電子構成部品用のハウジング
【課題】電気構成部品または電子構成部品を安全に収容するように、電磁放射から遮蔽し、熱除去を容易にし、十分な強度を有する電気構成部品または電子構成部品用の軽量ハウジング、ならびにそのようなハウジングの構築用の好適な材料および方法を提供すること。
【解決手段】相異なる材料で処理された複数のセクションを有するブレードまたは織布シートを使用して作製された電気構成部品または電子構成部品用のハウジング、ならびにそのようなハウジングを作製するための方法および材料が開示される。
【解決手段】相異なる材料で処理された複数のセクションを有するブレードまたは織布シートを使用して作製された電気構成部品または電子構成部品用のハウジング、ならびにそのようなハウジングを作製するための方法および材料が開示される。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電気構成部品および電子構成部品用のハウジングは、内部の構成部品を支持し外力に抗するのに十分な機械的特性を有することに加えて、場合によってはまた、電子構成部品の適正な機能を保証するために、電磁放射から遮蔽しなければならない。多くの場合、電子ハウジングが電子回路によって生成された熱の除去を容易にすることも必要である。これらの理由で、ハウジングは、必要な強度、電磁放射の遮蔽、熱除去能力を提供するために、しばしば金属性とされる。しかし、金属ハウジングは、比較的重く、機械加工が必要とされる場合、製造するのに比較的コストがかかるという欠点を有する。
【特許文献1】米国特許第6764628号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
したがって、電気構成部品または電子構成部品を安全に収容するように、電磁放射から遮蔽し、熱除去を容易にし、十分な強度を有する電気構成部品または電子構成部品用の軽量ハウジング、ならびにそのようなハウジングの構築用の好適な材料および方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
相異なる材料で処理された複数のセクションを有する強化繊維シートを使用して作製された電気構成部品または電子構成部品用のハウジング、ならびにそのようなハウジングを作製するための方法および材料が開示される。本発明の実施形態の説明において、相異なる材料で処理された複数のセクションを有する強化繊維シートは、以下「多材料プリプレグシート」と称されることがあり、電気構成部品または電子構成部品用のハウジングは、以下「電子シャシ」と称されることがある。
【0004】
本発明の一実施形態では、多材料プリプレグシートを使用して電子シャシを作製するための方法であって、フレームを用意するステップと、フレーム内で、回転シャフトを有するマンドレルと、電子シャシの一部分になる1つまたは複数の構成要素とを位置決めするステップと、第1の材料で処理された第1のセクションと、第2の材料で処理された第2のセクションと、1つまたは複数の任意選択の追加材料で処理された1つまたは複数の任意選択の追加セクションとを有する、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを含む多材料プリプレグシートを用意するステップと、回転シャフトを使用してマンドレルおよびフレームを回転し、そこに、多材料プリプレグシートの各セクションによって提供される機能をシャシが必要とするマンドレルの領域上でプリプレグシートの各セクションが位置決めされるように、多材料プリプレグシートを付着するステップとを含む方法が開示される。シートの相異なる材料のセクションは、シートの長さに沿って軸方向で位置しても、シートの幅にわたって横断方向で位置してもよく、または軸方向位置と横断方向位置の組合せでもよい。マンドレルを多材料プリプレグシートで包み終わった後で、シリコーンゴムシートなど封入材料を追加で1回またはそれ以上巻き、硬化中に、包まれたマンドレルを固定および加圧する。別法として、包まれたマンドレルは、閉じられている、区分けされた型内に配置することができる。包みの内部表面に対する追加の圧力が必要とされる場合、最初に細長い袋をマンドレルの周りに巻き、次いでガスを注入し、袋を部分的に膨らませ、巻いたもの(wrap)を外壁に押し付けることによって、圧力を生成することができる。このように固定して、次いで、包まれたプリプレグ材料は、大気圧でのオーブン内で、または圧力下でのオートクレーブ内で硬化される。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1のセクションは、電磁放射から遮蔽する材料で処理され、第2のセクションは、構造上の完全性(integrity)をもたらす材料で処理され、第3のセクションは、保護外部表面をもたらす材料で処理される。他の実施形態では、コールドウォールプレート、および伝熱用の隣接する開放構造型の層が、フレームを多材料プリプレグシートで包む前にマンドレル上で予め位置決めされる。追加の実施形態では、フレームは、コールドウォールプレートから熱を除去するために流体が入るための開口と、ドアを取り付けるように適合された導管と、ラインリムーバブルユニット(LRU)または回路板を係留(anchor)するためのブラケットとを含む。他の実施形態では、熱除去を容易にするために、コールドウォールプレートのいくつかの表面が高熱伝導性の経路によって、フィンまたは金属構造体など、外部のヒートシンクに接続されるように、コールドプレートが、高熱伝導性の材料から形成される。
【0006】
本発明の他の実施形態では、多材料プリプレグシートを使用して作製された電子シャシであって、1つまたは複数の構成要素が中で位置決めされているフレームと、多材料プリプレグシートとを備え、その多材料プリプレグシートが、第1の材料で処理された第1のセクションと、第2の材料で処理された第2のセクションと、1つまたは複数の任意選択の追加材料で処理された1つまたは複数の任意選択の追加セクションとを有する、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを含み、多材料プリプレグシートの各セクションが、マンドレルの周りの1つまたは複数の層に対応する、電子シャシが提供される。
【0007】
本発明の他の実施形態では、第1の材料で処理された第1のセクションと、第2の材料で処理された第2のセクションと、1つまたは複数の任意選択の追加材料で処理された1つまたは複数の任意選択の追加セクションとを有する、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを含む多材料プリプレグシートが提供される。布またはブレード内に含浸される材料またはマトリクスコンパウンドは、熱硬化性樹脂と、特定の特性をプリプレグに与えるための、一般に1つまたは複数の添加剤とを含有する。
【0008】
本発明の追加の実施形態では、多材料プリプレグシートを作製するための方法であって、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを用意するステップと、第1の材料を、所定の長さのブレードまたは織布シートの第1のセクションに付着するステップと、第2の材料を、所定の長さのブレードまたは織布シートの第2のセクションに付着するステップと、任意選択で、1つまたは複数の任意選択の追加材料を、所定の長さのブレードまたは織布シートの1つまたは複数の任意選択の追加セクションに付着するステップとを含む方法が開示される。
【0009】
前述の概要から容易に理解されるように、本発明は、電磁放射からの遮蔽と、熱除去を容易にするための手段と、電気構成部品または電子構成部品を安全に収容するための十分な機械的完全性とをもたらす、電気構成部品または電子構成部品用のハウジングを提供し、これらのハウジングは、以前から使用されているハウジングより軽量のものであり、より容易に製造することができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態および代替の実施形態について、以下の図面を参照して詳細に述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に図1Aおよび図1Bを参照すると、本発明の一実施形態による、電気構成部品または電子構成部品用のハウジングを構築するために多材料プリプレグシート10を生産するための装置および方法の一実施形態が示され、述べられている。最初に、所定の長さおよび幅の、未処理のブレードまたは織布シートが、搬送装置12を使用して供給される。次いで、未処理のブレードまたは織布シートの所定の各長さを、第1の材料、第2の材料、および任意選択の第3の材料で処理し、第1の材料で処理された第1のセクション20と、第2の材料で処理された第2のセクション30と、図のように任意選択の第3の材料で処理された任意選択の第3のセクション40とを有する多材料プリプレグシート10を生産する。次いで、多材料または布プリプレグシート10は、ホットローラ50間で統合され、さらに処理するためにロール60上に収集される。図1Aおよび図1Bに示されている実施形態では、諸材料は、配合ポリマーまたはポリマーで被覆された金属膜として付着され、その後で溶解され、シート内に含浸される。図1Cに示されている代替の実施形態70では、隣接する幅広スリットのダイ90が、順次、3つの異なる材料のホットメルトを、移動する未処理のブレードまたは織布シートの3つの異なるセクション上に分注し、多材料プリプレグシート10の第1のセクション20、第2のセクション30、第3のセクション40を形成する。これらの異なる材料は、図のようにギヤポンプ80、または押出機、あるいは計量ポンピングのための他の手段によって加圧することができる。
