説明

電子制御装置

【課題】回路基板からカバー部材に伝達された電気ノイズを効果的に低減し得る電子制御装置を提供する。
【解決手段】液圧制御機器類が設けられたアルミ合金製の液圧制御ブロック3と、液圧制御ブロックに被嵌したアルミ合金製のカバー部材4と、液圧制御ブロックとカバー部材との間に保持されて、前記液圧制御機器類を駆動する電子制御機構2と、を備えている。電子制御機構は、液圧制御機器類を駆動するパワー電子回路を有する合成樹脂材のバスバー構成体11と、該バスバー構成体11を介して前記液圧制御機器の駆動を制御する回路基板12とからなり、バスバー構成体を介して液圧制御ブロックとカバー部材とを電気的に接続する導電性の細長い板状のアース接続部材23を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のアンチロックブレーキシステム(ABS)を制御するための電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の例えばアンチロックブレーキシステムなどに用いられる電子制御装置としては、例えば、以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
この従来の電子制御装置は、車体に電気的に導通したアルミ合金材からなる液圧制御ブロックと、該液圧制御ブロックの上端部に設けられた樹脂製のケースと、該ケースの上部に設けられたカバーと、該カバー内に収容された回路基板と、を備えている。
【0004】
前記ケースには、電気接続部材が取り付けられており、この電気接続部材は、一端側が前記回路基板の接地部にカバー内で接続され、他端側が液圧制御ブロックの上面に圧接している。これによって、液圧制御ブロックと回路基板の接地部が電気的に導通して同位となることから、回路基板の電子部品の電気ノイズを低減するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−290596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の電子制御装置にあっては、前記カバーが金属製の場合には、回路基板とカバーが近接して配置されていることから、回路基板で発生した電気ノイズがカバーを介して外部に放射されるおそれがある。また、前記液圧制御ブロックには、電動モータや増減圧弁などの駆動アクチュエータが設けられて、これらの電気ノイズがケースを介してカバーに伝達されて外部に放射されるおそれがある。
【0007】
本発明は、前記従来の電子制御装置の技術的課題に鑑みて案出されたもので、回路基板などからカバー部材に伝達された電気ノイズを効果的に低減し得る電子制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液圧制御機器類が設けられた金属製の液圧制御ブロックと、該液圧制御ブロックに被嵌した金属製のカバー部材と、液圧制御ブロックとカバー部材との間に保持されて、前記液圧制御機器類を駆動する電子制御機構と、を備え、前記電子制御機構は、前記液圧制御機器類を駆動するパワー電子回路を有する合成樹脂材のバスバー構成体と、該バスバー構成体を介して前記液圧制御機器類の駆動を制御する回路基板とからなり、前記バスバー構成体を介して前記液圧制御ブロックとカバー部材とを電気的に接続する電気接続部材を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回路基板からカバー部材に伝達された電気ノイズを、液圧制御ブロックに逃がすことができるので、カバー部材での電気ノイズを効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る電子制御装置の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】本実施形態の電子制御装置の要部拡大断面図である。
【図3】本実施形態に供されるアース接続部材と貫通孔を示す斜視図である。
【図4】同アース接続部材が貫通孔に係止した状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電子制御装置をABSに適用した実施形態を図面に基づいて詳述する。
〔第1実施形態〕
まず、前記ABSは、概略を説明すると、図外のブレーキペダルの踏み込み量に応じたブレーキ圧を発生させるマスターシリンダと、該マスターシリンダと前輪左右(FR、FL)側及び後輪左右(RL、RR)側の各ホイールシリンダとを連通させるメイン通路と、該メイン通路に設けられて、マスターシリンダから各ホイールシリンダへのブレーキ液圧を制御する後述の常開ソレノイド型の増圧弁及び常閉ソレノイド型の減圧弁と、前記メイン通路に設けられて、各ホイールシリンダにブレーキ液圧を吐出するプランジャポンプと、前記各ホイールシリンダ内から排出されたブレーキ液を、前記減圧弁を介して貯留すると共に、プランジャポンプの作動によりブレーキ液をメイン通路に供給するリザーバタンクと、を備えている。
