説明

電子レンジ加熱物収容袋

【課題】電子レンジ加熱対象物(被加熱物)の密封収容域を囲む閉じ縁ラインを形成する複数の縁ライン部分のうち被加熱物の袋本体内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分が簡単に精度よく閉じられることができるとともに電子レンジ加熱時に集中加熱される尖塔効果をもたらさないように隣り合う縁ライン部分に連続しており、それだけ袋本体の電子レンジ加熱時の溶融損傷のおそれを低減できる電子レンジ加熱物収容袋を提供する。
【解決手段】袋本体1の被加熱物Fの密封収容域10を囲む閉じ縁ライン12は順次連続する複数の縁ライン部分からなり、複数の縁ライン部分には被加熱物の袋本体1内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分(後縁ライン部分)122が含まれており、被加熱物の袋本体1内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分122は直線状の縁ライン部分であるとともに隣り合う縁ライン部分に密封収容域側から見て鈍角θ3をなして連続している電子レンジ加熱物収容袋A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子レンジ加熱対象物をマイクロ波透過可能な袋本体に密封収容した電子レンジ加熱物収容袋に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、マイクロ波透過可能なプラスチック袋本体に密封収容された種々の電子レンジ加熱対象物(特に調理された、或いは半調理された食品)が市場に流通している。そのようなプラスチック袋本体は、通常、周辺部が電子レンジ加熱対象物を投入するための個所を残して熱融着で閉じられ(所謂ヒートシールされ)、電子レンジ加熱対象物投入後に周辺部の開いていた個所もヒートシールされる。
【0003】
図4に電子レンジ加熱対象物をマイクロ波透過可能な袋本体に密封収容した電子レンジ加熱物収容袋の従来例を示す。図4の電子レンジ加熱物収容袋Bは、電子レンジ加熱対象食品(本例ではカレー)F’をマイクロ波透過可能な袋本体9に密封収容したものである。図4(A)は袋Bの平面図であり、図4(B)は袋Bを図4(A)の右側から見て示す図である。
【0004】
袋本体9はマイクロ波透過可能な、合成樹脂製の積層フィルムf1をそのヒートシール可能な層を内側にして互いに重ね、それらの合わされた周辺部eを、食品F’を投入する後辺部e2を残して熱融着で閉じ(所謂ヒートシールし)、未だ開いている後辺部e2から食品F’を袋本体9内に投入し、その後に後辺部e2もヒートシールしたものである。
【0005】
袋本体9にはその後辺部e2とそれに対向する前辺部e1との間の前辺部e1寄りの部位に電子レンジ加熱時の上昇内圧で開封される圧抜き部Pを設けてある。圧抜き部Pは周辺部eを食品投入のための後辺部e2を残してヒートシールするとき、周辺部eの一部e’を合わせ立ち上げてヒートシールするとともに、そこに形成したものである。
【0006】
袋本体9は食品F’の密封収容域90を有しており、密封収容域90を提供している密封収容域90を囲む閉じ縁ライン91は、直線状の前縁ライン部分911、それに対向する直線状の後縁ライン部分912、それらの間に並行に延びる直線状の両側縁ライン部分913からなっている。
【0007】
袋本体への食品F’投入後に後辺部e2がヒートシールされることで形成される後縁ライン部分912は各側縁ライン部分913と直角をなしている。
このような電子レンジ加熱物収容袋は、例えば特開平10-72070号公報及び特開平11-130159号公報に記載されている。
【0008】
なお、袋本体9はその外輪郭ライン92と前記密封収容域90を囲む閉じ縁ライン91の間でヒートシールされて周辺部eを提供する。外輪郭ライン92は図示例では、前側の直線状の輪郭ライン部分921と、後ろ側の直線状の輪郭ライン部分922と、前側輪郭ライン部分921と後ろ側輪郭ライン部分922の間の直線状の両側輪郭ライン部分923と、前側輪郭ライン部分921と両側輪郭ライン部分923とをつなぐ円弧状の第1中間輪郭ライン部分924と、後ろ側輪郭ライン部分922と両側輪郭ライン部分923とをつなぐ円弧状の第2中間輪郭ライン部分925とからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10-72070号公報
