説明

電子封蝋画像の生成方法、装置、プログラム及び該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】 刻印の同一性を保持しつつ、生成された個体ごとにユニークな電子封蝋画像を生成することができるようにする。
【解決手段】 本発明の電子封蝋画像の生成装置1は、溶かした蝋の表面に刻印の凹凸が形成されてなる封蝋を画像表現した電子封蝋画像を生成するものであり、前記電子封蝋画像の生成途中で、該電子封蝋画像における前記凹凸以外の部分を1又は2以上の攪乱情報に応じて変形する変形手段を備えている。前記攪乱情報は、乱数情報や、前記電子封蝋画像の生成中における日付情報、時刻情報、又は、これらの組み合わせ情報や、前記電子封蝋画像の生成中における気象情報等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子封蝋画像の生成方法、装置、プログラム及び該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子画像の生成技術に関しては、電子印鑑マーク認証システムに関する特許文献1記載のものを例示する。このシステムは、マークの新規登録又は更新を要求する要求元の人物を認証するための情報を暗号鍵で暗号化した本人認証情報を当該要求元のマークデザインに埋め込んでマークを作成し、前記作成したマークに前記本人認証情報を復号化するための復号鍵を添付して要求元に配布するように構成されている。前記本人認証情報は、前記マークに可視透かしとして埋め込まれている。
【0003】
このシステムにより作成されるイメージ例としては、図11に示す印影及び印鑑マークがある。この例は、印影イメージ801のような印影に、本人認証情報を埋め込む場合であり、印影イメージ802のように氏名部分と可視透かしの会社名部分に、本人認証情報を埋め込み、印影イメージ803のような印影の周辺部分に文書認証情報を埋め込むといったブロック区分を行っている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−138671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のシステムで作成されるマークは、要求元のマークデザインと、要求元の人物を認証するための情報が同じであれば、同じマークが作成される。仮に、認証するための情報が異なっている場合でも、その情報は可視透かしとしてマークデザインに埋め込まれるため、外見上の違いが肉眼で識別し難い。このため、マークデザインを付する対象の用途ごとや、該対象の個体ごとに異なるマークを付したいときは、それぞれにマークデザイン自体を変更しなければならず、手間が掛かるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明の電子封蝋画像の生成方法は、
溶かした蝋の表面に刻印の凹凸が形成されてなる封蝋を画像表現した電子封蝋画像の生成方法であって、
前記電子封蝋画像の生成途中で、該電子封蝋画像における前記凹凸以外の部分を1又は2以上の攪乱情報に応じて変形するようにしている。
【0007】
第2の発明の電子封蝋画像の生成方法としては、前記第1の発明において、
前記電子封蝋画像は、前記溶かした蝋の下にリボンが配設された封蝋を画像表現したものである態様を例示する。
【0008】
第3の発明の電子封蝋画像の生成方法としては、前記第1又は2の発明において、
前記攪乱情報は、乱数情報である態様を例示する。
【0009】
第4の発明の電子封蝋画像の生成方法としては、前記第1〜2のいずれかの発明において、
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における日付情報、時刻情報、又は、これらの組み合わせ情報である態様を例示する。
【0010】
第5の発明の電子封蝋画像の生成方法としては、前記第1〜4のいずれかの発明において、
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における気象情報である態様を例示する。
【0011】
第6の発明の電子封蝋画像の生成方法としては、前記第1〜5のいずれかの発明において、
前記電子封蝋画像は、ユーザから入力される指示情報に基づいて生成されるものであり、
前記攪乱情報は、前記入力中における前記ユーザの行動情報(前記指示情報を除く。)である態様を例示する。
【0012】
前記行動情報としては、特に限定されないが、ユーザが指示情報(封蝋画像を形成する位置等)を入力するタイミング(指示情報の入力が受け付け可能になってから実際に指示情報が入力されるまでの時間等)や、指示情報の入力時における入力装置の操作履歴(例えば、マウスの移動軌跡等)を例示する。
【0013】
