説明

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

【課題】感光体が汚染され難く、特に感光体上に付着した外添剤による感光体の回転むらの発生をその寿命を通じて防止し、かつトナー劣化や融着が起こり難く、クリーニング性が良く、高画質な画像を長期間安定して提供することができる電子写真感光体。
【解決手段】支持体上に感光層を有する感光体において、該感光体の表面層が、式(1)で示される繰り返し構造単位α及び式(2)で示される繰り返し構造単位βを有し、かつ重量平均分子量が1000〜1000000であるジオルガノポリシロキサンを含有する電子写真感光体。α:(R)SiO(1)β:(R)SiO(2)Bはパーフルオロアルキル基、Dはカルボン酸エステル基、R及びRは炭化水素基を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは特定のジオルガノポリシロキサンを含有する表面層を有する電子写真感光体、この電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置には、電子写真方式、熱転写方式又はインクジェット方式等の様々な方式が採用されている。これらのうち、電子写真方式を採用した画像形成装置(電子写真装置)は、他の方式を採用した画像形成装置と比較して、高速、高画質、静粛性の点で優位性を有している。
【0003】
また、モノクロームの電子写真装置だけではなく、多色(カラー)の電子写真装置(カラー電子写真装置)も、近年普及してきている。カラー電子写真装置には様々な方式があり、例えば、1つの電子写真感光体で露光・現像を1色ずつ順次行い、各色のトナー像を転写材保持部材(転写ドラム等)に保持された転写材(紙等)上に順次転写することでカラー画像を形成する多重転写方式。また、1つの電子写真感光体で露光・現像を1色ずつ順次行い、各色のトナー像を中間転写体(中間転写ドラム・中間転写ベルト等)上に順次一次転写した後、これを転写材上に一括して二次転写することでカラー画像を形成する中間転写方式。更に、直列に配置された各色用の画像形成部(電子写真感光体・露光手段・現像手段を有する)において各色のトナー像をそれぞれ形成し、これらを転写材搬送部材(転写材搬送ベルト等)によって各画像形成部に順次搬送される転写材上に順次転写することでカラー画像を形成するインライン方式等が良く知られている。
【0004】
また、カラー電子写真装置の普及に伴い、電子写真技術の方向として更なる高画質化が求められている。従来240、300dpiであったものが400、600、1200dpiと高解像度になってきている。従って、現像方式もこれに伴って高精細さが要求されてきている。複写機においても高機能化が進んでおり、そのためデジタル化の方向に進みつつある。デジタル機は静電潜像をレーザーで形成する方法が主流であり、高解像度の方向に進んでおり、プリンターと同様に高解像・高精細の現像方式が待望されてきている。このためトナーの小粒径化も進んでいる。例えば、特許文献1〜特許文献6では、特定の粒度分布の粒径の小さいトナーが提案されている。この場合、クリーニング性の観点からクリーニング部材の設定がシビアであったり、トナーの劣化や電子写真感光体表面の汚染やトナーの融着が起こり易くなっている。このため、外添剤の添加量を増加させる等の対策が必要な場合が多くなってきている。
【0005】
このような状況から、電子写真感光体には更なる離型性が求められてきている。離型性を高める手段としては、電子写真感光体の表面層にシリコーン樹脂を含有させたり、フッ素原子含有樹脂粒子(フッ素樹脂粉体)を分散させたりして、電子写真感光体の表面の離型性を向上させることが知られている。
【0006】
ところが、電子写真感光体の表面層にシリコーン樹脂を含有させた場合は、電子写真感光体の表面の撥水性はある程度向上するものの、転写の際に要求される離型性としてはまだ十分ではない。また、シリコーン樹脂が層の表面に移行し易いため、初期に効果が得られても、耐久使用によって電子写真感光体表面が摩耗していくと、有効な成分が失われてしまい、長期に亘って効果を維持できない。
【0007】
その点、電子写真感光体の表面層にフッ素原子含有樹脂粒子を分散させた場合、電子写真感光体の表面の離型性向上はシリコーン樹脂を用いた場合よりも期待できる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及び、これらの共重合樹脂等の粒子が挙げられる(特許文献7及び8)。また、特許文献7及び8には、特定の構造のジオルガノポリシロキサンを電子写真感光体の表面層に含有させることで、表面層中のフッ素原子含有樹脂粒子の分散性を向上させることができる旨開示されている。
【0008】
しかしながら、電子写真感光体の表面層中のフッ素原子含有樹脂粒子は露光光を散乱させてしまうため、シャープな静電潜像が得られ難く、画質の面で制約が生じる場合がある。
【0009】
電子写真感光体の表面の高い離型性を長期に亘り維持することや、シャープな静電潜像を得ることは電子写真装置全般に要求されることであるが、その中でも、複数色のトナー像を形成してそれらを重ね合わせて1つのカラー画像を形成する上記のようなカラー電子写真装置には、より高次元に要求されることである。
【特許文献1】特開平1−112253号公報
【特許文献2】特開平1−191156号公報
【特許文献3】特開平2−214156号公報
【特許文献4】特開平2−284158号公報
【特許文献5】特開平3−181952号公報
【特許文献6】特開平4−162048号公報
【特許文献7】特開2000−081715号公報
【特許文献8】特開2001−249481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、電子写真感光体が汚染され難く、特に電子写真感光体上に付着した外添剤による電子写真感光体の回転むらの発生をその寿命を通じて防止し、かつ、トナー劣化や融着が起こり難く、更にはクリーニング条件を強化することなく十分なクリーニング性を得ることができ、高画質な画像を長期間安定して提供することができる電子写真感光体を提供することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、上記電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に従って、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層が、下記式(1)で示される繰り返し構造単位α及び下記式(2)で示される繰り返し構造単位βを有し、かつ重量平均分子量が1000〜1000000であるジオルガノポリシロキサンを含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0013】
【化6】

