説明

電子時計の認証方法、およびこの方法を実装するための電子時計

【課題】迅速に始動でき、かつ外部機器を用いずに時計の認証チェックができる、電子時計の認証のための方法を提供する。
【解決手段】電子時計1は、針6、7を用いて時刻を表示するが、タイムベースと、個人データ、ならびに/またはブランドおよび/もしくはシリアルナンバーの識別データを記憶する手段と、を備えた、少なくとも1つの処理および制御回路を含む。認証方法に関して、処理および制御回路に接続された少なくとも1つの起動部4、4’は、認証モードに切り替わるように起動する。起動部が作動可能になると、時刻指示用針を含む指示装置は、時計認証情報を視覚的に示す。針6、7は文字盤5上を動いて、電子時計1を認証するためにチェックされる識別コードの連続した各数字または数を示す。針6、7は、電子時計1を認証するために、文字盤5上で特定の軌跡を描くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計を認証するための方法に関し、この電子時計は、モータ手段によって駆動する針を用いた時刻表示を有してもよい。この時計は特に、タイムベースと、個人データ、ならびに/または時計のブランドおよび/もしくはシリアルナンバーの識別データ、ならびに/または時計の動作パラメータを記憶する手段と、を備えた、少なくとも1つの処理および制御回路を含む。処理および制御回路は、例えばマイクロコントローラユニットであってもよい。
【0002】
本発明はまた、この時計認証方法を実装するための電子時計に関する。
【背景技術】
【0003】
機械時計または電子機械時計の認証を可能にするために、時計には、特に製造中に、識別マークを付与することがある。この識別マークは、時計の魅力を低減しないよう、例えば、時計ケースの外側部分の、時計を手首に装着した時に直接見えないような部位に印字した、コードの形態であってもよい。このコードは例えば、特許文献1に定義してある2次元バーコードなど、コード化画像であってもよい。このコード化画像は、特定の計算アルゴリズムによって得られるものであるが、時計の識別子に基づいており、この時計識別子は一般に、時計識別子を記憶してあるカードによって販売される。このコードは、親会社から供給される復号キーを用いた復号操作によって復号してもよい。このため、時計を認証するためには特定の計算装置を用いる必要があり、これには時間がかかる上に複雑であるため、結果として欠点となる。
【0004】
したがって、機械時計または電子機械時計は、個別化RFID回路チップを、時計ケースの内側に含むか、時計ケースの外側部分に隠していてもよい。そして、識別コードはこのRFID回路チップに記憶され、近傍に設置してある装置を用いて、無線通信によってこの識別コードを読み取ることができる。このマークは、時計の出自の認証により、偽造に対する時計の保護を向上する。しかしながら、上記のように、時計識別データの読み取りおよび認識を可能にするためには特定の外部手段が必要となり、これは欠点となる。
【0005】
永久カレンダー時計を開示する特許文献2も、ここに引用することができる。この時計は、時刻指示用の針を備える。また、時計は、電子制御回路および時刻設定ステムを含み、これらに対して、それぞれが特定の機能に関係しているいくつかの操作を行うことができる。時計ケース内の電子回路はコードを認識することができ、このコードは、時刻設定ステムを用いて行われる特定の一連の操作に対応している。これにより、永久カレンダープログラムモード、特に、実行すべきプログラムモードへの切り替えが可能になる。電子回路は、プログラムモードへの切り替えのためのコードが正しく入力されたかどうかを識別することができる。しかしながら、この電子回路は、時計に関する識別情報を供給するために時計を作動させることはできない。
【0006】
特許文献3では、アナログまたはデジタル時計は、タイムベース部品に加えて、選択を表示装置に示すことにより、伝送するコードを選択する手段を含む。時計はさらに、電気光学的パーツを介してコードを伝送する手段を含み、この電気光学的パーツはコードをバイナリ形式で表示する。電気光学的パーツによって伝送されたコードは、光電子処理装置で拾うことができる。上に示したように、コードの読み取りまたは時計の認証のために外部処理装置を用いる必要があり、これが欠点となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1804195A1号
【特許文献2】仏国特許第2630228A1号
