説明

電子回路及び電子装置

【課題】高周波領域で信号の絶対値検出が可能な電子回路及び電子装置等を提供すること。
【解決手段】電子回路は、第1の入力信号が入力される第1の増幅回路101と、第2の入力信号が入力される第2の増幅回路102と、第1の電源ノード105と出力ノード108との間に設けられ、第1の増幅回路101の出力によってゲートが制御される第1のドレイン接地増幅用トランジスター103と、第1の電源ノード105と出力ノード108との間に設けられ、第2の増幅回路102の出力によってゲートが制御される第2のドレイン接地増幅用トランジスター104と、出力ノード108と第2の電源ノード107との間に設けられる共通の負荷素子106と、出力ノード108から第1の増幅回路101の入力に負帰還する第1の負帰還経路115と、出力ノード108から第2の増幅回路102の入力に負帰還する第2の負帰還経路113とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路及び電子装置、特にUWB(Ultra Wide Band)信号を受信する電子回路及び電子装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
受信された信号の包絡線を検出しベースバンド信号を復調する回路は、古くから使用されており様々な回路が考え出されている。包絡線は、尖頭値を結んだものであり、交流成分の絶対値を平滑化して得られる。また、信号を二乗し平滑化して包絡線検出に替える方法も古くからあり、「二乗検波」などと呼ばれている。例えば、特許文献1には、信号の二乗値を得る二乗検出回路とそれを使った振幅検波の方法が示されている。
【0003】
また、UWB信号、特に搬送波を用いないIR(Impulse Radio)によるUWB通信(以下「UWB−IR」通信と言う)においても、包絡線検出を使った受信機があり、例えば、特許文献2または特許文献3においてその有効性が示されている。これらの特許文献2,3では整流回路と積分回路が用いられているが、これは信号の交流成分の絶対値を平滑化して包絡線を求めるものである。以下、変調された搬送波(経時的に振幅が変化する高周波の信号)の包絡線を検出する作用を、「包絡線検出」と呼ぶことにする。また、UWB−IR受信機において、二乗検波を用いた例は見当たらない。
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1の二乗検出回路は、バイポーラトランジスターを使うものであり、大規模な回路の集積化に適するMOSトランジスターを用いるものでない。また、二乗特性は、コレクタ電流に比較して信号の電流変化が十分小さい小信号が入力された場合のみに近似的に得られるのであって、大きな信号では誤差が伴う。大きな信号を扱おうとすると、必然的に消費電力が大きくなる。さらに、回路の動作速度はあまり速くなく、UWB−IR通信の信号のように素子の性能限界程度に高い周波数の信号を扱う場合には適さない。また、周波数変換によって信号の周波数を落としてから包絡線検出を行うことも可能であるが、この場合には高い精度の位相同期が必要となる。位相同期が無いと、送受信間の搬送波周波数の誤差が信号の包絡線にビートとなって加算され、周波数変換によって復調することができないという課題がある。
【0005】
また、一般に受信装置では、受信の条件により受信される信号のレベルは一定でない。受信信号レベルに変動があると、二乗値による信号検出はその変動を助長する。すなわち、二乗検出では、受信信号のレベルの二乗に比例する出力信号を扱うため、その受信信号レベルが低い時は極端に性能が悪くなる。信号の包絡線を信号の二乗値によって検出するよりも、その絶対値によって検出するほうが有利である。
【0006】
また、上記特許文献2,3は、信号の絶対値によってUWB信号を検出する例である。しかし、上記特許文献2,3のいずれにおいても、UWB−IR通信についての原理的な提案が開示されているに留まり、現実の実施に当たって克服しなければならない数々の課題や、それらの課題に対する解決策についてはなんら開示されていない。
【0007】
従来の技術では、UWB−IR通信に適用される高周波信号(急峻で瞬時的なパルス)に対して有効に機能する包絡線検出回路を実現できないという問題がある。
【0008】
上記特許文献2には、演算増幅回路とPN接合ダイオードによる包絡線検出回路とを使った回路例が例示されている。しかしながら、PN接合ダイオードを使用した回路では、CMOS半導体プロセスによりワンチップ化することが困難であり、さらに、UWB−IR通信に用いられるような極めて細いパルスを全波整流してその包絡線を検出することは現実には不可能に近い。
【0009】
UWB−IR通信では、素子性能の限界に及ぶ高周波が用いられるのに対し、演算増幅回路の動作可能最高速度は素子性能の限界周波数の数分の一程度であり、動作速度が絶対的に不足するためである。さらに、従来の全波整流回路では、入力信号が受信機で受信される信号レベルに対して十分に大きくないと良好に動作しない。また、従来の全波整流回路では、アンテナから得られる受信信号を前置した低雑音増幅回路で増幅して得られる波高値が数mV程度の信号を良好に検出することは不可能に近い。このため、前置した低雑音増幅回路の増幅度を上げるなどの対策が必要であるが、これも周波数が高いことやシステムの複雑さや消費電力の増大等々の困難を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−170807号公報
【特許文献2】特開2004−320083号公報
【特許文献3】特開2005−252740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の幾つかの態様によれば、高周波領域で信号の絶対値検出が可能な電子回路及び電子装置等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、第1の入力信号が入力される第1の増幅回路と、第2の入力信号が入力される第2の増幅回路と、第1の電源ノードと出力ノードとの間に設けられ、前記第1の増幅回路の出力によってゲートが制御される第1のドレイン接地増幅用トランジスターと、前記第1の電源ノードと前記出力ノードとの間に設けられ、前記第2の増幅回路の出力によってゲートが制御される第2のドレイン接地増幅用トランジスターと、前記出力ノードと第2の電源ノードとの間に設けられる共通の負荷素子と、前記出力ノードから前記第1の増幅回路の入力に負帰還する第1の負帰還経路と、前記出力ノードから前記第2の増幅回路の入力に負帰還する第2の負帰還経路とを含むことを特徴とする電子回路に関係する。
【0013】
本発明の一態様によれば、共通の負荷素子を駆動する2つのドレイン接地増幅回路それぞれに前置して増幅回路があり、これらの増幅回路は、それぞれドレイン接地増幅回路が駆動する共通の負荷素子から負帰還される構成になっている。2つのドレイン接地増幅回路が共通の負荷素子を駆動する場合、その負荷は、両者のドレイン接地増幅回路の入力レベルを比較しどちらか一方の入力値によって駆動される。すなわち、ドレイン接地増幅回路がNチャネルトランジスターによって構成される場合、出力はどちらか一方の高い電圧レベルの入力信号によって駆動され、Pチャネルトランジスターの場合は低い電圧レベルの入力信号によって駆動される。すなわち入力信号レベルの高い方、または低い方が選択的に増幅される。これによって、入力信号として互いに逆極性の信号を入力すると、出力にはその信号レベルの絶対値が出力されることになり、全波整流が可能となる。さらに、ドレイン接地増幅回路と負帰還経路によって十分な直線性と周波数特性を得ることができる。また、PN接合ダイオードを用いないので、通常のCMOS半導体プロセスによるオンチップ化が可能である。回路構成も極めてシンプルであり、MOSトランジスターの限界周波数程度の高周波高速動作が可能であり、UWB−IR通信などの高速動作が必要なシステムへの応用が可能となる。これによって、システム一体化が容易な信号の絶対値を検出する回路(絶対値検出回路)が実現できる。