【0012】
前記増圧弁は、通常ブレーキ操作時においてマスターシリンダからのブレーキ液圧を各ホイールシリンダに供給可能に制御する一方、減圧弁は、各ホイールシリンダの内圧が所定以上になって、車輪にスリップが発生した際に開弁して、該ブレーキ液をリザーバタンクに戻すようになっている。
【0013】
かかる増減圧を、電子制御装置によって開閉作動させることによって、各ホイールシリンダ内のブレーキ液圧を増圧、減圧、保持制御するようになっている。
【0014】
また、前記各増圧弁と減圧弁は、前記電子制御装置からの制御信号に基づいて通電、非通電されることによって開閉作動させられるようになっている。
【0015】
前記電子制御装置は、図1及び図2に示すように、ケーシング1と、該ケーシング1に保持された複数の電子制御機構2と、を備えている。
【0016】
前記ケーシング1は、車体に電気的に導通した下側の液圧制御ブロック3と、該液圧制御ブロック3の上部に組み付けられた前記電子制御機構2を上方から被嵌するカバー部材4と、を備えている。
【0017】
前記液圧制御ブロック3は、アルミニウム合金材によってほぼ立方体状に一体に形成され、上面側には、前記複数の増圧弁5及び減圧弁6の下部を挿通保持させる複数の保持穴7が上下方向に沿って形成されていると共に、前記各増圧弁5及び減圧弁6の上端部に結合されるコイルユニット8が保持されている。
【0018】
また、液圧制御ブロック3の内部には、前記増圧弁5や減圧弁6に連通する前記メイン通路やサブ通路、さらにメイン通路にブレーキ油圧を供給する前記プランジャポンプ及び該ポンプを駆動させる電動モータなどの液圧ユニットが設けられている。さらに、液圧制御ブロック3の上部四隅には、固定ボルト14が螺着される雌ねじ孔9が形成されている。なお、前記プランジャポンプに代えて可逆式のギアポンプを用いることも可能である。
【0019】
前記カバー部材4は、放熱材(ヒートシンク)として機能するアルミニウム合金材によって、液圧制御ブロック3の外形に沿った薄皿状に形成され、平坦状の上壁4aと、該上壁4aの外周縁に一体に形成された環状の側壁4bと、該側壁4bの下端外周部に連続一体に設けられた矩形枠状のフランジ部4cと、から構成されている。該フランジ部4cには、このカバー部材4が後述するプリント基板12を被嵌した状態でバスバー構成体11の上端部外周に係止する4つの係止片10が下方へ突設されている。この各係止片10は、前記フランジ4cの各辺の長手方向ほぼ中央位置に設けられて、先端外側に係止爪10aがそれぞれ形成されている。
【0020】
前記液圧制御ブロック3とカバー部材4との間に配置された前記電子制御機構2は、前述のように、各増圧、減圧弁5、6に開閉作動の切換信号を出力し、また前記電動モータのステータに電力を供給するためのパワー電子回路や、ラジオノイズ(電磁ノイズ)を低減させる電磁フィルタ回路などを一体に形成したバスバー構成体11と、該バスバー構成体11上部に配置されて、前記電動モータなどの駆動を制御するための回路基板であるプリント基板12と、を備えている。
【0021】
前記バスバー構成体11は、合成樹脂材によるモールディングによってブロック板状に形成され、図1に示すように、外形が前記液圧制御ブロック3やカバー部材4の外形状に沿ってほぼ矩形状に形成されている。また、前記バスバー構成体11の上端外周部には、前記カバー部材4の係止片10の係止爪10aが内側の貫通孔にそれぞれ係入して弾性的に係止する4つの係合部13が一体に設けられている。さらに、バスバー構成体11の外周部の隅部には、複数の固定ボルト14が挿通されるボルト挿通孔11aがそれぞれ上下方向に貫通形成されている。
【0022】
一方、バスバー構成体11の下端外周部には、図2に示すように、前記液圧制御ブロック3の上面外周側に弾接してシールする環状シール15が嵌着溝を介して固定されている。
【0023】
前記バスバー構成体11の前端部には、バッテリーと接続される電源コネクタや、前記電動モータに電力を供給するモータコネクタ、レゾルバやCAN通信、I/Oなどの各種信号の伝達経路となる信号コネクタとからなるコネクタ構成体16が一体に設けられている。
【0024】
さらに、前記バスバー構成体11の表面や内部には、前記電源コネクタに接続された電源負極側バスバー及び電源正極側バスバーなどの配電パターンや、モータへの出力用バスバーや電源正極側バスバーなどの多くの配電パターンが形成されている。