【0012】
所望の特性を有する多材料プリプレグシート10を生産するために、様々な材料を使用し、未処理のブレードまたは織布シートを処理することができることを理解されたい。たとえば、一実施形態では、第1のセクション20は、電磁放射から遮蔽する材料で処理され、第2のセクション30は、構造上の完全性をもたらす材料で処理され、第3のセクション40は、保護外部表面をもたらす材料で処理される。下記でより詳細に論じるように、混合を容易にするような低い粘度を有するエポキシを使用し、所望のマトリクス材料を未処理のブレードまたは織布シートに付着する。
【0013】
次に図2を参照すると、マンドレル160を多材料プリプレグシートで包むことによって作製される電子シャシ100の一実施形態を示す2つの断面図が示されている。電子シャシ100は、シャフト170上で回転する分割マンドレル160の周りで位置決めされた複数の層110、120、130、140、150で構成される。マンドレル160は、除去を容易にするために、複数の部分に区分けされている。カバープレート180が、マンドレル160の端部上で位置決めされ、電子シャシ100の前部カバーおよび後部カバー用の取付け表面をもたらし、多材料プリプレグシートのための境界表面をもたらす。ラインリムーバブルユニット(LRU)または回路板を係留するためのブラケット190を、マンドレル160内に挿入してもよい。ブラケット190は、任意選択で、電子シャシ100の第1の層110を介して延在するアンカー192を含むことができる。
【0014】
図2に示されている実施形態では、層110は、コールドウォールプレートである。コールドウォールプレートは、アルミニウム、またはやはり金属内でクラッディングされてもよい高伝導性の黒鉛状炭素製とすることができる。コールドウォール用の好ましい材料は、たとえば、Momentive Performance Materials(オハイオ州ストロングズヴィル)から入手可能なTC1050など、黒鉛プレートを含む。電子シャシ100の他の表面もまた、熱管理の必要に応じてコールドウォールとすることができる。層120は、ERG(カリフォルニア州オークランド)から入手可能なアルミニウムフォーム、またはPoco Graphite(テキサス州ディケーター)から入手可能な炭素フォームなど、任意選択の連続気泡伝導性フォーム層である。別法として、伝熱空間には、層110のコールドウォールに取り付けられた一連のフィンが含まれてもよい。空気または液体など伝熱媒体が外部のマニフォルドから、フォームまたはフィンを介して流れ、電子シャシ100の内部の電子回路によって生成された熱を除去する。
【0015】
次の層130、140、150は、相異なるマトリクス組成物が含浸された複数のセクションを有する、長い連続的なブレードまたは織布シート、またはそれぞれに異なるマトリクス組成物が含浸される2つ以上の、より短いブレードまたは織布シートとすることができる巻き上げられた(wound)ブレードまたは織布シートを含む。好適な未処理の繊維および布は、たとえば、Zoltec(ミズーリ州ブリッジトン)から入手可能なPanex30など、平織り炭素繊維、またはA&P Technology(オハイオ州シンシナティ)から入手可能な炭素繊維の2軸もしくは3軸ブレードを含む。エポキシが予め含浸された、好適な市販のブレードは、Entropreg(オハイオ州コロンバス)から入手可能なEntropreg916である。他の好適な布材料は、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、鉱物繊維(たとえば、Basaltex、Basaltex−Flocart、Wevelgem、Belgium)、およびアラミド繊維(デラウェア州ウィルミントンのDuPontからのKevlarおよびNomex)を含む。
【0016】
所望のマトリクス材料を未処理のブレードまたは織布シートに付着するために、混合を容易にするような低い粘度を有するエポキシが使用される。好適なエポキシは、たとえば、Hexion Specialty Materialsによって製造されるEpon862樹脂およびEpi−Kure Wを含む。特定の応用例向けの多数のものを含めて、多数の他のエポキシ配合物が使用可能であり、当技術分野で周知である。所望のマトリクス材料の応用例向けの他の好適な熱硬化性材料は、たとえば、ビスマレイミド、フェノール樹脂、ポリイミド、ビニルエステル、およびシアン酸エステルを含む。
【0017】
図2に示されている実施形態では、層130は、シャシ内の電子構成部品に対する電磁遮蔽を実現し、内部で生成された電磁放射がシャシから逃げるのを防止する目的で、高導電性および/または磁性のものである。層130用のマトリクス組成物は、高導電性および/または磁性の膜または添加剤を含有する。強化布プリプレグ上に配置すべき好適な伝導性膜は、アルミニウム箔またはナノペーパまたはニッケルナノストランドベールであり、それらのいずれかが、プリプレグの隣接する層に結合されることになる。好適な粒状材料は、たとえば、Applied Sciences,Inc.(オハイオ州シーダーヴィル)から入手可能なPYROGRAF III繊維など炭素ナノ繊維、Nanocyl(ベルギー、サンブルヴィル)から入手可能なNanocyl(登録商標)7000など炭素ナノチューブ、Metal Matrix Composites(ユタ州マグマ)から入手可能なニッケルナノストランド、Asbury Carbons(ニュージャージー州アズベリー)から入手可能なAsbury Carbon 4827などグラフェンプレートレット、Honeywell Aerospace(インディアナ州サウス・ベンド)から入手可能な中空炭素マイクロスフェア、および、Sulzer Metco(カナダ、フォート・サスカチェワン)から入手可能なEF2901などNiコーティングを有するものを含むE&L Enterprises(テネシー州オークデール)からの短い(ミルド、または1/8インチ)炭素繊維を含む。
【0018】
PYROGRAF III繊維は、約100nmの直径、および約150:1から約1500:1のアスペクト比で使用可能である。そのようなナノ繊維は、ナノ繊維を所望のマトリクス材料内で分散させるのを容易にする酸化を含めて、所望の特性を有するナノ繊維を生産するために、様々な方法で熱処理することができる。望むなら、ナノ繊維は、米国特許第6764628号で述べられているように、非常に配向されたマイクロファイバに紡糸することができ、この特許は、参照によりその全体を本明細書に組み込む。また、ナノ繊維は、低い電気抵抗率(すなわち、0.3Ω・cm)を有する、ナノペーパとして知られる緻密層を形成するように処理することができる。
【0019】
層140に組み込むための好適な中空炭素マイクロスフェアは、たとえば、高温処理を使用してフェノール樹脂から生成され、約0.155g/ccのバルクまたはタップ密度、および約40ミクロンから55ミクロンに及ぶ直径を有するものを含む(インディアナ州サウス・ベンドのHoneywell Aerospace)。約0.35g/ccのバルク密度、および約85ミクロンの平均直径を有するガラスマイクロスフェアもまた、使用することができる(ミネソタ州ミネアポリスの3M)。好適なニッケルナノストランド金属マトリクス複合体は、約50nmから約2000nmの直径と、約50:1から約500:1のアスペクト比を有し、凝集されていないものを含む。そのようなニッケルナノストランド金属マトリクス複合体は、約100g/m2、200g/m2(抵抗率0.1Ω・cm)、および300g/m2(抵抗率0.003Ω・cm)の面密度を有するベールで使用可能である。ペレット内に軸方向で埋め込まれたものを含めて、好適なニッケル被覆繊維は、Sulzer Metco(カナダ、フォート・サスカチェワン)などのベンダから、いくつかの熱可塑性樹脂に対して市販されている。これらの材料は、約60〜80dBのEMI遮蔽を実現し、約1.2〜1.4g/ccの密度を有する。好適な金属被覆ナノ繊維は、NanoSperse(オハイオ州アクロン)から熱可塑性マスターバッチで市販されている銀およびニッケル被覆ナノ繊維を含む。ニッケルなど磁性金属コーティングは、磁気遮蔽を強化する。
【0020】
図2に示されている実施形態では、層140は、電磁遮蔽を強化することを重要視せずに、またはあまり重要視せずに、機械特性を最適化し、かつ/または電子シャシ100の重量を削減するために使用されるマトリクス組成物を含有する。これを達成するために使用されるマトリクス組成物は、層130および層150に使用されるものと異なる。この実施形態の層140は、層130および層150に連続的に接続されることが好ましい。所望の機械特性を電子シャシ100に与えるために使用することができる好適な材料は、たとえば、添加剤として樹脂に組み込まれた短い(1/8インチまでミルド)炭素繊維を含む。中空の炭素またはガラスのマイクロスフェアは、密度を低減し、それにより重量を低減する。場合によっては、中空マイクロスフェアは、エネルギー放散欠陥として働くことにより、靱性を増大することができる。炭素マイクロスフェアは、電磁遮蔽に貢献することができる。スフェアは、ニッケル被覆された場合、磁気遮蔽を強化することもできる。
【0021】
