説明

電子時計

【課題】運針していない場合においても、蓄電部の性能を劣化させることなく、蓄電部の過充電を防止することができる。
【解決手段】発電部11は、受光面に照射される光に応じた電力を発電する。蓄電部13は、発電部11が発電した電力を蓄電し、蓄電した電力を出力する。電圧検出部40は、蓄電部13が出力する電力の電圧を検出する。処理部50は計時を行う。クロノグラフ指針は、処理部50が計時した時間を指し示し、計時の停止中は機構によって固定される。第2駆動回路62は、蓄電部13が出力する電力を用いてクロノグラフ指針を駆動する。処理部50は、蓄電部13が出力する電力の電圧が所定の閾値以上である場合、第2駆動回路62を駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池などの発電部と、発電部が発電した電力を蓄電する蓄電部(二次電池)とを搭載した電子時計は、蓄電部の充電電圧が上限電圧を上回ることがあるため、過充電保護部として蓄電部に印加される電圧を制限する過充電防止部(電流バイパス回路)を備えている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
図11は、従来知られている過充電防止部を備えた電源部の構成を示したブロック図である。図示する例では、電源部100は、発電部101と、逆流防止部102と、蓄電部103と、過充電防止部104とを備える。発電部101は光を受光する受光面を備えた太陽電池であり、受光した(照射された)光に応じた電力を発電する。逆流防止部102は、発電部101から蓄電部103の方向にのみ電流が流れるように制御する。すなわち、逆流防止部102は、蓄電部103から発電部101に電流が流れることを防止する。蓄電部103は二次電池であり、発電部101が発電した電力を蓄電する。
【0004】
過充電防止部104は、電圧検出部105と電流バイパス部106とを備え、蓄電部103の充電電圧が上限電圧を上回る場合に、発電部101が発電した電力を電源部100の外に放出し、蓄電部103には流れないようにする。具体的には、電圧検出部105は、蓄電部103の電圧値を検出し、検出した蓄電部103の電圧値を電流バイパス部106に対して入力する。電流バイパス部106は、入力された蓄電部103の電圧値に基づいて、発電部101が発電した電圧が蓄電部103の充電電圧の上限電圧を上回る場合に、発電部101が発電した電力を電源部100の外に放出する。
【0005】
このような過充電防止部104に使用されるトランジスタは、発電部101の出力特性(発電電圧)を制限するために必要な電流容量を確保するため、一般的にはある程度大きな半導体面積が必要となる。そのため、過充電防止部104に使用されるトランジスタの半導体面積を削除することは、過充電防止部104(電流バイパス回路)の小型化や低コストに寄与する効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−259192号公報
【特許文献2】特開昭62−123387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の充電装置付き電子時計は、過充電状態において、モーター駆動回路のPchトランジスタとNchトランジスタとを同時にONすることによる貫通電流を利用して強制的に消費電流を増加させるものである。そのため、特許文献1に記載の方式は、貫通電流であるがゆえに、過充電保護動作の作動時の電流量を制御することが非常に難しく、限度を超えた大電流が流れることにより蓄電部の性能を劣化させる恐れがある。また、特許文献2に記載の充電装置付き電子時計は、過充電状態において、運針時に無条件で補正パルスを発生することで強制的に消費電流を増大させるものである。そのため、特許文献2に記載の方式は、モーター駆動時にのみ作動可能な方式のため、例えば、りゅうずを引いて運針駆動を停止している最中に過充電状態となっても過充電保護動作を発動できないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、運針していない場合においても、蓄電部の性能を劣化させることなく、蓄電部の過充電を防止することができる電子時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、機構による帰零構造を備えたクロノグラフである電子時計であって、受光面に照射される光に応じた電力を発電する発電部と、前記発電部が発電した電力を蓄電し、当該蓄電した電力を出力する蓄電部と、前記蓄電部が出力する電力の電圧を検出する電圧検出部と、計時を行う計時部と、前記計時部が計時した時間を指し示し、前記計時の停止中は前記機構によって固定されるクロノグラフ指針と、前記蓄電部が出力する電力を用いて前記クロノグラフ指針を駆動する駆動回路と、前記蓄電部が出力する電力の電圧が所定の閾値以上である場合、前記駆動回路を駆動させる制御部と、を備えることを特徴とする電子時計である。
【0010】
また、本発明の電子時計において、前記駆動回路は、前記蓄電部が出力する電力を用いて第1駆動パルスを出力し、前記クロノグラフ指針を駆動させ、前記制御部は、前記計時の停止中に前記蓄電部が出力する電力の電圧が所定の閾値以上である場合、前記第1駆動パルスよりも駆動エネルギーが大きい第2駆動パルスを前記駆動回路に出力させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電子時計において、前記計時部は、一定時間毎に値を加算するカウンタを用いて計時を行い、前記駆動回路は、前記カウンタ値が一定値増加する毎に、前記クロノグラフ指針を駆動させ、前記制御部は、前記蓄電部が出力する電力の電圧が所定の閾値以上である場合、前記カウンタを動作させて前記駆動回路を駆動させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電子時計において、前記計時部は、前記カウンタが動作している場合に前記計時を開始する場合、前記カウンタ値をリセットした後に前記計時を開始することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記計時部が用いる値を記憶する記憶部を備え、前記計時部は、前記計時を一時停止する際に前記カウンタ値を前記記憶部に記憶させ、当該一時停止した計時を再開する際に、前記記憶部に記憶させた前記カウンタ値を用いて当該計時を再開することを特徴とする電子時計である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発電部は、受光面に照射される光に応じた電力を発電する。