電子文書閲覧管理システムおよび電子文書閲覧管理方法
【課題】 電子文書の未読者を容易に把握できる電子文書閲覧管理技術を提供する。
【解決手段】 電子文書記憶部11に記憶されている電子文書が誰にでもアクセスできるように公開処理がなされると、閲覧必要者リスト作成部13は、公開された電子文書の文書情報を取得するとともに、取得した文書情報に含まれる閲覧必要者定義データをキーにして閲覧必要者名を取得する。そして、取得した文書情報と閲覧必要者名に基づいて、閲覧必要者リストを作成する。さらに、公開された電子文書にクライアントコンピュータ2がアクセスすると、閲覧者削除部15は、このクライアントコンピュータ2を使用する閲覧者名とアクセスした電子文書の文書Noを取得する。そして、文書Noと閲覧者名が閲覧者必要者リストにある場合、削除する。
【解決手段】 電子文書記憶部11に記憶されている電子文書が誰にでもアクセスできるように公開処理がなされると、閲覧必要者リスト作成部13は、公開された電子文書の文書情報を取得するとともに、取得した文書情報に含まれる閲覧必要者定義データをキーにして閲覧必要者名を取得する。そして、取得した文書情報と閲覧必要者名に基づいて、閲覧必要者リストを作成する。さらに、公開された電子文書にクライアントコンピュータ2がアクセスすると、閲覧者削除部15は、このクライアントコンピュータ2を使用する閲覧者名とアクセスした電子文書の文書Noを取得する。そして、文書Noと閲覧者名が閲覧者必要者リストにある場合、削除する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書閲覧管理技術に関し、特に、電子文書に対する未読者の把握に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本特開2000−293456号公報(特許文献1)には、ユーザが電子掲示板文書の未読・既読を判別する際に、そのユーザに未読・既読の混乱を与えないようにした電子掲示板文書の未読・既読管理システムが開示されている。具体的には、管理ファイルに格納した個々の掲示文書名に対応して、ユーザ毎に掲示文書が未読であるか、既読であるかを判別するフラグを付している。
【0003】
日本特開2003−216561号公報(特許文献2)には、文書に対応づけて既読情報を書き込むことによって、回覧者全員が文書を読んだか否かを把握する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−293456号公報
【特許文献2】特開2003−216561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
企業では、例えば社員に連絡事項などを通知する手段として文書を社員に回覧することが行われるが、文書として電子文書を用いることが多くなってきている。電子文書を用いた回覧では、電子文書閲覧管理システムが用いられる。例えば、電子文書回覧管理システムは、電子文書を記憶しているサーバコンピュータに、ネットワークを介してクライアントコンピュータがアクセスし、電子文書を読み込むことにより行われる。ここで、個々の社員は自分が使用しているコンピュータでサーバコンピュータにアクセスすることになる。
【0005】
製造業においては、作業手順を示した手順書の変更を電子文書として回覧することがある。しかし、回覧した電子文書が一部の作業者に閲覧されなかった場合、手順書の変更内容が一部の作業者に伝わらないため、これに起因した作業ミスが発生し、不良品が製造されることがある。
【0006】
このような不都合を回避するため、電子文書閲覧管理システムでは、電子文書が回覧者全員に閲覧されているか管理する必要がある。特に、電子文書を閲覧した者は電子文書の内容が伝わっているので把握する必要は少ないが、電子文書を閲覧していない者は、電子文書の内容が伝わっていないので、把握して早急に閲覧させることが重要である。
【0007】
ここで、特開2000−293456号公報では、個々の掲示文書名に対応して、ユーザ(閲覧必要者)毎に掲示文書が未読であるか既読であるかフラグを用いて管理している。図1は、フラグを用いて未読・既読を管理する管理ファイルの一例を示したものである。図1において、文書ID、掲示日時、掲示者および文書タイトルの項目で特定される掲示文書が未読の場合は「0」が付されている。一方、既読の場合は「1」が付されている。具体的に、文書IDが「0001」、掲示日時が「09/15」、掲示者が「鈴木太郎」、文書タイトルが「通達−1」の掲示文書は、例えば高木さんと太田さんは既読でありフラグが「1」になっている。これに対し、例えば西田さんは未読であり、フラグが「0」になっている。
【0008】
このように、フラグを用いて既読と未読の両方を表示して管理するシステムにおいては、管理すべき回覧者(閲覧必要者)が多人数になると、どの人が既読でどの人が未読であるか判断するのが煩雑で時間を要することになる。また、図1では、異なる提示文書であっても、回覧者が同一であるように作成されている。通常、提示する電子文書が異なれば回覧者も異なるものであり、電子文書毎に回覧者を設定できない問題点がある。
【0009】
また、特開2003−216561号公報では、既読情報を用いて管理しているため、どの人が既読であるかは直ぐにわかるが、未読者を特定することについては述べられていない。
【0010】
本発明の目的は、電子文書の未読者を容易に把握できる電子文書閲覧管理技術を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、異なる電子文書毎に異なる回覧者を容易に設定できる電子文書閲覧管理技術を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
本発明による電子文書閲覧管理システムは、サーバコンピュータに記憶されている電子文書にクライアントコンピュータがアクセスして読み込むことにより前記電子文書を閲覧する電子文書閲覧管理システムであって、(a)前記電子文書の文書情報であって閲覧必要者定義データを含む前記文書情報を記憶する文書情報記憶部と、(b)前記閲覧必要者定義データに対応して複数の閲覧必要者名を記憶する閲覧必要者記憶部と、(c)前記電子文書が公開されると、前記文書情報に含まれる前記閲覧必要者定義データをキーにして前記閲覧必要者記憶部に記憶されている複数の閲覧必要者名を取得し、取得した複数の前記閲覧必要者名と前記文書情報に基づいて、閲覧必要者リストを作成する閲覧必要者リスト作成部と、(d)前記閲覧必要者リスト作成部で作成した閲覧必要者リストを管理する閲覧必要者リスト管理部とを備えるものである。
【0015】
また、前記クライアントコンピュータが前記電子文書にアクセスすると、アクセスした前記クライアントコンピュータから閲覧者名を特定し、特定した閲覧者名が前記閲覧必要者リストにある場合には、特定した閲覧者名を前記閲覧必要者リストから削除する閲覧者削除部をさらに備えるものである。
【0016】
