説明

電子メール電送装置

【課題】複数のメールアドレスが登録されている1つの宛名に対して電子メールを送信する場合に、一定の送信条件に従って、送信相手がすぐに見ることのできる確率の高いメールアドレスを決定し、その決定したメールアドレスに対して電子メールを送信することで、無駄な送信先への電子メールの送信を極力防止するとともに、より確率高く送信相手に電子メールをすぐに届ける。
【解決手段】1つの宛名に対し複数のメールアドレスを登録可能なアドレス帳10Aを有する電子メール電送装置であって、アドレス帳10Aには、1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスのうちどのメールアドレスに電子メールを送信するのかといった送信条件として例えば送信時間帯1071が設定されており、1つの宛名に対して電子メールを送信する際、この送信時間帯1071の設定に従って該当する1または複数のメールアドレスに電子メールを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの宛名に対し複数のメールアドレスを登録可能なアドレス帳を有する電子メール電送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の情報通信機器の急速な普及及びインフラの整備に伴い、多くの企業や個人がインターネット等のネットワークを利用したサービスの提供を行っており、様々なサービスをユーザが享受できる時代となっている。それに伴い、一人のユーザが複数のメールアドレスを持つのが当たり前となってきている。特に、電子メールシステムは簡単なコミュニケーション手段として、会社や学校、自宅等で多用されており、通信料金も手頃な価格帯になってきている現在においては、一人のユーザが複数のメール通信機器を所有することも珍しくない。そして、一人のユーザに取得されている複数のメールアドレスは、多くの場合、その時と場所とによって使い分けられている。
【0003】
一方、電子メールは送信相手が見ているかどうか確認できないため、リアルタイム性が低く、緊急性を要する場合には電話で確認するなどのフォローが必要となる。また、送信相手の所在によっては送信先メールアドレスに送信された電子メールを見ることができない場合がある。例えば、外出時にオフィスのパソコン宛に送信された電子メールは見ることができない。
【0004】
従来、このような問題を解決するための種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の携帯端末装置は、1つの電話帳名に複数の電話番号及びメールアドレスを登録し、メールの宛先として電話帳名を選択すると自動的に登録された全てのメールアドレスが入力され、全てのメールアドレスに対して同じ電子メールが送信されるようになっている。また、メールの宛先として電話帳名を選択すると登録された全てのメールアドレスが表示されるので、その中から選択されたメールアドレスが宛先として入力されるようになっている。
【特許文献1】特開2003−167821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1の携帯端末装置によれば、相手先が複数のメール通信機器(例えば、会社のパソコン、自宅のパソコン、及び携帯電話やPDA等の携帯端末装置)を所有しており、これらに対応して複数のメールアドレスを持っている場合に、その全てのメールアドレスに対して同じ電子メールを同時に送信することができる。これにより、例えば相手先のユーザが外出中であれば、所持している携帯端末装置にも電子メールが届くので、ユーザは届いた電子メールをすぐに見ることができる。
【0007】
しかし、上記特許文献1の携帯端末装置では、他の全てのメールアドレスにも同じ電子メールが送信されているため、例えば会社に着いたユーザが会社のパソコンを開いたとき、そのパソコンにも同じ電子メールが届いており、また、自宅に帰ったユーザが自宅のパソコンを開いたときも、同じ電子メールが届いている。そのため、ユーザは、同じ電子メールを何回も見ることになる。この場合、電子メールの件名を見ることで、同じ電子メールであるのかどうかを予測することは可能であるが、件名が同じでも電子メールの内容が違う場合もあるため、ユーザはどちらにしてもその電子メールを一旦開いて内容を確認することになり、余計な手間がかかるといった問題があった。また、同じ電子メールに対して2度返事を返してしまうといった無駄な返信も発生する可能性があった。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、複数のメールアドレスが登録されている1つの宛名に対して電子メールを送信する場合に、一定の送信条件に従って、送信相手がすぐに見ることのできる確率の高いメールアドレスを決定し、その決定したメールアドレスに対して電子メールを送信することで、無駄な送信先への電子メールの送信を極力防止するとともに、より確率高く送信相手に電子メールをすぐに届けることのできる電子メール電送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の電子メール電送装置は、1つの宛名に対し複数のメールアドレスを登録可能なアドレス帳を有する電子メール電送装置において、前記アドレス帳には、前記1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスのうちどのメールアドレスに電子メールを送信するのかといった送信条件が登録されており、前記1つの宛名に対して電子メールを送信する際、前記送信条件に従って該当する1または複数のメールアドレスに前記電子メールを送信する送信制御手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記送信条件として、1日を複数の時間帯に区分し、前記アドレス帳の登録メールアドレスごとに送信時間帯として前記区分された任意の時間帯が設定されたものとし、前記送信制御手段は、1つの宛名に対して電子メールを送信する時刻が、前記アドレス帳の前記1つの宛名に登録されている1または複数のメールアドレスがそれぞれ設定されている時間帯に含まれるメールアドレスに対して前記電子メールを送信する構成としてもよい。例えば、1日を6時〜11時までの朝の時間帯、11時〜17時までの昼の時間帯、17時から23時までの夜の時間帯、及び23時から翌朝6時までの深夜/早朝の時間帯の4つの時間帯に区分することが可能である。そして、1つの宛名Nに対して例えばメールアドレス1、メールアドレス2、メールアドレス3が登録されており、メールアドレス1には朝の時間帯、メールアドレス2には昼の時間帯、メールアドレス3には夜の時間帯が条件設定されている場合において、ユーザが宛名Nを入力して例えば12時に電子メールを送信しようとした場合、送信制御手段は、上記条件設定よりメールアドレス2に対してその電子メールを自動送信し、他のメールアドレス1,3には電子メールを送信しない。これにより、例えばメールアドレス2が会社のパソコンであった場合には、仕事中のパソコンにその電子メールが届くことになる。これにより、仕事中の相手は、電子メールが届いたことを即座に知ることができるので、すぐにそのメールを開いて読むことができる。また、例えばメールアドレス3が自宅のパソコンである場合、上記特許文献1のものではこの自宅のパソコンにも同じ電子メールが送信されるが、本発明では自宅のパソコンに送信されることはない。これにより、上記特許文献1のように、同じ内容の電子メールを別の機器で重複して開いてしまうといった不具合は発生しない。
【0011】
また、本発明によれば、前記送信条件として、1つの宛名に対応付けられた複数のメールアドレスに優先度が設定されたものとし、前記送信制御手段は、1つの宛名に対する電子メールの送信指示が入力されると、前記アドレス帳の前記1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスに設定されている優先度に従い、優先度の高い1つのメールアドレスに対して前記電子メールを送信する構成としてもよい。ここで、相手先の行動パターンに合わせて優先度を設定しておくことで、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率がより高くなり、スムーズな情報伝達が可能となる。
【0012】
また、本発明によれば、前記送信制御手段は、優先度の高いメールアドレスに対して電子メールを送信する際に開封通知要求を付加して送信し、予め設定された一定時間内に開封通知が返信されなかった場合には、次に優先度の高いメールアドレスに対して前記電子メールを送信する構成としてもよい。これにより、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率がより高くなり、スムーズな情報伝達が可能となる。また、開封通知要求を行うことで、送信相手に電子メールが確実に届いたことを確認することができる。なお、前記一定時間はユーザによって任意の時間に設定できるようにしてもよい。
【0013】
この場合、前記送信制御手段は、次に優先度の高いメールアドレスに対して電子メールを送信する際、既に高順位のメールアドレスに対しても同じ電子メールを送信していることを表わすメッセージを付加する構成としてもよい。
【0014】
これにより、この電子メールを読んだユーザは、この他にも優先度の高い他の機器に対しても同じ内容の電子メールが送信されていることを確認できるので、優先度の高い他の機器を操作したときに、受信している複数の電子メールの中からすでに読んでいる(他の機器で開いている)電子メールを容易に見つけ出すことができる。
【0015】