【0014】
上記式(1)、(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示し、Bはパーフルオロアルキル基を有する1価の有機基を示し、Dは下記式(11)又は(21)で示される繰り返し単位を含有する1価の有機基を示す。
【0015】
【化7】

【0016】
上記式(11)中、R11及びR12は水素原子、置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。nは、3以上の整数を示す。
【0017】
【化8】

【0018】
上記式(21)中、R21は単結合、カルボニル基、エーテル基、チオエーテル基又は−C(R34)(R35)−基(R34及びR35は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又はR34とR35とが結合して形成される置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基を示す)。R22〜R29はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を示す。nは、3以上の整数を示す。Xは、−CO−又は下記式(X1)を示す。
【0019】
【化9】

【0020】
上記式(X1)中、R30〜R33はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を示す。
【0021】
また、本発明に従って、上記電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の電子写真感光体を用いることにより、電子写真感光体の表面上に必要以上のトナーや汚染物質が付着し難くなり、トナー劣化や融着が起こり難く、寿命を通じて良好なクリーニング状態が維持され高画質な画像を長期間安定して提供すること、また汚染に起因する傷や劣化の進行に伴って発生する2次的な画像欠陥も防止する電子写真感光体を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の電子写真感光体の表面層は、上記式(1)で示される繰り返し構造単位α及び上記式(2)で示される繰り返し構造単位βを有し、重量平均分子量が1000〜1000000であるジオルガノポリシロキサンを含有する。これによって、持続的に電子写真感光体の表面の離型性を大きく向上させることができ、電子写真感光体表面へのトナー、外添剤の付着を制御し、クリーニングを容易にし、また回転むらの発生を抑えることができる。
【0024】
また、上記ジオルガノポリシロキサンは、更に下記式(3)で示される繰り返し構造単位γを有してもよい。
【0025】
【化10】

【0026】
上記式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換又は無置換の1価の炭化水素基を示す。
【0027】
また、上記ジオルガノポリシロキサンの末端基としては、例えば、下記式(4)で示される構造を有する末端基I、下記式(5)で示される構造を有する末端基IIが挙げられる。
【0028】
【化11】

