説明

電子楽器および波形表示プログラム

【課題】比較的低速な通信手段を用いても短時間で通信を行うことにより波形の表示を行うことができる電子楽器または波形表示プログラムを提供する。
【解決手段】表示範囲情報の時間軸の表示倍率が、1であるか1以下であるかを判断する(S6)。即ち、表示の最小単位であるドットに対して波形のサンプルが単数サンプルに対応するか、複数サンプルに対応するかを判断する。ドットに対して波形の複数サンプルが対応する場合(S6:Yes)は、複数のサンプルの振幅値の最大値と最小値とで表示データ17aを形成する(S7)。
一方、S6の判断処理において、表示の最小単位であるドットに対して波形のサンプルが単数のサンプルに対応する場合(S6:No)は、そのサンプルの振幅値で表示データ17aを形成する(S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子楽器および波形表示プログラムに関し、特に、電子楽器と、その電子楽器に記憶されている波形を表示する波形表示装置により実行される波形表示プログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、楽音波形を記憶し、その楽音波形を読み出すことにより所望の楽音を形成する電子楽器が知られている。このような、電子楽器では、録音した楽音の波形を確認したり、楽音波形を編集するために楽音波形を表示する表示器が備えられている。
【0003】
特開2002−116758号公報(特許文献1)に開示された発明では、ハードディスクに記憶された波形を編集し、表示器に表示することができる。
【特許文献1】特開2002−116758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている波形編集装置は、パーソナルコンピュータにより構成され、ハードディスクに記憶されている波形を表示すると共に、その波形を編集するものである。したがって、波形が表示される画面は、パーソナルコンピュータが有する大型の表示器に表示される。一方、電子楽器は、持ち運びができるとともに、小型化、軽量化および低価格化が要求される。特にラックに収納されるタイプでは、大型の表示器を備えることは困難である。よって、録音した波形を確認したり、編集したりする場合には、大型の表示器を備えた表示装置にMIDI(Musical Instrument Digital Interface)などのインターフェースを介して波形を送信して表示することも行われているが、送信にはかなりの時間を要するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、比較的低速な通信手段を用いても短時間で通信を行うことにより波形の表示を行うことができる電子楽器または波形表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載の電子楽器は、楽音波形を記憶する波形記憶手段と、その波形記憶手段に記憶されている楽音波形に基づいて楽音を生成する楽音生成手段とを備えたものであって、前記波形記憶手段に記憶されている楽音波形の時間軸における表示範囲を特定する表示範囲情報を送信する表示範囲情報送信手段と、その表示範囲情報送信手段により送信された表示範囲情報に応じて前記電子楽器から送信される表示データを受信する表示データ受信手段と、その表示データ受信手段により受信された表示データに基づいて時間軸に対応して波形の振幅を表示する波形表示装置表示手段とを備えた波形表示装置と通信を行う通信手段と、その通信手段を介して前記波形表示装置から送信された表示範囲情報を受信する表示範囲情報受信手段と、その表示範囲情報受信手段により受信した表示範囲情報が示す表示範囲に対応する前記波形記憶手段に記憶された楽音波形の時間軸の範囲に対応する表示データを形成する表示データ形成手段と、その表示データ形成手段により形成された表示データを前記通信手段を介して送信する表示データ送信手段とを備えている。
【0007】
請求項2記載の電子楽器は、請求項1記載の電子楽器において、前記波形記憶手段は、サンプル毎の振幅値を記憶するものであって、前記表示データ形成手段は、前記表示範囲情報受信手段により受信した表示範囲情報に基づいて前記波形表示装置により表示される表示の最小単位に対応するサンプル数が複数であるか単数であるかを判断する判断手段と、その判断手段により、表示の最小単位に対応するサンプル数が複数であると判断された場合は、複数のサンプルの振幅値の最大値と最小値の少なくとも1つを表示データとする最大最小表示データ形成手段と、前記判断手段により表示の最小単位に対応するサンプル数が単数であると判断された場合は、前記最大最小表示データ形成手段により形成される表示データの精度より高い精度のサンプルの振幅値を表示データとする振幅表示データ形成手段とを備えている。
【0008】
請求項3記載の電子楽器は、請求項1または2記載の電子楽器において、前記波形表示装置は、前記波形記憶手段に記憶される楽音波形の編集を行う時間軸における範囲を示す編集範囲情報と、その編集範囲情報により特定される範囲の楽音波形に対して行う編集の種類を示す編集種類情報とを送信する編集情報送信手段を有するものであり、前記電子楽器は、前記編集情報送信手段により送信された編集範囲情報と、編集種類情報とを受信する編集情報受信手段と、前記波形記憶手段に記憶された楽音波形の前記編集情報受信手段により受信した編集範囲情報に対応する範囲の楽音波形に対して編集種類情報に応じた編集を行う編集手段を備え、前記表示データ形成手段は、前記編集手段により編集された楽音波形の表示データを形成するものである。
【0009】
請求項4記載の電子楽器は、請求項1から3のいずれかに記載の電子楽器において、前記波形表示装置が有する波形表示装置表示手段より小さい、前記表示データ形成手段により形成された表示データに基づいて波形を表示する電子楽器表示手段を備えている。
