説明

電子基板ユニット及び遊技機

【課題】電子基板に対する不正行為を効果的に予防し、万一不正行為が行われた際に、より確実にその痕跡を残存させることのできる電子基板ユニット及び遊技機を提供すること。
【解決手段】この主制御基板ユニットUは、協働して主制御基板34を内包する主制御基板ケース35を構成するボトムケース35a及びトップケース35bと、封印シール41と、封印シール41を破断するための破断部材51とを備え、破断部材51はボトムケース35aとトップケース35bとの相対移動に伴って、いずれか一方のケースと共に移動することにより封印シール41を破断するように構成され、かつ、封印シール41及び破断部材51が主制御基板ケース35により内包され、外部からアクセス不可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子基板ユニット及び遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機においては、弾球された球が遊技領域(遊技盤面又はその近傍に形成された領域であって、球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で球が遊技領域内の障害釘(ゲージともいう。)や羽根車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は球の流下における偶然性を利用しつつ球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
このようなパチンコ機においては、年々遊技の態様や演出が複雑化・多様化してきており、それに伴い遊技機の動作や演出を制御するための電子基板の構造や機能も複雑化・多様化してきている。このような電子基板に対して不正な破壊や改造が行われると、遊技が適正に行われなかったり、一部の不正な遊技者に対して不当な利益が付与されてしまったりする虞がある。そのため、この電子基板及びその周囲構造に対しては、外部からのアクセスが困難となるような工夫、外部からの不正なアクセスがあった場合にその痕跡や履歴が容易に把握できるような工夫などが為される必要がある。
【0004】
例えば特許文献1には、リーダによって読み取り可能な情報を有する情報部を含んだ封印部材がカバー部材によって覆われ、そのカバー部材が取り外される際にカバー部材が有する接触部が封印部材を破ることにより、封印部材の情報を実質的に読み取り不可能とする構成が開示されている。この構成においては、電子基板が複数のケースによって構成される基板ケース内に内包されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−207647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
封印部材は、なるべく外部から人がアクセスできない位置又はアクセスが困難な位置に配置されることが好ましい。そして、万一基板ケースが開放されて内部の電子基板に人がアクセスした場合には、封印部材が破断される等、確実にその痕跡が残存することが好ましい。
【0007】
本願発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、電子基板に対する不正行為を効果的に予防し、万一不正行為が行われた際に、より確実にその痕跡を残存させることのできる電子基板ユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本願における例示的側面としての電子基板ユニットは、協働して電子基板を内包する基板ケースを構成する第1ケース及び第2ケースと、第1ケース及び第2ケースの内の少なくともいずれか一方に貼付される封印部材と、封印部材を破断するための破断部を有して、破断部が封印部材と対向するように配置される破断部材と、を備えた電子基板ユニットであって、破断部材は、第1ケースと第2ケースとの相対移動に伴って、いずれか一方のケースと共に移動することにより封印部材を破断するように構成され、かつ、第1ケースと第2ケースとが協働して電子基板を内包した状態において、封印部材及び破断部材が第1ケース及び第2ケースにより内包され、基板ケースの外部からアクセス不可能とされている。
【0009】
本願における他の例示的側面としての遊技機は、遊技媒体を用いた遊技を実現する遊技装置体と、遊技装置体を遊技者に視認可能に保持する枠体と、遊技に係る動作を制御する制御手段と、遊技媒体を貯留する貯留皿と、上記の電子基板ユニットと、を有する。
【0010】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0011】