また、第7の発明の電子封蝋画像の生成装置は、
溶かした蝋の表面に刻印の凹凸が形成されてなる封蝋を画像表現した電子封蝋画像の生成装置であって、
前記電子封蝋画像の生成途中で、該電子封蝋画像における前記凹凸以外の部分を1又は2以上の攪乱情報に応じて変形する変形手段を備えている。
【0014】
また、第8の発明の電子封蝋画像の生成装置としては、前記第7の発明において、
前記電子封蝋画像は、前記溶かした蝋の下にリボンが配設された封蝋を画像表現したものである態様を例示する。
【0015】
第9の発明の電子封蝋画像の生成装置としては、前記第7又は8の発明において、
前記攪乱情報は、乱数情報である態様を例示する。
【0016】
第10の発明の電子封蝋画像の生成装置としては、前記第7〜9のいずれかの発明において、
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における日付情報、時刻情報、又は、これらの組み合わせ情報である態様を例示する。
【0017】
第11の発明の電子封蝋画像の生成装置としては、前記第7〜10のいずれかの発明において、
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における気象情報である態様を例示する。
【0018】
第12の発明の電子封蝋画像の生成装置としては、前記第7〜11のいずれかの発明において、
前記電子封蝋画像は、ユーザから入力される指示情報に基づいて生成されるものであり、
前記攪乱情報は、前記入力中における前記ユーザの行動情報(前記指示情報を除く。)である態様を例示する。
【0019】
また、第13の発明の電子封蝋画像の生成プログラムは、
溶かした蝋の表面に刻印の凹凸が形成されてなる封蝋を画像表現した電子封蝋画像を生成するための、コンピュータで実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記電子封蝋画像の生成途中で、該電子封蝋画像における前記凹凸以外の部分を1又は2以上の攪乱情報に応じて変形する変形手段を備えた電子封蝋画像の生成装置
として機能させるためのものである。
【0020】
第14の発明の電子封蝋画像の生成プログラムとしては、前記第13の発明において、
前記電子封蝋画像は、前記溶かした蝋の下にリボンが配設された封蝋を画像表現したものである態様を例示する。
【0021】
第15の発明の電子封蝋画像の生成プログラムとしては、前記第13又は14の発明において、
前記攪乱情報は、乱数情報である態様を例示する。
【0022】
第16の発明の電子封蝋画像の生成プログラムとしては、前記第13〜15のいずれかの発明において、
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における日付情報、時刻情報、又は、これらの組み合わせ情報である態様を例示する。
【0023】
第17の発明の電子封蝋画像の生成プログラムとしては、前記第13〜16のいずれかの発明において、
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における気象情報である態様を例示する。
【0024】
第18の発明の電子封蝋画像の生成プログラムとしては、前記第13〜17のいずれかの発明において、
前記電子封蝋画像は、ユーザから入力される指示情報に基づいて生成されるものであり、
前記攪乱情報は、前記入力中における前記ユーザの行動情報(前記指示情報を除く。)である態様を例示する。
【0025】
また、第19の発明の記録媒体は、前記第13〜18のいずれか発明の電子封蝋画像の生成プログラムが記録されている。
【0026】
以上において、前記溶かした蝋の表現としては、特に限定されないが、該蝋の形状、色彩、模様、又はこれらの組み合わせとすることを例示する。前記画像としては、特に限定されないが、二次元画像であっても三次元画像であってもよく、また、静止画像に限定されず、動画像とすることもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る電子封蝋画像の生成方法、装置、プログラム及び該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、刻印の同一性を保持しつつ、生成された個体ごとにユニークな電子封蝋画像を生成することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1〜図9は本発明を具体化した一実施形態の電子封蝋画像の生成装置1を示している。以下、本発明をこの生成装置1に具体化した実施形態について、同生成装置1を使用して実施する生成方法、プログラム及び該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体とともに、図面を参照して説明する。図1に示すように、本生成装置1は、公知のコンピュータを使用して構成されており、その全体の動作を制御する制御装置2と、ガイドメッセージ、処理経過等を表示する表示装置3と、制御装置2に対する操作・指示やデータを入力するためのキーボード、マウス等の入力装置4とを備えるとともに、制御装置2が内蔵する通信手段13を介してインターネット5に接続されている。