【0029】
上記式(4)、(5)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換又は無置換の1価の炭化水素基を示し、E及びEは、それぞれ独立に、置換又は無置換の1価の炭化水素基、パーフルオロアルキル基を有する1価の有機基、重合度3以上の置換又は無置換のポリスチレン鎖を有する1価の有機基、置換又は無置換のアルキレンオキシ基を有する1価の有機基、置換又は無置換のシロキサン鎖を有する1価の有機基、及び、炭素原子数12以上の1価の有機基からなる群より選択される1価の基を示し、ただし、上記式(4)中のEは上記ジオルガノポリシロキサンが有する繰り返し構造単位の主鎖(−Si−O−)中のSiと結合し、上記式(5)中のSiは上記ジオルガノポリシロキサンが有する繰り返し構造単位の主鎖(−Si−O−)中のOと結合する。
【0030】
本発明において、有機基とは、置換又は無置換の炭化水素基を意味する。また、炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基及びアリールアルケニル基等が挙げられる。
【0031】
上記R〜Rの1価の炭化水素基としては、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のアリールアルケニル基等が挙げられる。これらの基の炭素原子数は1〜30であることが好ましく、特にはメチル基及びフェニル基がより好ましい。
【0032】
上記Bのパーフルオロアルキル基を有する1価の有機基は、下記式(31)又は(32)で示される構造を有する1価の基であることが好ましい。
【0033】
【化12】

【0034】
上記式(2)及び(3)中、R41及びR42はアルキレン基又はアルキレンオキシアルキレン基を示し、a及びbは1以上の整数を示し、cは0又は1以上の整数を示す。Rfは、フッ素原子又はフルオロアルキル基を示す。フルオロアルキル基としては、CF、C、C及びC17等が挙げられ、CFやCが好ましい。
【0035】
上記アルキレン基としては、エチレン基やプロピレン基等が挙げられる。上記アルキレンオキシアルキレン基としては、エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシプロピレン基及びプロピレンオキシプロピレン基等が挙げられる。
【0036】
上記Dの下記式(11)で示される繰り返し単位の含有構造を有する1価の有機基は、下記式(12)〜(13)で示されるようにR12が水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0037】
【化13】

【0038】
上記式(11)〜(13)中、R11及びR12は、水素原子又は、置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。また、式(11)で示される構造は1種又は2種以上の共重合であっても良い。共重合の場合各繰り返し単位はランダムに配列される。また、nは、3以上の整数を示す。
【0039】
以下に、式(11)で示される繰り返し単位を有する構成単位βの構造例を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
上記Dの下記式(21)で示される繰り返し単位の含有構造を有する1価の有機基は、式中のXが、下記式(X−2)又は−CO−であることが好ましい。
【0042】
【化14】

【0043】
上記式(21)中、R21は単結合、カルボニル基、エーテル基、チオエーテル基又は−C(R34)(R35)−基(R34及びR35は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又はR34とR35とが結合して形成される置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基を示す)。R22〜R29はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を示す。nは、3以上の整数を示す。
【0044】
以下に、式(21)で示される繰り返し単位を有する構成単位βの構造例を示す。
【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
上記ジオルガノポリシロキサンにおける上記式(1)で示される繰り返し構造単位αの数(平均)は、1〜1000であることが好ましく、特には10〜200であることがより好ましい。
【0049】
上記ジオルガノポリシロキサンにおける上記式(2)で示される繰り返し構造単位βの数(平均)は、1〜1000であることが好ましく、特には5〜100であることがより好ましい。
【0050】
上記ジオルガノポリシロキサンにおける上記式(3)で示される繰り返し構造単位γの数(平均)は、0〜1000であることが好ましく、特には5〜200であることがより好ましい。
【0051】
上記ジオルガノポリシロキサンが有する繰り返し構造単位は、上記式(1)で示される繰り返し構造単位αと上記式(2)で示される繰り返し構造単位βのみ、又は、上記式(1)で示される繰り返し構造単位αと上記式(2)で示される繰り返し構造単位βと上記式(3)で示される繰り返し構造単位γのみであることが好ましい。
【0052】
上記ジオルガノポリシロキサンにおける上記式(1)で示される繰り返し構造単位αと上記式(2)で示される繰り返し構造単位βと上記式(3)で示される繰り返し構造単位γとの和(平均)は、2〜2000であることが好ましく、特には5〜1000であることがより好ましく、更には20〜500であることがより一層好ましい。
【0053】
上記式(1)で示される繰り返し構造単位αの数が2以上の場合、複数のRは同一の基であっても異なる2種以上の基であってもよく、複数のBは同一の基であっても異なる2種以上の基であってもよい。
【0054】
上記式(2)で示される繰り返し構造単位βの数が2以上の場合、複数のRは同一の基であっても異なる2種以上の基であってもよく、複数のDは同一の基であっても異なる2種以上の基であってもよい。
【0055】
上記式(3)で示される繰り返し構造単位γの数が2以上の場合、複数のRは同一の基であっても異なる2種以上の基であってもよく、複数のRは同一の基であっても異なる2種以上の基であってもよい。
【0056】
以下に、本発明に用いられるジオルガノポリシロキサンの具体例を示す。ただし、本発明はこれら具体例に限定されない。また、下記ジオルガノポリシロキサン1〜28は、いずれも、末端基として前記式(4)で示される構造を有する末端基I(E:メチル基)、前記式(5)で示される構造を有する末端基II(ER5、R:メチル基)を有する。
【0057】
【表5】

