電子制御式コントロール弁較正装置
【課題】製造効率および作業効率を改善できる電子制御式コントロール弁較正装置を提供する。
【解決手段】電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁11のスプール13に開閉弁構造部16を一体的に設ける。この開閉弁構造部16は、ストロークとの位置関係で設定した通路開放位置17と通路遮断位置18とを有する。この開閉弁構造部16を経てポンプ21からタンク22に測定通路23を配設する。この測定通路23における開閉弁構造部16よりポンプ21側に圧力検出器24を接続する。コントローラ15は、圧力検出器24により測定通路23の圧力変化を検出したときに電子制御式コントロール弁11に入力した電気信号値を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求めて、基準特性に対する実測特性の較正量を求める。
【解決手段】電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁11のスプール13に開閉弁構造部16を一体的に設ける。この開閉弁構造部16は、ストロークとの位置関係で設定した通路開放位置17と通路遮断位置18とを有する。この開閉弁構造部16を経てポンプ21からタンク22に測定通路23を配設する。この測定通路23における開閉弁構造部16よりポンプ21側に圧力検出器24を接続する。コントローラ15は、圧力検出器24により測定通路23の圧力変化を検出したときに電子制御式コントロール弁11に入力した電気信号値を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求めて、基準特性に対する実測特性の較正量を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁の電子制御式コントロール弁較正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気−油圧式の電子制御式コントロール弁の指令値に対するストローク精度は、従来の油圧パイロット制御式コントロール弁に対し低い。
【0003】
このような電子制御式コントロール弁を用いた作業機械(電子バージョン機)において、この電子制御式コントロール弁による操作性のばらつきが機械によって大きく、課題となっている。
【0004】
その原因は、電油変換弁(ソレノイドを用いた電磁比例減圧弁)の特性によるためであり、製造公差が大きい、ヒステリシスが大きい、温度による影響が大きいなどである。
【0005】
すなわち、電油変換弁(電磁比例弁など)によりパイロット操作されるコントロール弁では、電油変換弁の入力電気信号に対するパイロット2次圧信号の入出力特性に製造公差、ヒステリシス特性などによるばらつきがあるため、電油変換弁の入力電気信号に対するコントロール弁のスプール変位にもばらつきが生じ、スプール変位にもばらつきによる操作性のばらつきが機械によって大きい。
【0006】
そのため、コントロール弁に電油変換弁を組込んだ後に、指令電流値に対しストロークを計測し、公差外れの場合には較正値としてコントローラに記憶させる必要がある。
【0007】
電油変換弁への入力電気信号に対する出力パイロット圧力信号をゲージポートで圧力測定して、電油変換弁の入出力特性をキャリブレーションする技術は知られている(例えば、特許文献1)。
【0008】
しかしながら、入力電気信号に対するコントロール弁のストロークは検出できない。コントロール弁のストロークを正確に計測するには、ストロークセンサを各々のスプールに取付けて、キャリブレーションを実施する必要がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−289202号公報(第2−3頁、図1−2)
【特許文献2】特開平6−58307号公報(第8−9頁、図9−10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、スプールごとにストロークセンサを取付け、キャリブレーションを実施すると、バルブ製造時のテスト時間の増加またはストロークセンサの追加によるコスト増を生じている。また、フィールドで故障により電油変換弁を交換した場合、較正のために再度ストロークセンサを取付け、キャリブレーションを実施する必要があり、作業性が悪い。
【0010】
また、スプールのパイロット室や、このパイロット室にパイロット圧力流体を供給するパイロット通路にエアが混在すると、スプールストローク精度が悪化する不具合が生じるため、エア抜きが必要であるが、従来は、エア排出のための充分な機構が設けられていなかった。
【0011】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電子制御式コントロール弁のキャリブレーション作業にストロークセンサを不要とし、製造効率の改善が可能となり、また、フィールドでの対応も実機上でキャリブレーション可能とし、作業効率の改善となる電子制御式コントロール弁較正装置を提供することを目的とする。さらに、このキャリブレーション作業に伴ってコントロール弁から自動的にエア抜きをすることも可能な電子制御式コントロール弁較正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁のスプールに一体的に設けられ、ストロークとの位置関係で設定された通路開放位置と通路遮断位置とを有する開閉弁構造部と、この開閉弁構造部を経てポンプからタンクに配設された測定通路と、この測定通路における開閉弁構造部よりポンプ側に接続された圧力検出器と、圧力検出器により測定通路の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁に入力された電気信号値を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求めて、基準特性に対する実測特性の較正量を求めるコントローラとを具備した電子制御式コントロール弁較正装置である。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子制御式コントロール弁較正装置におけるスプールおよび開閉弁構造部が、複数設けられ、測定通路は、複数の開閉弁構造部を順次経て配設されたものである。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の電子制御式コントロール弁較正装置における測定通路が、ポンプから他の流体圧回路への通路から分岐され、その分岐点と圧力検出器の接続部との間の測定通路中に設けられたオリフィスを具備した較正装置である。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の電子制御式コントロール弁較正装置における開閉弁構造部が、スプール中立位置に対応する通路開放位置と、所定のストロークに対応する通路遮断位置とを具備し、コントローラは、圧力検出器により圧力変化が検出されたときに測定通路が遮断されたストロークと電気信号との関係を求めるものである。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の電子制御式コントロール弁較正装置における開閉弁構造部が、スプール中立位置に対応する第1の通路開放位置と、第1のストロークに対応する通路遮断位置と、第1のストロークより大きな第2のストロークに対応する第2の通路開放位置とを具備し、コントローラは、開閉弁構造部が第1の通路開放位置から通路遮断位置に変化する第1のストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第1のストロークとの関係を求めるとともに、通路遮断位置から第2の通路開放位置に変化する第2ストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第2のストロークとの関係を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求め、基準特性に対する実測特性の較正量を求めるものである。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1または3記載の電子制御式コントロール弁較正装置におけるスプールが、作動方向の少なくとも一側に開閉弁構造部を備え、作動方向の両側にパイロット圧力を受けるパイロット室を備え、各パイロット室に作用するパイロット圧力をそれぞれ制御する電磁比例弁を備え、少なくとも一側の開閉弁構造部は、スプールの中立位置からの変位により通路遮断位置から通路開放位置に変化する構造を有し、測定通路は、開閉弁構造部の通路開放位置からスプールのパイロット室を経て電磁比例弁に連通可能なエア抜き用通路と、エア抜き用通路から電磁比例弁の中立位置における内部通路を経てタンクに連通可能などレン通路とを備えたものである。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の電子制御式コントロール弁較正装置におけるスプールが、作動方向の両側に開閉弁構造部とパイロット室とをそれぞれ備え、両側の開閉弁構造部は、スプールの中立位置から一側への変位により、一側の開閉弁構造部が通路遮断位置から通路開放位置に変化するとともに、他側の開閉弁構造部が通路遮断位置を維持する構造を有し、エア抜き用通路は、両側の開閉弁構造部から両側のパイロット室を経て両側の電磁比例弁に対してそれぞれ設けられ、ドレン通路は、両側の電磁比例弁に対してそれぞれ設けられたものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁のスプールに一体的に設けられた開閉弁構造部が、ストロークとの位置関係で設定された通路開放位置と通路遮断位置とを有し、この開閉弁構造部を経て配設された測定通路の圧力変化を圧力検出器で検出することにより、コントローラにより、測定通路の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁に入力された電気信号と、開閉弁構造部のストローク位置との関係を求め、電気信号・ストローク位置の特性を基準特性値と比較して誤差を較正するので、電子制御式コントロール弁のキャリブレーション作業にストロークセンサを不要とすることができ、製造効率を改善できるとともに、フィールドでも実機上でキャリブレーションできるので、作業効率を改善できる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、測定通路が、複数の開閉弁構造部を順次経て配設されたので、複数のスプールのキャリブレーション作業を1つの圧力検出器を用いて順次行なうことができ、構造が簡単になる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、測定通路に流体を供給するポンプを他の流体圧回路と共用する場合は、オリフィスにより他の流体圧回路に必要な流体圧を供給できる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、開閉弁構造部が通路開放位置から通路遮断位置に変化するときのストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号とストロークとの関係から、ストロークにおける基準特性値との誤差を演算して、これを較正量として他の領域にも適用でき、基準特性値との誤差を迅速に較正できる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、開閉弁構造部が第1の通路開放位置から通路遮断位置に変化する第1のストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第1のストロークとの関係を求めるとともに、通路遮断位置から第2の通路開放位置に変化する第2ストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第2のストロークとの関係を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求めることができるので、基準特性に対する実測特性の較正量を求めることができ、実測特性を精度良く較正できる。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、ポンプから測定通路に供給されたキャリブレーション用流体は、開閉弁構造部の通路開放位置を通過した後、エア抜き用通路によりパイロット室を経て電磁比例弁に導かれ、さらにドレン通路に排出されるため、エアがパイロット室などに混入している場合でも、そのエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に外部へ排出でき、キャリブレーション作業に伴ってコントロール弁から自動的にエア抜きをすることも可能な電子制御式コントロール弁較正装置を提供できる。