電子基板に対する不正行為を効果的に予防し、万一不正行為が行われた際に、より確実にその痕跡を残存させることのできる電子基板ユニット及び遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図3】実施形態1に係る主制御基板ユニットの平面図である。
【図4】実施形態1に係る主制御基板ユニットの分解斜視図である。
【図5A】封印部の構造を説明するために、主制御基板ユニットにおける封印部の近傍を概略的に拡大した概略構造図であって、主制御基板ケースの閉状態を示す図である。
【図5B】図5AにおけるP−P断面図である。
【図5C】図5AにおけるQ−Q断面図である。
【図6】封印部におけるトップケース及び封印シールを分解して封印部近傍を示した図である。
【図7】図6に示す破断部材の外観斜視図である。
【図8A】図7に示す破断部材を内部空間にセットする様子を示す図である。
【図8B】図7に示す破断部材を内部空間にセットする様子を示す図である。
【図8C】図7に示す破断部材を内部空間にセットする様子を示す図である。
【図8D】図7に示す破断部材を内部空間にセットする様子を示す図である。
【図9】封印シールの表面及び裏面を模式的に示した図である。
【図10】トップケースを内面側から見た図である。
【図11】実施形態2に係る主制御基板ユニットの封印部近傍の概略構成を示す概略構成図である。
【図12】封印部において破断部材を分解して示した分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態1]
以下、実施形態1について図面を用いて説明する。図1は、実施形態1に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。図2は、図1に示すパチンコ機2の背面図である。このパチンコ機2は、枠体3、遊技盤(遊技装置体)6、前面ガラス(前面透明板)10、発射ユニット(不図示)、貯留皿14を有し、遊技盤6には、遊技媒体としての球23の流下による遊技を実現するための遊技領域が形成されている。また、遊技盤6の裏面側には、主制御基板ユニット(電子基板ユニット)U(図2参照)が取り付けられているが、詳細は後述する。
【0014】
パチンコ機2は、後述する発射ハンドル15を遊技者が操作することによって、遊技領域16に向けて球23が発射ユニットによって発射され、球23の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体を用いた遊技を実現する遊技装置体を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。
【0015】
なお、本実施形態1においては、遊技機としてパチンコ機2を例示して説明するが、もちろん遊技機がパチンコ式スロットマシン機の場合にも本発明を適用することができる。その場合においては、パチンコ式スロットマシン機が有する遊技装置体としての回胴装置が、遊技媒体としてのメダルを用いた遊技を実現することとなる。
【0016】
パチンコ機2の枠体3は、遊技盤6を含む遊技盤ユニットを保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。枠体3の内部側には、遊技盤ユニットの他にも後述する各種電子基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、枠体3によって周囲側面及び前面又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0017】
パチンコ機2の周囲を囲む筐体枠4、その内側にヒンジ部(揺動支持部)22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニットを保持する機枠9、機枠9の前方にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持されて前面ガラス10とその周囲を装飾する装飾部材32とを保持する装飾枠12とを有して枠体3が構成される。なお、前面ガラス10は、枠体3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
【0018】
貯留皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施形態1においては上皿14aと下皿14bとを有している。上皿14aは、球排出ボタン14cを有して遊技盤6の下方、すなわち装飾枠12の下方部分に配置され、下皿14bは、その上皿14aの更に下方に配置されている。
【0019】
遊技盤ユニットは、遊技盤面(表面)6a側の略中央にセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘も配置されている。センター役物7の中央部には、図柄表示装置7aが配置されるとともに、この図柄表示装置7aの表示画面(映像表示面)7bを露出させるための開口部7dが形成されている。
