説明

電子入場券および情報提供システム

【課題】入場者に関する属性情報に対応した案内情報を表示することができる電子入場券および情報提供システムを提供する。
【解決手段】入場者に関する属性情報7を記憶する属性情報記憶手段36と、外部装置から属性情報7を含む1以上の案内情報を受信する情報受信手段23と、受信した1以上の案内情報に含まれる属性情報7が、記憶した属性情報7と一致するか否かを判別する属性情報判別手段と、属性情報判別手段により、属性情報7が一致した場合、当該属性情報7を含む案内情報を表示する表示手段21と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーマパーク等での案内情報を表示する電子入場券および情報提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊園地などのテーマパークにおいて、アトラクション(テーマ)に関する情報を提供する情報提供システムが知られている。この情報提供システムは、当該入場券で使用可能なアトラクションを示すマークパターンとして透明のバーコードが形成された入場券と、当該入場券で使用可能なテーマの内容や混雑情報を表示する情報提供装置とを有している。そして、テーマパーク内の所定の位置に設置された情報提供装置に、入場者が所有する入場券を挿入することで、当該入場券で使用可能なアトラクションに関する混雑情報や内容を表示する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−203046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述の情報提供システムでは、アトラクションの内容や待ち時間等の案内情報は、表示する言語や言葉使いが限られるため、例えば、表示言語が理解できない外国人や、難しい漢字や言葉使いが分からない子供にとっては、提供される情報は意味をもたず、万人に適した情報提供ができないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑み、入場者に関する属性情報に対応した案内情報を表示することができる電子入場券および情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子入場券は、入場者に関する属性情報を記憶する属性情報記憶手段と、外部装置から属性情報を含む1以上の案内情報を受信する情報受信手段と、受信した1以上の案内情報に含まれる属性情報が、記憶した属性情報と一致するか否かを判別する属性情報判別手段と、属性情報判別手段により、属性情報が一致した場合、当該属性情報を含む案内情報を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の電子入場券において、属性情報は、大人・子供の区分および言語タイプの少なくとも一方を示す情報を含むことが好ましい。
【0007】
これらの構成によれば、電子入場券は、外部装置から属性情報(例えば、大人・子供の区分や言語タイプ等)を含む1以上の案内情報を受信し、その中から自身に記憶された属性情報に一致する案内情報を抽出して表示する。この電子入場券を発券する際に、入場者(購入者)の属性情報を当該電子入場券に記憶させることで、例えば、記憶した属性情報が「子供・日本語」の場合、ひらがなを多く用いた子供向けの日本語表記の案内情報が自動的に表示され、「大人・英語」であれば、大人向けの英語表記の案内情報が自動的に表示されるなど、当該電子入場券を所有する入場者に適した案内情報を自動的に表示することができる。また、属性情報として、「大人・子供の区分」を記憶することで、従来のように複数タイプの入場券(大人用入場券、子供用入場券等)を備える必要がなく、運営企業側の管理コストの負担を軽減することができる。また、属性情報として、「言語タイプ」を記憶することで、様々な言語で記された入場券を備える必要がなく、入場券にかかるコストを削減することができる。
【0008】
本発明の電子入場券は、カード型の媒体であることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、電子入場券は、カード型の形状に形成されている。これにより、一般的に普及している入場券の代わりとして違和感無く利用することが可能であり、また、テーマパーク等で、激しい動きをするアトラクションを利用する場合でも、邪魔にならず、利便性が良い。
【0010】
本発明の電子入場券において、表示手段は、電子ペーパーで形成されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、電子入場券の表示手段は、電子ペーパーで形成されている。これにより、表示内容の書き換え時のみ微小電力を必要とするだけで、表示内容を維持するための電力は不要となり、省電力で画面表示を行うことができる。