図2に示されている実施形態では、層150は、耐久性のある外部表面をもたらすように設計され、化粧用に着色してもよい。この層は、靱性または耐摩耗性をもたらすように設計されたマトリクス材料または添加剤材料で構成することができる。これらの目的のための好適なマトリクス材料および添加剤材料は、たとえば、エポキシ樹脂内で靱性を強化するための、カルボキシル基末端アクリロニトリルブタジエンコポリマー(carboxyl-terminated butadiene acrylonitrile copolymers)などゴム添加剤、およびエポキシ樹脂用に広範な色で使用可能である顔料を含む。エポキシに10体積%まで添加されたアルミニウムおよび黒鉛粉末は、硬度および耐摩耗性を高め、日光から保護する。そのような材料は、West Systems(ミシガン州ベイ・シティ)から入手可能である。また、火に直接さらされることが最も多い層内で、当技術分野で周知の難燃剤を濃縮(concentrate)させることが望ましいこともある。これは、外部の火に対してはシャシの外側の層、および/または火が内部で発生する可能性が高い場合、最も内側の層となる可能性がある。
【0022】
次に図3、上部パネルを参照すると、マンドレル160と、マンドレル160に対して予め位置決めされたいくつかの構成要素層とが示されている。上述のように、コールドウォールプレート110、フォーム層120、マンドレル160、回転シャフト170が示されている。多材料プリプレグシートで包む前に、コールドウォールプレート110と、フォーム層120と、回転シャフト170を有するマンドレル160とが、(図3、下部パネルに示されている)フレーム200内で予め位置決めされる。フレーム200は、電子シャシ100の内部の電子回路によって生成された熱の除去を容易にする空気路開口210と、図の実施形態ではマンドレル160によって占有される、ドアを取り付けるように適合された導管220とを含む。図の実施形態におけるフレーム200はまた、ラインリムーバブルユニット(LRU)または回路板を係留するためのブラケット190を含む。フレームの奥行きに応じて、ブラケット190は、フレーム200またはコールドウォールプレート110に取り付けられる。フレームは、たとえば、スタンピングされたアルミニウムまたは複合シートまたは射出成形複合コンパウンドを含めて、様々な材料から作製することができる。
【0023】
次に図4を参照すると、マンドレル160と、フレーム200内でマンドレル160に対して予め位置決めされた様々な構成要素層とを有するフレーム200が示されている。上述のように、コールドウォールプレート110、フォーム層120、マンドレル160、回転シャフト170、フレーム200、空気路開口210、導管220が示されている。マンドレル160および様々な予め位置決めされた構成要素層を有するフレーム200を多材料プリプレグシートで包み、電子ハウジング100の調製を完了する。
【0024】
次に図5を参照すると、マンドレル160と様々な予め位置決めされた構成要素層を多材料プリプレグシートで包み、電子シャシ100を形成することを示す、本発明の一実施形態の斜視図が示されている。上述のように、第1の材料で処理された第1のセクション20と、第2の材料で処理された第2のセクション30と、任意選択の第3の材料で処理された任意選択の第3のセクション40と、ロール60と、コールドウォールプレート110と、フォーム層120と、マンドレル160と、回転シャフト170とが示されている。フレームは、内部の巻いたものをよりよく示すことができるように、示されていない。包む工程は、図のようにマンドレル160の回転を含むことができる。別法として、マンドレルは静止したままとし、フィードロールアセンブリをマンドレルの周りの軌道内で回転することができる。他の代替では、単一の連続する工程で、プリプレグシートを連続的に形成し、回転するマンドレルの周りで直ちに巻くことができる。ブレードがシート材料として使用される場合、巻かれるブレードの幅は、包む工程中に、フィードロールのトルク(brake torque)によって制御することができる。トルクを増大することにより、ブレード内の張力が増大し、ブレードの幅が減少(長さが増大)し、逆も同様である。
【0025】
次に図6を参照すると、マンドレル160と様々な予め位置決めされた構成要素層とを有するフレーム200を多材料プリプレグシートで包み、電子シャシ100を形成することによって作製された、本発明の電子シャシ100の一実施形態の分解図が示されている。上述のように、組み立てられた電子シャシは、コールドウォールプレート110と、フォーム層120と、マンドレル160と、ブラケット190と、フレーム200と、空気路開口210と、導管220とを含む。また、上述のように、組み立てられた電子シャシは、高導電性および/または磁性の層130と、電子シャシ100の機械特性を最適化するために使用されるマトリクス組成物を含有する層140と、電子シャシ100に耐久性のある外部表面をもたらすように設計される層150とを含む。
【0026】
次に、図7を参照すると、電子シャシに対する補強および避雷を実現するための金属バンド230を含む、本発明の電子シャシ100の一実施形態の分解図が示されている。上述のように、完成済みの電子シャシ100は、コールドウォールプレート110と、フォーム層120と、フレーム200と、導管220とを含む。また、上述のように、完成済みの電子シャシは、高導電性および/または磁性の層130(図示せず)と、電子シャシの機械特性を最適化するために使用されるマトリクス組成物を含有する層140(図示せず)と、電子シャシに耐久性のある化粧外部表面をもたらすように設計される層150とを含む。上述のように、マンドレル160は、完成済みの電子シャシ100から除去されており、その結果、電子構成部品を、完成済みの電子シャシ100の空の内部に設置することができる。金属バンド230は、電子シャシ100の外側表面に固定される。金属バンド230は、たとえば、アルミニウムの帯を含めて、様々な材料から作製することができる。ブラケットを使用し、電子シャシ100を任意の所望の構造体に取り付けることができる。たとえば、アビオニクス分野では、ブラケットを使用し、電子シャシ100を航空機の機体に取り付け、それにより電子シャシ100内に含まれる電子構成部品に対する避雷を実現することができる。金属バンド230は、さらに電子シャシ100を構造的に支持し補強する。
【0027】
図8は、伝熱がシャシの内部上面および内部底面上の高伝導性のプレート125によって行われる代替の一実施形態の断面図を示し、図9は切断図を示す。この実施形態では、EMI遮蔽用のアルミニウム箔層135が、外部保護層150と構造層140の間で位置決めされる。この区分けされた図に示されているように、電子構成部品300によって生成された熱は、矢印によって示されているように、基板310に沿って、また伝導性プレート125によってシャシの後部または前部を介して伝導される。熱は、シャシ壁内の高伝導性のポータル320を介して流れ、外部支持フレーム400によって運び去られ、外部支持フレーム400それ自体は、流れる流体129によって、またはフィン127による自由対流によって、または放射によって冷却される可能性があり、これは宇宙環境で効果的である。
【0028】
層の数および順序、それらの組成、それらの機能は、特定の製品要件を満たすように変更することができることを理解されたい。
また、マンドレルを包む工程は、棒高跳びのポールまたはゴルフクラブなど運動器具、ならびにアビオニクスシャシなど機械構成部品および電子構成部品用のハウジングを含めて、任意の数の応用例向けの、機能層を有する中空構造を生産するために使用することができることを理解されたい。
【0029】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示しており、本開示を限定するものと解釈すべきでない。
【実施例】
【0030】
作製工程を示すために、およそ4分の1スケールの電子回路シャシが、使用可能な材料を使用して作製された。作製されたシャシは、図7に示されている設計に対応しており、図10に斜視図で示されている。マンドレル(図示せず)は、木製の10.2cm×10.2cm×10.2cm(4”×4”×4”)の立方体であり、2つのほぼ等しい、ほぼ長方形のセクションに切断された。硬化の後でマンドレルセクションを滑らせて除去するのを容易にするために、わずかに角度をなして切断され、2つのセクションは、2枚のプレートをそれぞれ4本のねじによって固定することによって共に保持された。アルミニウムフレーム200は、厚さ0.159cm(0.0625インチ)のL字チャネルのセクションから作製され、1.27cm(0.5インチ)だけマンドレルに沿って延在し、巻き層150のための境界として働く薄い(0.635cm(0.25インチ))上部および下部セクション202を有していた。フレームの面の寸法は、厚さ約0.381〜0.483cm(0.15〜0.19インチ)である巻いたもの150をちょうど覆うように選択された。フレームの2つの側部は、1.91cm(0.75インチ)延在し、冷却用流体を導入するための開口210を含んでいた。厚さ0.159cm(0.0625インチ)の2枚のアルミニウムプレートが、コールドプレート110として機能するように、マンドレルの側部上に配置された。フレームセクションは、エポキシによって固定された。次に、2片の厚さ1.27cm(0.5インチ)のアルミニウムフォーム120が、伝熱流体用のチャネルをもたらすように、コールドプレートに隣接して配置された。マンドレル上の前部フレームと後部フレーム200は同一であった。プリプレグを包むための均一に平坦な表面をもたらすために、底面および上面上の前部フレームプレートと後部フレームプレートの間の0.159cm(0.0625インチ)の間隙が、厚さ0.159cm(0.0625インチ)の木板(図示せず)で埋められた。エポキシプリプレグとの接着を防止するために、Kaptonシート117が木板の上に配置された。
【0031】