【特許文献2】特開平11-130159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図4に示す袋本体9への食品F’投入後に後辺部e2がヒートシールされることで形成される後縁ライン部分912は各側縁ライン部分913と直角をなしている。
【0011】
また、図4に示す袋本体9を採用する電子レンジ加熱物収容袋Bを電子レンジ加熱するときには、圧抜き部Pから内容物(被加熱物)がこぼれ出ないように、袋本体9の前辺部e1を後辺部e2より高い位置に配置するのが一般的である。
【0012】
そうすると、食品投入後に後辺部e2がヒートシールされることで形成される後縁ライン部分912と各側縁ライン部分913とが直角をなす尖った個所の内側に被加熱物が入り込んだ状態となる。
【0013】
前記尖った個所の内側にある被加熱物が電子レンジ加熱されるとき、該尖った個所及びその内側にある被加熱物がそうでない個所及びその内側の被加熱物と比べて集中的に高温に加熱される傾向がある。これは、袋本体の該尖った個所の表面積の大きさの割りにはその内側にある被加熱物の量が少量であるからではないかと考えられる。
【0014】
このような現象は尖塔効果として知られているが、例えば電子レンジの出力、被加熱物の種類、被加熱物の加熱時間等が誤って過度のものになるような場合、袋本体のそのように尖った個所が溶融して被加熱物が流出する恐れがある。
【0015】
本発明は、電子レンジ加熱対象物を袋本体に密封収容した電子レンジ加熱物収容袋であり、前記袋本体はマイクロ波透過可能な、前記電子レンジ加熱対象物の電子レンジ加熱時の昇温に耐え得る耐熱性を有するフィルムで形成されており、且つ、外輪郭ラインと前記電子レンジ加熱対象物の密封収容域を囲む閉じ縁ラインの間でヒートシールされて扁平状に形成されており、前記電子レンジ加熱対象物の密封収容域を囲む閉じ縁ラインは順次連続して前記密封収容域を囲む複数の縁ライン部分からなり、前記複数の縁ライン部分には前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分が含まれている電子レンジ加熱物収容袋であって、前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じられる前記後閉じ縁ライン部分が簡単に精度よく閉じられるとともに電子レンジ加熱時に集中加熱される尖塔効果をもたらさないように隣り合う縁ライン部分に連続しており、それだけ袋本体の電子レンジ加熱時の溶融損傷のおそれを低減できる電子レンジ加熱物収容袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は前記課題を解決するため、
電子レンジ加熱対象物を袋本体に密封収容した電子レンジ加熱物収容袋であり、前記袋本体はマイクロ波透過可能な、前記電子レンジ加熱対象物の電子レンジ加熱時の昇温に耐え得る耐熱性を有するフィルムで形成されており、且つ、外輪郭ラインと前記電子レンジ加熱対象物の密封収容域を囲む閉じ縁ラインの間でヒートシールされて扁平状に形成されており、前記電子レンジ加熱対象物の密封収容域を囲む閉じ縁ラインは順次連続して前記密封収容域を囲む複数の縁ライン部分からなり、前記複数の縁ライン部分には前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分が含まれており、前記後閉じ縁ライン部分は直線状の縁ライン部分であり、隣り合う縁ライン部分に前記密封収容域側から見て鈍角をなして連続している電子レンジ加熱物収容袋を提供する。
【0017】