【0014】
また本発明の一態様では、前記第1の増幅回路の出力信号と前記第2の増幅回路の出力信号とを合成する合成回路を含んでもよい。
【0015】
このようにすれば、ドレイン接地増幅回路が共通の負荷素子を駆動することによって、入力信号レベルの高い方、または低い方のどちらか一方が増幅され出力される。従って、その選択から外れた側の負帰還経路は遮断されることになり、増幅回路は大振幅の信号を出力することになる。上記電子回路によれば、第1の増幅回路及び第2の増幅回路の出力を合成する合成回路によって、負帰還経路が遮断された側の増幅回路の出力を取り出し利用することができる。これによって、入力信号の(ドレイン接地増幅回路が出力しない側の)大きな方、または小さな方のどちらか一方を増幅回路が(帰還なしで)増幅した大レベルの信号を利用することができる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記合成回路は、前記第1の増幅回路の出力信号の電圧値と前記第2の増幅回路の出力信号の電圧値とを加算する加算回路であってもよい。
【0017】
このようにすれば、簡単な加算回路によって合成回路を構成できる。負帰還経路が遮断された側の信号レベルに対して、負帰還経路が繋がっている側の信号レベルを加算して出力することができる。さらに、加算回路の設計は自由度が大きく多彩な性能を得ることができる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記合成回路は、前記第1の増幅回路及び前記第2の増幅回路のうちの、前記負帰還制御によって帰還される帰還量が少ない方の増幅回路の出力信号の電圧値に対応する電圧値を出力してもよい。
【0019】
このようにすれば、増幅回路出力を合成する回路は帰還量が少ない側、すなわち増幅度の高い方の増幅回路出力を選択し出力する。これによって出力レベルの大きい信号を利用することができる。
【0020】
また本発明の一態様では、前記第1の増幅回路及び前記第2の増幅回路は、差動増幅回路であってもよい。
【0021】
このようにすれば、ドレイン接地増幅回路に前置する増幅回路として差動型の増幅回路を使用するので、回路のオフセットなどの変動を最小に抑えることができ、また多彩な負帰還経路の選択を可能とし、直線性、周波数特性、利得などの回路要求仕様を満たすための設計を容易にすることができる。
【0022】
また本発明の一態様では、前記第1の増幅回路及び前記第2の増幅回路は、インバーター回路であってもよい。
【0023】
このようにすれば、ドレイン接地増幅回路に前置する増幅回路としてCMOSインバーター回路等を使用することができるので、回路構成がきわめて簡単になる。しかも、周波数特性などの合わせ込みが容易であり、多くの場合十分な性能を得ることができる。
【0024】
また本発明の一態様では、前記第1の入力信号及び前記第2の入力信号は、所定の電位を基準として信号レベルの絶対値が等しく、かつ所定の電位を基準とした信号レベルの極性が互いに逆極性の信号であってもよい。
【0025】
このようにすれば、所定の電位を基準として信号レベルの絶対値が等しく、かつ所定の電位を基準とした信号レベルの極性が互いに逆極性の信号(平衡型の信号)が入力され、電子回路はこの信号のレベルを比較しどちらか一方の高い方(ドレイン接地増幅回路にNチャネルトランジスターを用いた場合)または低い方(ドレイン接地増幅回路にPチャネルトランジスターを用いた場合)を出力するので、その信号レベルの絶対値の検出を行うことができる。
【0026】
また本発明の一態様では、前記第1の増幅回路及び前記第2の増幅回路の各々の出力信号の振幅値を制限するクランプ回路を含んでもよい。
【0027】
このようにすれば、第1、第2の増幅回路が大振幅の信号を出力することがなくなるから、回路の周波数特性、特に大信号入力時のスルーレート特性を大きく改善することができる。
【0028】
また本発明の一態様では、前記負帰還制御は、前記第1の負帰還経路及び前記第2の負帰還経路に設けられた非線形素子を介して行われてもよい。
【0029】
このようにすれば、負帰還経路に非線形素子を含むことによって、回路の直線性を故意に歪ませることができる。これによって、絶対値の検出のみでなく、絶対値の二乗値の検出や、回路に自動利得制御の機能を持たせることが可能となる。
【0030】
本発明の他の態様は、上記いずれかに記載の電子回路を含む電子装置に関係する。
【0031】
本発明の他の態様によれば、上記電子回路によって簡単に信号の絶対値を検出することができから、簡単かつ低消費電力の電子装置を実現できる。
【0032】
また本発明の他の態様では、受信したUWB(Ultra Wide Band)信号からパルス信号を検出する信号処理部を含んでもよい。
【0033】
このようにすれば、上記電子回路によって簡単に信号の絶対値を検出することができるから、特にUWB信号が担うパルスを検出する受信装置で簡単かつ低消費電力の電子装置を実現できる。特に、二乗検波を用いる場合と比較しても、受信信号レベルが低い時でも良好な受信特性を得ることができる。
【0034】
本発明の他の態様は、受信信号が入力される低雑音増幅回路と、前記低雑音増幅回路の出力信号を構成する第1の入力信号及び第2の入力信号が入力される請求項1乃至9のいずれかに記載の電子回路である絶対値検出回路と、前記絶対値検出回路の出力が入力される低域通過濾波器と、前記低域通過濾波器の出力が入力される信号処理部とを含むことを特徴とする電子装置に関係する。
【0035】
本発明の他の態様によれば、上記電子回路によって簡単に信号の絶対値を検出することができる。これによって、絶対値検波を用いる受信装置などの簡単かつ低消費電力の電子装置を実現できる。特に、二乗検波を用いる場合と比較しても、受信信号レベルが低い時でも良好な受信特性を得ることができる。
【0036】
また本発明の他の態様では、前記低雑音増幅回路には、前記受信信号としてUWB(Ultra Wide Band)信号が入力され、前記信号処理部は、前記UWB信号からパルス信号を検出してもよい。
【0037】
このようにすれば、UWB信号が担うパルスを検出する受信装置であって、簡単かつ低消費電力の電子装置を実現できる。
【0038】
本発明の他の態様は、互いに直交する第1の信号及び第2の信号を発生するテンプレート信号発生部と、前記第1の信号と受信信号とを乗算した第1の乗算信号を出力する第1の乗算器と、前記第2の信号と前記受信信号とを乗算した第2の乗算信号を出力する第2の乗算器と、前記第1の乗算信号から高周波成分を取り除いた第1の低域通過濾波信号を出力する第1の低域通過濾波器と、前記第2の乗算信号から高周波成分を取り除いた第2の低域通過濾波信号を出力する第2の低域通過濾波器と、前記第1の低域通過濾波信号の信号レベルの絶対値を出力する第1の絶対値検出回路と、前記第2の低域通過濾波信号の信号レベルの絶対値を出力する第2の絶対値検出回路と、前記第1の絶対値検出回路が出力する第1の絶対値出力信号と前記第2の絶対値検出回路が出力する第2の絶対値出力信号とを加算して出力する加算回路と、前記加算回路が出力する加算出力信号の信号レベルを判別する判別回路とを含むことを特徴とする電子装置に関係する。