【特許文献3】仏国特許第2488704A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主たる目的は、迅速に始動でき、かつ外部機器を用いずに時計の認証チェックができる、電子時計の認証のための方法を提供することによって、上述の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、独立請求項1の特徴を有する、電子時計の認証のための方法に関する。
【0010】
認証方法の具体的なステップは、従属請求項2〜9に定義されている。
【0011】
本発明による電子時計認証方法の1つの利点は、認証モードへの切り替えのために起動部を起動するとすぐに、時計に含まれる指示装置を始動できる、という事実にある。この指示装置は、始動すると、認証情報を直接時計のユーザに提供し、時計の認証を証明することができる。指示装置は、視覚的、聴覚的、または特に振動エレメントによって触覚的に、認証情報を示すことができる。
【0012】
本発明によれば、時計の1つまたはいくつかの時刻指示用針で、指示装置の一部を形成することができる。これを達成するために、処理および制御回路を、モータ手段を制御するように構成およびプログラムする。このモータ手段は、起動部が始動して認証モードへの切り替えを行うと、1つまたは複数の針を駆動する。これにより、1つまたは複数の針は、時計を認証するために、時計の文字盤上で、ブランドおよび/または時計のシリアルナンバーの識別コードの少なくとも一部分の各数字または数を連続的に示すことができる。1つまたは複数の針はまた、時計識別に特化した回転動作を行うこともできる。1つまたは複数の針が文字盤上に示した識別コードの一部分は、時計の販売時に提供されたカードに記載されている識別コードと比較することができる。
【0013】
したがって、本発明は、独立請求項10に定義した特徴を有する、認証方法を実装するための電子時計に関する。
【0014】
電子時計の具体的な実施形態は、従属請求項11〜21に記載されている。
【0015】
認証方法を実装するための電子時計の1つの利点は、処理および制御回路によって時計を認証モードに切り替えるために、ある方法で起動される起動部を含む、という事実にある。これにより、起動部が起動されたときに時計認証情報を提供するための回路によって、時計の指示装置を作動させることができる。この指示装置は、時計の文字盤上を動く1つもしくはいくつかの針、または1つもしくは2つの日付ディスク、または1つもしくはいくつかの光信号もしくは音声信号、または振動エレメントを含んでもよい。
【0016】
電子時計認証方法およびこの方法を実装するための時計の目的、利点、特徴については、図面を参照した以下の非限定的な説明によって一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の認証方法を実装するための、針で時刻を表示する電子時計の様々な電子ユニットの概略図である。
【図2】本発明による、針で時刻を表示する電子時計のための認証方法の、ある実施形態の様々なステップを簡略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明において、時計認証方法を実装するための電子時計の、当業者に公知の全ての部品については、簡単にしか説明しない。以下の説明は主に、針を用いた時刻指示を行う電子時計についてのものであるが、この認証方法は、他のタイプの電子時計に適用することもできる。
【0019】
図1は、電子時計1の様々な電子エレメントを概略的に示しており、この実施形態では、電子時計1は、針6および7を用いて時刻指示を行う電子時計である。この電子時計はまた、時計ムーブメントの底板に垂直な軸の周り、例えば時計の中心軸の周りで回転可能に取り付けられた、少なくとも1つの日付ディスク8を含んでもよい。この日付ディスクを、時刻指示用の時計文字盤5の下に配置する。時計の通常動作モードでは、時刻指示用文字盤5の読み取り穴9を通して、日付ディスクの各数字または数が毎日連続して見える。
【0020】
電子時計1はまた、処理および制御回路11を含み、この処理および制御回路11は、好ましくはマイクロコントローラ処理ユニットおよび、タイムベースを定義するための、処理および制御回路の振動子段の水晶共振子13であってもよい。マイクロコントローラユニットは、例えば、スイスのEM Microelectronic-MarinがEM6812の名称で製造している、低電力8ビットCoolIRISCマイクロコントローラを含んでもよい。
【0021】
