説明

電子機器、制御方法、及び制御プログラム

【課題】ノイズによるタッチパネルの誤作動を防ぐことができる電子機器、並びにその制御方法、制御プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の実施の形態にかかる電子機器20は、表示データを表示する表示装置22と、表示装置22に設けられ、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル23と、表示装置22に表示する表示データに応じて、タッチパネル23の感度を制御する制御部21と、を備えたものである。さらに、判定用表示データと、表示データとを比較することによって、タッチパネル23の感度を制御してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、並びにその制御方法と制御プログラムに関し、特に詳しくはタッチパネルを有する電子機器、並びにその制御方法と制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを有する携帯端末が広く利用されている。タッチパネルを用いて入力する場合、ノイズ等により誤作動することがある。特許文献1〜3には、タッチパネルの誤作動を低減する技術が開示されている。特許文献1では、LCDからのノイズを低減するために、接地電極を設けている。特許文献2では、位置検出信号を積分することによってサンプルを行うサンプル手段を設けている。そして、サンプル手段のサンプル開始タイミングを、表示パネルの駆動信号が反転するタイミングと同期させている。特許文献3では、押下位置を検出したアナログ信号に含まれるノイズ成分を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−331275号公報
【特許文献2】特開2001−166882号公報
【特許文献3】特開2001−125744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、接地電極を設ける必要があるため、製造工程が増加してしまう。また、特許文献2、3ではノイズを確実に除去することが困難であるため、タッチパネルがノイズ等で誤作動してしまうことがある。
【0005】
本発明は、ノイズによるタッチパネルの誤作動を防ぐことができる電子機器、及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の一態様にかかる電子機器は、表示データを表示する表示装置と、前記表示装置に設けられ、前記ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルと、前記表示装置に表示する表示データに応じて、前記タッチパネルの感度を制御する制御部と、を備えたものである。
【0007】
本願発明の一態様にかかる電子機器の制御方法は、表示データに基づいて、表示装置による表示を行うステップと、前記表示データに基づいて、前記表示装置に設けられたタッチパネルの感度を制御するステップと、を備えるものである。
【0008】
本願発明の一態様にかかる制御プログラムは、電子機器を制御する制御プログラムであって、表示データに基づいて、表示装置による表示を行ステップと、前記表示データに基づいて、前記表示装置に設けられたタッチパネルの感度を制御するステップと、を、コンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ノイズによるタッチパネルの誤作動を防ぐことができる電子機器、並びにその制御方法、制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電子機器の構成を示すブロック図である。
【図2】タッチパネルの感度調整を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態にかかる電子機器の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0012】
本発明にかかる電子機器の構成について、図1を用いて説明する。本実施形態に係る電子機器11は、CPU(Central Processing Unit)12、バス13、ROM(Read Only Memory)14、作業用メモリ15、LCD(Liquid Crystal Display)16、タッチパネル17を有している。
【0013】
CPU12は、バス13を介して、ROM14、作業用メモリ15、LCD16、及びタッチパネル17に接続されている。CPU12は、ROM14、作業用メモリ15、LCD16、及びタッチパネル17を制御する。さらに、電子機器11が、携帯電話などの携帯端末装置の場合、CPU12は、電話機能、通信機能等を制御する。ROM14は、CPU12が実行するための、各種制御プログラムが格納されている。さらに、ROM14は、LCDノイズが大きい表示データを格納している。すなわち、実際の表示される表示データのLCDノイズの大きさを判定するための判定用表示データが、ROM14に格納されている。さらに、ROM14には、推定されたLCDノイズに応じて、タッチパネル17の感度を調整するための制御プログラムが格納されている。
【0014】
作業用メモリ15は、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)を有している。CPU12がプログラムを実行することで、一時的に必要とされるデータを格納する。LCD16は、液晶表示パネルを有する表示装置であり、CPU12が作成した表示データを表示する。
【0015】