また、蓄電部は、発電部が発電した電力を蓄電し、当該蓄電した電力を出力する。また、電圧検出部は、蓄電部が出力する電力の電圧を検出する。また、計時部は計時を行う。また、クロノグラフ指針は、計時部が計時した時間を指し示し、計時の停止中は機構によって固定される。また、駆動回路は、蓄電部が出力する電力を用いてクロノグラフ指針を駆動する。また、制御部は、蓄電部が出力する電力の電圧が所定の閾値以上である場合、駆動回路を駆動させる。
【0015】
これにより、蓄電部の出力電圧が所定の閾値以上である場合、蓄電部が出力する電力を用いて駆動回路が駆動するため、蓄電部が蓄電している電力を消費することができ、運針していない場合においても、蓄電部の性能を劣化させることなく、蓄電部の過充電を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態における電子時計の制御系の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における電子時計の動作手順を示したフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態における時刻モーター駆動処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるクロノモーター駆動処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるスイッチA処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるスイッチB処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態における電圧検出処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態における時刻運針タイミング発生処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態におけるクロノ運針タイミング発生処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるクロノモーター駆動処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図11】従来知られている過充電防止部を備えた電源部の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における電子時計1の制御系の構成を示したブロック図である。なお、本実施形態における電子時計1は、クロノグラフ指針として、図示せぬクロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針とを備えたクロノグラフである。クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針とは、時間(経過時間)を計測するストップウォッチ機能を実現する指針である。また、電子時計1のクロノグラフの帰零構造は機構によるものであり、クロノグラフによる計時動作が行われていない場合、クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針とは、機械的に固定される。なお、当然のことながら、クロノグラフによる計時動作が行われている場合には、クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針との固定は解除される。
【0018】
図示する例では、電子時計1の制御系は、電源部10と、スイッチA20と、スイッチB21と、リセットボタン22と、発振器30と、分周回路31と、電圧検出部40と、処理部50(計時部、制御部)と、第1駆動回路61と、第2駆動回路62(駆動回路)と、時刻表示モーター63と、クロノ表示モーター64と、制御ソフトウェア記憶部70と、記憶部71とを備える。
【0019】
電源部10は、発電部11と、逆流防止部12と、蓄電部13とを備え、電子時計1が備える各部に対して電力を供給する。発電部11は光を受光する受光面を備えた太陽電池であり、受光した(照射された)光に応じた電力を発電する。逆流防止部12は、発電部11から蓄電部13の方向にのみ電流が流れるように制御する。すなわち、逆流防止部12は、蓄電部13から発電部11に電流が流れることを防止する。蓄電部13は二次電池であり、発電部11が発電した電力を蓄電し、蓄電した電力を電子時計1が備える各部に対して出力する。
【0020】
スイッチA20は、クロノグラフによる計時動作の開始指示および停止指示をユーザから受け付ける。具体的には、クロノグラフによる計時動作を行っている場合にスイッチA20が押下された場合、電子時計1は、クロノグラフによる計時動作を一時停止する。このとき電子時計1は、機構により、クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針とを機械的に固定する。また、クロノグラフによる計時動作を行っていない場合にスイッチA20が押下された場合、電子時計1は、クロノグラフによる計時動作を開始する。このとき電子時計1は、機構により、クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針との固定を解除する。