また、1つのメールアドレスが直接指定されて電子メールが送信された場合には、そのメールアドレスが含まれる1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスの優先順位を、前記送信メールアドレスが高順位となるように変更する構成としてもよい。これにより、直近に使用しているメールアドレスが常に優先順位の上位にくるため、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率がより高くなる。
【0016】
また、本発明によれば、メールアドレスごとの送信履歴を記憶する記憶手段を備えており、1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスの優先度は、前記送信履歴に基づき、1つの宛名に対する過去n回の送信履歴の中から送信回数の多い順に設定する構成としてもよい。これにより、過去の一定期間の使用回数の多いメールアドレスが優先順位の上位にくるため、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率がより高くなる。
【0017】
また、前記送信条件としては、上記特許文献1と同様、全てのメールアドレスとすることができる。この場合、前記送信制御手段は、電子メールを送信する際に開封通知要求を付加して送信し、1つ以上の送信先から開封通知の返信を受信すると、開封通知を返信していない他のメールアドレスに対して既読通知メールを送信する構成としてもよい。
【0018】
このように、他のメールアドレスに対して既読通知メールを送信することで、これを受け取ったユーザは、例えば同じ件名の電子メールが既読であることを確認できるので、同じ電子メールを再度開いて内容を確認するといった手間を省くことができる。この場合、最初に送った電子メールの件名が「見積もり書送付」であった場合に、既読通知メールの件名を「見積もり書送付(既読)」とすることで、先に受信している電子メール「見積もり書送付」を開かなくても、件名を見るだけで既読であることを確認することができる。
【0019】
また、本発明によれば、メールアドレスごとの送信履歴を記憶する記憶手段を備えており、前記送信制御手段は、1つの宛名に対する電子メールの送信指示が入力されると、前記アドレス帳の前記1つの宛名に登録されている1または複数のメールアドレスのうち直近に送信されたメールアドレスに対して前記電子メールを送信する構成としてもよい。これにより、次に同じ宛名に電子メールを送信するときには、前回送信時のメールアドレスと同じメールアドレスに電子メールが送信されるため、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率がより高くなる。
【0020】
また、本発明によれば、前記アドレス帳の各宛名に対応してワンタッチキーまたは短縮ダイヤルキーが登録されており、前記宛名の入力をワンタッチキーまたは短縮ダイヤルキーによって行う構成としてもよい。すなわち、本発明の電子メール電送装置を、メール送信機能やインターネットFAX機能を有する複合機に適用したものであり、このような複合機に搭載されているワンタッチキーや短縮ダイヤルキーによって1つの宛名を入力することで、送信相手先の入力操作を簡単にすることができる。すなわち、電子メールの送信先として、アドレス帳に登録されている宛名をワンタッチキーや短縮ダイヤルキーの操作によって選択するだけで、送信条件に基づいた1または複数のメールアドレスに電子メールを送信することが可能となる。
【0021】
この場合、複合機は電話発信モードとメール送信モードとを備えており、電話発信モードでは、前記アドレス帳に登録されている電話番号が有効となり、メール送信モードでは前記アドレス帳に登録されているメールアドレスや送信条件が有効となるように構成する。これにより、ワンタッチキーや短縮ダイヤルキーの使い分けが可能となる。
【0022】
さらに、電話発信モードとメール送信モードでデフォルトの設定を切り替える構成としてもよい。例えば、複合機が原稿読取部を備えており、原稿が前記原稿読取部にセットされると、デフォルトの電話発信モードからメール送信モードに自動的に切り替わるように構成してもよい。これにより、電子メールとして送信するための原稿を原稿読取部にセットするだけで、メール送信モードに切り替わるため、ユーザによるモード切り替え操作が不要となる。ただし、電話発信モードとメール送信モードの切り替えは、メニューなどでの設定による切り替えや、別途設けたスイッチ操作による切り替えであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電子メール電送装置によれば、送信条件として、1日を複数の時間帯に区分し、アドレス帳の登録メールアドレスごとに送信時間帯として前記区分された任意の時間帯を設定し、1つの宛名に対して電子メールを送信する時刻がアドレス帳の前記1つの宛名に登録されている1または複数のメールアドレスに対応付けられている送信時間帯に含まれるメールアドレスに対して電子メールを送信する構成としたので、送信時間帯によって相手先のユーザが最も使用している確率の高いメールアドレスに電子メールを送信することができる。これにより、相手先のユーザが電子メールをすぐに読むことのできる確率が高くなる。また、無駄な送信先への電子メールの送信を極力防止することも可能となる。
【0024】
また、本発明の電子メール電送装置によれば、送信条件として、1つの宛名に対応付けられた複数のメールアドレスに優先度を設定し、1つの宛名に対する電子メールの送信指示が入力されると、アドレス帳の前記1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスに設定されている優先度に従い、優先度の高い1つのメールアドレスに対して電子メールを送信する構成としたので、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率がより高くなり、スムーズな情報伝達が可能となる。
【0025】
また、本発明の電子メール電送装置によれば、メールアドレスごとの送信履歴を記憶する記憶手段を備えており、1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスの優先度を、送信履歴に基づき、1つの宛名に対する過去n回の送信履歴の中から送信回数の多い順に設定する構成としたので、過去の一定期間の使用回数の多いメールアドレスが優先順位の上位にくるため、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率がより高くなり、スムーズな情報伝達が可能となる。
【0026】
また、本発明の電子メール電送装置によれば、電子メールを送信する際に開封通知要求を付加して送信し、1つ以上の送信先から開封通知の返信を受信すると、開封通知を返信していない他のメールアドレスに対して既読通知メールを送信する構成としたので、これを受け取ったユーザは、同じ件名の電子メールが既読であることを確認できるので、同じ電子メールを再度開いて内容を確認するといった手間を省くことができる。
【0027】
また、本発明の電子メール電送装置によれば、アドレス帳の各宛名に対応してワンタッチキーまたは短縮ダイヤルキーを登録し、宛名の入力をワンタッチキーまたは短縮ダイヤルキーによって行う構成としたので、送信相手先の入力操作を簡単にすることができる。すなわち、電子メールの送信先として、アドレス帳に登録されている宛名をワンタッチキーや短縮ダイヤルキーの操作によって選択するだけで、送信条件に基づいた1または複数のメールアドレスに電子メールを送信することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る電子メール電送装置の一実施形態であるファクシミリ電子メール電送装置1の構成を示すブロック図である。
【0030】
画像通信装置であるファクシミリ電子メール電送装置1は、大別すると、制御部2、キー入力部3、表示部4,RTC(Real Time Clock)部5、スキャナ部6、記録部7、ROM8、RAM9、記憶部10、FAX(Facsimile)モデム部11、及びNIC(Network Interface Card)部12を含んで構成されている。
【0031】
制御部2はROM8に記憶されるプログラムを実行することによって、後述するフローチャートに示す処理を行い、装置全体を制御する。
【0032】
キー入力部3は、例えば操作キーによって構成され、名前(宛名)の入力及び装置のオペレーションを行うキー入力機能を有する。表示部4は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、キー入力部3から入力された内容及び装置の状態を表示する表示機能を有する。すなわち、キー入力部3は、入力された情報を制御部2に送り、制御部2から受け取った情報を表示部4が表示する。
【0033】
RTC部5は時計機能を有し、日時情報を制御部2に送る。スキャナ部6は、光学センサによって送信原稿の画像情報を読み取り、読み取った画像情報(以下「画像データ」という)を制御部2に送る。
【0034】
記録部7は、例えば電子写真記録装置などとして構成されており、スキャナ部6で読み取った原稿画像データや通信により受信した画像データなどを印刷する。
【0035】
ROM8は、例えば不揮発性メモリによって構成され、制御部2で実行されるプログラムを記憶する。RAM9は、ワーキングメモリとして機能する。記憶部10は、例えば不揮発性メモリによって構成され、各種設定、履歴、通信データ、及び後述するアドレス帳10Aや電子メールの送信履歴10Bを記憶する。FAXモデム部11は、公衆回線(TELE LINE)に接続され、公衆回線を通じて通信網に接続される他の画像通信装置とのFAX通信を制御する。NIC部12は、ネットワークに接続され、インターフェース制御及び電子メールの送受信を制御する。