【0039】
本発明の他の態様によれば、互いに直交する、すなわち互いに90度の位相差を持つ2つのテンプレート信号(第1の信号及び第2の信号)と受信信号を乗算し、高周波成分を取り除き高域を遮断することによって、それぞれのテンプレートと受信信号の相関値が得られる。これらの相関値の二乗の和は、受信信号の絶対値の二乗となるので、受信信号の絶対値を知ることができる。
【0040】
また本発明の他の態様では、前記第1の絶対値検出回路は、前記第1の低域通過濾波信号を構成する第1の入力信号が入力される第1の増幅回路と、前記第1の低域通過濾波信号を構成する第2の入力信号が入力される第2の増幅回路と、第1の電源ノードと第1の出力ノードとの間に設けられ、前記第1の増幅回路の出力によってゲートが制御される第1のドレイン接地増幅用トランジスターと、前記第1の電源ノードと前記第1の出力ノードとの間に設けられ、前記第2の増幅回路の出力によってゲートが制御される第2のドレイン接地増幅用トランジスターと、前記第1の出力ノードと第2の電源ノードとの間に設けられる第1の共通の負荷素子と、前記第1の出力ノードから前記第1の増幅回路の入力に負帰還する第1の負帰還経路と、前記第1の出力ノードから前記第2の増幅回路の入力に負帰還する第2の負帰還経路とを含み、前記第2の絶対値検出回路は、前記第2の低域通過濾波信号を構成する第3の入力信号が入力される第3の増幅回路と、前記第2の低域通過濾波信号を構成する第4の入力信号が入力される第4の増幅回路と、前記第1の電源ノードと第2の出力ノードとの間に設けられ、前記第3の増幅回路の出力によってゲートが制御される第3のドレイン接地増幅用トランジスターと、前記第1の電源ノードと前記第2の出力ノードとの間に設けられ、前記第4の増幅回路の出力によってゲートが制御される第4のドレイン接地増幅用トランジスターと、前記第2の出力ノードと前記第2の電源ノードとの間に設けられる第2の共通の負荷素子と、前記第2の出力ノードから前記第3の増幅回路の入力に負帰還する第3の負帰還経路と、前記第2の出力ノードから前記第4の増幅回路の入力に負帰還する第4の負帰還経路とを含んでもよい。
【0041】
このようにすれば、互いに直交する、すなわち互いに90度の位相差を持つ2つのテンプレート信号(第1の信号及び第2の信号)と受信信号を乗算し、高周波成分を取り除き高域を遮断することによって、それぞれのテンプレートと受信信号の相関値が得られる。これらの相関値の二乗の和は、受信信号の絶対値の二乗となるので、受信信号の絶対値を知ることができる。この場合、受信信号の搬送波との正確な同期は必要でない。上記電子回路では、相関値の二乗和によらず絶対値の和を直接容易に得ることが出来る。二乗和でなく絶対値の和を代用するので、受信信号レベルが小さい時でも良好な受信特性が得られる受信装置を簡易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1(A)、図1(B)は電子回路の第1の構成例及びその波形図。
【図2】増幅回路の詳細な構成例。
【図3】図3(A)、図3(B)は電子回路の第2の構成例及びその波形図。
【図4】図4(A)、図4(B)は電子回路の第3の構成例及びその波形図。
【図5】電子回路の第4の構成例。
【図6】電子回路の第4の構成例の波形図。
【図7】受信装置の第1の構成例。
【図8】受信装置の第1の構成例の波形図。
【図9】受信装置の第2の構成例。
【図10】受信装置の第2の構成例の波形図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0044】
1.電子回路の第1の構成例
先ず、本実施形態の電子回路の第1の構成例について、図1(A)、図1(B)及び図2を参照して説明する。図1(A)は、本実施形態の電子回路の第1の構成例を示す回路図であり、図1(B)は、本構成例の動作を示す波形図である。図2は、本実施形態の電子回路の増幅回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【0045】
なお、本実施形態の電子回路は図1(A)、図1(B)及び図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0046】
図1(A)に示すように、電子回路1は、第1の入力信号が入力される第1の増幅回路101と、第2の入力信号が入力される第2の増幅回路102と、第1のドレイン接地増幅回路116を構成するNMOSトランジスター(第1のドレイン接地増幅用トランジスター)103及び抵抗(広義には共通の負荷素子)106と、第2のドレイン接地増幅回路117を構成するNMOSトランジスター(第2のドレイン接地増幅用トランジスター)104及び抵抗106と、第1の負帰還経路である配線115と、第2の負帰還経路である配線113とを含む。
【0047】
第1のドレイン接地増幅用トランジスター103は、第1の電源ノード105と出力ノード108との間に設けられ、第1の増幅回路101の出力によってゲートが制御される。第2のドレイン接地増幅用トランジスター104は、第1の電源ノード(VDD)105と出力ノード108との間に設けられ、第2の増幅回路102の出力によってゲートが制御される。
【0048】
抵抗(共通の負荷素子)106は、出力ノード108と第2の電源ノード(VSS)107との間に設けられ、第1のドレイン接地増幅回路116及び第2のドレイン接地増幅回路117において共通の負荷素子として使われている。すなわち第1,第2のドレイン接地増幅回路の出力は並列に接続されている。
【0049】
第1,第2のドレイン接地増幅回路116,117の出力である出力ノード108からの出力信号は、配線(第1、第2の負帰還経路)115,113を介して第1の増幅回路101及び第2の増幅回路102へ負帰還される。
【0050】
第1の増幅回路101は、+端子が入力端子109と接続され、−端子が配線115と接続され、出力端子が配線111を介してNMOSトランジスター103のゲートに接続されている。第2の増幅回路102は、+端子が入力端子110と接続され、−端子が配線113と接続され、出力端子が配線112を介してNMOSトランジスター104のゲートに接続されている。
【0051】
NMOSトランジスター103は、ドレインが電源電圧線(広義には第1の電源ノード)105に接続され、ソースが出力ノード108に接続されている。NMOSトランジスター104は、ドレインが電源電圧線105に接続され、ソースが出力ノード108に接続されている。抵抗106は、出力ノード108と接地電位線(広義には第2の電源ノード)107との間に接続されている。出力ノード108は、配線113,115と出力端子114に接続されている。
【0052】
電子回路1は、NMOSトランジスター103,104で構成されているので、入力端子109,110に入力される2つの入力信号のレベルを比較し、レベルの大きい方を取り出す回路であり、2つの入力信号の絶対値を取り出す絶対値回路として機能する。NMOSトランジスター103,104をPMOSトランジスターで構成すれば、逆に、2つの入力信号のレベルを比較し、レベルの小さい方を取り出す回路となる。また、NMOSトランジスター103,104の代わりに接合型の電界効果型トランジスターあるいはバイポーラトランジスターを用いることもできる。