【0021】
スイッチB21は、クロノグラフによる計時動作のリセット指示(帰零指示)をユーザから受け付ける。また、スイッチB21が押下された場合、電子時計1は、クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針とが指し示す位置が「0」となるように、クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針とを機械的に駆動して固定する。リセットボタン22は、処理部50を初期化するリセット指示をユーザから受け付け、処理部50の初期化を行うリセット信号を処理部50に対して入力する。
【0022】
発振器30は、一定の間隔で周期的に連続する基準クロック信号を出力する。分周回路31は、発振器30から入力された基準クロック信号を分周して、処理部50に対して出力する。電圧検出部40は、蓄電部13が出力する電力の電圧値(出力電圧値)を検出し、検出した電圧値を処理部50に対して出力する。
【0023】
処理部50は、制御ソフトウェア記憶部70が記憶するプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行して電子時計1が備える各部の制御や計時を行う。例えば、処理部50は、分周回路31から入力された基準クロック信号に基づいて時刻カウンタの値を加算する。そして、処理部50は、時刻カウンタ値に基づいて、時刻を示す時針と、分針と、秒針とを駆動するタイミングを決定し、第1駆動回路61を駆動させる。また、処理部50は、分周回路31から入力された基準クロック信号に基づいてクロノカウンタ(カウンタ)の値を加算する。そして、処理部50は、クロノカウンタ値に基づいて、クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針とを駆動するタイミングを決定し、第2駆動回路62を駆動させる。すなわち、処理部50は、クロノカウンタを用いて計時する。また、処理部50は、電圧検出部40が検出する蓄電部13の出力電圧値に基づいて蓄電部13が過充電状態であるか否かを判定し、蓄電部13が過充電状態である場合、第2駆動回路62を駆動させ、蓄電部13が蓄電している電力を消費することで蓄電部13の過充電を防止する。なお、処理部50の詳細な動作手順については後述する。
【0024】
第1駆動回路61は、処理部50の制御に基づいて、主駆動パルスと補正駆動パルスとを出力し、時刻表示モーター63を駆動させる。第2駆動回路62は、処理部50の制御に基づいて、主駆動パルスと補正駆動パルスとを出力し、クロノ表示モーター64を駆動させる。時刻表示モーター63は、第1駆動回路61が出力する主駆動パルスと補正駆動パルスに基づいて時刻を示す指針を駆動する。クロノ表示モーター64は、第2駆動回路62が出力する主駆動パルスと補正駆動パルスとに基づいてクロノグラフ指針(クロノグラフ分針、クロノグラフ秒針、クロノグラフ1/10秒針)を駆動する。制御ソフトウェア記憶部70は、処理部50が実行するプログラムを記憶する。
【0025】
記憶部71は、電子時計1の各部が用いるデータなどを記憶する。例えば、記憶部71は、時刻を示す指針を動かすタイミングを示す「時刻運針タイミングフラグ」を記憶する。時刻運針タイミングフラグには「セット」と「リセット」との2つの値のうち、いずれか1つの値が設定される。時刻運針タイミングフラグ「セット」は、時刻を示す指針を駆動させるタイミングである時刻運針タイミングが発生していることを示す。時刻運針タイミングフラグ「リセット」は、時刻運針タイミングが発生していないことを示す。
【0026】
また、記憶部71は、クロノグラフ指針を動かすタイミングを示す「クロノ運針タイミングフラグ」を記憶する。クロノ運針タイミングフラグは「セット」と「リセット」との2つの値のうち、いずれか1つの値が設定される。クロノ運針タイミングフラグ「セット」は、クロノグラフ指針を駆動させるタイミングであるクロノ運針タイミングが発生していることを示す。クロノ運針タイミングフラグ「リセット」は、クロノ運針タイミングが発生していないことを示す。
【0027】
また、記憶部71は、クロノグラフの動作状態を示す「クロノ状態フラグ」を記憶する。クロノ状態フラグは「クロノリセット状態」と、「クロノ停止状態」と、「クロノ計測状態」との3つの値のうち、いずれか1つの値が設定される。クロノ状態フラグ「クロノリセット状態」は、クロノグラフ指針が「0」の位置で停止していることを示す。クロノ状態フラグ「クロノ停止状態」は、クロノグラフ指針が「0」以外の位置で停止していること、すなわち、クロノグラフによる計時動作が一時停止していることを示す。クロノ状態フラグ「クロノ計測状態」は、時間を計測(計時)している状態を示す。
【0028】
また、記憶部71は、蓄電部13の充電状態を示す「充電状態フラグ」を記憶する。充電状態フラグは「過充電状態」と「通常状態」との2つの値のうち、いずれか1つの値が設定される。充電状態フラグ「過充電状態」は、蓄電部13は過充電状態であることを示す。充電状態フラグ「通常状態」は、蓄電部13は過充電状態ではない(通常状態である)ことを示す。
【0029】
次に、電子時計1の動作手順について説明する。図2は、本実施形態における電子時計1の動作手順を示したフローチャートである。
(ステップS101)処理部50は、時刻を示す指針を動かすタイミングを示す時刻運針タイミングフラグの値が「セット」であるか「リセット」であるかを判定する。時刻運針タイミングフラグの値は「セット」である(時刻運針タイミングが発生している)と処理部50が判定した場合にはステップS102の処理に進み、時刻運針タイミングフラグの値は「リセット」である(時刻運針タイミングが発生していない)と処理部50が判定した場合にはステップS103の処理に進む。