【0036】
図2は、上記構成のファクシミリ電子メール電送装置1の外観斜視図、図3は、キー入力部3及び表示部4の外観図である。
【0037】
ファクシミリ電子メール電送装置1は、装置本体の中央上部にキー入力部3と表示部4とが配置されており、キー入力部3の右側に原稿載置部61が、左側に原稿排出部(原稿排出トレイ)62がそれぞれ配置されている。
【0038】
キー入力部3は、その上部に文字キーを兼ねるワンタッチキー群(この例では1〜39のキー群)31が配置され、その下部左側に短縮ダイヤルキーを兼ねるテンキー群32、下部右側にSTART/ENTERキー33aを中心とする上下左右キー群33が配置されている。また、上下左右キー群33の周囲には、短縮ダイヤル機能を実施するための短縮キー35を初めとする各種機能キー(これら機能キーの説明は省略する)が配置されている。さらに、ワンタッチキー群31の上部には、電話発信モードとメール送信モードとを切り替えるためのe−mailと表記されたモード切替キー36が配置されている。本実施形態では、ファクシミリ電子メール電送装置1はデフォルトが電話発信モードとなっており、このモード切替キー36を操作することで、電話発信モードからメール送信モードに切り替わるようになっている。
【0039】
図4は、上記構成のファクシミリ電子メール電送装置1の接続環境の一例を示している。
【0040】
ファクシミリ電子メール電送装置1は、LAN21を介してメールサーバ41及びゲートウェイ42と接続されており、NIC部12(図1参照)は、LAN21及びゲートウェイ42を介してインターネット網やWAN(Wide Area Network )などのネットワーク51に接続されている。また、FAXモデム部11(図1参照)は、公衆電話交換網(PSTN:Public Switched Telephone Network)52に接続されている。
【0041】
上記構成のファクシミリ電子メール電送装置1において、本実施形態では、アドレス帳10Aは、1つの名前(宛名)に対し複数のメールアドレスを登録可能となっており、1つの名前(宛名)に登録されている複数のメールアドレスのうちどのメールアドレスに電子メールを送信するのかといった送信条件も登録可能となっている。
【0042】
図5は、アドレス帳10Aの構成例を示している。
【0043】
このアドレス帳10Aは、例えばワンタッチキーに対応した登録No(ワンタッチキーNo)101、名前(宛名)102、所有する通信機器の個数(No)103、通信機器の使用場所を示す区分104、電話番号105、FAX番号106、メールアドレス107、住所108、備考109の各項目からなっており、メールアドレスの項目107にはさらに、送信条件設定項目1071が設けられている。
【0044】
例えば、メールアドレスの項目107に着目すると、登録No1の奈良一郎さんは、会社用と自宅用と携帯用の3個の通信機器を所有しており、会社用と自宅用とにはメールアドレスが設定されているが、携帯用にはメールアドレスが設定されていない。また、登録No2の大阪二郎さんは、会社用と自宅用と携帯用の3個の通信機器を所有しており、各通信機器の全てに個別のメールアドレスが設定されている。さらに、登録No3の広島三郎さんは、会社用と携帯用の2個の通信機器を所有しており、会社用にのみメールアドレスが設定されている。
【0045】
制御部2は、1つの名前(宛名)に対して電子メールを送信する際、このアドレス帳10Aの送信条件設定項目1071に登録されている送信条件に従って、該当する1または複数のメールアドレスに電子メールを送信する。以下、送信条件に従った電子メールの送信先入力処理及び送信制御処理について、具体的に実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0046】
図6は、本実施例1に係わるアドレス帳10Aの構成例を示している。ただし、図6は、主にメールアドレスの項目107の詳細を示しており、電話番号の欄105、FAX番号の欄106、住所の欄108、備考欄109等の図示を省略している。
【0047】
本実施例1のアドレス帳10Aは、送信条件設定項目1071の送信条件として、1日を4つの時間帯に区分し、登録メールアドレスごとに送信時間帯として前記4つの区分のうちの任意の時間帯を設定したものである。ここでは、時間帯の区分を、6時〜11時までの時間帯「朝」、11時〜17時までの時間帯「昼」、17時から23時までの時間帯「夜」、及び深夜23時から翌早朝6時までの時間帯「深/早」の4つの時間帯に区分している。そして、例えば登録No02(ワンタッチキーNo「02」)の大阪二郎さんは、自宅用であるNo1の通信機器のメールアドレス「josaka@home.ne.jp」に対して「朝」と「深/早」の2つの時間帯が設定(図ではチェックボックスにチェック(黒塗)が入っている)されており、会社用であるNo2の通信機器のメールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」に対して「朝」と「昼」と「夜」の3つの時間帯が設定(図ではチェックボックスにチェック(黒塗)が入っている)されており、携帯用であるNo3の通信機器のメールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」に対して「昼」の1つの時間帯が設定(図ではチェックボックスにチェック(黒塗)が入っている)されている。
【0048】
このように送信条件が設定されたアドレス帳10Aを用いた本実施例1の電子メール送信先入力処理について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0049】
モード切替キー36を操作してメール送信モードとし、電子メール送信先の入力を開始すると、制御部2は、変数mを1に設定して(ステップS1)、ワンタッチキーK(n)の入力待ち状態となり、この状態で任意のワンタッチキーK(n)が押下されると(ステップS2)、その時点でRTC部5から現在時刻Tを取得する(ステップS3)。この後、アドレス帳10Aのメールアドレスの項目107に登録されているメールアドレスの個数Nを取得する(ステップS4)。例えば、ワンタッチキーK(n)として「02」キーが押下された場合、大阪二郎さんのメールアドレスの個数Nは3となる。
【0050】
次に、制御部2は、取得したメールアドレスの個数Nが0でないか否か、すなわち、押下されたワンタッチキーK(n)の名前(宛名)にメールアドレスが登録されているか否かを確認し(ステップS5)、メールアドレスが登録されていない場合(ステップS5でYesと判断された場合)には、押下されたワンタッチキーK(n)の名前(宛名)にメールアドレスが登録されていない旨を表示部4に表示して(ステップS11)、処理を終了する。
【0051】
一方、押下されたワンタッチキーK(n)の名前(宛名)にメールアドレスが登録されている場合(ステップS5でNoと判断された場合)には、次に、ステップS1で設定した変数mと、ステップS4で取得したメールアドレスの個数Nとを比較する(ステップS6)。
【0052】
そして、m≦Nの場合(ステップS6でYesと判断された場合)には、押下されたワンタッチキーK(n)の名前(宛名)に登録されている第mメールアドレスA(m)の送信時間帯を取得する(ステップS7)。
【0053】
具体的に説明すると、大阪二郎さんのメールアドレスの個数は3であるから、m=1の場合、ステップS6でYesと判断され、ステップS7において、第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」に設定されている送信時間帯である「朝」と「「深/早」とを取得する。
【0054】
次に、ステップS3で取得した現在時刻Tと、ステップS7で取得した送信時間帯とを比較し、取得した送信時間帯に現在時刻Tが含まれるか否かを判断する(ステップS8)。 その結果、現在時刻Tが送信時間帯に含まれる場合(ステップS8でYesと判断された場合)には、第mメールアドレスA(m)を送信先メールアドレスに入力し(ステップS9)、次のステップS10で変数mをインクリメントしてステップS6に戻る。一方、現在時刻Tが送信時間帯に含まれない場合(ステップS8でNoと判断された場合)には、ステップS9をスキップし、ステップS10で変数mをインクリメントしてステップS6に戻る。
【0055】
例えば、大阪二郎さんの場合、第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」に設定されている送信時間帯は「朝」と「「深/早」である。これに対して、ステップS3で取得した現在時刻Tが例えば「昼」の時間帯(12時等)であった場合には、ステップS8での判断がNoとなり、第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」を送信先メールアドレスに入力することなくステップS10へ進むことになる。一方、ステップS3で取得した現在時刻Tが例えば「朝」の時間帯(8時等)であった場合には、ステップS8での判断がYesとなるので、ステップS9で第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」を送信先メールアドレスに入力することになる。
【0056】
制御部2は、このようなステップS6〜ステップS10の処理をステップS4で取得したメールアドレスの個数Nの数だけ繰り返すと、ステップS6での判断がNoとなるので、次にステップS12へと動作を進め、押下されたワンタッチキーK(n)の名前(宛名)に登録されている少なくとも1つ以上のメールアドレスが送信先として入力されたか否かを判断する。
【0057】