プリプレグの最初の4層は、平坦に敷かれたとき厚さ約0.0305cm(0.012インチ)(2層)、幅15.2cm(6インチ)があったNomexブレードから調製された。このブレードは、巻いたものに必要とされる幅10.2cm(4インチ)をもたらすように伸張された。単一の巻いたものは、長さ約43.2cm(17インチ)であった。エポキシマトリクス材料は、Epikure W硬化剤が重量比100:26で混合されたHexcel Epon862樹脂であった。第1の層は、6.1体積%のPYROGRAF III炭素ナノ繊維を含有するエポキシコンパウンドが含浸された。次の3層は、19体積%の中空炭素マイクロスフェアを有するエポキシからなるものであった。添加剤を含んだエポキシコンパウンドが、約54体積%配合でNomexブレードに付着された。このコンパウンドは、液体流をブレード上に分注し、次いでスキージを使用し、ブレードの表面を覆うようにコンパウンドを広げ含浸することによって付着された。含浸されたブレードのセクションは、約65℃で維持されたホットプレートの上で位置決めされた。ブレードの各セクションは、コンパウンドが含浸されているので、2枚のKapton膜の間に配置され、ロールに巻き上げられた。
【0032】
次いで、含浸されたブレードは、(面プレートが示されている)フレーム200と、フォーム層120(この場合には、アルミニウムフォームパネル)パネルと、コールドウォールプレート110(この場合には、アルミニウム)、木製スペーサ115と、この木材と巻き上げられたブレードの間のKaptonカバー117とからなるマンドレルアセンブリに付着された。マンドレルはゆっくり回転され、ブレードにかかる張力は、面プレート間に合うように、必要とされる幅をもたらすように調整された。最初に、EMI遮蔽をもたらすために、ナノ繊維層が付着された。次に、強い低密度層をもたらすために、3つのマイクロスフェア層が付着された。最後の巻いたもの105は、市販のプリプレグブレード、すなわち、40%のエポキシと12K/towの炭素繊維からなるEntrotech916であった。このプリプレグは、供給されたとき厚さ0.216cm(0.085インチ)(2層)および幅5.46cm(2.15インチ)であった。ブレードの幅は、ブレードを幅方向で伸張することによって、対応する長さの減少を伴って10.2cm(4インチ)に増大された。単一の層の外部保護層150(この場合には、Entrotechブレード)が、構造耐久性をもたらすために付着された。
【0033】
硬化中に、包まれたマンドレルに圧力を与えるために、シリコーンゴムの帯が外部のEntrotechブレードの周りでしっかり巻かれ、しっかり巻かれた細い弾性バンドによって定位置に保持された。次いで、この包まれた構造体は、熱風炉内で、121℃で4時間の間、硬化された。冷却後、硬化されたシャシは、マンドレルから容易に除去された。シャシは、所望の軽量および剛性特性を有していた。
【0034】
本発明の好ましい実施形態について示し、述べたが、上記で指摘したように、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、多数の変更を加えることができる。たとえば、シャシの内部にアクセスすることができるように、デバイスの巻きセクション内に開口を切ることができる。したがって、本発明の範囲は、好ましい実施形態の開示によって限定されない。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲を参照して全体的に決定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】電気構成部品または電子構成部品用のハウジングを構築するために、マトリクスコンパウンドの膜を布内に含浸することによって多材料プリプレグシートを生産するための装置および方法を示す斜視図である。
【図1B】電気構成部品または電子構成部品用のハウジングを構築するために、マトリクスコンパウンドの膜を布内に含浸することによって多材料プリプレグシートを生産するための装置および方法を示す斜視図である。
【図1C】本発明による、3つのマトリクスコンパウンドを布内に含浸するためのシートダイの切断図である。
【図2】本発明の一実施形態による多材料プリプレグシートでマンドレルを包むことによって作製された電子シャシを示す2つの断面図である。
【図3】上部パネルは、マンドレルと、マンドレルに対して予め位置決めされたいくつかの構成要素層とを示し、下部パネルは、示されている構成要素層をマンドレルに対して予め位置決めするためのフレームを示す図である。
【図4】マンドレルと、フレーム内でマンドレルに対して予め位置決めされた様々な構成要素層とを有するフレームの図である。
【図5】マンドレルと様々な予め位置決めされた構成要素層とを有するフレームを多材料プリプレグシートで包むことを示す斜視図である。
【図6】マンドレルと様々な予め位置決めされた構成要素層とを有するフレームを多材料プリプレグシートで包むことによって作製された、組立済みの電子ハウジングの分解図である。
【図7】完成済みの電子シャシ、および電子シャシを所望の構造体に取り付けるためのブラケットの分解図である。
【図8】伝導冷却用に設計され、マンドレルを包むことによって作製されたシャシの断面図である。
【図9】図8に示されているシャシの切断図である。
【図10】実施例内で述べられている4分の1スケールのプロトタイプシャシの斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 多材料プリプレグシート
12 搬送装置
20 第1のセクション
30 第2のセクション
40 第3のセクション
50 ホットローラ
60 ロール
70 実施形態
90 幅広スリットのダイ
100 電子シャシ
110 層、第1の層、コールドウォールプレート
120 層、フォーム層
125 伝導性プレート
127 フィン
129 流体
130 層
135 アルミニウム箔層
140 層
150 層
160 マンドレル
170 回転シャフト
180 カバープレート
190 ブラケット
192 アンカー
200 フレーム
210 空気路開口
220 導管
230 金属バンド
310 基板
320 ポータル
400 外部支持フレーム
【背景技術】
【0001】
電気構成部品および電子構成部品用のハウジングは、内部の構成部品を支持し外力に抗するのに十分な機械的特性を有することに加えて、場合によってはまた、電子構成部品の適正な機能を保証するために、電磁放射から遮蔽しなければならない。多くの場合、電子ハウジングが電子回路によって生成された熱の除去を容易にすることも必要である。これらの理由で、ハウジングは、必要な強度、電磁放射の遮蔽、熱除去能力を提供するために、しばしば金属性とされる。しかし、金属ハウジングは、比較的重く、機械加工が必要とされる場合、製造するのに比較的コストがかかるという欠点を有する。
【特許文献1】米国特許第6764628号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
したがって、電気構成部品または電子構成部品を安全に収容するように、電磁放射から遮蔽し、熱除去を容易にし、十分な強度を有する電気構成部品または電子構成部品用の軽量ハウジング、ならびにそのようなハウジングの構築用の好適な材料および方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
相異なる材料で処理された複数のセクションを有する強化繊維シートを使用して作製された電気構成部品または電子構成部品用のハウジング、ならびにそのようなハウジングを作製するための方法および材料が開示される。本発明の実施形態の説明において、相異なる材料で処理された複数のセクションを有する強化繊維シートは、以下「多材料プリプレグシート」と称されることがあり、電気構成部品または電子構成部品用のハウジングは、以下「電子シャシ」と称されることがある。
【0004】
本発明の一実施形態では、多材料プリプレグシートを使用して電子シャシを作製するための方法であって、フレームを用意するステップと、フレーム内で、回転シャフトを有するマンドレルと、電子シャシの一部分になる1つまたは複数の構成要素とを位置決めするステップと、第1の材料で処理された第1のセクションと、第2の材料で処理された第2のセクションと、1つまたは複数の任意選択の追加材料で処理された1つまたは複数の任意選択の追加セクションとを有する、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを含む多材料プリプレグシートを用意するステップと、回転シャフトを使用してマンドレルおよびフレームを回転し、そこに、多材料プリプレグシートの各セクションによって提供される機能をシャシが必要とするマンドレルの領域上でプリプレグシートの各セクションが位置決めされるように、多材料プリプレグシートを付着するステップとを含む方法が開示される。シートの相異なる材料のセクションは、シートの長さに沿って軸方向で位置しても、シートの幅にわたって横断方向で位置してもよく、または軸方向位置と横断方向位置の組合せでもよい。マンドレルを多材料プリプレグシートで包み終わった後で、シリコーンゴムシートなど封入材料を追加で1回またはそれ以上巻き、硬化中に、包まれたマンドレルを固定および加圧する。別法として、包まれたマンドレルは、閉じられている、区分けされた型内に配置することができる。包みの内部表面に対する追加の圧力が必要とされる場合、最初に細長い袋をマンドレルの周りに巻き、次いでガスを注入し、袋を部分的に膨らませ、巻いたもの(wrap)を外壁に押し付けることによって、圧力を生成することができる。このように固定して、次いで、包まれたプリプレグ材料は、大気圧でのオーブン内で、または圧力下でのオートクレーブ内で硬化される。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1のセクションは、電磁放射から遮蔽する材料で処理され、第2のセクションは、構造上の完全性(integrity)をもたらす材料で処理され、第3のセクションは、保護外部表面をもたらす材料で処理される。他の実施形態では、コールドウォールプレート、および伝熱用の隣接する開放構造型の層が、フレームを多材料プリプレグシートで包む前にマンドレル上で予め位置決めされる。追加の実施形態では、フレームは、コールドウォールプレートから熱を除去するために流体が入るための開口と、ドアを取り付けるように適合された導管と、ラインリムーバブルユニット(LRU)または回路板を係留(anchor)するためのブラケットとを含む。他の実施形態では、熱除去を容易にするために、コールドウォールプレートのいくつかの表面が高熱伝導性の経路によって、フィンまたは金属構造体など、外部のヒートシンクに接続されるように、コールドプレートが、高熱伝導性の材料から形成される。