【0029】
制御装置2は、記憶手段20として、封筒情報記憶手段21、蝋情報記憶手段22、ライター情報記憶手段23、刻印情報記憶手段24、リボン情報記憶手段25、及び封蝋画像記憶手段26を備え、処理手段として、封蝋画像生成処理手段10、時計手段11、乱数発生手段12、及び通信手段13を備えている。これらの各記憶手段21〜26、及び各処理手段10〜13を実現するプログラムは、制御装置2が内蔵する記憶装置(図示略)や外部記憶装置に記憶されている。この記憶装置の記憶内容は、光磁気ディスク、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ICメモリカード等のコンピュータ読取可能な記録媒体(コンピュータ読取のみ可能な記録媒体やコンピュータ読み書き可能な記録媒体を含む。)に記録することができる。そして、これらのプログラムが「電子封蝋画像の生成プログラム」であり、これらのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体が「電子封蝋画像の生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体」である。
【0030】
次に、各記憶手段を具体的に説明する。封筒情報記憶手段21は、電子封蝋画像を貼り付ける封筒に関し、その画像データや色等の情報を記憶している。蝋情報記憶手段22は、電子封蝋画像の生成時に使用可能な蝋に関し、その画像データや、色や、温度特性等の情報を記憶している。ライター情報記憶手段23は、電子封蝋画像の生成時に蝋を溶かすために使用可能なライターに関し、画像データや、炎の温度等の情報を記憶している。刻印情報記憶手段24は、電子封蝋画像の生成時に蝋の表面に捺印する刻印に関し、刻印の印面の形状(印面に形成された凹凸の形状や彫りの深さを含む。)やサイズ等の情報を記憶している。リボン情報記憶手段25は、電子封蝋画像を生成する場合に使用可能なリボンに関し、その模様やサイズ等に関する情報を記憶している。封蝋画像記憶手段26は、生成された電子封蝋画像を記憶するためのものである。
【0031】
次に、封蝋画像生成処理手段10の処理内容について、時計手段11、乱数発生手段12及び通信手段13の処理内容とともに、図2に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下において、「入力」とは、入力装置4からのユーザの操作指示の入力を意味し、「表示」とは、表示装置3に対する画面表示の出力を意味する。また、本処理手段10は、電子封蝋画像の生成途中で、該電子封蝋画像における刻印の凹凸以外の部分を1又は2以上の攪乱情報に応じて変形する複数の変形手段を備えており、以下、これを「変形手段」と略す。
【0032】
まず、封蝋画像生成処理手段10は、封筒情報記憶手段21から取得した電子封蝋画像を貼り付ける封筒の画像30とともに、電子封蝋画像を貼り付ける位置を指定するためのポインタ31を表示する(ステップS101)。
【0033】
次いで、封蝋画像生成処理手段10は、封筒の画像上において、ユーザが電子封蝋画像を貼り付けようとする位置をポインタ31により指示すると、その中心位置である仮蝋ポイント32を入力する(ステップS102、図3(a)参照)。
【0034】
次いで、封蝋画像生成処理手段10は、乱数発生手段12から攪乱情報としての乱数情報を取得し、該乱数情報により、仮蝋ポイント32を移動させ、これを蝋ポイント33として採用する(ステップS103、図3(a)参照)。これが第一の変形手段である。
【0035】
次いで、封蝋画像生成処理手段10は、蝋情報記憶手段22に記憶された情報を利用して蝋色の選択を入力する(ステップS104)。
【0036】
次いで、封蝋画像生成処理手段10は、蝋ポイント33の近傍に蝋の画像35(蝋情報記憶手段22から取得)及びライターの画像36(ライター情報記憶手段23から取得)をそれぞれ表示する(ステップS105、図3(b)参照)。
【0037】
次いで、封蝋画像生成処理手段10は、蝋山を形成する操作を入力する(ステップS106、図3(b)参照)。この操作としては、蝋の画像35と、ライターの画像36における炎との相対位置を近づけたり遠ざけたりする操作を例示する。このとき、画面上に表示されている蝋の画像35とライターの画像36における炎との相対距離に応じて蝋が溶ける量が変化するようにする。これにより、封筒の画像30の上に海島状の蝋山の画像40が形成されるように表示する。このときの操作入力情報は、仮蝋山形成情報(蝋ポイント33、蝋の色、蝋の溶解時間、蝋の画像35とライターの画像36との相対距離)として入力する。