【0058】
【表6】

【0059】
【表7】

【0060】
【表8】

【0061】
【表9】

【0062】
【表10】

【0063】
【表11】

【0064】
【表12】

【0065】
【表13】

【0066】
【表14】

【0067】
これらの中では、2、3、7、8、9、13、15、17、19、21、22、26及び28が好ましく、特には3、7、8、13、15、21、22、26及び28がより好ましい。
【0068】
また、本発明に用いられるジオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、1000〜1000000であるが、10000〜200000であることが好ましく、特には10000〜100000であることがより好ましく、更には20000〜40000であることがより一層好ましい。分子量の測定法は限定されないが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)を測定することができる。
【0069】
また、本発明に用いられるジオルガノポリシロキサン中のフッ素原子の含有量は、ジオルガノポリシロキサン全質量に対して1〜90質量%であることが好ましく、特には5〜60質量%であることが好ましい。フッ素原子の含有量が1質量%未満では、電子写真感光体の表面層の離型性が十分に発揮されない場合があり、90質量%を超えると、電子写真感光体の表面層中のバインダー樹脂との相溶性が悪くなったり、アンカー効果が十分に得られなかったりして、表面に移行し易くなり、長時間耐久使用により電子写真感光体の表面が摩耗した場合、十分な効果が得られなくなる場合がある。
【0070】
一般的に、シリコーンオイルやシロキサン化合物は、層中で表面移行性があるため、長時間耐久使用により電子写真感光体の表面が摩耗した場合、これらの成分の多くが失われてしまい、十分な効果が得られなくなるのである。
【0071】
それに対して、本発明に用いられるジオルガノポリシロキサンは、特に側鎖のDが電子写真感光体の表面層のバインダー樹脂に対してアンカー効果を有するため、層中での表面移行性が抑制される。このため、電子写真感光体の寿命を通して効果を有すると考えられる。
【0072】
本発明においては、電荷輸送層に上記ジオルガノポリシロキサンを用いることにより、持続的に電子写真感光体の表面の離型性を向上させることができ、電子写真感光体表面へのトナー、外添剤の付着を防止し、クリーニング性を向上させ、また回転むらの発生を抑えることができる。
【0073】
本発明のプロセスに用いる電子写真感光体において、式(1)で示される繰り返し構造単位α及び式(2)で示される繰り返し構造単位βを有する化合物を該電子写真感光体表面層に含有させることにより、電子写真感光体表面の離型性が著しく向上し、このため、必要以上のトナーや外添剤が電子写真感光体に付着せず、電子写真感光体と現像ローラーやクリーニングブレード等の電子写真感光体に当接した部材との摺擦や停止においても融着や固着等の汚染が起こり難い。
【0074】
以下、本発明に用いられる電子写真感光体の構成に付いて説明する。本発明おける電子写真感光体は、支持体上に感光層を有する。感光層は電荷輸送材料と電荷発生材料を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送層と電荷発生層に分離した積層型でもよいが、電子写真特性的には積層型が好ましい。
【0075】
使用する支持体は導電性を有するものであればよく、アルミニウムやステンレス等の金属、あるいは導電層を設けた金属、紙、プラスチック等が挙げられ、形状はシート状や円筒状等が挙げられる。
【0076】
LBP等の画像入力がレーザー光の場合は散乱による干渉縞防止、又は支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これはカーボンブラックや金属粒子等の導電性粒子をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μmが好ましく、特には10〜30μmが好ましい。なお、干渉縞防止はシリンダーの切削やアルマイト処理、乾式や湿式のブラスト等でも行うことができ、その場合は、導電層を設ける必要は無い。
【0077】
支持体又は導電層の上に接着機能及びバリヤー機能を有する中間層を設けてもよい。中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン及びポリエーテルウレタン等が挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μmが好ましく、特には0.3〜1μmが好ましい。シリンダーに直接アルマイト処理したり、ゾルゲル法による導電成膜を付けている場合等は中間層を使用しなくても構わない。
【0078】
中間層の上には電荷発生層が形成される。本発明に用いられる電荷発生材料としてはセレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン及び非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。
【0079】
機能分離型の場合、電荷発生層は前記電荷発生材料を0.3〜4倍量のバインダー樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル及び液衝突型高速分散機等の方法で充分に分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。また、バインダー樹脂を電荷発生材料の分散後に投入したりバインダー樹脂を使用しないことも可能である。電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、特には0.1〜2μmが好ましい。
【0080】
電荷輸送層は主として、電荷輸送材料とバインダー樹脂、電荷輸送層が表面層である場合は更に式(1)で示される繰り返し構造単位α及び式(2)で示される繰り返し構造単位βを有するジオルガノポリシロキサンとを溶剤中に溶解し、得られた塗料を塗工乾燥して形成する。
【0081】
用いられる電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物及びチアゾール系化合物等が挙げられる。
【0082】
電荷輸送層に用いるバインダー樹脂の例としては、熱可塑性バインダー樹脂及び硬化性バインダー樹脂が挙げられ、具体的にはフェノキシ樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂あるいはこれらの樹脂の繰り返し単位のうち2つ以上を含む共重合体、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー等を挙げることができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン及びポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマーからも選択できる。
【0083】
これらのうち、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂は、式(1)で示される繰り返し構造単位α及び式(2)で示される繰り返し構造単位βを有するジオルガノポリシロキサンとのなじみが良く、良好な塗工液を作製することができるので好ましい。ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂は、下記式(A)及び(B)で示される構成単位を有する。
【0084】
【化15】