本発明による電子文書閲覧管理方法は、サーバコンピュータに記憶されている電子文書にクライアントコンピュータがアクセスして読み込むことにより前記電子文書を閲覧する電子文書閲覧管理方法であって、(a)前記電子文書の文書情報であって閲覧必要者定義データを含む前記文書情報を文書情報記憶部に記憶する工程と、(b)前記閲覧必要者定義データに対応して複数の閲覧必要者名を閲覧必要者記憶部に記憶する工程と、(c)前記電子文書が公開されると、前記文書情報に含まれる前記閲覧必要者定義データをキーにして前記閲覧必要者記憶部に記憶されている複数の閲覧必要者名を取得し、取得した複数の前記閲覧必要者名と前記文書情報に基づいて、閲覧必要者リストを作成する工程と、(d)閲覧必要者リストを管理する工程とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
また、(e)前記クライアントコンピュータが前記電子文書にアクセスすると、アクセスした前記クライアントコンピュータから閲覧者名を特定し、特定した閲覧者名が前記閲覧必要者リストにある場合には、特定した閲覧者名を前記閲覧必要者リストから削除する工程をさらに備えるものである。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0019】
電子文書の閲覧管理を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
図2は、本実施の形態における電子文書閲覧管理システムの構成を示す図である。図2において、本実施の形態における電子文書閲覧管理システムは、サーバコンピュータ1、クライアントコンピュータ2〜4を有しており、サーバコンピュータ1とクライアントコンピュータ2〜4は、例えばネットワーク5を介して接続されている。ネットワーク5は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)などが使用される。
【0022】
このように構成された電子文書閲覧管理システムでは、例えばクライアントコンピュータ2からサーバコンピュータ1にアクセスし、サーバコンピュータ1内に記憶されている所定の電子文書を読み込むことによって、クライアントコンピュータ2を操作する閲覧者が電子文書を閲覧することができるようになっている。
【0023】
次に、サーバコンピュータ1の構成について図3を参照しながら説明する。図3は、サーバコンピュータ1の内部構成を示したブロック図である。図3において、サーバコンピュータ1は、電子文書記憶部11、閲覧必要者記憶部12、閲覧必要者リスト作成部13、閲覧必要者リスト管理部14および閲覧者削除部15を有している。
【0024】
電子文書記憶部11は、電子文書を記憶するように構成されており、例えばハードディスクから構成されている。電子文書は、例えばクライアントコンピュータ2によって作成され、それをサーバコンピュータ1にアップロードすることにより、サーバコンピュータ1の電子文書記憶部11に記憶される。電子文書記憶部11に記憶された電子文書は、誰でもアクセスできるように公開処理がなされると、任意のクライアントコンピュータからアクセスできるようになり、複数の者に対して電子文書を回覧できるようになっている。
【0025】
個々の電子文書は、図4に示すように複数の異なるデータから形成されている。具体的に、電子文書は文書情報と文書内容を含んでいる。文書内容は、回覧する内容(本文)に対応したデータであり、文書情報は電子文書を特定する情報や付随する情報を示したデータである。例えば、文書情報には、文書を特定する文書No、タイトル、作成者名、公開日、閲覧必要者定義データなどが含まれる。この文書情報は、電子文書本体に含まれ、電子文書と一体で記憶されるようになっているが、これに限らず、例えば、電子文書本体と対応付けた上で、別の場所に記憶するようにしてもよい。本実施の形態では、電子文書に文書情報が含まれるように構成されているため、電子文書を記憶する電子文書記憶部11が、文書情報を記憶する文書情報記憶部も兼ねていることになる。
【0026】
閲覧必要者記憶部12は、閲覧する必要がある閲覧必要者を記憶するように構成され、例えばハードディスクから構成されている。閲覧必要者は、上述した文書情報に含まれる閲覧必要者定義データに対応づけて記憶されている。そして、異なる閲覧必要者定義データには、異なる閲覧必要者が対応づけられている。例えば、図5に示すように、閲覧必要者定義データが「カテゴリー1」である場合、閲覧必要者は、「鈴木一郎」さん、「田中健二」さん、「佐藤剛」さん、「山田弘」さんであることがわかる。閲覧必要者定義データが「カテゴリー1」と異なる場合(例えば、閲覧者定義データが「カテゴリー2」の場合)、図示していないが、閲覧必要者は「カテゴリー1」と異なる構成をしている。
【0027】
このように、閲覧必要者の異なるグループを異なる閲覧必要者定義データに対応づけることにより、以下に示す利点がある。例えば、電子文書を作成する毎に、電子文書の文書情報にすべて閲覧必要者を設定することが考えられる。しかし、電子文書によっては、以前に作成した電子文書と回覧者(閲覧必要者)が同じである場合がある。この場合でも、電子文書を作成する毎に、閲覧必要者を入力していては、煩雑であり効率が悪い。そこで、本実施の形態では、閲覧必要者定義データを設け、この閲覧必要者定義データに複数の閲覧必要者からなるグループを対応づけている。これにより、以前に作成した電子文書と閲覧必要者が同じである場合、以前使用した閲覧必要者定義データを設定すればよく、閲覧必要者をすべて入力する必要がない。したがって、電子文書の閲覧管理を効率よく行うことができる。例えば、図5に示すように、閲覧必要者が、「鈴木一郎」さん、「田中健二」さん、「佐藤剛」さん、「山田弘」さんである場合、これらの人を入力設定する必要はなく、閲覧必要者定義データを「カテゴリー1」に設定するだけでよい。また、所望の閲覧必要者からなるグループが存在しない場合には、所望の閲覧必要者からなるグループに新たな閲覧必要者定義データに対応づけて、閲覧必要者記憶部12に記憶させればよい。これにより、複数の異なる閲覧必要者からなるグループを増加させることができ、閲覧必要者定義データを用いた設定の自由度が増える。さらに、閲覧必要者定義データを用いることで、電子文書毎に閲覧必要者を容易に変えることができる。
【0028】
閲覧必要者リスト作成部13は、閲覧を必要とする閲覧必要者名のリストを個々の電子文書に対して作成するように構成されている。この閲覧必要者リスト作成部13は、サーバコンピュータ1内のハードディスクなどに記憶されたプログラムを用いてCPUを動作させることにより実現することができる。
【0029】
閲覧必要者リスト作成部13では、電子文書が公開されると、公開された電子文書の文書情報とこの文書情報に対応づけられている閲覧必要者名を取得する。すなわち、文書情報を取得することによって、文書情報に含まれている閲覧必要者定義データをキーにして閲覧必要者名を取得する。そして、取得した文書情報と閲覧必要者名に基づいて、閲覧必要者名リストを作成するように構成されている。