電子時計1はさらに、針および日付ディスクを起動するための、例えば1つまたはいくつかのマイクロモータおよび様々な歯車で形成されるモータ手段10を含む。このモータ手段は、主として針6および7を時計文字盤5上で駆動するため、および日付ディスクを回転させるために、処理および制御回路で制御する。例えばクロノグラフ時計の場合、2つ以上の針を備えていてもよい。
【0022】
2つの日付ディスク8は、一方を他方の上、または一方を他方の下に取り付けてもよい。これらの日付ディスクをそれぞれ、時計文字盤に垂直なそれぞれ別の、または共通の軸の周りで回転可能に取り付けてもよい。これらの日付ディスクは、月日を指示するために、モータ手段10によって互いに独立して駆動してもよく、または互いに連関して駆動してもよい。
【0023】
電子時計1はさらに、処理および制御回路11および記憶手段12に接続された1つまたはいくつかの起動部4、4’を含む。起動部は、処理および制御回路11を介して、時計の様々な動作または機能の実行を制御するために配置されており、処理および制御回路11はこの目的のためにプログラムされている。記憶手段には、個人データ、ならびに/またはブランドおよび/もしくは特定の時計のシリアルナンバーの識別データ、ならびに時計の動作パラメータを記憶してもよい。時計のこれらの動作パラメータによって、処理および制御回路11は、時計の通常動作、また、以下に説明する時計認証の実行を制御できる。少なくとも1つの作動可能な起動部4、4’により、認証モードが起動されると、時計認証情報を視覚、聴覚、または触覚によって時計のユーザに示すために、指示装置が提供される。
【0024】
記憶手段は、部分的に不揮発性EEPROMメモリ12またはフラッシュメモリで形成してもよく、ブランドおよび/または時計のシリアルナンバーの1つまたはいくつかの識別コードを記憶する。公知の方法で、このタイプのメモリを、時計を製造して1つまたはいくつかの識別コードを記憶させた後の再プログラムを避けるために用いてもよい。これにより、時計の偽造がより困難になる。
【0025】
処理および制御回路11をマイクロコントローラ処理ユニットで形成する場合、記憶手段12を部分的または全体的に、このマイクロコントローラ処理ユニットに組み込むことができる。このマイクロコントローラユニットは、このユニットの動作プログラムを記憶するために、EEPROMまたはフラッシュメモリとは異なるタイプのメモリを含んでもよい。
【0026】
起動部4、4’は、例えば慣用のステム/クラウン、押しボタン、時計のガラスまたは時計ケースの一部に配置した1つまたは複数の容量性タッチキー、およびベゼルによって形成してもよい。各起動部は、特定の動作または機能の実行を制御するために、処理および制御回路に電気的に接続されていてもよい。特定の機能の実行を制御するために、異なるタイプのいくつかの起動部を時計に配置してもよい。
【0027】
起動部がステム/クラウン4である場合、クラウンは第1の静止位置、および時計ケースの外側へと引き出された第2の位置を取ることができる。第1の静止位置において、クラウンのステムは、例えば処理および制御回路11の電気的接触を閉じることができる。しかし、時計ケースの外側へと引き出された第2の位置では、処理および制御回路の電気的接触が開く。結果として、処理および制御回路は、ステム/クラウンを起動することで電気的接触を開閉することにより、認証モードへ切り替わるように起動される。所定の時間間隔、例えば1〜4秒で、クラウンを引っ張って第2の外側位置にしたり、クラウンを押して第1の静止位置に戻したりして、処理および制御回路を認証モードに切り替える。
【0028】
ステム/クラウンが第1の静止位置にある時に電気的接触が開くようにすることも想定可能であることに留意されたい。ステム/クラウンが時計ケースの外側へと引き出された第2の位置にある時、この目的で提供される電子処理および制御回路によって、この電気的接触を閉じることができる。
【0029】
起動部として、時計のガラスに接続して配置される衝撃センサ、または処理および制御回路に接続される磁気センサを提供してもよい。磁気センサは時計ケースの内側に配置されており、永久磁石によって起動することができる。この永久磁石は、電子時計のブレスレットまたはストラップ上にあってもよい。ブレスレットまたはストラップのバックルのトングが、処理および制御回路を認証モードに切り替えるために、磁気センサを起動するための磁石であってもよい。
【0030】
処理および制御回路に接続されている、時計のバッテリハウジング中のバッテリを、起動部として提供してもよい。バッテリはバッテリハウジング中に電気的に接続されており、電子時計部品に電力を供給することができる。バッテリをバッテリハウジングから取り外し、すぐに戻すことによって、電気的初期化信号を処理および制御回路に供給することができる。この電気的初期化信号によって、処理および制御回路は時計認証モードに切り替わる。