【0025】
請求項7記載の発明によれば、スプールを中立位置から一側に変位させたときは、一側の開閉弁構造部などによりキャリブレーションを行うとともに、同側のパイロット室などからエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に排出でき、また、スプールを中立位置から他側に変位させたときは、他側の開閉弁構造部などによりキャリブレーションを行うとともに、同側のパイロット室などからエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を図1乃至図4に示された一実施の形態、図5乃至図8に示された他の実施の形態、図9乃至図12に示されたさらに別の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。図13は、各実施の形態が適用される作業機械を示す。
【0027】
この図13に示されるように、この作業機械としての油圧ショベル1は、下部走行体2に上部旋回体3が旋回可能に設けられ、この上部旋回体3に、動力装置4、キャブ5および作業装置6などが搭載されている。
【0028】
先ず、図1乃至図4に示された一実施の形態を説明する。
【0029】
上部旋回体3上には、図1に示されるように電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁11が搭載されている。この電子制御式コントロール弁11は、入力電流値などの電気信号に応じたパイロット圧力を出力する電磁比例減圧弁12と、この電磁比例減圧弁12からのパイロット圧力により変位方向および変位量制御されるパイロット操作式のスプール13とを複数組備えている。
【0030】
電磁比例減圧弁12は、キャブ5内に設けられた電気ジョイスティックなどの操作器14が入力側に接続されたコントローラ15の出力側に接続されている。コントローラ15からの入力電気信号に応じたパイロット圧力をコントローラ15に出力する。
【0031】
複数のスプール13は、それぞれが、メインポンプ(図示せず)から下部走行体2の流体圧アクチュエータ(走行モータ)、上部旋回体3の流体圧アクチュエータ(旋回モータ)、作業装置6の流体圧アクチュエータ(油圧シリンダ)に供給される作動油などの作動流体を方向制御および流量制御する。なお、図中では便宜上、3個のスプール13のみを示す。
【0032】
このような電子制御式コントロール弁11の各スプール13に開閉弁構造部16がそれぞれ一体的に設けられている。これらの開閉弁構造部16は、ストロークとの位置関係で設定された中央のスプール中立位置に対応する通路開放位置17と、その両側に設けられた所定のストロークに対応する通路遮断位置18とを有する。スプール13および開閉弁構造部16の設計により、通路開放位置17および通路遮断位置18は自由に設計できる。
【0033】
ポンプとしてのパイロットポンプ21からタンク22にわたって、これらの各スプール13の開閉弁構造部16を順次経た測定通路23が配設されている。
【0034】
この測定通路23における各開閉弁構造部16よりパイロットポンプ21側に圧力センサまたは圧力スイッチなどの圧力検出器24が接続されている。
【0035】
測定通路23は、パイロットポンプ21から他の流体圧回路、例えば電磁比例減圧弁12にパイロット1次圧を供給するパイロット1次圧回路などへの通路25から分岐され、その分岐点と圧力検出器24の接続部との間の測定通路23中にはオリフィス26が設けられている。なお、このオリフィス26は、切換弁でも代用できる。
【0036】
前記コントローラ15は、図3に示されるように圧力検出器24により測定通路23の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁11の電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力された電気信号としての測定電流値Iaと、開閉弁構造部16の設定されたストロークAとの関係から、すなわち、測定通路23が遮断されたストロークA位置と測定電流値Iaとの関係から、既知の基準特性Sと同一勾配の実測特性Rを求め、基準特性SのストロークAにおける基準電流値Ioと比較して、実測特性Rの較正量(−ΔIa)を演算する機能を備えている。この較正量(−ΔIa)は、任意の電流値における共通の較正量となる。
【0037】
すなわち、測定通路23が開閉弁構造部16の1つにより遮断されて、圧力検出器24により測定通路23の圧力変化(圧力上昇)が検出されたときに電子制御式コントロール弁11に入力された電気信号(測定電流値)と、開閉弁構造部16の設定されたストローク位置との実測特性Rを求め、電気信号・ストローク位置の実測特性Rを基準特性Sと比較して誤差を較正する機能を有する。
【0038】
図2は、開閉弁構造部16の動作を簡素化したものであり、測定通路23と対応する位置が、通路開放位置17から通路遮断位置18に切換わるストロークA点では、開閉弁構造部16の開口面積が全閉状態となるので、このとき、圧力検出器24は最大値を出力する。開閉弁構造部16はスプール13と一体に移動するので、開閉弁構造部16のストロークAは、スプール13のストロークAでもある。
【0039】
したがって、このセンサ出力を監視するコントローラ15は、圧力検出器24から検出した圧力変化によって、スプール13がストロークA点まで移動したことと、このときに電磁比例減圧弁12のソレノイドに対して入力された測定電流値とを検出することができる。ストロークA点の位置は、高精度に加工されている。
【0040】
図3に示されるように、スプール13がストロークA点にあるときコントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力した測定電流値はIaであるから、基準電流値Ioとの電流値誤差すなわち電流値較正量は、−ΔIaであり、コントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値を、他の領域でも常に、−ΔIaだけ較正する。
【0041】
次に、図1に示されたコントローラ15の制御方法を、図4に示されたフローチャートを参照して説明する。
【0042】
このコントローラ15は、以下に説明するように、電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値と、スプール13のストロークとの関係を計測し、測定電流値が基準電流値から外れている場合は、外れている値から自動的に較正を行うようにプログラミングされている。
【0043】
(ステップS1)
電子制御式コントロール弁11は、複数のスプール13が1ブロック内に内蔵されており、測定通路23が全てのスプール13の開閉弁構造部16を貫通しているので、コントローラ15は、キャリブレーションを実施しようとするスプール13のみの電磁比例減圧弁12に対して、漸次増大する測定電流を供給する。
【0044】
(ステップS2)
パイロットポンプ21からオリフィス26を経て測定通路23に作動油などの作動流体が加圧供給されているので、キャリブレーション対象のスプール13がストロークし、一定の距離を動くと、開閉弁構造部16の通路遮断位置18により測定通路23が遮断され、せき止められることにより、開閉弁構造部16とオリフィス26との間に所定の圧力が立ち、すなわち、測定通路23が、通路遮断位置18によって閉鎖されるストロークA点では、開閉弁構造部16の開口面積が全閉状態となり、このとき圧力検出器24は最大圧力値を出力するので、その圧力を圧力検出器24が検出したか否かを、コントローラ15は常に判断する。
【0045】
(ステップS3)
コントローラ15は、圧力検出器24が所定の圧力を検出した時点で測定電流値Iaを取込む。
【0046】
(ステップS4)
圧力検出器24の出力を監視するコントローラ15は、圧力検出器24からの所定の圧力発生を検出することによって、スプール13がストロークA点まで移動したことと、このときに電磁比例減圧弁12に対して入力した測定電流値Iaとを検出することができる。
【0047】
スプール13がストロークA点にあるときコントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力した測定電流値はIaであるから、図3に示されるように、基準特性Sと同一勾配の実測特性Rを求める。
【0048】
基準特性Sの基準電流値Ioと測定電流値Iaとの電流値誤差すなわち電流値較正量は、−ΔIaであり、コントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値を、他の領域でも常に、−ΔIaだけ較正する。
【0049】
次に、図1乃至図4に示された実施の形態の効果を説明する。
【0050】
電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁11のスプール13に一体的に設けられた開閉弁構造部16が、ストロークとの位置関係で設定された通路開放位置17と通路遮断位置18とを有し、この開閉弁構造部16を経て配設された測定通路23の圧力変化を圧力検出器24で検出することにより、コントローラ15は、測定通路23の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁11に入力された電気信号としての測定電流値Iaと、開閉弁構造部16のストロークA位置との関係を求め、電気信号・ストローク位置の特性を基準電流値Ioと比較して誤差を較正量(−ΔIa)とするので、電子制御式コントロール弁11のキャリブレーション作業にストロークセンサを不要とすることができ、製造効率を改善できる。
【0051】
電子制御式コントロール弁11とコントローラ15は一体ではないため実機上で一体化するが、ストロークセンサの着脱などの必要がないため、フィールドでも、実機上で容易にキャリブレーションできるので、作業効率を改善できる。
【0052】
測定通路23が、複数の開閉弁構造部16を順次貫通して配設されたので、複数のスプール13のキャリブレーション作業を、1つの圧力検出器24を用いて順次行なうことができ、ストロークセンサが不要であることと相まって、構造が簡単になる。
【0053】
測定通路23に流体を供給するポンプ21を他の流体圧回路(パイロット回路など)と共用する場合は、オリフィス26により他の流体圧回路で必要とされる流体圧、すなわちパイロット1次圧などを供給できる。
【0054】
開閉弁構造部16が通路開放位置17から通路遮断位置18に変化するときのストロークAを圧力変化により検出して、そのときの電気信号すなわち測定電流値IaとストロークAとの関係から、ストロークAにおける基準電流値Ioとの誤差を演算して、これを較正量(−ΔIa)として他の領域にも適用でき、基準特性値との誤差を迅速に較正できる。