例えば、大阪二郎さんの場合、現在時刻Tが「朝」の時間帯である場合には、第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」と第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」の2つが送信先メールアドレスとして入力され、現在時刻Tが「昼」の時間帯である場合には、第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」と第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」の2つが送信先メールアドレスとして入力され、現在時刻Tが「夜」の時間帯である場合には、第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」の1つが送信先メールアドレスとして入力され、現在時刻Tが「深/早」の時間帯である場合には、第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」の1つが送信先メールアドレスとして入力される。従って、この場合にはステップS12での判断がYesとなり、電子メール送信先の入力を終了する。この後、入力された送信先のメールアドレスに電子メールを送信することになる。
【0058】
一方、ステップS12での判断がNoである場合には、例えば「時間帯設定がエラーです。」といったエラーメッセージを表示部4に表示して(ステップS13)、処理を終了する。このケースについて具体的に説明すると、例えばステップS2で押下されたワンタッチキーK(n)が「03」キーである場合、広島三郎さんのメールアドレスの個数Nは1個であり、このメールアドレスに設定されている送信時間帯は、「朝」、「昼」、「夜」の3つの時間帯である。ここで、ステップS3で取得した現在時刻Tが「深/早」の時間帯であった場合には、ステップS8での判断がNoとなり、その結果、ステップS6からステップS12へ進んだとき、送信先メールアドレスにはなにも設定されていない状態となっている。その結果、ステップS12での判断がNoとなり、上記のエラーメッセージを表示することとなる。
【0059】
図8は、送信先メールアドレスの入力画面例を示している。この例では、現在時刻Tが12時52分の場合を例示しており、この時刻Tにユーザがワンタッチキーの「01」と「02」と「03」を押下して、件名「見積もり書送付」の電子メールを送信しようとした場合を例示している。すなわち、12時52分は「昼」の時間帯であり、この「昼」の時間帯が送信時間帯として設定されているメールアドレスは、ワンタッチキー01の奈良一郎さんでは会社用である第1メールアドレス「nara@sharp.co.jp」であり、大阪二郎さんでは会社用である第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」と、携帯用である第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」であり、広島三郎さんでは会社用の第1メールアドレス「hiroshima@sharp.co.jp」である。従って、入力画面は図8に示すように、宛先1(TO)として「奈良一郎(会社)」が、宛先2(TO)として大阪二郎(会社)が、宛先3(TO)として「大阪二郎(携帯)」が、宛先4(TO)として広島三郎(会社)が、それぞれ入力されている。
【実施例2】
【0060】
本実施例2は上記実施例1の変形実施例であり、押下されたワンタッチキーK(n)にメールアドレスが1個しか登録されていない場合の実施例である。具体的には、図6に示すアドレス帳10Aの広島三郎さんの場合がこれに該当する。
【0061】
図9は、本実施例2の電子メール送信先入力処理を示すフローチャートである。すなわち、本実施例2では、図7に示す上記実施例1の処理において、ステップS5とステップS6との間に判断処理であるステップS5−1が追加された構成となっている。以下、図7も適宜参照しつつ説明する。
【0062】
この場合、図9に示すように、押下されたワンタッチキーK(n)にメールアドレスが1個しか登録されていない場合には、ステップS5−1での判断がYesとなるため、この場合にはステップS9へと動作を進め、取得したメールアドレスを送信先メールアドレスに入力する。
【0063】
すなわち、この場合には、ステップS3で取得した現在時刻Tと、ステップS7で取得した送信時間帯とを比較することなく、取得したメールアドレスを常に送信先メールアドレスに入力する。例えばステップS2で押下されたワンタッチキーK(n)が「03」キーである場合、広島三郎さんのメールアドレスの個数Nは1個であり、このメールアドレスに設定されている送信時間帯は、「朝」、「昼」、「夜」の3つの時間帯である。ここで、ステップS3で取得した現在時刻Tが「深/早」の時間帯であった場合には、ステップS8での判断がNoとなるが、このステップS8の判断に行く前のステップS5−1においてYesと判断されるため、ステップS8の判断を行うことなく、常に広島三郎さんの第1メールアドレス「hiroshima@sharp.co.jp」を送信先メールアドレスに入力することになる。これにより、メールアドレスが1個の場合には、常にそのメールアドレスに電子メールが送信されることになる。
【実施例3】
【0064】
本実施例3は上記実施例1の変形実施例であり、押下されたワンタッチキーK(n)に登録されているメールアドレスのいずれもが現在時刻Tを含まない送信時間帯に設定されている場合の実施例である。
【0065】
図10は、本実施例3の電子メール送信先入力処理を示すフローチャートである。すなわち、本実施例3では、図7に示す上記実施例1の処理において、ステップS12でNoと判断された場合の処理が異なっている。以下、アドレス帳10Aの奈良一郎さんを例に挙げて具体的に説明する。
【0066】
登録No01(ワンタッチキーNo「01」)の奈良一郎さんは、会社用であるNo1の通信機器のメールアドレス「nara@sharp.co.jp」に対して「朝」と「昼」と「夜」の3つの時間帯が設定(図6参照)されており、自宅用であるNo2の通信機器のメールアドレス「ichiro@home.ne.jp 」に対して「夜」の1つの時間帯が設定(図6参照)されている。すなわち、「深/早」の時間帯についてはどの通信機器も設定されていない。
【0067】
ここで、押下されたワンタッチキーが「01」の奈良一郎さんであり、押下した時刻Tが「深/早」の時間帯(例えば24時(深夜0時)等)であった場合、図6のアドレス帳10Aに示すように、奈良一郎さんの所有する2個の通信機器のメールアドレスに設定されている送信時間帯には「深/早」の時間帯が設定されていない。そのため、ステップS6〜ステップS10の処理を終了し、ステップS6からステップS12へ移行したとき、ステップS9の処理での送信先メールアドレスには何も入力されていないため、ステップS12での判断がNoとなる。この場合、上記実施例1ではその時点でエラーメッセージを表示して処理を終了していたが、本実施例3では、ここでコピーメールを作成し、現在時刻Tに最も近い次の送信時間帯が設定されているメールアドレスA(m)を送信先メールアドレスへ入力する(ステップS15)。
【0068】
すなわち、奈良一郎さんの例で見れば、現在時刻Tである24時に最も近い次の送信時間帯は第1メールアドレス「nara@sharp.co.jp」に設定されている「朝」の送信時間帯(6時〜11時)であるので、この第1メールアドレス「nara@sharp.co.jp」を送信先メールアドレスとして自動的に入力する。そして、作成したコピーメールをタイマー送信メールとして設定し、第1メールアドレス「nara@sharp.co.jp」に設定されている「朝」の送信時間帯(6時〜11時)の最も早い時刻である6時を送信時刻に設定して(ステップS16)、電子メール送信先入力を終了する。
【0069】
本実施例3によれば、ユーザが24時(深夜0時)に奈良一郎さんに電子メールを送信した場合、上記実施例1ではエラーメッセージが表示されるだけであるため、ユーザは早朝の6時以降に再度電子メールを送信するための入力操作を行う必要があるが、本実施例3では、電子メールの送信処理がタイマー送信という形で送信時間帯内である6時に設定されるため、ユーザが再度の入力操作を行わなくても、早朝6時になれば奈良一郎さんに電子メールを確実に送信することができるものである。
【実施例4】
【0070】
本実施例4は、上記実施例3の変形実施例であり、図11は本実施例4の電子メール送信先入力処理を示すフローチャートである。
【0071】
すなわち、押下されたワンタッチキーが「01」の奈良一郎さんであり、押下した時刻Tが「深/早」の時間帯(例えば24時等)であった場合、図6のアドレス帳10Aに示すように、奈良一郎さんの所有する2個の通信機器のメールアドレスに設定されている送信時間帯には「深/早」の時間帯が設定されていない。そのため、ステップS6〜ステップS10の処理を終了し、ステップS6からステップS12へ移行したとき、ステップS9の処理での送信先メールアドレスには何も入力されていないため、ステップS12での判断がNoとなる。
【0072】
この場合、上記実施例3では、現在時刻Tである24時に最も近い次の送信時間帯が設定されている第1メールアドレス「nara@sharp.co.jp」を送信先メールアドレスとして自動的に入力し、かつ、第1メールアドレス「nara@sharp.co.jp」に設定されている「朝」の送信時間帯(6時〜11時)の最も早い時刻である6時を送信時刻に設定しているが、本実施例4では、奈良一郎さんに対応付けて登録されているメールアドレスのうち例えばNo1として登録されている第1メールアドレス「nara@sharp.co.jp」を送信先メールアドレスとして入力し、そのままこの第1メールアドレスにメールを送信(ステップS17)する構成とする。すなわち、送信時間帯の設定に関係なく電子メールをすぐに送信するという点で、上記実施例2と同じ考え方の実施例である。