【0031】
本発明による電子時計認証方法をより明確に説明するために、図2に、電子時計のための認証方法の様々なステップを示している。この実施形態において、電子時計1は、時を表す数字マークを備える文字盤5上に、少なくとも2つの針6および7によって時刻を表示する。電子腕時計は、時計ケース2に固定されたブレスレット3を含む。時計の起動部はステム/クラウン4および、互いに十分な距離を置いて時計のガラス上に配置された、いくつかの容量性タッチキー4’である。別のプッシュボタン(図示せず)またはステム/クラウンを使用して、タッチキーを始動することもできる。しかしながら、これらのタッチキーは常時作動可能であってもよい。これらのタッチキー4’は、認証モードを入力する、もしくはデータもしくは設定を入力する、または時計の異なるメニューもしくは機能を選択するために使用することができる。認証モードを入力するために、まず少なくとも1つのタッチキーに短く圧力をかけ、続いて長く圧力をかけること、またはいくつかのタッチキーを同時に起動することを想定することができる。
【0032】
図2に示した実施形態において、ステム/クラウン4は好ましくは、表時モードから時計認証モードへの切り替えに使用することができる。これを達成するために、および図2に符号Aで示したように、まず初めにステム/クラウン4を、第1の静止位置から第2の位置に、時計ケースの外側へと引き出さなければならない。これによって処理および制御回路に接続されている電気的接触が開く。次に、ステム/クラウン4を第2の位置から第1の静止位置へと押し戻し、処理および制御回路の電気的接触を再び閉じる。この動作は、図2に符号Aで示した表時モードから、図2に符号Bで示した認証モードへの切り替えを行うために、所定の時間間隔、例えば1〜4秒で行わなければならない。
【0033】
認証モードでは、少なくとも1つの針6または7が、時計を装着している人に時計認証情報を示す装置の一部を形成する。この認証情報は、少なくとも、ブランドおよび/または時計のシリアルナンバーの識別コードの一部分であってもよい。好ましくは。2つの針6および7、またはクロノグラフ時計の3つの針を用いて、識別コードの少なくとも一部分の各数字または数を時計の装着者に視覚的に示すことができる。しかし、この目的のために、例えば分針または秒針など、1つの指示針だけで十分である場合もある。2つまたは3つの針を重ねて、処理および制御回路によって供給されるコマンドに基づいて、モータ手段によって一緒に駆動するようにしてもよい。
【0034】
重ねた針6および7をモータ手段で駆動し、文字盤5上の時刻指示用位置へと連続的に動かし、チェックする認証コードの連続する数字または数を示す。図2の符号Bにおいて、重ねた針6および7は、連続的に数2、5、9、1を示すように動くことで、所望の識別コード2591の一部分を与える。針によって示した識別コードの一部分を、時計の販売時に提供されたカードに記載されているブランドおよび/または時計のシリアルナンバーの識別コードと比較することができる。1つの時計ブランドには単一の識別コードが提供されていてもよいが、シリアルナンバーを示す識別コードは製造された各時計で異なる。
【0035】
当然、2つの連続した数字または数が同一である場合、針は特定のやり方で文字盤上を動くことで、ユーザに、チェックする認証コードで同一の数字または数が連続することを示す。この場合、モータ手段は針を駆動して、例えば文字盤を完全に一周させてもよい。
【0036】
ある時刻指示位置から別の時刻指示位置に切り替えるための時間は、処理および制御回路にプログラムされている。針6、7が文字盤上に示した各数字または数をユーザが容易にチェックできるように、各切り替え時間を設定する。針が、時計を認証する数字または数を十分に示したら、所定の認証モード作動時間を終えて、モータ手段によって針を時刻指示状態にリセットする。通常4秒後に、処理および制御回路で制御されている針を、図2に符号Cで示したように、時刻を表示するようにモータ手段で駆動する。当然、認証モード作動時間によって生じるいかなる時刻の遅延も、マイクロコントローラユニットに組み込まれたカウンタによって、公知の方法で補正される。
【0037】
