電子回路、その駆動方法、電気光学装置および電子機器
【課題】簡易な構成で動画ぼけを改善する。
【解決手段】単位回路Uは、給電線17から供給される電流IELに応じて発光する発光素子Eと電流IELをゲートの電圧に応じて制御する駆動トランジスタTdrとを含む。ゲート電位制御部Uaは駆動期間にわたって駆動トランジスタTdrのゲート電位を変化させる。発光期間制御部Ubは駆動期間を構成する複数のサブフィールド期間の各々において、データ信号をサンプルホールドして第1トランジスタTr1のオン・オフを制御する。これにより、サブフィールド期間ごとに発光素子Eを発光させるか否かを制御することが可能となる。
【解決手段】単位回路Uは、給電線17から供給される電流IELに応じて発光する発光素子Eと電流IELをゲートの電圧に応じて制御する駆動トランジスタTdrとを含む。ゲート電位制御部Uaは駆動期間にわたって駆動トランジスタTdrのゲート電位を変化させる。発光期間制御部Ubは駆動期間を構成する複数のサブフィールド期間の各々において、データ信号をサンプルホールドして第1トランジスタTr1のオン・オフを制御する。これにより、サブフィールド期間ごとに発光素子Eを発光させるか否かを制御することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electro Luminescence)材料からなる発光素子など各種の電気光学素子の挙動を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
面状に配列された各発光素子の輝度を制御することによって画像を表示する電気光学装置が従来から提案されている。この種の電気光学装置のうちひとつのフレーム期間の略全長にわたって各発光素子の発光が維持されるタイプの電気光学装置はホールド型と呼ばれる。
【0003】
非特許文献1に開示されるように、ホールド型の表示装置においては、画像に含まれる被写体の移動とこれに追従しようとする観察者の視点の移動とのズレに起因して、観察者によって知覚される被写体の輪郭が不明瞭となる現象(以下「動画ボケ」という)が発生する。この動画ボケを解決するための方策としては、各発光素子の階調をフレーム期間の全長にわたって維持するのではなく、CRT(Cathode Ray Tube)に代表されるインパルス型の表示装置のように各発光素子を間欠的に発光させるという方法がある。有機発光ダイオード素子(以下、OLED(Organic Light Emitting Diode))素子と称する。)を用いた表示装置でも動画ボケを低減するためには、インパルス型の駆動を行う必要がある。
【0004】
図12にOLED素子を用いた画素回路の一例を示す。この画素回路では、選択期間にトランジスタQ1がオン状態となり表示すべき階調に応じたデータ電位が容量Cに取り込まれ保持される。そして、データ電位に応じた駆動電流がトランジスタQ2から出力される。トランジスタQ3は、OLED素子ELとトランジスタQ2との間に設けたれており、OLED素子ELの発光期間を制御する。
【非特許文献1】信学技法,EID2001-84(2002-01)p13-p18「ディスプレイの時間応答と動画の高画質化」,栗田泰市郎/電子情報通信学会(特に図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インパルス型の駆動を行うと、ホールド型の駆動に比較して発光期間が減少するため、輝度が低下してしまう。この輝度を補うためには、図13に示すように発光期間に対する輝度を大きくする必要がある。
しかしながら、瞬間的に高い輝度でOLED素子ELを発光させるためには、大きな駆動電流が必要となり、耐圧などの問題で回路負担が増大するといった問題があった。
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で動画ボケを抑制することなどを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明に係る電子回路の駆動方法は、ゲート電位に応じた駆動信号(例えば、図3のIEL)を生成する駆動トランジスタ(例えば、図3のTdr)と、前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子(例えば、図3のE)とを備えた電子回路を駆動する方法であって、所定の期間(例えば、図2のTd)に亘って前記ゲート電位を変化させ、前記電気光学素子が前記所定の期間で表示すべき階調に応じて、前記所定の期間を区分した複数の単位期間(例えば、図2のFS)の各々において、前記駆動信号を前記電気光学素子に供給するか否かを制御する。
【0007】
この発明によれば、単位期間ごとに電気光学素子を発光させるか否かを制御できるので、駆動方式をインパルス型の駆動に近づけることができ、ホールド型の駆動と比較して、動画ぼけを抑制することが可能となる。また、仮に、各単位期間における駆動信号の大きさが一定であるとすれば、駆動期間に刻むことができる階調数は、そこに含まれる単位期間の数で制限される。これに対して、本発明によれば、駆動トランジスタのゲート電位を所定の期間にわたって変化させるので、駆動信号の大きさはこれに伴って変化する。そして、どの単位期間で駆動信号を電気光学素子に供給するかを制御するので、多階調を刻むことが可能となる。さらに、駆動信号を2以上の単位期間に電気光学素子に供給することも可能であるから、1つの単位期間に駆動信号を供給する場合と比較して耐圧など点で回路負担を軽減することが可能となる。
【0008】
より具体的には、前記所定の期間の直前に前記ゲート電位を基準電位に設定し、前記所定の期間において前記ゲート電位を前記基準電位から単調減少または単調増加させることが好ましい。この駆動方法によれば、所定の期間の開始におけるゲート電位を所定の期間の直前に設定し、これを所定の期間に単調減少または単調増加させるので、駆動信号の大きさを所定の期間にわたって単調減少または単調増加させることが可能となる。
【0009】
次に、本発明に係る電子回路は、ゲート電位に応じた駆動信号を生成する駆動トランジスタと、所定の期間に亘って前記ゲート電位を変化させる第1手段(例えば、図3に示すUa)と、前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子と、前記駆動信号を前記電気光学素子に供給する経路の導通または遮断を切り替える第1スイッチング素子と、前記電気光学素子が所定の期間で表示すべき階調に応じて、前記所定の期間を区分した複数の単位期間の各々において前記第1スイッチング素子のオン状態またはオフ状態を制御する第2手段(例えば、図3に示すUb)とを備える。
【0010】
この発明によれば、第1スイッチング素子と第2手段とを用いて、単位期間ごとに電気光学素子を発光させるか否かを制御できるので、駆動方式をインパルス型の駆動に近づけることができ、ホールド型の駆動と比較して、動画ぼけを抑制することが可能となる。また、仮に、各単位期間における駆動信号の大きさが一定であるとすれば、駆動期間に刻むことができる階調数は、そこに含まれる単位期間の数で制限される。これに対して、本発明によれば、第1手段を有するので、駆動トランジスタのゲート電位を所定の期間にわたって変化させるので、駆動信号の大きさはこれに伴って変化する。そして、所定の期間を構成するどの単位期間で駆動信号を電気光学素子に供給するかを制御するので、多階調を刻むことが可能となる。
【0011】
第1手段の具体的な態様としては、第1電極と第2電極とを有し、所定の時定数で保持する電圧が変化し、前記第2電極の電位が固定され、前記第1電極と前記駆動トランジスタのゲートが電気的に接続される第1容量(例えば、図4に示すC1)と、基準電位が供給される電位線と前記容量の前記第1電極との間に設けられ、前記所定の期間の直前にオン状態となり、前記所定の期間にオフ状態となる第2スイッチング素子と(例えば、図4に示すTr2)を備える。
【0012】
この発明によれば、第1容量は所定の時定数で保持する電圧が変化する。この時定数は、第1容量の容量成分とこれに並列な抵抗成分とによって定まる。これによって、所定の期間の直前に第1容量の第1電極の電位を基準電位に設定することによって、駆動トランジスタのゲート電位を所定の期間にわたって基準電位から所定の時定数で変化させることができる。時定数は、所定の期間において第1容量が保持する電圧が100%から20%以下に変化するように定めてもよい。こうすることにより容量成分を従来よりも小さい値に設計できる。すなわち第1容量の占有面積を小さくすることができる。