【0010】
請求項5記載の波形表示プログラムは、楽音波形を記憶する波形記憶手段とその波形記憶手段に記憶されている楽音波形に基づいて楽音を生成する楽音生成手段とを備えた電子楽器と通信を行う通信手段と、その通信手段を介して前記電子楽器から受信した表示データに基づいて楽音波形を表示する波形表示装置表示手段とを備えた波形表示装置において実行されるもであって、前記波形記憶手段に記憶されている楽音波形の前記波形表示装置表示手段に表示する時間軸の範囲を示す表示範囲情報を設定する表示範囲設定ステップと、その表示範囲設定ステップにより設定されている表示範囲情報が変更された場合に前記通信手段を介してその変更された表示範囲情報を前記電子楽器へ送信する表示範囲情報送信ステップと、その表示範囲情報送信ステップにより送信された表示範囲情報に応じて前記電子楽器から送信される表示データを前記通信手段を介して受信する表示データ受信ステップと、その表示データ受信ステップにより受信された表示データに基づいて時間軸に対応して波形の振幅を前記波形表示装置表示手段に表示する波形表示ステップとを備えている。
【0011】
請求項6記載の波形表示プログラムは、請求項5記載の波形表示プログラムにおいて、
前記電子楽器は、波形の編集を行う時間軸の範囲を示す編集範囲情報と、編集の種類を示す編集種類情報とを受信する編集情報受信手段と、前記波形記憶手段に記憶された楽音波形の前記編集情報受信手段により受信された編集範囲情報に対応する範囲の楽音波形に対して編集種類情報に応じた編集を行う編集手段とを備えるものであって、前記波形表示ステップにより表示されている波形の編集を行う時間軸における範囲を示す編集範囲情報を設定する編集範囲設定ステップと、その編集範囲設定ステップにより設定された編集範囲の楽音波形に対して行う編集の種類を示す編集種類情報を設定する編集種類設定ステップと、前記編集範囲設定ステップにより設定された編集範囲編情報と、前記編集種類設定ステップにより設定された編集種類情報とを送信する編集情報送信ステップとを備えている。
【0012】
請求項7記載の波形表示プログラムは、請求項5または6記載の波形表示プログラムにおいて、前記通信手段を介して前記表示データ受信ステップにより受信された表示データを記憶する表示データ記憶ステップと、前記波形表示装置表示手段に表示される波形の振幅倍率を設定する振幅倍率設定ステップとを有し、前記波形表示ステップは、前記振幅倍率設定ステップにより設定されている振幅倍率が変更された場合に、その振幅倍率に応じて前記表示データ記憶ステップにより記憶された表示データを変更し、前記波形表示装置表示手段に波形を表示するものである。
【0013】
請求項8記載の波形表示プログラムは、請求項5から7のいずれかに記載の波形表示プログラムにおいて、前記電子楽器は、前記波形表示装置が有する前記波形表示装置表示手段より小さい電子楽器表示手段を有し、前記波形表示ステップは、前記通信手段を介して前記表示データ受信ステップにより受信した表示データに基づいて時間軸に対応して波形の振幅を前記波形表示装置が有する前記波形表示装置表示手段に表示するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の電子楽器によれば、通信手段は、時間軸における表示範囲を特定する表示範囲情報を送信する表示範囲情報送信手段と、表示データを受信する表示データ受信手段と、その表示データ受信手段により受信された表示データに基づいて時間軸に対応して波形の振幅を表示する波形表示装置表示手段とを備えた波形表示装置と通信を行い、表示範囲情報受信手段は、通信手段を介して波形表示装置から表示範囲情報を受信し、表示データ形成手段は、表示範囲情報受信手段が波形表示装置から受信した表示範囲情報が示す表示範囲に対応する波形記憶手段に記憶された楽音波形の時間軸の範囲の表示データを形成し、表示データ送信手段は、その表示データ形成手段により形成された表示データを通信手段を介して送信するので、送信されるデータの量は、波形の全てのサンプルの振幅値を送信する場合に比べて少なく、短時間で通信を行うことができるという効果がある。よって、波形が表示されるまで使用者を待たせる時間が短く、使い勝手が良い。
【0015】
請求項2記載の電子楽器によれば、請求項1記載の電子楽器の奏する効果に加え、波形記憶手段は、サンプル毎の振幅値を記憶するものであって、表示データ形成手段は、表示範囲情報受信手段により受信された表示範囲情報に基づいて波形表示装置により表示される表示の最小単位に対応するサンプル数が複数であるか単数であるかを判断する判断手段と、その判断手段により、表示の最小単位に対応するサンプル数が複数であると判断された場合は、複数のサンプルの振幅値の最大値と最小値の少なくとも1つを表示データとする最大最小表示データ形成手段と、判断手段により表示の最小単位に対応するサンプル数が単数であると判断された場合は、最大最小表示データ形成手段により形成される表示データの精度より高い精度のサンプルの振幅値を表示データとする振幅表示データ形成手段とを備えているので、表示の最小単位に対応するサンプル数が単数である場合には、精度の高い表示を行うことができるという効果がある。即ち、表示の最小単位に対応するサンプル数が複数である場合には、時間軸を圧縮した表示であるので、振幅値において精度の高い表示は要求されないが、表示の最小単位に対応するサンプル数が単数の場合には、時間軸は、圧縮されないので精度の高い表示が要求される。したがって、表示の態様に適合した精度の表示データが送信されるということになる。
【0016】