なお、本発明において、連続する隣り合う縁ライン部分がなす角度とは、(1)隣り合う縁ライン部分の双方が直線状縁ライン部分であるときは、それらライン部分がなす角度であり、(2)隣り合う縁ライン部分のうち一方が直線状縁ライン部分で、他方が円弧状縁ライン部分であるときは、それら両者の連続点における該円弧状縁ライン部分の接線と該一方の直線状縁ライン部分とがなす角度であり、(3)隣り合う縁ライン部分のうち双方が円弧状縁ライン部分であるときは、それら両者の連続点における各円弧状縁ライン部分の接線が互いになす角度である。また、本発明において「鈍角」とは90度より大きく、360度未満の角度である。但し、前記(1)のように隣り合う縁ライン部分の双方が直線状縁ライン部分であって、それらライン部分がなす角度が「鈍角」と言う場合、該「鈍角」には180度は含まれないことにする。隣り合う縁ライン部分の双方が直線状縁ライン部分であって、それらラインがなす角度が180度の場合、それら直線状縁ライン部分は連続する1本の直線状縁ライン部分に帰するからである。
【0018】
本発明に係る電子レンジ加熱物収容袋によると、前記袋本体の前記電子レンジ加熱対象物の密封収容域を囲む閉じ縁ラインは順次連続して前記密封収容域を囲む複数の縁ライン部分からなっている。
【0019】
前記複数の縁ライン部分には前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分が含まれており、前記後閉じ縁ライン部分は直線状の縁ライン部分である。従って直線状の後閉じ縁ライン部分を前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じる処理は、最終的に閉じるべき縁ライン部分として例えば円弧状の縁ライン部分が含まれているような縁ライン部分が採用されているような場合とくらべると、簡単、容易に精度よく閉じることができる。
【0020】
また、前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じられる前記直線状の後閉じ縁ライン部分は、各隣り合う縁ライン部分に前記密封収容域側から見て鈍角をなして連続している。すなわち、前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じられる直線状の後閉じ縁ライン部分は、電子レンジ加熱時に集中加熱される尖塔効果をもたらさないように隣り合う縁ライン部分に連続しており、それだけ袋本体の電子レンジ加熱時の溶融損傷のおそれを低減できる。
【0021】
前記袋本体の代表例として扁平四角形状の袋本体を挙げることができる。
前記袋本体が扁平四角形状の袋本体である場合、次の例を挙げることができる。
すなわち、前記密封収容域を囲む複数の縁ライン部分には前縁ライン部分と、前記前縁ライン部分とは反対側の直線状の後縁ライン部分と、前記前縁ライン部分及び後縁ライン部分の間の直線状の両側縁ライン部分が含まれており、前記前縁ライン部分と前記後縁ライン部分の間の部位に前記電子レンジ加熱対象物の電子レンジ加熱時の袋本体内上昇圧により開封されて袋本体内圧を逃がす圧抜き部が形成されており、前記後縁ライン部分と前記各側縁ライン部分とが直線状の中間縁ライン部分を介して連続しており、前記後縁ライン部分が前記後閉じ縁ライン部分であり、前記密封収容域側から見て、前記各中間縁ライン部分と前記各側縁ライン部分とがなす角度及び前記各中間縁ライン部分と前記後縁ライン部分とがなす角度のそれぞれは180度未満の鈍角である袋本体である。
【0022】
いずれにしても、本発明に係る電子レンジ加熱物収容袋は、前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じられる前記直線状の後閉じ縁ライン部分が隣り合う縁ライン部分に前記密封収容域側から見て鈍角をなして連続しているだけでなく、前記密封収容域を囲む閉じ縁ラインを提供している全ての縁ライン部分のそれぞれが隣り合う縁ライン部分に前記密封収容域側から見て鈍角をなして連続していてもよい。
【0023】
そこで前記の扁平四角形状の袋本体の場合、前記前縁ライン部分が直線状の縁ライン部分であり、前記前縁ライン部分は前記各側縁ライン部分と円弧状の縁ライン部分を介して連続しており、前記密封収容域側から見て、前記前縁ライン部分と前記各円弧状縁ライン部分とがなす角度及び前記各側縁ライン部分と前記円弧状縁ライン部分とがなす角度のそれぞれは鈍角であってもよい。
【0024】
また、前記前縁ライン部分と前記各側縁ライン部分とをつなぐ前記各円弧状の縁ライン部分は、前記密封収容域側から見て、隣り合うもの同士が鈍角をなして連続する複数の円弧状の分割縁ライン部分からなっていてもよい。
【0025】
いずれにしても、前記袋本体の外輪郭の代表例として次の例を挙げることができる。