【0053】
入力端子109に入力された第1の入力信号は、第1の増幅回路101によって増幅されNMOSトランジスター103のゲートに入力される。また入力端子110に入力された第2の入力信号は、第2の増幅回路102によって増幅されNMOSトランジスター104のゲートに入力される。第1の増幅回路101および第2の増幅回路102は、共通の抵抗106からそれぞれ配線115、または配線113を通じて共通の抵抗106の電圧(出力ノード108の電圧)が入力側に負帰還されている。
【0054】
第1のドレイン接地増幅回路116及び第2のドレイン接地増幅回路117が共通の負荷となる抵抗106を駆動する場合は、本第1の構成例のようにNMOSトランジスター103,104を用いる場合、2つの入力信号の電圧のうち電圧の高い側の信号が増幅されて抵抗106に現れる。従って、増幅回路101,102のうち高い電圧を出力した方には負帰還ループが形成され、低い電圧を出力した方には負帰還ループが形成されず電圧はさらに低くなるので、NMOSトランジスター103,104のうち負帰還ループが形成されない側は完全にオフすることになる。
【0055】
入力端子109,110に入力する第1、第2の入力信号が、所定の基準レベルに対して信号レベルの絶対値が等しく、かつ所定の電位を基準とした信号レベルの極性が互いに逆極性の信号である場合には、入力信号の正の極性、または負の極性の信号だけが出力端子114に現れることになる。信号レベルの絶対値が等しく互いに逆極性の信号は平衡型の信号として多用されているので、このような信号は従来の技術によって容易に発生することができる。また、図1(A)に示すように第1のドレイン接地増幅回路116及び第2のドレイン接地増幅回路117がNMOSトランジスター103,104で構成されている場合、この平衡型の入力信号の正の側のみが切り替わって出力される両波整流となる。
【0056】
ここで、図1(B)の波形図に基づき、電子回路1の動作を説明する。図1(B)の波形図は、第1、第2の増幅回路101,102として理想的な演算増幅回路を用いた場合を示している。図1(B)において、実線は第1の増幅回路101に関する信号を示し、破線は第2の増幅回路102に関する信号を表す。入力端子109,110に入力する第1、第2の入力信号a,bは、図1(B)に示すように基準レベルVoを中心として信号レベルの絶対値が等しく極性が逆の信号(平衡型の信号)である。共通の抵抗106を駆動する第1のドレイン接地増幅回路116及び第2のドレイン接地増幅回路117は、第1、第2の増幅回路101,102のうち高い電圧を出力した方の電圧を出力する。
【0057】
従って、第1の増幅回路101の出力信号cまたは第2の増幅回路102の出力信号dのうち高い電圧を出力した方は、帰還量100%の負帰還ループが構成され、図1(B)に示すように増幅度1となるようにNMOSトランジスター103,104のゲートに電圧を供給する。すなわち、正の極性の入力信号aが入力された第1の増幅回路101の出力信号cは、入力信号aの電圧よりNMOSトランジスター103,104の閾値電圧Vtだけ高い電圧で出力される。一方、負の極性の入力信号bが入力された第2の増幅回路102の出力信号dは、負帰還ループが構成されないので第2の増幅回路102の飽和電圧Vsが出力される。出力端子114から出力される出力信号eは、図1(B)に示すように第1の増幅回路101の入力信号aまたは第2の増幅回路102の入力信号bのうち正極側の電圧となる。
【0058】
図2は、図1(A)に示した第1、第2の増幅回路101,102の詳細な構成例を示す回路図である。本構成例の第1、第2の増幅回路101,102は、差動増幅回路である。
【0059】
NMOSトランジスター203,204は、差動対を構成し、入力端子109が差動の非反転の入力端子となり、入力端子207が差動の反転の入力端子となる。NMOSトランジスター202は、NMOSトランジスター203,204の差動対のソース電流を一定にする電流源として動作し、入力端子201に与えられるバイアス電圧によってその電流値が決定される。PMOSトランジスター205,206は、差動対の負荷であり、増幅された差動信号が単一の出力に変換され、出力端子208から出力される。
【0060】
第1の増幅回路101の出力端子208は、NMOSトランジスター103のゲートに接続され、NMOSトランジスター103は共通の抵抗106を駆動する。抵抗106から出力される信号は、第1の増幅回路101の入力端子207及び第2の増幅回路102の入力端子207に入力され負帰還経路が形成される。第1、第2の増幅回路101,102の出力のうちで高い電圧を出力する側には100%の負帰還がかかることになり、出力端子114には歪みのない増幅信号が出力される。
【0061】
以上に述べた電子回路の第1の構成例によれば、以下の効果が得られる。
【0062】
本実施形態の電子回路1は、PN接合ダイオードを使用することなく、すべての素子をCMOS半導体集積回路プロセスで容易に構成することができる。しかも、出力される信号は負帰還ループが構成されている側の信号であり、広帯域でかつ歪みの少ない全波整流が可能である。また、図2のような構成によれば、PN接合ダイオードを用いることなく電界効果型トランジスターのみで歪みのない精密な全波整流回路が実現できる。
【0063】
2.電子回路の第2の構成例
次に、電子回路の第2の構成例について説明する。第1の構成例においては、第1、第2の増幅回路101,102として差動増幅回路を用いる例を示した。差動型の増幅回路101,102は、他にも様々な帰還のかけ方がありそれぞれ特徴がある。
【0064】
図3(A)は、電子回路の第2の構成例であって、帰還量を減らして増幅回路に電圧利得を持たせた回路である。電子回路3において、第1、第2の増幅回路101,102は、それぞれ、共通の抵抗(広義には共通の負荷素子)106を駆動する電圧を抵抗302,301または抵抗303,304で分圧し、それぞれ第1、第2の増幅回路101,102の−端子に負帰還させている。ここで、抵抗301,304の抵抗値をR1、抵抗302,303の抵抗値をR2とする。このような帰還をかけると、出力端子114には、入力端子109,110に入力された入力信号のうちで電位の高い側の信号の(1+R2/R1)倍の信号が現れる。
【0065】
本構成例は、第1、第2の増幅回路101,102の各々の出力信号の振幅値を制限するクランプ回路を含む。すなわち、NMOSトランジスター305,306は、第1、第2の増幅回路101,102に他方より低い電圧が入力された場合(負帰還ループが構成されない場合)、出力振幅が大きくなりすぎないようにクランプするクランプ回路を構成する。これによって第1、第2の増幅回路101,102のスルーレート特性が改善され、より高速な動作が可能となる。
【0066】
図3(B)は、第2の構成例の動作を説明する波形図である。図3(B)の波形図は、第1、第2の増幅回路101,102として理想的な演算増幅回路を用いた場合を示している。図3(B)において、実線は第1の増幅回路101に関する信号を示し、破線は第2の増幅回路102に関する信号を表す。入力端子109,110に入力する第1、第2の入力信号a,bは、図3(B)に示すように基準レベルVoを中心として信号レベルの絶対値が等しく極性が逆の信号(平衡型の信号)である。