【0012】
本発明の情報提供システムは、上記に記載の電子入場券と、外部装置として機能する情報提供装置と、電子入場券に属性情報を書き込む発券装置と、から構成されることを特徴とする。
【0013】
この情報提供システムでは、発券装置により電子入場券に入場者(購入者)に関する属性情報を書き込む。そして、電子入場券は、情報提供装置から送信される複数の案内情報の内、この属性情報に応じた案内情報のみを表示する。これにより、当該電子入場券を所有する入場者に適した案内情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る電子入場券および情報提供システムについて説明する。なお、本実施形態に係る情報提供システムは、テーマパーク等において、入場者に対して案内情報を提供するシステムである。
【0015】
図1を参照して、本発明の情報提供システム1について説明する。同図に示すように、本発明の情報提供システム1は、テーマパークT内において、入場者が所有する電子入場券2と、テーマパークTの所定の位置に設置される複数の情報発信アンテナ3(3a〜3e)と、テーマパークTの場外(バックヤード)に設置される情報提供サーバ4と、テーマパークTの入口付近に設置される発券装置5と、により構成されている。なお、請求項における情報提供装置は、上記の情報発信アンテナ3および情報提供サーバ4から構成されるものである。
【0016】
発券装置5は、入場者が指定した「大人・子供の区分」および「言語タイプ」(以下、「属性情報7(図2参照)」と称す。)に応じて電子入場券2を発券するものである。この時、発券装置5は、指定された属性情報7を電子入場券2に記録して発券する。なお、この電子入場券2の発券は、テーマパークTのオペレータが行っても良いし、あるいは、入場者自身が自動発券機を用いて行なっても良い。
【0017】
情報提供サーバ4は、テーマパークTに関する案内情報を管理するものであり、所定の場所に設置された複数の情報発信アンテナ3a〜3eを介して案内情報を発信する。この案内情報には属性情報7が含まれており、情報発信アンテナ3a〜3eからは、この属性情報7に応じた複数のタイプの案内情報が発信される。つまり、1つの情報発信アンテナ3から、言語別および大人/子供の区分別に分けられた複数の案内情報が発信される。例えば、図2のように、情報発信アンテナ3aからアトラクションAの案内情報41を発信する場合、この情報発信アンテナ3aからは、各属性情報7a〜7fに対応した(各属性情報7a〜7fを含む)複数のアトラクションAに関する案内情報(説明やイベント等)41a〜41fが発信される。この図2に示す案内情報41は、あくまでも一例であり、属性情報7の組み合わせにより、発信する案内情報41の数が増減する。
【0018】
なお、上述の大人区分(大人向け)の案内情報とは、一般常識のある大人であれば理解できる程度の案内情報である。これに対し、子供区分(子供向け)の案内情報とは、例えば、難しい漢字を使用せずにひらがなを多用した案内情報、あるいは、分かり易い表現(言い回し)にした案内情報である。また、例えば、アトラクションに関するクイズを案内情報として発信する場合は、大人区分(大人向け)は難しいクイズ、子供区分(子供向け)は簡単なクイズにする等、案内情報の内容は、属性情報7に応じて異なっていても良い。
【0019】
電子入場券2は、テーマパークTへの入場を許可する許可証、および各アトラクションに入るためのパスポートやチケットの役割を果たすと共に、テーマパークTに関する案内情報を、画面表示により入場者に提供するものである。この電子入場券2には、入場者(所有者)の属性情報7が記憶されており、入場者が情報発信アンテナ3からの電波を受信可能なエリアに入ると、情報発信アンテナ3が発信する複数の案内情報のうち、自身の属性情報7に応じた案内情報を画面に表示する。
【0020】
次に、図3を参照して、電子入場券2の構成および表示内容の一例を説明する。図3に示すように、電子入場券2は、カード型の媒体であり、表示部21と、操作部22と、を備え、本体内部には、電子入場券2の外周を巻回するようにアンテナ24が配置されている。電子入場券2をカード型の形状に形成することで、一般的に普及している入場券の代わりとして違和感無く利用することが可能であり、また、テーマパークT等で、激しい動きをするアトラクションを利用する場合でも、邪魔にならず、利便性が良い。
【0021】
表示部21は、基本情報表示領域32および案内情報表示領域33を有している。基本情報表示領域32には、入場者の属性情報7、テーマパーク名51、および入場券の有効期限52が表示される。一方、案内情報表示領域33には、属性情報7に応じた案内情報が表示される。属性情報7(特に、大人・子供の区分)を表示することで、子供の入場制限があるアトラクションなどで、係員が入場可能か否かを即時に判断することができる。また、表示する案内情報としては、例えば、アトラクションの説明、イベント情報、アトラクションの待ち時間、アトラクションに関するクイズ、迷子案内、テーマパークTの地図等が考えられる。