すなわち、前記袋本体は扁平四角形状の袋本体であり、前記袋本体の外輪郭ラインは複数の輪郭ライン部分からなり、前記複数の輪郭ライン部分には前側の直線状の輪郭ライン部分と、後ろ側の直線状の輪郭ライン部分と、前記前側輪郭ライン部分と前記後ろ側輪郭ライン部分の間の直線状の両側輪郭ライン部分と、前記前側輪郭ライン部分と前記両側輪郭ライン部分とをつなぐ第1中間輪郭ライン部分と、前記後ろ側輪郭ライン部分と前記両側輪郭ライン部分とをつなぐ第2中間輪郭ライン部分とが含まれており、前記前側輪郭ライン部分と前記各第1中間輪郭ライン部分、前記後ろ側輪郭ライン部分と前記各第2中間輪郭ライン部分、前記両側輪郭ライン部分と前記第1及び第2の中間輪郭ライン部分はそれぞれ前記密封収容域側から見て互いに鈍角をなして連続している場合である。
【0026】
また、いずれにしても、前記電子レンジ加熱対象物として、電子レンジ加熱可能な食品(例えばカレー)を挙げることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によると、電子レンジ加熱対象物を袋本体に密封収容した電子レンジ加熱物収容袋であり、前記袋本体はマイクロ波透過可能な、前記電子レンジ加熱対象物の電子レンジ加熱時の昇温に耐え得る耐熱性を有するフィルムで形成されており、且つ、外輪郭ラインと前記電子レンジ加熱対象物の密封収容域を囲む閉じ縁ラインの間でヒートシールされて扁平状に形成されており、前記電子レンジ加熱対象物の密封収容域を囲む閉じ縁ラインは順次連続して前記密封収容域を囲む複数の縁ライン部分からなり、前記複数の縁ライン部分には前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分が含まれている電子レンジ加熱物収容袋であって、前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じられる前記後閉じ縁ライン部分が簡単に精度よく閉じられるとともに電子レンジ加熱時に集中加熱される尖塔効果をもたらさないように隣り合う縁ライン部分に連続しており、それだけ袋本体の電子レンジ加熱時の溶融損傷のおそれを低減できる電子レンジ加熱物収容袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る電子レンジ加熱物収容袋の1例の平面図である。
【図2】図1の電子レンジ加熱物収容袋を図1において下方から見た底面図である。
【図3】後閉じ縁ライン部分とそれに隣り合う縁ライン部分がなす角度の他の例を示している。
【図4】図(A)は電子レンジ加熱食品収容袋の従来例の平面図であり、図(B)は図(A)の袋を図(A)の右側から見て示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明に係る電子レンジ加熱物収容袋の例について説明する。
図1は本発明に係る電子レンジ加熱物収容袋の1例の平面図であり、図2は図1の電子レンジ加熱物収容袋を図1において下方から見た底面図である。
【0030】
図示の電子レンジ加熱物収容袋Aは、電子レンジ加熱対象物(被加熱物)Fを袋本体1に密封収容した電子レンジ加熱物収容袋である。
それとは限定されないが、本例では、(被加熱物)Fは流動性を示すカレー等の食品のうちいずれかのものである。
【0031】
袋本体1はマイクロ波透過可能な、食品Fの電子レンジ加熱時の昇温に耐え得る耐熱性を有するフィルムfを重ねて形成されており、且つ、外輪郭ライン11と食品Fの密封収容域10を囲む閉じ縁ライン12の間の周辺部100でヒートシールされて四角形状に扁平状に形成されている。
【0032】
食品Fの密封収容域10を囲む閉じ縁ライン12は順次連続して密封収容域10を囲む複数の縁ライン部分からなっている。前記複数の縁ライン部分には、直線状の前縁ライン部分121と、前縁ライン部分121とは反対側の、前縁ライン部分121と平行な直線状の後縁ライン部分122と、前縁及び後縁のライン部分121,122の間の直線状の互いに平行な両側縁ライン部分123が含まれている。前縁及び後縁のライン部分121,122の方向は側縁ライン部分123に直角な方向である。
【0033】
前縁ライン部分121と後縁ライン部分122の間の前縁ライン部分寄りの部位に食品Fの電子レンジ加熱時の袋本体内上昇圧により開封されて袋本体内圧を逃がす圧抜き部13が形成されている。