【0038】
次いで、封蝋画像生成処理手段10は、時計手段11から取得した処理日時(日付情報及び時刻情報)や、乱数発生手段12から取得した乱数情報や、通信手段13を介してインターネット5から取得した気温、気圧、天気等の気象情報を攪乱情報として利用し、仮蝋山形成情報を攪乱(変更)し、これを蝋山形成情報として採用する。この蝋山形成情報に応じて、蝋山の形状(なだらかな表面形状)を自動的に形成し、表示する(ステップS107)。これが第二の変形手段であり、攪乱情報に応じて蝋山の高低(図4参照)や封筒の画像30条における蝋山の広がりが変化することになる。ここで、蝋山の画像40の輪郭の形成方法としては、特に限定されないが、図5に示すように蝋ポイント33に対して、相対的にランダムな距離をおいてランダム又は所定の数の輪郭形成ポイント40aを決定するとともに、該各輪郭形成ポイント40aを中心にランダム又は所定の半径の円を形成し、これらの円の集合体により形成される輪郭を蝋山の画像40の輪郭として採用する方法を例示する。
【0039】
次いで、封蝋画像生成処理手段10は、刻印の選択を入力する(ステップS108)。
【0040】
次いで、封蝋画像生成処理手段10は、光線41及び刻印の形状42を表示する(ステップS109、図3(c)及び図6参照)。なお、図3(c)では刻印の形状42として、その外周のみを表示しているが、外周のみならず、刻印に刻設されたパターンをも表示することも可能である。光線41は、蝋ポイント33に向かって照射されており、該蝋ポイント33を中心に照射方向が回転するように表示する(回転方向をランダムに反転したり、回転速度をランダムに変更したりすることも可能)。
【0041】
次いで、封蝋画像生成処理手段10は、蝋山の画像40の表面に刻印を捺印する操作を入力する(ステップS110)。このときの操作入力情報は、仮捺印情報(刻印の中心位置である仮刻印ポイント43、刻印までの時間、捺印操作時の光線の照射方向)として入力する。なお、例えば、三次元的な画面表示とすることにより、刻印の傾きや捺印の強さをも仮捺印情報として入力することも可能である。
【0042】
次いで、封蝋画像生成処理手段10は、乱数発生手段12から乱数情報を取得し、該乱数情報を攪乱情報として利用し、入力された仮捺印情報を攪乱し、この攪乱後の仮捺印情報を捺印情報(図3(c)に示す刻印ポイント44等)として採用する。この捺印情報に応じて蝋山の画像40の表面に、刻印による凹凸(刻印情報記憶手段24から取得)を形成するとともに、光線による光沢51や陰影52を公知の画像処理アルゴリズムを利用して付加し、電子封蝋画像(図7参照。)を生成する。これが第三の変形手段である。そして、この電子封蝋画像を、封蝋画像記憶手段26に記憶する(ステップS111、図3(d)参照)。
【0043】
本発明により生成された電子封蝋画像を使用したアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリケーション」という。)として、アーカイバ(ファイルの圧縮をしたり、複数のファイルをひとつにまとめたりするためのソフトウェア)を例示する。このアプリケーションでは、まず、ファイルを格納したアーカイブの作成時に電子封蝋画像50を添付しておく。そして、アーカイブが開封されていない限り、電子封蝋画像50の内容は変わらないが、アーカイブを開封する操作が入力されると、電子封蝋画像50を、それに亀裂が入った画像に変更するように構成する。これにより、アーカイブが開封済みであることを明示する。そして、開封済みのアーカイブに添付されている電子封蝋画像は、亀裂が入った画像となり、元の亀裂が入っていない電子封蝋画像50に戻ることがないように構成する。
【0044】
以上のように構成された本例の電子封蝋画像の生成装置1によれば、刻印の同一性を保持しつつ、生成された個体ごとにユニークな電子封蝋画像50を生成することができる。このため、電子封蝋画像50を付する対象の用途ごとや、該対象の個体ごとにユニークな電子封蝋画像50を簡単に生成することができる。
【0045】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)本発明のプログラムが2台以上のコンピュータを含むコンピュータシステムで実行されるように構成すること。
(2)封筒の画像30以外の画像や電子文書に電子封蝋画像50を貼り付けるように構成すること。