【0030】
閲覧必要者リスト作成部13で作成されるデータの一例を図6に示す。図6に示すように、閲覧必要者名毎に、文書No、タイトル、作成者名、公開日などの文書情報が対応づけられる。例えば、閲覧必要者である「鈴木一郎」さんに対して、文書No、タイトル、作成者名、公開日が書き込まれる。「鈴木一郎」さんに対して、閲覧が必要とされる電子文書が複数ある場合には、複数の電子文書の個々の文書情報が「鈴木一郎」さんに対応づけられる。
【0031】
そして、閲覧必要者リスト作成部13では、さらに、図7に示すように、個々の文書情報に閲覧必要者名を対応付けた閲覧必要者リストを作成する。例えば、図7に示した閲覧必要者リストを見ると、文書Noが「0001」、公開日が「2005/2/4」、作成者名が「吉田二郎」さん、タイトルが「部内通達−1」の電子文書では、「鈴木一郎」さん、「田中健二」さん、「佐藤剛」さん、「山田弘」さんが閲覧必要者であることがわかる。このような閲覧必要者リストを作成することによって、電子文書毎に閲覧必要者が誰であるかを容易に把握することができるので、閲覧管理を効率的に行うことができる。
【0032】
閲覧必要者リスト管理部14は、閲覧必要者リスト作成部13で作成した閲覧必要者リストを管理するように構成され、閲覧必要者リストを記憶するリスト記憶部141を有している。閲覧必要者リスト管理部14は、例えば、サーバコンピュータ1内のハードディスクに記憶されたプログラムを用いてCPUを動作させることにより実現できる。
【0033】
リスト記憶部141に記憶された閲覧必要者リストには、クライアントコンピュータ2〜4がアクセスできるようになっており、閲覧管理者など多数の人が閲覧必要者リストを表示できるようになっている。したがって、文書毎の閲覧必要者を確認することができる。
【0034】
閲覧者削除部15は、電子文書を閲覧した閲覧者の閲覧者名を閲覧必要者リストから削除するように構成されている。この閲覧者削除部15は、例えばサーバコンピュータ1内のハードディスクに記憶されたプログラムを用いてCPUを動作させることにより実現することができる。
【0035】
このような閲覧削除部15は、例えば以下に示すように構成されている。つまり、クライアントコンピュータ2〜4がサーバコンピュータ1に記憶されている電子文書にアクセスして閲覧すると、閲覧した電子文書の文書情報(文書No)と閲覧者名を取得するように構成されている。そして、リスト記憶部141に記憶されている閲覧者必要者リストの中に、アクセスした電子文書と同一の文書情報(文書No)があり、かつ取得した閲覧者名と同一の名前があると、閲覧必要者リストの中からその閲覧者名を削除するようになっている。
【0036】
本実施の形態では、閲覧者削除部15を設けることにより、閲覧必要者リストから既に電子文書を読んだ既読者を削除することができるので、閲覧必要者リストから未読者を容易に管理することができる。すなわち、閲覧必要者リストには、閲覧必要者名がリストアップされているが、この閲覧必要者名から既読者を削除するように構成することで、結果的に未読者名だけがリストアップされていることになる。したがって、閲覧管理者は、閲覧必要者リストにアクセスして、閲覧必要者リストを参照するだけで誰が未読であるかを容易かつ迅速に判断することができるので、未読者に対するフォローアップを迅速に行うことができる。
【0037】
未読者に対するフォローアップを迅速に行うことができるので、例えば作業手順を示した手順書の変更を電子文書として回覧する製造業においては、回覧した電子文書が一部の作業者に閲覧されないことを抑制することができ、手順書の変更内容が一部の作業者に伝わらないために生じる作業ミスおよび不良品の製造を低減することができる。
【0038】
従来技術のように、未読者と既読者を例えばフラグを用いて両面管理する方法では、閲覧必要者が多数の場合、閲覧必要者の中から未読者を把握するのに時間を要する。しかし、本実施の形態のように、結果的に未読者名だけを表示するように構成することで、未読・既読の確認作業が不要となり、一目で未読者を把握することができる。
【0039】
また、閲覧必要者リストから既読者名を削除するように構成したので、サーバコンピュータ1に記憶するデータ量を削減することができる。このため、サーバコンピュータ1の負担を軽減することができる。
【0040】
本実施の形態における電子文書閲覧システムは上記のように構成されており、以下にその動作について図面を参照しながら説明する。
【0041】
前提として、図3に示す電子文書記憶部11には、複数の電子文書(文書情報も含む)が予め行われる工程によって記憶されている。また、閲覧必要者記憶部12には、閲覧必要者定義データに対応付けられた閲覧必要者名が予め行われる工程によって記憶されている。
【0042】
まず、電子文書閲覧管理システムにおいて閲覧必要者リストを作成する方法について図3および図8を参照しながら説明する。
【0043】
サーバコンピュータ1において、電子文書記憶部11に記憶されているある電子文書を誰でもアクセスできるように公開処理する(S101)。公開処理がなされると、閲覧必要者リスト作成部13は、電子文書記憶部11から公開処理がなされた電子文書の文書情報を取得する(S102)。この文書情報には、文書No、タイトル、作成者名、公開日、閲覧必要者定義データが含まれる。続いて、閲覧必要者リスト作成部13は、取得した文書情報に含まれる閲覧必要者定義データをキーにして、閲覧必要者記憶部12を検索する。そして、閲覧必要者記憶部12に記憶されている閲覧必要者定義データの中にキーとして使用する閲覧者必要者定義データと同一のデータがあると、閲覧必要者リスト作成部13は、閲覧必要者記憶部12に記憶されている同一の閲覧者必要者定義データに対応した閲覧必要者名を取得する(S103)。
【0044】
次に、閲覧必要者リスト作成部13は、取得した文書情報と閲覧必要者名に基づいて閲覧必要者リストを作成する(S104)。作成した閲覧必要者リストでは、文書情報に対応して閲覧必要者が表示されるようになっている。閲覧必要者リストは、閲覧必要者リスト管理部14内のリスト記憶部141に記憶される(S105)。リスト記憶部141に記憶された閲覧必要者リストには、クライアントコンピュータ2〜4からアクセスすることで閲覧することができる。このようにして、閲覧必要者リストを作成することができる。
【0045】
次に、電子文書閲覧管理システムにおいて閲覧必要者リストから既読者(閲覧者)を削除する動作について図3および図9を参照しながら説明する。
【0046】
まず、例えば、クライアントコンピュータ2が公開された電子文書にアクセスして読み込むことにより、電子文書を閲覧する。すなわち、クライアントコンピュータ2がサーバコンピュータ1内の電子文書記憶部11に記憶されている電子文書にアクセスして電子文書を読み込む(S201)。すると、閲覧者削除部15は、クライアントコンピュータ2が公開された電子文書にアクセスしたことを認識して、このクライアントコンピュータ2の使用者のユーザIDを取得する(S202)。