請求項3記載の電子楽器によれば、請求項1または2記載の電子楽器の奏する効果に加え、波形表示装置は、波形記憶手段に記憶される楽音波形の編集を行う時間軸における範囲を示す編集範囲情報と、その編集範囲情報により特定される範囲の楽音波形に対して行う編集の種類を示す編集種類情報とを送信する編集情報送信手段とを有するものであり、電子楽器は、編集情報送信手段により送信された編集範囲情報と、編集種類情報とを受信する編集情報受信手段と、波形記憶手段に記憶された楽音波形の編集情報受信手段により受信した編集範囲情報に対応する範囲の楽音波形に対して編集種類情報に応じた編集を行う編集手段とを備えているので、波形表示装置において表示されている波形を確認して編集を行う時間軸の範囲と、その範囲について編集を行う編集の種類を設定することができるという効果がある。
【0017】
請求項4記載の電子楽器によれば、請求項1から3のいずれかに記載の電子楽器の奏する効果に加え、波形表示装置が有する波形表示装置表示手段より小さい、表示データ形成手段により形成された表示データに基づいて波形を表示する電子楽器表示手段を備えているので、電子楽器を小型で軽量で安価に形成できると共に、波形表示装置には、大きく波形を表示できるので、精度良く波形を確認することができると共に、時間軸における表示範囲または編集範囲を設定する場合には、操作が容易であるという効果がある。
【0018】
請求項5記載の波形表示プログラムによれば、波形記憶手段に記憶されている楽音波形の波形表示装置表示手段に表示する時間軸における範囲を示す表示範囲情報を設定する表示範囲設定ステップと、その表示範囲設定ステップによ設定されている表示範囲情報が変更された場合に通信手段を介してその変更された表示範囲情報を電子楽器へ送信する表示範囲情報送信ステップと、その表示範囲情報送信ステップにより送信された表示範囲情報に応じて電子楽器から送信される表示データを通信手段を介して受信する表示データ受信ステップと、その表示データ受信ステップにより受信された表示データに基づいて時間軸に対応して波形の振幅を波形表示装置表示手段に表示する波形表示ステップとを備えているので、電子楽器から送信されるデータの量は、波形の全てのサンプルの振幅値を送信する場合に比べて少なく、短時間で通信を行うことができるという効果がある。
【0019】
請求項6記載の波形表示プログラムによれば、請求項5記載の波形表示プログラムの奏する効果に加え、波形表示ステップにより表示されている波形の編集を行う時間軸における範囲を示す編集範囲情報を設定する編集範囲設定ステップと、その編集範囲設定ステップにより設定された編集範囲の楽音波形に対して行う編集の種類を設定する編集種類設定ステップと、編集範囲設定ステップにより設定された編集範囲情報と、編集種類設定ステップにより設定された編集種類情報とを送信する編集情報送信ステップとを備えているので、波形表示装置において表示されている波形を確認して編集を行う時間軸における範囲と、その範囲の楽音波形に対して行う編集の種類を設定することができる。また、編集された楽音波形を確認することができるという効果がある。
【0020】
請求項7記載の波形表示プログラムによれば、請求項5または6記載の波形表示プログラムの奏する効果に加え、通信手段を介して表示データ受信ステップにより受信された表示データを記憶する表示データ記憶ステップと、波形表示装置表示手段に表示される波形の振幅倍率を設定する振幅倍率設定ステップとを有し、波形表示ステップは、前記振幅倍率設定ステップにより振幅倍率が変更された場合に、表示データ記憶ステップにより記憶された表示データを変更し、波形表示装置表示手段に波形を表示するものであるので、時間軸における表示の範囲が変更された場合に比べ、電子楽器との通信の必要がないので、速く表示を変更することができるという効果がある。
【0021】
請求項8記載の波形表示プログラムによれば、請求項5から7のいずれかに記載の波形表示プログラムの奏する効果に加え、電子楽器は、波形表示装置が有する波形表示装置表示手段より小さい電子楽器表示手段を有し、波形表示ステップは、通信手段を介して表示データ受信ステップにより受信された表示データに基づいて時間軸に対応して波形の振幅を前記波形表示装置が有する波形表示装置表示手段に表示するので、電子楽器を小型で軽量で安価に形成できると共に、波形表示装置には、大きく波形を表示できるので、精度良く波形を確認することができると共に、時間軸における表示範囲または編集範囲を設定する場合には、操作が容易であるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である電子楽器1とその電子楽器1と通信を行う通信経路により接続された波形表示装置11との電気的構成を示したブロック図である。
【0023】
電子楽器1は、CPU2と、ROM3と、RAM4と、操作子5と、表示器6と、フラッシュメモリ7と、音源8と、MIDIインターフェース9とを備え、これらはバスラインにより相互に接続して構成される。CPU2は演算装置であり、ROM3には、このCPU2により実行される各種の制御プログラムやその実行の際に参照される固定値データが記憶される。RAM4は、ROM3等に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータやプログラム等を一時的に記憶するためのメモリであり、書き換え可能に構成される。
【0024】
操作子5は、各種ボリュームやスイッチなどを有し、ユーザにより操作されることにより、楽音のパラメータなどが変更される。また、フラッシュメモリ7に記憶されている楽音波形を編集するための操作子を有している。
【0025】
表示器6は、比較的小型のLCDにより構成される表示器であって、パラメータの値やフラッシュメモリ7に記憶されている楽音波形などが表示される。
【0026】
フラッシュメモリ7は、書き換え可能であって電源が遮断されても記憶内容が消失されないメモリであり、楽音波形データが記憶されている。
【0027】
音源8は、鍵盤装置10から入力されたMIDI情報に基づいてフラッシュメモリ7に記憶された波形データを読出すことによりオーディオ信号を生成し、これをスピーカへ出力するものである。MIDIインターフェース9は、USB(Universal Serial Bus)を利用し、MIDI規格により定められたMIDI情報等の送受信を鍵盤装置10および波形表示装置11と行うものである。