【0020】
図柄表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示画面7b上に映像表示を行うものである。この表示画面7b上には、例えば、3桁の数字又は文字等により構成される表示図柄7cが回転又は停止するように映像として表示される。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示画面7b上に表示されるようになっている。
【0021】
遊技盤6は、その遊技盤面6a側に球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための遊技装置体であり、遊技盤面6aを前方から遊技者にとって視認可能となるように枠体3(本実施形態1においては、枠体3の一部としての機枠9。)に保持されている。その遊技盤面6aには略円形状に周囲を囲むようにレール飾りが取り付けられており、レール飾りの内周面が遊技盤面6aに対して立設するように配置されている。そして、その内周面によって画定され、内周面に面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
【0022】
遊技釘は、遊技領域16を流下する球23と衝突してその流下方向を変更させるものであり、多数が遊技領域内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、中央始動口29、及び中央大入賞口31等が配置されており、流下する球23が各流入口に流入したり、遊技釘に衝突したりすることによって、球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
【0023】
図示しない球発射装置により球23が発射されると、球23はレール飾りの内周面に沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、遊技釘に衝突しつつ遊技領域16を下方に流下する。あるものは普通入賞口28に流入して一定数の景品球払出しの契機となり、あるものは通過ゲート33を通過し、あるものはいずれの入賞口にも流入せずに遊技領域内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
【0024】
球23が通過ゲート33を通過すると、その通過ゲート33の通過に起因して状態変更抽選手段(不図示)による抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に、中央始動口29の開閉羽根が開放され、球が入球し易い状態を実現する。この中央始動口29に流入すると、その流入に起因して図柄表示装置7aの表示図柄7cが回転表示を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当りが発生する。そして、中央大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の景品球が貯留皿14へと払い出されるようになっている。
【0025】
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の動作制御を行う制御手段としての主制御基板(電子基板)34を有する主制御基板ユニットUが配置されている。その主制御基板ユニットUは、主制御基板34、主制御基板34を内包する主制御基板ケース(基板ケース)35、後述する封印シール(封印部材)41、破断部材51を有して構成されている。
【0026】
また、遊技盤6の裏面側には、図柄表示装置7aの画像演出の制御を行う画像制御基板(図示せず)を収容した画像制御基板ケース36と、景品球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
【0027】
なお、本実施形態1では、主制御基板34について例示して説明するが、他の制御基板についても同様の構造を採用することが可能である。すなわち、画像制御基板(電子基板)、画像制御基板ケース(基板ケース)、封印シール及び破断部材を有して画像制御基板ユニット(電子基板ユニット)を構成することが可能である。同様に、払出制御基板(電子基板)、払出制御基板ケース(基板ケース)、封印シール及び破断部材を有して払出制御基板ユニット(電子基板ユニット)を構成したり、電源基板(電子基板)、電源基板ケース(基板ケース)、封印シール及び破断部材を有して電源基板ユニット(電子基板ユニット)を構成することが可能である。
【0028】
以下、本発明の実施形態1に係る主制御基板ユニット(電子基板ユニット)Uについて説明する。以下の説明においては、上下及び前後左右の方向は、遊技者からパチンコ機2を見た際の方向に基づいて定義し、図中に適宜図示する。