(ステップS102)処理部50は、時刻モーター駆動処理を実行する。その後、ステップS103の処理に進む。なお、時刻モーター駆動処理の処理手順については後述する。
【0030】
(ステップS103)処理部50は、クロノグラフ指針を動かすタイミングを示すクロノ運針タイミングフラグの値が「セット」であるか「リセット」であるかを判定する。クロノ運針タイミングフラグの値は「セット」である(クロノ運針タイミングが発生している)と処理部50が判定した場合にはステップS104の処理に進み、クロノ運針タイミングフラグの値は「リセット」である(クロノ運針タイミングが発生していない)と処理部50が判定した場合にはステップS105の処理に進む。
(ステップS104)処理部50は、クロノモーター駆動処理を実行する。その後、ステップS105の処理に進む。なお、クロノモーター駆動処理の処理手順については後述する。
【0031】
(ステップS105)処理部50は、スイッチA20が押下されたか否かを判定する。スイッチA20が押下された(スイッチA20の押下が発生している)と処理部50が判定した場合にはステップS106の処理に進み、スイッチA20が押下されていない(スイッチA20の押下が発生していない)と処理部50が判定した場合にはステップS107の処理に進む。
(ステップS106)処理部50は、スイッチA処理を実行する。その後、ステップS107の処理に進む。なお、スイッチA処理の処理手順については後述する。
【0032】
(ステップS107)処理部50は、スイッチB21が押下されたか否かを判定する。スイッチB21が押下された(スイッチB21の押下が発生している)と処理部50が判定した場合にはステップS108の処理に進み、スイッチB21が押下されていない(スイッチB21の押下が発生していない)と処理部50が判定した場合にはステップS109の処理に進む。
(ステップS108)処理部50は、スイッチB処理を実行する。その後、ステップS109の処理に進む。なお、スイッチB処理の処理手順については後述する。
【0033】
(ステップS109)処理部50は、蓄電部13の出力電圧を検出するタイミングであるか否かを判定する。蓄電部13の出力電圧を検出するタイミングである(電圧検出タイミングが発生している)と処理部50が判定した場合にはステップS110の処理に進み、蓄電部13の出力電圧を検出するタイミングではない(電圧検出タイミングが発生していない)と処理部50が判定した場合にはステップS111の処理に進む。例えば、10秒間隔で蓄電部13の出力電圧を検出する場合、10秒毎にステップS110の処理に進み、電圧検出処理を実行する。なお、蓄電部13の出力電圧を検出するタイミングは10秒間隔に限らず、任意の間隔にすることができる。
(ステップS110)処理部50は、電圧検出処理を実行する。その後、ステップS111の処理に進む。なお、電圧検出処理の処理手順については後述する。
【0034】
(ステップS111)処理部50は、時刻運針タイミング発生処理を実行する。その後、ステップS112の処理に進む。なお、時刻運針タイミング発生処理の処理手順については後述する。
(ステップS112)処理部50は、クロノ運針タイミング発生処理を実行する。その後、ステップS101の処理に戻る。なお、クロノ運針タイミング発生処理の処理手順については後述する。
【0035】
次に、時刻モーター駆動処理の処理手順について説明する。図3は、本実施形態における時刻モーター駆動処理の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS201)処理部50は、第1駆動回路61を制御し、時刻表示モーター63に対して主駆動パルスを出力させる。時刻表示モーター63は、主駆動パルスに基づいて回転し、時刻を示す指針を駆動する。なお、時刻表示モーター63の置かれた環境条件によっては、主駆動パルスでは時刻表示モーター63が回転できず、時刻を示す指針を駆動できない場合もある。その後、ステップS202の処理に進む。
【0036】
(ステップS202)処理部50は、ステップS201の処理で、時刻表示モーター63が回転したか否かを判定する。ステップS201の処理で時刻表示モーター63は回転したと処理部50が判定した場合には時刻モーター駆動処理を終了し、ステップS201の処理で時刻表示モーター63は回転していないと処理部50が判定した場合にはステップS203の処理に進む。
(ステップS203)処理部50は、第1駆動回路61を制御し、時刻表示モーター63に対して主駆動パルスよりも駆動エネルギーの高い補正駆動パルスを出力させる。時刻表示モーター63は、補正駆動パルスに基づいて回転し、時刻を示す指針を駆動する。その後、時刻モーター駆動処理を終了する。
【0037】
上述したステップS201〜ステップS203の処理を実行することで、電子時計1は、時刻を示す指針を駆動することができる。
【0038】
次に、クロノモーター駆動処理の処理手順について説明する。図4は、本実施形態におけるクロノモーター駆動処理の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS301)処理部50は、第2駆動回路62を制御し、クロノ表示モーター64に対して主駆動パルスを出力させる。クロノ表示モーター64は、主駆動パルスに基づいて回転し、クロノグラフ指針を駆動する。なお、クロノ表示モーター64の置かれた環境条件によっては、主駆動パルスではクロノ表示モーター64が回転できず、クロノグラフ指針を駆動できない場合もある。その後、ステップS302の処理に進む。
【0039】
(ステップS302)処理部50は、ステップS301の処理で、クロノ表示モーター64が回転したか否かを判定する。ステップS301の処理でクロノ表示モーター64は回転したと処理部50が判定した場合にはクロノモーター駆動処理を終了し、ステップS301の処理でクロノ表示モーター64は回転していないと処理部50が判定した場合にはステップS303の処理に進む。