タッチパネル17は、LCD16の前面に設けられた入力装置である。ユーザがタッチパネル17をタッチすると、タッチした箇所の座標データを出力する。LCD16に入力内容に応じたアイコン等が表示される。ユーザが、アイコンが表示された箇所をタッチすると、タッチした箇所の座標データがCPU12に出力される。CPU12は、タッチした箇所の座標データから、どのアイコンをタッチしたのかを判別する。そして、CPU12が、タッチされたアイコンに応じた処理を実施する。このように、タッチパネル17は、LCD16の表示画面に応じたユーザからの入力を受け付ける。
【0016】
タッチパネル17の動作について具体的に説明する。ユーザがタッチパネル17を押すと、タッチパネル17のセンサー電極間の容量が変化する。その変化分を検出することで、タッチ箇所の座標を求めることができる。タッチパネル17は、後述するように、感度調整機能を有している。
【0017】
タッチパネル17は、LCD16と重ね合わされた状態となっている。従って、タッチパネル17が、LCD16から放射されるノイズ(LCDノイズともいう)の影響を受けることがある。LCDノイズのレベルが大きい場合、タッチパネル17は誤動作してしまう事がある。そこで、本実施形態では、CPU12がタッチパネル17の感度を調整している。より具体的には、CPU12は、LCD16に表示されている表示データと、ROM14に記憶されている判定用表示データとを比較する。この比較結果に応じて、LCDノイズのレベルを推定して、タッチパネル17の感度を調整する。LCDノイズのレベルが大きい場合、タッチパネル17の感度を下げる。一方、LCDノイズの小さい場合、タッチパネル17の感度を上げる。例えば、上述した容量の変化を検出するためのしきい値を変える。これにより、タッチパネル17の感度を調整することができる。このように、LCD16に表示する表示データに応じて、タッチパネル17の感度を調整する。こうすることで、簡便かつ適切に感度を調整することができ、ノイズによるタッチパネル17の誤作動を防ぐことができる。
【0018】
次に、図2を用いて、タッチパネル17の感度調整を行う処理に付いて説明する。図2は、タッチパネル17の感度調整を示すフローチャートである。まず、LCD16において表示更新の要求があったか否かを判定する(ステップS101)。すなわち、LCD16で表示される表示データが新しい表示データに更新されたか、あるいは、表示データに変更がないかを判定する。具体的には、ユーザがタッチパネル17あるいはその他の入力手段を操作することによって、次の表示に移る場合、表示更新が要求される。表示更新要求がない場合(ステップS101のNo)、表示更新要求があるまで、ステップS101の判定を繰り返す。
【0019】
表示更新要求があった場合(ステップS101のYes)、表示更新用の表示データAと、ROM14に登録されている表示データBとのマッチング率を計算する(ステップS102)。すなわち、ROM14に判定用表示データとして記憶されていた表示データBと、新しく表示する表示データAとを比較する。ここでは、表示データAと表示データBとを比較するため、パターンマッチングによって、マッチング率を計算する。このマッチング率に応じて、LCDノイズの大きさを推定することができる。マッチング率の計算は、公知のパターンマッチング演算により行うことができる。表示データAと表示データBによる画像が類似しているほど、マッチング率(マッチング度)が高くなる。
【0020】
次に、マッチング率が20%以下であるか否かを判定する(ステップS103)。マッチング率が20%以下である場合(ステップS103のYes)、表示データAが、LCDノイズが高くなる表示データBと類似していない。よって、表示データAによるLCDノイズが低くなると推定される。よって、タッチパネル17の感度を高い設定(デフォルトの感度)にする(ステップS104)。
【0021】
マッチング率が20%より大きい場合(ステップS103のNo)、表示データAをLCD16に表示すると、LCD16によるノイズが大きくなる。従って、以下の通り、感度を低下する処理を行う。まず、マッチング率が40%以下であるか否かを判定する(ステップS105)。マッチング率が40%以下である場合(ステップS105のYes)、タッチパネル17の感度を1段階下げる(ステップS106)。マッチング率が40%より大きい場合(ステップS105のNo)、タッチパネル17の感度を2段階下げる(ステップS107)。そして、感度を設定した後、ステップS101に戻り、繰り返し処理を行う。
【0022】
このように、表示データAに応じて、感度を調整している。表示データAと表示データBとを比較して、その比較結果に応じて、感度を変更している。これにより、ノイズが大きくなる表示データAが表示される場合も、タッチパネル17の感度を低下することができる。よって、ノイズによる影響を低減することができ、タッチパネル17の誤作動を防ぐことができる。さらに、ノイズが小さい表示データを表示する場合、高感度でのタッチパネル操作が可能となる。タッチパネル17の性能を最大限に引き出すことができ、操作性を向上することができる。さらに、表示データAと表示データBとのマッチング率に応じて、感度を段階的に変更している。こうすることで、より細かな感度調整が可能となる。よって、より操作性を向上することができる。
【0023】
なお、上記の説明では、ROM14に記憶する表示データBを1つとしたが、複数の判定用表示データを登録しておいても良い。そして、それぞれの判定用表示データと比較して、最もマッチング率の高い値によって、感度を設定しても良い。あるいは、ノイズが小さくなる判定用表示データを登録しておいても良い。この場合、ノイズの小さい判定用表示データに類似しているほど、感度を高くする。