【0029】
図3は、主制御基板ユニットUの平面図であり、図4は、主制御基板ユニットUの分解斜視図である。主制御基板ケース35は、遊技盤6の裏面側に着脱自在に固定されるボトムケース(第1ケース、基板ケースの一部)35aと、ボトムケース35aに対して着脱自在に固定されるトップケース(第2ケース、基板ケースの一部)35bとの2つのケースを有して基板ケースが構成され、これら両者が協働して主制御基板34を内部に内包するようになっている。主制御基板34は、例えば、トップケース35bの内面側に形成された開口部に固定されて、トップケース35bとボトムケース35aとが係合することにより、主制御基板ケース35の内部に収容されるようになっている。この収容された状態では、主制御基板34に対して外部から接触することはできない。
【0030】
主制御基板34の表面(ここでいう表面は、前面側である場合と後面側である場合とを含む。)には、ROM、RAM、CPU等の電子デバイス、接続コネクタ等を含む電子部品34bが実装されている。主制御基板34の周囲には、固定部としての固定穴34aが形成されている。主制御基板34の後側から固定穴34aに固定ネジを挿入して、この固定ネジとトップケース35bのネジ穴とをネジ止めすることにより、主制御基板34がトップケース35b内に固定されるようになっている。
【0031】
本実施形態1に係る主制御基板ケース35では、ボトムケース35aとトップケース35bとが図3中左右方向にスライド移動することによって着脱可能とされている。すなわち、ボトムケース35aに対してトップケース35bが図中矢印X方向に相対移動することによって主制御基板ケース35が電子基板34を内包した状態で閉状態となり、ボトムケース35aに対してトップケース35bを−X方向(矢印Xの逆方向)に相対移動させることによって主制御基板ケース35が開状態となるような構造となっている。
【0032】
主制御基板ケース35の上側部には、痕跡残留部としての封止部が形成されている。封止部は、ボトムケース35aの上側壁面に対して突出して形成された第1カシメ部35gと、トップケース35bに連結部材35hを介して接続された第2カシメ部35kと、第1カシメ部35gと第2カシメ部35kとの間に収容可能な封止片35mと、を有して構成される。主制御基板ケース35の閉状態で、第1カシメ部35gと第2カシメ部35kとの間に封止片35mを挿入することにより、封止片35mが第1カシメ部35gと第2カシメ部35kとに嵌合及び係合し、主制御基板ケース35の開放ができないようになっている。
【0033】
主制御基板ユニットUの図3中右端部には、封印部50(ボトムケース封印部(第1ケース封印部)50a、トップケース封印部(第2ケース封印部)50b)が形成されている。この封印部50は、ボトムケース35aとトップケース35bとが閉状態から開状態となるように移動した際に、封印シール(封印部材)41を破断するための構造部である。
【0034】
図5A〜図5Cは、この封印部50の構造を説明するために、主制御基板ユニットUにおける封印部50の近傍を概略的に拡大した概略構造図である。図5Aにおいては、主制御基板ケース35の閉状態を示している。この閉状態では、封印シール41と後述する破断部材51とがボトムケース35aとトップケース35bとに内包されて、外部からアクセスできないようになっている。そのため、主制御基板ケース35の閉状態で、封印シール41にも破断部材51にも人が触ることができない。不用意に封印シール41を損傷したり破断してしまうといった事故を防止することができる。なお、図5Bは、図5AにおけるP−P断面(略中央断面)を示した図であり、図5Cは、図5AにおけるQ−Q断面を示した図である。Q−Q断面は、後述するトップケース35bの係合爪(第1係合部)35eを通る断面である。
【0035】
主制御基板ケース35を開放しない限り封印シール41に触ることができないので、封印シール41に対する不正行為(剥がす、改造する等)も効果的に防止している。一方、後述するように、主制御基板ケース35の開放に伴い封印シール41が確実に破断されるので、主制御基板ケース35の不正開放を迅速に発見することができる。
【0036】
図6は、トップケース35b及び封印シール41を分解して封印部50(主としてボトムケース封印部50a)近傍を示した図である。ボトムケース封印部50aにおいて、ボトムケース35aは、破断部材51を内包するための包囲壁52を有している。包囲壁52は、ボトムケース35aの側壁35cから一定距離離間して立設する立設部52aと、その立設部52aからL字状に屈曲して側壁35cに向けて延びる上面部52bとを有している。
【0037】