【0055】
すなわち、高速域(大電流値域)では、測定電流値と基準電流値Ioとの誤差が拡大しても、その影響が少ないので、低速域(小電流値域)の較正量(−ΔIa)を算出すれば、この較正量を全域に適用することができる。
【0056】
次に、図5乃至図8に示された他の実施の形態を説明する。なお、図1乃至図4に示された実施の形態と同様の部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
図5に示されるように、開閉弁構造部16は、スプール中立位置に対応する第1の通路開放位置17と、図6に示される第1のストロークAに対応する通路遮断位置18と、第1のストロークAより大きな第2のストロークBに対応する第2の通路開放位置19とを具備している。A点とB点の位置は、高精度に加工する。
【0058】
そして、スプール13がストロークし、第1のストロークAに達すると、開閉弁構造部16の通路遮断位置18により測定通路23が遮蔽されて、圧力検出器24で検出される圧力が急激に上昇し、また、第2のストロークBに達すると、開閉弁構造部16の第2の通路開放位置19により測定通路23が開放されタンク22に連通するので、圧力検出器24で検出される圧力が急激に低下する。これらの圧力変化はコントローラ15に感知される。スプール13および開閉弁構造部16の設計により、第1の通路開放位置17、通路遮断位置18および第3の通路開放位置19は自由に設計できる。
【0059】
前記コントローラ15は、図7に示されるように圧力検出器24により測定通路23の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁11の電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力された電気信号としての測定電流値Ia,Ibと、開閉弁構造部16の設定されたストロークA,Bとの関係から、すなわち、測定通路23が遮断されたストロークA位置と測定電流値Iaとの関係、および測定通路23が開放されたストロークB位置と測定電流値Ibとの関係から、実測特性Rを求め、既知の基準特性Sと比較して、任意の電流値Icにおける較正量(−ΔIc)を演算する機能を備えている。
【0060】
次に、図5に示されたコントローラ15の制御方法を、図8に示されたフローチャートを参照して説明する。
【0061】
(ステップS11)
電子制御式コントロール弁11は、複数のスプール13が1ブロック内に内蔵されており、測定通路23が全てのスプール13の開閉弁構造部16を貫通しているので、コントローラ15は、キャリブレーションを実施しようとするスプール13のみの電磁比例減圧弁12に対して、漸次増大する測定電流を供給する。
【0062】
(ステップS12)
パイロットポンプ21からオリフィス26を経て測定通路23に作動油などの作動流体が加圧供給されているので、キャリブレーション対象のスプール13がストロークし、開閉弁構造部16が、第1の通路開放位置17から通路遮断位置18へと一定の距離を動くと、開閉弁構造部16の通路遮断位置18により測定通路23が遮断され、せき止められることにより、開閉弁構造部16とオリフィス26との間に所定の圧力が立ち、すなわち、測定通路23が、通路遮断位置18によって閉鎖されるストロークA点では、開閉弁構造部16の開口面積が全閉状態となり、このとき圧力検出器24は最大圧力値を出力するので、その圧力を圧力検出器24が検出したか否かを、コントローラ15は常に判断する。
【0063】
(ステップS13)
コントローラ15は、圧力検出器24が所定の圧力を検出した時点で測定電流値Iaを取込む。
【0064】
(ステップS14)
コントローラ15から電磁比例減圧弁12に出力される測定電流値をさらに増加させることで、開閉弁構造部16が通路遮断位置18から第2の通路開放位置19へとストロークする。
【0065】
(ステップS15)
スプール13のストロークがBとなり、開閉弁構造部16が通路開放位置19により測定通路23を開放すると、測定通路23の圧力が急激に低下し、この圧力変化は圧力検出器24により検出されてコントローラ15に感知されるので、圧力検出器24が圧力の低下を検出したか否かを、コントローラ15は常に判断する。
【0066】
(ステップS16)
コントローラ15は、圧力検出器24が圧力の低下を検出した時点で電磁比例減圧弁12に出力した測定電流値Ibを取込む。
【0067】
(ステップS17)
コントローラ15は、圧力検出器24からの所定の圧力発生を検出することによって、スプール13がストロークA点まで移動したことと、このときに電磁比例減圧弁12のソレノイドに対して入力した測定電流値がIaであることを検知するとともに、スプール13がストロークB点まで移動したことと、このときに電磁比例減圧弁12のソレノイドに対して入力した測定電流値Ibとを検出し、これらのストロークA点および測定電流値Iaと、ストロークB点および測定電流値Ibから、図7に示されるように実測特性Rを求める。
【0068】
(ステップS18)
図7に示されるように、実測特性Rと、既知の基準特性Sとから、任意の電流値Icにおける較正量(−ΔIc)を求める。
【0069】
次に、図5乃至図8に示された実施の形態の効果を説明する。なお、図1乃至図4に示された実施の形態の効果と同様な効果は省略し、異なる効果のみを説明する。
【0070】
開閉弁構造部16が第1の通路開放位置17から通路遮断位置18に変化する第1のストロークAを圧力変化により検出して、そのときの測定電流値Iaと第1のストロークAとの関係を求めるとともに、開閉弁構造部16が通路遮断位置18から第2の通路開放位置19に変化する第2ストロークBを圧力変化により検出して、そのときの測定電流値Ibと第2のストロークBとの関係を求めることで、測定電流値とストロークの実測特性Rを求めることができるので、既知の基準特性Sに対する実測特性Rの較正量を求めることができ、実測特性Rを精度良く較正できる。
【0071】
この場合は、小ストローク領域のA点だけでなく、大ストローク領域のB点でも、実測特性Rと基準特性Sとの比較により、正確なキャリブレーションが可能である。
【0072】
本発明により電子制御式コントロール弁11のキャリブレーション作業にストロークセンサが不要となり、テスト時間の短縮など、製造効率の改善が可能となる。また、フィールドでの対応も実機上でキャリブレーション可能となり、作業効率の改善となる。
【0073】
次に、図9乃至図12に示されたさらに別の他の実施の形態を説明する。なお、図1乃至図4に示された実施の形態と同様の部分には、同一符号を付して、その説明を省略する場合もある。
【0074】
図9に示されるように、電子制御式コントロール弁11は、入力電流値などの電気信号に応じたパイロット圧力を出力する電磁比例弁としての電磁比例減圧弁12と、この電磁比例減圧弁12からのパイロット圧力により変位方向および変位量を制御されるパイロット操作式のスプール13とを複数組備えている。
【0075】
これらの複数組の電磁比例減圧弁12とスプール13は1ブロックに内蔵されており、その全てのスプール13の作動方向である上下方向の両側に、スプールストロークにより通路を遮断または開通させるパイロット切換セクションすなわち開閉弁構造部16がそれぞれ設置されている。各電磁比例減圧弁12も各スプール13の上下両側にそれぞれ配置されている。
【0076】
各スプール13は、作動方向の両側に開閉弁構造部16とパイロット圧力を受けるパイロット室16pとをそれぞれ備えている。両側の各パイロット室16pに作用するパイロット圧力を上下両側に配置された電磁比例減圧弁12によりそれぞれ制御することで、各スプール13およびそれらの上下の開閉弁構造部16が一体的に変位されるようにする。
【0077】
各スプール13の上下の開閉弁構造部16は、反対側からのパイロット操作による所定のスプールストローク位置で通路を開放する通路開放位置17と、スプール中立位置および自身に作用するパイロット圧力による所定のスプールストローク位置でそれぞれ通路を遮断する通路遮断位置18とを有する。
【0078】
言い換えると、上下両側の開閉弁構造部16は、スプール13の中立位置から一側への変位により、一側の開閉弁構造部16が通路遮断位置18から通路開放位置17に変化するとともに、他側の開閉弁構造部16が通路遮断位置18を維持する構造を有する。
【0079】
図10は、開閉弁構造部16におけるスプールストロークと通路の開口面積との関係を示し、スプールストロークが0から通路開通ストロークAまでの間は、通路の開口面積は全閉状態であり、スプールストロークが通路開通ストロークA以上では、通路の開口面積は全開状態である。
【0080】
図9に戻って、ポンプとしてのパイロットポンプ21からパイロット流体を加圧供給される測定通路23は、各スプール13の開閉弁構造部16に対してそれぞれ分岐された通路23aと、各開閉弁構造部16の通路開放位置17から各スプール13の各パイロット室16pを経て各電磁比例減圧弁12にそれぞれ連通可能なエア抜き用通路23bと、各エア抜き用通路23bから各電磁比例減圧弁12の中立位置における内部通路を経てタンク22に連通可能などレン通路23cとを備えている。
【0081】
パイロットポンプ21からの通路25は、各電磁比例減圧弁12にパイロット1次圧をそれぞれ供給するパイロット1次圧通路25aに分岐されている。
【0082】
このような構成において、全てのスプール13がスプール中立位置にあるときは、パイロット切換セクションの通路遮断位置18により通路23a・エア抜き用通路23b間が遮断されており、この状態では圧力センサまたは圧力スイッチなどの圧力検出器24に高圧が立つので、圧力検出器24はオン状態になっている。
【0083】
一方、上下一側の電磁比例減圧弁12に電気信号が入力されて一側の通路25aからこの一側の電磁比例減圧弁12を経て一側の開閉弁構造部16のパイロット室16pにパイロット圧力が作用すると、このパイロット圧力により、いずれか1つのスプール13が中立位置から切換位置に移動する。
【0084】
このとき、このスプール13の上下他側に位置するパイロット切換セクションの開閉弁構造部16では、通路開放位置17により通路23a・エア抜き用通路23b間が連通され、さらに、上下他側の電磁比例減圧弁12は中立状態にあるので、その内部通路を経てエア抜き用通路23bとドレン通路23cとが連通されるので、測定通路23に所定の圧力低下が発生し、この圧力低下は、圧力検出器24により検出され、コントローラ15に送信される。
【0085】
次に、図9に示されたコントローラ15の制御方法を、図11に示された特性図、図12に示されたフローチャートを参照して説明する。
【0086】
このコントローラ15は、以下に説明するように、電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値と、スプール13のストロークとの関係を計測し、測定電流値Iaが基準電流値Ioから外れている場合は、外れている値から自動的に較正を行うようにプログラミングされている。
【0087】
(ステップS21)
全ての電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値が0のときは、電子制御式コントロール弁11の全てのスプール13が中立位置にあり、測定通路23の全ての通路23a・エア抜き用通路23b間が全ての開閉弁構造部16により遮断されているので、圧力検出器24は所定の圧力を出力している。この状態から、コントローラ15は、キャリブレーションを実施しようとするスプール13のみの電磁比例減圧弁12に対して、漸次増大する測定電流を供給する。
【0088】
(ステップS22)