【0028】
鍵盤装置10は、複数の白鍵および黒鍵を有しユーザが押鍵、離鍵することにより音高および押鍵速度、離鍵速度を出力する。
【0029】
一方、波形表示装置11は、パーソナルコンピュータにより構成され、CPU12と、ROM13と、RAM14と、操作子15と、表示器16と、ハードディスク17と、MIDIインターフェース19と、CD−ROMドライブ18とを備え、これらはバスラインにより相互に接続して構成される。
【0030】
CPU12は演算装置であり、ROM13には、このCPU12により実行される各種の制御プログラムやその実行の際に参照される固定値データが記憶される。RAM14は、ROM13等に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータやプログラム等を一時的に記憶するためのメモリであり、書き換え可能に構成される。
【0031】
操作子15は、数値や文字の入力操作を行うためのキーボードと、ポインティングデバイスとしてのマウスとを備え、表示器16は、CRTやLCD等により構成される比較的大型(例えば、15インチ型)の表示器である。
【0032】
ハードディスク17は、波形編集などを行うアプリケーションプログラムがCD−ROMドライブ18を介して供給されて記憶される。アプリケーションプログラムは、ハードディスク17からCPU12によりRAM14内へ読み出されて実行される。また、電子楽器1からMIDIインターフェース19を介して受信した表示データ17aを記憶する。MIDIインターフェース19は、電子楽器1のMIDIインターフェース9と同様に、USBを利用しMIDI情報等の送受信を行うものである。
【0033】
次に、図2を参照して、波形表示装置11の表示器16に表示される波形を編集するための表示画面20について説明する。この表示画面は、波形表示プログラムを起動することにより波形表示装置11の表示器16に表示される画面である。電子楽器1の表示器6にも同様な画面が表示されるが、表示器6は、小型であるために波形を正確に認識するのが困難であり、大型の表示器16に大きく表示するものである。
【0034】
表示画面20の上部には、波形を縮小して波形の先頭から波形の全体を表示する全体表示画面21が表示され、その全体表示画面21の下部に波形の一部を拡大して表示する拡大表示画面23が表示されている。全体表示画面21には、拡大表示画面23に表示されている部分を示す拡大表示範囲22が表示されている。なお、図2示されている楽音波形は、ステレオ波形を示すもので、各画面の情報に、左チャネルの波形(L)と、下方に右チャネルの波形(R)とが表示されている。これらの波形は、いずれも横軸に時間を、縦軸に振幅を示すものである。
【0035】
拡大表示画面23には、拡大表示画面23の表示形態を変更する各種アイコンが表示されている。左方向を指す先頭方向アイコン24をマウスでクリックすると、拡大表示画面23に表示される表示範囲22が、波形の先頭方向へ移動される。同様にスクロールボックス25をマウスで左方向へドラッグすると、表示範囲22が、波形の先頭方向へ移動され、逆に右方向へドラッグすると、波形の終端方向へ移動される。同様に、右方向を指す終端方向アイコン26をマウスでクリックすると、拡大表示画面23に表示される表示範囲22が、波形の終端方向へ移動される。
【0036】
時間軸(横軸)のスクロールバー上に表示されているマイナスを表す時間軸マイナスアイコン27をマウスでクリックすると、時間軸の表示倍率が小さくなり、時間軸が縮小表示され、時間軸のスクロールバー上に表示されているプラスを表す時間軸プラスアイコン28をマウスでクリックすると、時間軸の表示倍率が大きくなり、時間軸が拡大表示される。
【0037】
拡大表示画面23の右端の縦軸に表示されているマイナスを表す縦軸マイナスアイコン30をマウスでクリックすると、縦軸の表示倍率が小さくなり、縦軸が縮小表示され、縦軸に表示されているプラスを表す縦軸プラスアイコン29をマウスでクリックすると、縦軸の表示倍率が大きくなり、縦軸が拡大表示される。
【0038】
拡大表示画面23において、時間軸の表示形態が変更された場合、即ち、先頭方向アイコン24、またはスクロールボックス25または終端方向アイコン26が操作されて、表示範囲22が変更された場合、または時間軸マイナスアイコン27または時間軸プラスアイコン28が操作されて時間軸の表示倍率が変更された場合は、波形表示装置11から電子楽器1に対してMIDIインターフェース19を介して表示データ17aの送信を要求する表示範囲情報を送信する。
【0039】
この表示範囲情報は、波形の先頭からのアドレスである表示開始位置と、時間軸の表示倍率とから成り、電子楽器1は、その要求に応じて表示データ17aを作成し、波形表示装置11へ送信する。時間軸の表示倍率は、表示の最少単位である1ドットに対して波形データのいくつのサンプルを対応させて表示するかを示す値である。1ドットに対して複数の波形データのサンプルが対応する場合には、その複数のサンプルの振幅値の最大値と最小値が検出され、これらの値を、各ドットに対応する表示データ17aとする(図5、(a)(b)参照)。
【0040】
一方、1ドットに対応するそのサンプルが一つである場合には、各ドットに対してサンプルの振幅値を表示データ17aとする。
【0041】
具体的には、これらの表示データ17aは、MIDI規格のエクスクルーシブ情報として送信され、各ドットに対応する表示データ17aは、2バイトで表されるが、MIDI規格では、データのMSBは、0とすることに定義されているので、最大値と最小値とで表示データ17aが形成される場合は、先頭のバイトの7ビットにより最大値が、次のバイトの7ビットにより最小値が表される。サンプルの振幅値は、16ビットで構成されるので、16ビットのうちのMSBの7ビットを最大値または最小値とする。表示データ17aが振幅値により形成される場合は、サンプルの振幅値のMSBの7ビットを、先頭のバイトに、その次のMSB7ビットを次のバイトに設定する。したがって、表示データ17aの最大値および最小値は、7ビットにより表され、振幅値の場合は、最大値および最小値より高い精度である14ビットにより形成される。