【0085】
上式(A)中、X11は炭素原子、単結合(この場合のR55及びR56は無し)、R51〜R54は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を示し、R55及びR56は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基又はR55及びR56が結合することによって置換もしくは無置換のアルキリデン基を形成するのに必要な基を示す。
【0086】
【化16】

【0087】
上式(B)中、X21は炭素原子、単結合(この場合のR65及びR66は無し)、R60〜R64は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を示し、R65及びR66は素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基又はR65及びR66が結合することによって置換もしくは無置換のアルキリデン基を形成するのに必要な基を示す。R6770は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を示す。
【0088】
式(A)及び(B)中、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基等が挙げられ、アリール基としてはフェニル基及びナフチル基等が挙げられ、アルキリデン基としてはシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
【0089】
これらの基が有してもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、及びフェニル基等のアリール基等が挙げられる。
【0090】
以下に、ポリカーボネート樹脂が有する構成単位の好ましい例を示すが、これらに限られるものでは無い。
【0091】
【表15】

【0092】
【表16】

【0093】
【表17】

【0094】
次に、ポリアリレート樹脂が有する構成単位の好ましい例を示すが、これらに限られるものでは無い。
【0095】
【表18】

【0096】
【表19】

【0097】
【表20】

【0098】
【表21】

【0099】
電荷輸送層の膜厚は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。電荷輸送材料とバインダー樹脂との質量比は5:1〜1:5が好ましく、より好ましくは3:1〜1:3程度である。なお、塗布する方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、スピナー塗布、ブレード塗布及びロール塗布法等が挙げられる。
【0100】
式(1)で示される繰り返し構造単位α及び式(2)で示される繰り返し構造単位βを有するジオルガノポリシロキサンの含有量は、塗膜構成成分に対して0.01〜40質量部であることが好ましく、特に1.0〜30.0質量部が好ましい。含有量が少な過ぎると本願発明の効果が得られ難くなり、多過ぎるとキャリヤのトラップの原因となり、電位変動が生じ易くなる。
【0101】
色素、顔料、有機電荷輸送材料等は、一般に紫外線、オゾン及びオイル等に汚れや金属等に弱いため、本発明においては必要に応じて保護層を設けてもよい。本発明で用いることができる保護層は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー及びスチレン−アクリル酸コポリマー等のバインダー樹脂、式(1)で示される繰り返し構造単位α及び式(2)で示される繰り返し構造単位βを有するジオルガノポリシロキサンを含有する溶液を感光層の上に塗布、乾燥することにより形成する。また、バインダー樹脂として、縮合系モノマーや不飽和基をもつラジカル重合系モノマーを用いた場合は、塗布後、熱や紫外線等のエネルギー光を当てて硬化、形成してもよい。また必要に応じて金属や導電性金属酸化物等の導電性粒子や電荷輸送材料を更に含有させてもよい。