【実施例5】
【0073】
上記実施例1〜実施例4は、送信条件として送信時間帯という概念を導入した実施例であったが、本実施例5では、送信条件として優先度という概念を導入している。
【0074】
図12は、本実施例5に係わるアドレス帳10A′の構成例を示している。ただし、図12は、主に大阪二郎さんに関するメールアドレスの項目107の詳細を示しており、電話番号の欄105、FAX番号の欄106、住所の欄108、備考欄109等の図示を省略している。
【0075】
本実施例1のアドレス帳10A′は、送信条件設定項目1071の送信条件として、優先度を設定したものである。ここで、優先度とは、送信先のユーザが送信されてきた電子メールをすぐに読むことができる確率が高いと思われる順番のことであり、基本的には送信側のユーザによって設定される。この例では、第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」が優先度1、第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」が優先度2、第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」が優先度3に設定されている。この優先度はユーザによって任意に設定及び設定変更可能とする。なお、この例ではワンタッチキー02の大阪二郎さんの場合のみ例示しているが、ワンタッチキー01の奈良一郎さんやワンタッチキー03の広島三郎さんの場合も同様に優先度が設定されている。
【0076】
このように優先度が設定されたアドレス帳10A′を用いた本実施例5の電子メール送信先入力処理について、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
【0077】
モード切替キー36を操作してメール送信モードとし、電子メール送信先の入力を開始すると、制御部2は、ワンタッチキーK(n)の入力待ち状態となり、この状態で任意のワンタッチキーK(n)が押下されると(ステップS21)、アドレス帳10A′の押下されたワンタッチキーK(n)に登録されているメールアドレスのうち、優先度1に設定されているメールアドレスを取得する(ステップS22)。例えば、ワンタッチキーK(n)として「02」キーが押下された場合、図12に示すアドレス帳10A′より、大阪二郎さんの優先度1のメールアドレスは第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」である。従って、制御部2は、この第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」を送信先メールアドレスに入力して(ステップS23)、電子メール送信先の入力を終了する。この後、入力された送信先のメールアドレスに電子メールを送信する。
【実施例6】
【0078】
上記実施例5では、優先度はユーザによって設定または設定変更された固定の優先度として説明しているが、本実施例6では、この優先度をユーザの使用状況に応じて自動的に設定変更する構成としている。
【0079】
すなわち、図12に示すように、第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」が優先度1、第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」が優先度2、第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」が優先度3に設定されている状態において、ユーザが、大阪二郎さんの会社のメールアドレスである第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」を直接選択して電子メールを送信した場合、制御部2は、この選択入力を受けて、アドレス帳10A′の優先度を図14に示すように変更する。すなわち、直近に入力されたメールアドレスである第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」を優先度1とし、この第2メールアドレスより優先度が上位のメールアドレスを1つずつ下位に移動する。この例では、第2メールアドレスより優先度が上位のメールアドレスは第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」の優先度1であるので、この優先度を1から2に下げる。また、第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」は元々第2メールアドレスより優先度が低い(優先度3)ので、第3メールアドレスについてはそのままの優先度となっている。
【0080】
このように、ワンタッチキーの操作以外で電子メールの送信のために選択入力された直近のメールアドレスを常に優先度1とし、これより上位であった他のメールアドレスの優先度をそれぞれ1つずつ下げることで、直近に送信したメールアドレスを常に優先度1に設定することが可能となる。
【0081】
図15は、本実施例6の優先度の自動設定変更の様子のみを簡単に示した図である。同図(a)に示すように登録メールアドレスNo1、No2、No3に対して優先度がそれぞれ3、2、1となっている状態において、No2のメールアドレスが選択されてメール送信された場合には、同図(b)に示すように、登録メールアドレスNo1、No2、No3に対して優先度がそれぞれ3、1、2に設定変更され、この状態においてNo1のメールアドレスが選択されてメール送信された場合には、同図(c)に示すように、登録メールアドレスNo1、No2、No3に対して優先度がそれぞれ1、2、3に設定変更され、この状態においてNo3のメールアドレスが選択されてメール送信された場合には、同図(d)に示すように、登録メールアドレスNo1、No2、No3に対して優先度がそれぞれ2、3、1に設定変更されることになる。
【0082】
なお、本実施例6では、アドレス帳10A′への登録時に優先度をユーザが予め設定する構成として説明しているが、アドレス帳10A′への登録時に優先度を設定せず、デフォルトにおいて各登録メールアドレス間の優先度レベルを設定してもよい。この場合、例えば図16(a)に示すように、各登録メールアドレス間の優先度レベルを全て同じ優先度3に設定しておいてもよい。そして、この状態において例えばNo1のメールアドレスが選択されてメール送信された場合には、同図(b)に示すように、登録メールアドレスNo1の優先度を1とする。また、この状態においてNo2のメールアドレスが選択されてメール送信された場合には、同図(c)に示すように、登録メールアドレスNo2の優先度を1とし、登録メールアドレスNo1の優先度を1から2に1つ下げるようにしてもよい。
【実施例7】
【0083】
本実施例7は、優先度をユーザの使用状況に応じて自動的に設定変更する他の実施例である。本実施例7では、優先度が優先度1以外に設定されているメールアドレスを送信先として選択して電子メールを送信した場合に、そのメールアドレスの優先度を1つ上の優先度のメールアドレスと入れ替える実施例である。すなわち、直近に送信したメールアドレスの優先度をいきなり優先度1とはしない実施例である。
【0084】
図17は、本実施例7の優先度の自動設定変更の様子のみを簡単に示した図である。同図(a)に示すように登録メールアドレスNo1、No2、No3に対して優先度がそれぞれ3、2、1となっている状態において、No2のメールアドレスが選択されてメール送信された場合には、同図(b)に示すように、登録メールアドレスNo2の優先度を2から1に変更し、登録メールアドレスNo3の優先度を1から2に変更している。すなわち、登録メールアドレスNo2とNo3の優先度を入れ替えている。また、この状態においてNo1のメールアドレスが選択されてメール送信された場合には、同図(c)に示すように、登録メールアドレスNo1の優先度を3から2に変更し、登録メールアドレスNo3の優先度を2から3に変更している。すなわち、登録メールアドレスNo1とNo3の優先度を入れ替えている。また、この状態において、No3のメールアドレスが選択されてメール送信された場合には、同図(d)に示すように、登録メールアドレスNo3の優先度を3から2に変更し、登録メールアドレスNo1の優先度を2から3に変更している。すなわち、登録メールアドレスNo1とNo3の優先度を入れ替えている。
【0085】
なお、本実施例7では、アドレス帳10A′への登録時に優先度をユーザが予め設定する構成として説明しているが、アドレス帳10A′への登録時に優先度を設定せず、デフォルトにおいて各登録メールアドレス間の優先度レベルを設定してもよい。デフォルトによる優先度の設定方法は、例えば登録順で決まるようにすることが考えられるが、このような設定方法に限るものではない。
【0086】
この場合、図18(a)に示すように、各登録メールアドレス間の優先度レベルをデフォルト値として任意のレベルに設定しておく。そして、この状態において、No1のメールアドレスが選択されてメール送信された場合には、同図(b)に示すように、登録メールアドレスNo1の優先度を2から1に変更し、登録メールアドレスNo3の優先度を1から2に変更する。
【実施例8】
【0087】