上面部52bと側壁35cとの間には隙間35dが開口形成されている。立設部52aと上面部52bと側壁35cとで囲まれるように内部空間53が形成されている。隙間35dから破断部材51が挿入されて内部空間53内に収容されるようになっている。また、側壁35cには、破断部材51の側面51dに対応する位置に、縦スリット35fも開口形成されている。
【0038】
図7は、破断部材51の外観斜視図である。破断部材51は、主制御基板ケース35の開放時に封印シール41を破断するためのものである。破断部材51は、全体として断面「く」の字状の構造部材であって、封印シール41を破断するための破断部51aが形成されている。破断部51aは、例えば封印シール41を切断できる程度に鋭利なカッター刃状であってもよいし、鋸刃状であってもよい。
【0039】
破断部材51は、例えば図に示すように翼状に左右に突出形成された係合突起(第1被係合部)51bを有している。この係合突起51bは、トップケース35bの係合爪(第1係合部)35eと係合することにより、トップケース35bの−X方向の移動に伴って破断部材51を共に移動させるためのものである。係合突起51bの前方部には受け面として機能する斜面51cが形成されている。破断部材51を内部空間53にセットした後にトップケース35bをX方向に移動して主制御基板ケース35を閉状態とする際に、係合爪35eがこの斜面51cに受けられて、係合突起51bに乗り上げつつ乗り越えていく。
【0040】
図8A〜図8Dは、破断部材51を内部空間53にセットする様子を示す図である。破断部材51の下端部51eをボトムケース35aの側壁35cに対向させて配置し(図8A参照)、破断部材51の下端部51eを隙間35dに挿入する。側面51dを縦スリット35fに進入させつつ破断部材51を図中矢印α方向に回転させると(図8B参照)、破断部材51が内部空間53内に収容される(図8C,図8D参照)。
【0041】
この状態で、破断部材51の破断部51aは、隙間35dに対応する位置に配置されているが、破断部材51を立設部52aに当接するまで奥に押し込むと、破断部51aは側壁35cから突出しないような位置となる(図8D参照)。そして、破断部材51の側面51dの長さ寸法L1が縦スリット35fの長さ寸法L2以下とされているので、破断部材51は側壁35c方向にスライド移動可能とされている。破断部材51を側壁35c側に移動させると、破断部51aが側壁35cから突出するようになっている(図8C参照)。
【0042】
なお、破断部材51をボトムケース35aの内部空間53内にセットする際に、図8B,Cに示すように破断部材51を矢印α方向に回転させる場合や図8Dに示すように破断部材51をX方向にスライド移動させる場合、また破断部材51が側壁35cに向かって−X方向にスライド移動する場合には、破断部材51の側面51dが縦スリット35f内を摺動して、スライドガイドとして機能する。また、内部空間53内にセットされている破断部材51が側壁35cに向かって−X方向にスライド移動する際には、破断部材51の下端部51eがストッパとして機能することによって、破断部材51が一定以上―X方向に移動しないようになっている。それにより、破断部材51のボトムケース35aからの脱落が防止されている。また、トップケース35bの係合爪35eと破断部材51の係合突起51bとが係合している場合には、トップケース35bの−X方向移動を規制する機能も発揮する。
【0043】
このように、破断部材51を内部空間53にセットした後に、封印シール41がボトムケース35aの側壁35cから包囲壁52の上面部52bにかけてL字状に貼付される。封印シール41は、図6に示す分解状態から、矢印Y方向に移動することにより、側壁35cから上面部52bにかけて貼付される。図9は、封印シール41の表面及び裏面を模式的に示した図である。封印シール41は、長方形のシールであり、表面には識別情報としてのシリアル番号41aが印刷されている。封印シール41の裏面には、シリアル番号41a等個々の遊技機を特定するための情報を格納したICチップ41bと、ICチップ41bの情報を電波によって送信するためのアンテナ部41cと、が貼付されている。ICチップ41bは、封印シール41の略中央に配置されており、アンテナ部41cは対角線に沿って配置されている。
【0044】
ICチップ41bに格納された情報は、アンテナ部41cが電波によって送信可能に構成されており、図示しない情報リーダを用いて情報を読み取ることが可能である。アンテナ部には、電波によって情報を送信するためのループを構成するためのスリットが設けられており、このスリットの近傍に切り欠き部41dが形成されている。切り欠き部41dが形成されていることにより、封印シール41が剥がされたり封印シールに外部から力が加えられたりした際にアンテナ部41cが破損し、電波による情報送信が不可能な状態となる。
【0045】