【0006】
本発明の他の実施形態では、多材料プリプレグシートを使用して作製された電子シャシであって、1つまたは複数の構成要素が中で位置決めされているフレームと、多材料プリプレグシートとを備え、その多材料プリプレグシートが、第1の材料で処理された第1のセクションと、第2の材料で処理された第2のセクションと、1つまたは複数の任意選択の追加材料で処理された1つまたは複数の任意選択の追加セクションとを有する、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを含み、多材料プリプレグシートの各セクションが、マンドレルの周りの1つまたは複数の層に対応する、電子シャシが提供される。
【0007】
本発明の他の実施形態では、第1の材料で処理された第1のセクションと、第2の材料で処理された第2のセクションと、1つまたは複数の任意選択の追加材料で処理された1つまたは複数の任意選択の追加セクションとを有する、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを含む多材料プリプレグシートが提供される。布またはブレード内に含浸される材料またはマトリクスコンパウンドは、熱硬化性樹脂と、特定の特性をプリプレグに与えるための、一般に1つまたは複数の添加剤とを含有する。
【0008】
本発明の追加の実施形態では、多材料プリプレグシートを作製するための方法であって、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを用意するステップと、第1の材料を、所定の長さのブレードまたは織布シートの第1のセクションに付着するステップと、第2の材料を、所定の長さのブレードまたは織布シートの第2のセクションに付着するステップと、任意選択で、1つまたは複数の任意選択の追加材料を、所定の長さのブレードまたは織布シートの1つまたは複数の任意選択の追加セクションに付着するステップとを含む方法が開示される。
【0009】
前述の概要から容易に理解されるように、本発明は、電磁放射からの遮蔽と、熱除去を容易にするための手段と、電気構成部品または電子構成部品を安全に収容するための十分な機械的完全性とをもたらす、電気構成部品または電子構成部品用のハウジングを提供し、これらのハウジングは、以前から使用されているハウジングより軽量のものであり、より容易に製造することができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態および代替の実施形態について、以下の図面を参照して詳細に述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に図1Aおよび図1Bを参照すると、本発明の一実施形態による、電気構成部品または電子構成部品用のハウジングを構築するために多材料プリプレグシート10を生産するための装置および方法の一実施形態が示され、述べられている。最初に、所定の長さおよび幅の、未処理のブレードまたは織布シートが、搬送装置12を使用して供給される。次いで、未処理のブレードまたは織布シートの所定の各長さを、第1の材料、第2の材料、および任意選択の第3の材料で処理し、第1の材料で処理された第1のセクション20と、第2の材料で処理された第2のセクション30と、図のように任意選択の第3の材料で処理された任意選択の第3のセクション40とを有する多材料プリプレグシート10を生産する。次いで、多材料または布プリプレグシート10は、ホットローラ50間で統合され、さらに処理するためにロール60上に収集される。図1Aおよび図1Bに示されている実施形態では、諸材料は、配合ポリマーまたはポリマーで被覆された金属膜として付着され、その後で溶解され、シート内に含浸される。図1Cに示されている代替の実施形態70では、隣接する幅広スリットのダイ90が、順次、3つの異なる材料のホットメルトを、移動する未処理のブレードまたは織布シートの3つの異なるセクション上に分注し、多材料プリプレグシート10の第1のセクション20、第2のセクション30、第3のセクション40を形成する。これらの異なる材料は、図のようにギヤポンプ80、または押出機、あるいは計量ポンピングのための他の手段によって加圧することができる。
【0012】
所望の特性を有する多材料プリプレグシート10を生産するために、様々な材料を使用し、未処理のブレードまたは織布シートを処理することができることを理解されたい。たとえば、一実施形態では、第1のセクション20は、電磁放射から遮蔽する材料で処理され、第2のセクション30は、構造上の完全性をもたらす材料で処理され、第3のセクション40は、保護外部表面をもたらす材料で処理される。下記でより詳細に論じるように、混合を容易にするような低い粘度を有するエポキシを使用し、所望のマトリクス材料を未処理のブレードまたは織布シートに付着する。
【0013】
次に図2を参照すると、マンドレル160を多材料プリプレグシートで包むことによって作製される電子シャシ100の一実施形態を示す2つの断面図が示されている。電子シャシ100は、シャフト170上で回転する分割マンドレル160の周りで位置決めされた複数の層110、120、130、140、150で構成される。マンドレル160は、除去を容易にするために、複数の部分に区分けされている。カバープレート180が、マンドレル160の端部上で位置決めされ、電子シャシ100の前部カバーおよび後部カバー用の取付け表面をもたらし、多材料プリプレグシートのための境界表面をもたらす。ラインリムーバブルユニット(LRU)または回路板を係留するためのブラケット190を、マンドレル160内に挿入してもよい。ブラケット190は、任意選択で、電子シャシ100の第1の層110を介して延在するアンカー192を含むことができる。
【0014】
図2に示されている実施形態では、層110は、コールドウォールプレートである。コールドウォールプレートは、アルミニウム、またはやはり金属内でクラッディングされてもよい高伝導性の黒鉛状炭素製とすることができる。コールドウォール用の好ましい材料は、たとえば、Momentive Performance Materials(オハイオ州ストロングズヴィル)から入手可能なTC1050など、黒鉛プレートを含む。電子シャシ100の他の表面もまた、熱管理の必要に応じてコールドウォールとすることができる。層120は、ERG(カリフォルニア州オークランド)から入手可能なアルミニウムフォーム、またはPoco Graphite(テキサス州ディケーター)から入手可能な炭素フォームなど、任意選択の連続気泡伝導性フォーム層である。別法として、伝熱空間には、層110のコールドウォールに取り付けられた一連のフィンが含まれてもよい。空気または液体など伝熱媒体が外部のマニフォルドから、フォームまたはフィンを介して流れ、電子シャシ100の内部の電子回路によって生成された熱を除去する。
【0015】
次の層130、140、150は、相異なるマトリクス組成物が含浸された複数のセクションを有する、長い連続的なブレードまたは織布シート、またはそれぞれに異なるマトリクス組成物が含浸される2つ以上の、より短いブレードまたは織布シートとすることができる巻き上げられた(wound)ブレードまたは織布シートを含む。好適な未処理の繊維および布は、たとえば、Zoltec(ミズーリ州ブリッジトン)から入手可能なPanex30など、平織り炭素繊維、またはA&P Technology(オハイオ州シンシナティ)から入手可能な炭素繊維の2軸もしくは3軸ブレードを含む。エポキシが予め含浸された、好適な市販のブレードは、Entropreg(オハイオ州コロンバス)から入手可能なEntropreg916である。他の好適な布材料は、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、鉱物繊維(たとえば、Basaltex、Basaltex−Flocart、Wevelgem、Belgium)、およびアラミド繊維(デラウェア州ウィルミントンのDuPontからのKevlarおよびNomex)を含む。
【0016】
所望のマトリクス材料を未処理のブレードまたは織布シートに付着するために、混合を容易にするような低い粘度を有するエポキシが使用される。好適なエポキシは、たとえば、Hexion Specialty Materialsによって製造されるEpon862樹脂およびEpi−Kure Wを含む。特定の応用例向けの多数のものを含めて、多数の他のエポキシ配合物が使用可能であり、当技術分野で周知である。所望のマトリクス材料の応用例向けの他の好適な熱硬化性材料は、たとえば、ビスマレイミド、フェノール樹脂、ポリイミド、ビニルエステル、およびシアン酸エステルを含む。
【0017】