【0067】
上述したように、本構成例では帰還量を減らして第1、第2の増幅回路101,102に電圧利得を持たせているから、第1、第2の入力信号a,bのうちの電圧レベルの高い方の信号の(1+R2/R1)倍の出力信号eが得られる。
【0068】
さらに本構成例ではクランプ回路を含んでいるから、第1、第2の増幅回路101,102の出力信号c,dの電圧レベルは、図3(B)に示すように、Vd−Vt(Vdは電源電圧、Vtはトランジスター305,306の閾値電圧)より低くならない。これによって第1、第2の増幅回路101,102のスルーレート特性が改善され、より高速な動作が可能となる。
【0069】
3.電子回路の第3の構成例
図4(A)は、電子回路の第3の構成例であって、増幅回路を反転増幅回路として作動させる回路である。電子回路4では、第1、第2の入力信号は入力端子403,404から入力され、これらの信号のうちで電位の低い側がゲイン(−R2/R1)倍で反転増幅され、出力端子114に現れる(抵抗301,304の抵抗値をR1、抵抗302,303の抵抗値をR2とする)。図3(A)の場合に比べて、この回路の入力インピーダンスはR1となり、低い入力インピーダンスの回路が必要な場合に有効である。
【0070】
NMOSトランジスター405,406は、第1、第2の増幅回路101,102に負帰還経路が構成されない場合にスルーレート特性を改善するためのクランプ回路である。抵抗302,303による負帰還ループが構成されない場合、NMOSトランジスター405,406によって負帰還ループを構成する。
【0071】
従って、第1、第2の増幅回路101,102は、入力端子403,404に入力された信号のうちで電位の高い側の電圧の平方根に比例した電圧を(反転し)出力する。
【0072】
本構成例では、電子回路は第1、第2の増幅回路101,102の各々の出力信号を合成する合成回路411を含む。合成回路411は、第1の増幅回路101の出力信号の電圧値と第2の増幅回路102の出力信号の電圧値とを加算する加算回路である。また、合成回路411は、第1、第2の増幅回路101,102のうちの、負帰還制御によって帰還される帰還量が少ない方の増幅回路の出力信号の電圧値に対応する電圧値を出力する。
【0073】
具体的には、出力電圧の低い方の出力信号を、共通の抵抗407を駆動する2つのPMOSトランジスター408,409を用いたドレイン接地増幅回路(広義には合成回路)411によって取り出せば、出力端子114から取り出される全波整流信号に対して反対側の全波整流信号の平方根に比例した電圧を出力端子410から取り出すことができる。出力端子410から取り出された信号は、入力信号の絶対値の平方根に比例するので、入力信号レベルが大きくなっても飽和特性が緩やかで大きなダイナミックレンジの回路を構成することが可能となる。すなわち、整流回路に加えて自動利得調整の機能を持たせることが可能となる。
【0074】
図4(B)は第3の構成例の動作を説明する波形図である。図4(B)の波形図は、第1、第2の増幅回路101,102として理想的な演算増幅回路を用いた場合を示している。図4(B)において、実線は第1の増幅回路101に関する信号を示し、破線は第2の増幅回路102に関する信号を表す。入力端子403,404に入力する第1、第2の入力信号a,bは、図4(B)に示すように基準レベルVoを中心として信号レベルの絶対値が等しく極性が逆の信号(平衡型の信号)である。
【0075】
図4(B)に示すように、第1、第2の入力信号a,bのうちの電圧レベルの低い方の信号がゲイン(−R2/R1)倍で反転増幅され、出力信号eとして出力端子114から出力される。また、第1、第2の増幅回路101,102の出力信号c,dの電圧レベルが低い方の信号が、合成回路411により合成されて、出力信号fとして出力端子410から出力される。
【0076】
自動利得調整の機能が不要な場合や十分なスルーレート特性が確保できる場合は、NMOSトランジスター405,406を省略することも可能である。この場合は、増幅回路101,102のオープン・ループ・ゲイン倍、すなわち非常に大きな利得で増幅された絶対値信号を出力端子410より取り出すことができる。
【0077】
また、NMOSトランジスター405,406を除去し、さらにPMOSトランジスター408,409をNMOSトランジスターに置き換えることによって、出力端子410より直接ロジックレベルの出力信号を取り出すことができる。
【0078】
また、第1、第2の負帰還経路に設けられた抵抗302,303、または抵抗301,304を非線形素子(例えばドレインとゲートを接続した電界効果型トランジスター)に置き換えて、出力端子114から出力される絶対値信号に非線形の特性を持たせることも可能である。
【0079】
以上に述べた電子回路の第3の構成例によれば、以下の効果が得られる。
【0080】
本構成例では、PN接合ダイオードを用いることなく電界効果型トランジスターのみで歪みのない精密な全波整流回路が実現できる。
【0081】
4.電子回路の第4の構成例
次に、電子回路の第4の構成例について説明する。図5は、電子回路の第4の構成例を示す回路図である。本構成例では、図1(A)の第1、第2の増幅回路101,102として最も簡単なCMOSインバーターを用いた例を提示する。電子回路5の第1、第2の増幅回路511,512において、PMOSトランジスター501とNMOSトランジスター502は、CMOSインバーターを構成している。NMOSトランジスター504は、共通の抵抗(広義には共通の負荷素子)106から第1、第2の増幅回路511,512の入力に帰還するための負帰還ループを構成する。PMOSトランジスター503は、NMOSトランジスター504に微少電流を流すための電流バイアス源であり、PMOSトランジスター503のゲートには、入力端子508から所定のバイアス電圧が印加される。
【0082】
静止時、すなわち入力端子109,110の入力電圧変化がない時、PMOSトランジスター503によるバイアス電流は、NMOSトランジスター504を流れ共通の抵抗106に流入する。この時、抵抗106にはNMOSトランジスター103,104からの電流と、第1、第2の増幅回路511,512からのバイアス電流とが流入する。PMOSトランジスター503によるバイアス電流が微少であるとすると、静止時には出力ノード108とノード506の電位差は、NMOSトランジスター504の閾値電圧にほぼ等しい。また、NMOSトランジスター504による負帰還の働きによって、出力ノード108と第1、第2の増幅回路511,512の出力の配線507の電位差も、NMOSトランジスター103,104の閾値電圧にほぼ等しくなる。これによって、第1、第2の増幅回路511,512の動作点は、ゲインの大きな最適な電圧に設定される。
【0083】
第1、第2の増幅回路511,512の入力端子109,110には、信号レベルの絶対値が等しく逆極性の信号を入力するものとする。
【0084】
第1の増幅回路511の入力端子109に正極の信号が入力された場合、キャパシター505を通してノード506に伝えられ、第1の増幅回路511によって反転増幅されることにより、第1の増幅回路511の出力のノード507の電位が下がる。この時、第2の増幅回路512の入力端子110に負極の信号が入力されるので、第2の増幅回路512の出力のノード507の電位が上がる。その結果、NMOSトランジスター104のゲート電圧はNMOSトランジスター103のゲート電圧よりも高くなり、共通の抵抗106には主としてNMOSトランジスター104による電流が流入する。