本実施例8は、優先度を送信履歴に基づいて変更する実施例である。すなわち、本実施例8では、図1に示す記憶部10に、アドレス帳10A′への登録メールアドレスごとの送信履歴10Bを記憶している。そして、1つの名前(宛名)に登録されている複数のメールアドレスの優先度は、この送信履歴に基づき、1つの名前(宛名)に対する過去n(nは自然数)回の送信履歴の中から送信回数の多い順に設定する構成としている。これにより、過去の使用回数の多いメールアドレスが優先順位の上位にくるため、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率をより高くすることが可能となる。
【0088】
図19は、過去5回の送信履歴に基づいて優先度を設定した例を示している。ここでは、例えば大阪二郎さんの登録メールアドレスNo1、No2、No3について例示している。この例では、No1の登録メールアドレスに対して過去5回(m−5〜m−1)のうち3回メール送信されており、No2の登録メールアドレスに対して1回メール送信されており、No3の登録メールアドレスに対して1回メール送信されている。その結果、m−1回目までのNo1の登録メールアドレスの累計は3回、No2の登録メールアドレス及びNo3の登録メールアドレスの累計はそれぞれ1回であるので、この段階ではNo1の登録メールアドレスの優先度を1、No2とNo3の登録メールアドレスの累計は同じであるので優先度をそれぞれ3に設定する。そして、この状態において、次のm回目にNo3の登録メールアドレスが選択されてメール送信されると、この時点でNo1の登録メールアドレスの累計が3回、No2の登録メールアドレスの累計が0回(m−5回目が対象外となるため)、No3の登録メールアドレスの累計が2回となるので、この段階でNo1の登録メールアドレスの優先度を1、No2の登録メールアドレスの優先度を3、No3の登録メールアドレスの優先度を2に設定変更する。
【0089】
このように、本実施例8では、優先度を過去n回の送信履歴に基づいて設定変更している。これにより、優先度は過去n回のメール送信傾向を反映した設定となるため、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率をより高くすることが可能となる。
【実施例9】
【0090】
本実施例9は、上記実施例5〜8の優先度に、上記実施例1の送信時間帯を加味した実施例である。すなわち、送信時間帯ごとに優先度を設定した実施例である。
【0091】
図20は、本実施例9に係わるアドレス帳10A″の構成例を示している。ただし、図20は、主に大阪二郎さんに関するメールアドレスの項目107の詳細を示しており、電話番号の欄105、FAX番号の欄106、住所の欄108、備考欄109等の図示を省略している。
【0092】
本実施例9のアドレス帳10A″は、送信条件設定項目1071の送信条件として、送信時間帯ごとに優先度を設定したものである。この大阪二郎さんの例では、「朝」の時間帯は第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」が優先度1、第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」が優先度2、第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」が優先度3に設定されており、「昼」の時間帯は第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」が優先度1、第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」が優先度2、第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」が優先度3に設定されており、「夜」の時間帯は第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」が優先度1、第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」が優先度2、第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」が優先度3に設定されており、「深/早」の時間帯は第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」が優先度1、第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」が優先度2、第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」が優先度3に設定されている。
【0093】
このように送信条件が設定されたアドレス帳10A″を用いた本実施例9の電子メール送信先入力処理について、図21に示すフローチャートを参照して説明する。
【0094】
モード切替キー36を操作してメール送信モードとし、電子メール送信先の入力を開始すると、制御部2は、ワンタッチキーK(n)の入力待ち状態となり、この状態で任意のワンタッチキーK(n)が押下されると(ステップS41)、その時点でRTC部5から現在時刻Tを取得し(ステップS42)、現在時刻Tが含まれる送信時間帯を特定する(ステップS43)。次に、制御部2は、アドレス帳10A″のワンタッチキーK(n)に対応するメールアドレスの項目107に登録されているメールアドレスの中から、特定した送信時間帯に設定されている優先度1のメールアドレスA(m)を取得し(ステップS44)、このメールアドレスA(m)を送信先メールアドレスに入力して(ステップS45)、電子メール送信先の入力を終了する。この後、入力された送信先のメールアドレスに電子メールを送信する。例えば、図20に示す大阪二郎さんの場合、現在時刻Tが例えば9時である場合には、送信時間帯として「朝」が特定され、この「朝」の時間帯に設定されている優先度1のメールアドレスは第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」であるので、この第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」を送信先メールアドレスに入力することになる。また、現在時刻Tが例えば12時であった場合には、送信時間帯として「昼」が特定され、この「昼」の時間帯に設定されている優先度1のメールアドレスは第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」であるので、この第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」を送信先メールアドレスに入力することになる。
【0095】
このように、優先度を送信時間帯に応じてさらに細分化することで、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率をより高くすることが可能となる。
【実施例10】
【0096】
本実施例10は、優先度という概念を導入した上記各実施例5〜実施例9において、電子メールを相手先に確実に届けるためのさらなる工夫を加えた実施例である。
【0097】
すなわち、本実施例10では、優先度の高いメールアドレスに対して電子メールを送信する際に開封通知要求を付加して送信し、予め設定された一定時間内に開封通知が返信されなかった場合には、次に優先度の高いメールアドレスに対して前記電子メールを送信する構成としている。
【0098】
以下、図22に示すメール送受信の説明図、及び図23に示すフローチャートを参照して、本実施例10の電子メール送信制御処理を説明する。ただし、図22は、送信先として大阪二郎さんを選択した場合を例示している。
【0099】
モード切替キー36を操作してメール送信モードとし、電子メール送信先の入力を開始すると、制御部2は、ワンタッチキーK(n)の入力を待ち状態となり、この状態で任意のワンタッチキーK(n)が押下されると(ステップS51)、アドレス帳の押下されたワンタッチキーK(n)に登録されているメールアドレスのうち、最も優先度の高い(この場合は優先度1)メールアドレスを取得する(ステップS52)。例えば、ワンタッチキーK(n)として「02」キーが押下された場合、図12に示すアドレス帳10A′より、大阪二郎さんの優先度1のメールアドレスは自宅用のパソコンの第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」である。従って、制御部2は、この第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」を送信先メールアドレスに入力して、電子メール送信先の入力を終了し、その後、入力された送信先のメールアドレスに電子メールを送信(図22の(1)の処理)する(ステップS53)。
【0100】
この後、制御部2は、予め設定されている一定時間(例えば、10分等)が経過するまでに、送信先から開封通知が返信されてきたか否かを監視する(ステップS54,ステップS55)。その結果、一定時間が経過する前に開封通知が返信されてきた場合(ステップS55でYesと判断された場合)には、処理を終了する。
【0101】
一方、一定時間が経過しても開封通知が返信されて来なかった場合(ステップS55でNo、ステップS54でYesと判断された場合)、つまり、自宅用パソコンで電子メールが開封されなかった場合には、制御部2は、次に優先度の高いメールアドレスがあるか否かを確認し(ステップS56)、ある場合(ステップS56でYesと判断された場合)には、次に優先度の高い(この場合は優先度2)メールアドレスを取得して(ステップS57)、ステップS53に戻る。ここでは、大阪二郎さんの優先度2の第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp」を取得して、ステップS53に戻る。すなわち、この第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp」を送信先メールアドレスに入力して、電子メール送信先の入力を終了し、その後、入力された送信先のメールアドレスに同じ電子メールを送信(図22の(2)の処理)する。
