説明

電子レンジ加熱調理用具

【課題】被加熱物である細長い食品の表面全体を高温で加熱して、且つ、食品の中心部も加熱して、調理できる電子レンジ加熱調理用具を提供する。
【解決手段】マイクロ波の照射により発熱する発熱体をそれぞれ積層してなる第1シートと第2シートとが、前記発熱体を対向して配置されるように、端部で屈曲可能に連結してなり、かつ少なくとも一方のシートに山折部と谷折部からなる蛇腹状凹凸部を形成する。 また、蛇腹状凹凸部は、山折部と谷折部とを交互に配列し、断面が略三角形状にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ加熱調理用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マイクロ波を吸収して発熱するシート状の発熱体は、開発された当初は電子レンジでのポップコーンの発泡調理などに利用され、その後も、各種食品の加熱調理に利用されてきた。例えば、シート状の発熱体に千鳥状に破線状の切れ目を設け、これを筒状にして、冷凍の魚をこれに入れて、電子レンジで加熱して、魚に発熱体による焼き目を付けて、解凍調理するものがあった。
【0003】
また、紙製容器の底面に発熱体が取り付けられた電子レンジ加熱調理用具があり、その内部に焼きおにぎりやお好み焼き、ピザなどの被加熱物を収容し、これを電子レンジにて加熱すると、電子レンジから照射されたマイクロ波により、発熱体の金属薄膜層で渦電流が発生し、そのジュール熱によって発熱体が発熱し、この発熱によって被加熱物に焦げ目が付き、出来立てのようなクリスピーな食感を付与することができる電子レンジ加熱調理用具がある(特許文献1)。
【0004】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−289692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子レンジ加熱調理用具としては、上記の様に容器の底部に発熱体を設置したものがあったが、この容器を用いて、衣を付けた生のエビフライあるいは冷凍のエビフライなどのような細長い食品を電子レンジで調理しようとすると、容器の底面に接したフライの部分及びその周りは、こんがりと揚がるが、上の面は、生の色のままになってしまい、フライとならない。
【0007】
本発明は、上記欠点を解決するもので、被加熱物である細長い食品の表面全体を高温で加熱して、且つ、食品の中心部も加熱して、調理できる電子レンジ加熱調理用具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、マイクロ波の照射により発熱する発熱体をそれぞれ積層してなる第1シートと第2シートとが、前記発熱体を対向して配置されるように、端部で屈曲可能に連結してなり、かつ少なくとも一方のシートに山折部と谷折部からなる蛇腹状凹凸部を形成してなることを特徴とする電子レンジ加熱調理用具である。
【0009】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、以上のような構成であって、発熱体を積層してなる第1シートと第2シートとを発熱体が対向して連結してしていて、山折部と谷折部からなる蛇腹状凹凸部を形成しているので、被加熱物である細長い食品を被加熱物収納部に収納しやすく、収納して電子レンジで加熱調理することによって、発熱体が食品の表面全体
を100℃以上の高温で加熱して、焼き色などを付けることができ、且つ、電子レンジのマイクロ波によって、食品の中心部までも加熱して調理できる。
【0010】
本発明の請求項2の発明は、前記第1シート及び前記第2シートに山折部と谷折部からなる蛇腹状凹凸部を形成し、前記第1シート及び前記第2シートの発熱体面を重ね合わせたとき、両シートの山折部どうしと谷折部どうしがほぼ重なることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱調理用具である。
【0011】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、更に、第1シート及び第2シートに山折部と谷折部からなる蛇腹状凹凸部を形成し、第1シート及び第2シートの発熱体面を重ね合わせたとき、第1シートと第2シートのそれぞれの山折部どうし、谷折部どうしがほぼ重なる位置にあるので、第1シートと第2シートの発熱体によって、効率よく、100℃以上の高温で被加熱物である細長い食品を加熱することができ、食品の表面に焼き色などを付けることができる。
【0012】
本発明の請求項3の発明は、前記蛇腹状凹凸部は、山折部と谷折部とを交互に配列し、断面が略三角形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子レンジ加熱調理用具である。
【0013】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、更に、前記蛇腹状凹凸部が、山折部と谷折部とを交互に配列した断面が略三角形状であるので、谷折部を挟んだ2つの面の発熱体が、被加熱物である細長い食品に必ず接するようになり、発熱体に接した近傍を含め100℃以上の高温で食品を加熱することができ、食品の表面に焼き色などを付けることができる。
【0014】
本発明の請求項4の発明は、前記蛇腹状凹凸部は電子レンジ加熱調理用具が平面に配置されるとき、下側になるシートに形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具である。