【0085】
この時、第1の増幅回路511のノード507とノード506との電位差は、NMOSトランジスター504の閾値電圧よりも低くなるので、増幅回路511のNMOSトランジスター504はオフとなり、増幅回路511の負帰還ループは遮断される。これによって、増幅回路511の出力のノード507の電位はさらに低くなるので、NMOSトランジスター103は遮断され、NMOSトランジスター103を通じて共通の抵抗106に流入する電流はゼロとなる。すなわち、増幅回路511の入力端子109に正極の信号が入力された場合、これと逆符号の信号が入力される増幅回路512の出力信号によってNMOSトランジスター104が駆動され、共通の抵抗106にはNMOSトランジスター104による電流が流入する。
【0086】
逆に、第1の増幅回路511の入力端子109に負極の信号が入力された場合、キャパシター505を通してノード506に伝えられ、第1の増幅回路511によって反転増幅されることにより、第1の増幅回路511の出力のノード507の電位が上がる。この時、第2の増幅回路512の入力端子110に正極の信号が入力されるので、第2の増幅回路512の出力のノード507の電位が下がる。その結果、NMOSトランジスター103のゲート電圧はNMOSトランジスター104のゲート電圧よりも高くなり、共通の抵抗106には主としてNMOSトランジスター103による電流が流入する。
【0087】
この時、第2の増幅回路512のノード507とノード506との電位差は、NMOSトランジスター504の閾値電圧よりも低くなるので、第2の増幅回路512のNMOSトランジスター504はオフとなり、第2の増幅回路512の負帰還ループは遮断される。これによって、第2の増幅回路512の出力のノード507の電位はさらに低くなるので、NMOSトランジスター104は遮断され、NMOSトランジスター104を通じて共通の抵抗106に流入する電流はゼロとなる。すなわち、第1の増幅回路511の入力端子109に負極の信号が入力された場合、第1の増幅回路511の出力信号によってNMOSトランジスター103が駆動され、共通の抵抗106にはNMOSトランジスター103による電流が流入する。
【0088】
すなわち、第1、第2の増幅回路511,512の各々の入力端子109,110に入力された信号の電圧のうちで低い方(負極)が、CMOSインバーターで構成された第1、第2の増幅回路511,512の電圧増幅度によって反転増幅され出力端子114に出力されるので、両波整流すなわち絶対値検出を行うことができる。
【0089】
図6は第4の構成例の動作を説明する波形図である。図6において、実線は第1の増幅回路501に関する信号を示し、破線は第2の増幅回路502に関する信号を表す。信号a,bは、それぞれ第1、第2の増幅回路511,512のノード506における信号を示す。信号c,dはそれぞれ第1、第2の増幅回路511,512の出力信号を示す。信号eは出力ノード108(出力端子114)における信号を示す。
【0090】
上述したように、第1、第2の増幅回路511,512の出力信号c,dと出力ノード108における信号eとの電圧差は、NMOSトランジスター103,104の閾値電圧Vtにほぼ等しくなる。また、出力信号eは、入力端子109,110に入力された信号のうちの電圧レベルが低い方(負極側)が反転増幅されたものである。
【0091】
上記構成によれば、PN接合ダイオードを用いることなく電界効果型トランジスターのみで歪みが少なく、また増幅ゲインを有する絶対値検出(全波整流)回路が実現できる。CMOSインバーターによる増幅回路は、構造も簡単である上に高速動作が可能であり、従来の整流回路に比較し非常に高速で歪みの少ない回路を実現できる。
【0092】
5.電子装置の第1の構成例
次に、本実施形態の電子回路を含む電子装置(受信装置)の第1の構成例について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、受信装置の第1の構成例を示す回路図である。図8は、本構成例の動作を示す波形図である。
【0093】
図7に示すように、受信装置6は、アンテナ601と、受信信号が入力される低雑音増幅回路(LNA:Low Noise Amplifier)602と、図1(A)〜図6で示した電子回路である絶対値検出回路603と、低域通過濾波器(LPF:Low-Pass Filter)604と、受信したUWB(Ultra Wide Band)信号からパルス信号を検出する信号処理部である判別回路605とを含む。
【0094】
アンテナ601によって受信された受信信号a(図7)は、LNA602によって増幅され、さらに信号レベルの絶対値が等しく互いに逆極性の2つの平衡信号(差動信号)に変換される。この信号は、バラン(BALUN:平衡−不平衡変換器)および差動式の増幅回路によって容易に実現することができる。
【0095】
絶対値検出回路603は、LNA602の出力信号を構成する第1の入力信号及び第2の入力信号(平衡信号)を全波整流し、全波整流信号b(図8)を出力する。ここで絶対値検出回路603の具体的な例として上述した電子回路が使用できる。LPF604は、全波整流信号bの高周波成分を除去し、LPF信号c(図8)を出力する。LPF604は、積分回路を用いてもよい。判別回路605は、LPF信号cの電圧レベルの判定(二値化処理)を行い、二値化信号d(図8)を出力端子606から出力し、パルスの有無を検出できる。
【0096】
UWB−IR通信では、送信する情報のビット1/0に応じて、パルスを送る/送らないを制御するようにすれば、OOK(On-Off-Keying)と呼ばれる変調方式となる。また、送信ビット情報に応じてパルスの位置を制御すれば、PPM(Pulse Position Modulation:パルス位置変調)と呼ばれる変調方式となる。受信装置6の構成では、送信されたパルスの有無、または位置を検出できるのでUWB−IRの復調ができる。
【0097】
判別回路605は、また受信装置6全体の制御も受け持つ。すなわち、UWB信号を受信するタイミングを見計らってLNA602、絶対値検出回路603、LPF604の起動を制御信号607で行う。UWB−IR通信では、信号が間欠的であり、信号が存在しない時にLNA602、絶対値検出回路603、LPF604を不活性とすることにより、受信装置6の低電力化を図ることができる。
【0098】
電子装置の第1の構成例によれば、同期検波における同期捕捉、同期追跡のような複雑な手続きなしで簡単な構成によってUWB−IR受信装置を構成できる。これによって装置の低消費電力化、低価格化を図ることが可能となる。
【0099】
6.電子装置の第2の構成例
次に、電子装置(受信装置)の第2の構成例について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、電子装置(受信装置)の第2の構成例を示す回路図である。図10は、本構成例の動作を示す波形図である。
【0100】
図9に示すように、受信装置8は、アンテナ801と、LNA802と、第1、第2のミキサー(乗算器)803,804と、第1、第2のLPF(低域通過濾波器)805,806と、電子回路である第1、第2の絶対値検出回路809,810と、テンプレート信号発生回路(広義にはテンプレート信号発生部)808と、加算回路807と、判別回路811とを含む。