【0047】
続いて、閲覧者削除部15は、クライアントコンピュータ2がアクセスした電子文書の文書情報(文書No)を取得するとともに、ユーザIDから閲覧者名を取得する。ここで、図示はしないが、サーバコンピュータ1内には、例えばユーザIDに対応付けた閲覧者名が記憶されており、閲覧者削除部15は、ここから閲覧者名を取得する(S203)。
【0048】
次に、閲覧者削除部15は、リスト記憶部141に記憶されている閲覧必要者リストを検索する(S204)。そして、取得した文書Noと同一の文書Noが閲覧必要者リストにあるか調べる(S205)。取得した文書Noと同一の文書Noが閲覧必要者リストにない場合、処理を終了する。一方、取得した文書Noと同一の文書Noが閲覧者必要者リストにある場合、さらに、同一文書Noの閲覧必要者名の中に取得した閲覧者名があるか調べる(S206)。閲覧者と同一の名前が閲覧必要者リストの閲覧必要者名にある場合、その閲覧者名と同一の閲覧必要者名を削除する(S207)。一方、存在しない場合には、処理を終了する。このようにして、既読者(閲覧者)を閲覧必要者リストから削除することができる。
【0049】
図10は閲覧必要者リストから既読者を削除した様子を示す図である。図7が削除する前の閲覧者リストを示したものである。ここで、例えば文書Noが「0001」、公開日が「2005/2/4」、作成者名が「吉田二郎」さん、タイトルが「部内通達―1」である電子文書を「鈴木一郎」さんが閲覧したとする。すると、図7に示す閲覧必要者リストにおいて、この電子文書の閲覧必要者名から「鈴木一郎」さんの名前が削除され、閲覧必要者リストは図10に示すようになる。
【0050】
さらに、図10に示す閲覧必要者リストにおいて、同様の電子文書を「田中健二」さん、「佐藤剛」さん、「山田弘」さんが閲覧すると、文書Noが「0001」、公開日が「2005/2/4」、作成者名が「吉田二郎」さん、タイトルが「部内通達―1」である電子文書の閲覧必要者はすべて既読者となり、未読者はいなくなる。このように、閲覧必要者がすべて既読者になると、閲覧者削除部15は、閲覧必要者がなくなった電子文書の文書情報も削除する。今の場合、図11に示すように、文書Noが「0001」、公開日が「2005/2/4」、作成者名が「吉田二郎」さん、タイトルが「部内通達―1」の文書情報が削除される。このように、未読者がいなくなった電子文書の文書情報も削除するように構成したので、閲覧必要者リストには、常に未読者がいる電子文書の情報しか表示されない。したがって、不必要な情報を削除し、必要な情報(未読者情報)だけを残すことができる。
【0051】
本実施の形態によれば、閲覧必要者リストの作成から既読者の削除まで自動で行うことができるので、閲覧管理者が余分な操作を行う必要がない。このため、電子文書閲覧管理システムの利便性が向上するとともに、閲覧管理者の操作ミスを低減できるので誤動作を防止でき、電子文書閲覧管理システムの信頼性を向上することができる。
【0052】
また、電子文書を閲覧した時点で、既読者を閲覧必要者リストから削除するので、閲覧必要者リストをリアルタイムに更新することができる。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、企業などに導入されている電子文書閲覧管理システムに幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明者らが検討した電子文書閲覧管理システムの管理ファイルの一例を示した図である。
【図2】本実施の形態における電子文書閲覧管理システムのシステム構成を示した図である。
【図3】電子文書閲覧管理システムのサーバコンピュータの構成を示した図である。
【図4】電子文書の構成データを模式的に示した図である。
【図5】閲覧必要者定義データに閲覧必要者名を対応付けたデータを模式的に示した図である。
【図6】閲覧必要者と文書情報とを対応づけたデータを模式的に示した図である。
【図7】閲覧必要者リストを模式的に示した図である。
【図8】閲覧必要者リストを作成する工程を示したフローチャートである。
【図9】閲覧必要者リストから既読者を削除する工程を示したフローチャートである。
【図10】既読者を削除した閲覧必要者リストの一例を示した図である。
【図11】未読者のいなくなった電子文書の文書情報を削除した閲覧必要者リストの一例を示した図である。
【符号の説明】
【0056】
1 サーバコンピュータ
2 クライアントコンピュータ
3 クライアントコンピュータ
4 クライアントコンピュータ
5 ネットワーク
11 電子文書記憶部
12 閲覧必要者記憶部
13 閲覧必要者リスト作成部
14 閲覧必要者リスト管理部
15 閲覧者削除部
141 リスト記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書閲覧管理技術に関し、特に、電子文書に対する未読者の把握に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本特開2000−293456号公報(特許文献1)には、ユーザが電子掲示板文書の未読・既読を判別する際に、そのユーザに未読・既読の混乱を与えないようにした電子掲示板文書の未読・既読管理システムが開示されている。具体的には、管理ファイルに格納した個々の掲示文書名に対応して、ユーザ毎に掲示文書が未読であるか、既読であるかを判別するフラグを付している。
【0003】
日本特開2003−216561号公報(特許文献2)には、文書に対応づけて既読情報を書き込むことによって、回覧者全員が文書を読んだか否かを把握する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−293456号公報
【特許文献2】特開2003−216561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
企業では、例えば社員に連絡事項などを通知する手段として文書を社員に回覧することが行われるが、文書として電子文書を用いることが多くなってきている。電子文書を用いた回覧では、電子文書閲覧管理システムが用いられる。例えば、電子文書回覧管理システムは、電子文書を記憶しているサーバコンピュータに、ネットワークを介してクライアントコンピュータがアクセスし、電子文書を読み込むことにより行われる。ここで、個々の社員は自分が使用しているコンピュータでサーバコンピュータにアクセスすることになる。
【0005】
製造業においては、作業手順を示した手順書の変更を電子文書として回覧することがある。しかし、回覧した電子文書が一部の作業者に閲覧されなかった場合、手順書の変更内容が一部の作業者に伝わらないため、これに起因した作業ミスが発生し、不良品が製造されることがある。
【0006】