パイロットポンプ21からオリフィス26を経て測定通路23に作動油などの作動流体が加圧供給されているので、キャリブレーション対象のスプール13がストロークし、通路開通ストロークAまでの一定の距離を動く間は、開閉弁構造部16の通路遮断位置18により通路23a・エア抜き用通路23b間が遮断され、せき止められることにより、開閉弁構造部16とオリフィス26との間に所定の圧力が維持されるが、通路23a・エア抜き用通路23b間が、通路開放位置17によって開放される通路開通ストロークA点では、開閉弁構造部16の開口面積が全開状態となり、このとき圧力検出器24は所定の圧力低下を検出して出力するので、その圧力低下の有無をコントローラ15は常に判断する。
【0089】
(ステップS23)
コントローラ15は、圧力検出器24が所定の圧力低下を検出した時点で測定電流値Iaを取込む。
【0090】
(ステップS24)
圧力検出器24の出力を監視するコントローラ15は、圧力検出器24からの所定の圧力低下を検出することによって、スプール13が通路開通ストロークA点まで移動したことと、このときに電磁比例減圧弁12に対して入力した測定電流値Iaとを検出することができる。
【0091】
スプール13が通路開通ストロークA点にあるときコントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力した測定電流値はIaであるから、図11に示されるように実測特性Rを求めることができる。なお、このとき、実測特性Rは基準特性Sと同一勾配であると仮定する。
【0092】
基準特性Sの基準電流値Ioと測定電流値Iaとの電流値誤差すなわち電流値較正量は、−ΔIaであり、コントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値を、他の領域でも常に、−ΔIaだけ較正する。
【0093】
次に、この図9乃至図12に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0094】
例えばスプール13の下側に位置する電磁比例減圧弁12に電流が印加され、パイロット圧力がスプール下側に作用すると、スプール13は上方にストロークし、通路開通ストロークAまで移動すると、スプール上側のパイロット切換セクションが開き、すなわち通路23aが、開閉弁構造部16の通路開放位置17を経てエア抜き用通路23bと連通し、このエア抜き用通路23bにより、スプール上側のパイロット室16pを経て、上側に位置する電磁比例減圧弁12と連通する。
【0095】
この上側の電磁比例減圧弁12は、中立状態であって、内部通路がドレン通路23c側に復帰しているので、エア抜き用通路23bは、この電磁比例減圧弁12の内部通路を経てドレン通路23cヘと繋がっている。このため、圧力検出器24は低圧となり、オフ状態となる。開閉弁構造部16の通路開放位置17に関連して、図10に示されるスプール13の通路開通ストロークAは、スプール13のデザインにより自由に設計できる。
【0096】
このように、パイロットポンプ21から測定通路23に供給されたキャリブレーション用流体は、通路23a、開閉弁構造部16の通路開放位置17、エア抜き用通路23bを通り、パイロット室16pを経て、中立状態の電磁比例減圧弁12の内部通路を通過して、ドレン通路23cに排出されるため、エアがパイロット室16pまたはこのパイロット室16pに連なるパイロット通路に混入している場合でも、そのエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に外部へ排出でき、キャリブレーション作業に伴ってスプール13のパイロット室16pなどから自動的にエア抜きをすることも可能な電子制御式コントロール弁較正装置を提供できる。
【0097】
このエア抜きは、スプール13の両側でそれぞれ行われ、スプール13を中立位置から一側に変位させたときは、一側の開閉弁構造部16などによりキャリブレーションを行うとともに、同側のパイロット室16pなどからエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に排出でき、また、スプール13を中立位置から他側に変位させたときは、他側の開閉弁構造部16などによりキャリブレーションを行うとともに、同側のパイロット室16pなどからエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に排出できる。
【0098】
さらに、既に説明したように、コントローラ15の指令により電磁比例減圧弁12に電流を送り、圧力検出器24で圧力低下したことを検出することによって、電流値と圧力低下したスプールストロークすなわち通路開通ストロークAとの関係を計測でき、通路開通ストロークAにおける測定電流値Iaが基準電流値Ioから外れている場合には、外れている値(−ΔIa)から他のスプールストロークにおいても自動的に補正を行うようにプログラミングされている。
【0099】
これにより、電子制御式コントロール弁11のキャリブレーション作業にストロークセンサが不要となり、テスト時間の短縮などの製造効率の改善が可能となる。また、フィールドでの対応においても、実機上でのキャリブレーション作業が可能となり、作業効率を改善できる。
【0100】
さらに、このキャリブレーション作業においてエア抜き機能も果たせる。すなわち、パイロット通路にエアが混在すると、スプールストローク精度が悪化する不具合を生じるが、エア排出のための上記エア抜き機構が設けられているので、スプールストローク精度を、より高めることができる。
【0101】
なお、図9に示されたエア抜き機構を兼ねたキャリブレーション機構は、スプール両側に設置したが、図1または図5に示されるようにキャリブレーション機構はスプール13の片側に設置すればよいので、図9に示されたエア抜き機構を兼ねたキャリブレーション機構も、エア抜きが容易でないスプール片側に設置すれば足りる場合もある。
【0102】
この場合、スプール13は、作動方向の一側に開閉弁構造部16を備え、作動方向の両側にパイロット圧力を受けるパイロット室16pを備え、各パイロット室16pに作用するパイロット圧力をそれぞれ制御する電磁比例減圧弁12を備え、開閉弁構造部16は、スプール13の中立位置からの変位により通路遮断位置18から通路開放位置17に変化する構造を有し、測定通路23は、開閉弁構造部16の通路開放位置17からパイロット室16pを経て電磁比例減圧弁12に連通可能なエア抜き用通路23bと、このエア抜き用通路23bから電磁比例減圧弁12の中立位置における内部通路を経てタンク22に連通可能などレン通路23cとを備えた構成である。
【0103】
本発明は、作業機械以外の電子制御式コントロール弁の較正にも一般的に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る電子制御式コントロール弁較正装置の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】同上較正装置の開閉弁構造部の開口特性を示す特性図である。
【図3】同上較正装置の電子制御式コントロール弁の変位特性を示す特性図である。
【図4】同上較正装置のコントローラの制御方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る電子制御式コントロール弁較正装置の他の実施の形態を示す回路図である。
【図6】同上較正装置の開閉弁構造部の開口特性を示す特性図である。
【図7】同上較正装置の電子制御式コントロール弁の変位特性を示す特性図である。
【図8】同上較正装置のコントローラの制御方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る電子制御式コントロール弁較正装置のさらに別の実施の形態を示す回路図である。
【図10】同上較正装置の開閉弁構造部の開口特性を示す特性図である。
【図11】同上較正装置の電子制御式コントロール弁の変位特性を示す特性図である。
【図12】同上較正装置のコントローラの制御方法を示すフローチャートである。
【図13】同上電子制御式コントロール弁が搭載された作業機械の側面図である。
【符号の説明】
【0105】
11 電子制御式コントロール弁
13 スプール
15 コントローラ
16 開閉弁構造部
17 通路開放位置(第1の通路開放位置)
18 通路遮断位置
19 第2の通路開放位置
21 ポンプとしてのパイロットポンプ
22 タンク
23 測定通路
24 圧力検出器
25 他の流体圧回路への通路
26 オリフィス
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁の電子制御式コントロール弁較正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気−油圧式の電子制御式コントロール弁の指令値に対するストローク精度は、従来の油圧パイロット制御式コントロール弁に対し低い。
【0003】
このような電子制御式コントロール弁を用いた作業機械(電子バージョン機)において、この電子制御式コントロール弁による操作性のばらつきが機械によって大きく、課題となっている。
【0004】
その原因は、電油変換弁(ソレノイドを用いた電磁比例減圧弁)の特性によるためであり、製造公差が大きい、ヒステリシスが大きい、温度による影響が大きいなどである。
【0005】
すなわち、電油変換弁(電磁比例弁など)によりパイロット操作されるコントロール弁では、電油変換弁の入力電気信号に対するパイロット2次圧信号の入出力特性に製造公差、ヒステリシス特性などによるばらつきがあるため、電油変換弁の入力電気信号に対するコントロール弁のスプール変位にもばらつきが生じ、スプール変位にもばらつきによる操作性のばらつきが機械によって大きい。
【0006】
そのため、コントロール弁に電油変換弁を組込んだ後に、指令電流値に対しストロークを計測し、公差外れの場合には較正値としてコントローラに記憶させる必要がある。
【0007】
電油変換弁への入力電気信号に対する出力パイロット圧力信号をゲージポートで圧力測定して、電油変換弁の入出力特性をキャリブレーションする技術は知られている(例えば、特許文献1)。
【0008】
しかしながら、入力電気信号に対するコントロール弁のストロークは検出できない。コントロール弁のストロークを正確に計測するには、ストロークセンサを各々のスプールに取付けて、キャリブレーションを実施する必要がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−289202号公報(第2−3頁、図1−2)
【特許文献2】特開平6−58307号公報(第8−9頁、図9−10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、スプールごとにストロークセンサを取付け、キャリブレーションを実施すると、バルブ製造時のテスト時間の増加またはストロークセンサの追加によるコスト増を生じている。また、フィールドで故障により電油変換弁を交換した場合、較正のために再度ストロークセンサを取付け、キャリブレーションを実施する必要があり、作業性が悪い。
【0010】
また、スプールのパイロット室や、このパイロット室にパイロット圧力流体を供給するパイロット通路にエアが混在すると、スプールストローク精度が悪化する不具合が生じるため、エア抜きが必要であるが、従来は、エア排出のための充分な機構が設けられていなかった。