(ステップS303)処理部50は、第2駆動回路62を制御し、クロノ表示モーター64に対して主駆動パルスよりも駆動エネルギーの高い補正駆動パルスを出力させる。クロノ表示モーター64は、補正駆動パルスに基づいて回転し、クロノグラフ指針を駆動する。その後、クロノモーター駆動処理を終了する。
【0040】
上述したステップS301〜ステップS303の処理を実行することで、電子時計1は、クロノグラフ指針を駆動することができる。
【0041】
次に、スイッチA処理の処理手順について説明する。図5は、本実施形態におけるスイッチA処理の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS401)処理部50は、クロノグラフの動作状態を示すクロノ状態フラグの値が、クロノグラフ指針が「0」の位置で停止していることを示す「クロノリセット状態」であるか否かを判定する。クロノ状態フラグの値は「クロノリセット状態」であると処理部50が判定した場合にはステップS402の処理に進み、それ以外の場合にはステップS405の処理に進む。
【0042】
(ステップS402)処理部50は、蓄電部13の充電状態を示す充電状態フラグの値が、過充電状態であることを示す「過充電状態」であるか否かを判定する。充電状態フラグの値は「過充電状態」であると処理部50が判定した場合にはステップS403の処理に進み、それ以外の場合にはステップS409の処理に進む。
(ステップS403)処理部50は、クロノカウンタを停止する。その後、ステップS404の処理に進む。
(ステップS404)処理部50は、クロノカウンタ値を「0」とする(リセットする)。その後、ステップS409の処理に進む。
【0043】
(ステップS405)処理部50は、クロノグラフの動作状態を示すクロノ状態フラグの値が、クロノグラフ指針が「0」以外の位置で停止していることを示す「クロノ停止状態」であるか否かを判定する。クロノ状態フラグの値は「クロノ停止状態」であると処理部50が判定した場合にはステップS406の処理に進み、それ以外の場合にはステップS411の処理に進む。
(ステップS406)処理部50は、蓄電部13の充電状態を示す充電状態フラグの値が、過充電状態であることを示す「過充電状態」であるか否かを判定する。充電状態フラグの値は「過充電状態」であると処理部50が判定した場合にはステップS407の処理に進み、それ以外の場合にはステップS408の処理に進む。
(ステップS407)処理部50は、クロノカウンタを停止する。その後、ステップS408の処理に進む。
(ステップS408)処理部50は、クロノカウンタ値を、記憶部71が記憶している一時記憶カウンタ値に置き換える(クロノカウンタ値を復帰する)。その後、ステップS409の処理に進む。
【0044】
(ステップS409)処理部50は、クロノグラフの動作状態を示すクロノ状態フラグの値を、時間を計測している状態を示す「クロノ計測状態」に設定する。その後、ステップS410の処理に進む。
(ステップS410)処理部50は、クロノカウンタを開始する。その後、スイッチA処理を終了する。
【0045】
(ステップS411)処理部50は、クロノカウンタ値を、一時記憶カウンタ値として記憶部71に記憶させる。その後、ステップS412の処理に進む。
(ステップS412)処理部50は、クロノグラフの動作状態を示すクロノ状態フラグの値を、クロノグラフ指針が「0」以外の位置で停止していることを示す「クロノ停止状態」に設定する。その後、ステップS413の処理に進む。
(ステップS413)処理部50は、蓄電部13の充電状態を示す充電状態フラグの値が、過充電状態であることを示す「過充電状態」であるか否かを判定する。充電状態フラグの値は「過充電状態」であると処理部50が判定した場合にはスイッチA処理を終了し、それ以外の場合にはステップS414の処理に進む。
(ステップS414)処理部50は、クロノカウンタを停止する。その後、スイッチA処理を終了する。
【0046】
上述したステップS401〜ステップS414の処理を実行することで、電子時計1は、クロノグラフによる計時動作の開始および一時停止を行うことができる。
【0047】
次に、スイッチB処理の処理手順について説明する。図6は、本実施形態におけるスイッチB処理の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS501)処理部50は、クロノグラフの動作状態を示すクロノ状態フラグの値を、クロノグラフ指針が「0」の位置で停止していることを示す「クロノリセット状態」に設定する。その後、ステップS502の処理に進む。
【0048】
(ステップS502)処理部50は、蓄電部13の充電状態を示す充電状態フラグの値が、過充電状態であることを示す「過充電状態」であるか否かを判定する。充電状態フラグの値は「過充電状態」であると処理部50が判定した場合にはスイッチB処理を終了し、それ以外の場合にはステップS503の処理に進む。
(ステップS503)処理部50は、クロノカウンタを停止する。その後、ステップS504の処理に進む。
(ステップS504)処理部50は、クロノカウンタ値を「0」とする(リセットする)。その後、スイッチB処理を終了する。
【0049】
上述したステップS501〜ステップS504の処理を実行することで、電子時計1は、クロノグラフによる計時動作を停止させ、リセットすることができる。
【0050】
次に、電圧検出処理の処理手順について説明する。図7は、本実施形態における電圧検出処理の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS601)処理部50は、電圧検出部40に蓄電部13の出力電圧値を検出させる。電圧検出部40は、蓄電部13の出力電圧値を検出し、検出結果を処理部50に対して入力する。処理部50は、電圧検出部40が検出した蓄電部13の出力電圧値が、所定の閾値以上であるか否かを判定する。電圧検出部40が検出した蓄電部13の出力電圧値は所定の閾値以上であると処理部50が判定した場合にはステップS602の処理に進み、それ以外の場合にはステップS604の処理に進む。