【0034】
さらに説明すると、圧抜き部13は、図1に示すように、袋本体1を構成している重ねられたフィルムfの前縁ライン部分121に近い部位を円形にヒートシール131し、該ヒートシール部分131の中央部に透孔132を形成したものである。ヒートシール部分131は電子レンジ加熱時の袋本体内気圧上昇で、袋が破裂しない安全圧力範囲内でフィルムf間を剥がして袋内を孔132へ連通させることができる、周辺部100より弱い弱シール部である。
【0035】
前縁ライン部分121は円弧状の縁ライン部分124を介して各側縁ライン部分123に連続している。前縁ライン部分121と各円弧状縁ライン部分124とがなす角度θ1及び各側縁ライン部分123と円弧状縁ライン部分124とがなす角度θ2のそれぞれは、密封収容域10側から見て鈍角である。
【0036】
各円弧状縁ライン部分124は密封収容域10側から見て、隣り合うもの同士が鈍角θ5をなして連続する二つの円弧状の分割縁ライン部分1241、1242からなっている。
【0037】
後縁ライン部分122と各側縁ライン部分123とは直線状の中間縁ライン部分125を介して連続している。後縁ライン部分122は食品Fの袋本体1内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分であり、閉じられた状態では、密封収容域10側から見て、後縁ライン部分122と各中間縁ライン部分125とがなす角度θ3は180度より小さい鈍角である。各側縁ライン部分123と中間縁ライン部分125とがなす角度θ4も180度より小さい鈍角である。
なお、中間縁ライン部分125も食品Fの袋本体1内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分としてもよい。
【0038】
袋本体1の外輪郭ライン11は複数の輪郭ライン部分からなっている。
この複数の輪郭ライン部分には前側の直線状の輪郭ライン部分111と、後ろ側の直線状の輪郭ライン部分112と、それら両輪郭ライン部分の間の直線状の両側輪郭ライン部分113と、輪郭ライン部分111,113をつなぐ第1中間輪郭ライン部分114と、輪郭ライン部分112,113をつなぐ第2中間輪郭ライン部分115とが含まれている。
【0039】
前側輪郭ライン部分111と各第1中間輪郭ライン部分114、後ろ側輪郭ライン部分112と各第2中間輪郭ライン部分115、両側輪郭ライン部分113と第1及び第2の中間輪郭ライン部分114,115はそれぞれ密封収容域10側から見て互いに鈍角をなして連続している。
【0040】
以上説明した電子レンジ加熱物収容袋Aは、食品Fを袋本体1内に投入した後にヒートシール処理で閉じられる後閉じ縁ライン部分である後縁ライン部分122は直線状の縁ライン部分であるから、最終的に閉じるべき縁ライン部分として例えば円弧状の縁ライン部分が含まれているような縁ライン部分が採用されているような場合とくらべると、簡単、容易に精度よく閉じることができる。
【0041】
電子レンジ加熱物収容袋Aはそのまま電子レンジ内に配置して電子レンジ加熱できる。
加熱にあたっては、袋本体内圧の上昇により圧抜き部13が開封されたとき、そこから食品Fが漏れ出ないように、圧抜き部13が袋本体1の後縁ライン部分122、さらには中間縁ライン部分125より高所に位置するように電子レンジ内に配置することができる。
【0042】
そのような配置姿勢では、食品Fが後縁ライン部分122及び中間縁ライン部分125側へ移動してきてそこで加熱されやすくなるが、食品Fの袋本体内投入後に閉じられる後縁ライン部分122は、隣り合う中間縁ライン部分125に、食品密封収容域10側から見て鈍角θ3をなして連続している。各中間縁ライン部分125も側縁ライン部分123に鈍角θ4をなして連続している。
【0043】
すなわち、食品Fの袋本体1内投入後に閉じられる直線状の後縁ライン部分122は、電子レンジ加熱時に集中加熱される尖塔効果をもたらさないように隣り合う中間縁ライン部分125に連続しており、さらに各中間縁ライン部分125も尖塔効果をもたらさないように隣り合う側縁ライン部分123へ連続している。したがって、それだけ袋本体1の電子レンジ加熱時の溶融損傷のおそれを低減できる。