【0024】
さらに、頻繁に表示するメニュー画面などについては、予め最適な感度を設定しておいても良い。この場合、マッチングの計算処理を省略することができ、速やかに感度を調整することができる。なお、動画を表示する場合、頻繁に表示データが更新されるため、図2で示した感度調整の処理を省略しても良い。すなわち、頻繁に表示データが更新される場合、表示データに応じてLCDノイズが変動する。よって、感度調整の処理を省略しても良い。表示データの更新が頻繁でない場合に、感度調整の処理を行っても良い。また、上記説明では、表示装置がLCD16であるとして説明したが、LCD16以外の表示装置であってもよい。例えば、有機ELディスプレイなどであってもよい。特に、タッチパネル17に放射するノイズが大きくなるLCD16付き電子機器11において、上記の処理を行うことが好ましい。
【0025】
また、上述した感度調整の処理は、携帯電話端末、電子辞書、ATM、PC、カーナビゲーションシステム、モニター、携帯端末等のタッチパネル付き電子機器に適用することができる。これらの電子機器11の有する機能に応じて、図1で示した構成以外の構成が追加される。たとえば、電子機器11が携帯電話端末である場合、図1の構成に加えて、マイク、スピーカ、アンテナ、通信機能等が追加される。
【0026】
その他の実施形態.
その他の実施形態かかる電子機器について、図3を用いて説明する。図3は、電子機器20の要部の構成を示すブロック図である。電子機器20は、制御部21、表示装置22、タッチパネル23を有している。表示装置22は、実施の形態1のLCD16と同様であり、表示データを表示する。タッチパネル23は、表示装置22に設けられ、ユーザからの入力を受け付ける。制御部21は、表示装置22に表示する表示データに応じて、タッチパネル23の感度を制御する。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【0027】
なお、上記の制御は、コンピュータプログラムによって実行されても良い。上述した制御プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0028】
また、コンピュータが上述の実施の形態の機能を実現するプログラムを実行することにより、上述の実施の形態の機能が実現される場合だけでなく、このプログラムが、コンピュータ上で稼動しているOS(Operating System)もしくはアプリケーションソフトウェアと共同して、上述の実施の形態の機能を実現する場合も、本発明の実施の形態に含まれる。
【0029】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0030】
11 電子機器
12 CPU
13 バス
14 ROM
15 作業用メモリ
16 LCD
17 タッチパネル
20 電子機器
21 制御部
22 表示装置
23 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示データを表示する表示装置と
前記表示装置に設けられ、前記ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルと、
前記表示装置に表示する表示データに応じて、前記タッチパネルの感度を制御する制御部と、を備えた電子機器。
【請求項2】
予め登録された判定用表示データと、前記表示装置に表示する表示データとを比較することによって、前記タッチパネルの感度を制御する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記判定用表示データと、前記表示データとのマッチング率に応じて、前記タッチパネルの感度を段階的に設定する請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
表示データに基づいて、表示装置による表示を行うステップと、
前記表示データに基づいて、前記表示装置に設けられたタッチパネルの感度を制御するステップと、を備える電子機器の制御方法。
【請求項5】
予め登録された判定用表示データと、前記表示装置に表示する表示データとを比較することによって、前記タッチパネルの感度を制御する請求項4に記載の電子機器の制御方法。
【請求項6】
前記判定用表示データと、前記表示データとのマッチング率に応じて、前記タッチパネルの感度を段階的に設定する請求項5に記載の電子機器の制御方法。
【請求項7】
電子機器を制御する制御プログラムであって、
表示データに基づいて、表示装置による表示を行うステップと、
前記表示データに基づいて、前記表示装置に設けられたタッチパネルの感度を制御するステップと、を、
コンピュータに実行させる電子機器の制御プログラム。
【請求項8】
予め登録された判定用表示データと、前記表示装置に表示する表示データとを比較することによって、前記タッチパネルの感度を制御する請求項7に記載の電子機器の制御プログラム。
【請求項9】
前記判定用表示データと、前記表示データとのマッチング率に応じて、前記タッチパネルの感度を段階的に設定する請求項8に記載の電子機器の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−256257(P2012−256257A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129699(P2011−129699)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】