【0013】
上述した電子回路において、前記第1スイッチング素子は、その制御端子の論理レベルが第1レベルでオン状態となって前記経路を導通し、制御端子の論理レベルが第2レベルでオフ状態となって前記経路を遮断し、前記第2手段は、前記制御端子の電位を保持する第2容量と、データ信号が供給されるデータ線と前記制御端子との間に設けられた第3スイッチング素子とを備え、前記第3スイッチング素子は、前記単位期間の開始から一定時間だけオン状態となり、前記データ信号は、前記電気光学素子が所定の期間で表示すべき階調に応じて前記所定の期間を区分した複数の単位期間の各々において、前記第1レベルまたは前記第2レベルの一方となることが好ましい。
【0014】
この発明によれば、第2容量素子によって2値のデータ信号が保持されるので、単位期間の開始からごく短い所定時間に第3スイッチング素子をオン状態することがデータ信号を取り込むことができる。換言すれば、データ信号をサンプルホールドして、電気光学素子が所定の期間で表示すべき階調に応じて、複数の単位期間の各々において前記第1スイッチング素子の導通または遮断を制御する手段として第2手段を機能させることができる。
【0015】
次に、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の発光制御線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた複数の電子回路とを備え、初期化期間と複数の単位期間からなる駆動期間とに分けて、前記複数の電子回路の各々を駆動するものであって、前記複数の走査線に前記初期化期間において有効となる走査信号を順次供給する走査線駆動手段と、前記複数の発光制御線に前記複数の単位期間の各々において、その開始から所定時間だけ有効となる発光制御信号を順次供給する発光制御手段と、前記複数のデータ線の各々に2値のデータ信号を各々供給するデータ線駆動手段と、を備え、前記複数の電子回路の各々は、ゲート電位に応じた駆動信号を生成する駆動トランジスタと、前記走査信号に基づいて前記初期化期間に前記駆動トランジスタのゲート電位を基準電位に設定し、前記駆動期間において前記駆動トランジスタのゲート電位を前記基準電位から変化させる第1手段と、前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子と、前記駆動信号を前記電気光学素子に供給する経路の導通または遮断を切り替える第1スイッチング素子と、前記発光制御信号に基づいて前記データ信号をサンプルホールドして、前記電気光学素子が前記駆動期間で表示すべき階調に応じて、前記複数の単位期間の各々において前記第1スイッチング素子のオン状態またはオフ状態を制御する第2手段とを具備する。
【0016】
この発明によれば、単位期間ごとに電気光学素子を発光させるか否かを制御できるので、駆動方式をインパルス型の駆動に近づけることができ、ホールド型の駆動と比較して、動画ぼけを抑制することが可能となる。また、仮に、各単位期間における駆動信号の大きさが一定であるとすれば、駆動期間に刻むことができる階調数は、そこに含まれる単位期間の数で制限される。これに対して、本発明によれば、駆動トランジスタのゲート電位を駆動期間にわたって変化させるので、駆動信号の大きさはこれに伴って変化する。そして、どの単位期間で駆動信号を電気光学素子に供給するかを制御するので、多階調を刻むことが可能となる。
【0017】
次に、本発明に係る電子機器は、上述した電気光学装置を備える。この電子機器の典型例は、電気光学装置を表示装置として利用した機器である。この種の電子機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成するための露光装置(露光ヘッド)、液晶装置の背面側に配置されてこれを照明する装置(バックライト)、あるいは、スキャナなどの画像読取装置に搭載されて原稿を照明する装置など各種の照明装置など、様々な用途に本発明の電気光学装置を適用することができる。
また、本発明に係る電気光学素子は、電気エネルギーによって光学特性が変化する素子の意味であって、例えば、有機発光ダイオードや無機発光ダイオードなどの発光ダイオード、あるいは、印加電圧によって透過率が変化する液晶素子、電界放出素子、表面導電型電子放出素子、弾道電子放出素子など様々な発光素子が該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<A:実施形態>
図1は、画像を表示する手段として各種の電子機器に使用される電気光学装置の具体的な形態を示すブロック図である。同図に示すように、電気光学装置Dは、画像を表示する表示パネル10と、電気光学装置Dの各部を制御する制御回路40と、電源電位VELおよび接地電圧Gndを生成して表示パネル10に供給する電源回路50とを具備する。
【0019】
表示パネル10は、複数の単位回路(画素回路)Uが配列された素子アレイ部11と、制御回路40による制御のもとに各単位回路Uを制御する走査線駆動回路22、発光制御回路23およびデータ線駆動回路25とを具備する。各単位回路Uは、電気エネルギの供給によって発光する発光素子Eを含む。各発光素子Eは、複数の発光色(赤色・緑色・青色)の何れかに発光する。赤色・緑色・青色に発光する3個の発光素子Eによって、画像の最小の単位である画素が構成される。本実施形態の発光素子Eは、有機EL(ElectroLuminescent)材料からなる発光層が陽極と陰極との間に介在するOLED素子である。発光素子Eの光量は、駆動電流IELの大きさに応じて定まる。
【0020】
素子アレイ部11には、X方向に延在するm本の走査線12と、各走査線12に対をなしてX方向に延在するm本の発光制御線13と、X方向に直交するY方向に延在するn本のデータ線15とが形成される(mおよびnの各々は2以上の自然数)。各単位回路U(電子回路)は、走査線12および発光制御線13の対とデータ線15との各交差に対応した位置に配置される。したがって、これらの単位回路Uは、縦m行×横n列のマトリクス状に配列する。また、素子アレイ部11には、電源回路50から各単位回路Uに至る給電線17および電位線18が形成される。電源回路50から出力された電源電位VELは給電線17を経由して各単位回路Uに供給され、電源回路50から出力された基準電位Vrefは電位線18を経由して各単位回路Uに供給される。
【0021】
制御回路40は、クロック信号や同期信号など各種の制御信号の供給によって電気光学装置Dの各部の動作のタイミングを規定する。本実施形態の制御回路40は、入力階調データG1を所定の規則に従って変換し出力画像データG2を生成する変換回路42を含む。入力階調データG1は、各発光素子Eの階調(輝度)を指定するデータであり、電気光学装置Dが搭載される電子機器のCPUなど各種の上位装置から変換回路42に供給される。
【0022】
図2に単位回路Uの動作の概略を示す。単位回路Uが動作する1フィールド期間1Fは、初期化期間Tiniと駆動期間Td(所定の期間)とに区分される。初期化期間Tiniは、駆動電流IELの初期値を設定する期間である。本実施形態では、初期化期間Tiniに設定された駆動電流IELの大きさを駆動期間Tdで変化させている。駆動期間Tdは複数のサブフィールド期間FS(単位期間)に分割される。この例では、駆動期間Tdが16個のサブフィールド期間FSから構成される。そして、サブフィールド期間FSごとに駆動電流IELを発光素子Eに供給するか否かを制御する。発光素子Eの階調は、各サブファールド期間FSにおける発光素子Eの光量の平均で定まる。出力画像データG2は各サブフィールド期間FSにおいて、駆動電流IELを発光素子Eに供給するか否かを指定する。上述した変換回路42は入力階調データG1の値と出力画像データG2の値とを対応付けて記憶したテーブルを備え、このテーブルを参照して、出力画像データG2を生成する。
【0023】
説明を図1に戻す。走査線駆動回路22は、m本の走査線12の各々を選択するための走査信号Gwrt[1]〜Gwrt[m]を生成して各走査線12に出力する。駆動期間において走査信号Gwrt[1]〜Gwrt[m]の各々は順番にハイレベルに遷移する。すなわち、第i行目(iは1≦i≦mを満たす整数)の走査線12に出力される走査信号Yiは、フレーム期間のうち第i番目の水平走査期間にてハイレベルとなり(すなわち第i行目の走査線12が選択され)、それ以外の期間にてローレベルを維持する。