【0015】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、蛇腹状凹凸部が下側になるシートに形成されているので、下側になるシートの谷折部を挟んだ2つの面の発熱体が、被加熱物である細長い食品に必ず接するようになる。
【0016】
本発明の請求項5の発明は、前記蛇腹状凹凸部には、前記谷折部のシート端部より内側を起点とし、シート端部に延びる端部山折部と、前記山折部のシート端部に延びる端部谷折部から形成された山形の側壁部を端部に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具である。
【0017】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、上記構成により、山形の側壁部を端部に有するので、側面から熱が逃げずに効率よく、加熱調理することができる。また、側壁部が下側になるシートに形成されていれば、加熱調理によって、被加熱物である食品から油や液汁が出ても、電子レンジ加熱調理用具の外へ流れ出すことがない。
【0018】
本発明の請求項6の発明は、前記発熱体が前記第1シート、前記第2シートの各端部より内側にあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具である。
【0019】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、発熱体が第1シート、第2シートの各端部より内側にあるので、第1シートと第2シートの発熱体どうしが直接接触する部分を減らすことができ、過剰に温度が上がってしまうことが避けられる。
【0020】
本発明の請求項7の発明は、前記第1シートと前記第2シートとを部分的に連結する連結部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具である。
【0021】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、第1シートと第2シートとを部分的に連結する連結部が形成されているので、容易に屈曲することができ、第1シート及び第2シートの発熱体面を対向させることができる。
【0022】
本発明の請求項8の発明は、前記連結部と反対側の前記第1シートの端部及び前記第2シートの端部に、相互に係止する係止部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具である。
【0023】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、上記構成からなり、連結部と反対側の第1シートの端部及び第2シートの端部に、相互に係止する係止部が形成されているので、
係合部で係合することができ、第1シートと第2シートを固定して、電子レンジで加熱調理するときに、第1シートと第2シートが外れてしまうことがない。
【0024】
本発明の請求項9の発明は、前記蛇腹状凹凸部を有するシートの前記山折部の頂部及び/又は前記谷折部の底部に折り目方向の、スリット、切り込み、ミシン目、或いはハーフカット線のいずれかを形成してなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具である。
【0025】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、山折部や谷折部に折り目方向の、スリット、切り込み、ミシン目、或いはハーフカット線のいずれかを形成してあるので、折り曲げやすい。
【0026】
本発明の請求項10の発明は、少なくとも一方のシートに発熱体を含む蛇腹状凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱調理用具である。
【0027】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、シートに発熱体を含む蛇腹状凹凸部を積層する構成としたので、シート自体の構造が固定され、扱いやすくなる。
【0028】
本発明の請求項11の発明は、前記蛇腹状凹凸部の谷折部に被加熱物を、折り目方向に載置してなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の電子レンジ加熱調理用具は、被加熱物である細長い食品を被加熱物収納部に収納しやすく、収納して電子レンジで加熱調理することによって、発熱体が食品の表面全体を100℃以上の高温で加熱して、焼き色などを付けることができ、且つ、電子レンジのマイクロ波によって、食品の中心部までも加熱して調理できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態1の展開図である。
【図2】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態1の開いた状態を説明する斜視図である。
【図3】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態1の斜視図である。
【図4】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態2の展開図である。
【図5】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態2の開いた状態を説明する斜視図である。
【図6】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態2の斜視図である。
【図7】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態3の展開図である。
【図8】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態3の開いた状態を説明する斜視図である。
【図9】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態3の斜視図である。
【図10】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態4の展開図である。
【図11】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態4の開いた状態を説明する斜視図である。
【図12】本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態4の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
本発明の電子レンジ加熱調理用具に使用するシートの材料は、マイクロ波を反射せず、あまり吸収もせず、ほとんど透過する材料が好ましい。その様な材料としては、剛性を有する紙や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンや、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの樹脂が挙げられる。
【0032】
シートの材料として紙を用いる場合は、紙基材単体又は他の紙層を接着性樹脂層を介して積層、或いは耐油性を付与するために紙基材の片面に耐油性層を積層した積層材料、紙基材に耐油剤を内添した材料を順次積層した積層材料などが使用できる。
【0033】
使用する紙としては、坪量200〜500g/mのバージン紙、カード紙、カップ原紙、コートボール紙などの板紙が使用できる。紙基材に積層する他の紙層としては、晒しクラフト紙、上質紙などが使用でき、接着性樹脂層としては、低密度ポリエチレン樹脂を使用しても良い。
【0034】
積層する耐油性層にはポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂が好ましく用いることが出来、その厚さは適宜選定できるが、通常15〜30μmである。また、耐油剤としてはフッ素系耐油剤が使用できる。
【0035】
具体的使用する紙としては、バージン紙は、北越製紙株式会社のNEWタフアイボリー(登録商標)や、富士製紙株式会社のSIEなど、カード紙は、三菱製紙株式会社のパールカード(登録商標)(坪量260〜450g/m)など、カップ原紙は、王子特殊紙のJFカップ原紙(坪量200〜450g/m)など、コートボール紙は、王子製紙株式会社のサンコート(登録商標)(坪量200〜450g/m)などがあげられる。また、フッ素系耐油剤としては、旭硝子株式会社のアサヒガード(登録商標)E60などが使用できる。
【0036】
マイクロ波を吸収し発熱する発熱体は、シートと一体として設けても良いし、別にシート状に構成した発熱体をシートに貼着して設けても良い。発熱体は、マイクロ波を照射することによって、少なくとも摂氏100度以上の温度に発熱する必要がある。摂氏170度以上、250度以下の発熱温度があることが好ましい。
【0037】
その様なものとしては、金属薄膜層がある。金属薄膜層にマイクロ波を照射すると渦電流が発生し、この渦電流によりジュール熱が発生して発熱する。ジュール熱は抵抗に比例するので、金属薄膜層の厚さを充分薄くすれば電気抵抗が大きくなり、高い温度が得られる。
【0038】
その例としては、耐熱プラスチックフィルムに金属を蒸着し、金属薄膜層を設けたものがある。その金属としては、アルミニウムやニッケル、金、銀、亜鉛、白金などが使用で
きる。金属薄膜層の厚さとしては、2から10nm程度の厚さが好適に用いられる。
【0039】
耐熱プラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルイミドなどが使用できる。これらの耐熱プラスチックの5から25μm程度のフィルムが用いられる。未延伸でも良いが、二軸延伸フィルムを用いたほうが耐熱性が高く好ましい。また、耐熱プラスチックフィルムに蒸着した金属薄膜層の面に紙層あるいは耐熱性のある発泡樹脂層などを設けても良い。
【0040】
図1は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態1の展開図、図2は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態1の開いた状態を説明する斜視図、図3は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態1の斜視図である。
【0041】
本実施形態1の電子レンジ加熱調理用具100は、図1に示すように、第1シート1と第2シート2を有し、第1シート1と第2シート2は接合部3で接続している。本実施形態1では、抜き部に挟まれた狭い接合部3として曲げやすくしてあるが、これに限らず単に押し罫による折罫としても良い。
【0042】
第1シート1は略平面状であるが、第2シート2には複数の折罫が接合部3と平行に並んでおり、山折部yと谷折部tを繰り返すことによって、蛇腹状凹凸部を形成するようになっている。また、谷折部tにする折罫には、図のような、細長く中央に膨らみを設けたスリットが設けられて折りやすくしてある。尚、スリットの代わりに切り込みを設けても良い。
【0043】
また、第2シート2に第1シート1をかぶせたときに対向する面側(図1の裏面)には、第1シート1と第2シート2のそれぞれに、マイクロ波の照射により発熱する発熱体4a、4bが設けられている。
【0044】
図2は、本実施形態1の開いた状態を説明する斜視図である。第1シートは略平面状であるが、第2シート2には、(電子レンジ加熱調理用具100を上から見て)谷折部tが形成されている。(図1は、電子レンジ加熱調理用具100の外側から見た展開図であるので谷折部と山折部が逆になる。)この谷折部tの両隣には、それぞれ並列に設けられた2つの山折部yによって、断面が三角形状である被加熱物収納部6が設けられている。
【0045】
接合部3を折り曲げて、第2シート2に第1シート1を重ねると図3のようになる。第1シート1と第2シート2には、接合部3の反対側の端部に、互いに係合し合う係合部5a、5bが設けられている。第2シート2に第1シート1を接合部3で折り返して、重ね合わせて、係合部5a、5bで係合して、第1シート1と第2シート2をしっかり固定することができる。
【0046】
上記構成によって、本実施形態1の電子レンジ加熱調理用具100は、被加熱物である細長い食品を容易に収納して、電子レンジで加熱調理することができ、食品の表面全体に焼き色などを付け、且つ、食品の中心部までも加熱して調理することができる。
【0047】
図4は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態2の展開図、図5は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態2の開いた状態を説明する斜視図、図6は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態2の斜視図である。
【0048】
本実施形態2の電子レンジ加熱調理用具200は、図4に示すように、第1シート1と第2シート2を有し、第1シート1と第2シート2は接合部3で接続している。本実施形態2では、切抜き部に挟まれた狭い接合部3として曲げやすくしてある。
【0049】
第1シート1と第2シート2には、複数の折罫が接合部3と平行に並んでおり、山折部yと谷折部tを繰り返すことによって、蛇腹状凹凸部を形成するようになっている。また、谷折部tにする折罫には、図のような、細長く中央に膨らみを設けたスリットが設けられて折りやすくしてある。尚、スリットの代わりに切り込みを設けても良い。
【0050】
また、第2シート2に第1シート1をかぶせたときに対向する面側(図4の裏面)には、第1シート1と第2シート2のそれぞれに、マイクロ波の照射により発熱する発熱体4a、4bが設けられている。
【0051】
図5は、本実施形態2の開いた状態を説明する斜視図である。第1シート1と第2シート2には、シートに(電子レンジ加熱調理用具200を上から見て)谷折部tが形成されている。(図1は、電子レンジ加熱調理用具200の外側から見た展開図であるので谷折部と山折部が逆になる。)この谷折部tの両隣には、それぞれ並列に設けられた2つの山折部yによって、断面が三角形状である被加熱物収納部6がそれぞれに設けられて、一体となって四角形の被加熱物収納部6を形成するようになっている。
【0052】
接合部3を折り曲げて、第2シート2に第1シート1を重ねると図6のようになる。第1シート1と第2シート2には、接合部3の反対側の端部に、互いに係合し合う係合部5a、5bが設けられている。第2シート2に第1シート1を接合部3で折り返して、重ね合わせて、係合部5a、5bで係合して、第1シート1と第2シート2をしっかり固定することができる。
【0053】
上記構成によって、本実施形態2の電子レンジ加熱調理用具200は、被加熱物である細長い食品を容易に収納して、電子レンジで加熱調理することができ、食品の表面全体に焼き色などを付け、且つ、食品の中心部までも加熱して調理することができる。
【0054】
図7は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態3の展開図、図8は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態3の開いた状態を説明する斜視図、図9は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態3の斜視図である。
【0055】
本実施形態3の電子レンジ加熱調理用具300は、図7に示すように、第1シート1と第2シート2を有し、第1シート1と第2シート2は接合部3で接続している。本実施形態3では、切抜き部に挟まれた狭い接合部3として曲げやすくしてある。
【0056】
第2シート2には、複数の折罫が接合部3と平行に並んでおり、山折部yと谷折部tを繰り返すことによって、蛇腹状凹凸部を形成するようになっている。また、谷折部tにする折罫には、図のような、細長く中央に膨らみを設けたスリットが設けられて折りやすくしてある。尚、スリットの代わりに切り込みを設けても良い。
【0057】
前記谷折部tの端部より、前記谷折部tの延長上のシートに端部山折部xが設けられ、谷折部tと端部山折部xの境界となる接点より、両隣の山折部yとシートの端縁との交点に向けて、端部谷折部sが設けられている。
【0058】
また、第2シート2に第1シート1をかぶせたときに対向する面側(図7の裏面)には、第1シート1と第2シート2のそれぞれに、マイクロ波の照射により発熱する発熱体4a、4bが設けられている。
【0059】
図8は、本実施形態3の開いた状態を説明する斜視図である。第2シート2には、シートに(電子レンジ加熱調理用具300を上から見て)谷折部tが形成されている。(図7
は、電子レンジ加熱調理用具300の外側から見た展開図であるので谷折部と山折部が逆になる。)この谷折部tの両隣には、それぞれ並列に設けられた2つの山折部yによって、断面が三角形状である被加熱物収納部6が設けられている。
【0060】
そして、端部山折部xを折り、端部谷折部sを折ることによって、側壁部が形成されて、加熱調理によって、被加熱物である食品から、油や液汁が出ても、電子レンジ加熱調理用具300の外へ流れ出すことがなく、また、側面から熱が逃げずに効率よく、加熱調理することができるようになっている。
【0061】
接合部3を折り曲げて、第2シート2に第1シート1を重ねると図9のようになる。第1シート1と第2シート2には、接合部3の反対側の端部に、互いに係合し合う係合部5a、5bが設けられている。第2シート2に第1シート1を接合部3で折り返して、重ね合わせて、係合部5a、5bで係合して、第1シート1と第2シート2をしっかり固定することができる。
【0062】
上記構成によって、本実施形態3の電子レンジ加熱調理用具300は、被加熱物である細長い食品を容易に収納して、電子レンジで加熱調理することができ、食品の表面全体に焼き色などを付け、且つ、食品の中心部までも加熱して調理することができる。
【0063】
図10は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態4の展開図、図11は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態4の開いた状態を説明する斜視図、図12は、本発明の電子レンジ加熱調理用具の実施形態4の斜視図である。
【0064】
本実施形態4の電子レンジ加熱調理用具400は、図7に示すように、第1シート1と第2シート2を有し、第1シート1と第2シート2は接合部3で接続している。本実施形態4では、切抜き部に挟まれた狭い接合部3として曲げやすくしてある。
【0065】
第1シート1と第2シート2には、複数の折罫が接合部3と平行に並んでおり、山折部yと谷折部tを繰り返すことによって、蛇腹状凹凸部を形成するようになっている。また、谷折部tにする折罫には、図のような、細長く中央に膨らみを設けたスリットが設けられて折りやすくしてある。尚、スリットの代わりに切り込みを設けても良い。
【0066】
前記谷折部tの端部より、前記谷折部tの延長上のシートに端部山折部xが設けられ、谷折部tと端部山折部xの境界となる接点より、両隣の山折部yとシートの端縁との交点に向けて、端部谷折部sが設けられている。
【0067】
また、第2シート2に第1シート1をかぶせたときに対向する面側(図10の裏面)には、第1シート1と第2シート2のそれぞれに、マイクロ波の照射により発熱する発熱体4a、4bが設けられている。
【0068】
図11は、本実施形態4の開いた状態を説明する斜視図である。第1シート1と第2シート2には、シートに(図11を上から見て)谷折部tが形成されている。(図10は、電子レンジ加熱調理用具400の外側から見た展開図であるので谷折部tと山折部yが逆になる。)この谷折部tの両隣には、それぞれ並列に設けられた2つの山折部yによって、断面が三角形状である被加熱物収納部6が設けられている。
【0069】
そして、端部山折部xを折り、端部谷折部sを折ることによって、側壁部が形成されて、加熱調理によって、被加熱物である食品から、油や液汁が出ても、第2シート2の側壁部があるので、電子レンジ加熱調理用具400の外へ流れ出すことがなく、また、第1シート1と第2シート2の側壁部によって、側面から熱が逃げずに効率よく、加熱調理することができるようになっている。
【0070】
接合部3を折り曲げて、第2シート2に第1シート1を重ねると図12のようになる。第1シート1と第2シート2には、接合部3の反対側の端部に、互いに係合し合う係合部5a、5bが設けられている。第2シート2に第1シート1を接合部3で折り返して、重ね合わせて、係合部5a、5bで係合して、第1シート1と第2シート2をしっかり固定することができる。
【0071】
上記構成によって、本実施形態4の電子レンジ加熱調理用具400は、被加熱物である細長い食品を容易に収納して、電子レンジで加熱調理することができ、食品の表面全体に焼き色などを付け、且つ、食品の中心部までも加熱して調理することができる。
【0072】
上述の実施形態ではいずれも、第2シート2あるいは第1シート1に設けた被加熱物収納部6は、断面が三角形状であるが、必ずしも三角形状でなくても良い。例えば、谷折部tを隣り合わせて2本設けて、山折部yとで、断面が上底が下底より長い逆台形にしても良い。
【0073】
谷折部tと、谷折部tの両隣にそれぞれ並列に設けられた2つの山折部yによって、断面が三角形状をなすようにしたが、山折部yの一方または、両方がシートの端縁となって、谷折部tと、シートの2つの端縁あるいは1つの端縁によって、断面が三角形状である被加熱物収納部6を設けるようにしても良い。
【実施例】
【0074】
以下に、具体的実施例について説明する。
【0075】
<発熱体4の作成>
発熱体4として、樹脂フィルムの片面に、アルミニウムを薄く蒸着した蒸着フィルムの蒸着面に、ドライラミネート法によって接着剤を介し、紙を積層したものを用いた。まず、樹脂フィルムとしてポリエチレンテレフタレートの12μmのフィルムの巻取りを用意し、これを、巻取り式蒸着機にセットして、アルミニウムを蒸着させ、アルミニウムの薄膜をフィルムの片面に積層した。このとき、蒸着された半透明でグレーのアルミニウム膜の光線透過を測定して、アルミニウムの蒸発速度とフィルムのラインスピードをコントロールして、アルミニウムの薄膜の厚さが5から7μmになるようにした。このアルミニウム薄膜層にウレタン系接着剤を介し、坪量100g/mの未晒クラフト紙をドライラミネート法によって積層し、カットして、発熱体4を得た。