【0042】
波形表示装置11は、この受信した表示データ17aをハードディスク17に記憶すると共に、表示器16に波形を表示する。波形表示装置11において、縦軸の表示倍率が変更された場合、即ち、縦軸マイナスアイコン30または縦軸プラスアイコン29が操作された場合は、ハードディスク17に記憶され表示データ17aを変更して、表示器16の表示を更新する。
【0043】
表示画面20の右下に、編集指示アイコン31が表示されている。この編集指示アイコン31をマウスでクリックするとプルダウンメニューに編集の種類のメニューが表示される。この表示された複数の編集の種類の中から一つを選択すると、編集の種類と編集を行う波形の範囲を示す編集情報が、電子楽器1に送信される。編集の種類としては、波形の一部を削除するトランケート処理、波形の振幅を正規化するノーマライズ処理、波形の一部の振幅を増加または減少させるアンプ処理などがある。波形の一部を指定するには、拡大表示画面23において、波形が表示されている部分をマウスでドラッグすることにより指定することができ、指定された範囲は、反転表示される(図6参照)。
【0044】
電子楽器1においては、編集の種類と編集を行う波形の範囲を示す編集情報を受信すると、指定された波形の範囲について指定された編集の種類の処理を行い、編集された波形に基づいて表示データ17aを形成し、その表示データ17aを波形表示装置11へ送信する。
【0045】
次に、図3および図4を参照して、電子楽器1および波形表示装置11にそれぞれ備えられるCPU2およびCPU12より実行される処理について説明する。ここでは、電子楽器1のフラッシュメモリ7には、多数の波形が記憶されていて、この多数の波形の内の一つが波形表示装置11により表示されるように、電子楽器1の操作子5、または波形表示装置11により選択されているものとする。また、その選択された波形の全サンプル数は、予め電子楽器1から波形表示装置11へ、送信しているものとする。
【0046】
図3は、電子楽器1のCPU2により実行される処理を示すフローチャートであり、電子楽器1の電源が投入されてから遮断されるまで継続して実行されるものである。まず、初期設定が行われる(S1)。この初期設定としては、各種パラメータが初期値に設定されたり、MIDIインターフェース9からMIDI情報の送受信を可能に設定するなどの処理が行われる。次に、MIDIインターフェース9にMIDI情報を受信したか否かを判断する(S2)。MIDI情報を受信した場合は(S2:Yes)、そのMIDI情報が、表示範囲情報であるか否かを判断する(S3)。表示範囲情報は、上記の通り、波形表示装置10において、ユーザにより拡大表示画面23に表示する波形の表示開始位置と時間軸の表示倍率とが設定されたものである。MIDI情報が、表示範囲情報ではない場合は、MIDI情報が編集情報であるか否かを判断する(S4)。編集情報は、上記の通り、波形表示装置10において、ユーザにより編集の種類と編集を行う波形の範囲とが設定されたものである。
【0047】
MIDI情報が、編集情報である場合には(S4:Yes)、編集情報により指定される波形の範囲について、編集の種類に応じた編集を行い(S5)、S6の処理へ進む。
【0048】
S3の判断処理において、受信したMIDI情報が、表示範囲情報である場合(S3:Yes)とS5の処理の次に、表示範囲情報の時間軸の表示倍率が、1であるか1以下であるかを判断する(S6)。即ち、表示の最小単位であるドットに対して波形のサンプルが単数サンプルに対応するか複数サンプルに対応するかを判断する。ドットに対して単数のサンプルが対応する場合の時間軸の表示倍率を1とし、ドットに対して複数のサンプルが対応する場合の時間軸の表示倍率は、サンプル数をSNとすると、1/SNである。
【0049】
ドットに対して波形の複数サンプルが対応する場合(S6:Yes)は、複数のサンプルの振幅値の最大値と最小値とを検出し、最大値のMSB7ビットを第1のバイト、最小値のMSB7ビットを第2のバイトとする表示データ17aを形成する(S7)。
【0050】
一方、S6の判断処理において、表示の最小単位であるドットに対して波形のサンプルが単数のサンプルに対応する場合(S6:No)は、サンプルの振幅値のMSB7ビットを第1のバイト、次のMSB7ビットを第2のバイトとする表示データ17aを形成する(S8)。なお、波形表示装置11の拡大表示画面23の時間軸のドット数は、電子楽器のROM3に予め記憶されているものとし、表示データ17aは、この拡大表示画面23の時間軸のドット数について形成される。
【0051】
このようにして、波形表示装置11において表示される表示範囲の表示波形を形成し、形成した表示データ17aをMIDIインターフェース9を介して送信する(S9)。
【0052】
S4の判断処理において、MIDI情報が、編集情報ではない場合は(S4:No)、そのMIDI情報に対応する処理を行う。例えば、鍵盤装置9から、押鍵を表すノートオン情報を受信した場合は、そのノートオン情報に対応する楽音を形成するように、音源7を制御する。
【0053】
S2の判断処理において、MIDI情報を受信していないと判断した場合(S2:No)、またはS9およびS10の処理の次に、その他の処理を行い(S11)S2の処理に戻る。その他の処理には、図示しないスイッチやボリュームなどの操作子の操作状態を読み込み、その状態に応じた処理を行うなどの処理がある。
【0054】