【0024】
また、走査線駆動回路22は、各サブフィールド期間FSの開始から所定時間だけハイレベルとなる発光制御信号GEL[1]〜GEL[m]を生成して各発光制御線13に出力する。
データ線駆動回路25は、各データ線15にデータ信号X1〜Xnを出力する。データ信号X1〜Xnは、出力画像データG2に基づいて生成され、各サブフィールド期間FSにおいて駆動電流IELを発光素子Eに供給するか否かを指定する信号である。データ信号X(X1〜Xn)は、2値の論理レベルとなる。論理レベル「0」では接地電位Gndとなり、第1トランジスタTr1をオフ状態に設定する。一方、論理レベル「1」では電源電位VEL以上の電位となり第1トランジスタTr1をオン状態とする。なお、上述した初期化期間Tiniの開始から所定時間だけデータ信号X(X1〜Xn)は「0」に設定され、これに同期して発光制御信号GEL[1]〜GEL[m]はハイレベルとなる。これによって、初期化期間Tiniにおいて第1トランジスタTr1がオフ状態となる。
【0025】
次に、図3を参照して、各単位回路Uの構成を説明する。なお、同図においては第i行に属する第j列目のひとつの単位回路Uのみが図示されているが、素子アレイ部11の総ての単位回路Uは同様の構成である。図3に示すように、単位回路Uは、給電線17から接地線(接地電圧Gnd)に至る経路上に配置された発光素子Eを含む。本実施形態の発光素子Eは、駆動電流IELの電流値に応じた輝度(光度)で発光する。発光素子Eの陰極は接地(接地電位Gnd)される。
【0026】
電流IELの経路上(給電線17と発光素子Eとの間)にはpチャネル型のトランジスタ(以下「駆動トランジスタ」という)Tdrが配置される。駆動トランジスタTdrは、電流IELの電流値をゲート電位に応じて制御するMOSFET(Metal Oxide Semiconductor FIELd Effect Transistor)であり、ソースが給電線17に接続される。駆動トランジスタTdrのドレインと発光素子Eの陽極との間には両者間の電気的な接続(導通/非導通)を制御するnチャネル型の第1トランジスタTr1が介在する。そして、ゲート電位制御部Uaは、駆動期間Tdにわたって駆動トランジスタTdrのゲート電位を変化させる手段として機能する。さらに、発光期間制御部Ubは、サブフィールド期間FSごとに第1トランジスタTr1をオン状態にするかオフ状態にするかを制御する手段として機能する。
【0027】
図4に単位回路Uの詳細な構成を示す。ゲート電位制御部Uaは、第1容量素子C1とnチャネル型の第2トランジスタTr2とを備える。第1容量素子C1の第1電極C1aは駆動トランジスタTdrのゲートと接続され、その第2電極C1bは駆動トランジスタTdrのソースと接続される。駆動トランジスタTdrのソースには電源電位VELが供給されるので、第2電極C1bの電位は固定される。第2トランジスタTr2は第1容量素子C1の第1電極C1aと電位線18との間に設けられ、そのゲートは走査線12と電気的に接続される。第2トランジスタTr2は電位線18を介して供給される基準電位Vrefを駆動トランジスタTdrの初期電位として設定するスイッチング素子として機能する。
【0028】
第2トランジスタTr2がオフ状態になると、第1容量素子C1は理想的には基準電位Vrefを保持するが、この例の第1容量素子C1にはリーク電流が存在する。第1容量素子C1の等価回路を図5に示す。この図に示すように第1容量素子C1は、等価的には抵抗Rxと容量Cxとを並列に接続した素子であり、その時定数はRx・Cxである。第2トランジスタTr2がオン状態になると基準電位Vrefが第1電極C1aに印加される一方、第2電極C1bには電源電位VELが印加される。したがって、第1容量素子C1の保持する電圧ΔVは、ΔV=VEL−Vrefとなる。この電圧ΔVは、上述した時定数にしたがって減少する。このため、駆動トランジスタTdrのゲート電位は次第に上昇する。したがって、ゲート電位制御部Uaは、駆動期間Tdにおいて駆動トランジスタTdrのゲート電位を基準電位Vrefから単調増加させる手段として機能する。また、ゲート電位制御部Uaを、駆動期間Tdにおいて駆動トランジスタTdrのゲート電位を基準電位Vrefから単調減少させるように構成してもよい。
【0029】
説明を図4に戻す。発光期間制御部Ubは、第2容量素子C2とnチャネル型の第3トランジスタTr3とを備える。第2容量素子C2の第1電極C2aは第1トランジスタTr1のゲートと接続され、その第2電極C2bは接地される。第3トランジスタTr3は第2容量素子C2の第1電極C2aとデータ線15との間に設けられ、そのゲートは発光制御線13と電気的に接続される。発光制御線13を介して供給される発光制御信号GEL[i]は、各サブフィールド期間FSの開始から所定時間だけハイレベルとなる。この所定時間にデータ信号Xjが第2容量素子C2に取り込まれ保持される。
【0030】
図6は、電気光学装置Dの動作を説明するためのタイミングチャートである。この図に示すように走査信号Gwrt[1]〜Gwrt[m]は、1水平走査期間1Hごどに順次ハイレベルとなる。これにより、各単位回路Uに基準電位Vrefが順次取り込まれる。
図7に示すように、i行j列の単位回路Uでは、走査信号Gwrt[i]がハイレベルとなる初期化期間Tiniにおいて、第2トランジスタTr2がオン状態となり、基準電位Vrefが第1容量素子C1に印加される。これにより、第1容量素子C1には電圧VEL−Vrefが保持される。一方、初期化期間Tiniから所定時間が経過するまで発光制御信号GEL[i]がハイレベルとなる。このとき、データ信号Xjは「0」となる。したがって、初期化期間Tiniにおいて、第2容量素子C2は接地電位Gndを保持し、第1トランジスタTr1はオフ状態となる。なお、初期化期間Tiniが駆動期間Tdと比較して極めて短く、この期間において発光素子Eが発光しても表示すべき階調に与える影響が許容できるほど小さい場合には、初期化期間Tiniにおいて発光制御信号GEL[i]をローレベルとしてもよい。
【0031】
ここで、第1電極C1aの電位を基準として第1容量素子C1に保持される電圧をΔVとしたとき、保持電圧ΔVは図6に示すように駆動期間Tdにおいて次第に減少する。発光制御信号GEL[i]は、駆動期間Tdを構成する各サブフィールド期間FSの開始から所定時間だけハイレベルとなる。このとき、j番目のデータ線15には、i行j列目の単位回路Uの階調を指定するデータ信号Xjが発光性制御信号GEL[i]と同期して供給される。この例では、「0,0,1,0,0,1,1,0,0,0,0,1,0,0,0,0」となり、第1トランジスタTr1のゲート電位は、第3番目、第6番目、第7番目、および第12番目のサブフィールド期間FSにおいてハイレベルとなる。例えば、第3番目のサブフィールド期間FSの開始から発光制御信号GEL[i]がハイレベルとなる期間では、i行j列の単位回路Uは、図8に示すように動作する。そして、第3番目のサブフィールド期間FSにおいて発光性制御信号GEL[i]がハイレベルからローレベルに遷移すると、第3トランジスタTr3はオフ状態となる。このとき、第2容量素子C2にはハイレベルの電位が保持されているので、第3番目のサブフィールド期間FSにおいて第1トランジスタTr1はオン状態を維持する。
【0032】
このように、第3番目、第6番目、第7番目、および第12番目のサブフィールド期間FSにおいて第1トランジスタTr1はオン状態となる。このため、駆動電流IELは図6に示すようになる。第1容量素子C1の保持電圧ΔVは駆動期間Tdにおいて変化するから、第3番目、第6番目、第7番目、および第12番目のサブフィールド期間FSにおいて発光素子Eに流れる駆動電流IELも変化する。
【0033】
仮に、各サブフィールド期間FSにおける駆動電流IELの大きさを一定にすると、16個のサブフィールド期間FSでは階調0から階調16までしか刻むことができない。これに対して、本実施形態では、駆動期間Tdにおいて駆動電流IELの大きささを変化させるようにゲート電位制御部Uaを用いて駆動トランジスタTdrのゲート電位を制御したので、各サブフィールド期間FSで発光素子Eの発光輝度が相違する。このため、発光素子Eを発光させるサブフィールド期間FSの組み合わせによって多階調を刻むことができる。さらに、本実施形態においては、サブフィールド期間FSごとに駆動電流IELを発光素子Eに供給するか否かを制御したので、駆動方式をインパルス型に近づけることができ、動画ぼけを減少させることができる。この結果、動画ばけを改善しつつ、多階調化を実現でき、表示品質を大幅に向上させることができる。