時計を認証するための変形形態において、少なくとも1つの針6もしくは7、または2つの重ねた針6、7を、起動部4、4’の各起動の後に、文字盤時刻指示位置に連続して動かす。これは、この目的のために提供された起動部の各起動の後に、チェックする時計のブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの連続した数字または数を起動部が示すことができる、ということを意味する。また、モータ手段で2つの針6、7を交互に動かし、チェックする時計のブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの連続した数字または数を個別に示すようにしてもよい。
【0038】
識別コードの数字指示を行う代わりに、認証モードでは、少なくとも1つの針6または7を文字盤上で回転させて、1つまたはいくつかの時計回りまたは反時計回り方向の回転運動をさせてもよい。また、1つまたは複数の針は、1周または何周かの周回運動を文字盤上でしてもよく、時計認証情報を提供するために所定の位置で停止する。
【0039】
指示装置を介して認証情報を提供するために、処理および制御回路で制御されたモータ手段で駆動される1つまたは2つの日付ディスクを用いてもよい。即ち、文字盤の穴を通して、認証対象の時計のブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの連続した数字または数を示すよう、1つまたは複数の日付ディスクを動かすことができる。日付ディスクを、互いに独立して回転するよう駆動してもよい。前述のように、1つまたは複数の日付ディスクを、この目的のために提供された起動部4、4’の各起動の後に、連続して動かしてもよい。これは、認証対象の時計のブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの連続した数字または数を、文字盤の穴を通してユーザに起動部が示すことができることを意味している。
【0040】
電子時計1はさらに、様々なデータを表示するために、例えばLCDまたはLEDまたはOLED表示装置(図示せず)を含んでもよい。時計表示装置はまた、電子発光または電子ペーパーまたは電気泳動による表示であってもよい。この指示装置は、チェックする時計のブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの一部分を、連続的または瞬間的に表示することができる。
【0041】
例えば発光ダイオードを形成するいくつかの光源を、指示装置として提供してもよい。これらの光源は、起動部が認証モードへの切り替えに作動可能である時、処理および制御回路によって制御される。
【0042】
指示装置はまた、認証対象の時計の一連の識別用数字もしくは数、または認証対象の時計について特定の音楽を聴覚的に示すための、発音素子であってもよい。起動部が認証モードへの切り替えに作動可能である時に、処理および制御回路によってこの聴覚的指示装置を始動する。ユーザに聴覚的に示される一連の数字または数は、記憶手段に記憶されている。
【0043】
当業者なら、以上の説明から、請求項で定義する本発明の範疇から逸脱することなく、電子時計の認証方法およびこの方法を実装するための電子時計のいくつかの変形形態を考案することができるだろう。触覚によって情報を生成する装置、例えば手首上の振動エレメントを、指示装置として用いてもよい。異なるタイプの指示装置、例えば視覚的指示装置と聴覚的または光装置とを組み合わせてもよい。聴覚的または光装置による指示は、例えば時計の信頼性チェックのためのアプリケーションを装備した携帯電話などの機器を用いて、容易に理解することができる。時計を起動するためにいくつかのタイプの起動部を用いてもよく、これによって、時計は時計認証モードに切り替わる。クロノグラフ時計に関しては、秒針を用いることができ、秒針は中心に位置しており、時計の他の針の駆動とは独立して駆動することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子時計(1)を認証するための方法であって、
前記時計は、タイムベースと、個人データ、ならびに/または前記時計のブランドおよび/もしくは時計のシリアルナンバーの識別データ、ならびに/または前記時計の動作パラメータを記憶する手段(12)と、を備えた、少なくとも1つの処理および制御回路(11)を含み、
前記方法は、
時計認証モードに切り替えるために前記処理および制御回路に接続されている、前記時計の少なくとも1つの起動部(4、4’)を作動可能にするステップと、
前記起動部を作動可能にした後に、指示装置を作動させ、視覚的、聴覚的、または触覚的に、前記時計のユーザに時計認証情報を示すステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記電子時計(1)は、時刻を指示するための針(6、7)を有し、