このような不都合を回避するため、電子文書閲覧管理システムでは、電子文書が回覧者全員に閲覧されているか管理する必要がある。特に、電子文書を閲覧した者は電子文書の内容が伝わっているので把握する必要は少ないが、電子文書を閲覧していない者は、電子文書の内容が伝わっていないので、把握して早急に閲覧させることが重要である。
【0007】
ここで、特開2000−293456号公報では、個々の掲示文書名に対応して、ユーザ(閲覧必要者)毎に掲示文書が未読であるか既読であるかフラグを用いて管理している。図1は、フラグを用いて未読・既読を管理する管理ファイルの一例を示したものである。図1において、文書ID、掲示日時、掲示者および文書タイトルの項目で特定される掲示文書が未読の場合は「0」が付されている。一方、既読の場合は「1」が付されている。具体的に、文書IDが「0001」、掲示日時が「09/15」、掲示者が「鈴木太郎」、文書タイトルが「通達−1」の掲示文書は、例えば高木さんと太田さんは既読でありフラグが「1」になっている。これに対し、例えば西田さんは未読であり、フラグが「0」になっている。
【0008】
このように、フラグを用いて既読と未読の両方を表示して管理するシステムにおいては、管理すべき回覧者(閲覧必要者)が多人数になると、どの人が既読でどの人が未読であるか判断するのが煩雑で時間を要することになる。また、図1では、異なる提示文書であっても、回覧者が同一であるように作成されている。通常、提示する電子文書が異なれば回覧者も異なるものであり、電子文書毎に回覧者を設定できない問題点がある。
【0009】
また、特開2003−216561号公報では、既読情報を用いて管理しているため、どの人が既読であるかは直ぐにわかるが、未読者を特定することについては述べられていない。
【0010】
本発明の目的は、電子文書の未読者を容易に把握できる電子文書閲覧管理技術を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、異なる電子文書毎に異なる回覧者を容易に設定できる電子文書閲覧管理技術を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
本発明による電子文書閲覧管理システムは、サーバコンピュータに記憶されている電子文書にクライアントコンピュータがアクセスして読み込むことにより前記電子文書を閲覧する電子文書閲覧管理システムであって、(a)前記電子文書の文書情報であって閲覧必要者定義データを含む前記文書情報を記憶する文書情報記憶部と、(b)前記閲覧必要者定義データに対応して複数の閲覧必要者名を記憶する閲覧必要者記憶部と、(c)前記電子文書が公開されると、前記文書情報に含まれる前記閲覧必要者定義データをキーにして前記閲覧必要者記憶部に記憶されている複数の閲覧必要者名を取得し、取得した複数の前記閲覧必要者名と前記文書情報に基づいて、閲覧必要者リストを作成する閲覧必要者リスト作成部と、(d)前記閲覧必要者リスト作成部で作成した閲覧必要者リストを管理する閲覧必要者リスト管理部とを備えるものである。
【0015】
また、前記クライアントコンピュータが前記電子文書にアクセスすると、アクセスした前記クライアントコンピュータから閲覧者名を特定し、特定した閲覧者名が前記閲覧必要者リストにある場合には、特定した閲覧者名を前記閲覧必要者リストから削除する閲覧者削除部をさらに備えるものである。
【0016】
本発明による電子文書閲覧管理方法は、サーバコンピュータに記憶されている電子文書にクライアントコンピュータがアクセスして読み込むことにより前記電子文書を閲覧する電子文書閲覧管理方法であって、(a)前記電子文書の文書情報であって閲覧必要者定義データを含む前記文書情報を文書情報記憶部に記憶する工程と、(b)前記閲覧必要者定義データに対応して複数の閲覧必要者名を閲覧必要者記憶部に記憶する工程と、(c)前記電子文書が公開されると、前記文書情報に含まれる前記閲覧必要者定義データをキーにして前記閲覧必要者記憶部に記憶されている複数の閲覧必要者名を取得し、取得した複数の前記閲覧必要者名と前記文書情報に基づいて、閲覧必要者リストを作成する工程と、(d)閲覧必要者リストを管理する工程とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
また、(e)前記クライアントコンピュータが前記電子文書にアクセスすると、アクセスした前記クライアントコンピュータから閲覧者名を特定し、特定した閲覧者名が前記閲覧必要者リストにある場合には、特定した閲覧者名を前記閲覧必要者リストから削除する工程をさらに備えるものである。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0019】
電子文書の閲覧管理を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
図2は、本実施の形態における電子文書閲覧管理システムの構成を示す図である。図2において、本実施の形態における電子文書閲覧管理システムは、サーバコンピュータ1、クライアントコンピュータ2〜4を有しており、サーバコンピュータ1とクライアントコンピュータ2〜4は、例えばネットワーク5を介して接続されている。ネットワーク5は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)などが使用される。
【0022】
このように構成された電子文書閲覧管理システムでは、例えばクライアントコンピュータ2からサーバコンピュータ1にアクセスし、サーバコンピュータ1内に記憶されている所定の電子文書を読み込むことによって、クライアントコンピュータ2を操作する閲覧者が電子文書を閲覧することができるようになっている。
【0023】
次に、サーバコンピュータ1の構成について図3を参照しながら説明する。図3は、サーバコンピュータ1の内部構成を示したブロック図である。図3において、サーバコンピュータ1は、電子文書記憶部11、閲覧必要者記憶部12、閲覧必要者リスト作成部13、閲覧必要者リスト管理部14および閲覧者削除部15を有している。
【0024】
電子文書記憶部11は、電子文書を記憶するように構成されており、例えばハードディスクから構成されている。電子文書は、例えばクライアントコンピュータ2によって作成され、それをサーバコンピュータ1にアップロードすることにより、サーバコンピュータ1の電子文書記憶部11に記憶される。電子文書記憶部11に記憶された電子文書は、誰でもアクセスできるように公開処理がなされると、任意のクライアントコンピュータからアクセスできるようになり、複数の者に対して電子文書を回覧できるようになっている。
【0025】