また、後縁ライン部分122は直線状の縁ライン部分であるから、ヒートシール閉じするときに少しぐらいヒートシール位置がずれても前記角度θ3を鈍角に設定でき、この点でも簡単、容易に閉じることができる。
【0044】
袋本体1の後端(下端)から中間縁ライン部分125と側縁ライン部分123の連続点までの高さhと、袋本体1の側端から中間縁ライン部分125と後縁ライン部分122の連続点までの幅wとを変化させることで前記角度θ3、θ4を変化させ、袋本体1の溶融発生の有無を調べた結果を以下に示す。比較例として、中間縁ライン部分125を採用せず、図4の従来例と同様に後縁ライン部分を直角に側縁ライン部分へ交差させた袋本体を採用した電子レンジ加熱物収容袋についても調べた。
【0045】
いずれについても、袋本体1を形成するフィルムfとして、延伸処理が施されていないキャスティングポリプロピレン(CPP)フィルム層(厚さ50μm)を食品Fに接触する内側フィルム層として採用し、それに補強フィルム層として、厚さ15μmの、2軸延伸処理されたポリアミド(ONY)フィルム層をイソシアネート系接着剤層で積層接着し、その上に厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム層をイソシアネート系接着剤層で積層接着した積層フィルムを採用した。
【0046】
袋本体1の全高Hは165mm、全幅Wは134mmであり、周辺部100のヒートシール幅は袋本体角部分では大きくなっているが、それ以外では6mm程度とした。
食品Fはカレーであり、約200g収容した。
電子レンジは出力600ワットのものを用い、加熱時間は本来求められる加熱時間より長い2分とした。
【0047】
袋本体底部溶融調査試験結果
試験1 試験2 試験3 比較試験
h 40mm 20mm 20mm
w 20mm 20mm 40mm
試験個数 200 200 200 200
底部溶融個数 0 0 0 4
発生率 0% 0% 0% 2%
【0048】
上記調査結果から、前記角度θ3を、或いはさらに角度θ4を鈍角に設定することで袋本体1の溶融損傷を防止できることがわかる。
【0049】
なお、直線状の後縁ライン部分(後閉じライン部分)とそれに隣り合う縁ライン部分がなす角度は図1に示すような180度より小さい鈍角である必要はなく、180度より大きい鈍角であってもよい。図3はそのような例を示している。
【0050】
図3は、直線状の後縁ライン部分(後閉じライン部分)122の左右に隣り合う各縁ライン部分125’が側縁ライン部分123に鈍角θ6で連続してライン部分122へ立ち上がるように弧を描いて延びる縁ライン部分であり、ライン部分122とライン部分125’が180度より大きい鈍角θ7をなして続いている例を示している。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は電子レンジ加熱対象物(被加熱物)の密封収容域を囲む閉じ縁ラインを形成する複数の縁ライン部分のうち被加熱物の袋本体内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分が簡単に精度よく閉じられることができるとともに電子レンジ加熱時に集中加熱される尖塔効果をもたらさないように隣り合う縁ライン部分に連続している電子レンジ加熱物収容袋を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0052】
A 電子レンジ加熱物収容袋
F 電子レンジ加熱対象物(被加熱物)
1 袋本体
f フィルム
10 電子レンジ加熱対象物(被加熱物)の密封収容域
11 外輪郭ライン
12 閉じ縁ライン
121 前縁ライン部分
122 後縁ライン部分(後閉じライン部分)
123 側縁ライン部分
124 円弧状ライン部分
1241、1242 分割円弧状ライン部分
125 中間縁ライン部分
125’ 縁ライン部分
13 圧抜き縁
111 前側輪郭ライン部分
112 後ろ側輪郭ライン部分
113 側輪郭ライン部分
114 第1中間輪郭ライン部分
115 第2中間輪郭ライン部分
θ1 前縁ライン部分121と円弧状縁ライン部分124がなす角度
θ2 側縁ライン部分123と円弧状縁ライン部分124がなす角度
θ3 後縁ライン部分122と中間縁ライン部分125がなす角度
θ4 側縁ライン部分123と中間縁ライン部分125がなす角度