図2に示されている実施形態では、層130は、シャシ内の電子構成部品に対する電磁遮蔽を実現し、内部で生成された電磁放射がシャシから逃げるのを防止する目的で、高導電性および/または磁性のものである。層130用のマトリクス組成物は、高導電性および/または磁性の膜または添加剤を含有する。強化布プリプレグ上に配置すべき好適な伝導性膜は、アルミニウム箔またはナノペーパまたはニッケルナノストランドベールであり、それらのいずれかが、プリプレグの隣接する層に結合されることになる。好適な粒状材料は、たとえば、Applied Sciences,Inc.(オハイオ州シーダーヴィル)から入手可能なPYROGRAF III繊維など炭素ナノ繊維、Nanocyl(ベルギー、サンブルヴィル)から入手可能なNanocyl(登録商標)7000など炭素ナノチューブ、Metal Matrix Composites(ユタ州マグマ)から入手可能なニッケルナノストランド、Asbury Carbons(ニュージャージー州アズベリー)から入手可能なAsbury Carbon 4827などグラフェンプレートレット、Honeywell Aerospace(インディアナ州サウス・ベンド)から入手可能な中空炭素マイクロスフェア、および、Sulzer Metco(カナダ、フォート・サスカチェワン)から入手可能なEF2901などNiコーティングを有するものを含むE&L Enterprises(テネシー州オークデール)からの短い(ミルド、または1/8インチ)炭素繊維を含む。
【0018】
PYROGRAF III繊維は、約100nmの直径、および約150:1から約1500:1のアスペクト比で使用可能である。そのようなナノ繊維は、ナノ繊維を所望のマトリクス材料内で分散させるのを容易にする酸化を含めて、所望の特性を有するナノ繊維を生産するために、様々な方法で熱処理することができる。望むなら、ナノ繊維は、米国特許第6764628号で述べられているように、非常に配向されたマイクロファイバに紡糸することができ、この特許は、参照によりその全体を本明細書に組み込む。また、ナノ繊維は、低い電気抵抗率(すなわち、0.3Ω・cm)を有する、ナノペーパとして知られる緻密層を形成するように処理することができる。
【0019】
層140に組み込むための好適な中空炭素マイクロスフェアは、たとえば、高温処理を使用してフェノール樹脂から生成され、約0.155g/ccのバルクまたはタップ密度、および約40ミクロンから55ミクロンに及ぶ直径を有するものを含む(インディアナ州サウス・ベンドのHoneywell Aerospace)。約0.35g/ccのバルク密度、および約85ミクロンの平均直径を有するガラスマイクロスフェアもまた、使用することができる(ミネソタ州ミネアポリスの3M)。好適なニッケルナノストランド金属マトリクス複合体は、約50nmから約2000nmの直径と、約50:1から約500:1のアスペクト比を有し、凝集されていないものを含む。そのようなニッケルナノストランド金属マトリクス複合体は、約100g/m2、200g/m2(抵抗率0.1Ω・cm)、および300g/m2(抵抗率0.003Ω・cm)の面密度を有するベールで使用可能である。ペレット内に軸方向で埋め込まれたものを含めて、好適なニッケル被覆繊維は、Sulzer Metco(カナダ、フォート・サスカチェワン)などのベンダから、いくつかの熱可塑性樹脂に対して市販されている。これらの材料は、約60〜80dBのEMI遮蔽を実現し、約1.2〜1.4g/ccの密度を有する。好適な金属被覆ナノ繊維は、NanoSperse(オハイオ州アクロン)から熱可塑性マスターバッチで市販されている銀およびニッケル被覆ナノ繊維を含む。ニッケルなど磁性金属コーティングは、磁気遮蔽を強化する。
【0020】
図2に示されている実施形態では、層140は、電磁遮蔽を強化することを重要視せずに、またはあまり重要視せずに、機械特性を最適化し、かつ/または電子シャシ100の重量を削減するために使用されるマトリクス組成物を含有する。これを達成するために使用されるマトリクス組成物は、層130および層150に使用されるものと異なる。この実施形態の層140は、層130および層150に連続的に接続されることが好ましい。所望の機械特性を電子シャシ100に与えるために使用することができる好適な材料は、たとえば、添加剤として樹脂に組み込まれた短い(1/8インチまでミルド)炭素繊維を含む。中空の炭素またはガラスのマイクロスフェアは、密度を低減し、それにより重量を低減する。場合によっては、中空マイクロスフェアは、エネルギー放散欠陥として働くことにより、靱性を増大することができる。炭素マイクロスフェアは、電磁遮蔽に貢献することができる。スフェアは、ニッケル被覆された場合、磁気遮蔽を強化することもできる。
【0021】
図2に示されている実施形態では、層150は、耐久性のある外部表面をもたらすように設計され、化粧用に着色してもよい。この層は、靱性または耐摩耗性をもたらすように設計されたマトリクス材料または添加剤材料で構成することができる。これらの目的のための好適なマトリクス材料および添加剤材料は、たとえば、エポキシ樹脂内で靱性を強化するための、カルボキシル基末端アクリロニトリルブタジエンコポリマー(carboxyl-terminated butadiene acrylonitrile copolymers)などゴム添加剤、およびエポキシ樹脂用に広範な色で使用可能である顔料を含む。エポキシに10体積%まで添加されたアルミニウムおよび黒鉛粉末は、硬度および耐摩耗性を高め、日光から保護する。そのような材料は、West Systems(ミシガン州ベイ・シティ)から入手可能である。また、火に直接さらされることが最も多い層内で、当技術分野で周知の難燃剤を濃縮(concentrate)させることが望ましいこともある。これは、外部の火に対してはシャシの外側の層、および/または火が内部で発生する可能性が高い場合、最も内側の層となる可能性がある。
【0022】
次に図3、上部パネルを参照すると、マンドレル160と、マンドレル160に対して予め位置決めされたいくつかの構成要素層とが示されている。上述のように、コールドウォールプレート110、フォーム層120、マンドレル160、回転シャフト170が示されている。多材料プリプレグシートで包む前に、コールドウォールプレート110と、フォーム層120と、回転シャフト170を有するマンドレル160とが、(図3、下部パネルに示されている)フレーム200内で予め位置決めされる。フレーム200は、電子シャシ100の内部の電子回路によって生成された熱の除去を容易にする空気路開口210と、図の実施形態ではマンドレル160によって占有される、ドアを取り付けるように適合された導管220とを含む。図の実施形態におけるフレーム200はまた、ラインリムーバブルユニット(LRU)または回路板を係留するためのブラケット190を含む。フレームの奥行きに応じて、ブラケット190は、フレーム200またはコールドウォールプレート110に取り付けられる。フレームは、たとえば、スタンピングされたアルミニウムまたは複合シートまたは射出成形複合コンパウンドを含めて、様々な材料から作製することができる。
【0023】
次に図4を参照すると、マンドレル160と、フレーム200内でマンドレル160に対して予め位置決めされた様々な構成要素層とを有するフレーム200が示されている。上述のように、コールドウォールプレート110、フォーム層120、マンドレル160、回転シャフト170、フレーム200、空気路開口210、導管220が示されている。マンドレル160および様々な予め位置決めされた構成要素層を有するフレーム200を多材料プリプレグシートで包み、電子ハウジング100の調製を完了する。
【0024】
次に図5を参照すると、マンドレル160と様々な予め位置決めされた構成要素層を多材料プリプレグシートで包み、電子シャシ100を形成することを示す、本発明の一実施形態の斜視図が示されている。上述のように、第1の材料で処理された第1のセクション20と、第2の材料で処理された第2のセクション30と、任意選択の第3の材料で処理された任意選択の第3のセクション40と、ロール60と、コールドウォールプレート110と、フォーム層120と、マンドレル160と、回転シャフト170とが示されている。フレームは、内部の巻いたものをよりよく示すことができるように、示されていない。包む工程は、図のようにマンドレル160の回転を含むことができる。別法として、マンドレルは静止したままとし、フィードロールアセンブリをマンドレルの周りの軌道内で回転することができる。他の代替では、単一の連続する工程で、プリプレグシートを連続的に形成し、回転するマンドレルの周りで直ちに巻くことができる。ブレードがシート材料として使用される場合、巻かれるブレードの幅は、包む工程中に、フィードロールのトルク(brake torque)によって制御することができる。トルクを増大することにより、ブレード内の張力が増大し、ブレードの幅が減少(長さが増大)し、逆も同様である。
【0025】
次に図6を参照すると、マンドレル160と様々な予め位置決めされた構成要素層とを有するフレーム200を多材料プリプレグシートで包み、電子シャシ100を形成することによって作製された、本発明の電子シャシ100の一実施形態の分解図が示されている。上述のように、組み立てられた電子シャシは、コールドウォールプレート110と、フォーム層120と、マンドレル160と、ブラケット190と、フレーム200と、空気路開口210と、導管220とを含む。また、上述のように、組み立てられた電子シャシは、高導電性および/または磁性の層130と、電子シャシ100の機械特性を最適化するために使用されるマトリクス組成物を含有する層140と、電子シャシ100に耐久性のある外部表面をもたらすように設計される層150とを含む。
【0026】