【0034】
なお、上述した実施形態においては発光素子Eとして有機発光ダイオード素子を例示したが、これ以外の発光素子を利用した電気光学装置にも本発明は適用される。例えば、無機EL材料からなる発光層を含む発光素子や発光ダイオード素子、電界放出(FE:FIELd Emission)素子、表面導電型電子放出(SE:Surface-conduction Electron-emitter)素子、弾道電子放出(BS:Ballistic electron Surface emitting)素子など様々な発光素子を本発明の電気光学装置に採用することができる。
【0035】
<B:応用例>
次に、本発明に係る電気光学装置を利用した電子機器について説明する。図9ないし図11には、以上の何れかの形態に係る電気光学装置Dを表示装置として採用した電子機器の形態が図示されている。
図9は、電気光学装置Dを採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する電気光学装置Dと、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。電気光学装置Dは有機発光ダイオード素子を発光素子Eとして使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0036】
図10は、電気光学装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する電気光学装置Dとを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0037】
図11は、電気光学装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。携帯情報端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する電気光学装置Dとを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が電気光学装置Dに表示される。
【0038】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図9から図11に示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する光ヘッド(書込ヘッド)が使用されるが、この種の光ヘッドとしても本発明の電気光学装置は利用される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】単位回路の動作の概略を示すタイミングチャートである。
【図3】単位回路の構成を示すブロック図である。
【図4】単位回路の詳細構成を示す回路図である。
【図5】第1容量素子の等価回路を示す回路図である。
【図6】電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】初期化期間おける単位回路の動作を示す説明図である。
【図8】単位期間おける単位回路の動作を示す説明図である。
【図9】本発明に係る電子機器の形態(パーソナルコンピュータ)を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る電子機器の形態(携帯電話機)を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る電子機器の形態(携帯情報端末)を示す斜視図である。
【図12】従来のOLED素子を用いた画素回路の一例を示す回路図である。
【図13】インパルス型の駆動とホールド型の駆動とを比較するグラフである。
【符号の説明】
【0040】
D……電気光学装置、10……表示パネル、11……素子アレイ部、U……単位回路、E……発光素子、12……走査線、13……発光制御線、15……データ線、17……給電線、18……電位線、22……走査線駆動回路、25……データ線駆動回路、40……制御回路、Tdr……駆動トランジスタ、Tr1……第1トランジスタ、Tr2……第2トランジスタ、Tr3……第3トランジスタ、C1……第1容量素子、C2……第2容量素子、Ua……データ電位制御部、Ub……発光期間制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electro Luminescence)材料からなる発光素子など各種の電気光学素子の挙動を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
面状に配列された各発光素子の輝度を制御することによって画像を表示する電気光学装置が従来から提案されている。この種の電気光学装置のうちひとつのフレーム期間の略全長にわたって各発光素子の発光が維持されるタイプの電気光学装置はホールド型と呼ばれる。
【0003】
非特許文献1に開示されるように、ホールド型の表示装置においては、画像に含まれる被写体の移動とこれに追従しようとする観察者の視点の移動とのズレに起因して、観察者によって知覚される被写体の輪郭が不明瞭となる現象(以下「動画ボケ」という)が発生する。この動画ボケを解決するための方策としては、各発光素子の階調をフレーム期間の全長にわたって維持するのではなく、CRT(Cathode Ray Tube)に代表されるインパルス型の表示装置のように各発光素子を間欠的に発光させるという方法がある。有機発光ダイオード素子(以下、OLED(Organic Light Emitting Diode))素子と称する。)を用いた表示装置でも動画ボケを低減するためには、インパルス型の駆動を行う必要がある。
【0004】
図12にOLED素子を用いた画素回路の一例を示す。この画素回路では、選択期間にトランジスタQ1がオン状態となり表示すべき階調に応じたデータ電位が容量Cに取り込まれ保持される。そして、データ電位に応じた駆動電流がトランジスタQ2から出力される。トランジスタQ3は、OLED素子ELとトランジスタQ2との間に設けたれており、OLED素子ELの発光期間を制御する。
【非特許文献1】信学技法,EID2001-84(2002-01)p13-p18「ディスプレイの時間応答と動画の高画質化」,栗田泰市郎/電子情報通信学会(特に図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インパルス型の駆動を行うと、ホールド型の駆動に比較して発光期間が減少するため、輝度が低下してしまう。この輝度を補うためには、図13に示すように発光期間に対する輝度を大きくする必要がある。
しかしながら、瞬間的に高い輝度でOLED素子ELを発光させるためには、大きな駆動電流が必要となり、耐圧などの問題で回路負担が増大するといった問題があった。
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で動画ボケを抑制することなどを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明に係る電子回路の駆動方法は、ゲート電位に応じた駆動信号(例えば、図3のIEL)を生成する駆動トランジスタ(例えば、図3のTdr)と、前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子(例えば、図3のE)とを備えた電子回路を駆動する方法であって、所定の期間(例えば、図2のTd)に亘って前記ゲート電位を変化させ、前記電気光学素子が前記所定の期間で表示すべき階調に応じて、前記所定の期間を区分した複数の単位期間(例えば、図2のFS)の各々において、前記駆動信号を前記電気光学素子に供給するか否かを制御する。
【0007】
この発明によれば、単位期間ごとに電気光学素子を発光させるか否かを制御できるので、駆動方式をインパルス型の駆動に近づけることができ、ホールド型の駆動と比較して、動画ぼけを抑制することが可能となる。また、仮に、各単位期間における駆動信号の大きさが一定であるとすれば、駆動期間に刻むことができる階調数は、そこに含まれる単位期間の数で制限される。これに対して、本発明によれば、駆動トランジスタのゲート電位を所定の期間にわたって変化させるので、駆動信号の大きさはこれに伴って変化する。そして、どの単位期間で駆動信号を電気光学素子に供給するかを制御するので、多階調を刻むことが可能となる。さらに、駆動信号を2以上の単位期間に電気光学素子に供給することも可能であるから、1つの単位期間に駆動信号を供給する場合と比較して耐圧など点で回路負担を軽減することが可能となる。