【0101】
アンテナ801によって受信されたUWB信号aは、LNA802によって増幅され、さらに信号レベルの絶対値が等しく互いに逆極性の2つの平衡信号(差動信号)に変換される。平衡信号は、バラン(BALUN:平衡−不平衡変換器)および差動型の増幅回路によって容易に実現することができる。
【0102】
第1、第2のミキサー(乗算器)803,804は、平衡信号(受信信号)とテンプレート信号発生回路808によって発生される第1、第2の信号(テンプレート信号)とをそれぞれ乗算した第1、第2の乗算信号b,cを出力する。テンプレート信号発生回路808は、互いに直交する、すなわち互いに90度の位相差を持つ第1、第2の信号(テンプレート信号)を発生する。受信装置8におけるテンプレート信号は、送信装置(図示なし)によって送信されるUWB信号とわずかな誤差があるのが普通である。このわずかな誤差を位相固定ループ等の手段によって矯正しなければ、第1、第2のミキサー(乗算器)803,804によって乗算された第1、第2の乗算信号b,cは、図10のようにその信号出力レベルが送受信間のテンプレート信号の誤差を周期として極性が正、負にわたって変動する。テンプレート信号発生回路808の発生する第1、第2の信号(テンプレート信号)が直交、すなわちその位相差が90度の時は、第1、第2のミキサー(乗算器)803,804が出力する第1、第2の乗算信号b,c(の高域部を除いた部分)の一方が最大、または最小のとき他の一方は0となる。
【0103】
第1、第2のミキサー(乗算器)803,804が出力する第1、第2の乗算信号b,cは、それぞれLPF805,806により高域部を除去した第1、第2のLPF信号(低域通過濾波信号)d,eとなる。テンプレート信号発生回路808の発生する第1、第2の信号(テンプレート信号)の位相差が90度の時は、これらの信号の一方が最大、または最小のとき他の一方は0となる。
【0104】
これら2つのLPF信号d,eの二乗和を取ると振幅一定の復調データが得られるが、本構成例では以下の構成を取る。すなわち、二乗和ではなく全波整流によって信号の絶対値を得て、それらを加算する。絶対値の加算では、得られる信号は振幅一定とならないが、多くの場合において二値化の処理を行うので問題とならない。二乗和を計算する場合は、二乗という処理が入るため、信号が小さい時には出力される信号が極端に小さくなってしまう欠点があり、本構成例の方が有利である。
【0105】
上記に従い、LPF805,806が出力する第1、第2のLPF信号d,eは、第1、第2の絶対値検出回路809,810によって絶対値検出された後、加算回路807で加算した加算信号fとなり、加算信号fは、判別回路811によって電圧レベルを判別(すなわち二値化処理)され、復調データgとして出力端子812より出力される。ここで第1、第2の絶対値検出回路809,810として、上述した本実施形態の電子回路(図1(A)〜図6)を用いることができる。
【0106】
第1の絶対値検出回路809は、例えば図1(A)で示すように、第1の低域通過濾波信号を構成する第1、第2の入力信号がそれぞれ入力される第1、第2の増幅回路101,102とを含む。さらに、第1の電源ノードと第1の出力ノード108との間に設けられ、第1の増幅回路101の出力によってゲートが制御される第1のドレイン接地増幅用トランジスター103を含む。さらに、第1の電源ノード105と第1の出力ノード108との間に設けられ、第2の増幅回路102の出力によってゲートが制御される第2のドレイン接地増幅用トランジスター104を含む。さらに、第1の出力ノード108と第2の電源ノードとの間に設けられる第1の共通の負荷素子106とを含む。さらに第1の出力ノード108から第1の増幅回路101の入力に負帰還する第1の負帰還経路115と、第1の出力ノード108から第2の増幅回路102の入力に負帰還する第2の負帰還経路113とを含む。
【0107】
第2の絶対値検出回路810は、上記の第1の絶対値検出回路809と同一の構成の電子回路を用いることができる。すなわち、第3、第4の増幅回路と、第3、第4のドレイン接地増幅用トランジスターと、第2の共通の負荷素子と、第3、第4の負帰還経路とを含む。図示していないが、第3、第4の増幅回路はそれぞれ上記の第1、第2の増幅回路101,102と対応し、第3、第4のドレイン接地増幅用トランジスターはそれぞれ上記の第1、第2のドレイン接地増幅用トランジスター103,104と対応する。また、第2の共通の負荷素子は上記の第1の共通の負荷素子106と対応し、第3、第4の負帰還経路はそれぞれ上記の第1、第2の負帰還経路115,113に対応する。
【0108】
判別回路811は、また受信装置8全体の制御も受け持つ。すなわち、UWB信号を受信するタイミングを見計らってテンプレート信号発生回路808の起動を制御信号h(図10に図示せず)で行い、またLNA802を制御信号k(図10に図示せず)で活性化する。UWB−IR通信では、信号が間欠的であり、信号が存在しない時にLNA802を不活性とすることにより、受信装置8の低電力化を図ることができる。
【0109】
なお、上記の第1、第2の乗算信号b,c及び第1、第2のLPF信号(低域通過濾波信号)d,eは、それぞれ所定の電位を基準として信号レベルの絶対値が等しく、かつ所定の電位を基準とした信号レベルの極性が互いに逆極性の信号(平衡型の信号)で構成される。
【0110】
上述した電子装置の第2の構成例によれば、第1の構成例に比較して絶対値検出回路に入力される信号の周波数成分が低いので、絶対値検出回路を構成することがさらに容易である。特に、素子の限界程度に高い周波数を用いるUWB信号の復調においても、絶対値検出回路を構成することが容易である。
【0111】
本構成例によるUWB−IR通信の受信装置8では、OOKやPPMによるUWB信号の復調ができる。テンプレート信号発生回路808は、特に送受信間のテンプレート信号の誤差を補正する必要がないので、その受信に際しての手続きや構成をより簡略化できる。
【0112】
以上述べたように、本実施形態による電子回路を用いることにより、受信装置8の構造を著しく簡略化することができる。
【0113】
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また電子回路、電子装置の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0114】
1,3,4,5…電子回路、6,8…受信装置、101,102…第1、第2の増幅回路、103,104…NMOSトランジスター、105…第1の電源ノード、106…共通の負荷素子、107…第2の電源ノード、108…出力ノード、109,110…入力端子、111,112…配線、115,113…第1、第2の負帰還経路、114…出力端子、116,117…ドレイン接地増幅回路、201…入力端子、202,203,204…NMOSトランジスター、205,206…PMOSトランジスター、207…入力端子、208…出力端子、301〜304…抵抗、305,306…NMOSトランジスター、403,404…入力端子、405,406…NMOSトランジスター、407…抵抗、408,409…PMOSトランジスター、410…出力端子、411…合成回路、501…PMOSトランジスター、502…NMOSトランジスター、503…PMOSトランジスター、504…NMOSトランジスター、505…キャパシター、506,507…ノード、508…入力端子、511,512…第1、第2の増幅回路、601…アンテナ、602…LNA、603…絶対値検出回路、604…LPF、605…判別回路、606…出力端子、801…アンテナ、802…LNA、803,804…ミキサー、805,806…LPF、807…加算回路、808…テンプレート信号発生回路、809,810…第1、第2の絶対値検出回路、811…判別回路、812…出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力信号が入力される第1の増幅回路と、
