−1/U)×η01.2 (φ0jk:表面電離) …(27)
Uj = V0/Vcj (Uj:オーバーボルテージレシオ)
γ = 2 2.3×η0
η0 = (1.75E−3)×Zp + 0.37×(1−exp(−0.015×Zp1.3)) …(28)
(η0 :反射電子の後方散乱係数)
Zp = (ΣCk×Zk0.5)2
となる。
【0026】
(19)、(22)式から、
Σ(Kj×Ij(ref) /Ij(ρt))=1 …(29)
が得られる。
Ij(ref) とIj(ρt)は、近似的にφ'j(ρz)=φj(ρz)とおき、(23)式を(20)式、(26)式を(21)式に代入して積分することにより、
Ij(ref) = 1/αj −qjj …(30)
αj=σjj
βjj×(1 + hj)/hjj
Ij(ρt) = (1/αjk)×(1−exp(−αjk×ρt))−((qjkjk)×(1−exp(−βjk×ρt))
…(31)
αjk=σjjk
βjkj×(1 + hk)/hkjk
と具体的に求めることができる。ただし、(30)、(31)式において、const.の表記は省略している。
Kjは測定から求められるので、(30)、(31)式を(29)式に代入して、ρtについて解けばρtの近似値が求められる。 χjkなどのパラメータで計算にCkを必要とするものがあるが、蒸着に用いるPd−Au合金などで予め組成が分かっていれば、その値を用いて計算すればよい。
もし、組成が不明の場合でも、Cjの近似値をCj'とすると、Cj'の初期値をCj'=Kj/ΣKjとして計算を行い、逐次近似計算の過程で、Cj=Cj'/ΣCj'として計算することができる。
【0027】
次に、φ'j(ρz)とφj(ρz)が異なることに起因するKjの変化分を補正する方法について説明する。導電性膜中の元素jの補正された相対強度をKj'とすると、Kj'=Dj×Kj
なる補正ファクタDjを定義する。ここでDjについて考察する。導電性膜の組成を用いて計算された元素jの特性X線の表面電離をφ0jk 、元素jの標準試料の特性X線の表面電離をφ0j、未知試料の組成を用いて計算される元素jの特性X線の表面電離をφ0uj とする。
導電性膜が極めて薄い時(すなわちΣKjがほぼ0の時)、導電性膜中の元素jの特性X線の表面電離はφ0ujにほぼ等しいと考えてよい。従って、φ0j0ujを補正ファクタとして測定値Kjに乗ずれば、φ'j(ρz)=φj(ρz)と仮定して求めたIj(ρt)/Ij(ref)にほぼ等しい値が得られることになる。また導電性膜が極めて厚いとき(すなわちΣKj がほぼ1の時)は、導電性膜中の元素jの特性X線の表面電離はφ0jkにほぼ等しくなるので、Kj にφ0j0jk を乗じた値を補正後の相対強度とすればよい。
すなわち、DjをKjの一次式であらわす場合は、Kj=0のときDj=φ0j0uj 、ΣKj=1のときDj=φ0j0jk となるDjとKjの関係式を求めると、
Dj =φ0j0uj− (φ0j0uj−φ0j0jk )×ΣKj …(32)
が得られる。
また、DjをKjの二次式であらわす場合は、ある厚みを持った導電性膜のΣKjの値をKr、ΣKj =Krの時、Djの値がDj=R×(φ0j0uj−φ0j0jk )+φ0j0jk となる係数Rを定義する。例えば、
Dj=φ0j0uj +A×ΣKj+B×(Kr−ΣKj)×ΣKj …(33)
A=(φ0j0uj−φ0j0jk)/(R−1)/Kr
B=(φ0j0uj−φ0j0jk)/(1+(R−1)/Kr)/(1−Kr)
などとすればよい。
一次式、二次式とも、φ0jは(24)式、φ0jk は(27)式から算出される表面電離の値を使用する。φ0ujは、未知試料中の元素iの質量濃度をCiとすると、
Zj = (ΣCi×Zi0.5)2 により求めたZjを(25)式に代入してη0算出し、さらに元素j毎に (24)式で計算した表面電離の値を使用する。
【0028】
次に、本発明を実際の定量分析に組み入れた場合の実施形態について説明する。図2は、導電性膜をAuとしたときの定量分析の手順を流れ図に表したものであるが、これは理解を助けるためであり、導電性膜がAu以外の単体元素でも、例えばPd−Au合金のような複数元素から構成されていても本質的な違いはない。
手順1:定量分析を行うための各種条件を入力する。この中には、Auを含む測定すべき特性X線種、加速電圧、バックグランドの測定方法などが含まれる。
それぞれの元素は、導電性膜と未知試料のどちらに含まれるかが指定される。
手順2:通常の定量分析における測定方法に従って、標準試料とおよび未知試料からの特性X線強度を測定し、Auの相対強度KAuと未知試料中のi元素の相対強度Kiを求める。
手順3:該Auの相対強度KAuを用いてAu膜の厚さを求める。
ここでは未だKAuの補正は行わず、先ず第1近似値を求める。
【0029】
手順4:該Auの相対強度KAuを、未知試料の組成を考慮して補正するか否かを判断する。手順6〜7をまだ実施していない場合はNoである。繰り返しを行う場合はYesに進む。
手順5:未知試料の組成を考慮して導電性膜の厚さの誤差を補正する。補正ファクタDを用いて補正した値KAu'を、KAu'=D×KAuとして求める。
手順6: 導電性膜が未知試料表面を被うことにより、未知試料中のi元素からのX線強度が減衰するする量の補正係数GiをKerrickらの式を用いて求め、未知試料中のi元素のKiを補正した値Ki'を求める。
【0030】
手順7:未知試料中のi元素の補正された相対強度Ki'を用いて、未知試料中の元素の定量補正計算を行う。未知試料中のi元素の質量濃度をCi、定量補正係数をFiとおく。
補正計算に必要なi元素の仮定濃度Ci'は、 Ci' = Ki'/ΣKi'で求め、Ci=Ciとして、i元素の補正係数Fiを計算する。補正されたi元素の質量濃度をCi''とすると、 Ci'' = Fi×Ki' である。