【0008】
より具体的には、前記所定の期間の直前に前記ゲート電位を基準電位に設定し、前記所定の期間において前記ゲート電位を前記基準電位から単調減少または単調増加させることが好ましい。この駆動方法によれば、所定の期間の開始におけるゲート電位を所定の期間の直前に設定し、これを所定の期間に単調減少または単調増加させるので、駆動信号の大きさを所定の期間にわたって単調減少または単調増加させることが可能となる。
【0009】
次に、本発明に係る電子回路は、ゲート電位に応じた駆動信号を生成する駆動トランジスタと、所定の期間に亘って前記ゲート電位を変化させる第1手段(例えば、図3に示すUa)と、前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子と、前記駆動信号を前記電気光学素子に供給する経路の導通または遮断を切り替える第1スイッチング素子と、前記電気光学素子が所定の期間で表示すべき階調に応じて、前記所定の期間を区分した複数の単位期間の各々において前記第1スイッチング素子のオン状態またはオフ状態を制御する第2手段(例えば、図3に示すUb)とを備える。
【0010】
この発明によれば、第1スイッチング素子と第2手段とを用いて、単位期間ごとに電気光学素子を発光させるか否かを制御できるので、駆動方式をインパルス型の駆動に近づけることができ、ホールド型の駆動と比較して、動画ぼけを抑制することが可能となる。また、仮に、各単位期間における駆動信号の大きさが一定であるとすれば、駆動期間に刻むことができる階調数は、そこに含まれる単位期間の数で制限される。これに対して、本発明によれば、第1手段を有するので、駆動トランジスタのゲート電位を所定の期間にわたって変化させるので、駆動信号の大きさはこれに伴って変化する。そして、所定の期間を構成するどの単位期間で駆動信号を電気光学素子に供給するかを制御するので、多階調を刻むことが可能となる。
【0011】
第1手段の具体的な態様としては、第1電極と第2電極とを有し、所定の時定数で保持する電圧が変化し、前記第2電極の電位が固定され、前記第1電極と前記駆動トランジスタのゲートが電気的に接続される第1容量(例えば、図4に示すC1)と、基準電位が供給される電位線と前記容量の前記第1電極との間に設けられ、前記所定の期間の直前にオン状態となり、前記所定の期間にオフ状態となる第2スイッチング素子と(例えば、図4に示すTr2)を備える。
【0012】
この発明によれば、第1容量は所定の時定数で保持する電圧が変化する。この時定数は、第1容量の容量成分とこれに並列な抵抗成分とによって定まる。これによって、所定の期間の直前に第1容量の第1電極の電位を基準電位に設定することによって、駆動トランジスタのゲート電位を所定の期間にわたって基準電位から所定の時定数で変化させることができる。時定数は、所定の期間において第1容量が保持する電圧が100%から20%以下に変化するように定めてもよい。こうすることにより容量成分を従来よりも小さい値に設計できる。すなわち第1容量の占有面積を小さくすることができる。
【0013】
上述した電子回路において、前記第1スイッチング素子は、その制御端子の論理レベルが第1レベルでオン状態となって前記経路を導通し、制御端子の論理レベルが第2レベルでオフ状態となって前記経路を遮断し、前記第2手段は、前記制御端子の電位を保持する第2容量と、データ信号が供給されるデータ線と前記制御端子との間に設けられた第3スイッチング素子とを備え、前記第3スイッチング素子は、前記単位期間の開始から一定時間だけオン状態となり、前記データ信号は、前記電気光学素子が所定の期間で表示すべき階調に応じて前記所定の期間を区分した複数の単位期間の各々において、前記第1レベルまたは前記第2レベルの一方となることが好ましい。
【0014】
この発明によれば、第2容量素子によって2値のデータ信号が保持されるので、単位期間の開始からごく短い所定時間に第3スイッチング素子をオン状態することがデータ信号を取り込むことができる。換言すれば、データ信号をサンプルホールドして、電気光学素子が所定の期間で表示すべき階調に応じて、複数の単位期間の各々において前記第1スイッチング素子の導通または遮断を制御する手段として第2手段を機能させることができる。
【0015】
次に、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の発光制御線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた複数の電子回路とを備え、初期化期間と複数の単位期間からなる駆動期間とに分けて、前記複数の電子回路の各々を駆動するものであって、前記複数の走査線に前記初期化期間において有効となる走査信号を順次供給する走査線駆動手段と、前記複数の発光制御線に前記複数の単位期間の各々において、その開始から所定時間だけ有効となる発光制御信号を順次供給する発光制御手段と、前記複数のデータ線の各々に2値のデータ信号を各々供給するデータ線駆動手段と、を備え、前記複数の電子回路の各々は、ゲート電位に応じた駆動信号を生成する駆動トランジスタと、前記走査信号に基づいて前記初期化期間に前記駆動トランジスタのゲート電位を基準電位に設定し、前記駆動期間において前記駆動トランジスタのゲート電位を前記基準電位から変化させる第1手段と、前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子と、前記駆動信号を前記電気光学素子に供給する経路の導通または遮断を切り替える第1スイッチング素子と、前記発光制御信号に基づいて前記データ信号をサンプルホールドして、前記電気光学素子が前記駆動期間で表示すべき階調に応じて、前記複数の単位期間の各々において前記第1スイッチング素子のオン状態またはオフ状態を制御する第2手段とを具備する。
【0016】
この発明によれば、単位期間ごとに電気光学素子を発光させるか否かを制御できるので、駆動方式をインパルス型の駆動に近づけることができ、ホールド型の駆動と比較して、動画ぼけを抑制することが可能となる。また、仮に、各単位期間における駆動信号の大きさが一定であるとすれば、駆動期間に刻むことができる階調数は、そこに含まれる単位期間の数で制限される。これに対して、本発明によれば、駆動トランジスタのゲート電位を駆動期間にわたって変化させるので、駆動信号の大きさはこれに伴って変化する。そして、どの単位期間で駆動信号を電気光学素子に供給するかを制御するので、多階調を刻むことが可能となる。
【0017】
次に、本発明に係る電子機器は、上述した電気光学装置を備える。この電子機器の典型例は、電気光学装置を表示装置として利用した機器である。この種の電子機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成するための露光装置(露光ヘッド)、液晶装置の背面側に配置されてこれを照明する装置(バックライト)、あるいは、スキャナなどの画像読取装置に搭載されて原稿を照明する装置など各種の照明装置など、様々な用途に本発明の電気光学装置を適用することができる。
また、本発明に係る電気光学素子は、電気エネルギーによって光学特性が変化する素子の意味であって、例えば、有機発光ダイオードや無機発光ダイオードなどの発光ダイオード、あるいは、印加電圧によって透過率が変化する液晶素子、電界放出素子、表面導電型電子放出素子、弾道電子放出素子など様々な発光素子が該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<A:実施形態>
図1は、画像を表示する手段として各種の電子機器に使用される電気光学装置の具体的な形態を示すブロック図である。同図に示すように、電気光学装置Dは、画像を表示する表示パネル10と、電気光学装置Dの各部を制御する制御回路40と、電源電位VELおよび接地電圧Gndを生成して表示パネル10に供給する電源回路50とを具備する。
【0019】