本実施の形態においては、封印シール41は紙製であるが、もちろん封印部材がプラスチックフィルムや布、金属板等であってもよい。この封印シール41がボトムケース35aにおいて、側壁35cから上面部52bにかけて貼付されている。その際、隙間35dに対応する位置にICチップ41b又はアンテナ部41cが配置されるように貼付される。外部応力に脆弱とされた切り欠き部41dが隙間35dに対応する位置に配置されれば、一層好ましい。破断部材51が側壁35c方向にスライド移動して破断部51aが隙間35dから突出すれば、容易に情報部(ICチップ41bやアンテナ部41c)が破断されるようになっている。
【0046】
封印シール41を貼付した後に、ボトムケース35aに対してトップケース35bがセットされる。ボトムケース35aに対してトップケース35bをセットする際には、図6に示すように、まずボトムケース35aに対して−X方向にずらした状態でトップケース35bをボトムケース35aにかぶせる(図中Y方向への移動)。その後、ボトムケース35aに対し、トップケース35bを矢印X方向にスライド移動させる。
【0047】
図10は、トップケース35bを内面側、すなわちボトムケース35aに対向する側から見た図である。トップケース35bの内面(トップケース封印部50bの内面)には、2つの係合爪35eが設けられている。この係合爪35eは、破断部材51の係合突起51bに対応するように位置している。そして、トップケース35bがボトムケース35aにセットされ、主制御基板ケース35が閉鎖した状態において、係合爪35eが係合突起51bの後方部51fに係合するようになっている。
【0048】
具体的には、トップケース35bがボトムケース35aに対し、−Xにずれた状態で、トップケース35bをボトムケース35aにかぶせると、係合爪35eは係合突起51bよりも前方、すなわち−X方向に位置することとなる。そして、そのままトップケース35bをボトムケース35aに対してX方向にスライド移動すると、係合爪35eが係合突起51bに当接する。更に、トップケース35bをボトムケース35aに対してX方向にスライド移動すると、係合爪35eが斜面51cに受けられて弾性変形し、係合突起51bに乗り上げる。そして係合突起51bを乗り越えると、係合爪35eがその弾性によって元の位置に復帰し、係合突起51bの後方部51fと係合する。
【0049】
この状態で、ボトムケース35aとトップケース35bとは閉状態となり、主制御基板34を内部に内包することとなる。そして、この閉状態で封止片35mが第1カシメ部35gと第2カシメ部35kとに挿入されることにより、主制御基板34が主制御基板ケース35内に開放不可能に封印される。
【0050】
この主制御基板ケース35の閉状態において、封印シール41も破断部材51も主制御基板ケース35内に内包され、外部からアクセスできないようになっている。したがって、封印シール41や破断部材51への不正なアクセスが防止され、また、これらの不用意な破損等が防止されている。
【0051】
この閉状態から、不正に開放するためにトップケース35bをX方向にスライド移動させると、係合爪35eが係合突起51bに係合しているために、トップケース35bの移動と共に破断部材51もX方向に移動する。その結果、破断部材51が側壁35cに向かって移動することとなり、隙間35dから破断部51aが突出する。そして、破断部51aにより封印シール41の情報部が破断されるのである。
【0052】
主制御基板ケース35を不正に開放すると、確実に封印シール41の情報部が破壊されるので、封印シール41の破断が目視で確認できる上に、情報リーダによって封印シール41のデータを読み取ることができなくなる。したがって、主制御基板34に対する不正行為を検査する検査員(例えば、パチンコホール店員等)が、情報リーダを用いて検査すれば、封印シール41の破断により封印シール41のデータが読み取れなくなっていることに基づき、その主制御基板ケース35が不正に開放され、主制御基板34に不正なアクセスがあったことを迅速に発見することができる。
【0053】
[実施形態2]
図11は、実施形態2に係る主制御基板ユニットUのボトムケース封印部50a近傍の概略構成を示す概略構成図である。図11においては、トップケース35bを省略して示している。また、本実施形態2において、上記実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0054】
ボトムケース封印部50aにおいて、ボトムケース35aの側壁35cの近傍に破断部材51が配置されている。図12は、封印部50(主としてボトムケース封印部50a)において破断部材51を分解して示した分解図である。ボトムケース35aは、側壁35cから所定距離離間した位置に立設壁35nを有しており、その側壁35cと立設壁35nとの間に破断部材51が挿入されるようになっている。破断部材51は、図に示すように矢印形状又は傘形状に形成された係合体(第2被係合部)51gを有しており、側壁35cと立設壁35nとの間に破断部材51が挿入された際に、この係合体51gがボトムケース35aの係合壁(第2係合部)35pに係合するようになっている。