θ5 分割円弧状縁ライン部分1241、1242がなす角度
θ6 側縁ライン部分123と縁ライン部分125’がなす角度
θ7 縁ライン部分125’と後縁ライン部分(後閉じライン部分)122がなす角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ加熱対象物を袋本体に密封収容した電子レンジ加熱物収容袋であり、前記袋本体はマイクロ波透過可能な、前記電子レンジ加熱対象物の電子レンジ加熱時の昇温に耐え得る耐熱性を有するフィルムで形成されており、且つ、外輪郭ラインと前記電子レンジ加熱対象物の密封収容域を囲む閉じ縁ラインの間でヒートシールされて扁平状に形成されており、前記電子レンジ加熱対象物の密封収容域を囲む閉じ縁ラインは順次連続して前記密封収容域を囲む複数の縁ライン部分からなり、前記複数の縁ライン部分には前記電子レンジ加熱対象物の袋本体内投入後に閉じられる後閉じ縁ライン部分が含まれており、前記後閉じ縁ライン部分は直線状の縁ライン部分であり、隣り合う縁ライン部分に前記密封収容域側から見て鈍角をなして連続していることを特徴とする電子レンジ加熱物収容袋。
【請求項2】
前記袋本体は扁平四角形状の袋本体であり、前記密封収容域を囲む複数の縁ライン部分には前縁ライン部分と、前記前縁ライン部分とは反対側の直線状の後縁ライン部分と、前記前縁ライン部分及び後縁ライン部分の間の直線状の両側縁ライン部分が含まれており、前記前縁ライン部分と前記後縁ライン部分の間の部位に前記電子レンジ加熱対象物の電子レンジ加熱時の袋本体内上昇圧により開封されて袋本体内圧を逃がす圧抜き部が形成されており、前記後縁ライン部分と前記各側縁ライン部分とが直線状の中間縁ライン部分を介して連続しており、前記後縁ライン部分が前記後閉じ縁ライン部分であり、前記密封収容域側から見て、前記各中間縁ライン部分と前記各側縁ライン部分とがなす角度及び前記各中間縁ライン部分と前記後縁ライン部分とがなす角度のそれぞれは180度未満の鈍角である請求項1記載の電子レンジ加熱物収容袋。
【請求項3】
前記前縁ライン部分は直線状の縁ライン部分であり、前記前縁ライン部分は前記各側縁ライン部分と円弧状の縁ライン部分を介して連続しており、前記密封収容域側から見て、前記前縁ライン部分と前記各円弧状縁ライン部分とがなす角度及び前記各側縁ライン部分と前記円弧状縁ライン部分とがなす角度のそれぞれは鈍角である請求項2記載の電子レンジ加熱物収容袋。
【請求項4】
前記前縁ライン部分と前記各側縁ライン部分とをつなぐ前記各円弧状の縁ライン部分は、前記密封収容域側から見て、隣り合うもの同士が鈍角をなして連続する複数の円弧状の分割縁ライン部分からなっている請求項3記載の電子レンジ加熱物収容袋。
【請求項5】
前記袋本体は扁平四角形状の袋本体であり、前記袋本体の外輪郭ラインは複数の輪郭ライン部分からなり、前記複数の輪郭ライン部分には前側の直線状の輪郭ライン部分と、後ろ側の直線状の輪郭ライン部分と、前記前側輪郭ライン部分と前記後ろ側輪郭ライン部分の間の直線状の両側輪郭ライン部分と、前記前側輪郭ライン部分と前記両側輪郭ライン部分とをつなぐ第1中間輪郭ライン部分と、前記後ろ側輪郭ライン部分と前記両側輪郭ライン部分とをつなぐ第2中間輪郭ライン部分とが含まれており、前記前側輪郭ライン部分と前記各第1中間輪郭ライン部分、前記後ろ側輪郭ライン部分と前記各第2中間輪郭ライン部分、前記両側輪郭ライン部分と前記第1及び第2の中間輪郭ライン部分はそれぞれ前記密封収容域側から見て互いに鈍角をなして連続している請求項1から4のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱物収容袋。
【請求項6】
前記電子レンジ加熱対象物は電子レンジ加熱対象食品である請求項1から5いずれか1項に記載の電子レンジ加熱物収容袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−246055(P2012−246055A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215778(P2011−215778)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000206945)大塚食品株式会社 (17)
【Fターム(参考)】