【0025】
また、前記電源コネクタやモータコネクタ及び信号コネクタに接続された複数の端子群17や、モータリレーや後述する半導体スイッチ素子(FET)を駆動するための制御信号用の端子群18などがバスバー構成体11の上面11bから突出している。
【0026】
また、バスバー構成体11の下面11cには、前記パワー電子回路の電子部品や、フィルタ電子回路の構成部品である複数のアルミ電解コンデンサ及びノーマルコイル、コモンコイル、複数のセラミックコンデンサなどが実装されている。
【0027】
さらに、前記バスバー構成体11の上面11bの所定位置には、前記プリント基板12をビス19によって固定支持する一つの筒状部20が一体に立設されている。この筒状部20の内周面には、金属製の円筒部20aが一体的に固定されており、この円筒部20aの内周面に前記ビス19が螺着する雌ねじ部が形成されている。
【0028】
また、バスバー構成体11の前記筒状部20の外側近傍には、図1〜図4に示すように、上下方向に貫通した貫通孔21が穿設されている。この貫通孔21は、平面視ほぼT字形状に形成されて、ほぼ長方形状に形成された挿通用孔部21aと、該挿通用孔部21aの一側ほぼ中央に位置したほぼ矩形状の逃げ用孔21bとから構成されている。
【0029】
前記プリント基板12は、合成樹脂材によってほぼ正方形状の薄板状に形成され、中央寄りの前記バスバー構成体11の筒状部20に対応した所定位置にビス挿通孔22が貫通形成されている。また、このプリント基板12を、前記バスバー構成体11の上方から載置した際に、前記筒状部20の上面に前記ビス挿通孔22の下面側孔縁が当接して、該筒状部20の高さ分だけ上下に離間して配置されるようになっており、この上下の隙間Cによってそれぞれの電子部品が干渉しないようになっている。
【0030】
このプリント基板12は、マイクロコンピュータを含む複数の電子部品が実装されていると共に、内部に制御回路の一部である配電パターンが形成されている。そして、前記電動モータの駆動制御信号がこのプリント基板12で作られるようになっている。
【0031】
前記プリント基板12の下面12bには、図外の発熱素子である4つの半導体スイッチ素子(MOS−FET)が配置固定されている。
【0032】
さらに、このプリント基板12の一側部や他側部にそれぞれ形成された複数の端子孔12cには、バスバー構成体11の前記各端子群17,18のピン17a、18aが挿通されつつ半田付けによって接続されている。
【0033】
そして、前記バスバー構成体11の貫通孔21には、電気接続部材であるアース接続部材23が固定されている。
【0034】
このアース接続部材23は、図3にも示すように、全体が銅などの導電材によって細長い平板状に一体に形成され、前記貫通孔21に位置する長方形状の基部24と、該基部24の上下端縁から上下方向に延びる両端部である弾性変形部25,26と、前記基部24の両側部に設けられた係止部である左右一対のクリップ片27、27とから構成されている。また、アース接続部材23は、図2に示すように、その全体の長さが前記液圧制御ブロック3にバスバー構成体11を介して前記カバー部材4を組み付けた際に、前記液圧制御ブロック3の上面3aとカバー部材4の上壁4a下面4cとの間の距離よりも大きく設定されている。
【0035】
前記基部24は、平坦状に形成されて、その上下方向の長さLが前記貫通孔21の挿通用孔部21aの上下方向の長さよりも僅かに長く形成されている。
【0036】
前記両弾性変形部25,26は、前記基部24の上下端から上下方向に延びて外方へ傾斜状に折曲形成された延出部25a、26aと、該各延出部25a、26aの先端縁に一体形成されて、先端部が互いに内方へ湾曲状に折曲形成された当接部25b、26bとから構成されて、該各当接部25b、26bの外面が前記液圧制御ブロック3の上面3aとカバー部材4の上壁4a下面4cに弾性的に当接するようになっている。
【0037】
前記各クリップ片27、27は、前記基部24のほぼ中央から左右横方向に一体に設けられた肩部27a、27aと、該各肩部27a、27aから一定の間隙C,Cをもって下方へ延設された脚片27b、27bとから構成されている。前記各肩部27a、27aは、上端縁が下り傾斜状に形成されている。前記各脚片27b、27bは、両外側に前記バスバー構成体11の上壁の肉厚より僅かに大きな係止溝27c、27cが形成されている共に、該係止溝27c、27cの下端に前記貫通孔21の挿通用孔部21aの下部孔縁に係止する係止爪部27d、27dが形成されている。
【0038】
〔組付手順〕