【0102】
この後、制御部2は、予め設定されている一定時間が経過するまでに、送信先から開封通知が返信されてきたか否かを監視する(ステップS54,ステップS55)。ここで、第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp」である会社用のパソコンで電子メールが開かれた場合には、会社用のパソコンから本装置に対して開封通知が返信される(図22の(3)の処理)。これにより、ステップS55での判断がYesとなるため、制御部2はこの時点で電子メール送信制御処理を終了する。
【0103】
一方、ステップS56での判断の結果、次に優先度の高いメールアドレスがアドレス帳10A′に登録されていなかった場合(大阪二郎さんの例で言えば、第3メールアドレスである携帯電話まで同じ電子メールを順次送信しても、自宅用のパソコン、会社用のパソコン、及び携帯電話のいずれからも開封通知が返信されてこなかった場合)には、ステップS58へと動作を進め、送信した全ての電子メールが未開封であることをユーザに通知して、電子メール送信制御処理を終了する。
【0104】
本実施例10によれば、開封通知を要求することによって、送信相手に電子メールが確実に届いたか否かを確認することが可能となる。
【実施例11】
【0105】
本実施例11は、上記実施例10の変形実施例である。
【0106】
すなわち、上記実施例10では、ステップS57で次に優先度の高いメールアドレスを取得し、ステップS53に戻ってこのメールアドレスを送信先メールアドレスに入力し、入力した送信先メールアドレスに同じ電子メールを送信しているが、このとき、その電子メールに、優先度の高いメールアドレスにも既に同じ電子メールを送信済みであることを知らせるメッセージ(例えば、「本メールは<josaka@home.ne.jp>にも送信しています。」といったメッセージ)を付加して送信する。これにより、この電子メールを受け取ったユーザは、同じ電子メールが優先度の高い別のメールアドレスの通信機器にも送信済みであることを知ることができるので、例えばその後に自宅に戻って自宅用のパソコン(優先度の高い別の通信機器)を開いたときに、既に読み終わっている電子メールが着信していることを認識しているので、同じ電子メールを開いてしまうといった無駄な手間を省くことができる。また、同じ電子メールを開いた場合でも、同じであることを認識できるので、似たようなメールがきていると誤認してしまうことも無い。
【実施例12】
【0107】
本実施例12は、任意のワンタッチキーK(n)が押下された場合に、そのワンタッチキーK(n)に登録されている全てのメールアドレスに対して開封通知要求付きの電子メールを送信し、予め設定された一定時間内に任意のメールアドレスから開封通知が返信されてきた場合に、他のメールアドレスに対して既読通知メールを送信する実施例である。
【0108】
以下、図24に示すメール送受信の説明図、及び図25に示すフローチャートを参照して、本実施例12の電子メール送信制御処理を説明する。ただし、図24は、送信先として大阪二郎さんを選択した場合を例示している。
【0109】
モード切替キー36を操作してメール送信モードとし、電子メール送信先の入力を開始すると、制御部2は、ワンタッチキーK(n)の入力を待ち状態となり、この状態で任意のワンタッチキーK(n)が押下されると(ステップS61)、アドレス帳10A(図5参照)の押下されたワンタッチキーK(n)に登録されている全てのメールアドレスに対して、開封通知要求付きの電子メールを送信する(ステップS62)。なお、このときのアドレス帳10Aの送信条件設定項目1071は、「全て送信」に設定しておけばよい。
【0110】
例えば、ワンタッチキーK(n)として「02」キーが押下された場合、図5に示すアドレス帳10Aより、大阪二郎さんの3つのメールアドレス、すなわち、第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」、第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp 」、及び第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」を送信先メールアドレスに入力し、これらのメールアドレスに開封通知要求付きの電子メールを送信する(図24の(1)の処理)。
【0111】
この後、制御部2は、いずれかの送信先から開封通知が返信されてきたか否かを監視する(ステップS63)。その結果、一つの送信先から開封通知が返信されてくると(ステップS63でYesと判断されると)、制御部2は、開封通知を返信してきたメールアドレス以外のメールアドレスに対し、既読通知メールを送信して(ステップS64)、処理を終了する。
【0112】
例えば、大阪二郎さんの第1メールアドレス「josaka@home.ne.jp」から開封通知メールが返信(図24の(2)処理)されてきた場合には、第2メールアドレス「osaka@sharp.co.jp」の通信機器(会社用のパソコン)及び第3メールアドレス「jiro@keitai.ne.jp」の通信機器(携帯電話)に対して既読通知メールを送信する(図24の(3)の処理)する。
【0113】
ここで、既読通知メールは、例えば件名欄の最後に(既読)と入れて送信する。例えば、送信した電子メールの件名が「見積もり書送付」であった場合、既読通知メールとして送信するメールの件名に「見積もり書送付(既読)」と入れて送信する。この場合、同じ電子メールの本文を付加して送信してもよいし、本文無しで送信してもよい。
【0114】
このように、他のメールアドレスに対して既読通知メールを送信することで、これを受け取ったユーザは、他の通信機器でメールをチェックした場合に、同じ件名の電子メールが既読であることを確認できるので、同じ電子メールを再度開いて内容を確認するといった無駄な手間を省くことができる。この場合、件名に(既読)を入れることで、既に受信している同じ内容の電子メール「見積もり書送付」を開かなくても、件名を見るだけで既読であることを確認することができる。
【実施例13】
【0115】
本実施例13は、アドレス帳10Aのワンタッチキーごとに、直近の送信メールアドレスを記憶する記憶手段を備えた構成としている。
【0116】
図26は、この直近の送信メールアドレスを記憶する記憶手段の構成例を示しており、ワンタッチキーNoの項目と直近の送信メールアドレスの項目とからなっている。
【0117】
例えば、奈良一郎さん宛に最後に送った電子メールのメールアドレスが、第1メールアドレスの「nara@sharp.co.jp」であった場合、ワンタッチキーNo「01」には直近の送信メールアドレスとして第1メールアドレスの「nara@sharp.co.jp」が記憶され、大阪二郎さん宛に最後に送った電子メールのメールアドレスが、第2メールアドレスの「osaka@sharp.co.jp 」であった場合、ワンタッチキーNo「02」には直近の送信メールアドレスとして第2メールアドレスの「osaka@sharp.co.jp 」が記憶される。また、ワンタッチキーNo「03」には直近の送信メールアドレスとして第1メールアドレスの「hiroshima@sharp.co.jp 」が記憶される。
【0118】
記憶手段には、このようにして1つの送信先(ワンタッチキー)に対して常に直近に送信した1つのメールアドレスが更新記憶されるようになっている。
【0119】
このような記憶手段を用いた本実施例13の電子メール送信先入力処理について、図27に示すフローチャートを参照して説明する。
【0120】
モード切替キー36を操作してメール送信モードとし、電子メール送信先の入力を開始すると、制御部2は、ワンタッチキーK(n)の入力待ち状態となり、この状態で任意のワンタッチキーK(n)が押下されると(ステップS71)、そのワンタッチキーK(n)に基づいて記憶手段を参照し、当該ワンタッチキーに対応付けて記憶されているメールアドレスを取得する(ステップS72)。例えば、ワンタッチキーK(n)として「01」キーが押下された場合、図26に示す記憶手段から、奈良一郎さんのメールアドレス「nara@sharp.co.jp」を取得し、このメールアドレス「nara@sharp.co.jp」を送信先メールアドレスに入力して(ステップS73)、電子メール送信先の入力を終了する。この後、入力された送信先のメールアドレスに電子メールを送信する。
【0121】
このように、本実施例13では、直近に送信されたメールアドレスを反映したメール送信となるため、送信相手がメールをすぐに読むことができる可能性の高いメールアドレスに電子メールを送信できる確率をより高くすることが可能となる。
【0122】
なお、上記各実施例1〜13では、アドレス帳の各名前(宛名)に対してワンタッチキーを割り当てているが、短縮ダイヤルキーを割り当ててもよいことは当然である。
【0123】
また、本実施形態のファクシミリ電子メール電送装置は、電話発信モードとメール送信モードとを備えており、上記各実施例1〜13では、電子メールを送信する際に、図3に示すモード切替キー36を操作してメール送信モードとし、電子メール送信先の入力を開始する構成としている。これにより、モード切替キー36を操作する前の電話発信モードでは、アドレス帳に登録されている電話番号が有効となり、メール送信モードではアドレス帳に登録されているメールアドレスや送信条件が有効となるように構成することができる。ただし、電話発信モードとメール送信モードでデフォルトの設定を切り替える構成としてもよい。例えば、デフォルトを電話発信モードとし、図2に示す原稿載置部61に原稿がセットされると、デフォルトの電話発信モードからメール送信モードに自動的に切り替わるように構成してもよい。これにより、電子メールとして送信するための原稿を原稿読取部61にセットするだけで、メール送信モードに切り替わるため、ユーザによるモード切り替え操作が不要となる。ただし、電話発信モードとメール送信モードの切り替えは、メニューなどでの設定による切り替えや、別途設けたスイッチ操作による切り替えであってもよい。