【0011】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電子制御式コントロール弁のキャリブレーション作業にストロークセンサを不要とし、製造効率の改善が可能となり、また、フィールドでの対応も実機上でキャリブレーション可能とし、作業効率の改善となる電子制御式コントロール弁較正装置を提供することを目的とする。さらに、このキャリブレーション作業に伴ってコントロール弁から自動的にエア抜きをすることも可能な電子制御式コントロール弁較正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁のスプールに一体的に設けられ、ストロークとの位置関係で設定された通路開放位置と通路遮断位置とを有する開閉弁構造部と、この開閉弁構造部を経てポンプからタンクに配設された測定通路と、この測定通路における開閉弁構造部よりポンプ側に接続された圧力検出器と、圧力検出器により測定通路の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁に入力された電気信号値を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求めて、基準特性に対する実測特性の較正量を求めるコントローラとを具備した電子制御式コントロール弁較正装置である。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子制御式コントロール弁較正装置におけるスプールおよび開閉弁構造部が、複数設けられ、測定通路は、複数の開閉弁構造部を順次経て配設されたものである。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の電子制御式コントロール弁較正装置における測定通路が、ポンプから他の流体圧回路への通路から分岐され、その分岐点と圧力検出器の接続部との間の測定通路中に設けられたオリフィスを具備した較正装置である。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の電子制御式コントロール弁較正装置における開閉弁構造部が、スプール中立位置に対応する通路開放位置と、所定のストロークに対応する通路遮断位置とを具備し、コントローラは、圧力検出器により圧力変化が検出されたときに測定通路が遮断されたストロークと電気信号との関係を求めるものである。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の電子制御式コントロール弁較正装置における開閉弁構造部が、スプール中立位置に対応する第1の通路開放位置と、第1のストロークに対応する通路遮断位置と、第1のストロークより大きな第2のストロークに対応する第2の通路開放位置とを具備し、コントローラは、開閉弁構造部が第1の通路開放位置から通路遮断位置に変化する第1のストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第1のストロークとの関係を求めるとともに、通路遮断位置から第2の通路開放位置に変化する第2ストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第2のストロークとの関係を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求め、基準特性に対する実測特性の較正量を求めるものである。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1または3記載の電子制御式コントロール弁較正装置におけるスプールが、作動方向の少なくとも一側に開閉弁構造部を備え、作動方向の両側にパイロット圧力を受けるパイロット室を備え、各パイロット室に作用するパイロット圧力をそれぞれ制御する電磁比例弁を備え、少なくとも一側の開閉弁構造部は、スプールの中立位置からの変位により通路遮断位置から通路開放位置に変化する構造を有し、測定通路は、開閉弁構造部の通路開放位置からスプールのパイロット室を経て電磁比例弁に連通可能なエア抜き用通路と、エア抜き用通路から電磁比例弁の中立位置における内部通路を経てタンクに連通可能などレン通路とを備えたものである。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の電子制御式コントロール弁較正装置におけるスプールが、作動方向の両側に開閉弁構造部とパイロット室とをそれぞれ備え、両側の開閉弁構造部は、スプールの中立位置から一側への変位により、一側の開閉弁構造部が通路遮断位置から通路開放位置に変化するとともに、他側の開閉弁構造部が通路遮断位置を維持する構造を有し、エア抜き用通路は、両側の開閉弁構造部から両側のパイロット室を経て両側の電磁比例弁に対してそれぞれ設けられ、ドレン通路は、両側の電磁比例弁に対してそれぞれ設けられたものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁のスプールに一体的に設けられた開閉弁構造部が、ストロークとの位置関係で設定された通路開放位置と通路遮断位置とを有し、この開閉弁構造部を経て配設された測定通路の圧力変化を圧力検出器で検出することにより、コントローラにより、測定通路の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁に入力された電気信号と、開閉弁構造部のストローク位置との関係を求め、電気信号・ストローク位置の特性を基準特性値と比較して誤差を較正するので、電子制御式コントロール弁のキャリブレーション作業にストロークセンサを不要とすることができ、製造効率を改善できるとともに、フィールドでも実機上でキャリブレーションできるので、作業効率を改善できる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、測定通路が、複数の開閉弁構造部を順次経て配設されたので、複数のスプールのキャリブレーション作業を1つの圧力検出器を用いて順次行なうことができ、構造が簡単になる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、測定通路に流体を供給するポンプを他の流体圧回路と共用する場合は、オリフィスにより他の流体圧回路に必要な流体圧を供給できる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、開閉弁構造部が通路開放位置から通路遮断位置に変化するときのストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号とストロークとの関係から、ストロークにおける基準特性値との誤差を演算して、これを較正量として他の領域にも適用でき、基準特性値との誤差を迅速に較正できる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、開閉弁構造部が第1の通路開放位置から通路遮断位置に変化する第1のストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第1のストロークとの関係を求めるとともに、通路遮断位置から第2の通路開放位置に変化する第2ストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第2のストロークとの関係を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求めることができるので、基準特性に対する実測特性の較正量を求めることができ、実測特性を精度良く較正できる。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、ポンプから測定通路に供給されたキャリブレーション用流体は、開閉弁構造部の通路開放位置を通過した後、エア抜き用通路によりパイロット室を経て電磁比例弁に導かれ、さらにドレン通路に排出されるため、エアがパイロット室などに混入している場合でも、そのエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に外部へ排出でき、キャリブレーション作業に伴ってコントロール弁から自動的にエア抜きをすることも可能な電子制御式コントロール弁較正装置を提供できる。
【0025】
請求項7記載の発明によれば、スプールを中立位置から一側に変位させたときは、一側の開閉弁構造部などによりキャリブレーションを行うとともに、同側のパイロット室などからエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に排出でき、また、スプールを中立位置から他側に変位させたときは、他側の開閉弁構造部などによりキャリブレーションを行うとともに、同側のパイロット室などからエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を図1乃至図4に示された一実施の形態、図5乃至図8に示された他の実施の形態、図9乃至図12に示されたさらに別の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。図13は、各実施の形態が適用される作業機械を示す。
【0027】
この図13に示されるように、この作業機械としての油圧ショベル1は、下部走行体2に上部旋回体3が旋回可能に設けられ、この上部旋回体3に、動力装置4、キャブ5および作業装置6などが搭載されている。
【0028】
先ず、図1乃至図4に示された一実施の形態を説明する。
【0029】
上部旋回体3上には、図1に示されるように電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁11が搭載されている。この電子制御式コントロール弁11は、入力電流値などの電気信号に応じたパイロット圧力を出力する電磁比例減圧弁12と、この電磁比例減圧弁12からのパイロット圧力により変位方向および変位量制御されるパイロット操作式のスプール13とを複数組備えている。
【0030】
電磁比例減圧弁12は、キャブ5内に設けられた電気ジョイスティックなどの操作器14が入力側に接続されたコントローラ15の出力側に接続されている。コントローラ15からの入力電気信号に応じたパイロット圧力をコントローラ15に出力する。
【0031】
複数のスプール13は、それぞれが、メインポンプ(図示せず)から下部走行体2の流体圧アクチュエータ(走行モータ)、上部旋回体3の流体圧アクチュエータ(旋回モータ)、作業装置6の流体圧アクチュエータ(油圧シリンダ)に供給される作動油などの作動流体を方向制御および流量制御する。なお、図中では便宜上、3個のスプール13のみを示す。
【0032】
このような電子制御式コントロール弁11の各スプール13に開閉弁構造部16がそれぞれ一体的に設けられている。これらの開閉弁構造部16は、ストロークとの位置関係で設定された中央のスプール中立位置に対応する通路開放位置17と、その両側に設けられた所定のストロークに対応する通路遮断位置18とを有する。スプール13および開閉弁構造部16の設計により、通路開放位置17および通路遮断位置18は自由に設計できる。
【0033】
ポンプとしてのパイロットポンプ21からタンク22にわたって、これらの各スプール13の開閉弁構造部16を順次経た測定通路23が配設されている。
【0034】
この測定通路23における各開閉弁構造部16よりパイロットポンプ21側に圧力センサまたは圧力スイッチなどの圧力検出器24が接続されている。
【0035】
測定通路23は、パイロットポンプ21から他の流体圧回路、例えば電磁比例減圧弁12にパイロット1次圧を供給するパイロット1次圧回路などへの通路25から分岐され、その分岐点と圧力検出器24の接続部との間の測定通路23中にはオリフィス26が設けられている。なお、このオリフィス26は、切換弁でも代用できる。
【0036】
前記コントローラ15は、図3に示されるように圧力検出器24により測定通路23の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁11の電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力された電気信号としての測定電流値Iaと、開閉弁構造部16の設定されたストロークAとの関係から、すなわち、測定通路23が遮断されたストロークA位置と測定電流値Iaとの関係から、既知の基準特性Sと同一勾配の実測特性Rを求め、基準特性SのストロークAにおける基準電流値Ioと比較して、実測特性Rの較正量(−ΔIa)を演算する機能を備えている。この較正量(−ΔIa)は、任意の電流値における共通の較正量となる。