(3)電子封蝋画像50の生成時に、該電子封蝋画像50における画像の全部又は一部が、所定の画像処理により、該処理前の画像と照合可能に変更された第二の電子封蝋画像を生成し、封蝋画像記憶手段26に記憶させるようにすること。そして、いずれか一方のみを配布用としてユーザに開示して利用させ、他方をユーザに開示することなく原本用として封蝋画像記憶手段26の中に秘蔵しておき、所定のパスワード等の秘密解除操作がなされたときに取り出すことができるようにすること。さらに、秘密解除操作がなされた後は、原本用の電子封蝋画像が元の秘蔵状態に戻らないように構成することも可能である。ここで、前記「処理前の画像と照合可能に変更」とは、可逆性を有する所定の画像処理を施しての変更をいい、これにより変更後の画像に対して所定の画像処理の逆の処理を施すと元の画像が復元できるので、元の画像との照合が可能になる。以上のように、原本用の電子封蝋画像が秘蔵される構成を採用すると、電子封蝋画像のユーザ及びその配布を受ける者が、本発明により生成された電子封蝋画像を人為的に修正したり、本発明により生成される電子封蝋画像と同様な電子封蝋画像を偽造したりすることを困難にすることができる。図8は第二の電子封蝋画像55の一例を示しており、本画像55は、元の電子封蝋画像50における蝋山の画像40のフレームの部分Fに対して、刻印の部分Sが刻印ポイントを中心に反時計回りに15°回転された画像となっている。所定の処理例としては、特に限定されないが、このような画像の一部の角度の変更の他に、画像の色や彩度等を変更する処理を例示する。
(4)図9に示すように、電子封蝋画像50を、蝋山の画像40の下にリボン58(リボン情報記憶手段25から取得)が配設された封蝋を画像表現したものとすること。リボン58に表示される文字、図形、模様又は色彩等の表示内容は電光掲示板のように動的に表示(表示内容が移動、点滅、変形、拡大縮小等するように表示)されるように構成することも可能である。
(5)蝋山の画像40に煤の模様を付加したり、亀裂を付加したりすること。
(6)蝋山の画像40を形成する操作指示の入力を省き、蝋山の原型画像(図示略)を予め記憶手段20に記憶させておき、これを攪乱情報により適宜変形すること。
(7)図10に示すように、刻印の凹凸が階層的に形成されるようにすること。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明を具体化した一実施形態に係る電子封蝋画像の生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同生成装置における封蝋画像生成処理手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】同生成装置における封蝋画像生成中における画面表示を示す図である。
【図4】同生成装置により生成される仮想的な蝋山の側面図である。
【図5】同蝋山の輪郭の生成方法を示す平面図である。
【図6】同蝋山に対する光線の照射方向例を示す図である、(a)は同蝋山の平面図、(b)は同蝋山の側面図である。
【図7】同生成装置により生成される電子封蝋画像例を示す図である。
【図8】同生成装置により生成される別の電子封蝋画像例を示す図である。
【図9】同同生成装置により生成されるさらに別の電子封蝋画像例を示す図である。
【図10】同生成装置により生成される電子封蝋画像における刻印の凹凸の変更例であり、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
【図11】従来技術により生成された印影及び印鑑マークを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 電子封蝋画像の生成装置
2 制御装置
3 表示装置
4 入力装置
5 インターネット
10 封蝋画像生成処理手段
11 時計手段
12 乱数発生手段
13 通信手段
20 記憶手段
21 封筒情報記憶手段
22 蝋情報記憶手段
23 ライター情報記憶手段
24 刻印情報記憶手段
25 リボン情報記憶手段
26 封蝋画像記憶手段
30 封筒の画像
31 ポインタ
32 仮蝋ポイント
33 蝋ポイント
35 蝋の画像
36 ライターの画像
40 蝋山の画像
40a 輪郭形成ポイント
41 光線
42 刻印の形状
43 仮刻印ポイント
44 刻印ポイント
50 電子封蝋画像
51 光沢
52 陰影
55 第二の電子封蝋画像
58 リボン
F 電子封蝋画像におけるフレームの部分
S 電子封蝋画像における刻印の部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶かした蝋の表面に刻印の凹凸が形成されてなる封蝋を画像表現した電子封蝋画像の生成方法であって、
前記電子封蝋画像の生成途中で、該電子封蝋画像における前記凹凸以外の部分を1又は2以上の攪乱情報に応じて変形するようにした電子封蝋画像の生成方法。
【請求項2】