第2の入力信号が入力される第2の増幅回路と、
第1の電源ノードと出力ノードとの間に設けられ、前記第1の増幅回路の出力によってゲートが制御される第1のドレイン接地増幅用トランジスターと、
前記第1の電源ノードと前記出力ノードとの間に設けられ、前記第2の増幅回路の出力によってゲートが制御される第2のドレイン接地増幅用トランジスターと、
前記出力ノードと第2の電源ノードとの間に設けられる共通の負荷素子と、
前記出力ノードから前記第1の増幅回路の入力に負帰還する第1の負帰還経路と、
前記出力ノードから前記第2の増幅回路の入力に負帰還する第2の負帰還経路とを含むことを特徴とする電子回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の増幅回路の出力信号と前記第2の増幅回路の出力信号とを合成する合成回路を含むことを特徴とする電子回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記合成回路は、前記第1の増幅回路の出力信号の電圧値と前記第2の増幅回路の出力信号の電圧値とを加算する加算回路であることを特徴とする電子回路。
【請求項4】
請求項2において、
前記合成回路は、前記第1の増幅回路及び前記第2の増幅回路のうちの、前記負帰還制御によって帰還される帰還量が少ない方の増幅回路の出力信号の電圧値に対応する電圧値を出力することを特徴とする電子回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記第1の増幅回路及び前記第2の増幅回路は、差動増幅回路であることを特徴とする電子回路。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記第1の増幅回路及び前記第2の増幅回路は、インバーター回路であることを特徴とする電子回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記第1の入力信号及び前記第2の入力信号は、所定の電位を基準として信号レベルの絶対値が等しく、かつ所定の電位を基準とした信号レベルの極性が互いに逆極性の信号であることを特徴とする電子回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記第1の増幅回路及び前記第2の増幅回路の各々の出力信号の振幅値を制限するクランプ回路を含むことを特徴とする電子回路。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記負帰還制御は、前記第1の負帰還経路及び前記第2の負帰還経路に設けられた非線形素子を介して行われることを特徴とする電子回路。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の電子回路を含むことを特徴とする電子装置。
【請求項11】
請求項10において、
受信したUWB(Ultra Wide Band)信号からパルス信号を検出する信号処理部を含むことを特徴とする電子装置。
【請求項12】
受信信号が入力される低雑音増幅回路と、
前記低雑音増幅回路の出力信号を構成する第1の入力信号及び第2の入力信号が入力される請求項1乃至9のいずれかに記載の電子回路である絶対値検出回路と、
前記絶対値検出回路の出力が入力される低域通過濾波器と、
前記低域通過濾波器の出力が入力される信号処理部とを含むことを特徴とする電子装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記低雑音増幅回路には、前記受信信号としてUWB(Ultra Wide Band)信号が入力され、
前記信号処理部は、
前記UWB信号からパルス信号を検出することを特徴とする電子装置。
【請求項14】
互いに直交する第1の信号及び第2の信号を発生するテンプレート信号発生部と、
前記第1の信号と受信信号とを乗算した第1の乗算信号を出力する第1の乗算器と、
前記第2の信号と前記受信信号とを乗算した第2の乗算信号を出力する第2の乗算器と、
前記第1の乗算信号から高周波成分を取り除いた第1の低域通過濾波信号を出力する第1の低域通過濾波器と、
前記第2の乗算信号から高周波成分を取り除いた第2の低域通過濾波信号を出力する第2の低域通過濾波器と、
前記第1の低域通過濾波信号の信号レベルの絶対値を出力する第1の絶対値検出回路と、
前記第2の低域通過濾波信号の信号レベルの絶対値を出力する第2の絶対値検出回路と、
前記第1の絶対値検出回路が出力する第1の絶対値出力信号と前記第2の絶対値検出回路が出力する第2の絶対値出力信号とを加算して出力する加算回路と、
前記加算回路が出力する加算出力信号の信号レベルを判別する判別回路とを含むことを特徴とする電子装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記第1の絶対値検出回路は、
前記第1の低域通過濾波信号を構成する第1の入力信号が入力される第1の増幅回路と、
前記第1の低域通過濾波信号を構成する第2の入力信号が入力される第2の増幅回路と、
第1の電源ノードと第1の出力ノードとの間に設けられ、前記第1の増幅回路の出力によってゲートが制御される第1のドレイン接地増幅用トランジスターと、
前記第1の電源ノードと前記第1の出力ノードとの間に設けられ、前記第2の増幅回路の出力によってゲートが制御される第2のドレイン接地増幅用トランジスターと、
前記第1の出力ノードと第2の電源ノードとの間に設けられる第1の共通の負荷素子と、
前記第1の出力ノードから前記第1の増幅回路の入力に負帰還する第1の負帰還経路と、
前記第1の出力ノードから前記第2の増幅回路の入力に負帰還する第2の負帰還経路とを含み、
前記第2の絶対値検出回路は、
前記第2の低域通過濾波信号を構成する第3の入力信号が入力される第3の増幅回路と、
前記第2の低域通過濾波信号を構成する第4の入力信号が入力される第4の増幅回路と、
前記第1の電源ノードと第2の出力ノードとの間に設けられ、前記第3の増幅回路の出力によってゲートが制御される第3のドレイン接地増幅用トランジスターと、
前記第1の電源ノードと前記第2の出力ノードとの間に設けられ、前記第4の増幅回路の出力によってゲートが制御される第4のドレイン接地増幅用トランジスターと、
前記第2の出力ノードと前記第2の電源ノードとの間に設けられる第2の共通の負荷素子と、
前記第2の出力ノードから前記第3の増幅回路の入力に負帰還する第3の負帰還経路と、
前記第2の出力ノードから前記第4の増幅回路の入力に負帰還する第4の負帰還経路とを含むことを特徴とする電子装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate