説明

電子体温計

【課題】 人の体温を外部から一目でチェツクでき、正確で、衛生上の問題から、一回限りの使用で安価に製造できる体温計。
【解決手段】
耳栓型で、内部にサーミスター、CPU、LED、電池が搭載されており、外耳道に挿入し、外耳道表面からの熱を基板上のサーミスタに伝え、CPU内でA/D変換し、温度値を計算し、設定温度ごとにLED点滅スピードを変更し、外部から一目で人の体温の状態を把握できる体温計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耳式電子体温計に関する。
【背景技術】
【0002】
新インフルエンザ等の防疫方法で必要な手法の一つが体温測定である。大量の人間を簡単に測定するには赤外カメラがあるが、顔や肌の露出部を映像で測定するので周囲の環境温度の影響等で測定値は不正確である。体温を正確に測定するには肌にじか触れる従来の体温計を使うしかないが、検査する人間全員に体温計を使うのは時間がかかり、現実的ではない。また、従来、体温計は体温を測定するもので、他の人間が見ただけで体温をチェツクできるものではない。
【先行技術文献】
【0003】
登録実用新案第3087273号では試験片式ディスポーザブル体温計が提案されているが、試験片だけを取り変える構造で、本体は使い捨てではない。特許公開2007−24596にサーミスタをケースに密着させ、熱容量を小さくする方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大量の人間の体温を外部の人間が、一目見て簡単にチェックでき、かつ測定値が正確で、衛生上の問題から、一回使用すれば廃棄する必要があり、そのため、製造コストが安価な体温計が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
人間の体で頭部はいつも露出しており、耳も露出している。そこで、耳栓様の形で、簡単に耳に装着できる構造で、内部に温度測定機構を入れ、体温の状態をLEDで表示し、体温を簡単にチェックできるものを考案した。コストを下げるためセンサーは安価なサーミスタで外耳道温を測定する。高温か平常か判定するだけなので、表示手段として高価な液晶は必要なく、例えば、体温が38℃以上か以下かは安価なLEDの点滅時間を変えることにより判断できる。サーミスタは周囲温度が変化すると抵抗値が変化する素子であるが、電圧をかければその抵抗値により電圧が変化する。最近の半導体技術の進化により、A/Dコンバータを内蔵したCPUチップが安価に手に入り、温度の取得とLEDのコントロールがCPUチップのプログラムで行える。全体の機能の実現はサーミスタと安価なCPUチップとLEDと電池だけで構成できる。一回限りの使用なので、耐久性や時間経過による、温度特性の変化等は考慮する必要はない。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1記載の電子体温計では、耳に装着するだけで、体温の状態をLEDの点滅の状態で表示できる。例えば、海外から航空機が到着した時点でこの電子体温計を乗客に配り、耳に装着させ、検疫所で点滅状態をチェックすることが可能である。
この電子体温計は安価であり、使い捨てで、回収の必要はない。
本発明の請求項2記載の電子体温計では、高速に熱平衡状態を作る必要があるため熱伝導率が高い材料を使い、温度測定を予測式に頼らず、実測式で体温測定が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例の耳への装着図
【図2】本発明の実施例の構成図
【図3】本発明の実施例のブロックダイヤグラム
【図4】本発明の実施例のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0008】
以下、本発明の体温計について図を用いて詳細に説明する。図1は本発明の体温計を耳に装着した図である。外耳道1に本発明の体温計2が装着されている。体温計2の外形は耳栓のように柔らかい材料で出来ており、どんな人でも外耳道1にフィットし、外耳道1で保持できる。また、直接肌に触れており、体温計2自身の容積が小さいことと、特許請求範囲2の熱伝導率が高い材料を使用しているため、熱平衡が早く高速で体温が測定できる。柔らかい熱伝導率が高い材料の中に図2の基板3が内臓されている。基板は実装コストを下げるためサーミスターを基板上に表面実装する。
【0009】
しかしながら、肌に直接触れる部分とサーミスタ間は離れているので、モールド樹脂にできるだけ熱伝導率の高いものを選び、肌の温度が出来るだけ平衡状態になるようにする。温度計そのものの容積が小さく、接触点が外耳道だけなので、熱平衡の速度も速い。基板はLED4、電池5、CPU6、サーミスタ7で構成されている。基板3そのものがモールドされており、熱伝導率の高い材料で、熱がすぐにサーミスター7に伝わるようになっている。
【0010】
図3は基板のブロックダイヤグラムである。ボタン電池5からCPU6、LED4に電源が供給されており、サーミスタ7の温度による抵抗変化により、電圧が変化し、CPU6にはアナログで接続されており、CPU6内部のA/Dコンバータが入力電圧をデジタルデータに変換する。サーミスタ7の抵抗値は温度値に換算でき、電圧値から温度値が算出できる。
【0011】
図4はプログラムのフローチャートである。温度測定を行い、35度以下かを判定し、以下であれば4秒間隔のLEDルーチンにジャンプする。同時に装着されていない時は35度以下なので体温計が正常に機能しているかどうかの指標になる。次に37度以下かどうかを判定する。37度以下であれば2秒間隔のLED表示ルーチンにジャンプする。同様に38度以下かどうかを判定し、それ以上になるとLEDを連続点灯させる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
新型インフルエンザ等で、海外からの渡航者の体温のチェックが心要な場合がある。多数の体温を正確に測定することは不可能である。本発明の体温計は到着時にこの体温計を乗客に配布し、耳に装填してもらう。検疫所でこの温度計の点滅状態をチェックし、平熱状態を示す人はパスし、つけていない人と高熱状態の点滅の人だけを本格的に検査することにより、体温チェックが簡易化できる。
【符号の説明】
【0013】
1.外耳道
2.体温計
3.基板
4.LED
5.電池
6.CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子体温計であって、人体の体温測定において、外耳道内の体温を測定し、その結果を自身で光の点滅等で外部に知らせる耳栓型温度測定器で、小型化し、耳介、外耳道だけで保持でき、測定が完了すると廃棄する安価な耳栓型電子体温計
【請求項2】
請求項1の装置において、測定回路をモールドし、外耳道に装着しやすい、柔らかな保持樹脂で、熱伝導率の高い物資、または熱伝導率の高い物質を混合し、測定回路部にある温度センサーまでの温度伝達時間を早くした事を特徴とする、電子体温計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−276590(P2010−276590A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145811(P2009−145811)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(501489465)ワイマチック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】