次に、図4を参照して波形表示装置11のCPU12により実行される処理について説明する。図4は、CPU11により実行される処理を示すフローチャートであり、この処理がプログラムされた波形を編集するアプリケーションプログラムが、起動されることにより処理が開始され、このプログラムの終了が指示されることにより終了する処理である。
【0055】
まず、図2に示す波形表示画面20を表示器16に表示すると共に、電子楽器1に対して波形全体の表示データ17aを要求する表示範囲情報を送信する(S21)。この表示範囲情報は、波形の表示開始位置として、波形の先頭アドレスを指定し、時間軸の表示倍率として、波形全体が全体表示画面21に表示される倍率が設定される。また、拡大表示画面23については、表示範囲情報は、波形の表示開始位置として、波形の先頭アドレスを指定し、時間軸の表示倍率を1/256とする。即ち、表示の最小単位である1ドットについて、波形の256サンプルの振幅値の最大値と最小値により形成される表示データ17aを要求するものである。
【0056】
次に、MIDIインターフェース19を介して、表示データ17aを受信したか否かを判断する(S22)。表示データ17aを受信した場合(S22:Yes)は、表示データをハードディスク17に記憶し(S23)、その表示データ17aに基づいて全体表示画面21と拡大表示画面23に表示する(S24)。
【0057】
次に、時間軸マイナスアイコン27または時間軸プラスアイコン28がマウスによりクリックされて拡大表示画面23に表示する波形の時間軸の倍率が変更されたか否かを判断する(S25)。時間軸の倍率が変更されていない場合は(S25:No)、拡大表示画面23に表示する波形の表示開始位置が変更されたか否かを判断する(S26)。表示開始位置は、上記の通り先頭方向アイコン24、終端方向アイコン26またはスクロールボックスがマウスにより操作された場合に変更される。
【0058】
S25の判断処理において、時間軸の倍率が変更された場合(S25:Yes)またはS26の判断処理において、表示開始位置が変更された場合は、表示開始位置と時間軸倍率とから成る表示範囲情報を、MIDIインターフェース19を介して電子楽器1へ送信する(S27)。この表示範囲情報に応じて電子楽器1から表示データ17aを受信した場合は、S23およびS24により処理される。
【0059】
S27の処理である表示範囲情報を送信した場合、またはS26の判断処理で、表示開始位置が変更されていない場合は、次に振幅軸の表示倍率が変更されたか否かを判断する(S28)。振幅軸の表示倍率は、上述の通り縦軸プラスアイコン29または縦軸マイナスアイコン30がマウスにより操作された場合に変更される。振幅軸の表示倍率が変更された場合には、ハードディスク17に記憶している表示データ17aを読み出して、変更された振幅軸の表示倍率に応じて時間軸のドット毎の振幅値を変更した表示データ17aを作成し、それに基づいて拡大表示画面23の表示を変更する(S29)。なお、振幅軸の表示倍率は、この波形編集プログラムが立ち上げられた時、所定の倍率に設定されているものとする。
【0060】
次に、波形の編集指示アイコン31が操作されたか否かを判断する(S30)。編集指示アイコン31が操作され場合は(S30:Yes)、プルダウン編集メニュー画面を表示し、そのメニューの中から選択された編集の種類と、編集される波形の編集範囲と、拡大表示画面23に編集後に表示する波形の表示範囲とにより構成される編集情報をMIDIインターフェース19を介して電子楽器1へ送信する(S31)。この編集情報を受信した電子楽器1は、上述の通り編集の種類と波形の編集範囲とに基づいて波形の編集を行い、編集後の波形を表示するための表示データ17aを送信する。この場合も、電子楽器1から受信した表示データ17aは、S23およびS24において処理される。
【0061】
S31の処理において編集情報を送信した場合、またはS30の判断処理において、波形の編集指示アイコン31が操作されたのではない場合は、図示しない波形編集の終了を指示するアイコンが操作されたか否かを判断し、波形編集の終了が指示された場合は(S32:Yes)この処理を終了し、波形編集の終了が指示されていない場合は、S22の処理に戻る。
【0062】
次に、図5を参照して、表示データ17aの詳細について説明する。図5(a)は、横軸を時間、縦軸を振幅値とし、波形データを表示したもので、波形データの各サンプルの振幅値は16ビットで表されているものである。したがって、16ビットにより表される10進数の最大値は、65,535であり、中心値は32,767である。
【0063】
波形データ(実線)に対して、所定の時間幅(表示の最小単位であるドットに対し、時間軸の表示倍率により決まるサンプルの数に対応する範囲)毎の振幅値の最大値と最小値がそれぞれ破線で示されている。時間軸の表示倍率が1ではない場合は、表示データ17aは、振幅の最大値と最小値により形成され、図5(b)に示すように、表示画面においては、各ドットに対して最大値から最小値までを直線で結んで表示される。
【0064】
一方、図5(c)は、時間軸の表示倍率が1の場合の、図5(a)に示される波形データ(実線)の振幅値に対応する位置にドット(この図では正方形により表示)により表示される様子を示している。
【0065】
次に図6を参照して、拡大表示画面23に表示される波形の編集範囲を特定し波形を編集することに関して、編集の種類について説明する。なお、この図6では、ステレオ波形ではなく、モノーラル波形について図示している。図6(a)は、上段に波形を反転して示すように選択範囲が設定され、編集の種類としてトランケート(削除)処理が選択された場合を示している。下段は、編集された波形を示し、上段において選択された範囲が削除されていることが示されている。
【0066】