【0022】
操作部22は、上スクロールボタン22a、下スクロールボタン22bを有し、表示部21の案内情報表示領域33に表示された案内情報を上下にスクロールさせる。これにより、案内情報が1画面に収まらない場合においても、表示内容を切り替える(表示内容をスクロールさせる)ことができ、入場者は確実に全ての案内情報を確認することができる。
【0023】
次に、図4の制御ブロック図を参照し、各構成要素の制御構成について説明する。まず、情報提供サーバ4は、制御部11、記憶部12、通信部13の他、一般的なパーソナルコンピュータに搭載されるハードウェア構成を有している。制御部11は、CPU15、ROM16およびRAM17を有し、情報提供サーバ4全体を制御する。ROM16は、CPU15が各種処理を実行するための制御プログラムや制御データを記憶する。また、RAM17は、CPU15が各種処理を実行する際の作業領域として利用される。
【0024】
記憶部12は、案内情報データベース18を有し、属性情報7に対応した複数の案内情報を記憶する。通信部13は、情報発信アンテナ3と通信を行う。制御部11は、通信部13を制御し、装置外の情報発信アンテナ3を介して、属性情報7に対応した複数の案内情報を送信する。
【0025】
電子入場券2は、通信部23(情報受信手段)、アンテナ24、記憶部25、電源部26、表示部21(表示手段)、操作部22、および各部を制御する制御部27を備えている。通信部23は、情報発信アンテナ3と通信を行う。当該電子入場券2が所定エリアに入ると、制御部27は、通信部23を制御し、アンテナ24を介して情報発信アンテナ3から発信される案内情報を受信する。
【0026】
記憶部25は、不揮発性のメモリであり、基本情報記憶部36(属性情報記憶手段)および案内情報記憶部37を有している。基本情報記憶部36には、当該電子入場券2の所有者の属性情報7(「大人・子供区分」および「言語タイプ」)、テーマパーク名51、入場券の有効期限52等が記憶される。一方、案内情報記憶部37には、情報発信アンテナ3から受信した案内情報が記憶される。
【0027】
電源部26は、電子入場券2を動作させる電池であり、各部に電源を供給する。表示部21は、電子ペーパー31で形成されており、上述のように、属性情報7、テーマパーク名51、入場券の有効期限52、案内情報等の各種情報を表示する。表示部21が電子ペーパー31で形成されているため、表示内容の書き換え時のみ微小電力を必要とするだけで、表示内容を維持するための電力は不要となり、省電力で画面表示を行うことができる。操作部22は、上述のとおり、上スクロールボタン22aおよび下スクロールボタン22bを有し、表示部21に表示される案内情報をスクロールさせる。なお、操作部22は、表示部21をタッチパネルにすることで、表示部21と一体に構成するようにしても良いし、あるいは、表示部21とは別体に構成するようにしても良い。
【0028】
これらの構成により、制御部27は、情報発信アンテナ3から発信される複数の案内情報の内、基本情報記憶部36に記憶した属性情報7に対応した案内情報を選択して受信し、当該案内情報を表示部21に表示する。例えば、図5に示すように、情報発信アンテナ3bから各属性情報7a〜7fに対応したアトラクションBに関する案内情報42a〜42fが発信されている場合、「大人・日本語」という属性情報7aが記憶された電子入場券2(入場者が日本人の大人)が、情報発信アンテナ3bからの電波を受信可能なエリアに入ると、電子入場券2は、上述のアトラクションBに関する案内情報42a〜42fの中から「大人・日本語」の属性情報7aを含む案内情報42aを選択して表示する。一方、当該エリアに、「子供・日本語」という属性情報7bが記憶された電子入場券2(入場者が日本人の子供)が入ると、電子入場券2は、上述のアトラクションBに関する案内情報42a〜42fの中から「子供・日本語」の属性情報7bを含む案内情報42bを選択して表示する。
【0029】
続いて、図6のフローチャートを参照して、電子入場券2に所望の案内情報を表示する手順について説明する。まず、電子入場券2が、情報発信アンテナ3からの電波を受信可能なエリアに入ると、電子入場券2は、情報発信アンテナ3から発信される案内情報を受信する(S01)。次に、電子入場券2は、案内情報に含まれる属性情報7と、自身が記憶する属性情報7と、が一致するか否かを判別する(S02,属性情報判別手段)。属性情報7が一致する場合(S03;Yes)、電子入場券2は、当該案内情報を画面表示する(S04)。一方、属性情報7が一致しない場合(S04;No)、電子入場券2は、当該案内情報を読み捨て、処理を終える。
【0030】