個々の電子文書は、図4に示すように複数の異なるデータから形成されている。具体的に、電子文書は文書情報と文書内容を含んでいる。文書内容は、回覧する内容(本文)に対応したデータであり、文書情報は電子文書を特定する情報や付随する情報を示したデータである。例えば、文書情報には、文書を特定する文書No、タイトル、作成者名、公開日、閲覧必要者定義データなどが含まれる。この文書情報は、電子文書本体に含まれ、電子文書と一体で記憶されるようになっているが、これに限らず、例えば、電子文書本体と対応付けた上で、別の場所に記憶するようにしてもよい。本実施の形態では、電子文書に文書情報が含まれるように構成されているため、電子文書を記憶する電子文書記憶部11が、文書情報を記憶する文書情報記憶部も兼ねていることになる。
【0026】
閲覧必要者記憶部12は、閲覧する必要がある閲覧必要者を記憶するように構成され、例えばハードディスクから構成されている。閲覧必要者は、上述した文書情報に含まれる閲覧必要者定義データに対応づけて記憶されている。そして、異なる閲覧必要者定義データには、異なる閲覧必要者が対応づけられている。例えば、図5に示すように、閲覧必要者定義データが「カテゴリー1」である場合、閲覧必要者は、「鈴木一郎」さん、「田中健二」さん、「佐藤剛」さん、「山田弘」さんであることがわかる。閲覧必要者定義データが「カテゴリー1」と異なる場合(例えば、閲覧者定義データが「カテゴリー2」の場合)、図示していないが、閲覧必要者は「カテゴリー1」と異なる構成をしている。
【0027】
このように、閲覧必要者の異なるグループを異なる閲覧必要者定義データに対応づけることにより、以下に示す利点がある。例えば、電子文書を作成する毎に、電子文書の文書情報にすべて閲覧必要者を設定することが考えられる。しかし、電子文書によっては、以前に作成した電子文書と回覧者(閲覧必要者)が同じである場合がある。この場合でも、電子文書を作成する毎に、閲覧必要者を入力していては、煩雑であり効率が悪い。そこで、本実施の形態では、閲覧必要者定義データを設け、この閲覧必要者定義データに複数の閲覧必要者からなるグループを対応づけている。これにより、以前に作成した電子文書と閲覧必要者が同じである場合、以前使用した閲覧必要者定義データを設定すればよく、閲覧必要者をすべて入力する必要がない。したがって、電子文書の閲覧管理を効率よく行うことができる。例えば、図5に示すように、閲覧必要者が、「鈴木一郎」さん、「田中健二」さん、「佐藤剛」さん、「山田弘」さんである場合、これらの人を入力設定する必要はなく、閲覧必要者定義データを「カテゴリー1」に設定するだけでよい。また、所望の閲覧必要者からなるグループが存在しない場合には、所望の閲覧必要者からなるグループに新たな閲覧必要者定義データに対応づけて、閲覧必要者記憶部12に記憶させればよい。これにより、複数の異なる閲覧必要者からなるグループを増加させることができ、閲覧必要者定義データを用いた設定の自由度が増える。さらに、閲覧必要者定義データを用いることで、電子文書毎に閲覧必要者を容易に変えることができる。
【0028】
閲覧必要者リスト作成部13は、閲覧を必要とする閲覧必要者名のリストを個々の電子文書に対して作成するように構成されている。この閲覧必要者リスト作成部13は、サーバコンピュータ1内のハードディスクなどに記憶されたプログラムを用いてCPUを動作させることにより実現することができる。
【0029】
閲覧必要者リスト作成部13では、電子文書が公開されると、公開された電子文書の文書情報とこの文書情報に対応づけられている閲覧必要者名を取得する。すなわち、文書情報を取得することによって、文書情報に含まれている閲覧必要者定義データをキーにして閲覧必要者名を取得する。そして、取得した文書情報と閲覧必要者名に基づいて、閲覧必要者名リストを作成するように構成されている。
【0030】
閲覧必要者リスト作成部13で作成されるデータの一例を図6に示す。図6に示すように、閲覧必要者名毎に、文書No、タイトル、作成者名、公開日などの文書情報が対応づけられる。例えば、閲覧必要者である「鈴木一郎」さんに対して、文書No、タイトル、作成者名、公開日が書き込まれる。「鈴木一郎」さんに対して、閲覧が必要とされる電子文書が複数ある場合には、複数の電子文書の個々の文書情報が「鈴木一郎」さんに対応づけられる。
【0031】
そして、閲覧必要者リスト作成部13では、さらに、図7に示すように、個々の文書情報に閲覧必要者名を対応付けた閲覧必要者リストを作成する。例えば、図7に示した閲覧必要者リストを見ると、文書Noが「0001」、公開日が「2005/2/4」、作成者名が「吉田二郎」さん、タイトルが「部内通達−1」の電子文書では、「鈴木一郎」さん、「田中健二」さん、「佐藤剛」さん、「山田弘」さんが閲覧必要者であることがわかる。このような閲覧必要者リストを作成することによって、電子文書毎に閲覧必要者が誰であるかを容易に把握することができるので、閲覧管理を効率的に行うことができる。
【0032】
閲覧必要者リスト管理部14は、閲覧必要者リスト作成部13で作成した閲覧必要者リストを管理するように構成され、閲覧必要者リストを記憶するリスト記憶部141を有している。閲覧必要者リスト管理部14は、例えば、サーバコンピュータ1内のハードディスクに記憶されたプログラムを用いてCPUを動作させることにより実現できる。
【0033】
リスト記憶部141に記憶された閲覧必要者リストには、クライアントコンピュータ2〜4がアクセスできるようになっており、閲覧管理者など多数の人が閲覧必要者リストを表示できるようになっている。したがって、文書毎の閲覧必要者を確認することができる。
【0034】
閲覧者削除部15は、電子文書を閲覧した閲覧者の閲覧者名を閲覧必要者リストから削除するように構成されている。この閲覧者削除部15は、例えばサーバコンピュータ1内のハードディスクに記憶されたプログラムを用いてCPUを動作させることにより実現することができる。
【0035】
このような閲覧削除部15は、例えば以下に示すように構成されている。つまり、クライアントコンピュータ2〜4がサーバコンピュータ1に記憶されている電子文書にアクセスして閲覧すると、閲覧した電子文書の文書情報(文書No)と閲覧者名を取得するように構成されている。そして、リスト記憶部141に記憶されている閲覧者必要者リストの中に、アクセスした電子文書と同一の文書情報(文書No)があり、かつ取得した閲覧者名と同一の名前があると、閲覧必要者リストの中からその閲覧者名を削除するようになっている。
【0036】
本実施の形態では、閲覧者削除部15を設けることにより、閲覧必要者リストから既に電子文書を読んだ既読者を削除することができるので、閲覧必要者リストから未読者を容易に管理することができる。すなわち、閲覧必要者リストには、閲覧必要者名がリストアップされているが、この閲覧必要者名から既読者を削除するように構成することで、結果的に未読者名だけがリストアップされていることになる。したがって、閲覧管理者は、閲覧必要者リストにアクセスして、閲覧必要者リストを参照するだけで誰が未読であるかを容易かつ迅速に判断することができるので、未読者に対するフォローアップを迅速に行うことができる。
【0037】
未読者に対するフォローアップを迅速に行うことができるので、例えば作業手順を示した手順書の変更を電子文書として回覧する製造業においては、回覧した電子文書が一部の作業者に閲覧されないことを抑制することができ、手順書の変更内容が一部の作業者に伝わらないために生じる作業ミスおよび不良品の製造を低減することができる。