【0102】
保護層の膜厚は、0.05〜20μmであることが好ましい。保護層は電荷輸送層より薄膜にすることが可能であるため、ジオルガノポリシロキサンの量を増加させることが可能である。
【0103】
本発明の電子写真装置について、図2を参照しながら説明する。本発明の電子写真装置としての複写機及びプリンター等の一例として図2に示す装置があり、現像手段60にはトナー61が収容されている。トナーは磁性トナー又は非磁性トナーである。
【0104】
前露光71を照射直後にバイアス印加手段62aにより直流バイアスが印加されている帯電手段(帯電ローラー)62で電子写真感光体63の表面を帯電し、露光(例えば、レーザー光及びハロゲンランプの光等)64により静電潜像を電子写真感光体63に形成する。トナー塗布ブレード(例えば、弾性ブレード及び金属ブレード等)72、10〜10Ω・cmの中抵抗の弾性層又は誘電層を表面に有する現像ローラー65を具備している現像手段60に収容されているトナー61で、静電潜像を現像する。現像は、正規現像方式又は反転現像方式を使用する。現像部において、現像ローラー65にバイアス印加手段66により直流バイアス又は交互バイアスが必要により印加される。転写材Pが搬送されて、転写部に来ると、バイアス印加手段68により電圧が印加されている転写手段(例えば、転写ローラー及び転写ベルト等)67により転写材Pの背面(電子写真感光体63側とは反対の側)から押圧しながら帯電することにより、電子写真感光体63表面上のトナー像を転写材P上へ静電的に転写する。場合により、電子写真感光体63上のトナー像を図示していない中間転写体(例えば、中間転写ドラム及び中間転写ベルト等)へ転写し、中間転写体から転写材Pへトナー像を転写してもよい。
【0105】
電子写真感光体63から分離された転写材P上のトナー像は、加熱加圧手段(例えば、加熱加圧ローラー定着手段等)69により転写材Pに定着される。転写工程後の電子写真感光体63に残留するトナーは、必要によりクリーニング手段(例えば、クリーニングブレード、クリーニングローラー及びクリーニングブラシ等)70により電子写真感光体63の表面から除去される。クリーニング後の電子写真感光体63は、前露光71を照射後、再度帯電手段62により帯電工程から始まる工程が繰り返される。
【0106】
更に、図3は電子写真装置本体から取り出したプロセスカートリッジの一具体例の概略的断面図を示す。プロセスカートリッジは、現像手段と静電潜像保持体とを少なくとも一体的にカートリッジ化されており、電子写真装置本体(例えば、複写機及びレーザービームプリンタ等)に着脱自在なように形成されている。図3に示すプロセスカートリッジにおいては、現像器15に現像ローラー(弾性ローラー)19が感光ドラム10にニップ部が形成されるように押圧されて設置されてあり、現像ローラー19には塗布ブレード8及び塗布ローラー12が圧接して設けられてある。更に、帯電ローラー11及びクリーニングブレード13が感光ドラム10に圧接して設けられている。
【実施例】
【0107】
以下、実施例にしたがって説明する。なお、「部」とあるのは質量部を意味する。
【0108】
まず、本発明で用いるジオルガノポリシロキサンは、以下のごとく合成することが可能である。
【0109】
(合成例1)
フラスコに下記式で表されるポリシロキサン3.23g、
【0110】
【化17】