以下、電子制御装置の組付手順について説明する。まず、予め液圧制御ブロック3に、前記各増圧、減圧弁5、6やプランジャポンプ、電動モータ、リザーバなどを組み付けて油圧ユニットを構成する。また、前記パワー電子回路とフィルタ電子回路の配電パターンをモジュール化して前記バスバー構成体11を一体的に形成すると共に、該バスバー構成体11に前記電解コンデンサなどの複数の電子部品を実装しておく。さらに、前記プリント基板12の配電パターンや前記各半導体スイッチ素子などの各種の電子部品を実装しておく。
【0039】
一方、前記バスバー構成体11の前記貫通孔21に、前記アース接続部材23を係止固定しておく。つまり、図3に示すように、前記基部24側が挿通用孔部21a側となるようにアース接続部材23を持って、そのまま上方から貫通孔21に挿入すると、下側の弾性変形部25が前記挿通用孔部21aと逃げ用孔部21bの両方に跨って挿通される。そのまま押し下げると、両クリップ片27,27の係止爪部27d、27dが、挿通用孔部21aの対向する上端縁及び内面に弾接しながら各間隙C、Cを介して互いに内方へ弾性変形しつつ挿通され、前記各係止溝27c、27cが挿通用孔部21aに位置すると、両クリップ片27,27が弾性復帰して、各係止溝27c、27cの上下端縁が挿通用孔部21aの上下開口縁に係止する。
【0040】
これによって、前記アース接続部材23が、ワンタッチでバスバー構成体11に強固に係止固定される。
【0041】
続いて、前記バスバー構成体11の筒状部20の上面に、前記プリント基板12をビス挿通孔22の下面孔縁を当接させて載置するが、このとき、同時に前記各端子孔12cに対応する前各記端子ピン17a、18aを位置決めしながら挿通する。
【0042】
その後、前記ビス19を、前記ビス挿通孔22から円筒部20aの雌ねじ部にねじ込んでプリント基板12をバスバー構成体11の上方位置に固定する。その後、前記各端子孔12cに挿通された状態で各端子ピン17a、18aをプリント基板12に半田付ける。これによって、互いに電気的に接続される。
【0043】
次に、図2に示すように、前記カバー部材4に接着剤30を外周に塗布した後、プリント基板12とバスバー構成体11の上方から被嵌しつつ各係止片10の各係止爪10aをバスバー構成体11の各係止部13の係止孔に弾性変形を利用して係入すると、各係止爪10aが係止孔の下部孔縁に係止することによって、バスバー構成体11に簡単に組み付けることができる。
【0044】
次に、前記バスバー構成体11を、環状シール15を介して液圧制御ブロック3の上面に位置決めしながら仮止め状態に載置した後に、前記各固定ボルト14によって液圧制御ブロック3に締め付け固定する。このとき、前記アース接続部材23の下側の弾性変形部25の湾曲部25bの下端外面が前記液圧制御ブロック3の上面3aに弾接する。これによって、各構成部品の組み付け作業が完了する。
【0045】
このとき、前記アース接続部材23の上側の弾性変形部26の湾曲部26bの上面がカバー部材4の上壁4a下面4cに弾接する。
【0046】
このように、本実施形態では、アース接続部材23によって液圧制御ブロック3とカバー部材4を電気的に導通することによって、両者3,4が同電位となる。このため、前記回路基板12からカバー部材4に伝達された電気ノイズを液圧制御ブロック3側へ流すことができるため、カバー部材4での電気ノイズを効果的に低減することができる。
【0047】
しかも、前記アース接続部材23は、両弾性変形部25,26の弾性変形によって液圧制御ブロック3の上面3aとカバー部材4の上壁下面4cに常時に弾接していることから、たとえ振動が発生しても液圧制御ブロック3とカバー部材4の導通性を常に安定して維持することができる。
【0048】
特に、前記両弾性変形部25,26を湾曲状に形成したことから、前記アース接続部材23の全体の長さの自由度が向上する。
【0049】
この結果、前記液圧制御ブロック3とカバー部材4及びバスバー構成体11の上下方向の寸法誤差や組み付け誤差が生じても、前記各弾性変形部25,26の湾曲形状によって長さ方向の大きな撓み変形が可能になるので、前記各誤差を吸収することができるので、位置決めや組付作業が容易になる。
【0050】
さらに、前記アース接続部材23を、クリップ片27、27を介してバスバー構成体11の貫通孔21に強固に係止固定できると共に、前述のように、ワンタッチで係止固定できるため、この固定作業が極めて容易になる。
【0051】
また、前記アース接続部材23を、液圧制御ブロック3やカバー部材4及びバスバー構成体11の内のデッドスペースに配置したことから、該デッドスペースの有効利用が図れる。
【0052】