表示パネル10は、複数の単位回路(画素回路)Uが配列された素子アレイ部11と、制御回路40による制御のもとに各単位回路Uを制御する走査線駆動回路22、発光制御回路23およびデータ線駆動回路25とを具備する。各単位回路Uは、電気エネルギの供給によって発光する発光素子Eを含む。各発光素子Eは、複数の発光色(赤色・緑色・青色)の何れかに発光する。赤色・緑色・青色に発光する3個の発光素子Eによって、画像の最小の単位である画素が構成される。本実施形態の発光素子Eは、有機EL(ElectroLuminescent)材料からなる発光層が陽極と陰極との間に介在するOLED素子である。発光素子Eの光量は、駆動電流IELの大きさに応じて定まる。
【0020】
素子アレイ部11には、X方向に延在するm本の走査線12と、各走査線12に対をなしてX方向に延在するm本の発光制御線13と、X方向に直交するY方向に延在するn本のデータ線15とが形成される(mおよびnの各々は2以上の自然数)。各単位回路U(電子回路)は、走査線12および発光制御線13の対とデータ線15との各交差に対応した位置に配置される。したがって、これらの単位回路Uは、縦m行×横n列のマトリクス状に配列する。また、素子アレイ部11には、電源回路50から各単位回路Uに至る給電線17および電位線18が形成される。電源回路50から出力された電源電位VELは給電線17を経由して各単位回路Uに供給され、電源回路50から出力された基準電位Vrefは電位線18を経由して各単位回路Uに供給される。
【0021】
制御回路40は、クロック信号や同期信号など各種の制御信号の供給によって電気光学装置Dの各部の動作のタイミングを規定する。本実施形態の制御回路40は、入力階調データG1を所定の規則に従って変換し出力画像データG2を生成する変換回路42を含む。入力階調データG1は、各発光素子Eの階調(輝度)を指定するデータであり、電気光学装置Dが搭載される電子機器のCPUなど各種の上位装置から変換回路42に供給される。
【0022】
図2に単位回路Uの動作の概略を示す。単位回路Uが動作する1フィールド期間1Fは、初期化期間Tiniと駆動期間Td(所定の期間)とに区分される。初期化期間Tiniは、駆動電流IELの初期値を設定する期間である。本実施形態では、初期化期間Tiniに設定された駆動電流IELの大きさを駆動期間Tdで変化させている。駆動期間Tdは複数のサブフィールド期間FS(単位期間)に分割される。この例では、駆動期間Tdが16個のサブフィールド期間FSから構成される。そして、サブフィールド期間FSごとに駆動電流IELを発光素子Eに供給するか否かを制御する。発光素子Eの階調は、各サブファールド期間FSにおける発光素子Eの光量の平均で定まる。出力画像データG2は各サブフィールド期間FSにおいて、駆動電流IELを発光素子Eに供給するか否かを指定する。上述した変換回路42は入力階調データG1の値と出力画像データG2の値とを対応付けて記憶したテーブルを備え、このテーブルを参照して、出力画像データG2を生成する。
【0023】
説明を図1に戻す。走査線駆動回路22は、m本の走査線12の各々を選択するための走査信号Gwrt[1]〜Gwrt[m]を生成して各走査線12に出力する。駆動期間において走査信号Gwrt[1]〜Gwrt[m]の各々は順番にハイレベルに遷移する。すなわち、第i行目(iは1≦i≦mを満たす整数)の走査線12に出力される走査信号Yiは、フレーム期間のうち第i番目の水平走査期間にてハイレベルとなり(すなわち第i行目の走査線12が選択され)、それ以外の期間にてローレベルを維持する。
【0024】
また、走査線駆動回路22は、各サブフィールド期間FSの開始から所定時間だけハイレベルとなる発光制御信号GEL[1]〜GEL[m]を生成して各発光制御線13に出力する。
データ線駆動回路25は、各データ線15にデータ信号X1〜Xnを出力する。データ信号X1〜Xnは、出力画像データG2に基づいて生成され、各サブフィールド期間FSにおいて駆動電流IELを発光素子Eに供給するか否かを指定する信号である。データ信号X(X1〜Xn)は、2値の論理レベルとなる。論理レベル「0」では接地電位Gndとなり、第1トランジスタTr1をオフ状態に設定する。一方、論理レベル「1」では電源電位VEL以上の電位となり第1トランジスタTr1をオン状態とする。なお、上述した初期化期間Tiniの開始から所定時間だけデータ信号X(X1〜Xn)は「0」に設定され、これに同期して発光制御信号GEL[1]〜GEL[m]はハイレベルとなる。これによって、初期化期間Tiniにおいて第1トランジスタTr1がオフ状態となる。
【0025】
次に、図3を参照して、各単位回路Uの構成を説明する。なお、同図においては第i行に属する第j列目のひとつの単位回路Uのみが図示されているが、素子アレイ部11の総ての単位回路Uは同様の構成である。図3に示すように、単位回路Uは、給電線17から接地線(接地電圧Gnd)に至る経路上に配置された発光素子Eを含む。本実施形態の発光素子Eは、駆動電流IELの電流値に応じた輝度(光度)で発光する。発光素子Eの陰極は接地(接地電位Gnd)される。
【0026】
電流IELの経路上(給電線17と発光素子Eとの間)にはpチャネル型のトランジスタ(以下「駆動トランジスタ」という)Tdrが配置される。駆動トランジスタTdrは、電流IELの電流値をゲート電位に応じて制御するMOSFET(Metal Oxide Semiconductor FIELd Effect Transistor)であり、ソースが給電線17に接続される。駆動トランジスタTdrのドレインと発光素子Eの陽極との間には両者間の電気的な接続(導通/非導通)を制御するnチャネル型の第1トランジスタTr1が介在する。そして、ゲート電位制御部Uaは、駆動期間Tdにわたって駆動トランジスタTdrのゲート電位を変化させる手段として機能する。さらに、発光期間制御部Ubは、サブフィールド期間FSごとに第1トランジスタTr1をオン状態にするかオフ状態にするかを制御する手段として機能する。
【0027】
図4に単位回路Uの詳細な構成を示す。ゲート電位制御部Uaは、第1容量素子C1とnチャネル型の第2トランジスタTr2とを備える。第1容量素子C1の第1電極C1aは駆動トランジスタTdrのゲートと接続され、その第2電極C1bは駆動トランジスタTdrのソースと接続される。駆動トランジスタTdrのソースには電源電位VELが供給されるので、第2電極C1bの電位は固定される。第2トランジスタTr2は第1容量素子C1の第1電極C1aと電位線18との間に設けられ、そのゲートは走査線12と電気的に接続される。第2トランジスタTr2は電位線18を介して供給される基準電位Vrefを駆動トランジスタTdrの初期電位として設定するスイッチング素子として機能する。
【0028】
第2トランジスタTr2がオフ状態になると、第1容量素子C1は理想的には基準電位Vrefを保持するが、この例の第1容量素子C1にはリーク電流が存在する。第1容量素子C1の等価回路を図5に示す。この図に示すように第1容量素子C1は、等価的には抵抗Rxと容量Cxとを並列に接続した素子であり、その時定数はRx・Cxである。第2トランジスタTr2がオン状態になると基準電位Vrefが第1電極C1aに印加される一方、第2電極C1bには電源電位VELが印加される。したがって、第1容量素子C1の保持する電圧ΔVは、ΔV=VEL−Vrefとなる。この電圧ΔVは、上述した時定数にしたがって減少する。このため、駆動トランジスタTdrのゲート電位は次第に上昇する。したがって、ゲート電位制御部Uaは、駆動期間Tdにおいて駆動トランジスタTdrのゲート電位を基準電位Vrefから単調増加させる手段として機能する。また、ゲート電位制御部Uaを、駆動期間Tdにおいて駆動トランジスタTdrのゲート電位を基準電位Vrefから単調減少させるように構成してもよい。
【0029】
説明を図4に戻す。発光期間制御部Ubは、第2容量素子C2とnチャネル型の第3トランジスタTr3とを備える。第2容量素子C2の第1電極C2aは第1トランジスタTr1のゲートと接続され、その第2電極C2bは接地される。第3トランジスタTr3は第2容量素子C2の第1電極C2aとデータ線15との間に設けられ、そのゲートは発光制御線13と電気的に接続される。発光制御線13を介して供給される発光制御信号GEL[i]は、各サブフィールド期間FSの開始から所定時間だけハイレベルとなる。この所定時間にデータ信号Xjが第2容量素子C2に取り込まれ保持される。
【0030】
図6は、電気光学装置Dの動作を説明するためのタイミングチャートである。この図に示すように走査信号Gwrt[1]〜Gwrt[m]は、1水平走査期間1Hごどに順次ハイレベルとなる。これにより、各単位回路Uに基準電位Vrefが順次取り込まれる。