図6(b)は、同様に上段に反転して示すように選択範囲が設定され、編集の種類としてノーマライズ(正規化)処理が選択された場合を示している。下段は、その処理が行われた波形を示している。このノーマライズという処理は、選択された波形の範囲の最大振幅を、標本化ビット数(ここでは16)で表すことができる最大値になるように増幅する処理である。上段において選択された範囲の振幅の最大値Aが、最大振幅Bまで増幅されていることが下段に示されている。
【0067】
図6(c)は、同様に上段に波形を反転して示すように選択範囲が2カ所設定され、編集の種類としてアンプ(増幅)処理が選択さた場合を示している。下段は、編集された波形を示すもので、上段において選択された範囲Cの振幅は、下段Eに示すように所定の増幅率で増幅され、上段で選択された範囲Dの振幅は、下段Fに示すように所定の減衰率で減衰されている場合を示している。
【0068】
以上説明したように、本実施例の電子楽器によれば、波形表示装置の拡大表示画面において、ユーザが任意に波形の表示開始位置と時間軸の表示倍率を指定すると電子楽器に表示範囲情報が送信され、電子楽器は、その表示範囲情報に基づいて、表示範囲の表示データを形成し、その表示データを波形表示装置へ送信する。この表示データは、波形表示装置により表示される範囲の波形についてのデータであるので、波形全体の振幅値に比べ、情報量はかなり少ない。従って、MIDIインターフェースのように比較的低速な通信手段であっても、表示データの転送には、それほど時間を要さないので、ユーザは、表示データの転送を待つことなく、波形を確認することができる。
【0069】
なお、請求項1記載の表示データ形成手段は、図3に示すフローチャートのS7またはS8の処理が該当し、表示データ送信手段は、図3に示すフローチャートのS9の処理が該当する。また、請求項2記載の判断手段は、図3に示すフローチャートのS6の処理が該当し、最大最小表示データ形成手段は、図3に示すフローチャートのS7の処理が、振幅表示データ形成手段は、図3に示すフローチャートのS8の処理がそれぞれ該当する。
【0070】
また、請求項3記載の編集手段は、図3に示すフローチャートのS5の処理が該当する。また、請求項5記載の表示範囲設定ステップは、図4に示すフローチャートのS25およびS26が該当し、表示範囲情報送信ステップは、図4に示すフローチャートのS27が該当し、波形表示ステップは、図4に示すフローチャートのS24が該当する。
【0071】
また、請求項6記載の、編集範囲設定ステップと編集種類設定ステップとは図4に示すフローチャートのS30が該当し、編集情報送信ステップは、図4に示すフローチャートのS31が該当する。また、請求項7記載の表示データ記憶ステップは、図4に示すフローチャートのS23に該当し、振幅倍率設定ステップは、図4に示すフローチャートのS28が該当する。
【0072】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0073】
例えば、上記実施例では、表示範囲情報を、波形表示装置11に表示される波形の先頭のアドレスと時間軸の表示倍率としたが、波形表示装置11に表示される波形の先頭のアドレスと、最終アドレスとしてもよい。
【0074】
また、上記実施例では、波形表示装置11より表示される表示の最小単位である時間軸のドットに対応するサンプル数が複数である場合に、複数のサンプルの振幅値の最大値と最小値とを表示データとし、表示器16において、この最大値と最小値を直線で結ぶことにより波形を表示しているが、最大値または最小値のいずれかを表示データとし、最大値または最小値により示される値をドットで表示するようにしてもよい。最大値と最小値のいずれかを選択する方法としては、波形の中心値(32,767)を0とし、最大値と最小値との絶対値が大きい方を表示データとするという方法がある。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例における電子楽器および波形表示装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図2】波形表示装置の表示器に表示される波形表示画面を示す図である。
【図3】電子楽器のCPUが実行する処理を示すフローチャートである。
【図4】波形表示装置のCPUが実行する処理を示すフローチャートである。
【図5】波形の表示方法を表す図であり、(a)は、波形を表示したものであり、(b)は、時間軸の各ドットに対して最大値から最小値までを直線で結んで表示する様子を示す図であり、(c)は、時間軸の各ドットに対して振幅値を表示する様子を示す図である。
【図6】波形の編集の種類について説明する図であり、(a)は、トランケート(削除)処理を示す図であり、(b)は、ノーマライズ(正規化)処理を示す図であり、(c)は、アンプ(増幅)処理を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 電子楽器
2 CPU
7 フラッシュメモリ(波形記憶手段)
8 音源(楽音生成手段)
9 MIDIインターフェース(通信手段)
11 波形表示装置
12 CPU
19 MIDIインターフェース(通信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽音波形を記憶する波形記憶手段と、その波形記憶手段に記憶されている楽音波形に基づいて楽音を生成する楽音生成手段とを備えた電子楽器において、
前記波形記憶手段に記憶されている楽音波形の時間軸における表示範囲を特定する表示範囲情報を送信する表示範囲情報送信手段と、その表示範囲情報送信手段により送信された表示範囲情報に応じて前記電子楽器から送信される表示データを受信する表示データ受信手段と、その表示データ受信手段により受信された表示データに基づいて時間軸に対応して波形の振幅を表示する波形表示装置表示手段とを備えた波形表示装置と通信を行う通信手段と、
その通信手段を介して前記波形表示装置から送信された表示範囲情報を受信する表示範囲情報受信手段と、