前記針は、前記処理および制御回路(11)によって制御されるモータ手段(10)によって駆動され、
認証モードにおいて、前記針は前記指示装置の一部を形成し、
前記起動部が作動可能になると、前記針の少なくとも1つが前記モータ手段によって駆動され、時刻指示文字盤(5)上を動いて、時計認証情報を示すことを特徴とする、請求項1に記載の認証方法。
【請求項3】
少なくとも1つの前記針(6)は、前記文字盤上の時刻指示位置に連続して動き、チェックする前記時計の前記ブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの連続した数字または数を示すことを特徴とする、請求項2に記載の認証方法。
【請求項4】
認証モードにおいて、前記処理および制御回路(11)は、前記モータ手段(10)を作動させて、少なくとも1つの前記針(6)を、時刻指示位置から、所定の時間間隔後に連続した時刻指示位置へと動かして、示した各数字または数を前記ユーザがチェックできるようにするようにプログラムされていることと、
前記針は、所定の認証モード作動時間の後、前記モータ手段によって時刻指示状態にリセットされることと、
を特徴とする、請求項3に記載の認証方法。
【請求項5】
認証モードにおいて、少なくとも1つの前記針(6)は、前記起動部(4、4’)の各起動の後に、前記文字盤上の時刻指示位置に連続して動き、チェックする前記時計の前記ブランドおよび/またはシリアルナンバーの認証コードの連続した数字または数を示すことを特徴とする、請求項2に記載の認証方法。
【請求項6】
少なくとも2つの前記針(6、7)は、前記モータ手段(10)によって交互に動かされ、チェックする前記時計の前記識別コードの前記連続した数字または数を個別に示すことを特徴とする、請求項3または5に記載の認証方法。
【請求項7】
少なくとも1つの前記針(6)は、前記文字盤(5)上で動かされて、1つまたはいくつかの時計回りまたは反時計回り方向の回転運動をするか、1周または何周かの周回運動を前記文字盤上でし、時計認証情報を提供するために所定の位置で停止することを特徴とする、請求項2に記載の認証方法。
【請求項8】
前記電子時計(1)は、前記処理および制御回路(11)で制御された前記モータ手段(10)で駆動される、少なくとも1つの日付ディスク(8)を含み、
前記ディスクは、前記文字盤の穴(9)を通して表示される数字または数を備えた前記時計文字盤(5)の下に配置され、
認証モードにおいて、前記日付ディスクは前記指示装置の一部を形成し、
前記日付ディスクは、認証対象の前記時計の前記ブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの連続した数字または数を、前記文字盤の前記穴を通して示すように、動かされることを特徴とする、請求項1に記載の認証方法。
【請求項9】
認証モードにおいて、前記日付ディスクは、前記起動部(4、4’)の各起動の後に、連続して動かされ、認証対象の前記時計の前記ブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの連続した数字または数を、前記文字盤の前記穴を通して示すことを特徴とする、請求項8に記載の認証方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の前記認証方法を実装するための電子時計(1)であって、
前記時計は、タイムベースと、個人データ、ならびに/または前記時計のブランドおよび/もしくは前記時計のシリアルナンバーの識別データ、ならびに/または前記時計の動作パラメータを記憶する手段(12)と、を備えた、少なくとも1つの処理および制御回路(11)を含み、
前記時計は、前記処理および制御回路に接続された少なくとも1つの起動部(4、4’)を含むことと、
前記メンバは、作動可能となると、認証モードにおいて、前記時計の認証のための情報を前記時計のユーザに視覚的、聴覚的、または触覚的に示すことができる前記時計の指示装置を作動させることができることと、
を特徴とする、電子時計(1)。
【請求項11】
前記電子時計(1)は、時刻を指示するための針(6、7)を有し、
前記針は、前記処理および制御回路(11)によって制御されるモータ手段(10)によって駆動され、
認証モードにおいて、前記針は前記指示装置の一部を形成し、前記針の少なくとも1つは、前記モータ手段によって駆動されるように配置され、時刻指示文字盤(5)上を動いて、時計認証情報を示すこと、
を特徴とする、請求項10に記載の電子時計(1)。
【請求項12】