さらに、本実施形態では、パワー電子回路とフィルタ電子回路の配電パターンなどを一体的にモジュール化して薄型のバスバー構成体11として構成したため、電子制御装置の上下方向の高さを十分に小さくすることが可能になり、装置全体の小型化(薄型化)が図れると共に、軽量化も図れる。
【0053】
また、本実施形態では、前記カバー部材4を、単に各係止片10と各係止部13を利用してバスバー構成体11にワンタッチで結合させることができるので、このカバー部材4の組付作業が良好になる。
【0054】
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、前記アース接続部材23を、カバー部材4からプリント基板12を経由して液圧制御ブロック3に接続させることも可能であり、このようにすれば、プリンタ基板12で発生する電気ノイズを直接的に液圧制御ブロック3に伝達することも可能である。
【0055】
さらに、例えば、ケーシング1やバスバー構成体11の形状や構造を任意に変更することも可能である。また、電子制御装置の適用対象装置としては、ABSの他にトラクションコントロール装置に適用することも可能である。
【0056】
また、前記弾性変形部25,26をアース接続部材23の一端部のみに設けることも可能である。
【0057】
前記実施形態から把握される前記請求項以外の発明の技術的思想について以下に説明する。
〔請求項a〕
前記電気接続部材を細長い平板状に形成すると共に、前記弾性変形部を湾曲状に折曲形成したことを特徴とする請求項2に記載の電子制御装置。
【0058】
弾性変形部を湾曲状に形成したことによって、電気接続部材の長さの自由度が向上して、液圧制御ブロックとカバー部材との間の距離が変更されても両者の常に電気的な接続状態が得られる。
〔請求項b〕
前記係止部を、電気接続部材のほぼ中央に形成された板状の本体と、該本体の両側部に平行に配設されて、互いに内方へ弾性変形可能な一対の係止片とからなり、該各係止片は、外側縁に前記貫通孔の孔縁に係止する係止溝がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電子制御装置。
〔請求項c〕
前記弾性変形部を、前記電気接続部材の両端部に形成したことを特徴とする請求項2に記載の電子制御装置。
【0059】
この発明によれば、電気接続部材の両端部に弾性変形部をそれぞれ形成したことによって、電気接続部材のバスバー構成体に組み付ける際に、組み付け誤差が生じても各弾性変形部が該誤差を吸収することからかかる組付作業が容易になる。
【符号の説明】
【0060】
1…ケーシング
2…電子制御機構
3…液圧制御ブロック
3a…上面
4…カバー部材
4c…下面
5・6…増圧、減圧弁
8…コイルユニット
11…バスバー構成体
12…プリント基板(回路基板)
19…ビス
20…筒状部
21…貫通孔
23…アース接続部材(電気接続部材)
24…基部
25,26…弾性変形部
27…クリップ片(係止部)
27b…脚片
27c…係止溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧制御機器類が設けられた金属製の液圧制御ブロックと、該液圧制御ブロックに被嵌した金属製のカバー部材と、液圧制御ブロックとカバー部材との間に保持されて、前記液圧制御機器類を駆動する電子制御機構と、を備え、
前記電子制御機構は、前記液圧制御機器類を駆動するパワー電子回路を有する合成樹脂材のバスバー構成体と、該バスバー構成体を介して前記液圧制御機器類の駆動を制御する回路基板とからなり、
前記バスバー構成体を介して前記液圧制御ブロックとカバー部材とを電気的に接続する電気接続部材を設けたことを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記電気接続部材は、前記液圧制御ブロックとカバー部材との間に延設されていると共に、長手方向の両端部の少なくともいずれか一方に、長手方向の長さを変形することによって変更可能な弾性変形部を有することを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記バスバー構成体に、前記電気接続部材が挿通する貫通孔が形成されている一方、前記電気接続部材の長手方向の所定位置に、前記貫通孔の孔縁に弾性的に係止する係止部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−35320(P2013−35320A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170614(P2011−170614)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】