次に、図7を参照すると、電子シャシに対する補強および避雷を実現するための金属バンド230を含む、本発明の電子シャシ100の一実施形態の分解図が示されている。上述のように、完成済みの電子シャシ100は、コールドウォールプレート110と、フォーム層120と、フレーム200と、導管220とを含む。また、上述のように、完成済みの電子シャシは、高導電性および/または磁性の層130(図示せず)と、電子シャシの機械特性を最適化するために使用されるマトリクス組成物を含有する層140(図示せず)と、電子シャシに耐久性のある化粧外部表面をもたらすように設計される層150とを含む。上述のように、マンドレル160は、完成済みの電子シャシ100から除去されており、その結果、電子構成部品を、完成済みの電子シャシ100の空の内部に設置することができる。金属バンド230は、電子シャシ100の外側表面に固定される。金属バンド230は、たとえば、アルミニウムの帯を含めて、様々な材料から作製することができる。ブラケットを使用し、電子シャシ100を任意の所望の構造体に取り付けることができる。たとえば、アビオニクス分野では、ブラケットを使用し、電子シャシ100を航空機の機体に取り付け、それにより電子シャシ100内に含まれる電子構成部品に対する避雷を実現することができる。金属バンド230は、さらに電子シャシ100を構造的に支持し補強する。
【0027】
図8は、伝熱がシャシの内部上面および内部底面上の高伝導性のプレート125によって行われる代替の一実施形態の断面図を示し、図9は切断図を示す。この実施形態では、EMI遮蔽用のアルミニウム箔層135が、外部保護層150と構造層140の間で位置決めされる。この区分けされた図に示されているように、電子構成部品300によって生成された熱は、矢印によって示されているように、基板310に沿って、また伝導性プレート125によってシャシの後部または前部を介して伝導される。熱は、シャシ壁内の高伝導性のポータル320を介して流れ、外部支持フレーム400によって運び去られ、外部支持フレーム400それ自体は、流れる流体129によって、またはフィン127による自由対流によって、または放射によって冷却される可能性があり、これは宇宙環境で効果的である。
【0028】
層の数および順序、それらの組成、それらの機能は、特定の製品要件を満たすように変更することができることを理解されたい。
また、マンドレルを包む工程は、棒高跳びのポールまたはゴルフクラブなど運動器具、ならびにアビオニクスシャシなど機械構成部品および電子構成部品用のハウジングを含めて、任意の数の応用例向けの、機能層を有する中空構造を生産するために使用することができることを理解されたい。
【0029】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示しており、本開示を限定するものと解釈すべきでない。
【実施例】
【0030】
作製工程を示すために、およそ4分の1スケールの電子回路シャシが、使用可能な材料を使用して作製された。作製されたシャシは、図7に示されている設計に対応しており、図10に斜視図で示されている。マンドレル(図示せず)は、木製の10.2cm×10.2cm×10.2cm(4”×4”×4”)の立方体であり、2つのほぼ等しい、ほぼ長方形のセクションに切断された。硬化の後でマンドレルセクションを滑らせて除去するのを容易にするために、わずかに角度をなして切断され、2つのセクションは、2枚のプレートをそれぞれ4本のねじによって固定することによって共に保持された。アルミニウムフレーム200は、厚さ0.159cm(0.0625インチ)のL字チャネルのセクションから作製され、1.27cm(0.5インチ)だけマンドレルに沿って延在し、巻き層150のための境界として働く薄い(0.635cm(0.25インチ))上部および下部セクション202を有していた。フレームの面の寸法は、厚さ約0.381〜0.483cm(0.15〜0.19インチ)である巻いたもの150をちょうど覆うように選択された。フレームの2つの側部は、1.91cm(0.75インチ)延在し、冷却用流体を導入するための開口210を含んでいた。厚さ0.159cm(0.0625インチ)の2枚のアルミニウムプレートが、コールドプレート110として機能するように、マンドレルの側部上に配置された。フレームセクションは、エポキシによって固定された。次に、2片の厚さ1.27cm(0.5インチ)のアルミニウムフォーム120が、伝熱流体用のチャネルをもたらすように、コールドプレートに隣接して配置された。マンドレル上の前部フレームと後部フレーム200は同一であった。プリプレグを包むための均一に平坦な表面をもたらすために、底面および上面上の前部フレームプレートと後部フレームプレートの間の0.159cm(0.0625インチ)の間隙が、厚さ0.159cm(0.0625インチ)の木板(図示せず)で埋められた。エポキシプリプレグとの接着を防止するために、Kaptonシート117が木板の上に配置された。
【0031】
プリプレグの最初の4層は、平坦に敷かれたとき厚さ約0.0305cm(0.012インチ)(2層)、幅15.2cm(6インチ)があったNomexブレードから調製された。このブレードは、巻いたものに必要とされる幅10.2cm(4インチ)をもたらすように伸張された。単一の巻いたものは、長さ約43.2cm(17インチ)であった。エポキシマトリクス材料は、Epikure W硬化剤が重量比100:26で混合されたHexcel Epon862樹脂であった。第1の層は、6.1体積%のPYROGRAF III炭素ナノ繊維を含有するエポキシコンパウンドが含浸された。次の3層は、19体積%の中空炭素マイクロスフェアを有するエポキシからなるものであった。添加剤を含んだエポキシコンパウンドが、約54体積%配合でNomexブレードに付着された。このコンパウンドは、液体流をブレード上に分注し、次いでスキージを使用し、ブレードの表面を覆うようにコンパウンドを広げ含浸することによって付着された。含浸されたブレードのセクションは、約65℃で維持されたホットプレートの上で位置決めされた。ブレードの各セクションは、コンパウンドが含浸されているので、2枚のKapton膜の間に配置され、ロールに巻き上げられた。
【0032】
次いで、含浸されたブレードは、(面プレートが示されている)フレーム200と、フォーム層120(この場合には、アルミニウムフォームパネル)パネルと、コールドウォールプレート110(この場合には、アルミニウム)、木製スペーサ115と、この木材と巻き上げられたブレードの間のKaptonカバー117とからなるマンドレルアセンブリに付着された。マンドレルはゆっくり回転され、ブレードにかかる張力は、面プレート間に合うように、必要とされる幅をもたらすように調整された。最初に、EMI遮蔽をもたらすために、ナノ繊維層が付着された。次に、強い低密度層をもたらすために、3つのマイクロスフェア層が付着された。最後の巻いたもの105は、市販のプリプレグブレード、すなわち、40%のエポキシと12K/towの炭素繊維からなるEntrotech916であった。このプリプレグは、供給されたとき厚さ0.216cm(0.085インチ)(2層)および幅5.46cm(2.15インチ)であった。ブレードの幅は、ブレードを幅方向で伸張することによって、対応する長さの減少を伴って10.2cm(4インチ)に増大された。単一の層の外部保護層150(この場合には、Entrotechブレード)が、構造耐久性をもたらすために付着された。
【0033】
硬化中に、包まれたマンドレルに圧力を与えるために、シリコーンゴムの帯が外部のEntrotechブレードの周りでしっかり巻かれ、しっかり巻かれた細い弾性バンドによって定位置に保持された。次いで、この包まれた構造体は、熱風炉内で、121℃で4時間の間、硬化された。冷却後、硬化されたシャシは、マンドレルから容易に除去された。シャシは、所望の軽量および剛性特性を有していた。
【0034】
本発明の好ましい実施形態について示し、述べたが、上記で指摘したように、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、多数の変更を加えることができる。たとえば、シャシの内部にアクセスすることができるように、デバイスの巻きセクション内に開口を切ることができる。したがって、本発明の範囲は、好ましい実施形態の開示によって限定されない。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲を参照して全体的に決定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】電気構成部品または電子構成部品用のハウジングを構築するために、マトリクスコンパウンドの膜を布内に含浸することによって多材料プリプレグシートを生産するための装置および方法を示す斜視図である。
【図1B】電気構成部品または電子構成部品用のハウジングを構築するために、マトリクスコンパウンドの膜を布内に含浸することによって多材料プリプレグシートを生産するための装置および方法を示す斜視図である。
【図1C】本発明による、3つのマトリクスコンパウンドを布内に含浸するためのシートダイの切断図である。
【図2】本発明の一実施形態による多材料プリプレグシートでマンドレルを包むことによって作製された電子シャシを示す2つの断面図である。
【図3】上部パネルは、マンドレルと、マンドレルに対して予め位置決めされたいくつかの構成要素層とを示し、下部パネルは、示されている構成要素層をマンドレルに対して予め位置決めするためのフレームを示す図である。
【図4】マンドレルと、フレーム内でマンドレルに対して予め位置決めされた様々な構成要素層とを有するフレームの図である。
【図5】マンドレルと様々な予め位置決めされた構成要素層とを有するフレームを多材料プリプレグシートで包むことを示す斜視図である。