【0038】
従来技術のように、未読者と既読者を例えばフラグを用いて両面管理する方法では、閲覧必要者が多数の場合、閲覧必要者の中から未読者を把握するのに時間を要する。しかし、本実施の形態のように、結果的に未読者名だけを表示するように構成することで、未読・既読の確認作業が不要となり、一目で未読者を把握することができる。
【0039】
また、閲覧必要者リストから既読者名を削除するように構成したので、サーバコンピュータ1に記憶するデータ量を削減することができる。このため、サーバコンピュータ1の負担を軽減することができる。
【0040】
本実施の形態における電子文書閲覧システムは上記のように構成されており、以下にその動作について図面を参照しながら説明する。
【0041】
前提として、図3に示す電子文書記憶部11には、複数の電子文書(文書情報も含む)が予め行われる工程によって記憶されている。また、閲覧必要者記憶部12には、閲覧必要者定義データに対応付けられた閲覧必要者名が予め行われる工程によって記憶されている。
【0042】
まず、電子文書閲覧管理システムにおいて閲覧必要者リストを作成する方法について図3および図8を参照しながら説明する。
【0043】
サーバコンピュータ1において、電子文書記憶部11に記憶されているある電子文書を誰でもアクセスできるように公開処理する(S101)。公開処理がなされると、閲覧必要者リスト作成部13は、電子文書記憶部11から公開処理がなされた電子文書の文書情報を取得する(S102)。この文書情報には、文書No、タイトル、作成者名、公開日、閲覧必要者定義データが含まれる。続いて、閲覧必要者リスト作成部13は、取得した文書情報に含まれる閲覧必要者定義データをキーにして、閲覧必要者記憶部12を検索する。そして、閲覧必要者記憶部12に記憶されている閲覧必要者定義データの中にキーとして使用する閲覧者必要者定義データと同一のデータがあると、閲覧必要者リスト作成部13は、閲覧必要者記憶部12に記憶されている同一の閲覧者必要者定義データに対応した閲覧必要者名を取得する(S103)。
【0044】
次に、閲覧必要者リスト作成部13は、取得した文書情報と閲覧必要者名に基づいて閲覧必要者リストを作成する(S104)。作成した閲覧必要者リストでは、文書情報に対応して閲覧必要者が表示されるようになっている。閲覧必要者リストは、閲覧必要者リスト管理部14内のリスト記憶部141に記憶される(S105)。リスト記憶部141に記憶された閲覧必要者リストには、クライアントコンピュータ2〜4からアクセスすることで閲覧することができる。このようにして、閲覧必要者リストを作成することができる。
【0045】
次に、電子文書閲覧管理システムにおいて閲覧必要者リストから既読者(閲覧者)を削除する動作について図3および図9を参照しながら説明する。
【0046】
まず、例えば、クライアントコンピュータ2が公開された電子文書にアクセスして読み込むことにより、電子文書を閲覧する。すなわち、クライアントコンピュータ2がサーバコンピュータ1内の電子文書記憶部11に記憶されている電子文書にアクセスして電子文書を読み込む(S201)。すると、閲覧者削除部15は、クライアントコンピュータ2が公開された電子文書にアクセスしたことを認識して、このクライアントコンピュータ2の使用者のユーザIDを取得する(S202)。
【0047】
続いて、閲覧者削除部15は、クライアントコンピュータ2がアクセスした電子文書の文書情報(文書No)を取得するとともに、ユーザIDから閲覧者名を取得する。ここで、図示はしないが、サーバコンピュータ1内には、例えばユーザIDに対応付けた閲覧者名が記憶されており、閲覧者削除部15は、ここから閲覧者名を取得する(S203)。
【0048】
次に、閲覧者削除部15は、リスト記憶部141に記憶されている閲覧必要者リストを検索する(S204)。そして、取得した文書Noと同一の文書Noが閲覧必要者リストにあるか調べる(S205)。取得した文書Noと同一の文書Noが閲覧必要者リストにない場合、処理を終了する。一方、取得した文書Noと同一の文書Noが閲覧者必要者リストにある場合、さらに、同一文書Noの閲覧必要者名の中に取得した閲覧者名があるか調べる(S206)。閲覧者と同一の名前が閲覧必要者リストの閲覧必要者名にある場合、その閲覧者名と同一の閲覧必要者名を削除する(S207)。一方、存在しない場合には、処理を終了する。このようにして、既読者(閲覧者)を閲覧必要者リストから削除することができる。
【0049】
図10は閲覧必要者リストから既読者を削除した様子を示す図である。図7が削除する前の閲覧者リストを示したものである。ここで、例えば文書Noが「0001」、公開日が「2005/2/4」、作成者名が「吉田二郎」さん、タイトルが「部内通達―1」である電子文書を「鈴木一郎」さんが閲覧したとする。すると、図7に示す閲覧必要者リストにおいて、この電子文書の閲覧必要者名から「鈴木一郎」さんの名前が削除され、閲覧必要者リストは図10に示すようになる。
【0050】
さらに、図10に示す閲覧必要者リストにおいて、同様の電子文書を「田中健二」さん、「佐藤剛」さん、「山田弘」さんが閲覧すると、文書Noが「0001」、公開日が「2005/2/4」、作成者名が「吉田二郎」さん、タイトルが「部内通達―1」である電子文書の閲覧必要者はすべて既読者となり、未読者はいなくなる。このように、閲覧必要者がすべて既読者になると、閲覧者削除部15は、閲覧必要者がなくなった電子文書の文書情報も削除する。今の場合、図11に示すように、文書Noが「0001」、公開日が「2005/2/4」、作成者名が「吉田二郎」さん、タイトルが「部内通達―1」の文書情報が削除される。このように、未読者がいなくなった電子文書の文書情報も削除するように構成したので、閲覧必要者リストには、常に未読者がいる電子文書の情報しか表示されない。したがって、不必要な情報を削除し、必要な情報(未読者情報)だけを残すことができる。
【0051】
本実施の形態によれば、閲覧必要者リストの作成から既読者の削除まで自動で行うことができるので、閲覧管理者が余分な操作を行う必要がない。このため、電子文書閲覧管理システムの利便性が向上するとともに、閲覧管理者の操作ミスを低減できるので誤動作を防止でき、電子文書閲覧管理システムの信頼性を向上することができる。
【0052】
また、電子文書を閲覧した時点で、既読者を閲覧必要者リストから削除するので、閲覧必要者リストをリアルタイムに更新することができる。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、企業などに導入されている電子文書閲覧管理システムに幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明者らが検討した電子文書閲覧管理システムの管理ファイルの一例を示した図である。