【0111】
塩化白金酸20ppm(5%イソプロピルアルコール溶液)、下記で示されるマクロモノマー14.7g
式:CH=CH−CH(CHCCHCOOC20(CHCCHCOOCH20
及びm−キシレンヘキサフルオライド80gを混合し、徐々に加熱した。更に、80℃で6時間反応を続けた。次いで、140℃の条件下で20Torrまで減圧して、溶媒や低沸点成分を除去した。このようにして、得られた反応生成物を、29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、次式で示されるジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量41000)であることが判明した。
【0112】
【化18】

【0113】
(合成例2)
フラスコに下記式で表されるポリシロキサン3.23g、
【0114】
【化19】

【0115】
塩化白金酸20ppm(5%イソプロピルアルコール溶液)、下記で示されるマクロモノマー7.5g、
【0116】
【化20】

及びm−キシレンヘキサフルオライド80gを混合し、徐々に加熱した。更に、80℃で6時間反応を続けた。次いで、140℃の条件下で20Torrまで減圧して、溶媒や低沸点成分を除去した。このようにして、得られた反応生成物を、29Si−NMR、13C−NMR及びFT−IRにより分析したところ、次式で示されるジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量49000)であることが判明した。
【0117】
【化21】

【0118】
(合成例3)
合成例2のマクロモノマーの替わりに、下記式で示される化合物5.2g
【0119】
【化22】

を用いた以外は、合成例2と同様にして次式で示されるジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量56000)を得た。
【0120】
【化23】

【0121】
(合成例4)
合成例2のポリシロキサンの替わりに、下記式で示されるポリシロキサン
【0122】
【化24】

【0123】
を用いた以外は、合成例2と同様にして次式で示されるジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量49000)を得た。
【0124】
【化25】

【0125】
(実施例1)
φ30mm×357mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬法で塗布し、140℃で30分間熱硬化し、膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0126】
導電性顔料:SnOコート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング剤:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール=0.2/0.8 20部
【0127】
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
【0128】
次に、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θが7.4°±0.2、28.2°±0.2に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶9部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)3部をテトラヒドロフラン100部に溶解した液を、1mmφのガラスビーズを用いたサンドミル装置で3時間分散した。これに200部の酢酸ブチルを加えて、希釈した後回収して、これを中間層上に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥して、膜厚が0.30μmの電荷発生層を形成した。
【0129】
次に、電荷輸送層を形成するために、電荷輸送用の塗料を調製した。構成単位例(B−2)のポリアリレート樹脂(重量平均分子量128000)、下記式で示されるアミン化合物a及びb
【0130】
【化26】

【0131】
及び、合成例1のオルガノポリシロキサンを最終質量比でポリアリレート樹脂10、アミン化合物a7、アミン化合物b1、ジオルガノポリシロキサン0.9、溶剤80になるように調合した。
【0132】
なお、溶剤は最終質量比率でモノクロルベンゼン:ジメトキシメタンが6:4になるように調製した。この塗料を、浸漬塗布法で塗布し、130℃で1時間乾燥することによって、膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
【0133】
評価は、キヤノン製カラーレーザープリンターLBP−5500を改造して用いた。改造は、プロセススピードが2倍で動作するように、モーター等の変更を行った。印字中の電子写真感光体の明部電位と、暗部電位は改造前と同じになるように調節した。評価はまず、低温低湿(0℃/10%RH)環境下で画像出力を行った。画像は、A4のべた黒画像3枚、ハーフトーン3枚、べた白10枚を1単位として、15単位を繰り返し連続出力した。この画像を目視にて判定し、クリーニング不良の評価を行った。また、画像出力後、電子写真感光体上のクリーニングブレード通過直後の部分を顕微鏡観察し、すり抜けたトナーの有無を確認した。更に、同じ環境下で印字率1%の画像を連続出力し、2000枚後と10000枚後に同様の画像評価と電子写真感光体表面観察を行った。評価は下記の様にして行った。結果を表1に示す。
◎:異常なし(電子写真感光体、画像とも全面クリーニング不良、すり抜けなし)
○:画像上は異常なし。電子写真感光体上には、ごくわずかにすり抜けトナーが観察される。
△:画像上にごく軽微なクリーニング不良が発生、電子写真感光体上には、すり抜けトナーが観察される。
×△:画像上にクリーニング不良が発生。
×:画像上にレベルの悪いクリーニング不良が発生。
【0134】
(実施例2)
実施例1において電荷輸送層中のジオルガノポリシロキサンの質量比を1.8とした以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0135】
(実施例3)
実施例1において電荷輸送層中のジオルガノポリシロキサンの質量比を5.4とした以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0136】
(実施例4)
実施例2の電荷輸送層中のジオルガノポリシロキサンとして合成例1を合成例2とした以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0137】
(実施例5)
実施例2の電荷輸送層中のジオルガノポリシロキサンとして合成例1を合成例3とした以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0138】
(実施例6)
実施例5において電荷輸送層中の構造単位例(B−2)のバインダー樹脂の代わりに構造単位例(A−3)(重量平均分子量106000)の樹脂を用いた以外は、実施例5と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0139】
(比較例1)
実施例1において電荷輸送層中のジオルガノポリシロキサンを添加しなかった以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0140】
(比較例2)
実施例1において電荷輸送層中のジオルガノポリシロキサンの代わりとしてシリコーン化合物(商品名:GS101、東亜合成)を用いた以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0141】
(比較例3)
比較例1において、電荷輸送層中の構成単位例(B−2)のバインダー樹脂の最終質量比10の代わりとして構成単位例(A−3)、下記構造aと構成単位例(A−3)の共重合のバインダー樹脂(共重合比1/9、重量平均分子量110000)を9:1で用いた以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0142】
【化27】