手順8:Ci''が前回値Ci'と比較して決められた範囲内に収束していなければ、Ci'''=Ci''/ΣCi''、Ci=Ci'''として手順5へ戻り補正計算を繰り返す。
収束していれば計算を終了し、Ci''は導電性膜の影響を補正した未知試料の求めるべき組成となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係わる電子プローブマイクロアナライザの概略構成例を示すブロック図。
【図2】本発明を実施する形態を説明するためのフロー図。
【図3】未知試料上に形成された導電性膜の厚さを求める方法の概念を説明するための図。
【図4】未知試料の組成に依存してφ(ρz)とφ'(ρz)が異なることを説明するための図。
【図5】導電性膜の厚さを補正するために、相対強度の一次式で近似する場合の考え方を説明する図。
【図6】導電性膜の厚さを補正するために、相対強度の二次式で近似する場合の考え方を説明する図。
【符号の説明】
【0032】
(図1の符号の説明)
1:電子銃 11:分析試料
2:集束レンズ 12:試料ステージ
3:対物レンズ 13:試料ステージ制御ユニット
4:電子線走査コイル 14:制御演算処理装置(CPU)
5:電子線発生/制御回路 15:データベース
6:電子像信号検出器 16:制御演算処理装置の表示装置
7:電子像信号処理系 17:制御演算処理装置の入力機器
8:電子像信号制御装置 18:照射電流検出器
9:X線分光器(WDS/EDS等) 19:微少電流測定回路
10:X線分光器制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に電子線を照射し、標準試料と未知試料とから発生する特性X線強度の測定値に定量補正計算を施すことにより組成分析を行う手段を備える電子プローブX線分析装置であって、未知試料表面に形成された導電性膜の厚さの近似値を求める第1の演算手段と、導電性膜の存在により未知試料からのX線強度が減衰する量を補正して未知試料の定量分析値の近似値を算出する第2の演算手段とを備えた電子プローブX線分析装置を用い、未知試料の組成に基づき該導電性膜の厚さの近似値を求める補正演算と、それにより求められた該導電性膜の厚さに基づき該定量分析値の近似値を求める補正演算とを、予め設定された収束条件を満たすまで交互に繰り返すことにより、未知試料から得られる特性X線強度のみが導電性膜の影響を受けている場合に、該導電性膜の存在が該未知試料の定量分析値に及ぼす影響を補正して未知試料の定量分析を行う方法。
【請求項2】
該導電性膜の厚さの近似値を補正するための補正量は、該導電性膜を構成する元素の特性X線の標準試料における表面電離と該未知試料の組成を用いて求められる該導電性膜を構成する元素の特性X線の表面電離との比を、導電性膜が極めて薄いときの該補正量とし、該導電性膜の厚さに応じて変化する該補正量は、該導電性膜を構成する元素から得られる特性X線の相対強度を変数とする関数を用いて算出することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該導電性膜を構成する元素から得られる特性X線の相対強度を変数とする関数は、該相対強度を変数とする一次式または二次式であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記一次式は、該相対強度がほぼ零の時、該導電性膜を構成する元素の特性X線の標準試料における表面電離と該未知試料の組成を用いて求められる該導電性膜を構成する元素の特性X線の表面電離との比を補正量として持ち、該相対強度がほぼ1の時、該導電性膜を構成する元素の特性X線の標準試料における表面電離と該導電性膜の組成を用いて求められる該導電性膜を構成する元素の特性X線の表面電離との比を補正量として持つことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記二次式は、該相対強度がほぼ零の時、該導電性膜を構成する元素の特性X線の標準試料における表面電離と該未知試料の組成を用いて求められる該導電性膜を構成する元素の特性X線の表面電離との比を補正量として持ち、該相対強度がほぼ1の時、該導電性膜を構成する元素の特性X線の標準試料における表面電離と該導電性膜の組成を用いて求められる該導電性膜を構成する元素の特性X線の表面電離との比を補正量として持ち、0<相対強度<1を満たす少なくともひとつ相対強度に対応して実験的若しくは理論的に求められた補正量を持つことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
試料に電子線を照射し、標準試料と未知試料とから発生する特性X線強度の測定値に定量補正計算を施すことにより組成分析を行う手段を備える電子プローブX線分析装置であって、未知試料表面に形成された導電性膜の厚さの近似値を求める第1の演算手段と、導電性膜の存在により未知試料からのX線強度が減衰する量を補正して未知試料の定量分析値の近似値を算出する第2の演算手段とを備えた電子プローブX線分析装置を用い、未知試料の組成に基づき該導電性膜の厚さの近似値を求める補正演算と、それにより求められた該導電性膜の厚さに基づき該定量分析値の近似値を求める補正演算とを、予め設定された収束条件を満たすまで交互に繰り返すことにより、未知試料から得られる特性X線強度のみが導電性膜の影響を受けている場合に、該導電性膜の存在が該未知試料の定量分析値に及ぼす影響を補正して未知試料の定量分析を行う手段を備えた電子プローブX線分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−58034(P2006−58034A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237590(P2004−237590)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】