その表示範囲情報受信手段により受信した表示範囲情報が示す表示範囲に対応する前記波形記憶手段に記憶された楽音波形の時間軸の範囲に対応する表示データを形成する表示データ形成手段と、
その表示データ形成手段により形成された表示データを前記通信手段を介して送信する表示データ送信手段とを備えていることを特徴とする電子楽器。
【請求項2】
前記波形記憶手段は、サンプル毎の振幅値を記憶するものであって、
前記表示データ形成手段は、
前記表示範囲情報受信手段により受信した表示範囲情報に基づいて前記波形表示装置により表示される表示の最小単位に対応するサンプル数が複数であるか単数であるかを判断する判断手段と、
その判断手段により、表示の最小単位に対応するサンプル数が複数であると判断された場合は、複数のサンプルの振幅値の最大値と最小値の少なくとも1つを表示データとする最大最小表示データ形成手段と、
前記判断手段により表示の最小単位に対応するサンプル数が単数であると判断された場合は、前記最大最小表示データ形成手段により形成される表示データの精度より高い精度のサンプルの振幅値を表示データとする振幅表示データ形成手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の電子楽器。
【請求項3】
前記波形表示装置は、前記波形記憶手段に記憶される楽音波形の編集を行う時間軸における範囲を示す編集範囲情報と、その編集範囲情報により特定される範囲の楽音波形に対して行う編集の種類を示す編集種類情報とを送信する編集情報送信手段を有するものであり、
前記電子楽器は、
前記編集情報送信手段により送信された編集範囲情報と、編集種類情報とを受信する編集情報受信手段と、
前記波形記憶手段に記憶された楽音波形の前記編集情報受信手段により受信した編集範囲情報に対応する範囲の楽音波形に対して編集種類情報に応じた編集を行う編集手段とを備え、
前記表示データ形成手段は、前記編集手段により編集された楽音波形の表示データを形成するものであることを特徴とする請求項1または2記載の電子楽器。
【請求項4】
前記波形表示装置が有する波形表示装置表示手段より小さい、前記表示データ形成手段により形成された表示データに基づいて波形を表示する電子楽器表示手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子楽器。
【請求項5】
楽音波形を記憶する波形記憶手段とその波形記憶手段に記憶されている楽音波形に基づいて楽音を生成する楽音生成手段とを備えた電子楽器と通信を行う通信手段と、
その通信手段を介して前記電子楽器から受信した表示データに基づいて楽音波形を表示する波形表示装置表示手段とを備えた波形表示装置において実行される波形表示プログラムであって、
前記波形記憶手段に記憶されている楽音波形の前記波形表示装置表示手段に表示する時間軸の範囲を示す表示範囲情報を設定する表示範囲設定ステップと、
その表示範囲設定ステップにより設定されている表示範囲情報が変更された場合に前記通信手段を介してその変更された表示範囲情報を前記電子楽器へ送信する表示範囲情報送信ステップと、
その表示範囲情報送信ステップにより送信された表示範囲情報に応じて前記電子楽器から送信される表示データを前記通信手段を介して受信する表示データ受信ステップと、
その表示データ受信ステップにより受信された表示データに基づいて時間軸に対応して波形の振幅を前記波形表示装置表示手段に表示する波形表示ステップとを備えていることを特徴とする波形表示プログラム。
【請求項6】
前記電子楽器は、波形の編集を行う時間軸の範囲を示す編集範囲情報と、編集の種類を示す編集種類情報とを受信する編集情報受信手段と、前記波形記憶手段に記憶された楽音波形の前記編集情報受信手段により受信された編集範囲情報に対応する範囲の楽音波形に対して編集種類情報に応じた編集を行う編集手段とを備えるものであって、
前記波形表示ステップにより表示されている波形の編集を行う時間軸における範囲を示す編集範囲情報を設定する編集範囲設定ステップと、
その編集範囲設定ステップにより設定された編集範囲の楽音波形に対して行う編集の種類を示す編集種類情報を設定する編集種類設定ステップと、
前記編集範囲設定ステップにより設定された編集範囲情報と、前記編集種類設定ステップにより設定された編集種類情報とを送信する編集情報送信ステップとを備えていることを特徴とする請求項5記載の波形表示プログラム。
【請求項7】
前記通信手段を介して前記表示データ受信ステップにより受信された表示データを記憶する表示データ記憶ステップと、
前記波形表示装置表示手段に表示される波形の振幅倍率を設定する振幅倍率設定ステップとを有し、
前記波形表示ステップは、前記振幅倍率設定ステップにより設定されている振幅倍率が変更された場合に、その振幅倍率に応じて前記表示データ記憶ステップにより記憶された表示データを変更し、前記波形表示装置表示手段に波形を表示するものであることを特徴とする請求項5または6記載の波形表示プログラム。
【請求項8】
前記電子楽器は、前記波形表示装置が有する前記波形表示装置表示手段より小さい電子楽器表示手段を有し、
前記波形表示ステップは、前記通信手段を介して前記表示データ受信ステップにより受信された表示データに基づいて時間軸に対応して波形の振幅を前記波形表示装置が有する前記波形表示装置表示手段に表示するものであることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の波形表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−98831(P2006−98831A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285964(P2004−285964)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000116068)ローランド株式会社 (175)
【Fターム(参考)】