【0124】
なお、本実施形態では、本発明の電子メール電送装置を複合機であるファクシミリ電子メール電送装置に適用した場合について説明しているが、このようなファクシミリ電子メール電送装置に限定されるものではなく、例えばパソコンや携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants )等の携帯端末装置に適用してもよいことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明に係る電子メール電送装置の一実施形態であるファクシミリ電子メール電送装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のファクシミリ電子メール電送装置の外観斜視図である。
【図3】キー入力部及び表示部の外観図である。
【図4】本実施形態のファクシミリ電子メール電送装置の接続環境の一例を示すブロック図である。
【図5】アドレス帳の構成例を示す説明図である。
【図6】実施例1に係わるアドレス帳の構成例の一部を示す説明図である。
【図7】実施例1の電子メール送信制御処理を示すフローチャートである。
【図8】送信先メールアドレスの入力画面例を示す説明図である。
【図9】実施例2の電子メール送信制御処理を示すフローチャートである。
【図10】実施例3の電子メール送信制御処理を示すフローチャートである。
【図11】実施例4の電子メール送信制御処理を示すフローチャートである。
【図12】実施例5に係わるアドレス帳の構成例を示す説明図である。
【図13】実施例5の電子メール送信制御処理を示すフローチャートである。
【図14】アドレス帳の優先度を変更した例を示す説明図である。
【図15】実施例6の優先度の自動設定変更の様子のみを簡単に示した説明図である。
【図16】実施例6の優先度の自動設定変更の様子のみを簡単に示した説明図である。
【図17】実施例7の優先度の自動設定変更の様子のみを簡単に示した説明図である。
【図18】各登録メールアドレス間の優先度レベルの設定例を示す説明図である。
【図19】実施例8の過去n回の送信履歴に基づいて優先度を設定した例を示す説明図である。
【図20】実施例9に係わるアドレス帳の構成例を示す説明図である。
【図21】実施例9の電子メール送信制御処理を示すフローチャートである。
【図22】実施例10のメール送受信の様子を示す説明図である。
【図23】実施例10の電子メール送信制御処理を示すフローチャートである。
【図24】実施例12のメール送受信の様子を示す説明図である。
【図25】実施例12の電子メール送信制御処理を示すフローチャートである。
【図26】記憶部に記憶されている送信履歴の一例を示す説明図である。
【図27】実施例13の電子メール送信制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0126】
1 ファクシミリ電子メール電送装置
2 制御部
3 キー入力部
4 表示部
5 RTC部
6 スキャナ部
7 記録部
8 ROM
9 RAM
10 記憶部
10A,10A′,10A″ アドレス帳
11 FAXモデム部
12 NIC部
21 LAN
31 ワンタッチキー群
32 テンキー群
33 上下左右キー
33a START/ENTERキー
35 短縮キー
36 モード切替キー
41 メールサーバ
42 ゲートウェイ
51 ネットワーク
52 公衆電話交換網(PSTN)
61 原稿載置部
62 原稿排出部(原稿排出トレイ)
101 登録No(ワンタッチキーNo)の項目
102 名前(宛名)の項目
103 通信機器の個数(No)の項目
104 通信機器の使用場所を示す区分の項目
105 電話番号の項目
106 FAX番号の項目
107 メールアドレスの項目
108 住所の項目
109 備考の項目
1071 送信条件設定の項目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの宛名に対し複数のメールアドレスを登録可能なアドレス帳を有する電子メール電送装置において、
前記アドレス帳には、前記1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスのうちどのメールアドレスに電子メールを送信するのかといった送信条件が登録されており、
前記1つの宛名に対して電子メールを送信する際、前記送信条件に従って該当する1または複数のメールアドレスに前記電子メールを送信する送信制御手段を備えたことを特徴とする電子メール電送装置。
【請求項2】
前記送信条件は、1日を複数の時間帯に区分し、前記アドレス帳の登録メールアドレスごとに送信時間帯として前記区分された任意の時間帯が設定されたものであり、
前記送信制御手段は、1つの宛名に対して電子メールを送信する時刻が、前記アドレス帳の前記1つの宛名に登録されている1または複数のメールアドレスに設定されている送信時間帯に含まれるメールアドレスに対して前記電子メールを送信することを特徴とする請求項1に記載の電子メール電送装置。
【請求項3】
前記送信条件は、1つの宛名に対応付けられた複数のメールアドレスに優先度が設定されたものであり、
前記送信制御手段は、1つの宛名に対する電子メールの送信指示が入力されると、前記アドレス帳の前記1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスに設定されている優先度に従い、優先度の高い1つのメールアドレスに対して前記電子メールを送信することを特徴とする請求項1に記載の電子メール電送装置。
【請求項4】
前記送信制御手段は、優先度の高いメールアドレスに対して電子メールを送信する際に開封通知要求を付加して送信し、予め設定された一定時間内に開封通知が返信されなかった場合には、次に優先度の高いメールアドレスに対して前記電子メールを送信することを特徴とする請求項3に記載の電子メール電送装置。
【請求項5】
前記一定時間はユーザによって任意の時間に設定可能であることを特徴とする請求項4に記載の電子メール電送装置。
【請求項6】
前記送信制御手段は、次に優先度の高いメールアドレスに対して電子メールを送信する際、既に高順位のメールアドレスに対しても同じ電子メールを送信していることを表わすメッセージを付加することを特徴とする請求項4に記載の電子メール電送装置。
【請求項7】
1つのメールアドレスが直接指定されて電子メールが送信された場合には、そのメールアドレスが含まれる1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスの優先順位を、前記送信メールアドレスが高順位となるように変更することを特徴とする請求項3に記載の電子メール電送装置。
【請求項8】
メールアドレスごとの送信履歴を記憶する記憶手段を備えており、
1つの宛名に登録されている複数のメールアドレスの優先度は、前記送信履歴に基づき、1つの宛名に対する過去n回の送信履歴の中から送信回数の多い順に設定することを特徴とする請求項3に記載の電子メール電送装置。
【請求項9】
前記送信制御手段は、電子メールを送信する際に開封通知要求を付加して送信し、1つ以上の送信先から開封通知の返信を受信すると、開封通知を返信していない他のメールアドレスに対して既読通知メールを送信することを特徴とする請求項1に記載の電子メール電送装置。
【請求項10】
メールアドレスごとの送信履歴を記憶する記憶手段を備えており、
前記送信制御手段は、1つの宛名に対する電子メールの送信指示が入力されると、前記アドレス帳の前記1つの宛名に登録されている1または複数のメールアドレスのうち直近に送信されたメールアドレスに対して前記電子メールを送信することを特徴とする請求項1に記載の電子メール電送装置。
【請求項11】
前記アドレス帳の各宛名に対応してワンタッチキーまたは短縮ダイヤルキーが登録されており、前記宛名の入力をワンタッチキーまたは短縮ダイヤルキーによって行うことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の電子メール電送装置。
【請求項12】
電話発信モードとメール送信モードとを備えており、電話発信モードでは、前記アドレス帳に登録されている電話番号が有効となり、メール送信モードでは前記アドレス帳に登録されているメールアドレスや送信条件が有効となることを特徴とする請求項11に記載の電子メール電送装置。
【請求項13】
電話発信モードとメール送信モードでデフォルトの設定を切り替えることを特徴とする請求項12に記載の電子メール電送装置。
【請求項14】
原稿読取部を備えており、原稿が前記原稿読取部にセットされると、デフォルトの電話発信モードからメール送信モードに切り替わることを特徴とする請求項13に記載の電子メール電送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2007−241732(P2007−241732A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64396(P2006−64396)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】