【0055】
側壁35cと立設壁35nとの間に破断部材51が挿入された状態で、破断部材51の破断部51aは側壁35cから外方(側方)に突出しない位置となっている。また、この状態で、係合体51gと係合壁35pとが係合して、破断部材51の側壁35cに向かう方向への移動が規制されている。封印シール41は、側壁35cと破断部材51の上面部とにかけてL字状に貼付されてもよいが、破断部材51を跨ぐようにして側壁35cと立設壁35nとにコ字状に貼付されることが好ましい。この場合においては、封印シール41は、破断部材51に貼付されない。封印シール41が破断部材51に貼付されないことで、封印シール41に阻害されずにスムーズに破断部材51をスライド移動させることができる。ひいては、破断部材51のスライド移動による封印シール41の破断(切断)をスムーズに実現することができる。
【0056】
封印シール41が、側壁35cと立設壁35nとにコ字状に貼付される場合には、破断部材51の上面部に封印シール41が貼付されてしまわないよう、立設壁35nの高さがセット状態における破断部材51の上面部の高さよりも高く構成されていてもよい。それにより、側壁35cの高さがセット状態における破断部材51の上面部の高さよりも低い場合であっても、封印シール41が破断部材51の上面部に貼付されないようにすることができる。
【0057】
また、図11に二点鎖線で示すように、断面略L字形状とされた上面部材54を破断部材51の上面部と立設壁35nとを覆うように配置し、封印シール41を側壁35cから上面部材54の平面部54a又は立面部54bにかけて貼付してもよい。
【0058】
破断部材51が側壁35c側へとスライド移動すると、破断部材51に当接した封印シール41が側壁35c側へと付勢されて、上面部材54も側壁35c側へと移動しようとする。しかし、上面部材54の立面部54bの側壁35側への移動が立設壁35nに規制されることにより、それ以上封印シール41が側壁35c側へと移動できなくなり、その結果、破断部51aによって封印シール41が破断(切断)される。
【0059】
封印シール41が破断部材51に直接貼付されないので、破断部材51のスムーズなスライド移動を確保することができる。また、上面部材54の平面部54aが破断部材51の上方への移動を規制する機能も発揮する。
【0060】
トップケース35bの内面側に係合爪35eが形成され、その係合爪35eが破断部材51の係合突起51bを乗り越えて係合突起51bの後方部51fと係合する点においては、実施形態2も実施形態1と同様である。
【0061】
ただし、実施形態2においては、この主制御基板ケース35の閉状態において、破断部材51の側方(すなわち側壁35cに向かう方向)への移動が規制されているため、封止片35mを用いるまでもなく、トップケース35bとボトムケース35aとのX方向に沿ったスライド移動が不可能とされている。したがって、この係合体51gと係合壁35pとが、封止機能まで発揮している。
【0062】
トップケース35bの上面であって、破断部材51の係合体51gに対応する位置は、薄肉部35qとされている。主制御基板ケース35を開放する必要が生じたときは、この薄肉部35qを破壊して、係合体51gの傘形状部分を破壊し、破断部材51を側壁35c方向に移動可能にする必要がある。トップケース35bの一部が薄肉部35qとされているので、その部分の破壊が比較的容易とされており、係合体51gへのアクセスが比較的容易である。
【0063】
ただし、必ず、薄肉部35qには破壊痕跡が残存し、係合体51gにも破壊痕跡が残存することとなる。また、係合体51gにアクセスするために封印シール41の一部を破壊する必要がある。薄肉部35qを介して係合体51gの傘形状部分を破壊する場合に、封印シール41の情報部(ICチップ41bやアンテナ部41c)が破壊(切断)されるような位置に、封印シール41の貼付位置や情報部の配置が調整されていることが好ましい。より具体的には、係合体51gの傘形状部分に対応する略直上方近傍にICチップ41bやアンテナ部41cが配置されることが好ましい。薄肉部35qを介して行われる不正行為時に、確実に情報部を破壊させることができ、不正の早期発見に寄与する。
【0064】
そして、係合体51gを破壊した後に、トップケース35bを図中−X方向へとスライド移動させることにより、主制御基板ケース35が開放可能となる。そのとき、破断部材51の破断部51aが側壁35cから側方に突出し、封印シール41を破断する。破断部51aに対応する位置に封印シール41の情報部を位置させていれば、情報部を確実に破壊することができる。結果、封印シール41の情報部が情報リーダで読み取り不可能となる。