【0037】
すなわち、測定通路23が開閉弁構造部16の1つにより遮断されて、圧力検出器24により測定通路23の圧力変化(圧力上昇)が検出されたときに電子制御式コントロール弁11に入力された電気信号(測定電流値)と、開閉弁構造部16の設定されたストローク位置との実測特性Rを求め、電気信号・ストローク位置の実測特性Rを基準特性Sと比較して誤差を較正する機能を有する。
【0038】
図2は、開閉弁構造部16の動作を簡素化したものであり、測定通路23と対応する位置が、通路開放位置17から通路遮断位置18に切換わるストロークA点では、開閉弁構造部16の開口面積が全閉状態となるので、このとき、圧力検出器24は最大値を出力する。開閉弁構造部16はスプール13と一体に移動するので、開閉弁構造部16のストロークAは、スプール13のストロークAでもある。
【0039】
したがって、このセンサ出力を監視するコントローラ15は、圧力検出器24から検出した圧力変化によって、スプール13がストロークA点まで移動したことと、このときに電磁比例減圧弁12のソレノイドに対して入力された測定電流値とを検出することができる。ストロークA点の位置は、高精度に加工されている。
【0040】
図3に示されるように、スプール13がストロークA点にあるときコントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力した測定電流値はIaであるから、基準電流値Ioとの電流値誤差すなわち電流値較正量は、−ΔIaであり、コントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値を、他の領域でも常に、−ΔIaだけ較正する。
【0041】
次に、図1に示されたコントローラ15の制御方法を、図4に示されたフローチャートを参照して説明する。
【0042】
このコントローラ15は、以下に説明するように、電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値と、スプール13のストロークとの関係を計測し、測定電流値が基準電流値から外れている場合は、外れている値から自動的に較正を行うようにプログラミングされている。
【0043】
(ステップS1)
電子制御式コントロール弁11は、複数のスプール13が1ブロック内に内蔵されており、測定通路23が全てのスプール13の開閉弁構造部16を貫通しているので、コントローラ15は、キャリブレーションを実施しようとするスプール13のみの電磁比例減圧弁12に対して、漸次増大する測定電流を供給する。
【0044】
(ステップS2)
パイロットポンプ21からオリフィス26を経て測定通路23に作動油などの作動流体が加圧供給されているので、キャリブレーション対象のスプール13がストロークし、一定の距離を動くと、開閉弁構造部16の通路遮断位置18により測定通路23が遮断され、せき止められることにより、開閉弁構造部16とオリフィス26との間に所定の圧力が立ち、すなわち、測定通路23が、通路遮断位置18によって閉鎖されるストロークA点では、開閉弁構造部16の開口面積が全閉状態となり、このとき圧力検出器24は最大圧力値を出力するので、その圧力を圧力検出器24が検出したか否かを、コントローラ15は常に判断する。
【0045】
(ステップS3)
コントローラ15は、圧力検出器24が所定の圧力を検出した時点で測定電流値Iaを取込む。
【0046】
(ステップS4)
圧力検出器24の出力を監視するコントローラ15は、圧力検出器24からの所定の圧力発生を検出することによって、スプール13がストロークA点まで移動したことと、このときに電磁比例減圧弁12に対して入力した測定電流値Iaとを検出することができる。
【0047】
スプール13がストロークA点にあるときコントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力した測定電流値はIaであるから、図3に示されるように、基準特性Sと同一勾配の実測特性Rを求める。
【0048】
基準特性Sの基準電流値Ioと測定電流値Iaとの電流値誤差すなわち電流値較正量は、−ΔIaであり、コントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値を、他の領域でも常に、−ΔIaだけ較正する。
【0049】
次に、図1乃至図4に示された実施の形態の効果を説明する。
【0050】
電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁11のスプール13に一体的に設けられた開閉弁構造部16が、ストロークとの位置関係で設定された通路開放位置17と通路遮断位置18とを有し、この開閉弁構造部16を経て配設された測定通路23の圧力変化を圧力検出器24で検出することにより、コントローラ15は、測定通路23の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁11に入力された電気信号としての測定電流値Iaと、開閉弁構造部16のストロークA位置との関係を求め、電気信号・ストローク位置の特性を基準電流値Ioと比較して誤差を較正量(−ΔIa)とするので、電子制御式コントロール弁11のキャリブレーション作業にストロークセンサを不要とすることができ、製造効率を改善できる。
【0051】
電子制御式コントロール弁11とコントローラ15は一体ではないため実機上で一体化するが、ストロークセンサの着脱などの必要がないため、フィールドでも、実機上で容易にキャリブレーションできるので、作業効率を改善できる。
【0052】
測定通路23が、複数の開閉弁構造部16を順次貫通して配設されたので、複数のスプール13のキャリブレーション作業を、1つの圧力検出器24を用いて順次行なうことができ、ストロークセンサが不要であることと相まって、構造が簡単になる。
【0053】
測定通路23に流体を供給するポンプ21を他の流体圧回路(パイロット回路など)と共用する場合は、オリフィス26により他の流体圧回路で必要とされる流体圧、すなわちパイロット1次圧などを供給できる。
【0054】
開閉弁構造部16が通路開放位置17から通路遮断位置18に変化するときのストロークAを圧力変化により検出して、そのときの電気信号すなわち測定電流値IaとストロークAとの関係から、ストロークAにおける基準電流値Ioとの誤差を演算して、これを較正量(−ΔIa)として他の領域にも適用でき、基準特性値との誤差を迅速に較正できる。
【0055】
すなわち、高速域(大電流値域)では、測定電流値と基準電流値Ioとの誤差が拡大しても、その影響が少ないので、低速域(小電流値域)の較正量(−ΔIa)を算出すれば、この較正量を全域に適用することができる。
【0056】
次に、図5乃至図8に示された他の実施の形態を説明する。なお、図1乃至図4に示された実施の形態と同様の部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
図5に示されるように、開閉弁構造部16は、スプール中立位置に対応する第1の通路開放位置17と、図6に示される第1のストロークAに対応する通路遮断位置18と、第1のストロークAより大きな第2のストロークBに対応する第2の通路開放位置19とを具備している。A点とB点の位置は、高精度に加工する。
【0058】
そして、スプール13がストロークし、第1のストロークAに達すると、開閉弁構造部16の通路遮断位置18により測定通路23が遮蔽されて、圧力検出器24で検出される圧力が急激に上昇し、また、第2のストロークBに達すると、開閉弁構造部16の第2の通路開放位置19により測定通路23が開放されタンク22に連通するので、圧力検出器24で検出される圧力が急激に低下する。これらの圧力変化はコントローラ15に感知される。スプール13および開閉弁構造部16の設計により、第1の通路開放位置17、通路遮断位置18および第3の通路開放位置19は自由に設計できる。
【0059】
前記コントローラ15は、図7に示されるように圧力検出器24により測定通路23の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁11の電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力された電気信号としての測定電流値Ia,Ibと、開閉弁構造部16の設定されたストロークA,Bとの関係から、すなわち、測定通路23が遮断されたストロークA位置と測定電流値Iaとの関係、および測定通路23が開放されたストロークB位置と測定電流値Ibとの関係から、実測特性Rを求め、既知の基準特性Sと比較して、任意の電流値Icにおける較正量(−ΔIc)を演算する機能を備えている。
【0060】
次に、図5に示されたコントローラ15の制御方法を、図8に示されたフローチャートを参照して説明する。
【0061】
(ステップS11)
電子制御式コントロール弁11は、複数のスプール13が1ブロック内に内蔵されており、測定通路23が全てのスプール13の開閉弁構造部16を貫通しているので、コントローラ15は、キャリブレーションを実施しようとするスプール13のみの電磁比例減圧弁12に対して、漸次増大する測定電流を供給する。
【0062】
(ステップS12)
パイロットポンプ21からオリフィス26を経て測定通路23に作動油などの作動流体が加圧供給されているので、キャリブレーション対象のスプール13がストロークし、開閉弁構造部16が、第1の通路開放位置17から通路遮断位置18へと一定の距離を動くと、開閉弁構造部16の通路遮断位置18により測定通路23が遮断され、せき止められることにより、開閉弁構造部16とオリフィス26との間に所定の圧力が立ち、すなわち、測定通路23が、通路遮断位置18によって閉鎖されるストロークA点では、開閉弁構造部16の開口面積が全閉状態となり、このとき圧力検出器24は最大圧力値を出力するので、その圧力を圧力検出器24が検出したか否かを、コントローラ15は常に判断する。
【0063】
(ステップS13)
コントローラ15は、圧力検出器24が所定の圧力を検出した時点で測定電流値Iaを取込む。
【0064】
(ステップS14)
コントローラ15から電磁比例減圧弁12に出力される測定電流値をさらに増加させることで、開閉弁構造部16が通路遮断位置18から第2の通路開放位置19へとストロークする。
【0065】
(ステップS15)
スプール13のストロークがBとなり、開閉弁構造部16が通路開放位置19により測定通路23を開放すると、測定通路23の圧力が急激に低下し、この圧力変化は圧力検出器24により検出されてコントローラ15に感知されるので、圧力検出器24が圧力の低下を検出したか否かを、コントローラ15は常に判断する。
【0066】
(ステップS16)
コントローラ15は、圧力検出器24が圧力の低下を検出した時点で電磁比例減圧弁12に出力した測定電流値Ibを取込む。
【0067】
(ステップS17)
コントローラ15は、圧力検出器24からの所定の圧力発生を検出することによって、スプール13がストロークA点まで移動したことと、このときに電磁比例減圧弁12のソレノイドに対して入力した測定電流値がIaであることを検知するとともに、スプール13がストロークB点まで移動したことと、このときに電磁比例減圧弁12のソレノイドに対して入力した測定電流値Ibとを検出し、これらのストロークA点および測定電流値Iaと、ストロークB点および測定電流値Ibから、図7に示されるように実測特性Rを求める。
【0068】
(ステップS18)
図7に示されるように、実測特性Rと、既知の基準特性Sとから、任意の電流値Icにおける較正量(−ΔIc)を求める。
【0069】
次に、図5乃至図8に示された実施の形態の効果を説明する。なお、図1乃至図4に示された実施の形態の効果と同様な効果は省略し、異なる効果のみを説明する。
【0070】
開閉弁構造部16が第1の通路開放位置17から通路遮断位置18に変化する第1のストロークAを圧力変化により検出して、そのときの測定電流値Iaと第1のストロークAとの関係を求めるとともに、開閉弁構造部16が通路遮断位置18から第2の通路開放位置19に変化する第2ストロークBを圧力変化により検出して、そのときの測定電流値Ibと第2のストロークBとの関係を求めることで、測定電流値とストロークの実測特性Rを求めることができるので、既知の基準特性Sに対する実測特性Rの較正量を求めることができ、実測特性Rを精度良く較正できる。
【0071】
この場合は、小ストローク領域のA点だけでなく、大ストローク領域のB点でも、実測特性Rと基準特性Sとの比較により、正確なキャリブレーションが可能である。
【0072】
本発明により電子制御式コントロール弁11のキャリブレーション作業にストロークセンサが不要となり、テスト時間の短縮など、製造効率の改善が可能となる。また、フィールドでの対応も実機上でキャリブレーション可能となり、作業効率の改善となる。
【0073】
次に、図9乃至図12に示されたさらに別の他の実施の形態を説明する。なお、図1乃至図4に示された実施の形態と同様の部分には、同一符号を付して、その説明を省略する場合もある。
【0074】
図9に示されるように、電子制御式コントロール弁11は、入力電流値などの電気信号に応じたパイロット圧力を出力する電磁比例弁としての電磁比例減圧弁12と、この電磁比例減圧弁12からのパイロット圧力により変位方向および変位量を制御されるパイロット操作式のスプール13とを複数組備えている。
【0075】
これらの複数組の電磁比例減圧弁12とスプール13は1ブロックに内蔵されており、その全てのスプール13の作動方向である上下方向の両側に、スプールストロークにより通路を遮断または開通させるパイロット切換セクションすなわち開閉弁構造部16がそれぞれ設置されている。各電磁比例減圧弁12も各スプール13の上下両側にそれぞれ配置されている。
【0076】
各スプール13は、作動方向の両側に開閉弁構造部16とパイロット圧力を受けるパイロット室16pとをそれぞれ備えている。両側の各パイロット室16pに作用するパイロット圧力を上下両側に配置された電磁比例減圧弁12によりそれぞれ制御することで、各スプール13およびそれらの上下の開閉弁構造部16が一体的に変位されるようにする。
【0077】
各スプール13の上下の開閉弁構造部16は、反対側からのパイロット操作による所定のスプールストローク位置で通路を開放する通路開放位置17と、スプール中立位置および自身に作用するパイロット圧力による所定のスプールストローク位置でそれぞれ通路を遮断する通路遮断位置18とを有する。
【0078】
言い換えると、上下両側の開閉弁構造部16は、スプール13の中立位置から一側への変位により、一側の開閉弁構造部16が通路遮断位置18から通路開放位置17に変化するとともに、他側の開閉弁構造部16が通路遮断位置18を維持する構造を有する。
【0079】
図10は、開閉弁構造部16におけるスプールストロークと通路の開口面積との関係を示し、スプールストロークが0から通路開通ストロークAまでの間は、通路の開口面積は全閉状態であり、スプールストロークが通路開通ストロークA以上では、通路の開口面積は全開状態である。
【0080】
図9に戻って、ポンプとしてのパイロットポンプ21からパイロット流体を加圧供給される測定通路23は、各スプール13の開閉弁構造部16に対してそれぞれ分岐された通路23aと、各開閉弁構造部16の通路開放位置17から各スプール13の各パイロット室16pを経て各電磁比例減圧弁12にそれぞれ連通可能なエア抜き用通路23bと、各エア抜き用通路23bから各電磁比例減圧弁12の中立位置における内部通路を経てタンク22に連通可能などレン通路23cとを備えている。
【0081】
パイロットポンプ21からの通路25は、各電磁比例減圧弁12にパイロット1次圧をそれぞれ供給するパイロット1次圧通路25aに分岐されている。
【0082】
このような構成において、全てのスプール13がスプール中立位置にあるときは、パイロット切換セクションの通路遮断位置18により通路23a・エア抜き用通路23b間が遮断されており、この状態では圧力センサまたは圧力スイッチなどの圧力検出器24に高圧が立つので、圧力検出器24はオン状態になっている。
【0083】
一方、上下一側の電磁比例減圧弁12に電気信号が入力されて一側の通路25aからこの一側の電磁比例減圧弁12を経て一側の開閉弁構造部16のパイロット室16pにパイロット圧力が作用すると、このパイロット圧力により、いずれか1つのスプール13が中立位置から切換位置に移動する。
【0084】
このとき、このスプール13の上下他側に位置するパイロット切換セクションの開閉弁構造部16では、通路開放位置17により通路23a・エア抜き用通路23b間が連通され、さらに、上下他側の電磁比例減圧弁12は中立状態にあるので、その内部通路を経てエア抜き用通路23bとドレン通路23cとが連通されるので、測定通路23に所定の圧力低下が発生し、この圧力低下は、圧力検出器24により検出され、コントローラ15に送信される。
【0085】
次に、図9に示されたコントローラ15の制御方法を、図11に示された特性図、図12に示されたフローチャートを参照して説明する。
【0086】
このコントローラ15は、以下に説明するように、電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値と、スプール13のストロークとの関係を計測し、測定電流値Iaが基準電流値Ioから外れている場合は、外れている値から自動的に較正を行うようにプログラミングされている。
【0087】
(ステップS21)
全ての電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値が0のときは、電子制御式コントロール弁11の全てのスプール13が中立位置にあり、測定通路23の全ての通路23a・エア抜き用通路23b間が全ての開閉弁構造部16により遮断されているので、圧力検出器24は所定の圧力を出力している。この状態から、コントローラ15は、キャリブレーションを実施しようとするスプール13のみの電磁比例減圧弁12に対して、漸次増大する測定電流を供給する。
【0088】
(ステップS22)
パイロットポンプ21からオリフィス26を経て測定通路23に作動油などの作動流体が加圧供給されているので、キャリブレーション対象のスプール13がストロークし、通路開通ストロークAまでの一定の距離を動く間は、開閉弁構造部16の通路遮断位置18により通路23a・エア抜き用通路23b間が遮断され、せき止められることにより、開閉弁構造部16とオリフィス26との間に所定の圧力が維持されるが、通路23a・エア抜き用通路23b間が、通路開放位置17によって開放される通路開通ストロークA点では、開閉弁構造部16の開口面積が全開状態となり、このとき圧力検出器24は所定の圧力低下を検出して出力するので、その圧力低下の有無をコントローラ15は常に判断する。
【0089】
(ステップS23)
コントローラ15は、圧力検出器24が所定の圧力低下を検出した時点で測定電流値Iaを取込む。
【0090】
(ステップS24)
圧力検出器24の出力を監視するコントローラ15は、圧力検出器24からの所定の圧力低下を検出することによって、スプール13が通路開通ストロークA点まで移動したことと、このときに電磁比例減圧弁12に対して入力した測定電流値Iaとを検出することができる。
【0091】
スプール13が通路開通ストロークA点にあるときコントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力した測定電流値はIaであるから、図11に示されるように実測特性Rを求めることができる。なお、このとき、実測特性Rは基準特性Sと同一勾配であると仮定する。
【0092】
基準特性Sの基準電流値Ioと測定電流値Iaとの電流値誤差すなわち電流値較正量は、−ΔIaであり、コントローラ15から電磁比例減圧弁12のソレノイドに入力される測定電流値を、他の領域でも常に、−ΔIaだけ較正する。
【0093】
次に、この図9乃至図12に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0094】
例えばスプール13の下側に位置する電磁比例減圧弁12に電流が印加され、パイロット圧力がスプール下側に作用すると、スプール13は上方にストロークし、通路開通ストロークAまで移動すると、スプール上側のパイロット切換セクションが開き、すなわち通路23aが、開閉弁構造部16の通路開放位置17を経てエア抜き用通路23bと連通し、このエア抜き用通路23bにより、スプール上側のパイロット室16pを経て、上側に位置する電磁比例減圧弁12と連通する。
【0095】
この上側の電磁比例減圧弁12は、中立状態であって、内部通路がドレン通路23c側に復帰しているので、エア抜き用通路23bは、この電磁比例減圧弁12の内部通路を経てドレン通路23cヘと繋がっている。このため、圧力検出器24は低圧となり、オフ状態となる。開閉弁構造部16の通路開放位置17に関連して、図10に示されるスプール13の通路開通ストロークAは、スプール13のデザインにより自由に設計できる。
【0096】
このように、パイロットポンプ21から測定通路23に供給されたキャリブレーション用流体は、通路23a、開閉弁構造部16の通路開放位置17、エア抜き用通路23bを通り、パイロット室16pを経て、中立状態の電磁比例減圧弁12の内部通路を通過して、ドレン通路23cに排出されるため、エアがパイロット室16pまたはこのパイロット室16pに連なるパイロット通路に混入している場合でも、そのエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に外部へ排出でき、キャリブレーション作業に伴ってスプール13のパイロット室16pなどから自動的にエア抜きをすることも可能な電子制御式コントロール弁較正装置を提供できる。
【0097】
このエア抜きは、スプール13の両側でそれぞれ行われ、スプール13を中立位置から一側に変位させたときは、一側の開閉弁構造部16などによりキャリブレーションを行うとともに、同側のパイロット室16pなどからエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に排出でき、また、スプール13を中立位置から他側に変位させたときは、他側の開閉弁構造部16などによりキャリブレーションを行うとともに、同側のパイロット室16pなどからエアをキャリブレーション用流体とともに自動的に排出できる。
【0098】
さらに、既に説明したように、コントローラ15の指令により電磁比例減圧弁12に電流を送り、圧力検出器24で圧力低下したことを検出することによって、電流値と圧力低下したスプールストロークすなわち通路開通ストロークAとの関係を計測でき、通路開通ストロークAにおける測定電流値Iaが基準電流値Ioから外れている場合には、外れている値(−ΔIa)から他のスプールストロークにおいても自動的に補正を行うようにプログラミングされている。
【0099】
これにより、電子制御式コントロール弁11のキャリブレーション作業にストロークセンサが不要となり、テスト時間の短縮などの製造効率の改善が可能となる。また、フィールドでの対応においても、実機上でのキャリブレーション作業が可能となり、作業効率を改善できる。
【0100】
さらに、このキャリブレーション作業においてエア抜き機能も果たせる。すなわち、パイロット通路にエアが混在すると、スプールストローク精度が悪化する不具合を生じるが、エア排出のための上記エア抜き機構が設けられているので、スプールストローク精度を、より高めることができる。