【図2】本実施の形態における電子文書閲覧管理システムのシステム構成を示した図である。
【図3】電子文書閲覧管理システムのサーバコンピュータの構成を示した図である。
【図4】電子文書の構成データを模式的に示した図である。
【図5】閲覧必要者定義データに閲覧必要者名を対応付けたデータを模式的に示した図である。
【図6】閲覧必要者と文書情報とを対応づけたデータを模式的に示した図である。
【図7】閲覧必要者リストを模式的に示した図である。
【図8】閲覧必要者リストを作成する工程を示したフローチャートである。
【図9】閲覧必要者リストから既読者を削除する工程を示したフローチャートである。
【図10】既読者を削除した閲覧必要者リストの一例を示した図である。
【図11】未読者のいなくなった電子文書の文書情報を削除した閲覧必要者リストの一例を示した図である。
【符号の説明】
【0056】
1 サーバコンピュータ
2 クライアントコンピュータ
3 クライアントコンピュータ
4 クライアントコンピュータ
5 ネットワーク
11 電子文書記憶部
12 閲覧必要者記憶部
13 閲覧必要者リスト作成部
14 閲覧必要者リスト管理部
15 閲覧者削除部
141 リスト記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバコンピュータに記憶されている電子文書にクライアントコンピュータがアクセスして読み込むことにより前記電子文書を閲覧する電子文書閲覧管理システムであって、
(a)前記電子文書の文書情報であって閲覧必要者定義データを含む前記文書情報を記憶する文書情報記憶部と、
(b)前記閲覧必要者定義データに対応して複数の閲覧必要者名を記憶する閲覧必要者記憶部と、
(c)前記電子文書が公開されると、前記文書情報に含まれる前記閲覧必要者定義データをキーにして前記閲覧必要者記憶部に記憶されている複数の閲覧必要者名を取得し、取得した複数の前記閲覧必要者名と前記文書情報に基づいて、閲覧必要者リストを作成する閲覧必要者リスト作成部と、
(d)前記閲覧必要者リスト作成部で作成した閲覧必要者リストを管理する閲覧必要者リスト管理部とを備える電子文書閲覧管理システム。
【請求項2】
前記クライアントコンピュータが前記電子文書にアクセスすると、アクセスした前記クライアントコンピュータから閲覧者名を特定し、特定した閲覧者名が前記閲覧必要者リストにある場合には、特定した閲覧者名を前記閲覧必要者リストから削除する閲覧者削除部をさらに備える請求項1記載の電子文書閲覧管理システム。
【請求項3】
サーバコンピュータに記憶されている電子文書にクライアントコンピュータがアクセスして読み込むことにより前記電子文書を閲覧する電子文書閲覧管理方法であって、
(a)前記電子文書の文書情報であって閲覧必要者定義データを含む前記文書情報を文書情報記憶部に記憶する工程と、
(b)前記閲覧必要者定義データに対応して複数の閲覧必要者名を閲覧必要者記憶部に記憶する工程と、
(c)前記電子文書が公開されると、前記文書情報に含まれる前記閲覧必要者定義データをキーにして前記閲覧必要者記憶部に記憶されている複数の閲覧必要者名を取得し、取得した複数の前記閲覧必要者名と前記文書情報に基づいて、閲覧必要者リストを作成する工程と、
(d)閲覧必要者リストを管理する工程とを備える電子文書閲覧管理方法。
【請求項4】
(e)前記クライアントコンピュータが前記電子文書にアクセスすると、アクセスした前記クライアントコンピュータから閲覧者名を特定し、特定した閲覧者名が前記閲覧必要者リストにある場合には、特定した閲覧者名を前記閲覧必要者リストから削除する工程をさらに備える請求項3記載の電子文書閲覧管理方法。
【請求項5】
前記(e)工程は、前記閲覧必要者リストにおいて、特定の文書情報に対応づけられた閲覧必要者名がすべて削除された場合には、前記特定の文書情報も削除する請求項4記載の電子文書閲覧管理方法。
【請求項1】
サーバコンピュータに記憶されている電子文書にクライアントコンピュータがアクセスして読み込むことにより前記電子文書を閲覧する電子文書閲覧管理システムであって、
(a)前記電子文書の文書情報であって閲覧必要者定義データを含む前記文書情報を記憶する文書情報記憶部と、
(b)前記閲覧必要者定義データに対応して複数の閲覧必要者名を記憶する閲覧必要者記憶部と、
(c)前記電子文書が公開されると、前記文書情報に含まれる前記閲覧必要者定義データをキーにして前記閲覧必要者記憶部に記憶されている複数の閲覧必要者名を取得し、取得した複数の前記閲覧必要者名と前記文書情報に基づいて、閲覧必要者リストを作成する閲覧必要者リスト作成部と、
(d)前記閲覧必要者リスト作成部で作成した閲覧必要者リストを管理する閲覧必要者リスト管理部とを備える電子文書閲覧管理システム。
【請求項2】
前記クライアントコンピュータが前記電子文書にアクセスすると、アクセスした前記クライアントコンピュータから閲覧者名を特定し、特定した閲覧者名が前記閲覧必要者リストにある場合には、特定した閲覧者名を前記閲覧必要者リストから削除する閲覧者削除部をさらに備える請求項1記載の電子文書閲覧管理システム。
【請求項3】
サーバコンピュータに記憶されている電子文書にクライアントコンピュータがアクセスして読み込むことにより前記電子文書を閲覧する電子文書閲覧管理方法であって、
(a)前記電子文書の文書情報であって閲覧必要者定義データを含む前記文書情報を文書情報記憶部に記憶する工程と、
(b)前記閲覧必要者定義データに対応して複数の閲覧必要者名を閲覧必要者記憶部に記憶する工程と、
(c)前記電子文書が公開されると、前記文書情報に含まれる前記閲覧必要者定義データをキーにして前記閲覧必要者記憶部に記憶されている複数の閲覧必要者名を取得し、取得した複数の前記閲覧必要者名と前記文書情報に基づいて、閲覧必要者リストを作成する工程と、
(d)閲覧必要者リストを管理する工程とを備える電子文書閲覧管理方法。
【請求項4】
(e)前記クライアントコンピュータが前記電子文書にアクセスすると、アクセスした前記クライアントコンピュータから閲覧者名を特定し、特定した閲覧者名が前記閲覧必要者リストにある場合には、特定した閲覧者名を前記閲覧必要者リストから削除する工程をさらに備える請求項3記載の電子文書閲覧管理方法。
【請求項5】
前記(e)工程は、前記閲覧必要者リストにおいて、特定の文書情報に対応づけられた閲覧必要者名がすべて削除された場合には、前記特定の文書情報も削除する請求項4記載の電子文書閲覧管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−259844(P2006−259844A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72975(P2005−72975)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
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