以上のように、本実施形態によれば、電子入場券2は、情報発信アンテナ3(情報提供サーバ4)から属性情報7を含む1以上の案内情報を受信し、その中から自身に記憶された属性情報7に一致する案内情報を抽出して表示する。これにより、例えば、記憶した属性情報7が「子供・日本語」の場合、ひらがなを多く用い、分かり易い表現(言い回し)の子供向けの日本語表記の案内情報が自動的に表示され、「大人・英語」であれば、大人向けの英語表記の案内情報が自動的に表示されるなど、当該電子入場券2を所有する入場者に適した案内情報を自動的に表示することができる。
【0031】
また、属性情報7として、「大人・子供の区分」を記憶することで、従来のように複数タイプの入場券(大人用入場券、子供用入場券等)を備える必要がなく、運営企業側の管理コストの負担を軽減することができる。また、属性情報7として、「言語タイプ」を記憶することで、様々な言語で記された入場券を備える必要がなく、入場券にかかるコストを削減することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、電子入場券2に属性情報7として、「大人・子供の区分」および「言語タイプ」の両方を記憶するようにしているが、これに限らず、どちらか一方の属性のみを記憶するようにしても良い。また、これら以外の属性情報7を用いることも可能である。例えば、属性情報7として「男女の区分」を設けることで、男性向けの案内情報(例えば、スリルのあるアトラクション情報)、女性向けの案内情報(例えば、かわいいキャラクタが登場するイベント情報)を表示することができる。
【0033】
また、本実施形態では、電子入場券2として、カード型の媒体を例に挙げて説明しているが、これに限らず、携帯電話等の携帯情報端末であっても良い。
【0034】
また、表示部21における表示内容の配置、および操作部22の位置はあくまで一例であり、これに限るものではない。
【0035】
また、上述した実施例によらず、情報提供システム1および電子入場券2の装置構成や処理工程、について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態に係る情報提供システムのシステム構成図である。
【図2】情報発信アンテナから発信される案内情報の一例を示す図である。
【図3】電子入場券の構成および表示内容を説明する図である。
【図4】情報提供システムのブロック図である。
【図5】属性情報に応じた案内情報を選択して表示する様子を示す図である。
【図6】案内情報を表示する処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1…情報提供システム 2…電子入場券 3…情報発信アンテナ 4…情報提供サーバ 5…発券装置 7…属性情報 21…表示部 23…通信部 24…アンテナ 25…記憶部 31…電子ペーパー 36…基本情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入場者に関する属性情報を記憶する属性情報記憶手段と、
外部装置から前記属性情報を含む1以上の案内情報を受信する情報受信手段と、
受信した前記1以上の案内情報に含まれる前記属性情報が、記憶した前記属性情報と一致するか否かを判別する属性情報判別手段と、
前記属性情報判別手段により、前記属性情報が一致した場合、当該属性情報を含む前記案内情報を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする電子入場券。
【請求項2】
前記属性情報は、
大人・子供の区分および言語タイプの少なくとも一方を示す情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子入場券。
【請求項3】
カード型の媒体であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子入場券。
【請求項4】
前記表示手段は、
電子ペーパーで形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子入場券。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子入場券と、
前記外部装置として機能する情報提供装置と、
前記電子入場券に前記属性情報を書き込む発券装置と、から構成されることを特徴とする情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−223465(P2009−223465A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65282(P2008−65282)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】