前記モータ手段(19)は、認証モードにおいて、前記処理および制御回路(11)によって作動され、少なくとも1つの前記針(6)を前記文字盤上の時刻指示位置へと駆動して、認証対象の前記時計の前記ブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの前記数字または数を示すことを特徴とする、請求項11に記載の電子時計(1)。
【請求項13】
認証モードにおいて、少なくとも2つの前記針(6、7)を重ねて、前記モータ手段(10)によって一緒に駆動されるようにし、認証対象の前記時計の識別コードの数字または数を示すようにすることを特徴とする、請求項12に記載の電子時計(1)。
【請求項14】
前記電子時計(1)は、前記処理および制御回路(11)で制御された前記モータ手段(10)で駆動される、少なくとも1つの日付ディスク(8)を含み、
前記ディスクは、前記文字盤の穴(9)を通して表示される数字または数を備えた前記時計文字盤(5)の下に配置され、
認証モードにおいて、前記日付ディスクは前記指示装置の一部を形成し、
前記日付ディスクは、認証対象の前記時計のブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの連続した数字または数を、前記文字盤の前記穴を通して示すように、前記モータ手段によって動かされるように配置されることを特徴とする、請求項10に記載の電子時計(1)。
【請求項15】
前記電子時計(1)は、前記モータ手段によって互いに独立して駆動することができる2つの前記日付ディスクを含み、前記日付ディスクは、認証対象の前記時計の前記ブランドおよび/またはシリアルナンバーの識別コードの連続した数字または数を、前記文字盤の前記穴(9)を通して示すことを特徴とする、請求項14に記載の電子時計(1)。
【請求項16】
前記起動部は、前記処理および制御回路(11)の電気的接触が閉じるまたは開く第1の静止位置、および、前記処理および制御回路の前記電気的接触が前記第1の静止位置とは逆に開くまたは閉じる、時計ケース(2)の外側へと引き出された第2の位置を取ることができる、ステム/クラウン(4)であり、
前記処理および制御回路を、前記ステム/クラウンの起動による、前記電気的接触の開閉によって、認証モードへと切り替わるように起動することを特徴とする、請求項10に記載の電子時計(1)。
【請求項17】
前記起動部は、時計ガラス上または前記時計ケースの一部上に配置された少なくとも1つの容量性タッチキー(4’)であり、
前記タッチキーは常時アクティブまたは作動可能であるように配置され、プッシュボタンまたは時刻設定ステム/クラウン(4)を用いて、前記時計認証モードを起動することを特徴とする、請求項(10)に記載の電子時計(1)。
【請求項18】
前記起動部は、前記時計のバッテリハウジング中のバッテリによって形成され、前記バッテリは前記処理および制御回路(11)に接続されて電力を供給し、
前記バッテリを前記バッテリハウジングから取り外し、前記バッテリハウジングに戻すことによって、電気的初期化信号を前記処理および制御回路に供給して、時計認証モードに切り替えることができる
ことを特徴とする、請求項10に記載の電子時計(1)。
【請求項19】
前記起動部は、前記処理および制御回路に接続された磁気センサによって形成され、
前記磁気センサは、前記時計のブレスレットまたはストラップ(3)に好ましくは配置した永久磁石を用いて作動可能となり、時計認証モードへと切り替えることを特徴とする、請求項10に記載の電子時計(1)。
【請求項20】
前記起動部は、プッシュボタンまたは時計ベゼル、または時計ガラスの衝撃センサであり、前記プッシュボタンまたは前記時計ベゼル、または前記時計ガラスの前記衝撃センサは前記処理および制御回路(11)に電気的に接続されることを特徴とする、請求項10に記載の電子時計(1)。
【請求項21】
前記指示装置は、発音素子または振動エレメントまたは1つもしくは複数の光源から形成され、前記処理および制御回路(11)により制御されることを特徴とする、請求項10に記載の電子時計(1)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−79961(P2013−79961A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221883(P2012−221883)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【出願人】(591048416)ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス (63)
【Fターム(参考)】