【0065】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜組合せにより種々の発明を形成してもよいし、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。更に、複数の実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
L1,L2:長さ寸法
U:主制御基板ユニット(電子基板ユニット)
X,Y,α:矢印
2:パチンコ機(遊技機)
3:枠体
4:筐体枠(枠体の一部)
6:遊技盤(遊技装置体)
6a:遊技盤面(表面)
7:センター役物
7a:図柄表示装置
7b:表示画面(映像表示面)
7c:表示図柄
7d:開口部
9:機枠(枠体の一部)
10:前面ガラス(前面透明板)
12:装飾枠(枠体の一部)
14:貯留皿
14a:上皿
14b:下皿
14c:球排出ボタン
15:発射ハンドル
16:遊技領域
22:ヒンジ部(揺動支持部)
23:球(遊技媒体)
28:普通入賞口
29:中央始動口
30:アウト口
31:中央大入賞口
32:装飾部材
33:通過ゲート
34:主制御基板(制御手段、電子基板)
34a:固定穴
34b:電子部品
35:主制御基板ケース(基板ケース)
35a:ボトムケース(第1ケース、基板ケースの一部)
35b:トップケース(第2ケース、基板ケースの一部)
35c:側壁
35d:隙間
35e:係合爪(第1係合部)
35f:縦スリット
35g:第1カシメ部(残留痕跡部)
35h:連結部材(残留痕跡部)
35k:第2カシメ部(残留痕跡部)
35m:封止片(残留痕跡部)
35n:立設壁
35p:係合壁(第2係合部)
35q:薄肉部
36:画像制御基板ケース
37:払出制御基板ケース
38:電源基板ケース
39:外部出力端子板
41:封印シール(封印部材)
41a:シリアル番号(識別情報)
41b:ICチップ(情報部)
41c:アンテナ部(情報部)
41d:切り欠き部
50:封印部
50a:ボトムケース封印部(第1ケース封印部)
50b:トップケース封印部(第2ケース封印部)
51:破断部材
51a:破断部
51b:係合突起(第1被係合部)
51c:斜面
51d:側面
51e:下端部
51f:後方部
51g:係合体(第2被係合部)
52:包囲壁
52a:立設部
52b:上面部
53:内部空間
54:上面部材
54a:平面部
54b:立面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
協働して電子基板を内包する基板ケースを構成する第1ケース及び第2ケースと、
前記第1ケース及び前記第2ケースの内の少なくともいずれか一方に貼付される封印部材と、
前記封印部材を破断するための破断部を有して、該破断部が前記封印部材と対向するように配置される破断部材と、を備えた電子基板ユニットであって、
該破断部材は、前記第1ケースと前記第2ケースとの相対移動に伴って、いずれか一方のケースと共に移動することにより前記封印部材を破断するように構成され、かつ、
前記第1ケースと前記第2ケースとが協働して前記電子基板を内包した状態において、前記封印部材及び前記破断部材が前記第1ケース及び前記第2ケースにより内包され、前記基板ケースの外部からアクセス不可能とされている、電子基板ユニット。
【請求項2】
前記破断部材が、第1被係合部を有し、
前記第1ケース又は前記第2ケースのいずれか一方が、前記第1被係合部と係合する第1係合部を有し、
相対移動の際に、前記第1係合部と前記第1被係合部とが係合することにより前記いずれか一方のケースと前記破断部材とが共に移動する、請求項1に記載の電子基板ユニット。
【請求項3】
前記破断部材が、第2被係合部を有し、
前記第1ケース又は前記第2ケースのいずれか他方が、前記第2被係合部と係合する第2係合部を有し、
前記第2被係合部と前記第2係合部とが係合することにより前記第1ケースと前記第2ケースとの相対移動を阻止する、請求項2に記載の電子基板ユニット。
【請求項4】
遊技媒体を用いた遊技を実現する遊技装置体と、
該遊技装置体を遊技者に視認可能に保持する枠体と、
遊技に係る動作を制御する制御手段と、
前記遊技媒体を貯留する貯留皿と、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の電子基板ユニットと、を有する遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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