【0051】
なお、所定の閾値は、蓄電部13が過充電状態であるか否かを判定できる値であればよい。例えば、通常状態では1.5Vの電圧を出力する蓄電部13の場合、所定の閾値を2.5Vとする。この場合、処理部50は、電圧検出部40が検出した蓄電部13の出力電圧値が2.5V以上であれば蓄電部13が過充電状態であると判定し、電圧検出部40が検出した蓄電部13の出力電圧値が2.5V未満であれば蓄電部13が通常状態であると判定する。
【0052】
(ステップS602)処理部50は、蓄電部13の充電状態を示す充電状態フラグの値を、過充電状態であることを示す「過充電状態」に設定する。その後、ステップS603の処理に進む。
(ステップS603)処理部50は、クロノカウンタを開始する。その後、電圧検出処理を終了する。
(ステップS604)処理部50は、蓄電部13の充電状態を示す充電状態フラグの値を、通常状態であること(過充電状態ではないこと)を示す「通常状態」に設定する。その後、ステップS605の処理に進む。
【0053】
(ステップS605)処理部50は、クロノグラフの動作状態を示すクロノ状態フラグの値が、クロノグラフ指針が「0」の位置で停止していることを示す「クロノリセット状態」であるか否かを判定する。クロノ状態フラグの値は「クロノリセット状態」であると処理部50が判定した場合にはステップS607の処理に進み、それ以外の場合にはステップS606の処理に進む。
(ステップS606)処理部50は、クロノグラフの動作状態を示すクロノ状態フラグの値が、クロノグラフ指針が「0」以外の位置で停止していることを示す「クロノ停止状態」であるか否かを判定する。クロノ状態フラグの値は「クロノ停止状態」であると処理部50が判定した場合にはステップS607の処理に進み、それ以外の場合には電圧検出処理を終了する。
【0054】
(ステップS607)処理部50は、クロノカウンタを停止する。その後、ステップS608の処理に進む。
(ステップS608)処理部50は、クロノカウンタ値を「0」とする(リセットする)。その後、電圧検出処理を終了する。
【0055】
上述したステップS601〜ステップS608の処理を実行することで、電子時計1は、蓄電部13が過充電状態となった場合にクロノカウンタを開始させる。これにより、第2駆動回路62を動作させて駆動パルス(主駆動パルス、補正駆動パルス)を出力させることで蓄電部13が蓄電している電力を消費させ、過充電を防止させることができる。
【0056】
次に、時刻運針タイミング発生処理の処理手順について説明する。図8は、本実施形態における時刻運針タイミング発生処理の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS701)処理部50は、分周回路31から入力された基準クロック信号に基づいて、時刻カウンタを加算する。その後、ステップS702の処理に進む。
(ステップS702)処理部50は、時刻カウンタの値が、時刻を示す指針を動かすタイミングを示す値となった場合(時刻カウンタキャリが発生した場合)、ステップS703の処理に進み、それ以外の場合にはステップS704の処理に進む。
【0057】
(ステップS703)処理部50は、時刻を示す指針を動かすタイミングを示す時刻運針タイミングフラグの値を「セット」に設定する。その後、時刻運針タイミング発生処理を終了する。
(ステップS704)処理部50は、時刻を示す指針を動かすタイミングではないため、時刻運針タイミングフラグの値を「リセット」に設定する。その後、時刻運針タイミング発生処理を終了する。
【0058】
上述したステップS701〜ステップS704の処理を実行することで、電子時計1は、時刻運針タイミングフラグを設定することができる。
【0059】
次に、クロノ運針タイミング発生処理の処理手順について説明する。図9は、本実施形態におけるクロノ運針タイミング発生処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0060】
(ステップS801)処理部50は、蓄電部13の充電状態を示す充電状態フラグの値が、過充電状態であることを示す「過充電状態」であるか否かを判定する。充電状態フラグの値は「過充電状態」であると処理部50が判定した場合にはステップS803の処理に進み、それ以外の場合にはステップS802の処理に進む。
(ステップS802)処理部50は、クロノグラフの動作状態を示すクロノ状態フラグの値が、時間を計測している状態を示す「クロノ計測状態」であるか否かを判定する。クロノ状態フラグの値は「クロノ計測状態」であると処理部50が判定した場合にはステップS803の処理に進み、それ以外の場合にはクロノ運針タイミング発生処理を終了する。
【0061】
(ステップS803)処理部50は、分周回路31から入力された基準クロック信号に基づいて、クロノカウンタを加算する。その後、ステップS804の処理に進む。
(ステップS804)処理部50は、クロノカウンタの値が、クロノグラフ指針を動かすタイミングを示す値となった場合(クロノカウンタキャリが発生した場合)、ステップS805の処理に進み、それ以外の場合にはステップS806の処理に進む。
【0062】
(ステップS805)処理部50は、クロノグラフ指針を動かすタイミングを示すクロノ運針タイミングフラグの値を「セット」に設定する。その後、クロノ運針タイミング発生処理を終了する。
(ステップS806)処理部50は、クロノグラフ指針を動かすタイミングではないため、クロノ運針タイミングフラグの値を「リセット」に設定する。その後、クロノ運針タイミング発生処理を終了する。
【0063】
上述したステップS801〜ステップS806の処理を実行することで、電子時計1は、クロノ運針タイミングフラグを設定することができる。
【0064】