図7に示すように、i行j列の単位回路Uでは、走査信号Gwrt[i]がハイレベルとなる初期化期間Tiniにおいて、第2トランジスタTr2がオン状態となり、基準電位Vrefが第1容量素子C1に印加される。これにより、第1容量素子C1には電圧VEL−Vrefが保持される。一方、初期化期間Tiniから所定時間が経過するまで発光制御信号GEL[i]がハイレベルとなる。このとき、データ信号Xjは「0」となる。したがって、初期化期間Tiniにおいて、第2容量素子C2は接地電位Gndを保持し、第1トランジスタTr1はオフ状態となる。なお、初期化期間Tiniが駆動期間Tdと比較して極めて短く、この期間において発光素子Eが発光しても表示すべき階調に与える影響が許容できるほど小さい場合には、初期化期間Tiniにおいて発光制御信号GEL[i]をローレベルとしてもよい。
【0031】
ここで、第1電極C1aの電位を基準として第1容量素子C1に保持される電圧をΔVとしたとき、保持電圧ΔVは図6に示すように駆動期間Tdにおいて次第に減少する。発光制御信号GEL[i]は、駆動期間Tdを構成する各サブフィールド期間FSの開始から所定時間だけハイレベルとなる。このとき、j番目のデータ線15には、i行j列目の単位回路Uの階調を指定するデータ信号Xjが発光性制御信号GEL[i]と同期して供給される。この例では、「0,0,1,0,0,1,1,0,0,0,0,1,0,0,0,0」となり、第1トランジスタTr1のゲート電位は、第3番目、第6番目、第7番目、および第12番目のサブフィールド期間FSにおいてハイレベルとなる。例えば、第3番目のサブフィールド期間FSの開始から発光制御信号GEL[i]がハイレベルとなる期間では、i行j列の単位回路Uは、図8に示すように動作する。そして、第3番目のサブフィールド期間FSにおいて発光性制御信号GEL[i]がハイレベルからローレベルに遷移すると、第3トランジスタTr3はオフ状態となる。このとき、第2容量素子C2にはハイレベルの電位が保持されているので、第3番目のサブフィールド期間FSにおいて第1トランジスタTr1はオン状態を維持する。
【0032】
このように、第3番目、第6番目、第7番目、および第12番目のサブフィールド期間FSにおいて第1トランジスタTr1はオン状態となる。このため、駆動電流IELは図6に示すようになる。第1容量素子C1の保持電圧ΔVは駆動期間Tdにおいて変化するから、第3番目、第6番目、第7番目、および第12番目のサブフィールド期間FSにおいて発光素子Eに流れる駆動電流IELも変化する。
【0033】
仮に、各サブフィールド期間FSにおける駆動電流IELの大きさを一定にすると、16個のサブフィールド期間FSでは階調0から階調16までしか刻むことができない。これに対して、本実施形態では、駆動期間Tdにおいて駆動電流IELの大きささを変化させるようにゲート電位制御部Uaを用いて駆動トランジスタTdrのゲート電位を制御したので、各サブフィールド期間FSで発光素子Eの発光輝度が相違する。このため、発光素子Eを発光させるサブフィールド期間FSの組み合わせによって多階調を刻むことができる。さらに、本実施形態においては、サブフィールド期間FSごとに駆動電流IELを発光素子Eに供給するか否かを制御したので、駆動方式をインパルス型に近づけることができ、動画ぼけを減少させることができる。この結果、動画ばけを改善しつつ、多階調化を実現でき、表示品質を大幅に向上させることができる。
【0034】
なお、上述した実施形態においては発光素子Eとして有機発光ダイオード素子を例示したが、これ以外の発光素子を利用した電気光学装置にも本発明は適用される。例えば、無機EL材料からなる発光層を含む発光素子や発光ダイオード素子、電界放出(FE:FIELd Emission)素子、表面導電型電子放出(SE:Surface-conduction Electron-emitter)素子、弾道電子放出(BS:Ballistic electron Surface emitting)素子など様々な発光素子を本発明の電気光学装置に採用することができる。
【0035】
<B:応用例>
次に、本発明に係る電気光学装置を利用した電子機器について説明する。図9ないし図11には、以上の何れかの形態に係る電気光学装置Dを表示装置として採用した電子機器の形態が図示されている。
図9は、電気光学装置Dを採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する電気光学装置Dと、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。電気光学装置Dは有機発光ダイオード素子を発光素子Eとして使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0036】
図10は、電気光学装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する電気光学装置Dとを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0037】
図11は、電気光学装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。携帯情報端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する電気光学装置Dとを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が電気光学装置Dに表示される。
【0038】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図9から図11に示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する光ヘッド(書込ヘッド)が使用されるが、この種の光ヘッドとしても本発明の電気光学装置は利用される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】単位回路の動作の概略を示すタイミングチャートである。
【図3】単位回路の構成を示すブロック図である。
【図4】単位回路の詳細構成を示す回路図である。
【図5】第1容量素子の等価回路を示す回路図である。
【図6】電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】初期化期間おける単位回路の動作を示す説明図である。
【図8】単位期間おける単位回路の動作を示す説明図である。
【図9】本発明に係る電子機器の形態(パーソナルコンピュータ)を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る電子機器の形態(携帯電話機)を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る電子機器の形態(携帯情報端末)を示す斜視図である。
【図12】従来のOLED素子を用いた画素回路の一例を示す回路図である。
【図13】インパルス型の駆動とホールド型の駆動とを比較するグラフである。
【符号の説明】
【0040】
D……電気光学装置、10……表示パネル、11……素子アレイ部、U……単位回路、E……発光素子、12……走査線、13……発光制御線、15……データ線、17……給電線、18……電位線、22……走査線駆動回路、25……データ線駆動回路、40……制御回路、Tdr……駆動トランジスタ、Tr1……第1トランジスタ、Tr2……第2トランジスタ、Tr3……第3トランジスタ、C1……第1容量素子、C2……第2容量素子、Ua……データ電位制御部、Ub……発光期間制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電位に応じた駆動信号を生成する駆動トランジスタと、前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子とを備えた電子回路の駆動方法であって、
所定の期間に亘って前記ゲート電位を変化させ、
前記電気光学素子が前記所定の期間で表示すべき階調に応じて、前記所定の期間を区分した複数の単位期間の各々において、前記駆動信号を前記電気光学素子に供給するか否かを制御する、
電子回路の駆動方法。
【請求項2】
前記所定の期間の直前に前記ゲート電位を基準電位に設定し、