前記電子封蝋画像は、前記溶かした蝋の下にリボンが配設された封蝋を画像表現したものである請求項1記載の電子封蝋画像の生成方法。
【請求項3】
前記攪乱情報は、乱数情報である請求項1又は2記載の電子封蝋画像の生成方法。
【請求項4】
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における日付情報、時刻情報、又は、これらの組み合わせ情報である請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子封蝋画像の生成方法。
【請求項5】
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における気象情報である請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子封蝋画像の生成方法。
【請求項6】
前記電子封蝋画像は、ユーザから入力される指示情報に基づいて生成されるものであり、
前記攪乱情報は、前記入力中における前記ユーザの行動情報(前記指示情報を除く。)である請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子封蝋画像の生成方法。
【請求項7】
溶かした蝋の表面に刻印の凹凸が形成されてなる封蝋を画像表現した電子封蝋画像の生成装置であって、
前記電子封蝋画像の生成途中で、該電子封蝋画像における前記凹凸以外の部分を1又は2以上の攪乱情報に応じて変形する変形手段を備えた電子封蝋画像の生成装置。
【請求項8】
前記電子封蝋画像は、前記溶かした蝋の下にリボンが配設された封蝋を画像表現したものである請求項7記載の電子封蝋画像の生成装置。
【請求項9】
前記攪乱情報は、乱数情報である請求項7又は8記載の電子封蝋画像の生成装置。
【請求項10】
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における日付情報、時刻情報、又は、これらの組み合わせ情報である請求項7〜9のいずれか一項に記載の電子封蝋画像の生成装置。
【請求項11】
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における気象情報である請求項7〜10のいずれか一項に記載の電子封蝋画像の生成装置。
【請求項12】
前記電子封蝋画像は、ユーザから入力される指示情報に基づいて生成されるものであり、
前記攪乱情報は、前記入力中における前記ユーザの行動情報(前記指示情報を除く。)である請求項7〜11のいずれか一項に記載の電子封蝋画像の生成装置。
【請求項13】
溶かした蝋の表面に刻印の凹凸が形成されてなる封蝋を画像表現した電子封蝋画像を生成するための、コンピュータで実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記電子封蝋画像の生成途中で、該電子封蝋画像における前記凹凸以外の部分を1又は2以上の攪乱情報に応じて変形する変形手段を備えた電子封蝋画像の生成装置
として機能させるための電子封蝋画像の生成プログラム。
【請求項14】
前記電子封蝋画像は、前記溶かした蝋の下にリボンが配設された封蝋を画像表現したものである請求項13記載の電子封蝋画像の生成プログラム。
【請求項15】
前記攪乱情報は、乱数情報である請求項13又は14記載の電子封蝋画像の生成プログラム。
【請求項16】
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における日付情報、時刻情報、又は、これらの組み合わせ情報である請求項13〜15のいずれか一項に記載の電子封蝋画像の生成プログラム。
【請求項17】
前記攪乱情報は、前記電子封蝋画像の生成中における気象情報である請求項13〜16のいずれか一項に記載の電子封蝋画像の生成プログラム。
【請求項18】
前記電子封蝋画像は、ユーザから入力される指示情報に基づいて生成されるものであり、
前記攪乱情報は、前記入力中における前記ユーザの行動情報(前記指示情報を除く。)である請求項13〜17のいずれか一項に記載の電子封蝋画像の生成プログラム。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか一項に記載の電子封蝋画像の生成プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−234369(P2008−234369A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73750(P2007−73750)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(594189176)有限会社高尾商事 (7)
【Fターム(参考)】