上述したとおり、本実施形態によれば、電子時計1のクロノグラフの帰零構造は機構によるものであり、クロノグラフによる計時動作が行われていない場合、クロノグラフ指針は機械的に固定されている。また、処理部50は、蓄電部13が過充電状態である場合、クロノグラフによる計時動作が行われていない場合においても、第2駆動回路62を動作させて駆動パルス(主駆動パルス、補正駆動パルス)を出力させることで蓄電部13が蓄電している電力を消費させて過充電を防止する。このとき、第2駆動回路62が駆動パルスを出力するためクロノ表示モーター64は回転しようとするが、クロノグラフ指針は機械的に固定されているため、クロノグラフ指針は駆動しない。従って、本実施形態における電子時計1は、運針していない場合においても、蓄電部13の性能を劣化させることなく、過充電を防止することができる。
【0065】
また、クロノグラフによる計時動作を開始した後に一時停止した場合には、クロノカウンタの値も一時停止した際の値とする必要がある。しかしながら、過充電を防止するために第2駆動回路62を動作させて駆動パルスを出力させるためには、クロノカウンタを停止せずに動かし続ける必要がある。従って、クロノグラフによる計時動作を一時停止しているにも関わらずクロノカウンタの値は加算されてしまう。本実施形態では、過充電を防止するために第2駆動回路62を動作させて駆動パルスを出力させる前に、一時停止した際のクロノカウンタ値を記憶部71に一時記憶し、クロノグラフによる計時動作を再開する場合には、一時記憶した値をクロノカウンタ値として用いるため、クロノグラフによる計時動作を再開した場合においても、計時動作を正しく再開することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、クロノモーター駆動処理の処理手順である。電子時計1の構成およびクロノモーター駆動処理以外の処理については、第1の実施形態と同様である。
【0067】
図10は、本実施形態におけるクロノモーター駆動処理の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS901)処理部50は、クロノグラフの動作状態を示すクロノ状態フラグの値が、クロノグラフ指針が「0」の位置で停止していることを示す「クロノリセット状態」またはクロノグラフ指針が「0」以外の位置で停止していることを示す「クロノ停止状態」のどちらかの状態であるか否かを判定する。クロノ状態フラグの値は「クロノリセット状態」または「クロノ停止状態」であると処理部50が判定した場合にはステップS903の処理に進み、それ以外の場合にはステップS902の処理に進む。
【0068】
(ステップS902)処理部50は、主駆動パルスを「第1主駆動パルス」と設定し、補正駆動パルスを「第1補正駆動パルス」と設定する。第1主駆動パルスと第1補正駆動パルスとを第1駆動パルスと呼ぶ。その後、ステップS904の処理に進む。なお、第1主駆動パルスは、第1の実施形態における主駆動パルスと同様の駆動エネルギーのパルスである。また、第1補正駆動パルスは、第1の実施形態における補正駆動パルスと同様の駆動エネルギーのパルスである。
【0069】
(ステップS903)処理部50は、主駆動パルスを「第2主駆動パルス」と設定し、補正駆動パルスを「第2補正駆動パルス」と設定する。第2主駆動パルスと第2補正駆動パルスとを第2駆動パルスと呼ぶ。その後、ステップS904の処理に進む。なお、第2主駆動パルスは、第1主駆動パルスよりも駆動エネルギーの高いパルスである。すなわち、第1主駆動パルスを出力する際の消費電力よりも、第2主駆動パルスを出力する際の消費電力の方が大きい。なお、第2主駆動パルスは、第1主駆動パルスよりも駆動エネルギーの高いパルスであればどのようなパルスでもよい。また、第2補正駆動パルスは、第1補正駆動パルスよりも駆動エネルギーの高いパルスである。すなわち、第1補正駆動パルスを出力する際の消費電力よりも、第2補正駆動パルスを出力する際の消費電力の方が大きい。なお、第2補正駆動パルスは、第1補正駆動パルスよりも駆動エネルギーの高いパルスであればどのようなパルスでもよい。
【0070】
(ステップS904)処理部50は、第2駆動回路62を制御し、クロノ表示モーター64に対して、設定されている主駆動パルスを出力させる。具体的には、主駆動パルスとして「第1主駆動パルス」が設定されている場合には、処理部50は、第2駆動回路62を制御し、クロノ表示モーター64に対して、第1主駆動パルスを出力させる。また、主駆動パルスとして「第2主駆動パルス」が設定されている場合には、処理部50は、第2駆動回路62を制御し、クロノ表示モーター64に対して、第2主駆動パルスを出力させる。クロノ表示モーター64は、第1主駆動パルスまたは第2主駆動パルスに基づいて回転し、クロノグラフ指針を駆動する。なお、クロノ表示モーター64の置かれた環境条件によっては、主駆動パルスではクロノ表示モーター64が回転できず、クロノグラフ指針を駆動できない場合もある。その後、ステップS905の処理に進む。
【0071】
(ステップS905)処理部50は、ステップS904の処理で、クロノ表示モーター64が回転したか否かを判定する。ステップS904の処理でクロノ表示モーター64は回転したと処理部50が判定した場合にはクロノモーター駆動処理を終了し、ステップS904の処理でクロノ表示モーター64は回転していないと処理部50が判定した場合にはステップS906の処理に進む。
(ステップS906)処理部50は、第2駆動回路62を制御し、クロノ表示モーター64に対して、設定されている補正駆動パルスを出力させる。具体的には、補正駆動パルスとして「第1補正駆動パルス」が設定されている場合には、処理部50は、第2駆動回路62を制御し、クロノ表示モーター64に対して、第1補正駆動パルスを出力させる。また、補正駆動パルスとして「第2補正駆動パルス」が設定されている場合には、処理部50は、第2駆動回路62を制御し、クロノ表示モーター64に対して、第2補正駆動パルスを出力させる。クロノ表示モーター64は、第1補正駆動パルスまたは第2補正駆動パルスに基づいて回転し、クロノグラフ指針を駆動する。その後、クロノモーター駆動処理を終了する。