前記所定の期間において前記ゲート電位を前記基準電位から単調減少または単調増加させる、
請求項1に記載の電子回路の駆動方法。
【請求項3】
ゲート電位に応じた駆動信号を生成する駆動トランジスタと、
所定の期間に亘って前記ゲート電位を変化させる第1手段と、
前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子と、
前記駆動信号を前記電気光学素子に供給する経路の導通または遮断を切り替える第1スイッチング素子と、
前記電気光学素子が所定の期間で表示すべき階調に応じて、前記所定の期間を区分した複数の単位期間の各々において前記第1スイッチング素子のオン状態またはオフ状態を制御する第2手段とを、
具備する電子回路。
【請求項4】
前記第1手段は、
第1電極と第2電極とを有し、所定の時定数で保持する電圧が変化し、前記第2電極の電位が固定され、前記第1電極と前記駆動トランジスタのゲートが電気的に接続される第1容量と、
基準電位が供給される電位線と前記第1容量の前記第1電極との間に設けられ、前記所定の期間の直前にオン状態となり、前記所定の期間にオフ状態となる第2スイッチング素子とを、
具備する請求項3に記載の電子回路。
【請求項5】
前記第1スイッチング素子は、その制御端子の論理レベルが第1レベルでオン状態となって前記経路を導通し、制御端子の論理レベルが第2レベルでオフ状態となって前記経路を遮断し、
前記第2手段は、
前記制御端子の電位を保持する第2容量と、
データ信号が供給されるデータ線と前記制御端子との間に設けられた第3スイッチング素子とを備え、
前記第3スイッチング素子は、前記単位期間の開始から一定時間だけオン状態となり、
前記データ信号は、前記電気光学素子が所定の期間で表示すべき階調に応じて前記所定の期間を区分した複数の単位期間の各々において、前記第1レベルまたは前記第2レベルの一方となる、
請求項3または4に記載の電子回路。
【請求項6】
複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の発光制御線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた複数の電子回路とを備え、初期化期間と複数の単位期間からなる駆動期間とに分けて、前記複数の電子回路の各々を駆動する電気光学装置であって、
前記複数の走査線に前記初期化期間において有効となる走査信号を順次供給する走査線駆動手段と、
前記複数の発光制御線に前記複数の単位期間の各々において、その開始から所定時間だけ有効となる発光制御信号を順次供給する発光制御手段と、
前記複数のデータ線の各々に2値のデータ信号を各々供給するデータ線駆動手段と、を備え、
前記複数の電子回路の各々は、
ゲート電位に応じた駆動信号を生成する駆動トランジスタと、
前記走査信号に基づいて前記初期化期間に前記駆動トランジスタのゲート電位を基準電位に設定し、前記駆動期間において前記駆動トランジスタのゲート電位を前記基準電位から変化させる第1手段と、
前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子と、
前記駆動信号を前記電気光学素子に供給する経路の導通または遮断を切り替える第1スイッチング素子と、
前記発光制御信号に基づいて前記データ信号をサンプルホールドして、前記電気光学素子が前記駆動期間で表示すべき階調に応じて、前記複数の単位期間の各々において前記第1スイッチング素子のオン状態またはオフ状態を制御する第2手段とを、
具備する電気光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気光学装置を備えた電子機器。
【請求項1】
ゲート電位に応じた駆動信号を生成する駆動トランジスタと、前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子とを備えた電子回路の駆動方法であって、
所定の期間に亘って前記ゲート電位を変化させ、
前記電気光学素子が前記所定の期間で表示すべき階調に応じて、前記所定の期間を区分した複数の単位期間の各々において、前記駆動信号を前記電気光学素子に供給するか否かを制御する、
電子回路の駆動方法。
【請求項2】
前記所定の期間の直前に前記ゲート電位を基準電位に設定し、
前記所定の期間において前記ゲート電位を前記基準電位から単調減少または単調増加させる、
請求項1に記載の電子回路の駆動方法。
【請求項3】
ゲート電位に応じた駆動信号を生成する駆動トランジスタと、
所定の期間に亘って前記ゲート電位を変化させる第1手段と、
前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子と、
前記駆動信号を前記電気光学素子に供給する経路の導通または遮断を切り替える第1スイッチング素子と、
前記電気光学素子が所定の期間で表示すべき階調に応じて、前記所定の期間を区分した複数の単位期間の各々において前記第1スイッチング素子のオン状態またはオフ状態を制御する第2手段とを、
具備する電子回路。
【請求項4】
前記第1手段は、
第1電極と第2電極とを有し、所定の時定数で保持する電圧が変化し、前記第2電極の電位が固定され、前記第1電極と前記駆動トランジスタのゲートが電気的に接続される第1容量と、
基準電位が供給される電位線と前記第1容量の前記第1電極との間に設けられ、前記所定の期間の直前にオン状態となり、前記所定の期間にオフ状態となる第2スイッチング素子とを、
具備する請求項3に記載の電子回路。
【請求項5】
前記第1スイッチング素子は、その制御端子の論理レベルが第1レベルでオン状態となって前記経路を導通し、制御端子の論理レベルが第2レベルでオフ状態となって前記経路を遮断し、
前記第2手段は、
前記制御端子の電位を保持する第2容量と、
データ信号が供給されるデータ線と前記制御端子との間に設けられた第3スイッチング素子とを備え、
前記第3スイッチング素子は、前記単位期間の開始から一定時間だけオン状態となり、
前記データ信号は、前記電気光学素子が所定の期間で表示すべき階調に応じて前記所定の期間を区分した複数の単位期間の各々において、前記第1レベルまたは前記第2レベルの一方となる、
請求項3または4に記載の電子回路。
【請求項6】
複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の発光制御線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた複数の電子回路とを備え、初期化期間と複数の単位期間からなる駆動期間とに分けて、前記複数の電子回路の各々を駆動する電気光学装置であって、
前記複数の走査線に前記初期化期間において有効となる走査信号を順次供給する走査線駆動手段と、
前記複数の発光制御線に前記複数の単位期間の各々において、その開始から所定時間だけ有効となる発光制御信号を順次供給する発光制御手段と、
前記複数のデータ線の各々に2値のデータ信号を各々供給するデータ線駆動手段と、を備え、
前記複数の電子回路の各々は、
ゲート電位に応じた駆動信号を生成する駆動トランジスタと、
前記走査信号に基づいて前記初期化期間に前記駆動トランジスタのゲート電位を基準電位に設定し、前記駆動期間において前記駆動トランジスタのゲート電位を前記基準電位から変化させる第1手段と、
前記駆動信号に応じた光量の光を射出する電気光学素子と、
前記駆動信号を前記電気光学素子に供給する経路の導通または遮断を切り替える第1スイッチング素子と、
前記発光制御信号に基づいて前記データ信号をサンプルホールドして、前記電気光学素子が前記駆動期間で表示すべき階調に応じて、前記複数の単位期間の各々において前記第1スイッチング素子のオン状態またはオフ状態を制御する第2手段とを、
具備する電気光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気光学装置を備えた電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−89684(P2008−89684A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267585(P2006−267585)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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