【0101】
なお、図9に示されたエア抜き機構を兼ねたキャリブレーション機構は、スプール両側に設置したが、図1または図5に示されるようにキャリブレーション機構はスプール13の片側に設置すればよいので、図9に示されたエア抜き機構を兼ねたキャリブレーション機構も、エア抜きが容易でないスプール片側に設置すれば足りる場合もある。
【0102】
この場合、スプール13は、作動方向の一側に開閉弁構造部16を備え、作動方向の両側にパイロット圧力を受けるパイロット室16pを備え、各パイロット室16pに作用するパイロット圧力をそれぞれ制御する電磁比例減圧弁12を備え、開閉弁構造部16は、スプール13の中立位置からの変位により通路遮断位置18から通路開放位置17に変化する構造を有し、測定通路23は、開閉弁構造部16の通路開放位置17からパイロット室16pを経て電磁比例減圧弁12に連通可能なエア抜き用通路23bと、このエア抜き用通路23bから電磁比例減圧弁12の中立位置における内部通路を経てタンク22に連通可能などレン通路23cとを備えた構成である。
【0103】
本発明は、作業機械以外の電子制御式コントロール弁の較正にも一般的に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る電子制御式コントロール弁較正装置の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】同上較正装置の開閉弁構造部の開口特性を示す特性図である。
【図3】同上較正装置の電子制御式コントロール弁の変位特性を示す特性図である。
【図4】同上較正装置のコントローラの制御方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る電子制御式コントロール弁較正装置の他の実施の形態を示す回路図である。
【図6】同上較正装置の開閉弁構造部の開口特性を示す特性図である。
【図7】同上較正装置の電子制御式コントロール弁の変位特性を示す特性図である。
【図8】同上較正装置のコントローラの制御方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る電子制御式コントロール弁較正装置のさらに別の実施の形態を示す回路図である。
【図10】同上較正装置の開閉弁構造部の開口特性を示す特性図である。
【図11】同上較正装置の電子制御式コントロール弁の変位特性を示す特性図である。
【図12】同上較正装置のコントローラの制御方法を示すフローチャートである。
【図13】同上電子制御式コントロール弁が搭載された作業機械の側面図である。
【符号の説明】
【0105】
11 電子制御式コントロール弁
13 スプール
15 コントローラ
16 開閉弁構造部
17 通路開放位置(第1の通路開放位置)
18 通路遮断位置
19 第2の通路開放位置
21 ポンプとしてのパイロットポンプ
22 タンク
23 測定通路
24 圧力検出器
25 他の流体圧回路への通路
26 オリフィス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁のスプールに一体的に設けられ、ストロークとの位置関係で設定された通路開放位置と通路遮断位置とを有する開閉弁構造部と、
この開閉弁構造部を経てポンプからタンクに配設された測定通路と、
この測定通路における開閉弁構造部よりポンプ側に接続された圧力検出器と、
圧力検出器により測定通路の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁に入力された電気信号値を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求めて、基準特性に対する実測特性の較正量を求めるコントローラと
を具備したことを特徴とする電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項2】
スプールおよび開閉弁構造部は、複数設けられ、
測定通路は、複数の開閉弁構造部を順次経て配設された
ことを特徴とする請求項1記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項3】
測定通路は、ポンプから他の流体圧回路への通路から分岐され、
その分岐点と圧力検出器の接続部との間の測定通路中に設けられたオリフィス
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項4】
開閉弁構造部は、
スプール中立位置に対応する通路開放位置と、
所定のストロークに対応する通路遮断位置とを具備し、
コントローラは、圧力検出器により圧力変化が検出されたときに測定通路が遮断されたストロークと電気信号との関係を求める
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項5】
開閉弁構造部は、
スプール中立位置に対応する第1の通路開放位置と、
第1のストロークに対応する通路遮断位置と、
第1のストロークより大きな第2のストロークに対応する第2の通路開放位置とを具備し、
コントローラは、開閉弁構造部が第1の通路開放位置から通路遮断位置に変化する第1のストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第1のストロークとの関係を求めるとともに、通路遮断位置から第2の通路開放位置に変化する第2ストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第2のストロークとの関係を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求め、基準特性に対する実測特性の較正量を求める
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項6】
スプールは、
作動方向の少なくとも一側に開閉弁構造部を備え、作動方向の両側にパイロット圧力を受けるパイロット室を備え、
各パイロット室に作用するパイロット圧力をそれぞれ制御する電磁比例弁を備え、
少なくとも一側の開閉弁構造部は、スプールの中立位置からの変位により通路遮断位置から通路開放位置に変化する構造を有し、
測定通路は、
開閉弁構造部の通路開放位置からスプールのパイロット室を経て電磁比例弁に連通可能なエア抜き用通路と、
エア抜き用通路から電磁比例弁の中立位置における内部通路を経てタンクに連通可能などレン通路とを備えた
ことを特徴とする請求項1または3記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項7】
スプールは、作動方向の両側に開閉弁構造部とパイロット室とをそれぞれ備え、
両側の開閉弁構造部は、スプールの中立位置から一側への変位により、一側の開閉弁構造部が通路遮断位置から通路開放位置に変化するとともに、他側の開閉弁構造部が通路遮断位置を維持する構造を有し、
エア抜き用通路は、両側の開閉弁構造部から両側のパイロット室を経て両側の電磁比例弁に対してそれぞれ設けられ、
ドレン通路は、両側の電磁比例弁に対してそれぞれ設けられた
ことを特徴とする請求項6記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項1】
電気信号に応じたストローク動作をする電子制御式コントロール弁のスプールに一体的に設けられ、ストロークとの位置関係で設定された通路開放位置と通路遮断位置とを有する開閉弁構造部と、
この開閉弁構造部を経てポンプからタンクに配設された測定通路と、
この測定通路における開閉弁構造部よりポンプ側に接続された圧力検出器と、
圧力検出器により測定通路の圧力変化が検出されたときに電子制御式コントロール弁に入力された電気信号値を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求めて、基準特性に対する実測特性の較正量を求めるコントローラと
を具備したことを特徴とする電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項2】
スプールおよび開閉弁構造部は、複数設けられ、
測定通路は、複数の開閉弁構造部を順次経て配設された
ことを特徴とする請求項1記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項3】
測定通路は、ポンプから他の流体圧回路への通路から分岐され、
その分岐点と圧力検出器の接続部との間の測定通路中に設けられたオリフィス
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項4】
開閉弁構造部は、
スプール中立位置に対応する通路開放位置と、
所定のストロークに対応する通路遮断位置とを具備し、
コントローラは、圧力検出器により圧力変化が検出されたときに測定通路が遮断されたストロークと電気信号との関係を求める
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項5】
開閉弁構造部は、
スプール中立位置に対応する第1の通路開放位置と、
第1のストロークに対応する通路遮断位置と、
第1のストロークより大きな第2のストロークに対応する第2の通路開放位置とを具備し、
コントローラは、開閉弁構造部が第1の通路開放位置から通路遮断位置に変化する第1のストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第1のストロークとの関係を求めるとともに、通路遮断位置から第2の通路開放位置に変化する第2ストロークを圧力変化により検出して、そのときの電気信号と第2のストロークとの関係を求めることで、電気信号とストロークの実測特性を求め、基準特性に対する実測特性の較正量を求める
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項6】
スプールは、
作動方向の少なくとも一側に開閉弁構造部を備え、作動方向の両側にパイロット圧力を受けるパイロット室を備え、
各パイロット室に作用するパイロット圧力をそれぞれ制御する電磁比例弁を備え、
少なくとも一側の開閉弁構造部は、スプールの中立位置からの変位により通路遮断位置から通路開放位置に変化する構造を有し、
測定通路は、
開閉弁構造部の通路開放位置からスプールのパイロット室を経て電磁比例弁に連通可能なエア抜き用通路と、
エア抜き用通路から電磁比例弁の中立位置における内部通路を経てタンクに連通可能などレン通路とを備えた
ことを特徴とする請求項1または3記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【請求項7】
スプールは、作動方向の両側に開閉弁構造部とパイロット室とをそれぞれ備え、
両側の開閉弁構造部は、スプールの中立位置から一側への変位により、一側の開閉弁構造部が通路遮断位置から通路開放位置に変化するとともに、他側の開閉弁構造部が通路遮断位置を維持する構造を有し、
エア抜き用通路は、両側の開閉弁構造部から両側のパイロット室を経て両側の電磁比例弁に対してそれぞれ設けられ、
ドレン通路は、両側の電磁比例弁に対してそれぞれ設けられた
ことを特徴とする請求項6記載の電子制御式コントロール弁較正装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−278490(P2007−278490A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132440(P2006−132440)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】
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