【0072】
上述したステップS901〜ステップS906の処理を実行することで、クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針との固定が解除されている場合、電子時計1は、第1主駆動パルスまたは第1補正駆動パルスに基づいてクロノグラフ指針を駆動することができる。また、上述したステップS901〜ステップS906の処理を実行することで、クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針とが固定されている場合、電子時計1は、クロノグラフ指針を駆動することなく、第1主駆動パルスよりも駆動エネルギーの高い第2主駆動パルスと、第1補正駆動パルスよりも駆動エネルギーの高い第2補正駆動パルスとを出力することができる。
【0073】
上述した通り、本実施形態によれば、電子時計1のクロノグラフの帰零構造は機構によるものであり、クロノグラフによる計時動作が行われていない場合、クロノグラフ指針は機械的に固定されている。また、処理部50は、クロノグラフによる計時動作が行われていない場合、主駆動パルスと補正駆動パルスとを、より駆動エネルギーの高いパルスである「第2主駆動パルス」および「第2補正駆動パルス」と設定する。そして、処理部50は、蓄電部13が過充電状態である場合、クロノグラフによる計時動作が行われていない場合においても、第2駆動回路62を動作させて第2主駆動パルスおよび第2補正駆動パルスを出力させることで蓄電部13が蓄電している電力を消費させて過充電を防止する。このとき、第2駆動回路62が、より駆動エネルギーの高いパルスである第2主駆動パルスおよび第2補正駆動パルスを出力するためクロノ表示モーター64は回転しようとするが、クロノグラフ指針は機械的に固定されているため、クロノグラフ指針は駆動しない。従って、本実施形態における電子時計1は、運針していない場合においても、蓄電部13の性能を劣化させることなく、過充電を防止することができる。
【0074】
なお、上述した電子時計1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0075】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0076】
以上、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述した実施形態では、電子時計1は、クロノグラフ分針と、クロノグラフ秒針と、クロノグラフ1/10秒針とを備えたクロノグラフとしたが、これに限らず、上述した例と異なるクロノグラフ指針を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1・・・電子時計、10・・・電源部、11・・・発電部、12・・・逆流防止部、13・・・蓄電部、20・・・スイッチA、21・・・スイッチB、22・・・リセットボタン、30・・・発振器、31・・・分周回路、40・・・電圧検出部、50・・・処理部、61・・・第1駆動回路、62・・・第2駆動回路、63・・・時刻表示モーター、64・・・クロノ表示モーター、70・・・制御ソフトウェア記憶部、71・・・記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機構による帰零構造を備えたクロノグラフである電子時計であって、
受光面に照射される光に応じた電力を発電する発電部と、
前記発電部が発電した電力を蓄電し、当該蓄電した電力を出力する蓄電部と、
前記蓄電部が出力する電力の電圧を検出する電圧検出部と、
計時を行う計時部と、
前記計時部が計時した時間を指し示し、前記計時の停止中は前記機構によって固定されるクロノグラフ指針と、
前記蓄電部が出力する電力を用いて前記クロノグラフ指針を駆動する駆動回路と、
前記蓄電部が出力する電力の電圧が所定の閾値以上である場合、前記駆動回路を駆動させる制御部と、
を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記駆動回路は、前記蓄電部が出力する電力を用いて第1駆動パルスを出力し、前記クロノグラフ指針を駆動させ、
前記制御部は、前記計時の停止中に前記蓄電部が出力する電力の電圧が所定の閾値以上である場合、前記第1駆動パルスよりも駆動エネルギーが大きい第2駆動パルスを前記駆動回路に出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記計時部は、一定時間毎に値を加算するカウンタを用いて計時を行い、
前記駆動回路は、前記カウンタ値が一定値増加する毎に、前記クロノグラフ指針を駆動させ、
前記制御部は、前記蓄電部が出力する電力の電圧が所定の閾値以上である場合、前記カウンタを動作させて前記駆動回路を駆動させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記計時部は、前記カウンタが動作している場合に前記計時を開始する場合、前記カウンタ値をリセットした後に前記計時を開始する
ことを特徴とする請求項3に記載の電子時計。
【請求項5】
前記計時部が用いる値を記憶する記憶部
を備え、
前記計時部は、前記計時を一時停止する際に前記カウンタ値を前記記憶部に記憶させ、当該一時停止した計時を再開する際に、前記記憶部に記憶させた前記カウンタ値を用いて当該計時を再開する
ことを特徴とする請求項3または請求項4のいずれか1項に記載の電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−237739(P2012−237739A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−40952(P2012−40952)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】