【0143】
(比較例4)
実施例2において電荷輸送層中のジオルガノポリシロキサンの代わりとして下記構造式で示される化合物を用いた以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0144】
【化28】

【0145】
(比較例5)
実施例3において電荷輸送層中のジオルガノポリシロキサンの代わりとして比較例4で用いた化合物を用いた以外は、実施例3と同様に塗工液を作製した。液は、数日後に若干の分離が見られた。
【0146】
【表22】

【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスの概略構成の例を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【図3】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジの概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
【0148】
8 塗布ブレード
10 感光ドラム
11 帯電ローラー
12 塗布ローラー
13 クリーニングブレード
15 現像器
19 現像ローラー(弾性ローラー)
60 現像手段
61 トナー
62 帯電手段(帯電ローラー)
62a バイアス印加手段
63 電子写真感光体
64 露光光
65 現像ローラー
67 転写手段
66、68 電源
70 クリーニング手段
71 前露光
72 トナー塗布ブレード
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層が、下記式(1)で示される繰り返し構造単位α及び下記式(2)で示される繰り返し構造単位βを有し、かつ重量平均分子量が1000〜1000000であるジオルガノポリシロキサンを含有することを特徴とする電子写真感光体;
【化1】


(上記式(1)、(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示し、Bはパーフルオロアルキル基を有する1価の有機基を示し、Dは下記式(11)又は(21)で示される繰り返し単位を含有する1価の有機基を示す。)、
【化2】


(上記式(11)中、R11及びR12は水素原子、置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。nは、3以上の整数を示す。)、
【化3】


(上記式(21)中、R21は単結合、カルボニル基、エーテル基、チオエーテル基又は−C(R34)(R35)−基(R34及びR35は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又はR34とR35とが結合して形成される置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基を示す)。R22〜R29はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を示す。nは、3以上の整数を示す。Xは、−CO−又は下記式(X1)を示す。)、
【化4】


(上記式(X1)中、R30〜R33はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を示す。)。
【請求項2】
前記Dが前記式(11)で示される繰り返し単位を有し、かつR12が水素原子又はメチル基である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記Dが前記式(21)で示される繰り返し単位を有し、前記式(X1)が下記式(X2)で示される請求項1に記載の電子写真感光体。
【化5】

【請求項4】
前記D11が前記式(21)で示される繰り返し単位を有し、Xが−CO−である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項5】
前記電子写真感光体の表面層のバインダー樹脂がポリカーボネートである請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項6】
前記電子写真感光体の表面層のバインダー樹脂がポリアリレートである請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項7】
前記ジオルガノポリシロキサン中のフッ素原子の含有量が、ジオルガノポリシロキサン全質量に対して1〜90質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像を形成する露光手段、静電潜像の形成された電子写真感光体にトナーで現像する現像手段及び電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−178815(P2007−178815A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378558(P2005−378558)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】