【図6】マンドレルと様々な予め位置決めされた構成要素層とを有するフレームを多材料プリプレグシートで包むことによって作製された、組立済みの電子ハウジングの分解図である。
【図7】完成済みの電子シャシ、および電子シャシを所望の構造体に取り付けるためのブラケットの分解図である。
【図8】伝導冷却用に設計され、マンドレルを包むことによって作製されたシャシの断面図である。
【図9】図8に示されているシャシの切断図である。
【図10】実施例内で述べられている4分の1スケールのプロトタイプシャシの斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 多材料プリプレグシート
12 搬送装置
20 第1のセクション
30 第2のセクション
40 第3のセクション
50 ホットローラ
60 ロール
70 実施形態
90 幅広スリットのダイ
100 電子シャシ
110 層、第1の層、コールドウォールプレート
120 層、フォーム層
125 伝導性プレート
127 フィン
129 流体
130 層
135 アルミニウム箔層
140 層
150 層
160 マンドレル
170 回転シャフト
180 カバープレート
190 ブラケット
192 アンカー
200 フレーム
210 空気路開口
220 導管
230 金属バンド
310 基板
320 ポータル
400 外部支持フレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多材料プリプレグシートを使用して電子シャシを作製するための方法であって、
フレームを用意するステップと、
前記フレーム内で、回転シャフトを有するマンドレルと、前記電子シャシの一部分になる1つまたは複数の構成要素とを位置決めするステップと、
第1の材料で処理された第1のセクションと、第2の材料で処理された第2のセクションと、任意選択で1つまたは複数の追加材料で処理された1つまたは複数の追加セクションとを有する、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを含む多材料プリプレグシートを用意するステップと、
前記回転シャフトを使用して前記マンドレルおよび前記フレームを回転し、そこに、前記プリプレグシートの各セクションが前記マンドレルおよび前記フレームの周りで少なくとも1つの層を形成するように、前記多材料プリプレグシートを付着するステップと、
前記包まれたマンドレルを前記シャフトから除去するステップと、
前記包まれたマンドレルを、追加の除去可能な層または剛性の型によって固定するステップと、
前記固定され包まれたマンドレルをオーブンまたはオートクレーブ内で硬化するステップとを含み、
前記フレームが、空気ダクト用の1つまたは複数の導管と、ドアを取り付けるための導管と、回路板またはラインリムーバブルユニットを係留するための1つまたは複数のブラケットとを含み、前記1つまたは複数の構成要素が、コールドウォールプレートと、伝熱用の構造層とを含み、前記ブラケットが、前記コールドウォールプレートを介して延在するアンカーを含み、前記ブレードまたは織布シートが平織り炭素繊維であり、前記第1の材料が電磁放射から遮蔽し、前記第2の材料が構造上の完全性をもたらし、第3の材料が保護外部表面をもたらし、前記第1の材料が、ニッケル被覆炭素繊維を有するエポキシコンパウンドを含み、前記第2の材料が、中空炭素マイクロスフェアおよびミルド炭素繊維を有するエポキシコンパウンドを含み、前記第3の材料が、難燃剤および顔料を有するエポキシコンパウンドを含む、方法。
【請求項2】
多材料プリプレグシートを使用して作製された電子シャシであって、1つまたは複数の構成要素層が中で位置決めされているフレームと、多材料プリプレグシートとを備え、前記多材料プリプレグシートが、第1の材料で処理された第1のセクションと、第2の材料で処理された第2のセクションと、任意選択で1つまたは複数の追加材料で処理された1つまたは複数の追加セクションとを有する、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを含み、前記プリプレグシートの各セクションが前記フレームの周りで少なくとも1つの層を形成し、前記フレームが、流体流用の1つまたは複数の導管と、ドアを取り付けるための導管と、回路板またはラインリムーバブルユニットを係留するための1つまたは複数のブラケットとを含み、前記1つまたは複数の構成要素が、コールドウォールプレートと、伝熱用の構造層とを含み、前記ブラケットが、前記コールドウォールプレートを介して延在するアンカーを含み、所定の長さおよび幅の前記ブレードまたは織布シートが平織り炭素繊維であり、前記第1の材料が電磁放射から遮蔽し、前記第2の材料が構造上の完全性をもたらし、第3の材料が保護外部表面をもたらし、前記第1の材料が、ニッケル被覆炭素繊維を有するエポキシコンパウンドを含み、前記第2の材料が、中空炭素マイクロスフェアおよびミルド炭素繊維を有するエポキシコンパウンドを含み、前記第3の材料が、難燃剤および顔料を有するエポキシコンパウンドを含む、電子シャシ。
【請求項3】
前記多材料プリプレグシートの各セクションが前記フレームの周りで2層から10層を形成し、シャシを所望の構造体に取り付けるための1つまたは複数の金属バンドをさらに備える請求項2に記載の電子シャシ。
【請求項1】
多材料プリプレグシートを使用して電子シャシを作製するための方法であって、
フレームを用意するステップと、
前記フレーム内で、回転シャフトを有するマンドレルと、前記電子シャシの一部分になる1つまたは複数の構成要素とを位置決めするステップと、
第1の材料で処理された第1のセクションと、第2の材料で処理された第2のセクションと、任意選択で1つまたは複数の追加材料で処理された1つまたは複数の追加セクションとを有する、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを含む多材料プリプレグシートを用意するステップと、
前記回転シャフトを使用して前記マンドレルおよび前記フレームを回転し、そこに、前記プリプレグシートの各セクションが前記マンドレルおよび前記フレームの周りで少なくとも1つの層を形成するように、前記多材料プリプレグシートを付着するステップと、
前記包まれたマンドレルを前記シャフトから除去するステップと、
前記包まれたマンドレルを、追加の除去可能な層または剛性の型によって固定するステップと、
前記固定され包まれたマンドレルをオーブンまたはオートクレーブ内で硬化するステップとを含み、
前記フレームが、空気ダクト用の1つまたは複数の導管と、ドアを取り付けるための導管と、回路板またはラインリムーバブルユニットを係留するための1つまたは複数のブラケットとを含み、前記1つまたは複数の構成要素が、コールドウォールプレートと、伝熱用の構造層とを含み、前記ブラケットが、前記コールドウォールプレートを介して延在するアンカーを含み、前記ブレードまたは織布シートが平織り炭素繊維であり、前記第1の材料が電磁放射から遮蔽し、前記第2の材料が構造上の完全性をもたらし、第3の材料が保護外部表面をもたらし、前記第1の材料が、ニッケル被覆炭素繊維を有するエポキシコンパウンドを含み、前記第2の材料が、中空炭素マイクロスフェアおよびミルド炭素繊維を有するエポキシコンパウンドを含み、前記第3の材料が、難燃剤および顔料を有するエポキシコンパウンドを含む、方法。
【請求項2】
多材料プリプレグシートを使用して作製された電子シャシであって、1つまたは複数の構成要素層が中で位置決めされているフレームと、多材料プリプレグシートとを備え、前記多材料プリプレグシートが、第1の材料で処理された第1のセクションと、第2の材料で処理された第2のセクションと、任意選択で1つまたは複数の追加材料で処理された1つまたは複数の追加セクションとを有する、所定の長さおよび幅のブレードまたは織布シートを含み、前記プリプレグシートの各セクションが前記フレームの周りで少なくとも1つの層を形成し、前記フレームが、流体流用の1つまたは複数の導管と、ドアを取り付けるための導管と、回路板またはラインリムーバブルユニットを係留するための1つまたは複数のブラケットとを含み、前記1つまたは複数の構成要素が、コールドウォールプレートと、伝熱用の構造層とを含み、前記ブラケットが、前記コールドウォールプレートを介して延在するアンカーを含み、所定の長さおよび幅の前記ブレードまたは織布シートが平織り炭素繊維であり、前記第1の材料が電磁放射から遮蔽し、前記第2の材料が構造上の完全性をもたらし、第3の材料が保護外部表面をもたらし、前記第1の材料が、ニッケル被覆炭素繊維を有するエポキシコンパウンドを含み、前記第2の材料が、中空炭素マイクロスフェアおよびミルド炭素繊維を有するエポキシコンパウンドを含み、前記第3の材料が、難燃剤および顔料を有するエポキシコンパウンドを含む、電子シャシ。
【請求項3】
前記多材料プリプレグシートの各セクションが前記フレームの周りで2層から10層を形成し、シャシを所望の構造体に取り付けるための1つまたは複数の金属バンドをさらに備える請求項2に記載の電子シャシ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−135446(P2009−135446A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−267778(P2008−267778)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267778(P2008−267778)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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