【0076】
<電子レンジ加熱調理用具100、200、300、400の作成>
電子レンジ加熱調理用具100、200、300、400に用いるシートには、三菱製紙株式会社の坪量310g/mのNパールカード(登録商標)を用いた。この板紙を図1、図4、図7、図10の展開図のように、それぞれ打ち抜き、発熱体4を接着剤で貼着しブランクを作成した。このブランクを前述のように折って、電子レンジ加熱調理用具100、200、300、400を作成した。
【0077】
<調理>
電子レンジ加熱調理用具100、200、300、400は、被加熱物収納部6が3列設けられているので、剥きエビに衣を付け、小さじ一杯のサラダオイルをかけて塗ったものを、1列当たり2匹、電子レンジ加熱調理用具当たり6匹、電子レンジ加熱調理用具100、200、300、400の谷折部tによって断面がV字状になって形成されている被加熱物収納部6に入れ、第1シート1を第2シート2にかぶせて重ね合わせ、係合部5a、5bで係合した。これらを、600Wの家庭用電子レンジに設置して、4分間マイクロ波を照射して加熱調理した。
【0078】
<結果>
加熱調理後のエビフライを取り出して見ると、電子レンジ加熱調理用具100、200、300、400のいずれにおいても、エビフライの表面全体がこんがりと色付き揚げた状態になっていて、中心部までも加熱して調理できていた。
【0079】
以上のように、本発明の電子レンジ加熱調理用具を用いれば、使用するサラダオイルの量が少量で済み、カロリーも低く抑えられる。また、使用後は、電子レンジ加熱調理用具をそのまま捨てることができ、油よごれの調理器具を、大量の水を使って洗う必要もなく、揚げ油の処理も必要がなく環境にもやさしいといえる。
【符号の説明】
【0080】
100、200、300、400・・・電子レンジ加熱調理用具
1・・・第1シート
2・・・第2シート
3・・・接合部
4a、4b・・・発熱体
5a、5b・・・係合部
6・・・被加熱物収納部
y・・・山折部
t・・・谷折部
x・・・端部山折部
s・・・端部谷折部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波の照射により発熱する発熱体をそれぞれ積層してなる第1シートと第2シートとが、前記発熱体を対向して配置されるように、端部で屈曲可能に連結してなり、かつ少なくとも一方のシートに山折部と谷折部からなる蛇腹状凹凸部を形成してなることを特徴とする電子レンジ加熱調理用具。
【請求項2】
前記第1シート及び前記第2シートに山折部と谷折部からなる蛇腹状凹凸部を形成し、前記第1シート及び前記第2シートの発熱体面を重ね合わせたとき、両シートの山折部どうしと谷折部どうしがほぼ重なることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱調理用具。
【請求項3】
前記蛇腹状凹凸部は、山折部と谷折部とを交互に配列し、断面が略三角形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子レンジ加熱調理用具。
【請求項4】
前記蛇腹状凹凸部は電子レンジ加熱調理用具が平面に配置されるとき、下側になるシートに形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具。
【請求項5】
前記蛇腹状凹凸部には、前記谷折部のシート端部より内側を起点とし、シート端部に延びる端部山折部と、前記山折部のシート端部に延びる端部谷折部から形成された山形の側壁部を端部に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具。
【請求項6】
前記発熱体が前記第1シート、前記第2シートの各端部より内側にあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具。
【請求項7】
前記第1シートと前記第2シートとを部分的に連結する連結部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具。
【請求項8】
前記連結部と反対側の前記第1シートの端部及び前記第2シートの端部に、相互に係止する係止部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具。
【請求項9】
前記蛇腹状凹凸部を有するシートの前記山折部の頂部及び/又は前記谷折部の底部に折り目方向の、スリット、切り込み、ミシン目、或いはハーフカット線のいずれかを形成してなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具。
【請求項10】
少なくとも一方のシートに発熱体を含む蛇腹状凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱調理用具。
【請求項11】
前記蛇腹状凹凸部の谷折部に被加熱物を、折り目方向に載置してなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱調理用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−30844(P2012−30844A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171997(P2010−171997)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】